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裁判年月日 平成16年 5月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平13(ワ)9414号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2004WLJPCA05310006
要旨
◆外国製自動車販売店と特定ドイツメーカー車の販売に関する取引契約を締結していたが、当該車種のブランドセパレーションによる販売政策の一環としてした契約の更新拒絶には一応の合理性、相当性があるとして、更新拒絶を受けた販売会社からの自動車等の製品の継続的な引渡しを受けるべき地位の確認(主位的請求)及び債務不履行による損害賠償請求(予備的請求)をいずれも棄却した事例
出典
新日本法規提供
参照条文
民法1条2項
民法1条3項
裁判年月日 平成16年 5月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平13(ワ)9414号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2004WLJPCA05310006
原告 欧米自動車工業株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 酒井清夫
同 小池剛彦
同 宮崎好廣
同 田邊勝己
同 高橋勇
被告 アウディジャパン株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 近藤惠嗣
同訴訟復代理人弁護士 梅澤健
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 主位的請求
(1) 原告が、被告との間の平成10年4月1日の販売店契約に基づき、被告から、ドイツ連邦共和国法人アウディ・アー・ゲーの製造する自動車等の製品の継続的な引渡しを受けるべき地位にあることを確認する。
(2) 被告は、原告に対し、平成13年1月1日から上記(1)の製品引渡し開始時まで年3035万8432円の割合による金員を支払え。
2 予備的請求
被告は、原告に対し、1億2051万5754円及びこれに対する平成13年1月1日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、ドイツ連邦共和国(以下「ドイツ」という。)法人アウディ・アー・ゲー(以下「アウディ」という。)の製造する自動車(以下「アウディ車」という。)等の製品(以下「アウディ製品」という。)の供給を目的とした販売店契約(以下「本件契約」という。)を被告との間で締結した原告が、被告に対し、主位的に、被告による本件契約の更新拒絶(以下「本件更新拒絶」という。)が無効であるとして、本件契約に基づき被告からアウディ製品の継続的な引渡しを受けるべき地位にあることの確認を求めるとともに、被告が平成13年1月1日からアウディ製品を引き渡さないことが本件契約上の債務不履行を構成するとして、これに基づく損害賠償を求め、予備的に、本件更新拒絶が本件契約上の債務不履行を構成するとして、これに基づく損害の一部の賠償を求めた事案である。
1 争いのない事実等
(1) 原告は、自動車の販売等を業とする株式会社であり、札幌市内に本店を有し、埼玉県川越市内及び東京都港区内に支店を有する。
(2) アウディは、ドイツ法人フォルクスワーゲン・アー・ゲー(以下「フォルクスワーゲン」という。)の子会社であり、被告は、アウディの子会社である。
フォルクスワーゲンの子会社であるフォルクスワーゲングループジャパン株式会社(平成8年9月1日までの商号はフォルクスワーゲンアウディ日本株式会社。以下「VGJ」という。)は、平成10年3月31日まで、フォルクスワーゲンの製造する自動車(以下「フォルクスワーゲン車」という。)等の製品(以下「フォルクスワーゲン製品」という。)及びアウディ製品の輸入、販売等を独占的に行っていたが、翌4月1日、被告に対し、アウディ製品の輸入、販売等に関する営業を譲渡し(以下「本件営業譲渡」という。)、同日以降はフォルクスワーゲン製品の輸入、販売等を独占的に行っている株式会社である。
被告は、本件営業譲渡に伴い、同日、商号をファーレン東京株式会社から現商号に変更し(甲23、乙1)、同日から、アウディ製品の輸入、販売等を独占的に行うようになった。
(3) 原告は、VGJとの間で、平成4年4月20日、「フォルクスワーゲン製品並びにアウディ製品にかかわる取引基本契約書」(甲ロ1。以下「本件旧契約書」という。)により、期間を同日から平成7年12月31日まで(ただし、当事者が期間満了の6か月前までに更新をしない旨の通知をしなかったときは、期間1年の約定で更新される。)とし、原告の本店を店舗に使用することとして、フォルクスワーゲン製品及びアウディ製品の供給を目的とする販売店契約(以下「本件旧契約」という。)を締結し、「ファーレン札幌中央」の名称を掲げてVGJの販売店としての営業を行うようになった。
(4) 本件営業譲渡に伴い、原告は、VGJとの間で、平成10年4月1日、それまで更新されていた本件旧契約に代えて、「フォルクスワーゲン製品にかかわる取引基本契約書」(甲ロ2)により、期間を同日から同年12月31日まで(ただし、当事者が期間満了の6か月前までに更新をしない旨の通知をしなかったときは、期間1年の約定で更新される。)とし、原告の本店を店舗等に使用することとして、フォルクスワーゲン製品の供給を目的とする販売店契約を締結し、引き続き、「ファーレン札幌中央」の名称でVGJの販売店としての営業を行った。
(5) 本件営業譲渡に伴い、原告は、被告との間で、平成10年4月1日、それまで更新されていた本件旧契約に代えて、「アウディ製品にかかわる取引基本契約書」(甲ロ3。以下「本件契約書」という。)により、期間を同日から同年12月31日まで(ただし、当事者が期間満了の6か月前までに更新をしない旨の通知をしなかったときは、期間1年の約定で更新される。)とし、原告の本店を店舗等に使用することとして、アウディ製品の供給を目的とする販売店契約(本件契約)を締結し、「ファーレン札幌中央」の名称で被告の販売店としての営業を行うようになった。
