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裁判年月日 平成23年 8月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(行ウ)24号
事件名 損害賠償(住民訴訟)請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2011WLJPCA08318003
要旨
◆本件区の住民である原告が、区議会議員であった被告補助参加人らがした支出で区から交付を受けた政務調査費を充てたものの一部について、タクシー代、ガソリン代等として使途基準に従わない違法な使用がされたものが含まれており、法律上の原因なくして同参加人らが利益を受け区が同額の損失を被っているとして、区の執行機関である区長の被告に対し、同参加人らに対して不当利得返還請求をするよう求めた住民訴訟の事案において、議員が政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として使用基準に掲げられており、上記参加人らの支出について社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情があったとも認められないなどとして、原告の請求をいずれも棄却した事例
出典
参照条文
地方自治法100条(平20法69改正前)
地方自治法242条の2第1項4号
民法703条
裁判年月日 平成23年 8月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(行ウ)24号
事件名 損害賠償(住民訴訟)請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2011WLJPCA08318003
東京都目黒区〈以下省略〉
原告 X
東京都目黒区〈以下省略〉
被告 目黒区長 Y
被告指定代理人 河合由紀男
同 山田幸男
同 木下元
同 小島正彦
同 齋藤元志郎
東京都目黒区〈以下省略〉
被告補助参加人 Z
同訴訟代理人弁護士 石井逸郎
同 石原正貴
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,Zに対し,93万1102円及びこれに対する平成20年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
2 被告は,Bに対し,3万3280円及びこれに対する平成20年4月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求せよ。
第2 事案の概要等
本件は,平成19年5月1日から平成20年3月31日までの間において目黒区議会議員であった被告補助参加人(以下「Z議員」という。)及びB(以下「B議員」といい,Z議員と併せて「Z議員ら」という。)がした支出で同区から交付を受けた政務調査費を充てたものの一部について,同区の住民である原告が,Z議員らが上記の政務調査費を充てた額について法律上の原因なくして利益を受け,そのために同区は同額の損失を被ったものであるから,同区はZ議員らに対して不当利得返還請求権を有していると主張して,同区の執行機関である被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,Z議員らに対して不当利得返還及び不当利得金に対する各支出のされた年度の最後の日である平成20年3月31日の翌日である同年4月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払の請求をするよう求める事案である。
1 関係法令の定め
別紙関係法令等に記載のとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。
2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実,括弧内掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実及び当裁判所に顕著な事実)
(1) 当事者等(当事者間に争いなし)
ア 原告は,目黒区の住民である。
イ 被告は,目黒区の執行機関である。
ウ Z議員らは,平成19年5月1日から平成20年3月31日までの間(以下「本件期間」という。)において,目黒区議会議員であった。
(2) 政務調査費の交付
Z議員らは,本件期間における政務調査費として,それぞれ,合計で154万円の交付を受けた(当事者間に争いなし)。
(3) 政務調査費に係る支出
Z議員は,交付を受けた政務調査費を使用したものとして,別紙1記載の各支出を含む支出をし,B議員は,交付を受けた政務調査費を使用したものとして,別紙2記載の各支出を含む支出をした(弁論の全趣旨)。
(4) 住民監査請求
原告は,平成21年10月23日,目黒区監査委員に対し,住民監査請求(以下「本件住民監査請求」という。)をした(当事者間に争いなし)。
(5) 監査の結果の通知
目黒区監査委員は,本件住民監査請求について,平成21年12月21日付けで,これを棄却する旨の決定をし(甲7),原告は,同日ころ,監査の結果の通知を受けた(弁論の全趣旨)。
(6) 訴えの提起
原告は,平成22年1月20日,被告に対し,Z議員らに対してそれぞれ前記第1記載の金員の支払を請求することを求めて,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。
