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裁判年月日 令和 2年 1月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(ワ)41914号
事件名 通行権確認等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2020WLJPCA01178011
要旨
◆原被告は隣接する各所有地上の建物にそれぞれ居住している隣人であり、原告の所有地と反対側において被告の所有地に隣接する土地の所有者を含めた3者間で、各所有地のうち道路に接する部分を共同利用するための本件協定を締結していたところ、原告が、被告に対し、本件協定に基づく通行権の確認や通行妨害禁止等を求めたほか、被告の張り紙貼付け行為等による名誉感情及び人格権の侵害を主張して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、本件訴えは、請求の特定を欠くものではなく、固有必要的共同訴訟でもなく、確認の利益も認められるから、適法であるとした上で、本件協定は、各人が本件協定全体部分のうち各自の所有地部分に係る自由な通行権をそれぞれ出資して、各人及びその関係者が本件協定全体部分を自由に通行できる内容の共同事業を営むという組合契約といえ、被告の主張する脱退は、組合に不利な時期のものでありやむを得ない事由もないから許されず、また、本件協定は暫定的なものとは認められず、詐欺や錯誤、権利濫用も認められないなどとする一方、被告の各行為が原告の名誉感情又は人格権を侵害して社会通念上容認できないものとまでは認められないとして、請求を一部認容した事例
出典
参照条文
民法1条3項
民法95条
民法96条1項
民法667条
民法678条
民法709条
民法710条
民事訴訟法40条
裁判年月日 令和 2年 1月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(ワ)41914号
事件名 通行権確認等請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2020WLJPCA01178011
東京都品川区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 樋口譲
同 加藤元美
同 新見康祐
東京都品川区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 大島義孝
同 高田沙代子
主文
1(1) 原告が,別紙物件目録記載1の土地のうち別紙図面のアイウエオカキアの各点で囲まれた範囲の土地について通行権を有することを確認する。
(2) 被告は,原告に対し,前記(1)の範囲の土地について,原告の通行の妨害をしてはならない。
(3) 被告は,原告に対し,前記(1)の範囲の土地について,物品を置いてはならない。
(4) 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載1の土地について別紙図面のキ及びウの各点を結ぶ線を同図面のエ又はオの側に越えて自動車を駐車してはならない。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1(1) 主文1(1)同旨
(2) 被告は,原告に対し,前記(1)の範囲の土地及び別紙物件目録記載2の土地について,原告の通行の妨害をしてはならない。
(3) 被告は,原告に対し,前記(1)の範囲の土地及び別紙物件目録記載2の土地について,物品を置いてはならない。
(4) 主文1(4)同旨
2 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成29年12月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
原告と被告は,隣接する各所有地上の建物にそれぞれ居住している隣人であり,原告の所有地と反対側において被告の所有地に隣接する土地の所有者を含めた3者で,各所有地のうち道路に接する部分について共同利用するための協定(以下「本件協定」という。)を締結したものである。
本件は,原告が,被告に対し,①本件協定に基づき,別紙図面のアイウエオカキアの各点で囲まれた範囲の土地(以下「本件協定被告部分」という。)について通行権を有することの確認,②上記通行権及び原告所有地の所有権に基づく妨害排除請求権として,本件協定被告部分及び原告所有地における通行妨害禁止及び物品放置の禁止請求,③本件協定に基づき,別紙図面のキ及びウの各点を結ぶ線を越えた自動車の駐車禁止請求を求めるとともに,④被告が張り紙を貼り付ける行為等を行ったことにより名誉感情及び人格権を侵害されたと主張して,不法行為に基づく損害賠償請求として,慰謝料100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成29年12月31日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。
(1) 当事者,関係者
ア 原告は,別紙物件目録記載2の土地(以下「本件土地2」という。)を所有して,同土地上の建物に居住している。
