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裁判年月日 平成23年 9月28日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平２２（ワ）１３０７２号・平２２（ワ）３３６３９号
事件名 コンサルティング代金請求事件、損害賠償等反訴請求事件
裁判結果 本訴請求認容、反訴請求一部認容 文献番号 2011WLJPCA09288006
要旨
◆原告が、寺院である被告に対し、同人との間で締結した業務委託契約に基づき、業務委託料及び活動実費並びに遅延損害金の支払を求めた（本訴）のに対し、被告が、原告に対し、同人は上記業務委託契約に基づく債務を履行していないと主張して、主位的に債務不履行に基づく損害賠償請求として既払の業務委託料及び活動実費相当額の支払を、予備的に不当利得に基づき既払の活動実費相当額の支払などを求めた（反訴）事案において、被告の納骨堂への一定の集客を確保する旨の合意がなされたとの被告の主張を排斥し、原告につき債務の本旨に従った履行があったと認定して本訴請求を認容する一方、一部の既払活動実費について原告の不当利得を認定して、反訴請求のうち予備的請求を一部認容した事例
出典
参照条文
民法４１５条
民法６４３条
民法６５６条
民法７０３条
裁判年月日 平成23年 9月28日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平２２（ワ）１３０７２号・平２２（ワ）３３６３９号
事件名 コンサルティング代金請求事件、損害賠償等反訴請求事件
裁判結果 本訴請求認容、反訴請求一部認容 文献番号 2011WLJPCA09288006
平成２２年（ワ）第１３０７２号コンサルティング代金請求事件，
同年（ワ）第３３６３９号損害賠償等反訴請求事件
東京都中央区〈以下省略〉
本訴原告（反訴被告） 株式会社ジャパン・カウンセラーズ（以下「原告」という。）
代表者代表取締役 Ａ
訴訟代理人弁護士 浅見雄輔
東京都港区〈以下省略〉
本訴被告（反訴原告） Ｙ寺（以下「被告」という。）
代表者代表役員 Ｂ
訴訟代理人弁護士 笹波雅義
福田舞
布井要太郎
”
主文
１ 被告は，原告に対し，金２９９１万７０２６円並びに内金２６３５万２６００円に対する平成２１年１１月１日から及び内金３５６万４４２６円に対する平成２２年１月１日からそれぞれ支払済みまで年６分の割合による金員を支払え。
２ 被告の主位的請求を棄却する。
３ 原告は，被告に対し，金６万５１３５円を支払え。
４ 被告のその余の予備的請求を棄却する。
５ 訴訟費用は，本訴反訴を通じ，被告の負担とする。
６ この判決は，第１項及び第３項に限り，仮に執行することができる。
事実及び理由
第１ 請求
１ 本訴請求
主文第１項に同じ。
２ 反訴請求
原告は，被告に対し，金１７１１万５２３３円及びこれに対する平成２２年９月９日（反訴状送達の日の翌日）から支払済みまで年６分の割合による金員を支払え。
第２ 事案の概要
本訴請求は，原告が，被告との間において締結した業務委託契約に基づき，業務委託料及び活動実費並びに遅延損害金の支払を求めた事案であり，反訴請求は，被告が，原告において上記契約に基づく債務を履行していないと主張して，主位的に債務不履行に基づく損害賠償請求として既に支払った業務委託料及び活動実費相当額の支払を，予備的に不当利得に基づき既に支払った活動実費相当額の支払をそれぞれ求めるとともに，反訴状送達の日の翌日からの遅延損害金（利息）を求めた事案である。
１ 争いのない事実等
(1) 原告は，広告及び経営コンサルタント，市場情報の入手，世論調査，広報資料の企画，作成，援助等を主たる業務とする株式会社であり，被告は，宗教法人浄土真宗本願寺派を包括団体として，浄土真宗の教義をひろめ，法要儀式等を行うことを目的とする寺院である。
(2) 被告は，かねて寺院内に永代供養施設（以下「納骨堂」という。）の新設を計画し，その販売促進に資する広告・宣伝の方法について相談すべき人物を捜していたところ，知人を介して，原告の従業員でシニアコンサルタントのＣ（以下「Ｃ」という。）を紹介されたことから，被告代表者において，同人と面会した上，平成１９年６月２９日，原告との間において，納骨堂新設に係る販促・マーケティング活動のコンサルティング業務に関して業務委託契約（以下「本件契約①」という。）を締結し，これ以後，被告の担当にＣが就任し，上記業務を遂行した。