3 争点及びこれに対する当事者の主張
本件における争点は,Z議員の別紙1記載の各支出びB議員の別紙2記載の各支出について目黒区のZ議員らに対する不当利得返還請求権が存在するか否かであり,具体的には,Z議員らが上記の各支出に政務調査費を充てたことが本件使途基準に従わない違法な政務調査費の使用に該当するかが争われている。
これに対する当事者の主張は,別紙当事者の主張記載のとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前記第2・2記載の前提となる事実に加え,括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認定することができる。
(1) 本件使途基準の解釈及び運用に関する議会運営委員会の申合せ
ア 目黒区は,地方自治法109条の2第1項の規定に基づき,目黒区議会委員会条例(昭和34年同区条例第17号)2条の2第1項の規定により,議会の運営,議会の会議規則及び議長の諮問に関する事項等を調査する議会運営委員会(地方自治法109条の2第3項参照)を設置している(乙3)。
イ 目黒区の議会運営委員会は,同区における政務調査費の実績,実情等を踏まえ,議論を重ね,使途基準の解釈及び運用に係る指針ともいえるものとして本件申合せ事項を決定している。本件期間の政務調査費の使用について適用される本件申合せ事項の内容の一部は,別紙本件申合せ事項記載のとおりである。
(以上,イにつき甲7,乙2)
(2) 政務調査費の交付及びその残余に相当する額の返還に至る状況
ア Z議員らの当選
平成19年4月22日,任期満了に伴う目黒区議会議員の一般選挙が行われ,Z議員らは第16期目黒区議会議員として選挙されたところ,その任期は平成19年5月1日から平成23年4月30日までであった(弁論の全趣旨)。
イ 政務調査費の交付の決定
Z議員らは,それぞれ,平成19年5月7日付けで,被告に対し,本件条例6条の規定により,本件期間に係る平成19年度(同月から平成20年3月まで)の政務調査費として,交付申請額を154万円とする政務調査費交付申請書を提出してその交付を申請し,被告は,平成19年5月8日付けで,本件条例7条の規定により,Z議員らに対し,平成19年度の政務調査費として,それぞれ154万円を交付することを決定した(乙4)。
ウ 平成19年5月から9月までの期間(以下,政務調査費に関しては「平成19年度前半」という。)の各月分の政務調査費の交付 Z議員らは,それぞれ,平成19年5月9日付けで,被告に対し,本件条例9条1項の規定により,平成19年度の政務調査費のうち平成19年度前半の各月分として,請求額を70万円とする政務調査費請求書を提出し,被告は,同日付けで,同条2項の規定により,Z議員らに対し,同月18日にそれぞれ70万円を交付する旨を決定し,同日にこれを交付した(乙5,弁論の全趣旨)。
エ 平成19年度前半の政務調査費に係る収入及び支出の報告
(ア) Z議員は,平成19年10月24日付けで,目黒区議会議長に対し,本件条例12条の規定により,平成19年度前半の政務調査費に係る本件規程所定の様式による政務調査費収支報告書(以下「19年度前半報告書」という。)を,本件規程所定の様式による支出内訳及び会計帳簿並びに領収書等の証拠書類の原本を添付して提出した(甲4)。
この報告書には,平成19年度前半について,収入70万円(内訳:5月交付額70万円),支出合計68万5585円(内訳:調査研究費8万5560円,研修費9万7889円,会議費420円,資料作成費1万6289円,資料購入費7万4475円,広報費945円,事務所費0円,事務費31万0007円,人件費10万円)及び残余1万4415円と記載されていた。
(イ) B議員は,平成19年10月31日付けで,目黒区議会議長に対し,本件条例12条の規定により,平成19年度前半の政務調査費に係る本件規程所定の様式による政務調査費収支報告書を,本件規程所定の様式による支出内訳及び会計帳簿並びに領収書等の証拠書類の原本を添付して提出した(甲6)。
この報告書には,平成19年度前半について,収入70万円(内訳:5月交付額70万円),支出合計21万9611円(内訳:調査研究費16万5370円,研修費0円,会議費0円,資料作成費0円,資料購入費3万0114円,広報費6505円,事務所費0円,事務費1万7622円,人件費0円)及び残余48万0389円と記載されていた。
オ 平成19年10月から平成20年3月までの期間(以下,政務調査費に関しては「平成19年度後半」という。)の各月分の政務調査費の交付
Z議員らは,それぞれ,平成19年10月1日付けで,被告に対し,本件条例9条1項の規定により,平成19年度の政務調査費のうち平成19年度後半の各月分として,請求額を84万円とする政務調査費請求書を提出し,被告は,同日付けで,同条2項の規定により,Z議員らに対し,同月10日にそれぞれ84万円を交付する旨を決定し,同日にこれを交付した(乙6,弁論の全趣旨)。
カ 平成19年度後半の政務調査費に係る収入及び支出の報告
(ア) Z議員は,平成20年4月30日付けで,目黒区議会議長に対し,本件条例12条の規定により,平成19年度後半の政務調査費に係る本件規程所定の様式による政務調査費収支報告書(以下「19年度後半報告書」という。)を,本件規程所定の様式による支出内訳及び会計帳簿並びに領収書等の証拠書類の原本を添付して提出した(乙8)。