なお,原告は,当初,その夫である亡D(以下「亡D」という。)と本件土地2を各2分の1の割合で共有していたが,平成21年11月6日,亡Dから本件土地2の残り2分の1の持分を相続した。
イ 被告は,本件土地2に隣接する別紙物件目録記載1の土地(以下「本件土地1」という。)を所有して,同土地上の建物に居住している。
ウ E(以下「E」という。)及びF(以下「F」という。)は,別紙物件目録記載3の土地(以下「本件土地3」という。)を所有し,同土地上の建物に居住している。
エ 上記アないしウの各建物は,いずれも3階建てであり,玄関のある第1層の階が半地下にあることから,敷地から玄関に向かって下る階段を設けた構造になっている。
(甲1ないし3,9)
(2) 本件土地1ないし3の位置関係等
ア 本件土地2(別紙図面において「物件目録2」ないし「〈D〉-50」と表示されている部分)と本件土地1(別紙図面において「物件目録1」ないし「〈C〉-49」と表示されている部分)は,別紙図面のとおり隣接しており,本件土地1は,本件土地2の反対側において,別紙図面のとおり,「〈B〉-48」と表示されている土地部分(本件土地3)と隣接している。
イ 本件土地1ないし3は,もともと一筆の土地(752番17)であったが,平成13年3月23日,前記アのとおり分筆され,同年10月頃,当時の所有者であった株式会社アートライフクリエイト(以下「アートライフ」という。)から,各土地を購入した被告,原告及び亡D並びにE及びFに対して,それぞれ所有権移転登記手続がされた。
ウ 本件土地2は,別紙図面のとおり,その北側において,幅員3.86mの位置指定道路(別紙図面の「-2」との表示がされた部分。以下「本件私道」という。)に2m接道し,本件土地3は,その東側において,本件私道に2m以上接道している。
本件土地1は,主にその北側において,本件私道に1.86m(3.86m-2m)接道しているが,別紙図面のア,イ及びキの各点により囲まれる範囲の土地(以下「本件三角土地部分」という。)が本件土地3にいわば食い込む形で本件土地1の一部となっていることから,その限度で東側においても本件私道と0.78m接道している。
エ アートライフが本件土地1ないし3を売り出すに際して作成した完成予想図(以下「本件完成予想図」という。)には,本件土地1ないし3の上に,前記(1)エのとおりの3階建ての各建物1棟(本件土地1上の建物は,玄関が第2層にあることから,敷地から玄関に向かって上る階段となっている点において,実際の被告宅と異なる。)及び自動車各1台がそれぞれ描かれている。本件完成予想図において,原告が購入した本件土地2の駐車スペースは,建物の東側に描かれている。
(甲1ないし3,6,13の1ないし3)
(3) 本件土地1ないし3に係る協定書
ア 亡D及び原告,被告並びにE及びFは,平成12年12月10日付けの別紙「協定書」(以下「本件協定書」という。本件協定書に係る契約が本件協定である。)にそれぞれ署名捺印した。
イ 本件協定書の内容は,別紙「協定書」に記載のとおりであるが,その概要は以下のとおりである。
(ア) 下記表示の不動産の売買に際しての遵守事項に関し次のとおり協定した。その証として協定書3通を作成し,本件の協定者全員が記名押印の上各々その1通を保持する。
不動産の表示
所在地:品川区上○○a丁目752番17の一部
地積:66.54m2(E及びF所有地)・66.49m2(被告所有地)・52.17m2(亡D及び原告所有地)
(イ) 本件協定書は,亡D及び原告,被告並びにE及びFが,本件土地3の一部(本件協定書の略図の「協定部分(A)」),本件土地2の一部(同略図の「協定部分(B)」)及び本件土地1の一部(同略図の「協定部分(C)」)を共同利用するために締結する(以下「本件協定部分(A),(B)及び(C)を合わせた部分を「本件協定全体部分」という。)。(1条)
(ウ) 本件協定の当事者は,本件協定全体部分を歩行及び車両の通行の用にのみ使用するものとし,他の目的に使用してはならない。本件協定の当事者及びその関係者は,本件協定全体部分について自由に通行できるものとする。(2条)
(エ) 本件協定の当事者は,本件協定全体部分に自動車を駐車したり,植木その他物品を放置したり,建物・ブロック等の一切の工作物を設置してはならない。ただし,本件協定の当事者の所有する自動車車種により,本件協定全体部分に車体がかかる場合は,略図の朱線部(以下,2箇所ある朱線部のうち被告所有地のものを「本件朱線部分」といい,原告所有地のものを「原告朱線部分」という。)は例外とする。(3条)
(オ) 本件協定全体部分の使用料は無料とし,本件協定の当事者は,相互に本件協定全体部分について何らの請求をしないものとする。(4条)
(カ) 本件協定の当事者が本件土地1ないし3を第三者に譲渡するときは,本件協定書による地位を譲受人に承継させる義務を負う。(5条)
(キ) 本件協定を変更・廃止するには,本件協定の当事者全員の合意を必要とする。(6条)
(甲4)
(4) 別紙図面等
ア 別紙図面は,平成12年10月16日作製の地積測量図(以下「本件地積測量図」という。)に基づくものであり,これを拡大したものである。
イ 本件協定全体部分及びその一帯の土地は舗装されており,別紙図面のア,イ,エ及びオの各点には,金属製の境界標が埋められている。
(甲9,13の1ないし3,甲14の1ないし4)
2 争点及びこれに関する当事者の主張
(1) 本件訴え又は請求の適法性(争点1)
