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裁判年月日 平成23年12月16日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(ワ)8408号
事件名 配置転換無効確認等請求事件
裁判結果 一部認容、一部棄却 上訴等 確定 文献番号 2011WLJPCA12166001
要旨
◆従前、被告から解雇されたものの、裁判所による解雇無効の仮処分決定を経て、同解雇を撤回された原告が、被告による配転命令は無効であるとして、配転先営業所における雇用契約上の義務を負わないことの確認を求めるとともに、同命令及びそれに至る原告に対する解雇の意思表示行為等は不法行為に当たるとして、損害賠償を求めた事案において、原被告間に勤務地限定の合意はなかったものの、被告が、本件解雇を撤回し、原告を職場復帰させた時点で、あえて配転させる必要性及び合理性があったとはいえないことなどからすると、本件配転命令は配転命令権を濫用したもので無効であるとして、確認請求を認容した上で、本件解雇は解雇権を濫用し無効であるが、損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性までは認められず、他方、本件配転命令は、損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有しており、不法行為に該当するとして、慰謝料50万円を認めた事例
出典
労判 1043号15頁
評釈
小林保夫=岩田研二郎・民主法律時報 475号5頁
井上幸夫・ジュリ増刊(実務に効く労働判例精選) 54頁
参照条文
労働契約法16条
民法709条
裁判年月日 平成23年12月16日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(ワ)8408号
事件名 配置転換無効確認等請求事件
裁判結果 一部認容、一部棄却 上訴等 確定 文献番号 2011WLJPCA12166001
原告 X
同訴訟代理人弁護士 小林保夫
岩田研二郎
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 永沢徹
野田聖子
主文
1 原告が被告に対し,被告の名古屋営業所において勤務する雇用契約上の義務のないことを確認する。
2 被告は原告に対し,金50万円及びこれに対する平成22年3月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 主文第1項と同旨
2 被告は原告に対し,金300万円及びこれに対する平成22年3月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
1 本件事案の概要
本件は,①被告が原告に対してした被告の名古屋営業所への配転命令が無効であるとして,原告が被告に対し,配転先である同営業所における雇用契約上の義務を負わないことの確認を求めるとともに,②同命令及びそれに至る被告の行為(原告に対する解雇の意思表示行為)が不法行為に該当するとして,民法709条に基づく損害賠償(慰謝料)の支払(遅延損害金を含む。)を求める事案である。
2 前提事実(ただし,文章の末尾に証拠等を掲げた部分は証拠等によって認定した事実,その余は当事者間に争いのない事実)
(1) 当事者
ア 被告
被告は,スイスに本社を,世界各国に支社・営業所等を置き,陸・海・空にわたる国際的な運送業務を主な営業内容とするa株式会社(以下「a社」という。)の100パーセント出資にかかる日本法人で,肩書地〈省略〉に本社を,大阪,名古屋に支店(以下,「大阪営業所」「名古屋営業所」という。)を,広島に営業所をそれぞれ置き,陸・海・空にわたる運送業務等を営む株式会社である。
なお,a社を中心とするaグループは,大陸間の航空・海上輸送サービス及びそれに伴うサプライチェーンマネージメントを専門としており,世界90か国にネットワークを有するグループである。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
イ 原告
(ア) 原告は,アメリカ合衆国アイダホ州b大学を卒業し,日本において国際輸送業務を扱う企業数社に勤務した後,平成18年11月,被告に入社後,平成22年2月22日付けの配転命令(以下「本件配転命令」という。)が発せられるまでの間,大阪営業所の営業担当として勤務していた。
(証拠〈省略〉,原告,弁論の全趣旨)
(イ) 原告は,本件配転命令後,同命令に対して異議を留めた上で,平成22年3月1日以降,名古屋営業所の輸出入カスタマーサービススタッフとして就労している(証拠〈省略〉,原告,人証〈省略〉)。
(ウ) 原告は,平成21年4月17日,被告に対し,全日本建設交運一般労働組合大阪府本部(以下「本件労働組合」という。)に加入した旨通告した(証拠〈省略〉)。
(2) 雇用契約の締結及びその内容
ア 原告は,平成18年11月,被告との間で,同月20日を始期とする期限の定めのない雇用契約(以下「本件雇用契約」という。)を締結した。
イ 本件雇用契約において,賃金は年額制とされ,これを12分して,毎月20日限りその1を支払うこととされ,他に営業成績が良好であった場合には,毎年4月に被告の査定に基づきインセンティブ給が支給されることとされていた。
ウ 原告の平成20年度(同年4月1日から翌年3月31日まで)の賃金は年額610万円と定められ,これを12分して,毎月20日限り,税込52万5811円(交通費込み)の支払を受けていた。
(以上について,証拠〈省略〉)。
(3) 就業規則の定め
被告の就業規則には以下の定めがある(証拠〈省略〉。ただし,本件に関連する部分のみを取り上げる。)。
ア (異動)
第15条 会社は業務の都合により,社員に対して,次の異動を命ずることがあります。
① 転勤
② 出向
③ 配置転換
イ (解雇)
第27条 社員が次の各号の一に該当するときは,30日前に予告するか,又は30日分の平均賃金を支払って即時解雇します。
ただし,予告日数について,平均賃金を支払ったときは,その支払日数だけ予告日数を短縮します。
①,②〈省略〉
③ 技能,又は能率が低劣なため業務に適さないと認められたとき。
④ 事業の縮小,又は合併,あるいは設備の変更などにより,剰員を生じたとき。
⑤ 事業の不振,その他これに準ずる止むを得ない事由のため事業の継続が不可能になったとき。
⑥,⑦〈省略〉
2 〈省略〉
(4) 被告による原告の解雇及び本件配転命令に至る経緯
ア 被告は,平成21年4月16日,原告に対し,同日付けの解雇予告通知書により同年5月16日付けで解雇する旨の意思表示をした(証拠〈省略〉。以下「本件解雇」という。)。
同通知書には,以下のとおり記載されていた。
「 就業規則第27条 解雇
社員が次の各号の一に該当するときは,30日前に予告するか,又は30日分の平均賃金を支払って即日解雇します。
④ 事業の縮小,又は合併,あるいは設備の変更などにより,剰員を生じたとき。
記
1 解雇理由
大幅な業績悪化に伴い全世界規模で組織を改編せざるを得なくなり,日本支社大阪事業所営業部においても剰員を生じたため。
2 補足
(1) 貴殿の直近の人事考課および営業成績が,合理性,公平性に基づく基準により評定した結果,部内で最も低かったこと。
(2) また,貴殿に対する顧客からの評価,顧客対応に関する部内の評価,勤続年数および再就職の可能性等を考慮しました。」
イ 原告は,平成21年6月22日,大阪地方裁判所に対し,本件解雇が無効であることを理由として,地位保全,賃金仮払いの仮処分を申し立てた。同裁判所は,平成21年12月18日,本件解雇について,整理解雇を行うほどの人員整理の必要性があったと認めることは困難であるといわざるを得ず,本件解雇は解雇権の濫用と評価すべきであるとして,原告(債権者)が求めた賃金仮払いの部分を一部認容する旨の決定をした(以下「本件仮処分決定」という。)。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