(6) 被告は、原告に対し、平成12年3月31日ころ、本件契約を更新しない旨の通知をした(本件更新拒絶)。
(7) 被告は、トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という。)との間で、被告を輸入者、トヨタを卸売業者として、アウディ製品の供給を目的とした基本契約(以下「卸売店契約」という。)を締結し、トヨタと販売店契約を締結していた「デュオ」という名称を掲げる多数の販売店(以下「デュオ店」という。)にアウディ車の販売を行わせていたが、平成12年1月ころ、トヨタとの間で、アウディ車に関する取引を終了させることとし、卸売店契約を同年末で解除する旨の合意をした(乙2、乙ロ1、被告代表者本人)。
被告は、原告と同様の販売店契約を締結していた「ファーレン」という名称を掲げる多数の販売店(以下「ファーレン店」という。)に対し、いずれも、同年3月31日ころ、各販売店契約を更新しない旨の通知をした。
(8) 被告は、平成12年3月ころから、被告の指定する地区ごとに、既存のファーレン店やデュオ店に限らず広く一般から、アウディ製品を取り扱う販売店を募集した(以下「本件募集」という。)。
原告は、本件募集を受けて、被告に対し、被告の指定する「札幌東エリア」及び「所沢・川越エリア」につき、それぞれアウディ製品販売店として応募したが、被告は審査の上、同年10月4日ころ、原告の応募をいずれも断った。
2 争点
(1) 本件更新拒絶の効力
(原告の主張)
ア 本件旧契約及び本件契約の特性
VGJないし被告は、世界的ブランドとして確立されているドイツの高級自動車であるアウディ車の日本における輸入販売権を独占的に有している会社であり、国内においてアウディ車を販売するためには、VGJないし被告と販売店契約を締結してアウディ車の供給を受ける以外に方法はない。
そして、VGJないし被告は、アウディ車のブランドイメージを維持し、組織的な販売効率を達成するため、販売店となろうとする企業に対し、世界的にみても厳しい基準を設定して多額の設備投資をさせ、基準を満たした企業にのみアウディ車の取扱いを認めてきた。
以下に述べるように、アウディ車の正規販売店となるためには、初期投資として、販売設備を含めて十数億円規模の設備投資を要し、事務所、ショールーム、整備工場を完備し、営業部員や熟練した修理工員を確保する必要があるばかりか、その後も販売戦略に合わせて設備の更新や人員の訓練に継続的な資本投下を余儀なくされ、現に、原告もわずか8年の間に既に確保していた土地建物を除いても2億5000万円以上の設備投資をしてきた。他方、こうした投下資本は、営業設備等をフォルクスワーゲン車及びアウディ車以外の自動車(以下「他車」という。)の販売に転換することは難しく、取扱商品の販売によってしか回収の方法がない。
このような多額の投資と厳格な責任を求められる本件旧契約及び本件契約の性質からすれば、契約期間の設定いかんにかかわらず、契約の長期間の継続が予定され、期待される。本件旧契約書及び本件契約書も、自動更新条項を有し、契約の長期継続を予定しており、実際にも、本件旧契約及び本件契約は自動更新が繰り返され、本件更新拒絶までに通算8年間継続していた。
したがって、被告による更新拒絶は、合理的な理由がない限り、信義則上許されない。
(ア) 原告は、昭和46年4月創業の会社であり、札幌市の中央に位置する白石区に本店を有し、「メルセデスベンツ」や「BMW」の商標の自動車等の外国車の直輸入販売を手掛けるなどして年商50億円を売り上げる輸入自動車販売業者として活動してきたが、北海道地区でのフォルクスワーゲン車及びアウディ車の拡販をもくろんでいたVGJの強い働きかけにより、平成4年4月から、将来的展望の下にフォルクスワーゲン車及びアウディ車の正規販売店として販売活動に乗り出すことになった。
原告にとって、フォルクスワーゲン車及びアウディ車の正規販売店となるということは、高級ブランド維持のための厳しい基準を満たすべく、多額の設備投資を必要とするだけでなく、北海道地区で20年かけて獲得してきた顧客に対する他車販売の利益を喪失することを意味したが、VGJとの折衝の上、長期的展望の下で正規販売店となる道を選択した。
(イ) 原告は、アウディ車及びフォルクスワーゲン車の正規販売店になるために、札幌市白石区に保有していた約1000坪の土地及び同土地上の建物の大部分(簿価10億円以上)をアウディ車及びフォルクスワーゲン車の販売のために提供し、1600万円以上の資金をつぎ込んで専用のショールームを新設した上、VGJの指導により、子会社の商号をファーレン札幌中央株式会社に変更し、同社を業務管理に当たらせた。
原告が初期投資として支出した費用は、次のとおり総額7525万5790円となる。
a ショールーム新築費用 6431万1900円
b ショールーム改装費用 598万8000円
c 立て看板の設置等に関する費用(以下「CI関係費用」という。) 495万5890円
(ウ) 原告は、平成4年5月、従前の正規販売店であった株式会社ヤナセ(以下「ヤナセ」という。)に代わり、札幌市における唯一の正規販売店として、フォルクスワーゲン車及びアウディ車の取扱いが認められると同時に、札幌市を責任地域として販売目標が設定され、種々のセールスプロモーションの実施を義務付けられることになり、3000万円以上の多額の宣伝広告費を投じ、従前の顧客にも積極的に他車からフォルクスワーゲン車及びアウディ車への買換えを推進した。
原告は、8年間にわたり、アウディ車の販売のために、次のとおり合計3億0121万4486円の投資をした。
a デモンストレーション用自動車(以下「デモカー」という。)購入費用 8821万4486円
b CI関係費用 800万円