(被告の主張)
ア 請求が特定性を欠くこと
本件協定被告部分により内容を特定する請求は,本件協定被告部分を特定している別紙図面と本件協定書の略図が異なるものであり同一性を欠いていることから,請求としての特定性を欠くものである。
また,物品を置くこと又は自動車の駐車の禁止を求める請求は,「物品」についてはいかなる物が含まれるのか,「自動車」については誰のいかなる自動車なのかがいずれも明確でないことから,請求としての特定性を欠くものである。
イ 固有必要的共同訴訟
本件の訴えは,固有必要的共同訴訟であるが,当事者の一部を欠いており,不適法である。
本件協定が民法上の組合契約であるのならば,総組合員の共有財産である通行権の存否及び場所的範囲を構成員に対して確認請求する場合には自らを除いた共有者たる組合員全員に対して確認を求めるべきである。また,本件協定が組合契約でないとしても,隣接する土地においてどの範囲でいかなる通行権を認めるかは境界確認請求事件に類似することから,本件訴えは,E及びFをも被告とすべき必要的共同訴訟である。
ウ 確認の利益
本件協定被告部分に係る通行権の確認請求について,被告は,原告に対し,本件協定被告部分の通行を禁止したり,通行を全面的に遮断したことがなく,そのようなことを示唆したこともない。原告は,本件協定被告部分について,従前通り通常の態様で支障なく通行しており,被告から現在の通行を妨害されるおそれもないのであるから,上記請求について確認の利益はない。
(原告の主張)
ア 被告の主張ア(請求の特定性)について
本件協定被告部分は,地積測量図上の境界点により特定されているから,本件協定被告部分に関する請求は訴訟要件として必要な特定を欠くものではない。
イ 被告の主張イ(固有必要的共同訴訟)について
本件の訴えは,原告の被告に対する約定通行権のみを訴訟物としているのであるから,Eとの間で合一確定の要請が生じるものではなく,固有必要的共同訴訟に当たらない。
ウ 被告の主張ウ(確認の利益)について
被告は,植木,椅子等をもって原告宅の玄関につながる階段の上を塞ぐなどして原告の通行を妨害した。特に,張り紙の貼られた椅子は数カ月間そのままの位置に置かれていた。さらに,被告は,本件朱線部分を本件土地2の本件協定部分(以下「本件協定原告部分」という。)の方向に越えて自動車を駐車して原告の通行を現に害して,駐車し続けると明言しており,これを止めようとしない。確認の利益が認められることは明らかである。
(2) 本件協定の性質,その効力等(争点2)
(原告の主張)
ア(ア) 本件協定は,原告,被告及びEが,相互に自己の所有地の一部についての自由な通行権を出資し,各当事者が自由な通行のために利用する共同事業を営む内容の民法上の組合契約である。
(イ) 被告は,組合からの脱退を主張する。
被告が組合を脱退した場合,被告を含めた本件協定の各当事者は,本件協定全体部分を通行することも,自動車の切返しのために通ることもできなくなることから,上記脱退は,組合に不利な時期のものである。
また,被告の脱退についてやむを得ない事由はない。
イ そして,本件協定に基づく通行権は,本件協定2条及び3条の定めを踏まえると,当事者が本件協定全体部分について自由に通行ができる権利であるとともに,自動車の駐車禁止を請求し,物品・工作物の放置の禁止を請求することも含むものである。
なお,後記エにおいて主張するとおり,本件協定書の略図は,正確な測量図面である本件地積測量図(甲13の1)に基づくものであるから,本件協定書における「協定部分(B)」は,本件協定被告部分と一致するとともに,本件朱線部分を本件協定原告部分の方向に越えることは,別紙図面のキ及びウの各点を結ぶ線を同図面のエ又はオの各点の方向に越えることと同じである。
ウ 被告は,玄関階段上に植木鉢や椅子を放置して原告の通行を妨害し,原告の居住当初から現在に至るまで,本件朱線部分を本件協定原告部分の方向にはみ出してその自動車を駐車し続けることにより,原告の通行権を明らかに侵害した。
エ 被告は,本件協定が暫定的なものであったと主張するが,本件協定は,そのような記載はなく,むしろ,以下の事情のとおり,暫定的なものではない。
(ア) 本件協定書は,本件土地1ないし3の正確な測量図が作成された後に作成されたものであり,本件協定書の略図は,その正確な測量図面を反映したものである。
(イ) 被告とアートライフの本件土地1に係る売買契約書には「本物件と隣地との間で結ばれる協定については,売主が別紙にて内容を明確にし,本物件の引渡日までに各々が記名・押印の上,その承諾書を各々保有することとします。」との記載があり,重要事項説明書にも同様の記載がある。
このように,本件協定は,被告が本件土地1を買い受ける売買契約と一体のものであるだけでなく,売主及び買主の双方にとって必要不可欠な内容を定めるものであるから,その内容は,締結前から確定していたし,その後改定されるはずもないものである。
(ウ) 本件協定全体部分は,土地の形状によって決まったものであり,建物の位置関係で定まるものではないから,建物の位置関係が決まっていないとしても本件協定書が暫定的であったといえるものではない。
(被告の主張)
ア 原告は,以下の(ア)及び(イ)のとおり,本件協定が組合契約であることと矛盾する行動をとっているから,本件協定は組合契約ではない。本件協定が組合契約であるとしても,被告は,民法678条1項に基づき組合契約から脱退する。
