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裁判年月日 平成27年 7月15日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)35221号
事件名 謝罪広告等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2015WLJPCA07158002
要旨
◆プロ野球球団を運営する原告が、被告の発売した週刊誌に掲載された記事により原告の名誉が毀損されたと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めるとともに、謝罪広告の掲載を求めた事案において、原告が訴外Fらが反社会的勢力に該当することを認識しながら、同勢力に該当しないと述べたとの事実を摘示するものと認めるのが相当である本件見出しの記載及び原告が本件監督の野球協約抵触の問題が取り上げられることを防ぐという動機を有していたとの事実を摘示するものと認められる本件記述の記載は、原告の社会的信用を低下させ、その名誉を毀損するものであるが、被告には、本件見出し及び本件記述の記載が摘示する各事実が真実であると信じるにつき相当の理由があったと認められるから、原告の名誉毀損につき被告に故意又は過失があったとは認められず、不法行為は成立しないと判断して、請求を棄却した事例
出典
参照条文
民法709条
民法710条
民法723条
裁判年月日 平成27年 7月15日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)35221号
事件名 謝罪広告等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2015WLJPCA07158002
東京都千代田区〈以下省略〉
原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 升本喜郎
同 稲垣勝之
同 金子剛大
同 那須勇太
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社Y
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 二瓶和敏
同 今給黎泰弘
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告に対し,3000万円及びこれに対する平成24年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告に対し,別紙1の内容の謝罪広告を,「○○」の記事面に,別紙2記載の条件で掲載せよ。
第2 事案の概要
1 本件は,被告が平成24年6月28日に発売した週刊誌「○○」(以下「本件雑誌」という。)に掲載した記事により原告の名誉が毀損されたとして,原告が被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として3000万円及びこれに対する不法行為の日の翌日である同月29日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,民法723条に基づく名誉回復措置として,本件雑誌への謝罪広告の掲載を求める事案である。
2 前提事実(証拠を付記しない事実は,当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められる。なお,証拠について枝番を全て挙げる場合には,枝番の記載を省略する。)
(1) 当事者
ア 原告は,野球競技の運営,野球選手の指導,養成に係る業務などを目的とする株式会社であり,プロ野球球団「a球団」を運営している。
イ 被告は,雑誌及び書籍の発行等を目的とする株式会社であり,本件雑誌を発行している。
(2) C及びD(以下,両名を「Cら」という。)は,平成18年8月28日,当時a球団の監督であったE(以下「E監督」という。)と面会し,E監督に対し,Dが同監督のプロ野球選手時代の女性問題に関する重大な資料(以下「本件資料」という。)を入手したとして,本件資料のコピーの一部を手渡すとともに,本件資料が表に出ないようにするにはCらに任せるべきであり,そのための解決金として1億円を支払うよう要求した。
E監督は,Cらの上記要求に応じ,同月30日,E監督の所属事務所の従業員らを通じて,Cらに1億円を支払った(以下,本項の事実を「本件恐喝事件」という。)。
(3) 本件恐喝事件の発覚等
ア 原告は,平成21年4月13日,「F1」と名乗る者から,E監督が本件資料を所持しているとして,その返還を要求する電話を受けた。原告は,同日まで本件恐喝事件を把握していなかったが,上記要求を契機としてE監督から事情を聴取し,本件恐喝事件を認識した。
イ 「F1」と名乗った者は,F(以下,Cらと併せて「Fら」ということがある。)であり,平成21年4月以降,原告に対し,脅迫行為や示威行為を繰り返した上,同年12月1日,爆弾様のものを示して原告の従業員を脅迫したことから,警視庁に威力業務妨害罪の現行犯で逮捕され,懲役1年6月,執行猶予3年の有罪判決を受けた(以下,上記アの架電から逮捕に至るFの行為を「本件威力業務妨害事件」という。)。
(4) 原告による記者会見等
原告は,平成24年6月18日,本件恐喝事件に関する被告の取材申入れを受けて,被告の担当記者らと面会し,同事件について事実経過等を説明した。
また,原告は,同月20日,報道各社を集めた会見を開き(以下「本件会見」という。),本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件の事実経過やFらが反社会的勢力に該当しない旨の説明をした(甲13,14。以下「本件説明」という。)。
(5) 被告による記事の掲載
被告は,平成24年6月から同年7月まで,本件雑誌に,以下の記載を含む各記事を掲載した(なお,以下の各記事における「F」はFを,「C」はCを,「D」はDを指している。)。
ア 本件雑誌平成24年6月28日号掲載の記事(同月21日発売。甲8。以下「本件記事1」という。)
(ア) 見出し
暴排を推進してきたa球団だが
(イ) 本文
その厳格な球団が公訴時効の7年を超えていない06年の恐喝事件の加害者,Cについて「野球界の人物を名乗りながら監督に対し『自分はガキの使いじゃない』などと語り,詐欺的恐喝を行なった。犯罪者ですよ」(前出・G常勤監査役)との認識を持ちながら,結果的には被害届の提出を見送り,頑なに反社会的勢力であることを否定する姿勢に疑問を感じざるを得ない。
果たしてこの問題をどう捉えるか。その結論こそが暴力団排除を掲げる球界の試金石となるだろう。
イ 本件雑誌平成24年7月5日号掲載の記事(同年6月28日発売。甲9。以下「本件記事2」という。)
(ア) 見出し
警視庁の怒りと困惑「恐喝側は反社会的勢力ではない」a球団のウソ(以下「本件見出し」という。)
(イ) 本文
野球協約180条で“暴力団等との間で金品授受などがあった場合にはコミッショナーが失格処分とする”と定められており,E監督が1億円を渡した相手が「反社会的勢力」であることを認めてしまうと,E監督の野球生命は絶たれてしまう。それだけに,a球団側としても認めるわけにはいかないのだろう(以下「本件記述」という。)。
ウ 本件雑誌平成24年7月12日号掲載の記事(同月5日発売。甲10)
(ア) 今回の恐喝事件は,反社会的勢力との繋がりを禁じた野球協約第180条違反の可能性があり,E監督の野球人生が断たれかねない大問題なのだが
(イ) 前述の野球協約第180条では,野球賭博常習者との交際や金品の授受,饗応,利益供与も禁じられているが,Dは一時野球賭博をシノギにし,疑惑の淵を歩いていた人物でもあったのだ。
(ウ) そのCについてa球団側は「詐欺的恐喝を行なった。犯罪者ですよ」(G常勤監査役)などと小誌の取材に答えているが,実は09年のFによる威力業務妨害事件以降,両者は必ずしも敵対関係ではないようなのだ。一連の取材のなかで,小誌がCに直接取材を申入れると,なぜかその情報をa球団側が把握しており,両者が何らかの形で連絡を取り合っている様子が窺える。そしてa球団側は“犯罪者”であるはずのCを「反社会的勢力ではない」と必死に主張するという不可解な構図が出来ている。
(6) 野球協約の規定
野球協約180条1項は,「賭博行為の禁止および暴力団員等との交際禁止」との見出しのもと,選手,監督等が以下の行為をした場合,所属連盟会長の申請にもとづき,コミッショナーは,該当する者を1年間の失格処分,又は無期の失格処分とすると規定している(甲15)。
ア 野球賭博常習者と交際し,又は行動を共にし,これらの者との間で,金品の授受,饗応,その他一切の利益を収受又は供与し,要求又は申込み,約束すること(1号)
イ 暴力団,あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者,その他の反社会的勢力と交際し,又は行動を共にし,これらの者との間で,金品の授受,饗応,その他一切の利益を収受又は供与し,要求又は申込み,約束すること(3号)
3 争点及び争点に関する当事者の主張
(1) 本件見出し及び本件記述による原告の社会的評価の低下の有無(争点1)
(原告の主張)
ア 一般読者の通常の理解によれば,本件見出しの「a球団のウソ」との記載は,原告が真実を認識しながら意図的にそれと異なる事実を外部に表明していることを意味すると解されること,及び本件記事2には,原告が「恐喝側」すなわちCらが反社会的勢力であることを認識しながら,意図的に真実と異なる主張をしていることを前提とする本件記述があることからすれば,本件記事2全体を読んだ場合,本件見出しは,原告がCらは反社会的勢力であると認識しながら,反社会的勢力ではないと主張しているとの事実を摘示していると理解されるものである。
なお,Fは本件恐喝事件に関与しておらず,本件記事2においては「E監督に対する恐喝の加害者」あるいは「(1億円を)支払った相手」と「球団への威力業務妨害の加害者」が区別され,前者をCら,後者をFと記載していることから,本件見出しの「恐喝側」はCらのみを意味するものであり,Fは含まれない。
イ 本件記述は推論形式の表現を用いているものの,本件記事2には,野球協約180条に「抵触していればE監督の野球生命は絶たれてしまう。それだけにa球団側も必死だった」として,Cらが反社会的勢力であるにもかかわらず,原告が反社会的勢力ではないと主張する動機はE監督が野球協約180条に違反することを恐れたからであるとの断定的な表現を用いた記載があり,これを踏まえたものとして本件記述がされている。このような本件記事2を一般読者の普通の注意と読み方を基準に読んだ場合,本件記述は,原告の動機に関する被告の推論を示したものにとどまらず,原告がCらについて反社会的勢力ではないと主張する動機を事実として摘示していると理解されることになる。
ウ 以上のとおり,本件記事2の内容を総合的に斟酌し,一般読者の普通の注意と読み方を基準に読めば,本件見出し及び本件記述は,E監督が1億円を渡した相手が反社会的勢力であることを知りながら原告が「反社会的勢力ではない」と主張している事実,及びその動機はE監督が1億円を渡した相手を反社会的勢力であると認めるとE監督が野球協約180条に違反することとなり,その結果,E監督の野球生命が絶たれてしまうことから,それを回避するためであるとの事実を摘示するものである。そして,このような事実の摘示が原告の社会的評価を著しく低下させることは明らかである。
(被告の主張)
ア 「ウソ」とは,真実でないこと,あるいは正しくないことを意味する言葉であるから,本件見出しの「a球団のウソ」とは,同記載の直前の「恐喝側は反社会的勢力でない」との原告の主張が真実と異なるという事実を摘示するにとどまり,原告が自己の認識と異なる事実をあえて述べているとの事実の摘示を含むものではない。本件記事2の本文全体も,原告が本件会見においてFらが反社会的勢力ではないと述べたことについて,被告の取材内容とは異なることを指摘するにとどまるから,同記事を読んだ一般読者が,原告が自己の認識と異なる事実をあえて述べているとの印象を受けるものではない。