c 工場及びショールーム建築費用 1億8000万円
d 設備一式 2500万円
(エ) 原告は、他車の販売を犠牲にしてフォルクスワーゲン車及びアウディ車を重点的に取り扱った結果、正規販売店となった前後の3年間を比較検討すれば、年間売上げで2億5800万円、年間売上利益で9900万円の業績低下を招いた。したがって、原告が失った営業上の利益は、8年間で最低でも7億9200万円になる。
(オ) 他にも、正規販売店には、責任領域全域で販売促進を行うための販売サービス網及び組織を維持する義務及び製品販売後においても効率的なアフターサービスを提供する義務等が課されており、原告は、フォルクスワーゲン車及びアウディ車のための営業社員及び技術社員を配置し、教育してきており、人的面での継続的投資も行ってきた。
(カ) 原告は、平成12年には、VGJ及び被告から、フォルクスワーゲングループの販売代理店として、国際標準化機構の定める国際規格である「ISO9002」の認証を取得することを求められ、10か月以上かけて監査を受け、設備関係だけでも1740万円以上の費用をかけて業務改善を図り、上記認証を取得した。
(キ) 原告は、アウディ車について、次のとおり、全国の販売店の中でもトップクラスの販売実績を残しており、アウディ車は、原告の全社の売上げの1割ないし2割を占める重要な取扱車種となり、営業展開上不可欠の商品となった。
平成4年度 54台 2億5298万円
平成5年度 36台 1億6435万円
平成6年度 57台 2億5490万円
平成7年度 101台 4億8248万円
平成8年度 69台 2億9578万円
平成9年度 51台 2億5694万円
平成10年度 44台 2億2476万円
平成11年度 34台 1億8438万円
イ 本件更新拒絶が信義則上許されず、また、権利濫用に当たること
(ア) ブランドセパレーションについて
被告が本件更新拒絶の合理性として主張するところは、本件契約書上の期間の満了という形式的理由以外には、フォルクスワーゲン製品とアウディ製品の販売拠点を分ける(ブランドセパレーション)ということに尽きる。
しかし、同一の販売拠点で一緒に販売してきたフォルクスワーゲン製品とアウディ製品とを別個の理念に基づいて販売すべく、従前の販売拠点を二つに分離するということは、経営戦略として理解できなくはないが、それは契約の一方当事者である被告側の一方的理由であって、本件旧契約に基づいてフォルクスワーゲン車とアウディ車の両方の販売を認められてきた原告からアウディ車の販売権を取り上げる正当な理由にはならない。
販売拠点を分離するというならば、販売拠点を二つ設ければ済むことであって、引き続きアウディ車の販売を希望する代理店に対してアウディ車についての販売店契約を打ち切ることは必要なく、また、相当でもない。
現に、ブランドセパレーション以後、両ブランドを別個の販売拠点で販売している販売店は全国に存在しているし、同じ敷地の同一建物内で階を分けてアウディ車とフォルクスワーゲン車を販売している販売店さえ存在している。
なお、大衆向けのフォルクスワーゲン車と最高級車を標ぼうするアウディ車は、顧客層を異にし、正規代理店としては、両方を扱えることで経営が成り立つ。
(イ) 本件旧契約書6条2項について
被告は、アウディ車の供給停止が実質的には取扱車種の変更であるとして、本件旧契約書6条2項により被告は自由にこれを行い得る旨主張するが、明らかに不当な解釈である。
もともと、原告は、その成り立ちからして全く異なるブランドであるフォルクスワーゲン車とアウディ車の取扱いを認められているもので、独立したブランドであるアウディ車の取扱いを全面的に停止することは本件契約書6条2項の問題ではない。
(ウ) 被告の権利濫用
a VGJ及び被告は、場当たり的な経営戦略を展開し、本件旧契約及び本件契約の精神を踏みにじり、次のとおり、原告の契約上の地位を侵害した。
b VGJは、従前、日本におけるフォルクスワーゲン車及びアウディ車の販売を大手販売会社であるヤナセに取り扱わせていたが、平成3年、販売戦略等の対立からヤナセが販売権を返上することになったため、ヤナセに代わる販売網を早期に構築する必要に迫られ、全国の有力な外国車販売会社に働きかけて代理店を募り、「ファーレン」という統一商号でフォルクスワーゲン車及びアウディ車の販売に当たらせた。
しかし、VGJは、ファーレン店による販売網を編成しておきながら、平成4年ころから国内最大の自動車会社であるトヨタに急接近し、その販売店であるデュオ店にフォルクスワーゲン車及びアウディ車の取扱いを認めることにし、ファーレン店の任意加盟団体である全国ファーレン販売店協会(以下「ファーレン会」という。)の承諾を得ることなく、ファーレン店とデュオ店の2系列での販売を強行した。
テリトリー制の下で一手販売権を付与することを基本とする販売店契約においては、同一責任地域内における競合代理店の出店は原則的には認められるべきでないにもかかわらず、VGJは、上記のように、原告の責任地域内において、その承諾を得ることなく、平成4年10月にデュオ宮ノ森店及びデュオ藻岩店の2店舗をオープンさせ、平成5年8月には更にデュオ平岸店を追加し、新たに札幌市内に競合する3店舗を開設させて原告の権益を一方的に侵奪した。
さらに、平成7年には、原告の責任地域を札幌市の一部の区に限定した上で、10月から有力自動車会社である光岡自動車株式会社の出資によるファーレン札幌東店を隣接区にオープンさせ、テリトリー制を採用しながら、先行出店した原告の了解なく、同一地域内に5店舗を競合させた。
そして、VGJは、平成6年7月ころからブランドセパレーションを提唱し始めて平成10年4月から一方的にフォルクスワーゲン車及びアウディ車の販売店契約を分離し、被告は、ファーレン会の反対を押し切って平成12年3月にアウディ車についての販売店契約の更新を拒絶し、同月12月をもってアウディ車の供給を打ち切った。
c VGJ及び被告による上記bの一連の行動は、責任地域を決めて一手販売権を付与する販売店契約の根幹に触れる背信的行為であり、VGJ及び被告は、フォルクスワーゲン車及びアウディ車の独占的輸入権を盾に原告の契約上の地位を侵奪するものである。