本件協定は,使用貸借契約であり,被告は,原告と被告の間の信頼関係が破壊され,原告に被告の土地を無償で使用させる理由がなくなったことから,民法597条2項ただし書の類推適用に基づき本件協定を解除する。
(ア) 原告は,被告に対して組合契約に基づいて請求や訴えの提起をするには,組合の業務執行として組合員の過半数をもってなすべきであるのに(民法670条1項),組合員の過半数の決定をとっていない。
(イ) 原告は,平成21年頃,本件協定の当事者ではない第三者に対して本件土地2の一部を駐車場として賃借しようとしたが,その際,同賃借が本件協定に基づく通行権を上記第三者に許諾するものであり,組合の業務執行といえるものであるのに,組合員の過半数の決定によらずに単独で行った。
イ 本件協定は,暫定的なものにすぎず,本件土地1ないし3の上の建物完成後に正確な測量や当事者間の協議を経て厳密な位置関係が特定された内容の協定に更新することが予定されていた。それを裏付ける具体的な事情は以下のとおりである。
(ア) 本件協定全体部分は,本件地積測量図作製より前の別紙「協定書」の略図において特定されており,正確な位置関係をもって特定されておらず,当事者の意思の合致があるものとはいえない。
(イ) 本件協定は,本件土地1ないし3の上に建てられる各建物の最終図面が未だできておらず,その位置も変更可能な時点で締結されたものであるから,各当事者は,同時点において,各自の駐車スペースに可能な自動車の大きさや,本件協定全体部分を利用して切り返しが可能であるか等を判断することができなかった。
(3) 本件協定の効力を妨げる事由の存否等(争点3)
(被告の主張)
ア 詐欺取消し
被告は,平成12年10月5日,アートライフから,先行して暫定的に取り交わすもので,最終的な図面ができた段階で改定するものとの虚偽の説明を受け,これを信じて本件協定書に署名捺印した。
被告は,原告に対し,平成30年1月26日付け答弁書別紙において,本件協定を取り消す旨の意思表示をした。
原告は,本件協定書の内容と異なる内容の完成予想図(甲6)を売主から示されていたこと等の事情を踏まえると,アートライフが被告を欺罔したことについて悪意であった。
イ 錯誤無効
被告は,平成12年10月5日,アートライフから,先行して暫定的に取り交わすもので,最終的な図面ができた段階で改定するものと説明を受けたものであるから,被告は,本件協定書の記載通りの内容の合意をする意思はなく,本件協定書の記載通りの内容の合意をするのであったならば署名押印しなかった。被告には法律行為の要素に錯誤がある。
また,被告は,本件協定によっても,中型のセダンタイプの輸入車程度の大きさの車両(全長4800mm)が駐車可能である,原告の建物の出入り口の構造が本件協定被告部分を横切る位置にならないとそれぞれ認識していたのであるから,法律行為の要素に錯誤がある。
ウ 本件協定の改定
本件協定の全当事者は,平成18年12月23日,被告の自動車の駐車位置について現状のままで良いとする内容で,本件協定を明示又は黙示に改定した。
エ 権利濫用
原告は,本件協定被告部分を支障なく通行し,何ら支障のない生活をしていながら,被告の自動車が目障りであるとして,執拗な嫌がらせをして,本件訴訟において,被告が自家用車を自宅の駐車場に駐車できないような主張をしている。他方で,被告は,自己所有の自動車を自宅の駐車場に駐車できなくなれば,極めて大きな損害を受け,ひいては自宅購入の目的も達せられないこととなる。さらに,本件協定は,車の切返しを容易にさせる目的で締結されたものであるところ,被告が現在の位置に自動車を駐車しても他の車の切返しに何らの支障もない。
したがって,原告の主張は権利濫用である。
(原告の主張)
ア 詐欺取消しの主張について否認する。
被告は,建築条件付きで本件土地1を購入したものであり,建物の設計を調整して駐車スペースを広げることをせずに,あえて本件協定に反する結果となる建物を建築したものである。
イ 錯誤無効の主張について,否認する。
ウ 本件協定の改定の主張について否認する。
エ 権利濫用の主張について否認し,争う。
本件協定は,本件協定の各当事者の通行の支障をなくし,快適な通行を可能にする趣旨で相互利用的な通行権を各当事者に与えたものであって,自由な通行を求めることが前提の協定である。単に車の切返しを容易にする目的のものではない。
(4) 被告による原告所有の本件土地2に係る所有権の侵害(争点4)
(原告の主張)
ア 被告は,平成29年7月30日頃,原告所有の植木鉢に張り紙を付して,本件土地2内の玄関階段上に進路を塞ぐようにして置いた。
イ 被告は,本件土地2に大きくはみ出して自動車を駐車する,同土地に自転車を寄りかからせる,原告が境界を明確にするために置いたポールや植木鉢を移動するなどの行為をした。
(被告の主張)
被告が原告の植木鉢を本件土地2に戻したとの限度で認め,その余の事実は否認する。
(5) 被告の不法行為,原告の損害(争点5)
(原告の主張)
被告は,長年にわたり,本件朱線部分を本件協定原告部分の方向に越えて自動車を駐車して原告の通行権を侵害するほか,張り紙を張り付ける行為,原告の玄関階段のすぐ前の本件協定被告部分に椅子を長期間放置する行為,同階段最上部の本件土地2の上に植木鉢を設置する行為,原告自宅の外壁ギリギリの本件土地2の上に自動車を駐車する行為,原告を「おばはん」呼ばわりして小ばかにする行為,原告が第三者に駐車場を貸与するのを妨害する行為などの嫌がらせをしてきた。