(3) 本件契約①は，契約期間を平成１９年１２月末までとしていたところ，合意事項の変更及び更新がなされ，平成２１年１２月３１日までとされた。
(4) 平成２１年３月１日，原告は，被告との間において，原告の納骨堂新設に伴うＰＲコンサルティング業務に関して業務委託契約を締結した（以下「本件契約②」といい，本件契約①と併せて「本件各契約」という。）。
(5) 平成２１年９月２８日，原告は，Ｃ宛て，メールを送付し，本件各契約に基づく業務を行わないよう要請した上，さらに，同月３０日，同人宛て，ファックスを送付し，「このファックスをもって業務の執行を止めてください。」と告げた。
２ 争点及びこれに対する当事者の主張
(1) 本件各契約に基づき原告が集客の義務を負ったか
（被告）
原告との間において締結された本件各契約は，単なるコンサルティング業務ではなく，被告が新設する納骨堂に関して集客すること，すなわち納骨堂施設の広告・宣伝業務を行うこと及びその準備業務であり，一定の集客をすることが原告の義務であった。具体的には，納骨堂のオープン当初に，１日当たり１００件ほどの問い合わせがあること程度の集客を約したものであるところ，原告は集客効果のある広告宣伝活動を行わず，上記集客ができなかったのであるから，債務不履行があったといわざるを得ない。
（原告）
原告と被告との間における本件各契約に基づき，原告が集客の義務を負っていたことはない。これは，契約書の文言からも明らかである。原告は，上記契約に従って業務を遂行しており，債務不履行はない。納骨堂の区画の販売は，一時的に集客し，販売する性質のものではなく，一定の時間をかけて販売していくものであるから，オープン当初に１００件もの問い合わせがあることを前提にした契約を交わすことはあり得ない上，一般的にいっても，一定の広告・宣伝によって，一定数の集客が可能であるとは誰も保証のできないことがらである。
(2) 原告の業務遂行につき善管注意義務違反ないし説明義務違反があるか
（被告）
ア 仮に，本件各契約において合意された合意内容に集客が含まれなかったとしても，原告による業務遂行は，①原告において具体的販売方法の提案をしなかった，②納骨堂のコンセプト等を決定したのは被告代表者である，③朝日新聞朝刊への全面広告実施に際し，原告は費用対効果を考慮しなかったなど善管注意義務を欠いた著しく不完全なものである。
イ また，原告は，①被告の期待する集客の見込みやマスコミによる取材が不確実であるにもかかわらず，その旨被告に説明していなかった，②活動実費が生じる業務実施に当たって，実施の理由や見込まれる効果あるいは具体的費用を被告に説明すべきであったのに，これをしていないなど付随義務である説明義務の不履行がある。
（原告）
争う。上記(1)のとおりであり，原告に善管注意義務違反ないし説明違反はない。
(3) 活動実費請求の可否
（被告）
ア 被告は，活動実費の発生自体を否認する。
原告は，活動実費を請求しているが，①同人は，活動実費を現実に支出した証拠を提出しておらず，また，②その請求には不合理・不明朗な点が多々あるほか，③一般常識に照らしても高額であることなどからすると，活動実費が現実に発生しているとの原告の主張は失当であり，原告が本件各契約に基づき活動実費を請求することはできない。
イ 仮に，活動実費が発生していたとしても，本件各契約において，活動実費の支出については被告の事前承諾を要するところ，被告はこれを承諾していなかったのであるから，原告の請求は理由がない。
（原告）
争う。原告は，被告に対し，事前におおよその見積・予算を示し，多くの場合には事前承諾を得，そうでない場合にも，事前提出の見積・予算の範囲の中で支出をし，事後に承諾を得ているのであるから，被告の主張には理由がない。また，活動実費は業界の水準に照らして，決して高額に過ぎるものではない。
(4) 不当利得返還請求の可否（被告の予備的主張）
（被告）
原告は，被告に対し，活動実費等につき，計算違い又は費用未発生のものを請求しており，被告はこれに気付かず支払っている。したがって，原告の不当利得である下記各項目掲記の金額の合計額である４０万５９７６円については，原告の不当利得であるから，被告は，原告に対し，その返還を求める。