本件更新拒絶は、被告が国内最大手の外国車販売会社であるヤナセと手を組み、ブランドセパレーションに名を借りて既存の正規販売店を不法に排除しようとしたものであり、ヤナセと競合する地域を管轄していた原告が新たな販売店に認められる余地はなかった。
以上によれば、本件更新拒絶は、本件契約書上の更新拒絶を不法な目的の下に不法な方法で行使するものにほかならず、権利の濫用に該当し、許されない。
(被告の主張)
ア 契約終了の合理性
(ア) 契約の性質等
本件契約は、企業間の対等な関係に基づくものであるから、自らに契約を終了させる合理的な理由がないにもかかわらず相手方に不当な不利益を与えることを目的として契約を終了させるなど、権利の濫用に当たるような特段の事情のない限り、経営上の合理的な理由に基づいて終了させることができる契約である。
また、本件旧契約においては、VGJは、相当な予告期間を置いた書面による通知により、契約対象製品を変更することができた(本件旧契約書6条2項)のだから、フォルクスワーゲン車及びアウディ車を契約製品とする旨の契約を、フォルクスワーゲン車のみを契約製品とする旨の契約に変更することも許されていたことになり、本件更新拒絶はその旨の通知として理解することもできる。
(イ) 契約終了の理由
本件契約は、同一の販売拠点において販売されていたフォルクスワーゲン製品とアウディ製品について、それぞれ独立した販売政策の下に販売網を構築するブランドセパレーションという経営戦略に基づき終了された。
販売拠点をブランド別に分離する具体的方法としては、一部の販売拠点をアウディ車専売店とし、残りをフォルクスワーゲン車専売店とすることも論理的にはあり得た。しかし、当時、両ブランドの合計販売台数に占めるアウディ車の割合は20%未満であったから、80%以上を占めるフォルクスワーゲン車の販売権を失ってまでアウディ車専売店になろうとする販売店を募集することは現実的ではなかった。
そこで、平成11年末ころには、原則として、既存の販売拠点をフォルクスワーゲン車専売店とし、アウディ車専売店は新たに設置、開店させることが現実的であるとの結論に達した。さらに、アウディ車の上記販売実績からみて、アウディ車の販売拠点数は既存の販売拠点数を相当下回らなければならないことも明らかであり、既存の販売拠点数に割り当てられていた販売地域を併合して一つの販売拠点を割り当てることも必要であった。
上記のような事情があったので、被告は、いったん、原告を含む全販売店との販売店契約を終了させることとし、他方、アウディ車の新販売店となるための基準を公表して、新販売店を募集することにした。なお、当該基準等を満たした新しい販売拠点を設置しさえすれば、従来の販売店が従来の販売拠点においてフォルクスワーゲン車を販売し、新しい販売拠点においてアウディ車を販売することも可能であり、現に、そのような販売店も多数現れた。
イ 契約終了阻害事由の不存在
契約の更新拒絶について一定の制限が加えられるのは、製品の供給を受ける者が、契約の存在を前提として製品の販売のための投資をしているときに限られるが、本件では、そのような投資はされていない。
原告が投資として主張する支出が現実に行われたかは知らないが、原告のいう投資は、単なる経常費の支出であったり、他車の販売のために向けられたもの(少なくとも、アウディ車の販売のためのみに向けられたとはいえないもの)や、既に当該投資を回収すべき期間が経過したものである。
したがって、本件契約について、その終了を阻害する特段の事情は認められない。
(ア) 従来事業の犠牲について
原告は、フォルクスワーゲン車及びアウディ車の正規販売店になるために従来事業を犠牲にしたと述べるが、問題となるのは、アウディ車の販売継続を前提とする投資が行われたか否かである。従来事業を犠牲にしなければフォルクスワーゲン車のみの販売が可能で、アウディ車の販売は不可能であったなどという理由は存在しないし、また、仮に従来事業を犠牲にしても、先行投資には該当しない。
その上、原告が従来事業を犠牲にした事実は現実にはない。このことは、原告作成の資料(甲ロ97)において、「札幌」における「その他」の販売台数が、正規販売店になる前である平成2年度及び平成3年度は125台及び148台であったのに対し、正規販売店であった平成4年度ないし平成12年度は100台前後であったとされていることによっても示されている。
(イ) 初期投資について
原告が主張する初期投資は、フォルクスワーゲン車とアウディ車とを併売する店舗に対する投資であって、アウディ車の販売のためのみに向けられたものとはいえないし、この点をおくとしても、原告は平成4年4月20日から平成12年12月31日までの8年8か月以上もアウディ車(及びフォルクスワーゲン車)の販売を継続していたのであるから、その初期投資を回収するための期間は十分に与えられていた。
(ウ) 宣伝広告費、CI関係費用について
原告が主張するように、3000万円以上の宣伝広告費及び800万円のCI関係費用が支出されたとしても、平成4年度の原告の売上げは25億円であったのだから、上記の各費用は、格別に多いとはいえず、営業を行っていく上で通常要するものである。
さらに、上記各費用も、フォルクスワーゲン車とアウディ車とを併売する店舗に対する投資であって、アウディ車の販売のためのみに向けられた投資とはいえない。この点をおくとしても、原告は平成4年4月20日から平成12年12月31日までの8年8か月以上もアウディ車(及びフォルクスワーゲン車)の販売を継続していたのであるから、その投資を回収するための期間は十分に与えられていた。
(エ) デモカー購入費用について
デモカーには各年のモデルを用意するから、その購入費用は長期間の契約を前提とする投資には該当しない。しかも、デモカーの仕入価格は小売価格の2割引であり、かつ、1年展示したデモカーは更に2割引いた価格で中古車として販売するのであるから、仕入れに要した費用の大半は回収できる。また、原告が主張する8800万円余りという金額も、単なる経常的な経費にすぎない。さらに、仮に更新拒絶時に余剰となってしまったデモカーが存在していたとしても、被告はそれらの買戻しを行った。