原告は,被告の上記行為により,名誉感情や人格権が侵害され,強い精神的苦痛を受けた。損害賠償として100万円が相当である。
(被告の主張)
被告は,原告による張り紙行為,植木鉢設置行為,ポール設置行為,原告朱線部分への自転車設置行為等に耐えかねて,原告への注意のために一定の行為をしたことは認める。
被告の上記行為は,原告に対し,原告の行為を注意し,従前の約束を守るように伝える内容にすぎず,加害の意思をもって人格攻撃を行う意図がなく,原告の人格的価値等を全く無価値なものであるとしてこれを否定するものでもなく,違法性が強度で社会通念上到底容認し得ないものではない。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前記第2の1の前提事実(以下単に「前提事実」という。),後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
(1) 原告による本件土地2に係る土地及び建物の購入
ア 原告及び亡Dは,平成12年頃,一軒家を購入しようと物件を探しており,仲介業者の株式会社ユニハウス(以下「ユニハウス」という。)から,本件土地1ないし3の上に予定される3棟の建物の本件完成予想図,本件土地2の上に予定されている建物の詳細図面(甲12)等を見せられて,本件土地2に係る土地及び建物を購入する旨決めた。上記建物の詳細図面は,平成12年8月27日付けのアートライフ作成のものであるが,同図面によれば,建物の玄関から上がる階段は,実際に建てられた建物と同様に,建物に沿って真っすぐに本件土地1に向かうものとなっている。
イ 原告及び亡Dは,平成12年12月10日頃,本件協定書に署名押印し,平成13年4月14日,ユニハウスを仲介人として,本件土地2及びその上の建物(建築確認番号:平成13年3月30日 第H12確認建築品川区001194号)をアートライフから買い受けた。この売買の契約書の備考欄には,「本物件土地には別紙「協定書」に基づく,A号棟所有者及びB号棟所有者との協定部分があります。」との記載がある。
ウ 原告及び亡Dは,平成13年10月28日,本件土地2上の建物に転居した。
(甲4ないし6,12,15,原告本人)
(2) 被告による本件土地1の購入及び建物の建築
ア 被告は,平成12年8月頃,広告で本件土地1ないし3が売り出されていることを知り,購入の検討を始めた。被告は,本件完成予想図を見て,魅力を感じた。
被告は,平成12年10月5日,住宅を建築することを条件として,本件土地1をアートライフから買い受けた。
この売買の契約書において,本件土地1の地番は「752番17の一部」と,地積は「190.90m2の内約66.49m2」とそれぞれ記載され,さらに,「売買対象面積約66.49m2の確定は別紙分割予定図参照とします」との注記が付されている。
また,上記契約書には,特約条項6として「本物件と隣地との間で結ばれる協定については,売主が別紙にて内容を明確にし,本物件の引渡日迄に各々が記名・押印の上,その承諾書を各々保有することとします。」との記載がある。
イ 前記アの本件土地1の売買に係る重要事項説明書には,本件土地1の本件私道との接道について概略図を用いた説明がされている。具体的には,同概略図により,本件土地1が,本件三角土地部分によって幅員約3.86mの本件私道と2つの辺で接すること(前提事実(2)ウ)を示されるとともに,その両端の点の間が直線で約2.01mあることから,必要な接道要件を満たしていることが示されている。
また,上記重要事項説明書には,特約条項の8として,「本物件と隣地との間で結ばれる協定については,売主が別紙にて内容を明確にし,本物件の引渡日迄に各々が記名・押印の上,その承諾書を各々保有することとします。」という前記アの売買契約書と同じ文言が記載されている。
ウ(ア) 被告は,前記アと同じ頃,アートライフとの間で,本件土地1上の建物建設工事請負契約を締結した。
(イ) 同請負契約に係る契約書添付の平面図(平成12年10月5日付け)には,自動車が,本件三角土地部分よりも本件協定原告部分側に越えて駐車されている。
また,同様の平面図(平成12年9月20日付け及び平成13年2月14日付け)においても,同様の記載がされている。
エ 被告は,平成12年10月5日,本件協定書に署名押印した。
(乙1ないし3,6,7の1及び2,被告本人)
(3) 原告及び亡Dと被告との間のやり取り等
ア 原告及び亡Dは,転居してしばらくした後,被告に対して,自動車が原告宅の入り口を塞いでいるので,自動車を下げるよう依頼したが,被告はこれに応じなかった。
原告及び亡Dは,その後も同様の依頼をしたが,被告はこれに応じなかった。
イ 亡Dは,平成14年11月,自宅東側の駐車場を月額3万円の賃料で被告に賃貸することとした。被告は,当時2台の車を保有しており,本件土地1上に駐車する車でない車を原告から賃借した駐車場に駐車することとした。上記賃貸借が終了した平成18年11月までの間,被告は,本件土地1上に従前と同様の態様で自動車を駐車していたが,原告及び亡Dと被告は,この駐車位置について争うことはなかった。
しかし,原告及び亡Dと被告との間で,上記賃貸借終了後,駐車位置をめぐって再び争いが生じるようになった。