ア 平成１９年１０月３１日付けで請求された資料検索・収集経費一式につき，５２５０円（税込み。以下同じ。）
イ 同年１１月３０日付けで請求されたインターネット調査一式につき，１万０５００円
ウ 平成１９年１１月３０日付けで請求された進行管理費につき１万５７５０円
エ 平成２０年３月３１日付けで請求されたインターネット調査一式につき，１５万２２５０円
オ 同年７月２５日付けで請求されたテレビモニター費につき３６７５円
カ 平成２１年２月２７日付けで請求されたインターネット調査一式につき，１０万５０００円
キ 上記カと同日付けで請求された進行管理費につき７８７５円
ク 平成２１年７月２５日付けで請求された会場関連費一式（室料，料理，機材等一式）につき６万４１６６円
ケ 平成２１年８月２５日付けで請求された交通通信費，雑費につき４万１５１０円
（原告）
上記ウキについては認め，その余は否認する。
(5) 錯誤（被告の予備的主張）
（被告）
ア 被告は，原告との間において本件各契約を締結する際に，各契約締結によって，１日に１００件は下らないほどの問い合わせが殺到するような，相当程度の集客効果のある業務が行われるものと誤信した。しかし，実際には，そのような高度な集客効果を予定した業務遂行が予定されているのではなかったのであるから，本件各契約締結時のいずれの際の被告の意思表示にも動機の錯誤があるところ，上記動機の錯誤はいずれも明示又は黙示に表示されており，原告もこれを知っていたのであるから，本件各契約は錯誤により無効である。
イ また，朝日新聞に掲載された納骨堂の全面広告の実施についても，費用と見合う広告効果（広告費用を支出してもそれを上回る利益が上がるだけの納骨堂区画の成約数が見込める集客効果）があることを前提とし，あるいは，問い合わせに対応するため電話回線を増やす必要があるほどの問い合わせが多数来るような広告効果があることを前提として，被告は承諾の意思表示をしたのであって，現実にはかかる効果はなかったのであるから，上記意思表示は錯誤に基づくものであって，無効である。
（原告）
上記(1)のとおり，本件各契約は，集客を約束するものではない。また，原告において，被告に対し，集客について約束した事実はない。被告は，契約書の文言によって，本件各契約の内容を認識しており，また，原告が行った業務活動について，その都度その内容を認識し，何らの異議を述べてこなかったのであるから，被告に錯誤はない。仮に，被告につき錯誤があったとしても，そのような誤信には重過失が存する。
第３ 争点に対する判断
１ 事実認定
前記争いのない事実，証拠（甲２，４ないし２１，３４，６１，６３ないし６６，乙１２，証人Ｃ，被告代表者本人）及び弁論の全趣旨によれば，以下の事実が認められる。
(1) 被告は，老朽化した本堂の建設資金を捻出するため，寺院の駐車場部分に納骨堂を新設し，収益を図ることを計画した。その広告・宣伝について相談すべき人物を捜していたところ，檀家である知人を介して，Ｃを紹介され，同人と面会した上で，原告との間において，下記(2)の契約を締結することとした（甲６１，乙１２，証人Ｃ，被告代表者本人）。
(2) 平成１９年６月２９日，原告は，被告との間において，「覚書」と題する書面（甲２）をもって，要旨，以下のとおり本件契約①を締結した。
ア 被告は，被告の納骨堂新設計画における販促・マーケティング活動のコンサルティング業務（以下「本件販促等業務」という。）を原告に委託し，原告はこれを受託する。
イ 原告による本件販促等業務には，以下の内容が含まれる。
（ア） 被告並びに本件販促等業務関係者との必要に応じたミーティングへの原告の参加と，ミーティングでの原告による各種提言。
（イ） 販促・マーケティング活動（広告・ＰＲ含む）に関する原告による各種助言・計画策定
（ウ） 上記計画策定に必要な関連資料の収集，調査実施
ウ 原告による本件販促等業務の期間は，平成１９年７月１日から同年１２月３１日までの６か月間とする。
エ 原告又は被告は，相手方に本覚書債務の不履行があった場合において，合理的期間を定めた書面による催告をしてもなお是正されない場合には，相手方に対する書面による通知をもって，本覚書を解除できるものとする。