なお,Cらは暴力団組長であった当時のFの稼業名を記載した確約書を交付してE監督から1億円を受領している上,本件記事2においても本件見出しの後の本文にFが反社会的勢力であることを基礎付ける事実に関する記載が多数されていることから,本件見出しの「恐喝側」とはFらを意味するものであり,本件見出しが「a球団のウソ」とする対象は,原告が本件会見において,CらだけでなくFについて反社会的勢力に該当する者ではないと説明したことが真実と異なるとの事実を含んでいる。
イ 本件記述は,①野球協約に関する解釈を示す部分(第1文)と,②原告が反社会的勢力であることを認めない理由を推測する部分(第2文)から構成されているところ,上記①は野球協約の解釈であり法的見解の表明であるから事実を摘示するものではなく,意見ないし論評の表明に該当する。また,「だろう」という推測の表現で文章を終えているように,上記②は原告が事実と異なる主張をしていることを前提にその動機を推論したものであり,意見ないし論評の表明である。
(2) 本件見出し及び本件記述に係る公共性,公益目的及び真実性,真実相当性の有無(争点2)
(被告の主張)
ア 公共性・公益目的
プロ野球は国民的な人気を誇るスポーツである上,プロ野球界において暴力団排除が大きな課題となっていたことからすれば,プロ野球球団の人気監督であるE監督が反社会的勢力に対して1億円もの金銭を支払っていたことに関する本件見出し及び本件記述の摘示事実は公共の利害に関する事実であり,また専ら公益を図る目的で掲載されたものである。
イ 真実性及び真実相当性の立証対象
上記(1)における被告の主張のとおり,本件見出しは,原告が「恐喝側」であるFらについて「反社会的勢力でない」との真実と異なることを主張しているとの事実を摘示するものであり,本件記述は,①野球協約180条に関する解釈を示す部分と,②原告がFらを反社会的勢力であることを認めない理由を推測する部分から構成され,いずれも法的見解の表明あるいは論評又は意見の発表である。したがって,摘示事実の重要部分あるいは論評等の前提となる事実として真実性及び真実相当性の立証対象となるのは,Fらが反社会的勢力に属する者であるとの事実のみである。
ウ 真実性
(ア) Fらが「反社会的勢力」であること
「反社会的勢力」については明確な定義がないものの,「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年6月19日犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ。以下「政府指針」という。)や民間企業における暴力団排除条項等の内容からすると,反社会的勢力であるか否かの判断は,当該人物の属性だけではなく,行為も加味して行うのが通常である。そして,以下の各事情からすれば,Fらはいずれも反社会的勢力に該当する者である。
なお,本件見出し及び本件記述を含む本件記事2は,原告の行った本件説明に関する記事であるから,本件説明の行われた平成24年当時の基準により反社会的勢力該当性が判断されるべきである。また,原告は,本件説明において,「警視庁の定義によれば」など,「反社会的勢力」の意味を限定して用いていたことはないから,警察当局による認定の有無のみを基準に反社会的勢力該当性を判断するのは相当ではない。
a Fの反社会的勢力該当性
Fは,平成18年当時,徳島県を本拠とするb組の有力団体c会(以下「c会」という。)の直参組長(組の名称は「d組」)であった。加えて,Fは,本件威力業務妨害事件において,暴力団組長を名乗り,E監督の女性問題を口実に原告事務所やE監督の自宅等に複数回押しかけ,路上でE監督を誹謗中傷する垂れ幕を掲げる示威行為を繰り返した上,原告の従業員に爆弾様のものを示して脅迫したことにより威力業務妨害罪で逮捕されているところ,上記行為は暴行,脅迫,威圧等の暴力を用いた不当な要求行為であり,反社会的勢力の行う典型的な手口であった。
b Dの反社会的勢力該当性
Dは,e会系の右翼団体である政治結社「f」の代表や不正軽油を取り扱っていた株式会社gの代表取締役を務め,暴力団系の金融ブローカーが暗躍して破産したh株式会社の名刺を使用しており,平成16年頃には,d組の舎弟となってFと盃を交わしている。加えて,Dは,本件恐喝事件において,Cとともに本件資料を悪用し,同資料が表沙汰にならないようにするための解決金として1億円の支払を要求し,その際に「自分はガキの使いじゃない」等の発言がされているのであり,このような行為は「法的な責任を超えた不当な要求行為」や「脅迫的な言動」という反社会的行為の典型というべきものである。
c Cの反社会的勢力該当性
Cは,昭和62年に経営していた飲食店において昏睡強盗を繰り返した罪で懲役5年の実刑判決を受け,平成2年から平成8年に金銭トラブルにより破門されるまで暴力団であるi団体のj興業の組員であった者であり,破門の際に小指を詰めている。Cが平成21年4月にFと面談した際には,Fの元兄弟分である現役暴力団組長を同行しており,Cが平成17年から運営している旅館は平成23年に風俗営業法違反で書類送検されている。加えて,Cは,本件恐喝事件において,上記bのとおり,Dと共にE監督に対して「法的な責任を超えた不当な要求行為」や「脅迫的な言動」を行った。
(イ) 原告がFらは反社会的勢力であると認識しながら本件説明をしたこと
仮に,原告がFらは反社会的勢力であると認識しながらこれと異なる主張をしたとの事実が真実性の立証対象となるとしても,原告は,以下のとおり,Fらの属性及び行動から同人らが反社会的勢力に該当すると認識していた。したがって,原告は本件会見において,自己の認識と異なる事実を述べたものである。
なお,「反社会的勢力」とは,警察当局により暴力団登録された者に限定されず,登録のない暴力団組員,準構成員,密接関係者,密接交際者までを含む広い概念であるから,仮に原告が警察当局からFらについて,暴力団登録がない旨の情報を得ていたとしても,それによりFらの反社会的勢力該当性についての原告の認識が妨げられるものではない。
a Fの属性についての原告の認識
(a) Cらは,本件恐喝事件において,E監督に対し,本件資料は暴力団組長からDに渡されたものである旨述べており,Fも本件資料が自分の手元から流出したことを認めている。また,1億円と引換えにE監督側に交付された確約書には,暴力団組長であったFの稼業名である「F1」の署名及び指印があった。これらのことからすると,CらはFが暴力団組長であることを前提としてE監督を恐喝したというべきであり,原告はE監督からの事情聴取によりこれを認識していたから,本件会見当時,原告にはFが元暴力団組長であるとの認識があった。
(b) 原告は,本件威力業務妨害事件当時,Fが元暴力団組長であったと述べていることを認識し,Cとの面談においてもFの当該属性を確認したことにより,Fが暴力団組長であったことを認識していた。また,原告は,親会社であるk社の取材力を用いてFらの属性を調査することが可能であったにもかかわらず,これによる調査を行っておらず,捜査機関から得た捜査初期の情報のみに基づくものとして本件説明を行った。原告がこのような対応をしたのは,現実には警察や検察からの情報提供あるいは原告独自の取材によりFらが反社会的勢力であることを認識していたか,もしくは調査によりそのことが明らかになることを恐れたからである。
なお,原告が本件威力業務妨害事件の捜査初期において警察からFが暴力団員や元暴力団員ではないと聞いたとしても,その後の捜査の進行に伴い,Fがc会の直参組長である旨の情報が原告にもたらされたはずである。
(c) 原告は,本件威力業務妨害事件の公判を傍聴し,被害者として同事件の刑事記録を入手しているところ,同記録にはFが平成8年頃大阪市でb組系三次団体を立ち上げ組長となったが,平成19年に破門になったことを記載したFの供述調書が含まれていた。したがって,原告は,遅くとも上記公判が開かれた平成22年にはFが暴力団組長であったことを認識していたはずである。
b Dの属性についての原告の認識
原告は,E監督からの事情聴取により暴力団組長であったFからDに対して本件資料が渡ったことを認識しており,FからDがFの舎弟であると聞かされ,Cとの面談でDの当該属性を確認していた。
c Cの属性についての原告の認識
原告は,Cが元暴力団員であったことを認識しており,同人が昭和62年に昏睡強盗により実刑判決を受けていること等を報道により認識していたはずである。加えて,原告はCと面談し,同人から,Fとの面談時に,CがFの兄弟分である暴力団組長を同行したためFと喧嘩になったことを聴取するなど,Cについての詳細な情報を得ていた。これらに照らせば,原告は,本件会見当時,Cの反社会的勢力該当性を認識していたというべきである。
d 行為要件に関する原告の認識
上記(ア)のとおり,反社会的勢力該当性については行為要件も加味して判断すべきところ,原告は,本件会見当時,反社会的勢力に関する行為要件を認識し,かつ,本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件の内容を認識していたのであるから,行為要件を考慮すれば,Fらが反社会的勢力に該当すると判断できるだけの事実を認識していた。
e 以上のような,Fらの属性及び行為に関する原告の認識を前提とすれば,原告は,Fらが反社会的勢力に該当すると認識していた。そうであれば,Fらの反社会的勢力該当性を否定する本件説明は,原告が事実と異なることを認識しながら行ったものというべきである。
(ウ) 原告に本件説明をする動機があること
Fらが反社会的勢力に該当すれば,E監督が野球協約違反に問われ得ることは,被告のみではなく他のマスメディア等が指摘していたことであり,原告には,その事態を避けるため,Fらが反社会的勢力に該当しないと主張する動機があった。
また,平成21年9月にはE監督が警視庁の暴力団追放キャンペーンのポスターのモデルとなっていたこと等から,E監督が反社会的勢力に金員を支払っていたとなれば社会的に非難されることは明らかであったことからも,原告には上記主張をする動機があった。
エ 真実相当性
「反社会的勢力」について明確な定義がないことからすれば,被告がこれを政府指針を前提として,実務上一般的に用いられる基準に依拠して理解することには十分な合理性があり,k社を親会社に持つ原告が,政府指針等で用いられている行為要件を認識していると考えることにも合理性がある。そして,上記ウにおいて主張し,以下においても述べるように,原告は,Fらの反社会的勢力該当性を基礎付ける事実について十分な認識を有していたのであるから,被告が,原告はFらが反社会的勢力であると認識しながらこれを否定していると信じたことには相当な理由があった。
(ア) 原告がFを反社会的勢力に該当すると認識していたことの真実相当性
被告の記者は,Fに対する複数回の取材により,Fがc会の組長であったこと,DがFの舎弟であったこと,Fが本件威力業務妨害事件の被告人だったこと等を聴取し,警視庁組織犯罪対策部の幹部に対する取材により,Fが暴力団組長であったことを確認した。さらに,新聞や雑誌にもFが元暴力団組長と紹介されており,これらの事情を考慮すれば,被告が,Fが暴力団組長であり,その事実を警察当局が原告に伝えたと信じたことには相当の理由があった。
また,原告は本件威力業務妨害事件の被害者であることから,被告の記者が取材した結果と同内容の事実を警察当局が原告に伝えたと信じることには相当の理由があったし,原告が本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件の内容を認識し,Fが暴力団組長であったことがあると言及された本件威力業務妨害事件の公判を傍聴していたことからも,被告は,原告においてFらが反社会的勢力に属する者であることを基礎付ける事実を十分認識していると確認していた。