(オ) 「ISO9002」の認証取得のための費用について
原告に対して「ISO9002」の認証を受けるように指示したのは、被告ではなく、VGJである。したがって、原告が「ISO9002」の認証のための投資をしたとしても、これはアウディ車販売のための先行投資には該当しない。
(カ) 工場及びショールーム建築費用について
原告は、平成6年ころ、被告がフォルクスワーゲン車とアウディ車の販売拠点分離を主張したため、工場及びショールームを新築する投資を行ったと主張する。
しかし、日本でブランドセパレーションが研究され始めたのは平成8年ころであり、各販売店に伝えられたのは平成9年ころであるから、平成6年の時点ではブランドセパレーションの方針は全く決まっていなかった。新しいショールームは、ブランドセパレーションや被告の意向とは無関係に独自の判断で建築したものにすぎない。
したがって、原告が新しいショールームのために投資をしたとしても、これはアウディ車販売のための先行投資には該当しない。
(キ) 本件契約終了による原告への影響について
原告は、本件旧契約を締結する以前から、フォルクスワーゲン車及びアウディ車を販売していたのと同一の拠点で他の高級外国車の直輸入販売を手掛けていたのであり、かつ、本件契約が終了した後も、同じ拠点でアウディ車を含むあらゆる外国車の直輸入販売を行っていた。したがって、営業設備等を他車の販売に転換することは難しいという原告の主張は当たらない。
また、本件旧契約が締結された平成4年当時と比較すれば、本件契約が終了した平成12年においては、フォルクスワーゲン車のラインナップも充実していたのであるから、フォルクスワーゲン車の販売を継続していた原告にとって、本件契約が終了したことによる影響は大きくない。
さらに、原告は、本件契約終了後もアウディ車の販売を継続していたのであり、かつ、本件契約終了後も一般保証に関しては3年間、その他の修理に関しては無制限でアウディ車のアフターサービスを行う権限があるのだから、本件契約が終了したことによる原告への影響は大きくない。
(ク) 被告による情報開示について
本件契約の終了によって原告が失ったのは、フォルクスワーゲン車とアウディ車の共通ショールームでアウディ車を販売する権利である。これ以外のショールームでアウディ車を販売する権利は、最初から原告にはない。
そして、被告は、本件更新拒絶をする前から、各販売店にブランドセパレーションの構想を開示し、共通ショールームでアウディ車の販売を継続することを前提とした投資を抑制していたし、原告も、従来のショールームでアウディ車を販売することがいずれできなくなるということをかなり早い時期から知っていた。
ウ 権利濫用を基礎付ける事情の不存在
(ア) 原告は、同一地域内に競合する販売店が存在することになったことをもって、販売店契約上の利益が侵害されたと主張しているようであるが、もとより、本件旧契約書及び本件契約書における「主たる販売地域」は、販売店が販売拠点を設け、営業活動を集中すべき地域にすぎず、独占的な地域ではない。
また、ファーレン店は、当初から、ヤナセの販売網と併存し、相互に競争して売上げを伸ばすことが予定されていた。したがって、ヤナセが販売権を返上した後にデュオ店が展開されたことは、何ら原告を始めとするファーレン店の権利を侵害するものではない。
テリトリー制の下で一手販売権を付与して競争を制限し、価格維持行為を可能にすることは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上の問題も生じさせ得る。競合代理店の出店を制限する契約条項が常に無効であるというわけではないが、本件旧契約や本件契約においては、そのような明文の規定はなく、本件旧契約書及び本件契約書の7条3項には、「甲は、その営業拠点及び営業施設を乙の主たる責任地域内に設置することができる。」と明記されている。
(イ) 新販売店の選考は、ショールーム等のプランのほか、財務関係の資料、売上予測等を総合的に評価して決定したものである。ヤナセ系の販売店についても、各地域において、各販売店が個別に応募してきたものを審査したのであり、事前にヤナセに一定の地域を割り当てた事実はない。また、被告は、販売店の新規募集の際には、公平な基準を用いており、恣意的に特定の販売店を排除しようとしたことはない。
原告を選ばなかった主な理由は、ショールームが道路から19mも奥まった場所にあったこと及び土地建物について根抵当権が実行され、競売にかけられていることからも分かるように、原告の財政状況が好ましくなかったことである。
(2) 被告がアウディ製品を供給しないことによる損害
(原告の主張)
平成13年1月1日以降、原告は被告からのアウディ車の供給を停止されており、アウディ車に関する過去の平均粗利益を基に算定すれば、その損害は年3035万8432円となる。
(被告の主張)
否認する。
原告は、本件契約終了後も、アウディ車を直輸入することによって同車の販売を継続していたのであるから、損害を被ったという原告の主張は失当である。
(3) 被告による債務不履行の成否及びこれによる損害
(原告の主張)
ア 継続的契約において相手方が長期間の契約の存続を予定して多額の設備投資等をしているときは、更新拒絶に当たって、相手方に不当な損害を被らせないよう十分に配慮する義務がある。
仮に本件更新拒絶が有効であるとしても、前記(1)(原告の主張)で述べたところによれば、被告は上記義務を怠って原告に損害を与えたことになるから、これを賠償する義務を負う。
イ 上記アの債務不履行による損害は、次のとおり、合計11億6847万0276円である。
(ア) 前記(1)(原告の主張)ア(イ)記載の初期投資費用 7525万5790円
(イ) 同(ウ)記載の追加投資費用 3億0121万4486円