オ 原告は，本件販促等業務の提供の対価として，以下の基本料，並びに活動実費を，毎月月末までに計算根拠を明示した上で被告に請求し，被告は，かかる請求金額を確認の上，原告の請求書発行月の翌月末日までに，原告の指定する金融機関の口座に，その請求分を振り込むことにより支払うものとする。
（ア） コンサルティング基本料（１日平均１時間×実働２０日間の業務を前提とする。）
ａ ２５万円／月…特価（＠１万２５００円×１ｈｒ×２０日 添付資料（略）参照）
ｂ 活動実費（発生月ごとに，原告被告事前合意の上，都度清算 添付資料（略）参照）
① 上記基本料でカバーされる業務時間を超過した際の人件費
② 対外的に提出する各種ドキュメント作成費（原告被告間で交わされる書面を除く）
③ 計画策定用資料収集経費ないし調査費
④ 地方出張経費（交通費，宿泊料等…必要に応じて）
ｃ 各活動実費の１７．６５％を管理料として請求する。
(3) 本件販促等業務は，上記(2)ウのとおり６か月間の予定だったが，納骨堂新設の見込みがずれ込んだため，原告は，被告との間において，平成２０年１月１日から同年１２月３１日まで１年間延長する旨合意した（甲６１）。
(4) 平成２１年３月１日，原告は，被告との間において，本件契約①の合意内容につき，「覚書」と題する書面（甲３）をもって，概略，下記のとおり変更する旨合意した。
記
上記(2)イの本件販促等業務に以下の内容を追加する。
ア（ア） 販促・マーケティング活動（広告・ＰＲ・ホームページ運営）遂行における，各協力会社（広告代理店，広告制作会社，ホームページ運営会社）への各種ディレクションないし統括業務
（イ） 新設される納骨堂の販売推移に応じた，各種販売促進策の提言
イ 上記(2)ウの本件販促等業務の期間を以下のとおりとする。
（ア） 平成２１年１月１日から同年１２月３１日までの１２か月間とする。
（イ） なお，原告被告双方より，期間満了の１か月前までに書面による解約の通知がない場合は，本件販促等業務は同一条件で自動的に１年間延長されるものとする。
(5) 平成２１年３月１日，原告は，被告との間において，「覚書」と題する書面（甲４）をもって，概略，下記のとおり本件契約②を締結した。
記
ア 被告は，被告の納骨堂新設に伴うＰＲ活動のコンサルティング業務（以下「ＰＲコンサルティング業務」という。）を原告に委託し，原告はこれを受託する。
イ 原告によるＰＲコンサルティング業務には，以下の内容が含まれる。
（ア） マスコミ機関とのコンタクト（プレスリリース発信，原告への取材アレンジ，並びにマスコミからの問い合わせ対応全般）
（イ） 被告，並びにＰＲコンサルティング業務関係者との必要に応じたミーティングへの参加とミーティングでの各種提言
（ウ） マスコミによる被告への取材時の立会
（エ） 主要新聞，雑誌の永代供養・納骨堂関連記事のモニタリングと被告への提出
（オ） 月別活動報告書作成と被告への提出
ウ 原告によるＰＲコンサルティング業務の期間は，平成２１年３月１日から同年１２月３１日までの１０か月間とする。なお，原告被告双方より，期間満了の１か月前までに解約の通知がない場合は，ＰＲコンサルティング業務は同一条件で自動的に１年間延長される。
エ 原告又は被告は，相手方に本覚書債務の不履行があった場合において，合理的期間を定めた書面による催告をしてもなお是正されない場合には，相手方に対する書面による通知をもって，本覚書を解除できるものとする。
オ 原告は，ＰＲコンサルティング業務の提供の対価として，以下の基本料，並びに活動実費を，毎月月末までに計算根拠を明示した上で被告に請求し，被告は，かかる請求金額を確認の上，原告の請求書発行月の翌月末日までに，原告の指定する金融機関の口座に，その請求分を振り込むことにより支払うものとする。
（ア） ＰＲ活動コンサルティング基本料
３５万円／月（期間総計３５０万円）消費税別
（イ） 活動実費（発生月ごとに，原告被告事前合意の上，都度清算）
ａ プレスリリース，対外的に提出する各種ドキュメント作成費
ｂ 上記プレスリリースなど，ドキュメント発送経費
ｃ 交通通信費
ｄ その他調査費，イベント運営費など（各活動実費の１５％を管理料として請求する。