ウ 被告は,平成19年1月頃,亡D,原告及びEに対し,本件朱線部分を本件協定原告部分の方向に約70cm拡大するように本件協定を改定する旨の提案をした。しかし,原告及び亡Dは,同提案を断り,被告から交付された改定案に署名捺印しなかった。
エ 亡Dは,平成21年11月6日死亡した。
なお,被告の陳述及び供述(乙6,被告本人)には,亡Dが,平成21年4月頃,被告に対し,本件朱線部分を本件協定原告部分の側に越えて自動車を駐車することを許容する旨伝えたという部分があるが,亡Dが,平成18年頃から多発性脳梗塞やくも膜下出血などを発症し,平成21年5月には,認知症及び障害により日常生活自立度が相当程度低下し,言語障害も有していたこと(甲19ないし23)に照らし,上記陳述及び供述は信用することができない。
オ 被告は,原告が原告朱線部分に自転車を置いていたので,2011年(平成23年)4月27日付けの書面を原告に交付して,同自転車を「協定敷地内」に置くことは認められず,即刻移動するよう求めた。他方で,被告の駐車の態様は変わらなかった。
カ 被告は,平成23年12月16日,原告宅の階段前の本件協定被告部分内にある原告の散水栓のふたの上に「警告 いつ,どこへ,どう移設するかを16日までに明示(文書)することを命ずる。従わない場合,即,訴えさせて頂きます。また,協定書を全面的に見直す必要性を法的には確認済みである。」と記載された張り紙を貼った。
原告は,その後上記散水栓を移設した。
キ 被告は,平成23年12月16日,前記カの張り紙から2mほど被告宅に寄った被告所有地上に「Xへ 最後通告 これ以上,不法な越境,侵入,利用等を繰り返すなれば,刑事告訴,並び名誉毀損,侮辱行為で速やかに訴える。(弁護士相談済) 「覚悟しておくように」。これ以上ふざけた行為は認めない。→※嫌がらせ行為の物品は撤去する。」と記載された張り紙を貼った。同張り紙は,被告が自動車を原告宅の近くに寄せて駐車するので,原告が本件土地1及び2の境界にポールを置いたことに対するものである。
ク 原告は,平成29年7月29日,被告の自転車が原告宅に寄りかかって駐輪されていたことから,自宅壁際に植木鉢を置いた。被告は,これに対して,翌30日,同植木鉢を原告宅の階段上に移して,同所に「Xに告ぐ ・人の土地を通路として使うな。・勝手に人の土地に入って物を置くな。・車以外を協定地の中に置くな。・守れない場合,今度こそ訴えるので。ガマンならん!!」と記載された張り紙を置いた。
上記植木鉢及び張り紙は原告の所有地内にあった。
ケ 被告は,平成29年8月1日,原告宅の階段上に植木鉢を3個及び椅子1脚を置き,以下のとおり記載された張り紙を椅子に貼った。
「Xへ告ぐ
①Y家の土地・敷地内へ勝手に入り物を置いたり,作業をするな!
(中略)
②違法建築による恩恵を自分たちの権利だと勘違いし,正当性を主張するな!
(中略)
③現状での譲歩案を受け入れたY側に対して,約束を反故にして逆なでするな!
※故D氏と「現状のままで譲歩して欲しい」と頭を下げられた事で,必要最小限の改築工事に留めてY家の土地・敷地をX家の通路として利用されても我慢しているのは温厚な人柄に経緯を表した「遺言」に近いものだと思っているからである。これまで別の違法建築の数々をも黙認してきたが,隣家との衝突を可能な限り避けたいとの思いもあって極限まで我慢してきたが,亡くなられた途端に態度を変えてここまで自分勝手な主張と嫌がらせまでもしてくるとは,妻として,残された者として恥ずかしくはないのか?
Y側の我慢と誠意によって恩恵に預かっている事実を再認識し,これまでの行動を悔い改め,Y側に敬意を払った行動・言動を望む。」
コ 被告は,平成29年8月2日,原告宅の階段上に椅子1脚を置き,これに「こちらへ指図する前に約束を守ってから謝罪しろ! まずは嫌がらせしている自転車をどかせ。自分たちが我慢する立場になった途端に文句を言うなど言語道断!」と記載された張り紙を貼った。
原告と被告は,原告が原告朱線部分に自転車を置き,被告がこれをどかすことを複数回繰り返した。
サ 被告は,現在に至るまでその自動車を別紙図面のキ及びウの各点を結ぶ線を同図面のエ又はオの各点の方向に数十cmないし1m弱程度越えて駐車している。被告の現在の自動車の前輪より前の部分はほぼ上記線を越えた位置にある。そのため,原告が自宅の玄関を出て階段を上ると,被告の自動車は,同階段の幅のおおむね左側半分に相当する部分まで占めて見えることとなる。
(甲7,8,9,11,14の1ないし4,甲15,乙6,原告本人,被告本人)
2 本件訴え又は請求の適法性について(争点1)
(1)ア 被告は,本件協定被告部分により内容を特定する請求について,請求としての特定性を欠いていると主張する。
しかしながら,上記各請求における本件協定被告部分は,地積測量図に基づく別紙図面における各点により特定されているものである。被告は,別紙図面と本件協定書の略図とが異なる旨主張するが,その主張に係る相違は,請求の当否を判断する際に問題になるものであっても,請求が特定しているか否かを左右するものではない。被告の上記主張は採用することができない。
イ また,被告は,物品を置くこと又は自動車の駐車の禁止を求める請求についても,「物品」又は「自動車」の範囲が明確でないことから請求として特定していないと主張する。
しかしながら,「物品」との用語は本件協定書において使用されているだけでなく(前提事実(3)イ(エ)),一般的な特定を欠くものとは認められないし,「自動車」は本件協定の当事者が自身の所有地に駐車することを認めた自動車を指すと認められる。被告の上記主張は採用することができない。