ウ 原告は,被告に対し,同仮処分決定を踏まえて解雇を撤回するように求めた。これに対して,被告は,当初,原告に対し,同仮処分に基づく賃金の仮払いを行うにとどまっていたところ,平成22年2月22日に至って,原告に対し,①上記解雇を撤回すること,②平成22年3月1日より名古屋営業所の「輸出入カスタマーサービススタッフ」としての勤務を命ずる旨の辞令(本件配転命令)を発した。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
第3 本件の争点
1 本件配転命令の適法性(争点1)
(1) 原告について勤務地限定の合意あるいは人事慣行があったか否か
(2) 本件配転命令が,配転命令権の濫用といえるか否か
2 原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及びその額(争点2)
(1) 本件解雇及び本件配転命令が不法行為に該当するか否か
(2) 原告の損害額
第4 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件配転命令の適法性)について
(原告)
(1) 本件雇用契約における勤務地限定に関する合意及び人事慣行違反
ア 原告は,被告には大阪営業所での勤務の募集に応じて応募したが,入社面接の際,西日本地区責任者であるB(以下「B」という。)から広島営業所での勤務を勧められた。しかし,原告は,高齢の母親と同居していることから,広島での勤務を断り,大阪のみでの勤務を希望し,採用された。そして,本件雇用契約書(証拠〈省略〉)にもあるとおり,任命については,平成18年11月20日より営業職,この契約下の任務については,大阪営業所を拠点とすることと明記されている。そうすると,原告と被告は,入社前に明確に大阪営業所での勤務であることを合意しており,本件配転命令は,同合意に違反するものである。
イ 被告においては,遠隔地への異動については,対象となった従業員に打診し,あるいは社内公募を行い,それにもかかわらず,結局応募者がいなければ外部に求人募集を行うという措置が異動人事の慣行として確立していたところ,本件配転命令は,同慣行に反する一方的なものである。
(2) 配転の業務上の必要性・合理性の不存在
ア 被告は,本件解雇後も営業社員を募集するなどして(証拠〈省略〉),平成21年末までに10名の社員を入社させている(証拠〈省略〉)。
イ 本件仮処分決定後,原告が復帰を求めたにもかかわらず,原告を排除したまま,平成22年3月には,新規採用で海運輸出部門1名,海運輸入部門1名を含む3名が大阪営業所に入社しているなど,大阪営業所は物的,人的規模において拡大を続けており,そもそも被告が本件解雇を口実として主張していた人員整理の必要性が存在しなかったことが明らかとなっただけでなく,原告を従事させる部署が存在しないなどという口実が成り立つ余地はない。
ウ 原告は,大阪営業所において従事していた業務は,主に国際海上・航空貨物輸送における,貿易商社,製造会社(貿易部)に対して行う営業活動で,次の業務であった。①被告入社以前から培った同業他社での経験,人脈を使い過去に付き合いのあった顧客への営業活動,②新規開拓については,自ら情報収集活動を行い,新規顧客への訪問活動を行い,新たな見積もりの提出,新たな提案により顧客への物流コストの削減を行う提案型営業,③海上小口貨物又は海上コンティナー単位での港から港までの効率とコストを勘案した提案と見積もり。また,国内海外でのコスト(通関費,トラック料金,諸経費等)の見積もり,④混載航空貨物サービスからオーバーサイズ等の航空貨物の効率とコストを勘案した提案と見積もり。また,国内海外でのコスト(通関費,トラック料金,諸経費等)の見積もり,⑤コミュニケーションサービス(顧客からの依頼によっては翻訳,通訳などのサポートによりビジネスをより迅速にスムーズに支援する業務),⑥トレーシングサービス(海上,航空貨物の最新の輸送状況を把握し,顧客からの問い合わせに応じ,貨物の所在地,その後の経由,フォローアップ等の説明などの業務),⑦輸入承認書をはじめ,銀行関係書類等(信用状),通関業務等,貿易上に必要な様々な業務の手伝い,⑧現地メーカーの紹介,マーケット情報,見本市の紹介等,輸入ビジネスにとっての貴重な情報提供,⑨日々の営業活動を日報として,会社の末端システムへの入力とうものである。
エ 原告は,本件解雇前に上記のような営業を中心とした業務に従事し,被告から高い評価を受けてきたのであり,これらの幅広い業務を行う能力と経験があることは実証済みである。被告は,本件仮処分手続においても,原告からの釈明要求に対して,原告が,上記業務に適さないとする具体的な理由を挙げることができなかった。
オ 名古屋営業所の業務の実態と原告を配置転換させるべき業務上の必要性・合理性の不存在
(ア) 名古屋営業所は,所長も不在の上,社員は7名の小所帯で,営業部門3名を支えるカスタマーサービススタッフ2名が既におり,原告に与えられた仕事は,その営業社員とカスタマーサービススタッフをさらにサポートするという役目で,本来,必要のない業務である。また,業務自体は,単純労務で,派遣社員でも可能な業務である。
(イ) 現に,原告は,平成21年3月から赴任して現実に担当している業務は,次のとおり,電話の取り次ぎを主とする単純業務である。すなわち,①営業からの依頼により,自動車会社の輸入航空貨物に関して,航空便のドイツ現地出発日,出発時間,到着日,到着時間を確認し,エクセルシートに入力し,顧客,関係会社へメールにて連絡する業務(1日3回程度),②営業社員とカスタマーサービススタッフのサポートが中心となるが,現実には,外線からの電話対応が主な業務となり,営業社員とカスタマーサービススタッフが電話を取る前に原告が電話をとり,取り次ぐなど,極力,営業社員がカスタマーサービススタッフへの労力の軽減に努めている(1日15~20回程度),③カスタマーサービススタッフからの依頼により,銀行への入金業務を週に2~3回程度の割合で,入金を行っている,④カスタマーサービススタッフ2名より割り振られた顧客についてのサービス対応(4月6日時点で約7社),⑤国内での通関業,配達の販売業務である。
(ウ) 被告は,名古屋営業所において,原告を勤務させる業務上の必要性がないのに,月額13万4150円もの新幹線通勤費を支出してまで,大阪営業所から排除するという差別を行っている。これは,被告の原告に対する不当労働行為意思のあらわれである。原告に不利益を与えてまで強行すべき業務上の必要性は認められない。かえって,被告が,原告について,その能力や大阪営業所において得ている経験を活用する業務に就かせず,同人が,主として電話取り次ぎにすぎない単純な業務に耐えられず,自ら退職する心境に追いやる意図に出た措置であると言わざるを得ない。
(3) 本件配転命令は,不当な動機目的に基づいてなされたものであり,また,人事権(転勤命令権)濫用により,無効である。
本件配転命令は,被告の原告に対する人員整理を理由とする解雇について大阪地方裁判所においてこれを無効とする判決が出された後,解決金を条件とする退職,被告のグループ会社であるc株式会社(東京所在。以下「c社」という。)への就職斡旋などの被告の順次の提案を原告が拒否した後,「仮に本訴で敗訴しても大阪では職場は保障できない」との告知(被告代理人)の下,専ら原告を大阪営業所から排除すべく,大阪営業所における営業職に対する適格を欠くことを理由として,配属先である名古屋営業所における業務上の必要が存在しないにもかかわらず。従来の慣行に反して,原告の意向を打診し,説得するなどの措置もとらず全く一方的に発せされたもので,その動機,理由,手続,不利益のいずれの点にかんがみても,極めて乱暴に行われたもので,人事権濫用として無効というべきである。
(4) 本件配転命令は,原告に重大な不利益を与えている。