この報告書には,平成19年度後半について,収入84万円(内訳:10月交付額84万円),支出合計84万2230円(内訳:調査研究費7万0377円,研修費2万1690円,会議費0円,資料作成費1万9882円,資料購入費4万9035円,広報費41万4250円,事務所費0円,事務費18万6996円,人件費8万円)及び残余0円と記載されていた。
(イ) B議員は,平成20年4月24日付けで,目黒区議会議長に対し,本件条例12条の規定により,平成19年度後半の政務調査費に係る本件規程所定の様式による政務調査費収支報告書を,本件規程所定の様式による支出内訳及び会計帳簿並びに領収書等の証拠書類の原本を添付して提出した(乙9)。
この報告書には,平成19年度後半について,収入84万円(内訳:10月交付額84万円),支出合計69万4190円(内訳:調査研究費0円,研修費0円,会議費0円,資料作成費0円,資料購入費0円,広報費69万4190円,事務所費0円,事務費0円,人件費0万円)及び残余14万5810円と記載されていた。
キ 平成19年度の政務調査費の残余に相当する額の返還
(ア) 被告は,平成20年7月15日,Z議員が平成19年度において交付を受けた政務調査費の総額である154万円からその年度においてした支出のうち政務調査費を充てたものの総額である152万7815円を控除した残余が1万1285円であるとして,この残余の額に相当する1万1285円の返還を命じたところ,Z議員は,同月30日,1万1285円を返還した(乙7)。
(イ) 被告は,平成20年7月15日,B議員が平成19年度において交付を受けた政務調査費の総額である154万円からその年度においてした支出のうち政務調査費を充てたものの総額である91万3801円を控除した残余が62万6199円であるとして,この残余の額に相当する62万6199円の返還を命じたところ,B議員は,同月30日,62万6199円を返還した(乙7)。
(3) 本件住民監査請求
ア 原告は,平成21年10月23日,目黒区監査委員に対し,Z議員らが平成19年度において交付を受けた政務調査費の使用のうち,Z議員が別紙1記載の各支出に充てた部分及びB議員が別紙2記載の各支出に充てた部分については,いずれも違法又は不当な支出であって,それぞれその相当額はZ議員らの不当利得に当たるから,被告に対してZ議員らにこの不当利得の返還を請求させるなどの必要な措置を講ずることを求める旨の本件住民監査請求をした(甲7)。
原告は,同年11月13日に目黒区監査委員が設けた陳述の機会に,本件住民監査請求の請求の趣旨の補足説明を行うとともに,事実証明資料を提出し,また,同月17日に事実証明資料を提出した(甲7)。
イ 目黒区監査委員は,平成21年11月11日,Z議員らに対し,関係人についての調査(以下「本件調査」という。)として,同月20日までに,それぞれに係る本件住民監査請求に対する見解を求めた(乙10)。
ウ Z議員らは,本件調査に対し,それぞれ平成21年11月20日までに,目黒区監査委員に対して書面で回答をし,目黒区監査委員は,同日,これらの回答を受領した(乙11)。
エ 目黒区監査委員は,本件住民監査請求について,平成21年12月21日付けで,これを棄却する旨の決定をした。
2 政務調査費の制度の目的,趣旨等について
(1) 地方自治法100条14項及び15項の規定による政務調査費の制度は,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとしたものである(最高裁平成17年(行フ)第2号同年11月10日第一小法廷決定・民集59巻9号2503頁,最高裁平成21年(行フ)第3号同22年4月12日第二小法廷決定・裁判集民事234号1頁参照)。もっとも,これらの規定は,政務調査費を「その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として」交付する旨を定めた上で,政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならないと定め,他方,政務調査費の使途の透明性を確保するための手段としても,条例の定めるところにより政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出することのみを定めているのであって,地方自治法は,具体的な政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法等並びにその使途の透明性を確保するための具体的な報告の程度及び内容等については,各地方公共団体がその実情に応じて制定する条例の定めに委ねることとしているものと解される(前掲最高裁22年4月12日決定参照)。
目黒区においては,前記のとおり,地方自治法100条14項及び15項に基づき政務調査費を交付することに関し必要な事項を定めるものとして制定された本件条例(1条参照)において,議員等は政務調査費を別に定める使途基準に従って使用しなければならない旨が定められ(11条),本件条例の委任を受けて定められた本件規程5条及びその別表1において,本件使途基準が定められている。そして,目黒区の議会運営委員会は,同区における政務調査費の実績,実情等を踏まえ,議論を重ね,使途基準の解釈及び運用に係る指針ともいえるものとして本件申合せ事項を決定しているところ,これについては,本件条例及び本件規程における政務調査費の使途基準の定めを踏まえつつ,具体的な使途の禁止・制限事項等については議会自らが律するべきとの趣旨から定められたものと解され,前記のような政務調査費の制度の目的や趣旨にも照らし,議会がその判断ないし権限において,本件申合せ事項にみられるように,政務調査費による助成の対象となる経費につき条例等で定めるところよりも詳細な基準を定めることが,地方自治法等の法令によって禁じられているとは直ちには解されない。そして,本件使途基準及び本件申合せ事項の内容について,既に述べた地方自治法100条14項等の規定の目的や趣旨に沿わないものとみるべき事情は見受けられない。