(2) 被告は,本件訴えが固有必要的共同訴訟であり,当事者の一部を欠くことから不適法であると主張する。
しかしながら,本件協定に係る原告の各請求は,原告が,被告に対し,本件協定被告部分についての権利関係のみを対象として確認等を求めるものであるから,E及びFとの間で合一確定の必要を生じさせるものではない。被告の上記主張は採用することができない。
(3) 被告は,本件協定被告部分に係る通行権の確認請求について,原告の権利又はその法律上の地位に不安がないとの理由で,確認の利益がないと主張する。
しかしながら,被告は本件訴訟において本件協定の効力を争うほか,原告との間で被告の駐車位置に係る本件協定の内容について現在に至るまで争ってきたのであるから,原告の権利又はその法律上の地位に現に危険・不安があるというべきである。被告の上記主張は採用することができない。
(4) したがって,本件訴え又は請求について適法でないとする被告の主張はいずれも理由がない。
3 本件協定の性質等について(争点2)
(1) 前提事実(2)アないしエによれば,アートライフは,もともと一筆であった土地(752番17)を,本件完成予想図のような建物及び駐車スペースを設ける宅地3件として販売するために,各宅地が本件私道との接道要件を満たすように分筆をすることとしたと認められるが,同時に,①各土地の購入者(特に本件土地1の購入者)が自動車を出し入れするためには隣地を通る必要があること,②本件土地2の購入者が玄関を出て本件私道に向かうには,東側部分が駐車スペースであるため,本件土地1(具体的にはそのうちの本件協定被告部分)を通ることが必要であるか,少なくとも自然であること等の事情を踏まえると,本件協定は,アートライフが上記宅地3件を販売するために不可欠の前提条件であるというべきである。
同時に,本件協定が確実に締結され維持されていくことは,本件土地1ないし3の購入者にとって,上記のような状態にある土地を購入して,同各土地上の建物に居住して日常生活を送るために不可欠の前提条件であるというべきである。
(2) また,本件協定は,①本件協定書に記載された本件土地1ないし3の面積が実際の分筆後の各土地の面積といずれも一致すること(前提事実(3)イ),②本件地積測量図は平成12年10月16日には完成していたこと(前提事実(4)),③本件協定書は,被告による本件土地1の売買契約書において,売主が別紙にて内容を明確にしたものであること(前記1の認定事実(以下「認定事実」という。)(2)ア)を踏まえると,その略図が正確な測量図面である本件地積測量図に基づくものということができる。
したがって,本件協定書における「協定部分(B)」は,別紙図面に基づく本件協定被告部分と一致するとともに,本件朱線部分を本件協定原告部分の方向に越えることは,別紙図面のキ及びウの各点を結ぶ線を同図面のエ又はオの各点の方向に越えることと同じである。
(3) 前記(1)及び(2)を踏まえると,本件協定は,亡D及び原告,被告並びにE及びFが,本件協定全体部分のうち各自の所有地部分に係る自由な通行権をそれぞれ出資して,各人及びその関係者が本件協定全体部分を自由に通行できる内容の共同事業を営むという組合契約であるというべきである。
(4) 被告は,原告において本件協定が組合契約であることと矛盾する行動をとっているなどと主張して本件協定が使用貸借契約であると主張する。
しかしながら,原告が本件訴訟の提起に際して組合員の過半数の決定をとっていないとの主張については,同主張に係る事実は,本件協定の性質を左右するものではないというべきであるから,同主張は,当を得たものではなく採用することができない。原告が本件土地2の駐車場を第三者に賃貸した際に組合員の過半数の決定をとらなかったとの主張についても同様である。
そして,本件協定が,前記(1)及び(3)において説示したとおり,本件土地1ないし3の購入者による自己所有地部分の提供及び他の2者の所有地の自由な通行という構造であることを踏まえると,一方当事者が他方当事者からその所有物の引渡しを受けてこれを無償で使用収益する使用貸借契約とはその性質を異にするものというべきであるから,被告の上記主張は,前記(3)の判断を左右するものではない。
(5) 被告は,組合契約である本件協定から脱退した旨主張する。
しかしながら,被告が本件協定から脱退した場合,被告を含む本件協定の全当事者が本件土地1ないし3の上の建物に居住するために不可欠の前提条件(前記(1))が失われることとなり,本件協定を変更,廃止するためには本件協定の当事者全員の合意が必要とされていること(前提事実(3)イ(キ))も併せて考慮すると,被告の脱退は,組合に不利な時期のものであるから,許されないというべきである。
また,同様の理由から,被告の脱退にやむを得ない事由があると認めることはできない。
(6) 被告は,本件協定について,本件土地1ないし3の上の建物完成後に正確な測量や当事者間の協議を経て厳密な位置関係が特定された内容の協定に変更されることが予定されていた暫定的なものであると主張する。
しかしながら,本件協定書の略図が正確な測量図面である本件地積測量図に基づくものであることは,前記(2)において説示したとおりである。