ア 原告は,名古屋営業所については,やむを得ず,新幹線通勤により赴任しているが,①自宅からJR d駅まで20分,②JR d駅から新大阪駅まで15分,③新大阪駅から新幹線のぞみ号で55分で名古屋駅着,④JR名古屋駅から金山駅まで5分,⑤金山駅下車3分と,待ち合わせ時間を入れると片道で約2時間を要する。毎朝午前6時45分に自宅を出て午前8時45分に被告に出社する毎日で,往復1日4時間の長距離通勤を強いられている。
イ(ア) 原告は,同居の高齢で病気の母親と近くに住む障害をもつ伯父の世話をしているが,とりわけ母親の病院への同行を余儀なくされている日常であった。原告が,病気の母親を世話しなければならない立場にあったことは,仮処分において原告が提出した診断書(証拠〈省略〉)からも被告が熟知している事情であり,それゆえ単身赴任ではなく,大阪からの通勤を余儀なくされることを認めざるを得ず,新幹線通勤の便宜を図らざるを得なかったのである。
(イ) 大阪営業所の勤務であれば,半日での有給休暇で済む用事が,名古屋営業所のため,朝晩の通勤時間が従来より片道約1時間ほど多くかかるため,私的な用事があっても,弁護士との会談,母親が病弱のため,夕食の買い物の代理等で,丸一日の有給休暇が必要となり,仕方なく,私的な時間までもが抑制されている。また,住居地に属する,市役所,税務署,職業安定所などの公的機関を利用する際,半日有給休暇で済む用事が,丸一日を必要とすることになり,仕方なく,私的時間(有給休暇選択)までもが拘束される。さらに,朝の出勤時刻が早いので睡眠時間の確保に支障が生じ,また医師より適度な運動を勧められて通っているスポーツクラブ通いなどの時間の活用までが拘束されてしまい,ワーク・ライフ・バランスの確保がより難しくなり,これらの結果,人間的な生活や健康の維持についても大きな懸念を抱かざるを得ない。
(5) 本件配転命令は不当労働行為であり,無効である。
ア Bは,本件労働組合との団体交渉において,本件労働組合を嫌悪する態度を示し,「たとえ会社が,10年から20年後に営業職の募集をする機会があるとしても,このたびXが第三者機関を使って会社に対抗してきていることからすると,全く信用できないのでXを雇うつもりはない」,「組合からの抗議文の内容では,このたびの解雇が報復解雇だと言っているので,信頼関係を失ったので雇うことは難しい」と述べた(証拠〈省略〉)。
イ 本件配転命令は,原告が本件労働組合の組合員として,本件労働組合の指導と援助を受けて本件解雇を争い,さらに仮処分決定に基づいて大阪営業所に復帰することを求めていることに対し,原告の労働組合活動を嫌悪してなされた嫌がらせの遠隔地配転であるから,そもそも不当労働行為として無効である。
(6) 小括
以上のとおり,原告に対する本件配転命令は,解雇に引き続き不当労働行為意思ないし不当な動機・目的に出たものであり,職種・職務場所についての合意・配転についての慣行に反し,原告の大阪営業所における営業職としての適格性にも欠けるところがないにもかかわらず,また,そもそも配転自体に合理性がなく,名古屋営業所への配転にも何ら必要性・合理性が存在しないにもかかわらず行われ,その結果原告に対し,重大な不利益を与えることとなったもので,これらいずれの点からしても無効というべきである。
(被告)
(1) 原告被告間における勤務地限定の合意及び被告における原告主張に係る人事慣行の点について
ア 原告が大阪営業所限定で被告に採用された事実はない。被告は,地域限定職を設けておらず,異動命令が発令されることは原告との雇用契約書(証拠〈省略〉)にも記載されている。なお,同契約書1条は,役職等の任免等を含む人事異動を社員に知らしめるいわゆる辞令の趣旨の記載であり,ここに就労拠点は大阪と記載があったとしても,雇用契約書締結時点の就労拠点が大阪であることを知らしめるための記載にすぎない。
また,被告の就業規則上も会社の業務の都合により異動を命じることがある旨規定されている(証拠〈省略〉。就業規則15条)。
イ 原告と被告との間では,勤務地限定の口頭での合意も存在しない。すなわち,原告は,住居の異動を伴う転勤を了解した上で,被告に採用された。被告の原告採用担当者であったBは,原告と雇用契約を締結する際,原告に対し,当時広島営業所で勤務していた営業社員が後任が見つかり次第異動する予定であったため,原告の広島営業所への転勤の可能性を示唆していた。原告は住居の異動を伴う転勤を了解した上で,契約書に署名し,入社したものである。
ウ 勤務地限定の合意がなかったことについては,原告が,平成21年2月時点において,被告に提出したPEARの申告欄に「異動を希望しない」旨記載し,これに基づいて,面接においてBにその旨告げたことからしても明らかである。
エ 被告において,配転に際して被配転者本人の同意を得るという人事慣行は存在しない。
(2) 本件配転命令に係る業務上の必要性及び合理性の点について
ア 本件配転命令の理由としては,名古屋営業所に輸出を担当するカスタマーサービススタッフがおらず,大阪営業所の社員が同業務を兼任していたことから,名古屋営業所の営業社員が大阪営業所のカスタマーサービススタッフと連絡を取り合わなければならず,また顧客にとっても担当営業は名古屋営業所にいるが,カスタマーサービススタッフは大阪営業所にいて電話番号を使い分けなければならない等業務の効率性や顧客サービス等に問題が生じていたため,輸出もできるカスタマーサービススタッフを名古屋営業所に置く必要性があること等によるものである。
被告において,輸出については,その営業に必要な免許(第2種利用運送事業免許及びRA[特定フォワーダー])の取得が遅れたものの,平成22年7月には同免許及びが取得でき,同年8月16日より輸出業務の自営が開始された。これに伴い,本件配転命令前後の時期を通して,被告は輸出強化を営業戦略に掲げており,現に自営化開始後の1年間でも海外貨物の輸出案件は約1.5倍に増加しており(証拠〈省略〉),輸出に特化する必要はないものの輸出を取り扱うカスタマーサービススタッフは本件配転命令前後の時期を通してますます需要が高まっている。
イ 被告においては,e株式会社(以下「e社」という。)との業務委託契約が解約され,被告の自営化を図るに当たり,これまでになかった業務(カウンター業務,金銭取扱管理業務等)が発生し,人員不足が生じた。
ウ カスタマーサービス職は営業と一体となって顧客対応する必要があることから,営業経験者がカスタマーサービス職に携わることは優位な点である。また,原告にとっても,これまでの経験を活かせる職である。
エ 以下のとおり,原告は営業職に不適であるといわざるを得ない。
(ア) 平成20年度の原告の営業成績は,大阪営業所の他の営業社員と比較して突出して悪かった。例えば,平成20年1月1日から同年12月31日までを対象期間とする原告のPerformance FactorsのTOTAL評価2.60は,大阪営業所の営業職スタッフの中で最低の評価であった。なお,他の営業職スタッフの同評価は,それぞれ「3.40」,「3.05」,「2.90」,「2.85」であった。
原告の営業成績については,被告が提出した営業成績に関する表及び棒グラフ(証拠〈省略〉)のとおりである。同表は,被告における営業社員の個人成績を判断する上で基本かつメインの資料であり,他の営業社員もこれらの数値を同様に使用して評価されている。同資料の基となるデータは,被告において,自営化開始前のデータベースに入っており,営業社員は自営化開始前は自らの実績についていつでもアクセスして閲覧することが可能であった。同表によると,原告の場合,顧客の数でみると,被告の他の営業担当からまわしてもらったか,あるいは引き継いだ顧客が半数以上であり,海外の営業担当の顧客が20パーセント程度を占め,原告が独自に開発した顧客は限定的である。
(イ) また,原告について,大阪営業所において求められた職務を全うしなかった例として,f社のC氏に対する見積もりの件で強いクレームを受け取った例がある(証拠〈省略〉)。すなわち,原告に見積もりを依頼したが,1か月以上も回答を得られず,原告に確認したところ,特別な理由がないにもかかわらず,待たせ続けた。また,同僚に上司のふりをしてC氏に詫びるよう持ちかけ,本当の上司であるBに報告せず,問題を隠蔽しようとした。