(2) 本件において,原告は,Z議員らがした別紙1及び別紙2記載の各支出について政務調査費を充てることは違法であり,Z議員らが政務調査費を充てたのに相当する利益を保有し続けることには法律上の原因がないとして,目黒区はZ議員らに対して不当利得返還請求権を有する旨主張しているところ,不当利得返還請求権が成立するための要件である利益を受けることにつき法律上の原因がないこと(民法703条参照)については,上記の請求権に関する一般的な考え方に従い,上記の請求権が存在するとしこれを行使すべきことを主張する原告において主張立証すべきものと解される(最高裁昭和58年(オ)第934号同59年12月21日第二小法廷決定・裁判集民事143号503頁参照)。
本件条例及び本件規程においては,政務調査費は,本件使途基準に従って使用されなければならない旨定められた上(本件条例11条,本件規程5条),政務調査費の交付を受けた議員等が議長に提出することを義務付けられる当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書(本件条例12条1項)には,当該支出の目的,内容等を記載した所定の様式の支出内訳及び会計帳簿並びに当該支出に係る領収書等の証拠書類の原本を添付しなければならず(同条4項,本件規程6条),これらに基づき政務調査費の適正な運用を期すために調査を行った議長から使途基準外経費の支出があると認めた旨の報告を受けた被告は,当該報告に係る議員等に対し,使途基準外経費の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができるものとされている(本件条例13条,14条2項)。一方,議員等が政務調査費を充てた支出の目的,内容等につき監査委員を含め執行機関に具体的に報告しなければならないことを定めた規定は置かれていないのであって,政務調査費の制度に関する地方自治法の規定の前記の目的や趣旨を併せ考慮すると,目黒区において定められているところについては,執行機関と議会ないしこれを構成する議員との抑制と均衡の理念に鑑み,政務調査費の適正な使用についての各議員の自律を促すとともに,政務調査活動に対する執行機関等からの干渉を防止しようとする趣旨と解される。そして,本件において,Z議員らが原告の主張するような利益を受けたことについて法律上の原因がないことを原告において主張立証すべきものと解することは,上記のような趣旨と矛盾するものではないと考えられる。
このような考え方に従って,次に,別紙1記載のZ議員の各支出及び別紙2記載のB議員の各支出が本件使途基準に基づかない経費の支出に当たるか等について検討する。
3 Z議員の各支出について
(1) 支出1-1ないし1-5について
ア 原告は,Z議員に平成19年5月から同年9月までの各月分の政務調査費が実際に交付された同年5月18日以前にされた上記の各支出に政務調査費を充てることは違法であると主張する。
しかしながら,本件条例においては,政務調査費の額は月額をもって定めるものとされ(4条),各年度において,議員等の申請及び請求に基づき,任期満了に伴う議員の一般選挙が行われた場合には申請のあった当月分から月を単位として交付するものとされるとともに(6条,8条及び9条),政務調査費の交付を受けた議員等は,4月から9月まで及び10月から翌年3月までのそれぞれの期間ごとの当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を提出しなければならないとされ(12条1項),交付された政務調査費については,その年度において交付を受けた政務調査費の総額とその年度においてした支出のうち政務調査費を充てたものの総額との間で精算をすることが予定されているのであって(14条1項),議員等が特定の年度において政務調査費の交付を受けることができるとされる最初の日から実際にその交付を受ける日までの間にその交付を受けるための所定の手続を経るために要する期間が生ずることが想定されている一方,当該期間中に生じた議員の調査研究に資するため必要な経費について,後に交付を受ける政務調査費を充てることを禁ずる規定や,このように充てる場合に当該経費につき当該議員等が一時その負担において立て替えることを禁ずる規定は置かれていない。そして,既にみた本件条例の規定に照らし,一般には1か月程度と考えられる上記の期間中に生じた上記のような経費につき既に述べたような取扱いをすることが許されないものとすると,議員の調査研究活動を萎縮させることにもなりかねず,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図るため,議会における会派又は議員に対する調査研究の費用等の助成を制度化し,併せてその使途の透明性を確保しようとした地方自治法の前記の目的や趣旨をかえって失わせることになりかねない。
以上とは異なる前提に立つ上記の原告の主張は,採用し難いというべきである。