以上の取材経過等によれば,原告はFが反社会的勢力であると認識しながら,これと異なる主張をしていると被告が信じたことには相当の理由があった。
(イ) 原告がDを反社会的勢力に該当すると認識していたことの真実相当性
上記(ア)のとおり,被告の取材により,暴力団組長であったことのあるFが本件威力業務妨害事件の当時,DはFの舎弟であると述べていた事実,及びDが社員であると称していたhが平成18年頃から暴力団やブローカーに食い物にされ,Dもこれに関与していたとの事実が聴取された。これらに本件恐喝事件の内容を併せれば,被告がDは反社会的勢力に該当すると信じたことには相当な理由があった。
そして,本件威力業務妨害事件において原告がFと接触していたこと,及び原告の親会社がk社であることからhに関する上記事実を原告も認識していると考えることに合理性があったことからすれば,原告はDが反社会的勢力であると認識しながら,これと異なる主張をしていると被告が信じたことにも相当の理由があった。
(ウ) 原告がCを反社会的勢力に該当すると認識していたことの真実相当性
被告は,取材により上記ウ(ア)cで主張したCの属性に関する事実を確認していたところ,原告も本件威力業務妨害事件以降にCの属性を調査しており,原告の調査能力を考慮すれば,Cの属性に関し被告の取材結果と同様の事実を把握したと考えることには合理性がある。これに,本件恐喝事件でのCの行為を併せれば,原告はCが反社会的勢力であることを認識しながら,これと異なる主張をしていると被告が信じたことには相当の理由があった。
(エ) 本件記述に関する真実相当性
本件記述は,法的見解の表明及び原告の行動の動機の推論と解されるべきであるが,仮に事実を摘示したものであるとしても,野球協約180条1項3号は,前段の暴力団員等との交際等と後段の暴力団員等との間の金品の授受等を並列的に禁止行為として規定していると解されるところ,E監督がCらに1億円を支払った行為は暴力団員等との間の金品の授受に該当するから,野球協約の上記規定に違反する可能性がある。そして,本件恐喝事件等を取り上げた雑誌記事,テレビ報道及び新聞報道において上記と同様の解釈が示されていたこと,原告は本件会見において,反社会的勢力について明確な定義をしておらず,実務上常識的な反社会的勢力の定義を原告が認識していると考えることには合理性があることからすれば,被告が,Fらが反社会的勢力ではないと説明した原告の動機はE監督が野球協約に違反することを恐れたからであると信じたことには相当の理由がある。
(原告の主張)
ア 本件見出し及び本件記述の真実性及び真実相当性の立証対象
本件見出し及び本件記述に関し真実性及び真実相当性の立証対象となる事実は,上記(1)における原告の主張のとおり,①原告が,E監督が1億円を交付したCらを反社会的勢力と認識していたとの事実,②①の事実にかかわらず「反社会的勢力でない」と主張をしている事実,③同主張をしている動機は,Cらが反社会的勢力であると認めると,E監督が野球協約180条に違反することになるからであるとの各事実である。
上記②は本件会見において「Cらが反社会的勢力ではない」との本件説明をしたことに関し問題となっているところ,「反社会的勢力」に関する明確な定義は存在しないから,原告が本件説明においてどのような意味で「反社会的勢力」という語を用いたかが問題となる。反社会的勢力に該当するか否かを原告のような民間企業が公表することは対象となる人物の社会的評価を低下させる可能性があることから,原告は反社会的勢力該当性の判断には確実性と客観性を確保するために警察の情報が不可欠であると認識しており,本件説明において「警察から聞いたところによれば」と述べた上で「反社会的勢力」に該当しないと説明した。したがって,本件説明の「反社会的勢力」とは,警視庁が反社会的勢力と認定した者,すなわち,警察のデータベースに登録されている者か,警察が捜査の結果同データベースに登録するような者を意味していたことは明らかである。
なお,本件会見では平成18年にE監督がCらに1億円支払った行為に関する評価が問題となっていたから,Cらが反社会的勢力に該当するか否かは同時点の社会通念に従い判断されるべきである。
また,反社会的勢力該当性等の真実性が問題となるのがCらのみであることは,上記(1)に関し主張したと同様である。
イ 真実性についての反論
(ア) Cらが反社会的勢力に該当しないこと及び原告に該当するとの認識がなかったこと
反社会的勢力に属する者であるか否かの属性情報は,強制捜査権を有する警察のみが公的に管理,提供しているから,民間企業である原告が反社会的勢力に属する者か否かを判断する際に,警察からの説明を信頼するのは当然である。原告は,本件恐喝事件を認識した際,直ちに警視庁に相談し,Fらが反社会的勢力に属する者か否かを問い合わせ,警視庁からF及びDは暴力団登録がなく反社会的勢力に属する者ではないとの,Cは元暴力団員であるが20年以上前に破門されており,平成18年当時暴力団登録はなく反社会的勢力ではないとの説明を受けた。また,Fについては,当時被告法務部次長であったHとFが面談した際に,Fの指紋を採取して指紋照合を行い,b組系暴力団員の「F1」と一致しないとの回答を得ていたことから,Fの公判を傍聴した際にも,Fが反社会的勢力と認定されるか否かに全く関心を抱いていなかった。
原告は,警視庁から上記情報提供を受け,本件恐喝事件に関するE監督からの事情聴取結果を含め,他にFらが反社会的勢力該当すると判断するべき根拠はなかった(本件恐喝事件のようなCらの行為は,反復的,継続的に行われたものではなく,刑事処分も下されていない。)ことから,Fらは反社会的勢力ではないと認識していた。そして,本件説明において当該認識に沿う説明をしたのであるから,原告が意図的に自己の認識と異なる説明をしたことはない。
なお,原告は,本件会見において警視庁からの回答を前提に,伝聞表現を用いるなどして説明しており,原告自らの判断でFらが「反社会的勢力ではない」と断定した主張をしていない。
(イ) E監督が野球協約180条違反に問われるおそれがないこと及び原告にウソをつく動機がなかったこと
野球協約180条1項3号は,同協約177条から179条と併せて,プロ野球関係者と野球賭博常習者及び暴力団員等の反社会的勢力との交際を禁止した規定であり,金品の授受があれば暴力団員等との交際がなくても同条に該当するというものではない。したがって,Cらが反社会的勢力に該当する者か否かにかかわらず,本件恐喝事件の被害者であるE監督に同規定は適用されず,同監督が野球協約180条違反に問われる可能性はない。
そして,原告は,プロ野球界において暴力団排除活動を中心となって推進し,野球協約180条の趣旨や運用についても熟知していたのであるから,E監督のCらに対する1億円の支払が同条違反とならないことを十分に理解していた。したがって,原告が,E監督が野球協約180条違反となることを恐れてCらが反社会的勢力に属するものではないと意図的に自己の認識と異なる説明をすることはない。また,本件恐喝事件は,E監督が警視庁の暴力団排除キャンペーンのモデルとなったことにも何ら影響を与えておらず,この点から原告が自己の認識と異なる説明をする動機もない。
ウ 真実相当性についての反論
本件記事2の掲載前,原告は被告の取材に応じ,警察当局から,Fらが暴力団員ではないとの情報を伝えられ,このことから同人らは反社会的勢力に該当しないと認識していることを説明した。このような状況で本件見出しを記載するには,Fらの属性及び反社会的勢力該当性についての警察当局から原告への情報伝達の内容に関する警察当局への取材,原告の考える反社会的勢力該当性の判断基準に関する取材が必要であるところ,被告はこのような取材を行っていない。
また,本件記述は野球協約180条違反の可能性について報じるものであるから,野球協約の制定経緯に基づく正確な解釈の理解や野球協約違反の判断主体である日本野球機構に対する取材が必要であり,本件恐喝事件の被害者であるE監督に野球協約180条が適用される可能性がないことは,同機構への取材等により容易に知り得たにもかかわらず,被告はこの点について取材することなく,原告に対する取材においてもこれに関する質問をせず,独自の解釈に基づきE監督が野球協約180条に違反すると記載した。
このように,被告は本来行うべき最低限の取材を行わず,漫然と虚偽の事実を摘示したのであるから,本件見出し及び本件記述の摘示事実が真実であると信じるにつき相当の理由があったとはいえない。
(3) 対抗言論の法理により違法性が否定されるか否か(争点3)
(被告の主張)
原告は,k社を親会社としており,同社を通じて被告の報道に対する反論を行うことが容易であるし,人気プロ野球球団の運営者であるから,他の報道機関を利用して反論をすることも容易である。
また,被告が本件見出し及び本件記述を含む本件記事2を作成したのは,被告が本件記事1を掲載すると認識した原告が開いた本件会見において,原告が本件記事1の内容は事実でなく,原告の名誉を毀損すると述べたことに起因するから,言論を誘発した原告に対し本件記事2への反論の負担を課しても衡平を失しない。
そうすると,仮に本件見出し及び本件記述が名誉毀損の不法行為を構成するとしても,原告は毀損された名誉を対抗言論により回復することが可能であり,かつその負担を課しても衡平を失しないから,原告と被告の言い分のいずれが正当であるかを聴衆の判断に委ね,裁判所の判断を回避すべきであるとする対抗言論の法理により違法性が阻却される。
(原告の主張)
原告は,△△新聞の発行主体であるk社とは別法人であるから,同新聞の紙面を原告に関する報道への反論に自由に利用できるわけではない。また,原告の名誉や信用が毀損された場合に,憲法上の権利として認められる民事裁判を提起して損害の回復を図ることが制限されることはない。
なお,原告が本件会見で説明した内容が真実であるにもかかわらず,あえてこれに反する内容の記事を掲載した被告の行為が,自己の正当な利益を擁護するためやむを得ず行ったものといえないことは明らかであり,対抗言論の法理が成立する余地はない。
(4) 原告に生じた損害の額(争点4)
(原告の主張)
原告の社会的評価を著しく低下させる内容を含む本件記事2が,毎号約70万部発行される本件雑誌に掲載されたことにより,原告は深刻な無形的損害を被った。
その損害を金額に換算すると3000万円を下らない。
(5) 謝罪広告掲載の必要性(争点5)
(原告の主張)
本件記事2が掲載されたことにより読者に生じた誤解を解消し,原告の名誉を回復するためには,金銭賠償のみでは足りず,本件雑誌誌上に謝罪広告が掲載される必要がある。
(被告の主張)
原告は,本件記事2の内容について記者会見など公的な反論の場を設けることができ,マスメディアにおいて言論の場を保障されている立場にある。このような原告に対し,金銭賠償では回復困難な場合の名誉回復措置である謝罪広告を認める必要はない。
第3 争点に対する判断
1 争点1(本件見出し及び本件記述による原告の社会的評価の低下の有無)について
(1) 本件では,被告が日本全国で販売した本件雑誌に,本件見出し及び本件記述を含む本件記事2を掲載したことによる原告の名誉毀損の有無が問題となっているところ,広く社会に流布された記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものか否かについては,当該記事についての一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきであり(最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照),ある記載が他人の社会的評価を低下させる内容か否かについては,当該記載の内容のみから判断するのではなく,全体における位置付けや前後の文脈等を総合的に考慮して判断するのが相当である。