(ウ) さらに,原告は,大阪営業所時代に30社くらいの取引先との取引を失い,その中でも,取引量の多かったg社との取引については,失ったことをBから聞かれるまで被告に報告しなかった。
オ 被告としては,原告について,現職においてオペレーション業務のスキルを身につけて欲しいと考えている。すなわち,被告が原告をカスタマーサービススタッフに任命したのは,原告のオペレーション業務スキルの習得,向上をも意図したものである。被告は,名古屋事業所は大阪営業所とともに西日本ビジネスユニット内にあり,営業での経験をカスタマーサービス職で活かしながら,新たにオペレーション業務を学ぶには格好のポジションであると被告は判断したのである。被告としては,営業力が弱い原告の今後のキャリア形成のためには営業ではない分野でも活躍できるような素地を培う必要があると考えてのことである。
カ 以上の点に,大阪営業所において,原告を整理解雇する直前に6名であった営業担当従業員数は,原告を整理解雇した平成21年5月16日以降平成22年8月時点でも5名のままであり増加していないこと,本件配転命令時点で,大阪営業所で欠員があったのはオペレーション業務のみで,原告がすぐに担当できる業務はなかったことを併せると,本件配転命令に業務上の必要性・合理性があることは明らかである。
(3) 本件配転命令が,原告の職業上・生活上の不利益がないものであることについて
ア 原告は,大阪営業所に勤務していた当時,月平均48時間28分,1日平均2時間35分間の残業をしていた。原告が名古屋営業所において残業をしていないこと,原告の自宅と名古屋営業所間の通勤時間(原告の主張によっても2時間)を考えれば,原告の帰宅時間は,大阪営業所勤務当時と比べて本件配転命令後の方がむしろ早くなっているはずである。
イ 原告は本件配転命令に伴う不利益として,実母の看病と伯父の世話を挙げ,とりわけ実母の病院への同行に支障があった旨主張するが,実母の病院への同行は有給休暇で対応可能な状況であった。また,伯父の世話は,いわゆる介護は行っておらず,財産管理に限られるものとみられ。原告は有給休暇の範囲で対応できる内容であると供述している。したがって,家族の看護・介護の状況から,本件配転命令が原告に甘受し難い不利益を及ぼすとは到底いえない。
ウ 被告では,都市部においては片道2時間の通勤時間は特別ではなく,平成22年7月時点において,3名の社員が通勤に片道2時間超を要しており,2時間近く要している社員がこのほか4名いる。新幹線通勤の社員は原告のみではなく,他の東京事務所の社員3名が使用している。
エ 以上からすると,本件配転命令によって,原告の職業上・生活上の不利益はない。
(4) 本件配転命令が不当労働行為等ではないことについて
原告は,平成21年5月13日の団体交渉におけるBの発言内容を根拠として,本件配転命令が,原告の労働組合活動を嫌悪してなされた遠隔地配転であって,不当労働行為,報復的な意図に出た不法行為であり,公序良俗に反するもの,あるいは人事権濫用のいずれかとして無効である旨主張する。しかし,原告は本件労働組合が被告に提出した平成21年4月17日付け抗議書において,「しかし,貴社のX組合員に対する解雇が~(中略)~労働基準監督署に対して行った『申告に対する報復』であることが事実として存在し,否定できないところです。」と述べて,原告が労働基準監督署に相談したことの報復として被告が本件解雇を行っていたと主張していた。しかし。原告は,その後の団体交渉の場において,この記述が事実に基づかないものであったことを口頭で認めた。すなわち,原告が労働基準監督署に申告したのは退職勧奨の通知を受けた後であり,原告が労働基準監督署に相談したことの報復として被告が本件解雇を行ったという事実は事実経過からしてあり得ないものである。そのため,被告は,同部分が誤りであることを書面で訂正するよう本件労働組合に求めたところ,本件労働組合が作成した協定書(案)に「4,健交労(本件労働組合)は,2009年4月17日付で発出した抗議書について『申告に対する報復』の文言を削除する。」と記載し,協定締結を提示してきた。自らの誤りを認めながらも,それを訂正する誠実さが見られなかった。事実ではないことに基づいて被告を訴え,その虚偽を認めながらも訂正を拒否したまま自らの主張のみを強く繰り返す原告の態度に,Bは原告を信用できないと述べたものである。以上の事実経過であって,原告は,Bの発言の趣旨を曲解して不当労働行為と強弁しているだけであり。この発言をもって本件配転命令が不当労働行為であると結論づけることができない。したがって,原告の上記主張は理由がないことは明らかである。
(5) 小括
以上のとおりであって,本件配転命令が有効であることは明らかである。
2 争点2(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及びその額)について
(原告)
(1) 本件解雇は,いわゆる整理解雇であるところ,整理解雇が法的に有効であるか否かの判断基準については,判例上,人員整理の必要性の存在,解雇回避努力の履行,被解雇者の人選の合理性,説明・協議義務の履行という4要件が確立されているが,本件解雇については,そのいずれも満たされていなかった。
(2) 本件解雇とそれに続く不当な配転を含む被告の一連の措置は,全体として,被告が原告を大阪営業所ないし被告から排除するためになされた不当労働行為であり,人事権の濫用で,違法な行為であり,不法行為を構成することは明らかである。
(3) かかる被告の違法行為によって原告が受けた損害については,被告が賠償の責めを負うというべきであり,その精神的慰謝料は,300万円を下らない。
(4) したがって,原告は,被告に対し,300万円及びこれに対する本件配転命令によって原告が名古屋営業所において就労を開始した平成22年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告)
(1) 本件解雇は有効であること
ア 以下のとおり,本件解雇は,整理解雇の4要件である,①人員整理の必要性,②人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性,③被解雇者選定の妥当性,④手続の妥当性をいずれも充足しているというべきであるから,有効である。
(2) 本件配転命令が有効であること
本件配転命令が有効であることについては,上記1(被告)で述べたとおりである。
(3) 仮に本件解雇又は本件配転命令が無効であると判断されたとしても,必然的に不法行為が成立するわけではなく,本件解雇に至る経緯,本件解雇後の被告の対応,本件配転命令の必要性及び合理性,本件解雇及び本件配転命令が不当労働行為に該当するとはいえないことからすると,本件解雇及び本件配転命令が不法行為に該当するとはいえない。
第5 当裁判所の判断
1 認定事実
前提事実並びに証拠(証拠・人証〈省略〉,原告)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。
(1) 原告と被告との間の本件雇用契約の締結
原告と被告は,平成18年11月に雇用契約(本件雇用契約)を締結したところ,同雇用契約書には,次のとおりの記載がなされている。なお,原告は,被告との採用面接等において,同条項の削除を求めることはなかった。
「1 任命
本文書によって,Yは2006年11月20日よりX氏を営業アシスタント・マネージャーに任命する。同氏は大阪営業マネージャーおよび西日本TSMテンダーセールスマネージャーへ報告を行う。
本契約に基づく被雇用者の就労拠点は,大阪に所在するYのオフィスとする。Yの業務上の必要性に応じ,被雇用者は業務遂行のために転勤あるいは出張を求められる場合がある。
11 転勤と出向
Yは親会社,支社または日本における関連企業またはそれに類する他の場所へ,業務遂行のために,被雇用者を配転あるいは出向させる絶対的な権利を有する。」