(6)ア 平成１９年７月から平成２２年９月までの間，Ｃは，本件業務として，①納骨堂の新設計画に関する会合に参加し，各種提言をしたほか，②納骨堂に関連する報道や情報の収集及び被告への提供，③納骨堂のコンセプトの妥当性，インターネット調査等，納骨堂のネーミング開発やロゴマーク開発，ＰＲ活動展開，ウェブサイトのリニューアル計画，広告出稿計画の策定を行うとともに，上記業務遂行の経費概算について書面を作成し，被告代表者に示して，説明を行った。
この間の平成２１年２月２４日には，Ｃにおいて，本件販促等業務に係る販促活動計画を書面（甲１６）にまとめ，原告に交付した。
イ また，平成２１年３月から同年９月までの間，原告担当者Ｃは，同担当者Ｄ（以下「Ｄ」という。）とともに，ＰＲコンサルティング業務として，①調査結果を活用した情報発信，②メディアフォーラムの開催，③納骨堂新設発表に関する情報発信，④住職ブログ開設及びその更新サポート，⑤月別報告書の作成及び提出等の業務を行うとともに，被告代表者に説明を行った。
（甲１１ないし２１，４７ないし５３，６１，６３ないし６６，証人Ｃ，弁論の全趣旨）
(7)ア 本件業務及びＰＲコンサルティング業務（以下「本件各業務」という。）は上記のとおり遂行され，平成２１年８月までの間，被告から原告に対し，業務内容の是正を要求するなどのクレームがなされることはなく，被告は，原告の請求する活動経費の支払を怠ることもなかった。
イ 活動実費の支払については，平成１９年７月の請求では，原告において事前に見積書を作成して被告代表者に示し承諾を得ていたが，その後は，Ｃが，被告代表者に対し，口頭で事前に承諾を得た場合もあったものの，事前の承諾を得ずに，活動実費を費消した後，同額を記載した請求書を被告代表者に示して，その支払を受ける場合もあった。
ウ（ア） 平成２１年２月２３日ころ，Ｃは，今後予定するＰＲ活動，ホームページ制作，広告等の経費について，被告代表者から了承を得る目的で，被告「納骨堂新設コミュニケーション活動経費一覧（案）」（甲１７）を作成し，被告代表者に示した。
（イ） 同書面は，原告提案の経費を表示したものであったことから，上記説明後に，被告代表者から具体的に支出可能な予算が約３０００万円である旨聴取し，その上で，同年３月１２日ころ，同一覧（案）（甲１８）を作成し，被告代表者に示した。
（ウ） その後，被告代表者から，パンフレットや各種ステーショナリーの制作を追加するよう依頼されたことから，Ｃにおいて，同年５月２６日，同年８月２７日，同年９月１１日，同一覧（案）（甲１９ないし２１）を作成し，それぞれ，同時期に，被告代表者に示した上，その了承を得た。
（甲１７ないし２１，６１，証人Ｃ，弁論の全趣旨）
(8)ア 平成２１年９月１０日，被告は，朝日新聞朝刊に，被告の新設する永代納骨堂「○○」が同月１１日から第１期販売を開始する旨の全面広告を出稿した。
イ 上記出稿後，同月１０日に，上記納骨堂についての電話・メールによる問い合わせ件数は２２件であった。
（甲３４，６１）
(9) 平成２１年９月２８日，原告は，被告担当者Ｃ宛て，メールを送付し，本件業務を行わないよう要請した上，同月３０日，ファックスを送付し，上記(2)の覚書について，「このファックスをもって業務の執行を止めてください。」と告げた（甲５，６）。
(10) 原告が被告からの上記(9)のファックス送付を受けるまでに発生したコンサルティング契約等に基づく未払の業務委託料及び活動実費の合計は以下のとおり２９９１万７０２６円であり（甲７ないし１０），支払期日は，原告の請求書発行月の翌月末日である（上記１(2)(5)）。
ア（ア） 請求日 平成２１年９月２５日
（イ） 請求業務 納骨堂新設計画 ＰＲ業務・Ｗｅｂ制作関連経費
（ウ） 請求金額 ３８９万２０５７円
イ（ア） 請求日 平成２１年９月２５日
（イ） 請求業務 納骨堂新設計画 広告出稿関連経費（９月分）
（ウ） 請求金額 １４７１万１０２５円
ウ（ア） 請求日 平成２１年９月２５日
（イ） 請求業務 納骨堂新設計画 パンフレット・ステーショナリー制作関連経費
（ウ） 請求金額 ７７４万９５１８円
エ（ア） 請求日 平成２１年１１月１０日
（イ） 請求業務 納骨堂新設計画 １０月度広告出稿関連経費・ＨＰ関連経費
（ウ） 請求金額 ３５６万４４２６円
２(1) 争点(1)について