本件においては,本件見出し及び本件記述の意味に関し,①本件見出しにおいて原告が「反社会的勢力でない」と述べたとされる「恐喝側」がFらを指すか,Cらのみを指すか,②本件見出しの「a球団のウソ」とは原告が「恐喝側」が反社会的勢力に該当すると認識しながら,これと異なる内容を述べたという事実の摘示を含むか否か,③本件記述が「恐喝側」が反社会的勢力に該当すると認識しながらこれと異なる内容を述べる原告の動機を事実として摘示するものか,法的解釈あるいは被告の意見ないし論評を述べるものかが争われている。このうち,上記②及び③については,本件見出し及び本件記述が原告の社会的評価を低下させるか否かの判断に影響するものであるから,これらの点について本争点において検討する(上記①については,いずれであっても原告の社会的評価の低下の有無の判断に影響しないと考えられるので,真実性あるいは真実相当性の対象の問題として,争点2において検討することとする。)。
(2) 本件見出しについて
ア 本件見出しの「a球団のウソ」が摘示する事実の検討
本件記事2には,その冒頭部分において,E監督が元暴力団員に1億円を支払っていたとの本件記事1の掲載に対し,原告が本件会見において「支払った相手は反社会的勢力ではない」と反論したこと,及び「焦点はプロ球界の憲法とされる野球協約の第180条に定められた“暴力団員等との間で金品の授受,饗応,その他利益供与などがあった場合にはコミッショナーが失格処分とする”との条文。これに抵触していればE監督の野球生命は絶たれてしまう。それだけにa球団側も必死だった―――。」との記載がある。そして,Fらが反社会的勢力に該当するとの根拠となり得る事実等が記載された後,同記事の終盤部分に本件見出しが付され,これに続くリード部分や本文において,本件会見において,原告が「E監督に対する恐喝や球団への威力業務妨害の加害者を『反社会的勢力ではない』と述べた」との記載があり,「では,なぜa球団側は『反社会的勢力ではない』と声高に言っているのか。」との記載に続いてFが元暴力団組長であったにもかかわらず,警視庁捜査一課から暴力団登録のない別人であるとの情報が原告に伝えられたようであること等が記載され,本件記述により締めくくられている(甲9)。
このように,本件記事2には原告がFらを反社会的勢力であると認識していたとの記載はなく,被告が原告の動機の推論であるとする本件記述の前には,警視庁捜査一課から暴力団登録のない別人であるとの情報が原告に伝えられたようであるとの記載があるところ,原告がFらについて反社会的勢力であるとの認識を有していなくとも,野球協約との関連で反社会的勢力でないとの態度をとっているとの動機の推論はあり得ることからすると,「a球団のウソ」との表現には,原告がFらあるいはCらを反社会的勢力であると認識していたとの事実の摘示までは含まれないようにも思われる。
しかしながら,「ウソ」との表現は,一般的には真実を認識しながら意図的にそれと異なる事実を述べることを意味することが多いこと,本件見出しの冒頭には「警視庁の怒りと困惑」との記載があり,本件見出しに次ぐリード部分には,警視庁関係者の発言として,本件会見において,原告が本件恐喝事件や本件威力業務妨害事件の加害者を反社会的勢力ではないと述べ,その根拠を警察当局からの情報提供であると述べたことについて,「こちらには何の断りもなく,責任だけを押しつけるようなやり方には怒りを覚えます」との記載があるところ,この記載は,Fらが反社会的勢力に該当するとの根拠となり得る事実の記載と相まって,一般読者に対し,原告が真実は反社会的勢力に該当することを認識しながら,意図的にそれと異なる事実を述べたとの印象を与えるものといわざるを得ない。
したがって,本件見出しにおける「a球団のウソ」との記載は,本件記事2を読んだ一般読者に対し,原告がFら(少なくともCら)が反社会的勢力に該当することを認識しながら,同勢力に該当しないと述べたとの事実を摘示するものと認めるのが相当である。
イ 原告のような企業が,自ら開催した記者会見である本件会見において,自己の雇用する監督の関係する犯罪行為の行為者等について,真実は反社会的勢力に該当することを認識しながら同勢力に該当しないと説明したとの事実は,本件会見が開催された平成24年6月当時の社会における企業と反社会的勢力との関係に対する問題意識(暴力団排除条例の施行時期は平成23年10月である。)を踏まえれば,原告の社会的信用を低下させ,名誉を毀損するものであると認められる。
したがって,被告の抗弁が成立しない限り,本件見出しの記載は原告に対する不法行為を構成する。
(3) 本件記述について
ア 本件記述による事実の摘示の有無
記事中の名誉毀損の成否が問題となる部分において表現に推論の形式が採られている場合であっても,当該記事についての一般の読者の普通の注意と読み方を基準に,当該部分の前後の文脈や記事の公表当時に一般の読者が有していた知識ないし経験等を考慮すると,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項をその推論の結果として主張するものと理解されるときには,同部分は,事実を摘示するものと見るのが相当である(最高裁平成10年1月30日第二小法廷判決・最高裁判所裁判集民事187号1頁)。
これを本件についてみると,上述したように,本件記事2においては,記事の冒頭近くにおいて「焦点はプロ球界の憲法とされる野球協約の第180条に定められた“暴力団員等との間で金品の授受,饗応,その他利益供与などがあった場合にはコミッショナーが失格処分とする”との条文。これに抵触していればE監督の野球生命は絶たれてしまう。それだけにa球団側も必死だった―――。」との記載があり,末尾部分に「野球協約180条で“暴力団等との間で金品授受などがあった場合にはコミッショナーが失格処分とする”と定められており,E監督が1億円を渡した相手が『反社会的勢力』であることを認めてしまうと,E監督の野球生命は絶たれてしまう。それだけに,a球団側としても認めるわけにはいかないのだろう。」との本件記述がされている。このような本件記述を含む本件記事2を読んだ一般読者は,原告がE監督が1億円を渡した相手が反社会的勢力であることを認めない動機は,E監督に野球協約抵触の問題が生じることを避けることであると理解するというべきである。そして,上記動機は証拠等をもってその存否を決することが可能な事項であるといえるから,本件記述は,原告がE監督の野球協約抵触の問題が取り上げられることを防ぐという動機を有していたとの事実を摘示するものと認められる。
この点に関し,被告は,本件記述は野球協約に関する解釈を示す部分(第1文)と原告が反社会的勢力であることを認めない理由を推測する部分(第2文)から構成されると主張するところ,確かに本件記述の第1文自体は,Cらが反社会的勢力に該当するとの事実及びE監督がCらに1億円を支払ったとの事実を前提に,E監督が野球協約180条に抵触するとの被告の見解を記載したものと認められる。
しかしながら,上記で説示したように,第2文までを含む本件記述全体としては,原告がE監督の野球協約抵触の問題が取り上げられることを防ぐという動機を有していたとの事実を摘示するものというべきである。
イ 野球協約180条についての被告の見解の表明あるいはその前提となるCらが反社会的勢力に該当するとの事実及びE監督がCらに1億円を支払ったとの事実の摘示によっては,原告自身の社会的信用や評価が低下するとは認められない。
これに対し,原告が本件説明を行うにつき,E監督の野球協約抵触の問題が取り上げられることを防ぐという動機を有していたとの事実は,一般読者に対し,原告は暴力団排除を掲げる野球協約を遵守するよりも,身内であるE監督を守るために自らの認識と異なる事実の主張をしたとの印象を与えるから,原告の社会的評価を低下させ,その名誉を毀損すると認められる。
したがって,被告の抗弁が成立しない限り,本件記述の掲載は原告に対する不法行為を構成する。
2 争点2(本件見出し及び本件記述に係る公共性,公益目的及び真実性,真実相当性の有無)について
(1) 認定事実
証拠(事実毎に記載したもののほか,甲24,25,乙14,25,26,31,証人H,証人I,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(第2の2の前提事実を含む。)。
ア プロ野球界においては,私設応援団に暴力団が入り込み,球場警備員を脅すなどして,外野席を占領してダフ屋行為を行ったり,野球場内で暴力をふるう事態が生じていたため,平成14年頃,a球団の本拠地であるl球場においても暴力団排除活動が開始された。同活動はプロ野球界全体に広がり,平成15年11月にはプロ野球暴力団等排除対策協議会が設立され,同協議会は同年12月に暴力団等排除宣言を採択した(甲39,40)。
イ 本件恐喝事件
E監督は,平成18年8月28日,Cが同監督の携帯電話に「非常に大事な話がある。野球界が駄目になる話なので,至急あなたと話がしたい」との伝言を残したことから,Cに連絡したところ,「18年くらい前のスキャンダルだが,会ってもらった方がいい。Eさんがいま野球界からいなくなったら大変なことになる」と言われ,a球団の遠征先の熊本のホテルで面会することとなった。
Cは,同日,Dとともに面会場所に現れ,プロ野球選手の父親であると述べるとともに,Dは,E監督に水産会社の名刺を交付した。DがE監督の選手時代の女性問題に関する重大な資料を入手したとして,本件資料のコピーの一部をE監督に示すとともに,「表には出ないようにするために私に任せなさい」「仲介役になって解決するが,それには金がいる」「ガキの使いじゃない」等と告げて,解決金として1億円の支払を要求した。E監督は,原告や警察等に相談せず,要求された金銭を用意することとした(甲12,乙26,51)。
E監督は,支援者等から援助を受けて1億円を用意し,同月30日,所属事務所の従業員及び知人を通じてこれをCらに支払った。このとき,Cらは,宛名をC,作成日付を同月29日,「この度の,示談成立に付き2度と再び本件が問題発生することが無いことを私の責任において確約します」と不動文字で記載され,「F1」の署名及び指印のある「確約書」と題する書面(甲27。以下「本件確約書」という。)を上記従業員らに交付した。
ウ Dは,平成19年9月15日,交通事故により死亡した。同事故を報道した新聞記事におけるDの肩書は「会社役員」であった(甲3,4)。
エ E監督は,平成21年頃,警視庁の暴力団追放キャンペーンのモデルとなり,E監督の写真とともに「暴力団追放」,「暴力団を恐れない,暴力団に金を出さない,暴力団を利用しない」と記載されたポスターが作成され,同年5月から同年11月まで各所に掲示された(甲8,乙30)。
オ 本件威力業務妨害事件
(ア) 原告は,平成21年4月13日,「F1」を名乗るFから「E監督が持っている資料を返して欲しい」「受け入れられない場合は騒ぎを大きくする」等の電話を受け,原告法務部次長であったHがFに連絡を取ったところ,Fは,大阪でd組という暴力団の組長であったことを強調し,E監督が過去に遠征先のホテルの女性従業員と関係を持ったことが記された本件資料があること,Fが所持していた本件資料を,3年前の引越しの際に子分のDが勝手に持ち出してE監督と交渉し,金銭と引換えにE監督に交付したことなどを説明した上で,E監督側に渡った本件資料を返還するよう求めた(乙14,51)。
(イ) 上記要求を受けた原告は,平成21年4月13日及び翌14日,E監督及びその所属事務所の従業員らから本件恐喝事件に関する事情を聴取した。これにより原告は本件恐喝事件を認識した(乙14,51)。