イ 支出1-2の高速代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年5月6日,北上野本線料金所において,首都高速道路の料金として700円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員が家族とともに自分の実家に行ったときのものである旨主張し,元妻の陳述書である甲12にはこれに沿う記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の支出1-2に対応する欄に記載されているように記載し,その陳述書(丙1)においては,城北地区議会関係者と議会対応などの政務調査をした際のものである旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(2) 支出1-15,1-41,1-47,1-57,1-60及び1-89のガソリン代について
ア 証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年6月8日にガソリン59.5リットルを購入して8092円を支払ったこと(支出1-15),同年7月25日にガソリン51リットルを購入して6834円を支払ったこと(支出1-41),同年8月2日にガソリン51.3リットルを購入して7285円を支払ったこと(支出1-47),同月10日にガソリン57.4リットルを購入して8036円を支払ったこと(支出1-57),同月15日にガソリン50リットルを購入して6950円を支払ったこと(支出1-60)及び同年9月30日にガソリン56リットルを購入して7672円を支払ったこと(支出1-89)がそれぞれ認められる。
原告は,上記の各支出について,その量等に照らしてこれらに政務調査費を充てるのは違法である旨主張するが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,同じく添付の上記の各支出に係る領収書等を貼り付けた政務調査費領収書貼付用紙において,「区内調査・研究に係る移動の為のガソリン代」と記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,ガソリン代の支出は本件使途基準にのっとった内容であり,区内のみの調査研究に限定されるものではない旨記載しているものである。
既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところであり,上記の移動に使用する車両の燃料であるガソリンの購入に要する経費もこれに含まれるものいえるところ,本件申合せ事項においては,ガソリン代の支出については合計して議員1人当たり年額12万円を上限とするとされている。これは,当該車両が政務調査活動をするための目黒区外へも含む移動以外の移動にも使用されることがあることは通常想定されるところであること,一方,購入したガソリンの使用がいずれの移動に係るものであるかを厳密に区別することは困難であること等を踏まえ,議員が各年度において行う政務調査活動をするための移動に関する一般的な実情等に照らして定められたものと推認され,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらない。そして,Z議員が政務調査費を充てた上記のガソリン代の各支出については,平成19年度においてした他の同種の支出と併せて上記の上限の範囲内にとどまり(甲4,乙8),かつ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。
また,証拠(甲10,甲12,丙1)によれば,Z議員は,支出1-89がされた平成19年9月30日の3日前である同月27日,元妻及び子とともに旅行に行ったことが認められるところ,元妻の陳述書(甲12)には,上記の支出が上記の家族旅行のためのものであったことをうかがわせる記載があるが,証拠(丙1,丙3)によれば,Z議員は,同日にもガソリンを購入した事実が認められるのであって,上記の旅行の際に消費されたガソリンは同日に購入されたものとみるのが相当であることに照らすと,上記の元妻の陳述書の記載は直ちには採用し難い。
そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(3) 支出1-19の高速代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年6月23日,天現寺料金所において,首都高速道路の料金として700円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出に政務調査費を充てることは違法である旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,Z議員の実家に行ったときのものである旨の記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の支出1-19に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,江戸川区立総合レクリエーション公園(大規模都市型公園)の政務調査をした際のものである旨記載し,その陳述書(丙1)においても,上記と同旨の記載をしており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(4) 