(ウ) 同(エ)記載の営業損失 7億9200万円
(被告の主張)
いずれも否認する。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(本件更新拒絶の効力)について
(1) 原告は、本件旧契約及び本件契約が長期間の継続を予定したものであり、実際にも両契約が本件更新拒絶までに通算8年間継続していたことなどから、被告による更新拒絶は合理的な理由のない限り信義則上許されないとした上で、本件更新拒絶については合理的な理由がなく、また、権利の濫用にも該当するから無効であると主張する。
(2) 本件契約について、期間を1年とする(ただし、当事者が期間満了の6か月前までに更新をしない旨の通知をしなかったときは期間1年の約定で更新される。)約定がされたことは前記第2の1の争いのない事実等に摘示したとおりであり、この約定自体の有効性を否定すべき事情はうかがわれない。
もっとも、本件契約は、本件営業譲渡に伴い、それまで約6年間継続していた本件旧契約に代えて、これと基本的に同内容のものとして締結されたものであって、上記約定にかかわらず、本件旧契約と同様に一定期間継続することが予定されていたし、実際にも、本件契約と本件旧契約とを通算すれば、本件更新拒絶時まで約8年間、同様の取引が継続していたものといえる。そして、このような継続的な取引を予定した契約の一方当事者が、当事者間の合意の下に取引の継続を前提とした投資を行っているような場合においては、他方当事者は、契約期間の定めにかかわらず、取引の継続に向けて協力すべき信義則上の注意義務を一定の限度で負うと解すべきであるから、他方当事者からの更新拒絶の可否については、一方当事者の投資の規模や性質、他方当事者による更新拒絶の理由や方法等を考慮すべきであり、これらの事情いかんによっては、これが信義則上許されず、又は権利の濫用に該当して許されないことがあるというべきである。
なお、被告は、本件旧契約においてVGJが契約対象の製品を変更することができたのであるから、アウディ車を契約製品から除外することも可能であったとして、本件更新拒絶を上記の製品変更権の行使として有効と理解することもできる旨主張する。しかし、本件旧契約と本件契約とが形式上別個のものであることはおくとしても、本件旧契約において、アウディ車をすべて契約対象から外すことが自由にできたとまでは解されないから、本件更新拒絶を上記の製品変更権の行使として有効なものと理解することはできず、この点に関する被告の主張は採用することができない。
そこで、以下においては、本件更新拒絶について、これが信義則上許されず、又は権利の濫用に該当して許されないというだけの事情があるかどうかについて検討する。
(3) 原告の投資等について
ア 証拠(甲10の2、甲ロ43、61、76、77、106、107、乙ロ6の1ないし3、原告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(ア) 原告は、本件旧契約締結前から現在に至るまで、本店及び支店において、いわゆる直輸入をした外国車の販売等を行っており、平成13年以降はアウディ車についても同様の方法による販売を行っている。また、原告は、本店において、少なくとも平成15年末までは、アウディ車に関するアフターサービスは引き続き行っているほか、VGJの正規販売店としてフォルクスワーゲン車の販売等を行っている。
(イ) 原告は、平成4年ころ、従前は直輸入した外国車の販売等のために使用していた本店のショールームを改装し、アウディ車及びフォルクスワーゲン車の販売のために供することにした。なお、上記ショールームは、原告所有の土地上に原告代表者が所有していた建物内に設けられていたが、原告は、本件旧契約前の平成3年12月19日に同建物を買い取った。
原告がVGJの正規販売店となるに際し、上記ショールームの改装やCI関係について支出した費用は、1600万円を下らない(前記第2の2(1)(原告の主張)ア(イ)のとおり、原告は、初期投資として総額7525万5790円を支出したと主張するが、他方で、専用のショールームを新設するのに1600万円以上の資金をつぎ込んだとも主張し、同主張に沿う証拠(甲ロ61、106)も提出している。また、本件中には、上記初期投資のうちショールーム新築費用の6431万1900円が他車販売用のショールーム新築費用であるかのような証拠(甲10の2)も存在するが、そうだとすれば、これが直ちにアウディ車及びフォルクスワーゲン車を販売するための投資といえるかは疑問であるし、いずれにしても、この点についての客観的、具体的な裏付けはないから、結局、上記の7525万5790円という金額を認めるまでの的確な立証はないといわざるを得ない。)。
(ウ) 原告は、平成4年から平成12年までの間、アウディ製品及びフォルクスワーゲン製品の販売に関して種々の宣伝広告活動を行い、その費用やCI関係費用を支出したほか、上記両製品のデモカーを毎年購入していた。また、原告は、上記両製品の販売、修理等に当たる社員の配置、教育を行っていた。
なお、デモカーは、展示等に供した後は中古車として販売されていた。
(エ) 原告は、平成7年、新しいショールーム及び整備工場に用いるために、2億円前後の費用をかけて、前記(イ)の建物の隣に新しい建物を建築した。
イ 本件契約は、本件営業譲渡に伴い、本件旧契約に代えて、これと基本的に同内容のものとして締結されたものであって、実質的には、VGJの本件旧契約上の地位のうち、アウディ製品に関する部分を被告が承継したことを当事者間で確認する趣旨で締結されたものと認められる(甲ロ1、3、7、弁論の全趣旨)から、本件旧契約に関する原告の投資も、基本的には本件契約に関する投資と同様に、本件更新拒絶の可否を検討する上で考慮されるべきである。
もっとも、上記の検討においては、本件旧契約に関する投資はアウディ及びフォルクスワーゲンの両製品の取扱いを目的としたものであり、いずれの製品の取扱いのためにどれだけの投資がされたのかは十分に区別されて主張立証されてはいないから、この点について留意する必要がある。