Hは,E監督等に対する事情聴取の結果について,「事件相談メモ」「事件メモ」及び「事件メモ追加」を作成したが,「事件相談メモ」には,当時原告の取締役球団副代表兼法務部長であったKに対するE監督の説明として,「■元スカウト部長の実弟であるL■(中略)とM■(監督の事務所・m社の社員)に交渉を委ねて,二人がホテルで会って,日記を受け取り,1億円を支払った。そのときに書類(※誓約書,別紙)ももらい,それは今でもMが持っていると思う。■」(■はメモの一部が黒塗りされていることにより記載内容が不明な部分である。以下同じ。)との記載があり,さらに,M及びLの説明として「日記は■の従業員だった■という女性のもので,監督と肉体関係を持ったことや,■が書かれていたと聞いている。N(現コーチ)やO(現二軍監督)の名前があったようだ。監督は■から『1本』と言われ,監督が『1000万円ですか』と聞いたら,『何を…』という反応で,要求が1億円であることが分かったと言っていた。(中略)M,Lの二人でCとDに会った,8月30日だと記憶している。部屋の外にもう一人いたと思う。Cは『野球界を良くするために私が解決します』というようなことを言っていた。現金を渡して日記などを受け取り,F1からCに宛てた誓約書をもらった。」等と記載されていた。なお,上記記載の「誓約書」は,本件確約書である。
Kは,同月15日,原告の取締役であったA及びPに対し,E監督の聞き取りメモを添付した上で,「他の二人については監督は名前を聞かされただけで『見てはいない』と言っていました。訂正します。」と記載したメールを送信した。添付されたメモには,「『■の親父だ。非常に大事な話だ。これは野球界が駄目になる話だから,Eさんに大至急話がしたいんだ』ということだった。■と聞くと『身に覚えがないかい。スキャンダルだよ』と言われた。■,『■Eさんが今野球界からいなくなったら大変な事になる』ということで,■。(中略)■の説明では,■さんは姉のところに間借りをしていた。姉の旦那だか彼氏だかが暴力団組員だった。引越しか何かの時に姉かこの組員かどっちかが日記をみつけて,中身を見てびっくりして,組員がこれは金になると,自分の親分のところに持っていった。その組長が■に日記を渡し,■は『■という人が東京にいてプロ野球のことをよく知っているから』ということで,自分■に相談に来たんだ,という説明だった。(中略)■は『自分が止める。でも止めるためには金が必要だ。俺に任せなさい。そうすればa球団にとってもEさんにとっても悪いようにはしない。それにはかぎの使いじゃないんだから金が必要だ』と言われた。『いくらですか』と聞いたら,『一本だ。小さい方じゃなく大きい一本だよ』と言われた。『一億ですか』と聞いたら『一億だ』と。(中略)一億の金を作るのは大変なことだったけれど,それでも早かった。仲人のQさんに3000万,n社のRさんに3000万,会社(m社)から2000万円,Lさんから2000万を借りて1億円を用意した。(中略)30日の午前中に金がそろって,■に『用意が出来た』と伝えると,■号室を指定され,午後5時半に会うことになった。(中略)■は誓約書にある■の名前を見て『この人は誰ですか』と■に聞い記憶があるが,そう答えたのかは覚えていない。監督は『今度こういうことがあったら警察に届けよう』と話,■に『よく覚えておいて欲しい』と指示していた。」と記載されていた(甲49,50,乙49,52)。
(ウ) 原告は,上記(イ)のE監督並びに1億円の支払に関与したL及びMに対する事情聴取により,1億円をCらに支払った際,「確約書」と題する書面(本件確約書)が交付されたことを把握し,本件確約書あるいはその写し(以下,写しを含め「本件確約書」という。)を入手したところ,同書面には「F1」の署名・指印があったことから,平成21年4月14日,Fに対し電話で確約書のようなものを交わしていないかと尋ねたところ,Fは,同人が名前だけを記載した紙にDが都合のいいところに都合のいい文書を記載したと返答した。また,Fは,翌15日,電話で原告に金銭を要求するつもりはないと述べるとともに「d組の組長だった」,「大勢の若い衆を抱えていた」等と述べた。
(エ) 原告は,平成21年4月14日,Fから繰り返し電話で本件資料の返還を求められたことから,暴力団による企業恐喝事件であると判断し,警視庁を訪問して,応対した捜査一課特殊班(企業恐喝事件担当)の管理官らに事件相談を行い,本件威力業務妨害事件について被害届を提出し,本件恐喝事件については関連相談事案として相談した。警視庁は,本件威力業務妨害事件及び本件恐喝事件について,「その属性から」刑事部対応事件及び同相談事案と判断し,警視庁捜査一課において処理することとするとともに,原告に対する被害者対策を実施した(調査嘱託の結果)。
なお,警視庁は,被疑者が暴力団関係者であることが確認された事件について,以下の内容の警視庁組織規則に基づいて処理している(調査嘱託の結果,甲26)。
a 刑事部捜査第一課の分掌事務
① 殺人,傷害その他生命身体に係る犯罪の捜査に関すること
② 強盗及び強姦に係る犯罪の捜査に関すること
③ 放火及び失火に係る犯罪の捜査に関すること
④ 科学捜査に関すること
⑤ 部内他課の分掌に属しない犯罪の捜査に関すること
b 組織犯罪対策部組織犯罪対策第四課の分掌事務
① 暴力団等の視察内偵及び暴力団等に係る事件情報の収集に関すること
② 暴力団等に係る犯罪の取り締まりに関すること
③ 群集犯罪の捜査に関すること
また,平成21年当時,警察当局は,ある人物が暴力団員,準構成員,総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロに該当するか否かに係る情報(以下「暴力団員等該当性情報」という。)を収集していたが,警視庁における暴力団排除等のための部外への情報提供は,「暴力団情報」について警察が厳格な守秘義務を負っている一方,社会からの暴力団排除の目的のために活用することも必要であるとの認識のもと,暴力団員の個人情報の提供は当該情報が暴力団排除等の目的の達成のために必要不可欠であり,かつ,警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行うとの考え方が採られており,当該人物が準構成員及び元構成員である場合の情報提供については,以下の注意点が掲げられていた(乙53)。
① 準構成員
構成員であることが明確に認定できる者の場合と異なり,暴力団との関係の態様,程度等が様々であることから,漫然と「準構成員である」といった情報提供をしない。
情報提供が求められている個別の事案に応じて,当該準構成員と暴力団との関係の態様,程度について十分な検討を行い,構成員とほぼ同視し得ると確実にいえるか否かを個別に判断する。
② 元構成員
現に自らの意思で反社会的団体である暴力団に所属している構成員の場合と異なり,元構成員については,暴力団との関係を断ち切って更生しようとしている者もいることから,過去に暴力団員であったことが法律上の欠格要件となっている場合や現状が準構成員とみなすことができる場合は格別,過去に暴力団に所属していたという事実だけをもって情報提供をしない。
(オ) Hは,平成21年4月23日,隣室に捜査官が待機する中,Fと1時間ほど面談した。同面談において,Fは,「一人で会いに来た度胸は認めてやる」「何か俺に気にくわないことがあれば,周りに待たせてある子分がすぐに駆けつける」等の発言をした。なお,Hは,この日のほかに,少なくとも同月28日,同年5月2日,同月28日にもFと面談した。
(カ) Fは,平成21年4月25日頃,Cと面会して,本件恐喝事件の経緯等を尋ねたが,Cは,同面会にb組o組系p会のSを同行した(乙13)。
(キ) Hは,平成21年4月28日,Cと面会し,その際,Cは,数日前にFと面会した際にとっくみあいの喧嘩になった旨,及びE監督側から交付された金銭は全てDに渡った旨述べた。原告は,同年にCと接触したことにより,Cが「q」という旅館で働いていること及び過去に暴力団に所属していたが,脱退したことを聞いた。
Hは,同日,Fとも約1時間面会し,Fは,本件資料はFの内縁の妻の妹が預かっていたものであるとして,処分されて返却できないのであれば,内縁の妻を説得する方法を原告が考えて欲しいと要求した。
(ク) 原告は,警視庁から「F1」という元b組系暴力団員が実在すると聞いていたが,平成21年4月30日頃,警視庁捜査一課から,Hが同月28日にFと面談した際に採取した同人の指紋を照合した結果,元b組系暴力団員の「F1」とは一致せず,ほかの前歴者とも合致しなかったとの連絡を受けた(甲5)。
次いで,原告は,同年5月1日,警視庁の「管理官」から,上記指紋照合の結果,「F1」と名乗る人物が徳島県生まれの「F2」と判明したこと,同人には10年ほど前に泉南署・堺署などの扱いで傷害等の前科があるが暴力団登録はないこと,前歴時と思われる17年前の写真があり,Hが面談したときに認識した「F1」と同じ場所にほくろがあること等の情報提供を受けた(甲6,7)。
(ケ) Fは,平成21年5月頃,a球団の遠征先のホテルで,E監督に「誓約書を焼き捨ててほしい。日記帳を返してほしい。連絡が欲しい」と書かれた手紙を手渡したり,E監督の自宅を訪れ「関係者に,私の無関係,私の苦悩,私のいらだちを分かって欲しい」という内容の手紙を渡そうとした。
また,Fは,同年8月26日,原告の事務所に電話をかけ,「9月からE監督を引きずり落とす活動を開始する。」「一人でもやる。覚悟しておけ」と通告した。そのため,Kが,同日以降,Fの監視及び行動確認を行うこととなった。
その後,Fは,同年9月2日から10日間以上にわたり,原告の事務所の周辺で「a球団 Eにもの申す」「恥を知れ 己の本分を忘れた愚かな所業」「キサマと関与した者共の愚挙を世に報しめ猛省を促すが目的」「三年前,熊本遠征時キサマCと私の舎弟と何を取引した 今日の栄光と栄誉か」などと書かれた垂れ幕を掲げて示威行動を繰り返した。Fのこれらの行動は,同年4月から約8か月間の間に,架電54回,原告事務所やE監督の自宅への押しかけ11回,垂れ幕による示威行動10回に上った。
(コ) Fは,平成21年12月1日,原告の従業員にガスボンベを利用した爆弾様のものを示して脅迫したことから,警視庁により威力業務妨害の被疑事実で現行犯逮捕され,公判手続を経て,懲役1年6月執行猶予3年の有罪判決を受けた。原告は,上記公判手続を傍聴し,Fが「F2」ではなく「F」であると認識した。
カ 本件記事1掲載前の被告の取材活動
(ア) 被告は,本件威力業務妨害事件については同事件が発覚した平成21年頃に取材を行っていたが,平成24年5月頃,I(以下「I記者」という。),J(以下「J記者」という。)及びTの3名が関西に常駐して,本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件について取材を行うこととなった。その後,同年6月には取材班を3名増員し,合計6名で本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件の取材を行った。
(イ) I記者は,Fの暴力団歴に関し,暴力団関係の情報に精通する者十数名以上を取材した。また,I記者は,Dの仕事仲間から,中央に横一列に座った3人の男性及びその中央の男性の背後に起立した男性が写り,その背後に「後見人 五代目b組舎弟c会会長 U」と記載された垂れ幕等が掛けられた暴力団の杯事の際に撮られたと思われる写真(乙19,50。以下「本件写真」という。)を入手し,中央に座る者がF,その向かって左隣に座る者がDであるとの説明を受けた。さらに,c会の関係者からは,背後に「子 F1」と記載された垂れ幕が掛けられ,中央にあぐらをかいた男性が写っている写真(乙20)をFの写真として入手した。
(ウ) J記者は,平成24年6月7日までに,r会を含めた東京都新宿区歌舞伎町を拠点とする複数の暴力団関係者を取材し,Cが経営していた歌舞伎町の飲食店で昏睡強盗を行い服役したことや,歌舞伎町で違法カジノを行っていたこと,同カジノ店は当時非指定暴力団であったi団体が経営しており,Cと密接な関係にあったb組系暴力団員が出入りしていたことなどを聴取した。また,r会の有力組織の一つであるs興業の幹部に取材したところ,Cが暴力団の金を横領したことが発覚したため平成10年頃に指を詰めて破門となったことを聴取した。
J記者は,gの関係者を取材し,本件写真に写る横一列に並んだ男性のうち右端の男性がDであるとの回答を得た。