被告は，本件契約①の締結に先立ち，Ｃに対し，納骨堂への集客を任せたものであり，かつ，同人が確実な成果を保証したなどとして，一定の集客をすることが本件各契約の債務の内容となっている旨主張し，被告代表者はこれに沿った供述をするところ，Ｃはかかる言動ないし合意があったことを否定する。
そこで検討するに，前記認定事実（上記１(2)(5)）によれば，本件各契約における原告の業務は，被告の行う納骨堂の販売に際して，その促進を図るため各種提言をなし，その過程において，Ｃらが被告らの主宰する各種会合へ参加するほか，販促に係る計画を策定するなどの本件販促等業務と，プレスリリース発信，原告への取材アレンジ，取材時の立会，新聞及び雑誌の永代供養・納骨堂関連記事のモニタリングと原告への提出などのＰＲコンサルティング業務であって，本件各契約に際して交わされた覚書の文言上，一定の集客を確保する旨の合意がなされたと解すべき記載は見当たらない。また，上記業務の性格上，原告において，その成果（集客）を保証することは困難といえる。
以上によれば，上記被告の主張はこれを認めるに足らない。
(2) 争点(2)について
被告は，原告との合意内容に集客が含まれなかったとしても，原告による業務遂行は善管注意義務を欠いた著しく不完全なものであり，また，少なくとも付随義務である説明義務の不履行があると主張する。
しかし，前記認定事実（上記１(6)）のとおり，Ｃ及びＤは，本件各契約の合意事項に従って，被告代表者に随時業務内容を説明の上，各種業務を遂行したことが認められるところである。そして，同（上記１(7)）のとおり，平成２１年８月までの間，被告から原告に対し，業務内容の是正を要求するなどのクレームがなされることもなく，被告が原告の請求する活動経費の支払を怠ることもなかったことからすると，被告においても，Ｃらの業務遂行について，これを是認していたものと解される。
以上によれば，原告担当者のＣは合意に従った内容の業務を遂行したものと認められ，原告につき債務の本旨に従った履行があったものというべきであるから，被告の上記主張は採用できない。
(3) 争点(3)について
ア 被告は活動実費の発生を否認するが，下記(4)イで指摘する部分を除いて，その発生は，証拠（甲７ないし１０，１７ないし２１，乙１６ないし６１，６３ないし８５，証人Ｃ）及び弁論の全趣旨により認められる。
イ 被告は，活動実費について事前に承諾を与えたことはなかったから，その支払義務はないと主張する。
（ア） 前記認定事実（上記１(7)イ）によれば，本件契約①を締結した当初の平成１９年７月の請求では，原告において事前に見積書を作成して被告代表者に示し承諾を得ていたものの，その後は，事前の承諾を得ずに，活動実費を費消した後，同額を記載した請求書を被告代表者に示してその支払を受ける場合もあったことが認められる。他方，前記認定事実（上記１(7)ア）によれば，平成２１年８月までの間，活動実費を含めた原告の請求金額を含めて被告から原告に対しクレームがなされたことはなく，被告において原告の請求どおり支払を実行していたことが認められる。
以上によれば，上記ア（イ）を除く活動実費の一部につき，事前に被告代表者の承諾を受けずに支出されたものがあったものの，平成２１年８月までの間は，被告においてこれを追認したものと解することができる。
（イ） 他方，本訴請求に係る活動実費については，前記認定事実（上記１(7)ウ）のとおり，あらかじめＣにおいて書面を作成し，被告代表者との間において，同実費の内訳及び概算費用について事前承諾を得ていたことが認められる。
以上のとおりであるから，被告の上記主張は採用できない。
(4) 争点(4)について
ア 活動実費の発生については，上記(3)アのとおりである。
イ（ア） 原告の下記各費用の請求につき，被告は，いずれも過大請求であることを知らずに支払ったと主張するところ，同事実は当事者間において争いがない。
ａ 平成１９年１１月３０日付けで請求された進行管理費につき１万５７５０円
ｂ 平成２１年２月２７日付けで請求された進行管理費につき７８７５円
（イ） 原告が，被告に対し，平成２１年８月２５日付けで請求した交通通信費，雑費のうち４万１５１０円について，被告は，本件各業務との関連性がなく，活動実費とはいえないから，原告の不当利得であると主張する。