また,本件土地1の売買に係る売買契約書及び重要事項説明書には,本件協定が暫定的なものである旨の記載は見当たらないだけでなく(認定事実(2)ア及びイ参照),本件土地1ないし3の売買契約に不可欠の前提条件である(前記(1))本件協定が暫定的であるとの主張は,そのこと自体が合理性を欠くものというべきである。
さらに,本件協定は,主に本件土地1ないし3の接道状況及び自動車の出入りに必要なスペースを考慮したものであり,正確な測量図面に基づくものであるのであるから,本件土地1ないし3の上に建てられる建物の最終図面が完成しないと確定的に決められないものということもできない。
以上によれば,被告の上記主張は採用することができない。
4 本件協定の効力を妨げる事由の存否等について(争点3)
(1) 被告は,アートライフから本件協定は暫定的なものとの虚偽の説明を受けたものであり,アートライフの詐欺に基づいて本件協定を締結したと主張し,被告の陳述及び供述(乙6,被告本人)中には,上記主張に沿う部分がある。
しかしながら,同部分は,本件協定が暫定的なものではなく,正確な測量図面に基づくものであること,本件土地1に係る売買契約書及び重要事項説明書においても暫定的なものとの記載がないこと(前記3(1)及び(6))に照らして採用することができず,ほかに上記事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
また,被告による錯誤無効の主張も,同様の理由から採用することができない。
(2) 被告は,本件協定の全当事者が平成18年12月23日に本件協定を改定したと主張し,原告の供述及び陳述には上記主張に沿う部分がある。
しかしながら,被告が改定後のものと主張する協定書(甲8)は,被告のみが署名押印し,亡D及び原告並びにE及びFはいずれも署名押印していないのであるから,これに反する内容である上記部分は信用することができず,ほかに本件協定が改定された事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
(3) 被告は,原告は本件被告協定部分を支障なく通行していながら,被告が自家用車を自宅の駐車場に駐車できないような主張をしていること,被告は駐車できなくなれば大きな損害を受けること,被告が現在の位置に駐車をしても他の車の切返しに支障がないこと等を主な理由として,原告の請求が権利濫用であると主張する。
しかしながら,被告の駐車態様は,本件協定違反の程度及び原告の通行を阻害する程度のいずれの観点においても軽微なものとはいえないこと(認定事実(3)サ),建築条件付きで本件土地1を購入した被告は,本件協定及び本件測量図面(本件土地1に係る売買契約書添付の別紙分割予定図(認定事実(2)ア)がこれに相当する図面であると推測される。)に基づいて,保有する自動車の車種を考慮しながら本件協定に反しないように駐車場に割くスペースを任意に決めることができた(認定事実(2)ア,前記3(2))等の事情を踏まえると,被告の上記主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。
(4) 以上によれば,本件協定の効力を妨げる事由は認められない。
5 通行に関する請求のまとめ
(1) 以上によれば,原告の前記第1の1(1)及び(4)の請求並びに同(2)及び(3)の請求(本件協定に基づく部分に限る。)はいずれも認容すべきである。
(2) 原告の前記第1の1(2)及び(3)の請求の本件土地2の所有権に基づく妨害排除請求に係る部分は,被告が原告の本件土地2に係る所有権の行使を現に妨害している事実が主張立証されたとは認められないため,いずれも理由がない(なお,所有権に基づく妨害予防請求と解するとしても,被告が平成29年7月30日頃に原告所有の植木鉢に張り紙を付して本件土地2内の玄関階段上に置いたことをもって所有権侵害のおそれがあるとまで認めることはできないから,同請求は理由がない。)。
6 不法行為に基づく請求について(争点5)
(1) 原告が不法行為を構成すると主張する被告による張り紙等の行為の具体的内容は,認定事実(3)オないしコのとおりである。
(2) このうち認定事実(3)オないしキの各行為は,いずれも平成23年のものであり,原告が平成29年に本件訴訟を提起するまで5年以上の間,被告に対して特段問題にしたことがうかがわれないことを踏まえると,同各行為が原告の名誉感情又は人格権を侵害して社会通念上容認できないものとまで認めることはできない。
(3) また,認定事実(3)クないしコの各行為は,いずれも平成29年のものであり,被告による張り紙には,命令調であったり,「妻として,残された者として恥ずかしくはないのか」などの表現が穏やかでない部分が認められる。
他方で,原告もその頃自宅壁際に植木鉢を置いたり,原告朱線部分に繰り返し自転車を置くなどの行為をしていることをも踏まえると,被告による上記各張り紙の内容が原告の名誉感情又は人格権を侵害して社会通念上容認できないものとであるとまで認めることはできない。
(4) 以上によれば,原告の前記第1の2に係る請求は,その余の点を検討するまでもなく理由がない。
第4 結論
以上によれば,原告の請求は,前記第3の5に記載の限度で理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
(裁判官 小田正二)
〈以下省略〉
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