(証拠・人証〈省略〉,原告)
(2) 本件解雇に至った経緯等
ア a社のCEOであるDは,平成21年3月12日午後9時25分ころ,aグループの全従業員に宛てたメールにおいて,世界の貿易量が平成20年の9月以降大幅に減少し,減少傾向に終わりが見えず,aグループはこの影響を受けていること,かかる事態を受け,同社がグループの人員を約10パーセント(1400人ないし1600人)削減することを決定したこと,地域的なばらつきはあるにしろ,各グループ企業は等しくこの影響を受けること等を明らかにした。併せて,同メールにおいては,a社の決定として,コスト削減のために,内部会議のための国際旅行の禁止,営業費の縮小,有資格者についてのボーナスの減額等の措置をとることが伝えられたものの,従業員の賃金の減額及び希望退職の募集についてはコスト削減のメニューには挙げられていなかった(証拠〈省略〉)。
イ 同日,E(以下「E」という。)は,被告の全従業員宛にメールを送付し,被告の売上が過去3か月においてほぼ30パーセント減少したことを紹介した上で,a社が大規模なコスト削減措置に乗り出したこと,これにより,被告においても,コスト削減措置を講じることになること,具体的には,人件費の削減のため,「個人的に残念なこと」ではあるが,被告においても人員削減を行うことになること,さらに,交通費,接待,贈り物等についても規制することになることを伝えた。もっとも,Eは,同メールにおいて,被告はわずかな負債があるが,基本的に財政上堅実な会社である旨を述べ,コスト削減は「未来の持続可能なビジネス」のために行われるものであるなどと述べた(証拠〈省略〉)。
ウ 被告は,同年3月ころ数名の比較的高齢の従業員に対し,退職を打診したが,全員が退職を受けなかったことから,これらの従業員を退職させることは断念した(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)。
エ 同年3月23日ころまでに,被告内部において,削減対象の従業員を被告全体で9名とすることが決定され,同日以降,被告の東京・大阪の各事務所において,個別の従業員に対する退職勧奨が開始された。これ以前においても,これ以後も,希望退職の募集が行われることはなく,従業員の賃金減額の措置が講じられることもなかった。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
オ 削減対象とされた従業員は,西日本の営業所(大阪,名古屋,広島)でみると,営業担当が5名中1名,営業アシスタントが4名中1名,オペレーション担当が7名中2名,名古屋の担当が7名中1名の合計5名であった(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)。
カ 被告は,毎年2月ころ,各従業員ごとに,PEAR(Performance Evaluation Assessment and Review)と呼ばれる前年1年間の勤務に関する評価表を作成し,従業員に対する評価を行う。この評価については,本人の自己評価も踏まえて上司が面談を行い,本人に対して通知される。評価は,項目ごとに1から4又は5の数値により行われるもので,1が最も低評価である。また被告は,PEARの作成に際し,営業担当者に対して課せられた数値目標に対する評価を記載したKPI(Review of Individual KPI’s)と呼ばれる評価表も併せて作成し,従業員に交付する。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
キ 原告に対してなされた評価については以下のとおりである。
(ア) 平成19年の評価
a PEARによる評価
上司の評価は,10項目の評価項目について,いずれも4段階の3以上の評価であり,自己評価を上回っている項目も2項目あった。
b KPIによる評価
3項目の評価項目について,いずれも4段階評価の4又は3の評価であった。
(イ) 平成20年の評価
a PEARによる評価
上司の評価は,10項目の評価項目を平均して2.6の評価であり,生産性,仕事の品質等の評価項目において2の評価がなされた。もっとも,総合評価においては「十分に期待に応えられている」との評価
b KPIによる評価
3項目の評価項目の内,2項目について2.5の評価がなされ,1項目について3の評価がなされた。
(以上について,証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
ク 平成21年3月25日,被告のE,B及び人事担当のF人事部長(以下「F人事部長」という。)が原告と面談し,同年4月30日付けでの退職を勧奨する旨が記載された書面(証拠〈省略〉。以下「退職勧奨書」という。)を交付した。
上記面談において,Eは,原告に対し,aグループの状況があまり良くないので,各グループ企業において約10パーセントの人員を削減する予定であること,退職金以外の上乗せ金として,在職期間5年未満の場合には1か月分の賃金を上乗せするが,この条件については交渉の余地があり得ることの説明がなされた。また,退職勧奨書には,退職勧奨の理由として「国際運輸業界業績不振による人員整理の為」と記載され,さらに,和解金として賃金1か月分を支給する旨が記載されていた(証拠〈省略〉)。
ケ Bらは,同年3月30日,原告と第2回の退職勧奨の面談を行った。同面談において,原告はあらかじめ用意していた書面を提出して退職勧奨を断る旨述べた。これに対して被告は,原告に対し,条件を変更しても退職に応じる意思はないのか確認し,さらに退職勧奨に応じるように説得したが,原告はこれに応じなかった。このやりとりの後,原告に対して5日間の休暇が命じられた。
その後,原告は,同月31日付けで,E及びB宛てに書面を提出し,退職を前提としたいかなる条件にも応じられないこと,原告に対して命じられた休暇の根拠を明らかにしてほしいこと等を伝えた。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)。
コ 同年4月9日,3回目の面談が行われた。F人事部長は原告に対し,退職の時期をずらす等の条件面の変更で退職に応じる余地はないのか打診したが,原告は退職するつもりはない旨返答した。さらにF人事部長は,会社の状況やa社の方針等の説明をし,原告を説得したものの,原告はこれを拒絶するなどして,双方の主張は平行線に終わった(証拠〈省略〉)。
サ 同年4月16日,被告の東京本社において4回目の面談が行われ,被告からはE,B,F人事部長らが出席した。その際,原告が,改めて被告からの退職勧奨を拒絶する旨表明したのに対し,Eは,原告に対し,「このプロセス自体(原告に対する退職勧奨)は戻ることができない。ガイドラインに則った人員削減を行わなければならない。そして,日本の従業員からも犠牲を払うこととなり,その1人として原告が選ばれた。」,「私たちはソニーやキャノンのように,非正規社員を雇っている訳ではないので,非正規社員を減らして生産調整できるものではない」,「今の被告の状況では10パーセントの人員削減でも少ないくらいと思っている」などと述べて,再度退職勧奨を受け入れるように迫った。しかし,原告はこれを拒絶し,自ら退職する意思はない旨を回答した。
その後,被告は,平成21年4月16日,原告に対し,本件解雇予告通知書が交付した。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
シ 本件解雇当時,大阪営業所には,所長であるB(以下「B」という。)を筆頭に23名(営業担当6名,セールスアシスタント4名,総務担当1名,IT担当1名,カスタマーサービス9名,マネージャー2名)の従業員がいた(証拠〈省略〉)。
ス なお,被告は,本件解雇の後である平成21年7月ころ,インターネット上の求人サイトにおいて,「更なる業務拡大の為国際貨物輸送業務に強い方を募集致します」などとして,勤務地を大阪とする営業担当の従業員の募集を行い,さらに同年8月には募集期間を延長してさらに募集を行うなどしている(証拠〈省略〉。大阪営業所の人員の変動については,証拠〈省略〉)。