証拠（甲６５，乙６１，６２，証人Ｃ）及び弁論の全趣旨によれば，上記費用は，平成２１年７月２３日，Ｃにおいて，Ｅ氏及び読売Ｆ氏との会食に要した費用合計３万８６４０円と，同月２４日に上記会食を終えて深夜帰宅した際に要したタクシー費用２８７０円であり，原告は，被告に対し，平成２１年８月２５日付け請求書において，上記費用を「交通通信費，雑費（７/２３Ｅ氏，「読売」記者会食費含む）」との名目で請求した。
しかし，同月２３日のＣが行った本件各業務の内容は，①ウェブリニューアル及び広告出稿（ページ構成，メールでの打合せ進行，朝日新聞への広告出稿に必要な書類の確認），②広告ビジュアル（日経社，パブロ社双方で役割分担など打合せ済みの旨確認，パブロ社へ撮影スケジュールの変更を伝達）と認められるところであり，読売新聞記者らとの上記会食については，Ｃにおいて本件各業務の内容とみなしていなかったものといえる。
そうすると，上記会食及び深夜タクシーの利用と本件各業務との関連性が明らかとはいえず，上記請求金額については，活動実費ということはできず，原告の不当利得というべきである。
（ウ） 原告が悪意の受益者であるとの主張・立証はない。
（エ） 以上によれば，原告は，被告に対し，不当利得に基づき，既に支払を受けた活動実費相当額合計６万５１３５円を支払う義務がある。
(5) 争点(5)について
ア 被告は，争点(4)のとおり主張するが，上記(1)においてみたとおり，Ｃにおいて集客を保証するとの言動があったと認めるに足りず，また，本件各契約の合意内容にも集客を保証する旨の合意は見当たらないこと，業務の性格上，黙示にも，その成果を保証するものとは解せられないことからすると，被告代表者において錯誤が存したとする被告の主張は採用できない。
イ 被告は，被告代表者において，Ｃの言により，事実と異なり，朝日新聞の全面広告及び麻布十番駅看板広告の掲載等により同広告のための支出金額の２，３倍の売上が見込まれるものと誤信したと主張し，被告代表者はこれに沿う供述をする。
そこで検討するに，平成２１年２月ころ，Ｃが作成し，被告代表者らに示し，同人の了承を得た「納骨堂新設コミュニケーション活動計画案（概要）」（甲１６）及び弁論の全趣旨によれば，①新聞広告ないし交通広告は，納骨堂等の購買層である５０代から６０代の女性が普段よく見る広告媒体であることから，同広告への出稿により，同人らに，被告納骨堂の存在を気付いてもらうことを目的としたこと，②販売開始時である平成２１年９月初旬ころに新聞広告，新聞折込広告等を重点的に行い，同年彼岸ころから１０月ころに更なる新聞広告，テレビ・ラジオＣＭ，駅・車内広告により注目最大化を図ること，そして，同年１１月以降に，インターネット広告等による効率的な顧客獲得を図ることが計画されていたことが認められる。このような広告計画を立案したＣにおいて，新聞広告ないし交通広告の掲載によって，即，集客の効果が表れるものとして，その旨被告代表春に伝えることは考え難く，また，上記活動計画案を示されていた被告代表者においても，上記主張のように誤信したと認めるに足らない。上記主張は採用できない。
３ 以上によれば，原告の本訴請求は理由があるから全部認容し，被告の反訴請求は，主文の限度で理由があるからこれを認容し，その余を棄却することとして，主文のとおり判決する。
（裁判官 塚原聡）
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Q&A【4】ポスターの①貼付依頼～②貼付開始～③貼付完了等の流れについて教えていただけますか？
Q&A【5】ポスターの料金は１枚いくらで貼ってくれるのですか？
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか？
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか？
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか？
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか？貼りっぱなしではないですか？
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか？
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