(エ) J記者は,平成24年6月7日,Cを取材するため,同人が経営する旅館「q」に赴いたが,「客がいるのが分かんねえのか,帰れ」と威嚇されたため取材することができなかった。その後は,当該旅館の支配人が取材の窓口となったが,Cが直接取材に応じることはなかった。
なお,I記者は,平成19年9月2日,芸能関係の別件でCを取材したことがあり,その際,Cから,同人がi団体という暴力団の元組員であったことなどを聴取していた。
キ 被告の原告に対する取材及び原告の本件会見等
(ア) 被告は,平成24年6月18日,原告に対し,「E監督と元暴力団員との間の金銭授受」について取材を進めているとして,以下の事項を含む質問事項を記載した書面を送付し,E監督及び原告の広報担当者との対面取材を希望する旨申し入れた(甲11)。
a E監督に対する質問事項
① 本件恐喝事件の経緯
② 女性問題で1億円もの大金を払えと恐喝された場合,要求した相手がどのような肩書を名乗ろうとも「善良なる一般市民」であるはずがなく,「暴力団を含めた反社会的勢力」という認識を持つのが世間一般の感覚だと思うが,E監督は恐喝された際,相手に対してどう感じたか。
③ 警察に相談せずに恐喝相手に1億円を支払った理由
④ 「反社会的勢力に1億円も支払って,結果的に彼らの勢力拡大に手を貸してしまったこと」についての考え
b 原告に対する質問事項
① 原告が本件恐喝事件の事実関係を把握したのは平成21年であるとの被告の把握事実に間違いがないか。
② 本件恐喝事件において金銭を要求したCと原告の接触の有無
③ 「E監督が暴力団に脅された際に,原告や警察に相談せずに元暴力団員に対してお金を渡した行為」に対する原告の考え,及びE監督が現時点まで監督を続けているのは原告が「警察に相談せずに反社会的勢力に金を払っても被害者だから問題ない」と認識しているからか否か。
④ 平成21年春頃,本件恐喝事件を起こした元暴力団員の関係者とみられる人物」が再び脅迫まがいの行動を起こしているが,このときの原告の対応,及びその過程で本件恐喝事件を刑事事件にするよう原告として働きかけをしたか否か。
(イ) 原告代表者及び原告の監査役であるG(以下「G監査役」という。)は,平成24年6月18日,被告からの取材申入れに応じ,原告広報部長らとともに,I記者,J記者及びデスクのVによる取材を受け,本件恐喝事件等について,下記aの内容を含む発言をするとともに,被告担当記者らの質問に対し,下記bの内容の回答をした(甲12)。
a 原告側の発言内容
① 被告の質問の中に反社会的勢力に金員を支払ったことを前提とする質問があるが,E監督は反社会的勢力に金員を支払ったという認識は全く持っていなかったのであり,それが一番言っておきたいことである。
② 原告は,本件恐喝事件を認識した平成21年に,警察当局に相談するとともに,支払った相手方が反社会的勢力かどうかをしっかり調べ,警察当局からも回答を得たが,「いわゆる反社会的勢力ではない,暴力団関係者ではない」という回答を得た。
③ 本件恐喝事件の際,Cがある球団の関係者であると自己紹介をしており,Dは水産会社社員の名刺を渡したため,E監督はCらが暴力団と関係を有する者であるとの認識を持つに至らなかった。
④ 平成21年4月中旬にFから連絡があった翌朝に警視庁に届出をして,事件関係者の属性を調べてもらった結果,Fらはいずれも暴力団あるいは暴力団の密接交際者,いわゆる暴力団関係者ではなかった。
⑤ F1という暴力団員は実在していたが,本件威力業務妨害事件を起こしたF1ことFとは別人であると聞いており,年齢,年格好,指紋照合の結果指紋が違っていたと警察から知らされた。
⑥ 平成21年にCからE監督の所属事務所の従業員宛に連絡があり,「F1が自分の所に来ている。F1との面会状況について話したい」旨を伝えてきたことから,原告とCが面会することとなり,警察にもその旨連絡した。
⑦ Cは,原告と面会した際に,20年以上前に暴力団に在籍したが,面会時点では足を洗って正業に就いていると述べたので,原告がその旨警察に伝えたところ,警察の反応は20年以上前ということで暴力団関係者には当たらないというような判定であった。
⑧ Dについても暴力団員,あるいは暴力団関係者という登録はないと聞いている。
⑨ 上記から,Fらは反社会的な属性はないというのが客観的事実ではないかというのが原告の認識である。
⑩ E監督は被害者であり,反社会的勢力に利益供与したかのように非難されるのは事実と違っており,不当である。
b 被告記者らの質問に対する原告の回答
① (反社会的勢力にはいろいろな定義があると思うが,そういう認識ではないということかとの質問に対し)原告の理解では,反社会的勢力か否かは警察の情報を基準に判定されていると思う。本件威力業務妨害事件の際には,Fが暴力団を名乗って行動しており,警察に情報収集を依頼し,警察も応えてくれたが,結果としてFは暴力団ではなかった。
② 原告は,Cを加害者と考えているが,捜査が実際に行われなかった以上,加害者なのか,事後的な関与者なのか,その役割を断定することはできない。詐欺的恐喝だと考えるが公には言えない。
③ (Cの「私に任せなさい。私が何とかする」との発言の意味内容をどのように認識しているかとの質問に対し)Cが自分はガキの使いじゃないということを言っていることから,上記発言は,Cに任せれば同人が表に出ないようするから,Cに金を支払うようにということを言っていると認識している。
④ 原告は,E監督が反社会的勢力にお金を支払ったと思っておらず,反社会的勢力にお金を支払ったという形で記事にされたら大変不当な記事だと思う。
(ウ) 原告代表者及びG監査役は,平成24年6月20日,本件会見を開き,報道各社に対し,本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件について,下記の内容を含む「○○の記事について」と題する書面を配付し,同文書の記載内容と同様の説明を行った。なお,文書の記載及び口頭説明のいずれにおいても,原告はFらの氏名を明らかにしなかった(以下の説明内容等の認定においては,Fらを氏名で特定して記載する。甲13,14)。
① 「○○の記事の問題点」の見出しのもと,同月21日発売予定の本件雑誌に掲載される本件記事1はE監督が反社会的勢力に不当な利益供与をしたという批判的見地からのものとみられる,そのような記事には「E監督が1億円を反社会的勢力に支払った事実はない。」等の問題点がある旨の記載
② 「実際にあった出来事」の見出しのもと,本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件に関する記載
③ 「反社会的勢力への資金供与とは異なる」との見出しのもとに,本件恐喝事件において,E監督は脅された被害者であり,反社会的勢力に対し違法,不当な利益供与をしたのではないとの記載
④ ③の見出しのもと,E監督に1億円を要求した2人組は,「同じ野球界の人間だから任せなさい」と言った,暴力団等の威力を示す恐喝ではなかった,したがって,相手が反社会的勢力であるとの認識を持ちようがなかったとの記載
⑤ ③の見出しのもと,客観的にも,原告が警視庁から聞いたところでは,Cらは暴力団員等ではなく,反社会的勢力に属する者ではなかったとの記載,及びFは嫌がらせを繰り返す過程で暴力団組長と自称したが,調べでは暴力団組長ではなく,反社会的勢力に属する者ではなかったとの記載
⑥ ③の見出しのもと,暴力団排除条例等で問題にされる反社会的勢力への資金供与は,暴力団等の威力を利用する対価として金品を供与する,または暴力団等の勢力を助長するために金品を供与するというものだが,E監督の事件はどちらにも該当しないとの記載,及びE監督は反社会的勢力と交際したことはなく,そのような勢力を利用したこともないとの記載
また,原告は,本件会見に出席した報道機関等からの質問に対し,以下のやり取りをした。
① 本件恐喝事件当時暴力団員ではなかったとしても,以前所属していたことはないかとの質問に対し,「2人組のうちの1人が,相当以前に暴力団に所属していたと自称はしてい」た。「ただし,そこは警察当局も把握はされているが,それを踏まえて属性をチェックをして,まあ暴力団員,あるいは反社会的勢力に属する者ではないと我々は聞いて」いたと返答した。
② 本件恐喝事件においてE監督が1億円を支払った相手が相当以前に暴力団に所属していたのであれば,E監督が元暴力団に1億円払ったという見出しに事実との齟齬はないと考えられるが,見出しに間違いがあるのかとの質問に対し,見出しのみを問題にしているわけではなく,記事内容が反社会的勢力に不当な利益供与をしたという批判的見地からの記事になることが確実であると考えており,そうだとすると事件の捉え方が違うと返答した。
③ 二人組のうち相当以前に暴力団員だったのは,会社員の名刺を持ちだしたほうか否かの質問に対し,「言いにくいですね」「警察が現在,暴力団関係者ではないと認定しているわけですから,言いづらいですね。今,我々がこの人がそうだったとは言いづらい。」と返答した。
④ 本件資料を作成した女性と2人組の関係を球団は把握しているかとの質問に対し,Fとは,多数回の電話をし,面会を強要されて対応する中でいろいろな話をし,女性と本件恐喝事件の2人組の関係も話をしている等と返答した。
ク 被告は,平成24年6月21日,上記カ及びキ(ア)(イ)等により得た情報等に基づき作成した本件記事1を掲載した本件雑誌を発売した。
ケ 本件記事2掲載前の被告の取材活動
(ア) I記者は,平成24年6月22日,警視庁の組織犯罪対策部の幹部や本件威力業務妨害事件を担当した警視庁捜査一課のW管理官に取材を行い,元暴力団組長であるFの事件を捜査一課が行うことになった経緯や,恐喝側が反社会的勢力であるということを原告に伝えたかを確認して欲しい旨頼んだが,原告に確認を取らないと答えられないと回答され,取材を打ち切られた(乙25)。
なお,被告は,このとき以前にFらの属性に関する警察当局への取材を行っていない。
(イ) J記者は,平成24年6月22日,「F1」の実家として割り出した徳島県の住宅を訪ねたところ,同所にはFの親族が居住していた。Fが不在であったため,J記者はFの妹と電話連絡を取り,Fと連絡を取りたいとして電話番号を伝えたところ,同月24日,FはJ記者に電話をし,以下の内容を述べた(乙13)。
① Fが「F1」という名前であることは「ミナミの極道」はみんな知っていることである。
② 「ウチの若いモン」もCもFの名前を勝手に出して,E監督に「モノ」言った。DはFの「若い衆」で,舎弟にして,杯を上げたことは「大阪のマル暴」も警視庁も知っている。
③ 平成21年6月5日に原告の広報から連絡があり竹橋で面会した際,E監督が「F1さんは関係ない」と言っているため,本件確約書を返すと言われたが,本件確約書と日記とE監督の詫び状を持って来れば受け取って目の前で燃やして終わりにする旨返答した。原告から「それはできない」「もう内偵に入ってます」と言われたため,ヤクザ者であるから警察に通報すれば罰を受けるが,出てきたらまたやってやると言った。
④ 部屋が手狭になったことからDに「仕事場にこの荷物全部運んどけ」と言った荷物の中に,本件資料だけでなくOのユニフォームなどが入った袋があり,これを見つけたDがブローカーのところへ持って行った。
⑤ 本件威力業務妨害事件について警察の取調べを受ける前,警視庁はFのことを「洗っており」,「カタギになった」といっても,事件になった時にはFは「現役の極道」であり,Dも「極道」であった。Cだけでなく,Dも「指は欠損し」ていた。
⑥ 平成21年4月に原告に電話をした2日後くらいに原告担当者からFに大阪での面会を希望するとの連絡があり面会した際,本件確約書等を見せられたが,本件確約書の字はFの筆跡に間違いなく,Fには母印を押す癖がある。DがFの知り合いのヤクザから借金した際にFが借用書に名前を書いて指印を押した白紙をDに渡したことがあり,原告から見せられた本件確約書はその白紙の借用書を勝手に使ったものであってFは知らなかった。
⑦ Cと面会した際に,CがFの昔の兄弟分と一緒に来た上にその兄弟分が若い衆を連れてきたことから,FとCが喧嘩となった。