(3) 原告に対する本件解雇を撤回するとともに,原告を名古屋営業所へ配転する至った経緯等
ア 原告は,同年4月17日,被告に対して本件労働組合に加入した旨通知した。その後,同組合は,原告に対する解雇の撤回を協議事項に掲げて被告との間で数回の団体交渉を行った。しかしながら,被告が解雇の方針を撤回することはなかった。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
イ そこで,原告は,平成21年6月22日,大阪地方裁判所に対し,本件解雇が無効であることを理由として,地位保全及び賃金仮払いの仮処分申立てを行った。
同裁判所は,同年12月18日,本件解雇については,人員整理の必要性があるとは認められず,解雇権を濫用するものであるとして,原告の同申立てのうち,賃金仮払いの一部を認容する決定(本件仮処分決定)をした。
なお,同仮処分手続中,被告は,原告に対し,被告のグループ傘下にあるc社への転籍を打診したが,原告はこれを拒否した。
(証拠・人証〈省略〉,原告,弁論の全趣旨)
ウ 原告は,被告に対し,同仮処分決定を踏まえて解雇を撤回するように求めた。これに対して,被告は,当初,原告に対し,同仮処分に基づく賃金の仮払いを行うにとどまっていたところ,平成22年2月22日,原告に対し,①本件解雇を撤回すること,②平成22年3月1日より名古屋営業所の「輸出入カスタマーサービススタッフ」としての勤務を命ずる旨の辞令(本件配転命令)を発した。
(証拠〈省略〉,弁論の全趣旨)
エ 原告は,本件配転命令に対して異議を留めた上で,平成23年3月1日以降名古屋営業所において就労することとした。他方,原告が名古屋営業所への配転命令を受けた後,大阪営業所における原告の後任者はいなかった。
なお,原告は,同年6月11日,本件配転命令が無効であるなどとして,本件訴訟を提起した。
(証拠〈省略〉,原告,弁論の全趣旨。エのなお書き部分は,顕著な事実)
オ 平成22年3月以降の,原告の直属の上司は,西日本地区の業務部長であるG(以下「G業務部長」という。)である。
G業務部長は,原告に対し,ジョブ・ディスクリプションに従って,原告の名古屋営業所での仕事内容について説明した。原告は,同仕事内容のうち,スケジュール及び貨物追跡等における海外支社との連絡という点について,大阪営業所においても行うことができるものであり,あえて名古屋営業所において行う必要性があるのか疑問を感じた。
(証拠・人証〈省略〉,原告)。
カ 原告は,名古屋営業所への配転命令後,大阪の自宅から新幹線通勤をしていた。同交通費については,全額被告が負担していた。
(証拠・人証〈省略〉,原告)
(4) 本件配転命令時における名古屋営業所の状況及び原告の業務内容等
ア(ア) 名古屋営業所においては,e社との間で締結していた業務委託契約の解約による自営化により,今までe社に業務委託していたカウンター業務や金銭取扱い業務(顧客への請求書の発送,運送代金と引換えの貨物出荷指示書の交付,受け入れた運送代金の管理と記帳,船舶の入港日等の確認と連絡)が増加した。もっとも,請求書及び貨物指示書の作成等は大阪営業所のオペレーションで作成されたものをプリントアウトして,名古屋営業所で捺印するだけで作成できる業務であり,既に派遣社員を増員して対処しており,同業務増加に伴う人員不足の状態にあったとはいえない。
なお,オペレーション業務(請負業務者,エージェント若しくは顧客と連携をとりながら,貨物を動かすための処理を行う業務。具体的には,請求書の作成,輸出入書類の作成,航空会社との価格交渉,貨物到着案内表の送信業務等)については,大阪営業所で行われており,名古屋営業所には,カスタマーサービス(営業と連携をとりながら,顧客にサービスを提供する仕事)の部署しかなかった。
(人証〈省略〉,弁論の全趣旨)
(イ) 本件配転命令が発せられた平成22年3月時点において,名古屋営業所において,輸出案件で特に人手が必要な状況にはなかった(人証〈省略〉,弁論の全趣旨)。
(ウ) 被告は,輸出の出荷を伸ばしたいという方針の下,名古屋営業所において,今後輸出に特化したカスタマーサービスを増加させるべく,輸出に長けたカスタマーサービススタッフを育成したいという意向があった。もっとも,本件配転命令発令当時,名古屋営業所において,名古屋営業所は,所長が不在の上,社員は7名の小所帯で,営業部門3名を支えるカスタマーサービススタッフ2名がいるという状況であり,輸出案件の1か月で10ないし20件程度と必ずしも多くはなかった。カスタマーサービスで輸入案件とともに取り扱って処理してきていた。
(人証〈省略〉,弁論の全趣旨)。
イ 本件配転命令後の名古屋営業所における原告の業務内容は,①営業からの依頼により,自動車会社の輸入航空貨物に関して,航空便のドイツ現地出発日,出発時間,到着日,到着時間を確認し,エクセルシートに入力し,顧客,関係会社へメールにて連絡する業務(1日3回程度),②営業社員とカスタマーサービススタッフのサポートが中心となるが,現実には,外線からの電話対応が主な業務となり,営業社員とカスタマーサービススタッフが電話を取る前に原告が電話をとり,取り次ぐなど,極力,営業社員がカスタマーサービススタッフへの労力の軽減に努めている(1日15~20回程度),③カスタマーサービススタッフからの依頼により,銀行への入金業務を週に2~3回程度の割合で,入金を行っている,④カスタマーサービススタッフ2名より割り振られた顧客についてのサービス対応(4月6日時点で約7社),⑤国内での通関業,配達の販売業務というものである。
(証拠〈省略〉,原告,弁論の全趣旨)
ウ ところで,名古屋営業所のH社員(以下「H社員」という。)は,平成22年3月18日,G業務部長に対し,「教えてください。Bさんの指示で,Xさんに渡す業務について,まず輸出と聞いています。現状私のお客さんで輸出は3件あります。見積もりは大阪に確認後お客さんに提示しています。その後,ブッキングをいただいたら,大阪に渡して,ブッキングや,h社さん&i社さんに提示をしていただいています。本来,名古屋の輸出業務に関しては全て大阪でやることになっています。今後は,どの時点でXさんにお願いしたらいいのでしょうか?」というメールを送信した。これに対して,G業務部長は,H社員に対し,「本来,名古屋の輸出業務に関しては全て大阪でやることになっていますのでXさんに業務をお願いする事はあまり多くなることはないと思います。・・・輸出に拘る必要はありません。」というメールを返信した。
(証拠・人証〈省略〉,弁論の全趣旨)
エ 原告は,本件配転命令時,1か月に1回程度,有給休暇を取得して,病気の母親に付き添って病院に送り迎えしていた。なお,同母親は,平成22年9月22日死亡した。
また,原告は,叔父の面倒も見ていたが,同叔父は,病院に入院しており,特に,原告による介護等が不可欠の状態ではなかった。
(原告,弁論の全趣旨)
2 争点1(本件配転命令の適法性)について
(1) 原告について,勤務地限定の合意があったか否かの点について
ア 原告は,被告に入社する際,大阪以外への異動ができない旨説明し,Bも了解した旨主張し,原告は,同主張に沿った供述をする(原告)。
しかし,前提事実及び上記1で認定した事実からすると,①本件雇用契約書には,原告の勤務地を大阪に限定する旨の条項が存在しないこと,かえって,本件雇用契約書及び就業規則には業務の必要性がある場合には異なる場所へ転勤がある旨の規定が設けられていること,原告は,被告に対し,雇用契約書上の同条項の削除を求めなかったこと(なお,原告は,採用面接の際,Bが,原告に対して,契約書における配転に関する記載は形式的なものであって,心配ない旨供述をする[原告]が,これを認めるに足りる的確な証拠はない。),②原告は,Bとの面談において,原告には高齢の母親がおり,叔父も入院していること,家のローンがあることから大阪以外での勤務が困難である旨話をするなど,勤務地限定の合意があること前提とした話をしていないこと,③被告においては,最終的に従業員の同意を得ることはあるとはいえ,勤務場所を異にする配転が行われていたこと,以上の点が認められ,これらの点からすると,原告が主張するような勤務地限定の合意があったとは認められない。したがって,原告の同主張は理由がない。