また、原告は、正規販売店としての投資は取扱商品の販売によってしか回収できない旨の主張をするが、上記ア(ア)のとおり本店においてアウディ車を含む外国車の販売やアウディ車に関するアフターサービスを続けている原告にとって、アウディ車の正規販売店として行った投資が全く無益になったとまではいい難い。
ウ 上記イで述べたところを踏まえて前記ア(イ)ないし(エ)の各投資について個別にみるに、同(イ)の投資は、フォルクスワーゲン車及びアウディ車の正規販売店としての営業を開始するための初期投資であり、この回収のためには一定期間の取引の継続が必要であるが、原告が約8年8か月の間、VGJないし被告から供給されたアウディ車の販売を行っていたことにかんがみれば、上記投資の回収に必要な期間は経過したものということができ、直ちに本件契約の継続を要請するまでの事情とはいい難い。
前記ア(ウ)の各投資は、正確な金額については必ずしも客観的な裏付けがあるとはいえないが、いずれにしても、各年における営業を行っていく上で通常必要な範囲のものと考えられ、この範囲を超えた規模の投資が行われたと認めるべき的確な主張立証はない(また、「設備一式」に2500万円を費やしたとの原告の主張は抽象的であり、的確な立証もないから採用することができない。)。したがって、上記投資も、直ちに本件契約の継続を要請するまでの事情とはいい難い。
前記ア(エ)の投資について、原告は、ブランドセパレーションの実施を予測して、アウディ車用のショールーム等に用いる目的で行ったと主張する。しかし、そもそも原告がアウディ車用のショールーム等に用いる予定であったかどうかや、その前提として、当時、原告においてブランドセパレーションの実施を具体的な問題として予測していたかどうかについては、明確な証拠がなく、原告代表者の供述(甲ロ106、107、原告代表者本人)も一貫しているとはいえない。そして、この点はおくとしても、原告は、上記投資をVGJに十分相談することなく自らの判断で行ったものであり(原告代表者本人)、当事者間の合意の下に投資を行ったものではないし、その時点でアウディ車専用のショールームを設置すべき現実的必要性があったとも認め難いから、上記投資は、被告に取引の継続に向けて原告と協力すべき義務を負わせるものとはいえない。
エ 前記アのほかに、原告は、アウディ車やフォルクスワーゲン車の販売のために従前行っていた外国車の直輸入販売事業を犠牲にしたと主張するが、原告作成の一覧表(甲ロ97)によっても、原告がVGJの正規販売店となった影響で本店における直輸入車販売の売上げが低下したとまでは認めることができず、他に原告の上記主張を認めるに足りる証拠はない。
また、原告は、国際標準化機構が定めた規格である「ISO9002」の認証取得のための支出にも言及するが、上記認証取得は本件営業譲渡後の平成12年にVGJから要求されたものであり(甲ロ106、108ないし112、原告代表者本人)、本件更新拒絶の通知が同年3月31日ころにされたことをも併せ考えれば、上記認証取得が被告との合意の下にされたと認めることはできないから、この点は、取引の継続に向けて協力すべき義務を被告が負うことの根拠とはなり得ない。
(4) 本件更新拒絶の理由、方法等について
ア 前記第2の1の争いのない事実等に加え、証拠(甲ロ4ないし6、乙1、2、乙ロ1、3ないし6、被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(ア) フォルクスワーゲンを中心とした企業グループ(以下「フォルクスワーゲングループ」という。)は、従前、各国において、フォルクスワーゲン製品及びアウディ製品を同一の店舗において販売する方針を採っていたが、平成7年ころから、ドイツを始めとする各国において、上記各製品につき、それぞれ独立した販売政策の下に販売網を構築し、輸入者及び販売店を各製品に特化させる、ブランドセパレーションという販売方法を採るようになった。
そして、このブランドセパレーションの実施に伴い、アウディ車の各国での販売台数は増加傾向を示すようになった。
(イ) 日本では、平成8年ころ当時、アウディ車の販売が他国の場合と比べて低迷しており、フォルクスワーゲングループは、遅くともそのころには、日本でのブランドセパレーションの実施を検討するようになった。
(ウ) VGJは、原告を含む各販売店に対し、平成9年9月、ブランドセパレーションに関する構想を示した。
(エ) 被告は、各販売店に対し、平成10年11月、ブランドセパレーションに関して、上記(ウ)よりも更に具体化した計画を示した。
(オ) 被告は、原告を含む各販売店に対し、平成12年2月24日及び同年3月23日、ブランドセパレーションの実施に向けた具体的な説明を行い、同年末でトヨタとの卸売店契約やファーレン店との各販売店契約を終了させる予定であることも説明した。
(カ) 被告は、平成12年1月ころ、トヨタとの間で、アウディ車に関する取引を終了させることとし、同社との卸売店契約を同年末で解除する旨の合意をした。
被告は、原告を含むファーレン店に対し、いずれも、同年3月31日ころ、各販売店契約を更新しない旨の通知をした。
(キ) 被告は、平成12年3月ころから、被告の指定する地区ごとに、既存のファーレン店やデュオ店に限らず広く一般から、アウディ製品を取り扱う販売店を募集した(本件募集)。
原告は、本件募集を受けて、被告に対し、被告の指定する「札幌東エリア」及び「所沢・川越エリア」につき、それぞれアウディ製品販売店として応募したが、被告は審査の上、同年10月4日ころ、原告の応募をいずれも断った。
被告は、上記「札幌東エリア」につき、ヤナセの関連会社との間で、アウディ製品に関する販売店契約を締結した。
イ 上記アの認定事実によれば、被告ないしフォルクスワーゲングループは、日本において低迷していたアウディ車の売上げを増加させるため、各国で実績を上げていたブランドセパレーションを日本においても実施したものであり、このこと自体は十分に合理性を有するものといえる。