(ウ) J記者は,平成24年6月25日,同月28日及び同月30日,Fと面会した。同面会において,Fは,本件恐喝事件に関し,Dが同事件後Fに借りていたお金を一括で返済したこと,Fが預かっていた本件資料をDに見せて,面白いから読んでみろと言ったのが本件恐喝事件の発端であること,Dが本件資料を持ち出してCと恐喝を行ったこと等を述べた。
(エ) 被告は,平成24年6月25日,原告に対し,以下の質問に対する回答を,同日午後6時までに行うよう求める文書を送付した(甲17)。
① 被告は取材により,本件恐喝事件において恐喝側とE監督側で“誓約書”が交わされている事実を把握しており,そこには本件威力業務妨害事件で警視庁に逮捕されたF1ことFの名前も記載されていたようだが,原告はこの事実を把握しているか。
② 被告による警視庁関係者への取材では,本件恐喝事件と本件威力業務妨害事件に関わっている3人のうち2人に関しては,「元暴力団員」として把握しているということだったが,原告は被告の取材や本件会見において「警視庁に聞いたところ3人とも反社会的勢力に属する者ではなかった」と述べているところ,これは警視庁の公式見解か。
③ 被告の取材の中で,Cが原告と連絡を取り合っているという複数の証言が出てきたが,なぜ恐喝の加害者と連絡を取り合っているのか。
上記質問に対し,原告は,同日,同月18日の被告の取材及び同月20日の本件会見で説明したことが全てである旨,恐喝側とE監督側との間で誓約書その他の書面を交わした事実は平成18年に限らず全くない旨,質問全体を通じ,E監督側と恐喝側の背後に何か特別な人間関係があったという誤った先入観を抱いているのではないかとの印象を受けるが,事実に反する記事によりプライバシー侵害,名誉毀損を重ねることのないよう注意を求める旨返答した(乙21)。
コ I記者は,上記カ及びケ(ア)ないし(エ)により得た情報をまとめて本件記事2を作成し,平成24年6月28日発売の本件雑誌(7月5日号)に同記事が掲載された。
(2) 違法性阻却の判断基準等
ア 上記1で認定説示したとおり,本件見出し及び本件記述を含む本件記事2の掲載は,原告の名誉を毀損する不法行為に該当すると認められるが,名誉毀損の不法行為については,その行為が公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的に出た場合に,摘示された事実が真実であると証明されたときには,当該行為には違法性がなく,不法行為は成立しないと解するのが相当である。また,摘示された事実が真実であることが証明されなくても,その行為者においてその事実を真実と信じるについて相当の理由があるときには,上記行為には故意又は過失がなく,不法行為は成立しないものと解するのが相当である(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁,最高裁昭和58年10月20日第一小法廷判決・裁判集民事140号177頁)。
イ 公益性及び公益目的の検討
本件見出し及び本件記述は,プロ野球球団であるa球団の監督であったE監督が反社会的勢力に1億円を支払ったことを前提に,これについての原告の認識,本件会見における説明内容及びその行動の動機を内容とするものであるところ,プロ野球球団を運営し,プロ野球界からの暴力団排除を牽引してきたとの原告の社会的地位及び本件会見の行われた平成24年にはプロ野球界のみならず社会全体において暴力団を含む「反社会的勢力」への対応が課題となっていたことからすれば,本件見出し及び本件記述は,公共の利害に関する事実に係るものであり,専ら公益を図る目的により掲載されたものと認めるのが相当である。
(3) 真実性又は真実相当性の前提となる「反社会的勢力」の意味について
ア 本件見出しの摘示事実は,原告がFらあるいはCらを反社会的勢力に該当すると認識していたとの事実を含むから,「反社会的勢力」の意味が問題となるところ,これについて一義的に明確な定義が存在しないことは当事者双方の認めるところであり,証拠(甲28~33,乙6,8~11)からも同様のことが認められる。
もっとも,平成19年6月に犯罪対策閣僚会議申合せとして「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(政府指針)が発出され,同指針が「反社会的勢力」を「暴力,威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」とし,その把握に際しては,「暴力団,暴力団関係企業,総会屋,社会運動標ぼうゴロ,政治活動標ぼうゴロ,特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに,暴力的な要求行為,法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である」としたこと,及び複数の企業等においてこれに沿った内容の「反社会的勢力」等への対応に関する内部規則が制定されていること(前掲各証拠)に,本件会見当時のマスメディアの報道内容等(乙1,15~18,22)に照らせば,「反社会的勢力」は,一般的には,暴力,威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人を指すものであり,典型的には,暴力団,暴力団関係企業,総会屋,社会運動標ぼうゴロ,政治活動標ぼうゴロ,特殊知能暴力集団等の集団及び個人がこれに該当するが,上記のような属性による判断だけではなく,暴力的な要求行為,法的な責任を超えた不当な要求といった行為面も考慮して総合的に判断されているものと解される。このように,「反社会的勢力」の一般的な意味としては,警察当局に暴力団該当性情報が存在する者及び捜査の結果該当性ありと判断される者を含むことは明らかであるが,必ずしもこれに限定されるものではないというべきである。このように解することは,野球協約180条1項3号が「暴力団,あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員または関係者」と列挙した上で「その他反社会的勢力」と規定していることとも合致する。
イ 上記に関し,原告は,本件見出しが取り上げた原告の本件説明は平成18年に起きた本件恐喝事件の相手方に対する評価であるとして,「反社会的勢力」該当性は平成18年当時の社会通念に基づくべきである,すなわち「反社会的勢力」の意味は平成18年当時の社会通念を基準として理解されるべきである旨の主張をする。
しかしながら,原告は,本件会見において,「平成18年当時の社会通念を前提とすると反社会的勢力に該当しない」等,本件会見時点と異なる時点を基準とした説明であるとは述べていない(甲13,14。これは,平成24年6月18日に行われた被告の原告に対する取材においても同様である〔甲12〕)。そうすると,仮に本件会見を行った原告代表者やG監査役が内心においては平成18年当時の社会通念を前提としていたとしても,被告や本件会見に出席した報道機関にとっては,原告は本件会見当時の一般的な用法に従って,「反社会的勢力」の語を使用していると解することになるのであり,本件においてこれと異なる認定をすべき事情はうかがえない。したがって,原告の上記主張は採用できない。
また,原告は,「警察から聞いたところによれば」と述べた上で反社会的勢力に該当しないとの本件説明をしたのであるから,本件説明における「反社会的勢力」とは,警視庁が反社会的勢力と認定した者を意味していたことは明らかであった旨の主張をする。
なるほど,原告は,本件会見において警察からの情報提供を根拠としている旨の書面を配布し,同様の発言をしているが(認定事実キ(ウ)),本件会見における配布文書の内容,被告の発言及び報道機関との質疑応答の内容(甲13,14)を全体的にみれば,原告が「反社会的勢力に該当しない」と説明した意味が,「反社会的勢力」の通常の用法とは異なり,警視庁が反社会的勢力と認定していない,すなわち警察当局に暴力団該当性情報が存在しないことのみを意味していたとは解することができない。このことは,本件会見に関する報道において,そのような限定がされたと報じられていないことからも裏付けられる(乙1,15~18,22)。なお,本件説明の意味内容は,これを行った原告の主観的なものと,本件説明を見聞した被告を含む報道機関等の理解した意味とがあり,両者に齟齬が生じることもあり得るところであるが,本件会見は原告が主催して報道機関等を対象に行われたものであることからすると,本件説明において用いられた用語の意味は受け手が通常理解するところに従うのが相当である(少なくとも,真実相当性の検討においては,このように解するべきである。)。このことは,被告の原告に対する取材の内容を考慮しても同様である。したがって,原告の上記主張も理由がない。
ウ 「反社会的勢力」該当性に関する真実性あるいは真実相当性の対象人物について
本件見出しの直後に記載されたリードの内容及びそれに続く本文の記載内容(甲9)に照らすと,本件見出し中の「恐喝側は反社会的勢力ではない」との記述は原告が行った本件説明の内容として記載されたものであると認められる。そうすると,「恐喝側」の意味は,原告が行った本件説明の内容に照らし判断すべきようにも思われる。しかし,本件記事2の一部である本件見出しの意味内容の検討においては,本件説明の内容がどうであったか,あるいは本件恐喝事件における行為者が誰かという観点からではなく,本件記事2を読んだ一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすると本件見出しの「恐喝側」が誰を意味すると理解されるかとの観点から検討するべきである。
この点,本件記事2の本文中には「恐喝側」との記載は用いられておらず,同記事中に「恐喝側」が誰を意味するかについての具体的な記載はない(甲9)。他方,本件見出しに続く本文のリード部分には,本件会見において,原告が「E監督に対する恐喝や球団への威力業務妨害の加害者を『反社会的勢力ではない』と述べた」として,本件恐喝事件の加害者であるCらだけでなく本件威力業務妨害事件の加害者であるFを含め「反社会的勢力ではない」と原告が述べた旨の記載があり,さらに同リード部分に続く本文には,被告が本件記事1において「元暴力団員」と記載した「加害者側」について原告が反社会的勢力ではないと主張しているとの記載に続けて,Fが元暴力団組長であることを自認していることなどFらの暴力団との関係に関する記載があり,その後にも原告が「反社会的勢力ではない」と述べる理由に関して,担当した警察官から本件威力業務妨害事件を起こした者が暴力団登録のない者であると伝えられたことが記載されているなど(甲9),Fの暴力団との関係やFに関する警察当局からの情報提供の内容に関する記載がその大部分を占めている。このような内容の本件記事2を読んだ一般読者は,本件見出しにおける「恐喝側」が,本件恐喝事件の加害者であるCらのみならず,本件威力業務妨害事件の加害者であるFを含むと理解するのが通常と解される。
したがって,原告が反社会的勢力に該当すると認識していたとの事実に関する真実性あるいは真実相当性に関し,当該認識の対象となるのは,Fら3名である。
エ 原告が「反社会的勢力ではない」と主張ないし説明しているとの事実に関する真実性について
原告が本件会見において本件説明を行ったことは当事者間に争いがないところ,原告は,自らの判断としてFらが「反社会的勢力ではない」と述べたことはないから,原告がFらは反社会的勢力ではないとの主張等をしたとの事実はない旨の主張をする。
なるほど,原告は,本件会見において,警視庁がFらの属性について調査した結果,暴力団員等としての登録はなく,反社会的勢力でもなかった旨の発言をしている。しかし,原告は,同時に「E監督が元暴力団員に一億円払っていた」ことは「事実とは異なる」等の発言をしており,本件会見における原告の発言内容を全体として見れば,原告は,本件会見当時の自らの認識として,Fらが反社会的勢力ではないとの主張あるいは説明をしたというべきである。したがって,同事実については,真実性が認められる。