イ また,原告は,種々の具体例を挙げて,被告における遠隔地への異動については,対象となった従業員に打診し,あるいは社内公募を行い,それにもかかわらず,結局応募者がいなければ外部に求人募集を行うという措置が異動人事の慣行として確立していた旨主張する。
確かに,遠隔地異動に際しては,当該対象者の意向を尊重することは望ましく,証拠(人証〈省略〉,原告)及び弁論の全趣旨によると,これまで被告としてもかかる取扱いをしてきたことがうかがわれるが,同取扱いが上記就業規則や雇用契約上の条項等に優先した労使慣行になっていたとまで認めるに足りる的確な証拠は見出し難い。したがって,その限りにおいて,原告の上記主張は理由がないといわざるを得ない。
(2) 本件配転命令の適否の点について
ア 配転命令については,業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても,当該配転命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等特段の事情が存する場合には権利の濫用として無効であると解するのが相当である(東亜ペイント事件:最高裁昭和61年7月14日第2小法廷判決・労働判例477号6頁参照)。
イ 以上を踏まえて本件についてみると,確かに,被告においては,輸出案件の需要拡大を考えていたことや業務の効率性等の点にかんがみて,名古屋営業所に輸出もできるカスタマーサービススタッフを置く必要性があったとも考えられる。しかし,①名古屋営業所においては,原告が配属されるまで,原告が担当する輸出案件に特化したカスタマーサービススタッフはおらず,名古屋営業所における輸出案件は,主としてI社員が担当していたこと(人証〈省略〉),②名古屋営業所のH従業員は,G業務部長に対し,原告にいかなる業務を担当させたらいいのかという趣旨のメールを送信したのに対して,G業務部長は,原告が担当する輸出案件は多くない旨のメールを返信していること(証拠〈省略〉),③本件配転命令後,原告が名古屋営業所において実際に従事した業務内容は,特に輸出案件に特化したものではなく(証拠〈省略〉,原告),その点について,特に直属の上司であるG業務部長から個別具体的な指示等があったとは認められないこと(人証〈省略〉),被告は,平成22年7月輸出業務に必要な免許を取得し,同年8月16日から輸出業務の自営が開始されたところ,本件配転命令の時点で,特に,輸出業務に特化したカスタマーサービススタッフが必要であったとまでは認められないこと,④船の請求書や実際の輸出のドキュメントを作成したり,顧客と直接コンタクトをとって,集荷の手配等のいわゆるオペレーション業務については,大阪営業所で行っており,名古屋営業所では行っていなかったこと(原告,弁論の全趣旨),一方,⑤大阪営業所においては,原告が配転した後,同じ営業職の後任者は配属されておらず,同事務所全体としては,人的規模が拡大しているとうかがわれるところ,同増員がe社との間の業務委託契約を解除して自社営業に切り替えた点及び輸出案件に係る業務の効率化等の面があるとはいえ,名古屋営業所における輸出案件の取扱量がさほど多くない状況下においては,輸出案件に特化した(あるいは,輸出もできる)カスタマーサービススタッフを大阪営業所に配置することも十分に可能かつ容易であったと考えられること,以上の事実が認められ,これらの事実を総合的に勘案すると,本件解雇を撤回し,原告が職場復帰するという平成22年3月時点において,あえて原告を輸出案件に特化した,あるいは輸出案件もできるカスタマーサービススタッフとして名古屋営業所に配転する必要性及び合理性があったとはまでは認め難い。
ウ 被告は,本件配転命令の理由として,原告の営業職としての資質がなく,大阪営業所には原告に適した業務がない旨主張し,B及びG業務部長は,いずれも同趣旨の証言をする(人証〈省略〉)。確かに,被告が提出する資料の中には,原告の営業成績が不良であるとうかがわせるものも存在する(証拠〈省略〉)。しかし,証拠(証拠〈省略〉)によると,原告の営業成績は,①大阪営業所の他の営業担当者のスコアと比較して著しく低いということではないこと,②被告が挙げる応対事例については,不適切な面もうかがわれるが,同言動をもって,直ちに営業成績・勤務態度が悪いとはいえないこと,③被告は,平成20年4月に,原告に対し,25万円のインセンティブ給を支給したこと(証拠〈省略〉。なお,被告は,同支給が原告の営業成績と関係しない旨主張するが,同支給に関する本件雇用契約書の記載内容からすると,同支給が主要業績評価指標[KPI]を基になされると認められるから,支給対象者の営業成績と関連していないとはいえない。したがって,被告の同主張は理由がない。),⑤被告が提出する資料(証拠〈省略〉)については,本件紛争後に作成されたものであり,必ずしも作成経緯や基礎資料が明確とはいえないこと,⑥上記イの⑤のとおり,大阪営業所には,本件解雇及び本件配転命令後原告の後任者が配置されていないこと,以上の事実が認められ,これらの点からすると,必ずしも原告の営業職としての資質に問題があったとまでは認められない。したがって,被告の上記主張等は理由がない。
エ 以上のとおり,本件配転命令については,原告を名古屋営業所に配転する業務上の必要性及び合理性があるとは認め難く,その余の点について判断するまでもなく,本件配転命令は,配転命令権を濫用したものであって,無効といわざるを得ない。そうすると,原告は,名古屋営業所において勤務する雇用契約上の義務を負ってないというべきである。
3 争点2(原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無及びその額)について
(1) 原告は,本件解雇が不法行為に該当する旨主張する。
ア 確かに,本件仮処分決定も指摘するとおり,①被告の主たる業務内容は国際的な運送業務であり,国際的な物流の需要によって左右されるものであること,②平成20年秋以降の世界的な不況の影響で国際的な物流の需要は減少し,被告の収益も平成21年にはピーク時である平成18年の26パーセント程度に落ち込む見通しであったことは認められる。しかしながら,他方,①被告は,平成18年,平成19年は100億を超える収益を確保し,平成20年も減少したとはいえ60億以上の収益を確保し,決算書上の税引前純利益は一貫して黒字となっていること,②被告のコスト削減目標が具体的な数値をもって明らかにされておらず,9名の解雇を行うことで,人件費がどの程度削減され,被告の財務状況がどの程度改善されるのか全く明らかにされていないこと,③被告は本件解雇の後も経営規模を特に縮小することなく同様の業務を継続して行っており,本件解雇の3か月ほど後には,被告は大阪営業所において勤務する営業担当の従業員の募集を行っていることといった事情からすると,本件解雇に関しては,人員削減の必要性について疑義があるというべきである。