そして、ブランドセパレーションを実施するための具体的方法としては、低迷していたアウディの販売台数に照らして、販売店の数を絞り込む必要もあったことや、当時、販売店全体におけるフォルクスワーゲン車及びアウディ車の合計販売台数に占めるフォルクスワーゲン車の割合が約8割であり、アウディ車の割合が約2割であったため(甲ロ5、弁論の全趣旨)、既存の販売店の多くはフォルクスワーゲン車の取扱いの継続を希望すると考えられたことなどにかんがみれば、被告ないしフォルクスワーゲングループにおいて、原則として既存の販売店をフォルクスワーゲン車専売店とし、アウディ車専売店は既存の販売店を含めた応募者の中から選定して新たに開店させるとの方針を採ったことも、それなりに合理性を有するものといえる。
また、前記アのとおり、VGJないし被告は、原告を含む既存の販売店に対し、遅くとも平成9年にはブランドセパレーションの構想を示し(なお、原告は、それよりも前にブランドセパレーションの計画を知っていたと主張し、原告代表者もこれに沿う供述をしている。)、以後、より具体的にその実施に関する要領を示し、本件契約の期間満了の約8か月前に本件更新拒絶の通知をしているから、原告としても、従前の形態での取引の継続を前提とした投資を避けることはできたといえる。
以上によれば、被告を含むフォルクスワーゲングループによるブランドセパレーションの一環としてされた本件更新拒絶は、その理由及び方法において、一応の合理性、相当性を有するものといえる。
ウ 原告は、被告がヤナセと手を組み、ブランドセパレーションに名を借りて原告を含む既存の正規販売店を不法に排除したとして、本件更新拒絶が権利の濫用に該当すると主張する。
しかしながら、被告がブランドセパレーションという経営戦略の下に既存の販売店との契約の更新を拒絶したこと及びこれが一応の合理性、相当性を有することは上記イで述べたとおりである。
原告は、本件募集の際、被告が既に「札幌東エリア」の販売店をヤナセに任せることを決めていたと主張し、甲21添付の資料〈2〉にこれに沿う記載がある旨述べるが、同資料の記載内容は不正確であるし(乙ロ2ないし4)、これを被告が作成したと認めるに足りる証拠もないから、結局のところ、被告がヤナセないしその関連会社を販売店にするために原告を排除したというような事実を認めるべき証拠はない。
そして、本件募集において原告の「札幌東エリア」での応募が拒絶されたのは、被告において、〈1〉原告が予定しているアウディ車用のショールームが道路から約20m奥まった場所に存在し、通行車両による視認性に問題がある、〈2〉原告の過去の販売実績が良好とはいえない、また、〈3〉原告の財務状況に問題がある、と判断したことによるものと認められるところ(乙ロ1、被告代表者本人)、上記〈2〉の理由については、本件中にそれを裏付けるだけの的確な証拠があるとはいえないが、上記〈1〉の理由については、評価の問題はあるとはいえ、原告の計画ではアウディ車用のショールームは道路から約20m奥まった場所に設置されることが予定されていたことが認められるし(甲ロ117、118の1ないし3、原告代表者本人)、また、上記〈3〉の理由についても、原告の本社の所在する敷地、建物について平成15年春ころに金融機関からの競売申立てがあり、原告代表者も平成12年当時の原告の財務状況が健全なものであったとまでは述べていないこと(原告代表者本人)等からすれば相応の根拠があったものと認められるところであり、その他本件中には、本件募集の際の「札幌東エリア」における選考が不公正に行われたと認めるべき証拠もない。
また、原告は、VGJにおいて本件旧契約においてテリトリー制を採用しながら、先行出店した原告の了解なく、同一地域内に原告を含む5店舗を競合させ、さらに被告において本件更新拒絶によりアウディ車の供給を打ち切ったというVGJ及び被告の一連の行為が原告の契約上の地位を不当に侵害するものであったとも主張する。しかし、VGJにおいて原告の競合店を出店させてはならない義務があったというまでの根拠は見いだし難いから、この点に関する原告の主張は採用できない(なお、この点の主張は、本件募集の際の選考において、被告が原告の従前の販売実績の低下を理由に原告の応募を断ることは許されないとの趣旨でもされているものと認められるが、いずれにしても、積極的に被告の不公正さを示すものとはいえない。)。
以上から、本件更新拒絶ないしこれに関連する被告の行為が原告を不当、不公正に排除するものであったとの原告の主張は、採用することができない。
(5) 前記(3)及び(4)によれば、原告の投資等の状況に照らしても、被告に原告との取引の継続に向けて協力すべき義務を負わせるべき事情は乏しいし、本件更新拒絶の理由及び方法も一応の合理性、相当性を有するものであったといえるから、本件更新拒絶について、これが信義則上許されず、又は権利の濫用に該当して許されないというだけの事情は認めることができない。
よって、本件更新拒絶は有効である。
2 争点(3)(被告による債務不履行の成否及びこれによる損害)について
原告は、被告が本件更新拒絶により原告に不当な損害を被らせたとして、本件更新拒絶が本件契約上の債務不履行を構成する旨主張する。
しかし、上記1で述べたように、原告の投資等の状況に照らしても、被告に原告との取引の継続に向けて協力すべき義務を負わせるべき事情は乏しいし、本件更新拒絶の理由及び方法も一応の合理性、相当性を有するものであったといえるから、本件更新拒絶が原告に対する債務不履行を構成するとは認められない。
よって、原告の上記主張は採用できない。
3 結論
以上によれば、原告の請求は、いずれもその余の点について検討するまでもなく理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 河村吉晃 裁判官 安江一平 裁判官尾崎智子は、転補につき、署名押印することができない。 裁判長裁判官 河村吉晃)
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