オ 以上で検討したところを踏まえると,本件見出し及び本件記述による名誉毀損の不法行為の成否は,①原告がFらを反社会的勢力と認識していたか否かあるいは原告が当該認識を有していると被告が信じたことに相当な理由があったか否か,及び②原告がE監督について野球協約180条違反の問題が生じるのを避けるとの動機を有していたか否かあるいは,原告が当該動機を有していると被告が信じたことに相当な理由があったか否かに係ることとなる。
以下,上記各点について,真実相当性を検討する。
(4) 本件見出し及び本件記述に関する真実相当性の検討
ア Fらの反社会的勢力該当性についての被告の認識について
(ア) 原告がFらを反社会的勢力に該当すると認識していると被告が信じたことに相当な理由があるというためには,被告がFらが反社会的勢力に該当するとの認識を有し,かつこれについて相当の理由が存在することが必要である。
この点,被告は,本件記事1を掲載する前の取材により,本件資料がb組の西日本の有力団体の直参組長であった「F1」ことFに渡り,さらにFの「舎弟であった暴力団員」Dの手に渡ったこと,Dはかねてからの知り合いであった北海道出身の元暴力団員でありプロ野球選手の父親であるCに相談し,CからE監督の携帯電話に電話をしたこと,CとE監督との電話での会話の内容,面談の様子,E監督が1億円の金員の受渡しを個人事務所の従業員らに依頼したこと,金員交付の際に文書がやり取りされたこと,Dが北海道において交通事故により死亡し,Fが本件威力業務妨害事件を起こしたこと等を取材により把握していたと認められる(甲8,認定事実カ)。
被告が把握していた上記の各事実は,原告が公表した本件威力業務妨害事件の経緯(同事件の際,Fが「F1」を名乗り,暴力団組長であったと称していたこと,Dを自らの「舎弟」であると述べていたこと),本件記事1掲載後に被告がFに対し行った取材結果(本件資料をCらが利用するに至った経緯,「F1」とのFの署名のある本件確約書の交付,Cが元暴力団員であること等)と合致していた上,本件威力業務妨害発生当時,E監督らが原告に説明した本件恐喝事件の内容(Cらから告げられた本件資料の入手経緯,CらのE監督に対する金員要求の言辞等)と合致するものであった(認定事実ケ)。
また,本件会見を受けて平成24年6月21日の□□新聞紙上に掲載された記事には,Fについて,「この元組長は09年12月,a球団側に対する威力業務妨害容疑で逮捕された。同事件での元組長の供述調書によると,元組長は96~97年にかけて,大阪市でb組系の3次団体を立ち上げて組長になったが,07年に破門になったという。」との記載があり(乙1),t社は同社の取材結果として上記記載内容の事実を把握したものと推認される(なお,原告は,被告及びt社について,平成23年11月に原告の専務取締役球団代表等の役職を解任されたPが原告の内部文書を持ち出して漏洩した先として問題としている〔甲14,乙52〕。)。
以上に照らせば,被告が取材により得たFらの属性に関する情報は,信用性の高い取材先から得られたものであったと認められる(被告は,Cが昭和62年に経営していた飲食店で昏睡強盗を繰り返し,実刑判決を受けた者であること〔乙3〕,Cが平成17年8月に開業した旅館「q」は,平成19年に静岡県公安委員会の風俗営業許可を受けた際に物置として申請していた別棟の家屋を承認なく客室に変更したことにより,平成22年11月には都内の会社役員ら3人にコンパニオン3人が風俗営業に当たる接待をした疑いで書類送検されたこと〔乙5〕,Dが平成11年から平成14年まで政治結社fの代表であったこと〔乙34,35〕等客観的裏付けが取れる事実も取材結果として把握していた。)。
他方,被告は,本件記事1の掲載2日前に原告に対する対面取材を行い,Fから採取した指紋が元b組系暴力団員の「F1」とは一致せず,暴力団とは関係がないとの説明を警視庁から受けた旨,原告から説明を受け(認定事実キ(ア)(イ)),警察関係者に対する取材においても,本件威力業務妨害事件を担当した捜査一課が原告にFの本名はF1ではなく,暴力団登録のない別人であると説明した旨の取材結果を得ている(甲9)。しかしながら,被告は,同じ警察関係者に対する取材において,Fが警察に暴力団登録のある人物と同一人物であるとの回答も得ている上,捜査一課担当者等に対して本件記事2掲載前に取材を行ったが,原告への伝達内容等について回答を得られない状況であった。
以上の事実に,上述した「反社会的勢力」の語の一般的な用いられ方,被告がこれに沿って「反社会的勢力」該当性については行為を含めた考慮を行うべきと考えていたこと(証人I)を併せ考えると,本件記事2を掲載した当時,被告がFらを反社会的勢力に該当する者であると信じたことには相当の理由があったというべきである。
(イ) 原告は,原告のような企業が特定の者を記者会見において反社会的勢力に該当すると表明することには慎重さを要するから,警察当局に登録されているとの根拠が必要であると主張し,被告もそれを認識できた旨主張する。原告が上記のような配慮を行うことは理解できないものではないが,本件会見における配布文書の内容及び発言内容等から,原告が一般的な用法とは異なる意味で「反社会的勢力」該当性について述べたと認めることができないことは,上記(3)イで説示したとおりである。また,本件会見は,本件恐喝事件及び本件威力業務妨害事件が発生したことを前提として,これらの事件に関与した者について,氏名等個人を特定できる情報を開示せずに行われたものであったから(認定事実キ(ウ)),被告が原告の主張する上記配慮を考慮しなかったとしても,それをもって,被告がFらを「反社会的勢力」に該当する者であると信じたことについての相当の理由が否定されるとは解されない。
また,原告は,本件威力業務妨害事件の捜査を刑事部捜査一課が担当したことを根拠としてFが暴力団関係者ではなかったと主張するが,刑事部捜査一課は企業恐喝事件を分掌しており,被疑者の属性にかかわらず本件威力業務妨害事件を担当しても不合理とはいえない。特に,本件においては,同事件を刑事部捜査一課が担当することとなったのは,原告が警視庁に相談を行った平成24年4月14日当日であり(認定事実イ(エ)),この時点では原告は行為者であるFが暴力団員であると認識しており,その旨を警視庁に告げていたと解されるところ,暴力団員による企業恐喝事件を捜査一課が担当しないのであれば,この時点で捜査一課が分掌することはないと解されることからも,原告の上記主張は理由がない。したがって,同事実も被告がFらを反社会的勢力に該当する者であると信じたことについての相当の理由を否定するものではない。
イ 原告がFらを反社会的勢力に該当すると認識していると信じたことに関する真実相当性について
上述したように,被告は本件記事2を掲載するまでに行った取材に基づき,Fらが反社会的勢力に該当すると認識していたところ,上記(1)の認定事実によれば,原告は本件会見において,Fから複数回の電話連絡があり面談したことがある旨述べ,Fも被告に対して原告と面談した旨述べていた上,原告は,本件会見に先立ち行われた被告の取材等に対し,Cと面会したことを伝えたり,「Fらが反社会的勢力かどうかはしっかり調べた」旨述べている(認定事実キ(イ))。これらの事実からすれば,被告が,原告について,本件威力業務妨害事件発生当時,被害者として警察当局から情報提供を受けること,あるいは原告自らの調査により,被告が取材により得たと同様の情報を得たと信じたことには合理性があるというべきである。特に,原告は,本件恐喝事件についてE監督から直接事実関係を聴取した旨被告に説明しているところ(甲12,13),被告は,本件恐喝事件において,CらがE監督に対し暴力団組長の手元に存在した本件資料がDを経由してCの手元に来たとの説明をした事実やCがE監督に金員を要求した言辞,すなわち暴力団の威力を背景に違法不当な要求を行ったと評価し得る事実を把握していたことから,原告もE監督から同事実の説明を受けたと信じたことには合理性があるというべきである。
また,上述したように反社会的勢力については,対象者の属性だけではなく,行為面をも考慮して判断されるのが通常であり,被告もこのような理解をしていたこと,原告がプロ野球球団を運営し,暴力団排除を牽引してきた企業であることから,被告が,原告の反社会的性勢力該当性の判断も,上記のような通常の基準で行われてたと信じたことはやむを得ないというべきである。
なるほど,原告は被告の取材に対し,警察当局からF及びDについて暴力団としての登録がないことや,Cは約20年前に暴力団員ではなくなっているとの情報を提供されたと説明しているが,これらの点のみで反社会的勢力該当性を判断することは一般的なものではないことに加え,被告が取材によりFらが反社会的勢力に該当すると判断すべき確度の高い情報を得,かつ本件恐喝事件におけるCのE監督に対する金銭要求の言辞を含め,原告が同様の情報を有していると信じるについて相当の理由を有していたことからすれば,原告の上記説明を受けていたとしてもなお,被告が,一般的な「反社会的勢力」の意味を前提として,原告がFらがこれに該当するとの認識を有していると信じたことには相当の理由があったというべきである。
なお,原告と被告との間で,「反社会的勢力」の意味に関するやり取りがされたことはないものの(証人I),取材に対する対応や本件会見において,原告が用いた「反社会的勢力」の意味を一般的な用法のものとして理解することが不当であるとは解されず,上記事実をもって,原告がFらが反社会的勢力に該当するとの認識を有していると信じたことについての相当の理由が否定されることはないというべきである。
ウ 原告の動機に関する真実相当性について
上記イで説示したように,本件記事2を掲載した当時,被告は,原告がFらを反社会的勢力に該当すると認識しているとの認識を有していた。また,被告は,当時,Cらが「暴力団,あるいは暴力団と関係が認められる団体の構成員又は関係者,その他の反社会的勢力」に該当する場合には,Cらに1億円を支払ったE監督について,野球協約180条1項3号の該当性が問題となり得るとの見解を有していた(証人I)。野球協約180条に関するこのような見解は,協約の文言に明らかに齟齬するものではないこと,E監督の1億円の支払については,他の複数のマスメディアにおいても野球協約に抵触する可能性が問題視されたこと(乙15,40~44)に照らし,不合理なものであるとは解されない。
なるほど,平成24年7月30日に開催されたプロ野球暴力団等排除対策協議会においては,本件恐喝事件におけるCらに対する1億円の支払が上記条項に抵触しない旨の弁護士の見解が示されているが(甲22),野球協約違反の有無に関し判断権原を有するコミッショナーの明確な判断がなされる前に,野球協約の解釈について自らの見解を有し,これを表明することが許されないものとは解されない(これに関し,必ずしも日本野球協会の解釈に関する取材を要するものとも解されない。)。
以上のような被告の認識及び野球協約に関する見解を前提とすると,Fらは反社会的勢力に該当しないとの原告の説明を受けた被告が,原告がE監督について野球協約違反の問題が生じる可能性を回避するとの動機を有していると考えたとしても,同考えは合理的な推論に基づくものというべきである。そうであれば,原告が上記動機を有していると被告が信じたことには相当の理由があったというべきである。
(5) したがって,被告には本件見出し及び本件記載が摘示する事実が真実であると信じるにつき相当の理由があったと認められるから,本件記事2による原告の名誉毀損につき被告に故意又は過失があったとは認められず,不法行為は成立しないというべきである。
第4 結論
以上によれば,その余の争点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 倉地真寿美 裁判官 小崎賢司 裁判官 蕪城真由子)
〈以下省略〉
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