しかし,①被告は,世界90か国にグループ企業を有するa社の100パーセント子会社として設立され,a社との間に本件役務提供契約を締結してa社の指示に基づき運送役務等の提供を行い,被告独自の判断で取引を行うことも制約されているところ,このように全世界的に形成された企業グループに組み込まれて海外資本の強い影響下のもとに経営を行う我が国の企業が,グループ全体の合理化ないしリストラクチャリングの一環として,親会社から人員削減の指示を受けた場合,これに抗して企業経営を行うことが困難であり,多くの場合,親会社の指示に従う判断をせざるを得ないという状況にあったと推認でき,a社から全従業員の10パーセントを削減する旨の判断を示された場合に,被告としても人員整理に踏み切らざるを得なかったという状況にあったことがうかがわれること,②被告が原告に対して解雇予告をしたのは平成21年4月16日で,原告は被告に対して本件労働組合に加入したことを通告したのはその翌日であることからすると,被告は,原告が本件労働組合に相談していることを認識する前に原告を解雇したこと,また,原告が労働基準監督署に申告したのは退職勧奨の通知を受けた後であったということからすると,被告は,原告が労働基準監督署に相談していることを認識する前に原告に退職勧奨したこと,そうすると,特段原告に対する不当不法な目的等があったと認めるに足りる的確な証拠は見出し難いこと,③本件解雇は,いわゆる整理解雇であって,特に,人員整理計画に関しては,高度の経営判断が要求されるところ,原告を含む人員整理に至る経緯(証拠〈省略〉)からすると,上記のとおり,結果的に無効である判断されるとしても,被告は,本件解雇を行うに際して,整理解雇の有効要件を十分に認識し,整理解雇の有効要件毎にその充足性を慎重に検討して整理解雇を行ったと推認できるのであって,本件解雇に際しての被告の判断について明白重大な誤りがあったとまでは認め難いこと,④被告は,原告に対して,本件仮処分決定に従って金員を支払っていること,⑤被告は,本件仮処分決定後,本件解雇の意思表示を撤回し,原告と被告との間の雇用契約関係が回復していること,以上の事実が認められ,これらの点を総合的に勘案すると,本件解雇をもって損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有していたとまで評価することはできない。
イ 以上からすると,本件解雇は解雇権を濫用するもので無効であると考えられるものの,損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性があったとはまでは評価することができず,不法行為に該当するとは認められない。したがって,この点に関する原告の主張は理由がない。
(2)ア 次に,本件配転命令の点についてみると,①上記2で認定説示したとおり,本件配転命令は,配転命令権を濫用する無効なものであって,原告には被告の名古屋営業所において就労する義務があるとはいえないこと,②本件配転命令が本件解雇に関する仮処分決定後,本件解雇を撤回した後,原告を元の職場である大阪営業所に復帰させることなくなされていること,③大阪営業所には,原告を受け入れることが不可能な状況にあったとはいえないことからすると,本件配転命令は,業務上の必要性及び合理性がないにもかかわらず,本件仮処分決定を契機とした原告の復職に当たって,不当な動機目的をもってなされたものと推認することができ,かかる経緯等にかんがみると,損害賠償請求権を発生させるに足りる違法性を有しているといえ,不法行為に該当すると認めるのが相当である。
イ そこで,損害額(慰謝料額)についてみると,上記アのとおり,本件配転命令は不法行為に該当するが,他方で,①上記2で認定説示したとおり,原告については,勤務地限定の合意があったとは認められず,かえって,雇用契約書及び被告の就業規則によると転居を伴う異動があり得ることが規定等されていること,②被告は,社内規定では認められないにもかかわらず,原告については,原告が申請した新大阪名古屋間の新幹線利用に係る通勤費を全額負担しており,本件配転に伴って,原告に対して一定の配慮をしていること,③本件配転命令後,名古屋営業所で勤務する原告は,毎日ほぼ定時に退社しており,大阪営業所で就労していた時と帰宅時間が著しく異なる(遅くなる)という状況にあったとは認められないこと,原告の母親は平成22年9月22日に死亡したこと,原告の伯父は病院に入院中であり,原告が毎日介護する必要があるとはうかがわれないことからすると,原告の生活上の不利益はさほど大きいとは認められないこと,以上の点が認められ,これらの諸事情を総合的に勘案すると,原告の被った精神的損害の慰謝料としては,50万円が相当であると解される。
(3) 以上のとおり,原告の不法行為に基づく損害賠償請求については,50万円及びこれに対する本件配転命令によって原告が名古屋営業所において就労を開始した平成22年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるというべきである。
4 結論
以上の次第で,原告の本件請求は,主文掲記の範囲で理由がある。よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 内藤裕之)
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⑧政策ビラPR | ポスタリング | ④集合住宅PR |
⑦意外注目PR | ⑥公的公共PR | ⑤独占単独PR |
【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
【ポスター【制作前の】候補予定者様】のメニューです。
「政治活動用ポスターのデザイン」は、こちらです。
公職選挙法規定の法的審査(レギュレーションチェック)対応済みの、個人ポスター、2連ポスター、3連ポスター等のデザインを制作!
「弁士相手探しマッチング」は、こちらです。
「探して、交渉して、お隣りへ!」理想の有名人や著名人の弁士相手を探して、地域有権者に対して認知度拡大の相乗効果を狙う!
「ポスターの掲示責任者代行」は、こちらです。
【全国対応】ポスターを掲示した選挙区からのクレーム対応・妨害等の「総合窓口」として、ポスター掲示責任者の代行をいたします。
【ポスター【制作後の】候補予定者様】のメニューです。
政治活動期間における「どぶ板専門!ポスター貼り(掲示交渉)代行」は、こちらです。
【稼働の流れ】
①新規ご挨拶回り|戸別訪問代行|握手代行
選挙区(指定エリア)の有権者(民家・飲食店・その他施設)に対して、候補予定者に代わって選挙ドットウィン!が直接ご訪問致します。
②名刺|ビラ|リーフレット等の手渡し配布
候補予定者と有権者を繋ぐため、名刺・ビラ・政策レポート・討議資料・リーフレットなど活動報告資料の直接手渡し配布を致します。
③留守宅|候補者PR資料ポスティング投函
ご訪問先がご不在の場合には、配布物を郵便受け等にポスティング投函致します。(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)
④政治活動ポスター貼り(新規掲示交渉!
【完全成果報酬】地獄のドブ板活動に必須となる、政治活動用ポスター貼り(新規掲示交渉代行!)(貼れた分だけの枚数課金となります)
⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン!が致します。
所属政党の「党員募集獲得代行」、政治団体および後援会等の「入会募集獲得代行」は、こちらです。
当該政党の「党員」「サポーター」募集等の規定に従って、選挙立候補(予定)者様に代わって政党への入党におけるご案内を促します。
どぶ板同行OJT(座学研修および実地特訓)で学ぶ「スパルタ個別訪問同行OJT」は、こちらです。
候補予定者様ご本人・選挙事務所スタッフ・ボランティア様が効率良く「どぶ板の政治活動」が行なえるようアドバイスいたします。
絶対的な地盤を構築する「立札看板設置交渉代行」は、こちらです。
選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立するためのご支援をさせていただきます。
あらゆる政治選挙におけるお困りごとを支援する「選挙の窓口」活動支援一覧は、こちらです。
「地上戦」「空中戦」「ネット戦略」などを駆使し、当選に向けたコンサルティングおよびプランニングのご支援をいたします。
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
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