支出1-25,1-26,1-43,1-69,1-70,1-78及び1-79の高速代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,いずれも首都高速道路の料金として,平成19年7月3日に天現寺料金所で700円(支出1-25)を,同日に北上野本線料金所で700円(支出1-26)を,同月27日に北上野本線料金所で700円(支出1-43)を,同年9月2日に用賀本線料金所で700円(支出1-69)を,同日に北上野本線料金所で700円(支出1-70)を,同月24日に天現寺料金所で700円(支出1-78)を及び同日に北上野本線料金所で700円(支出1-79)を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出に政務調査費を充てることは違法である旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,いずれもZ議員が実家に行ったときのものと述べていた旨の記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,実家には月に3回以上往復しており,プライベートの際には計上していない,実家がある関係上,北上野インター経由での城北地区訪問が多い,同年7月3日の支出1-25及び1-26は,谷中地区防災広場調査及び六本木ヒルズ会議室での地域活性化研修会のため,同月27日の支出1-43は,小岩駅前地域活性化及び門前中町周辺自転車駐輪場の調査のため,同年9月2日の支出1-69及び1-70は,文京区内における医師からの心身症に関する情報提供のため,同月24日の支出1-78及び1-79は,荒川区内南千住操車場跡再開発の調査のためのものである旨記載し,その陳述書(丙1)においては,同年7月3日の支出1-25及び1-26は,谷中,千駄木,根津地区の街づくりの状況に関する視察と,その地区の防災広場等の調査をし,その後六本木ヒルズ会議室での地域活性化研修会もあったため,その行き帰りのためのもの,同月27日の支出1-43は,小岩駅前地域活性化及び門前中町周辺自転車路上駐輪場の調査研究のためのもの,同年9月2日の支出1-69及び1-70は,地元の祭礼の合間に上野駅近辺で医療懇談会があったためのもの,同月24日の支出1-78及び1-79は,南千住操車場跡再開発に関する政務調査のためのものである旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(5) 支出1-31及び1-33のガソリン代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年6月6日にクレジットカードの利用によりガソリンを購入して同年7月10日に1069円が決済されたこと(支出1-31)及び同月17日にガソリン7.33リットルを購入して1136円を支払ったこと(支出1-33)がそれぞれ認められる。
原告は,上記の各支出について,その量等に照らしてこれらに政務調査費を充てるのは違法である旨主張するが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,同じく添付の上記の各支出に係る領収書等を貼り付けた政務調査費領収書貼付用紙において,「政務調査研究の為のガソリン代」(支出1-31)又は「区内調査・研究に係る移動の為のガソリン代」(支出1-33)と記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,調査研究のため区内・区外を三輪バイクで移動したガソリン代である旨記載していたものである。
既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところであり,上記の移動に使用する車両の燃料であるガソリンの購入に要する経費もこれに含まれるものいえるところ,本件申合せ事項においては,ガソリン代の各支出については合計して議員1人当たり年額12万円を上限とするとされており,既に述べたように,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらない。そして,Z議員が政務調査費を充てた上記のガソリン代の各支出については,平成19年度においてした他の同種の支出と併せて上記の上限の範囲内にとどまり(甲4,乙8),かつ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(6) 支出1-44のタクシー代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年7月28日,タクシー代として1220円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員が訴外女性の住居に行くためのものである旨主張するが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の支出1-44に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,自衛隊駐屯地における関連行事出席のためのものである旨記載しており,上記のような活動は,区が自衛官の募集に係る事務を行うものとされていること(自衛隊法施行令118条ないし120条参照)等を考慮すると,政務調査活動に当たるといえ,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところであるところ,本件申合せ事項においては,タクシー代の支出については乗車区間を明記した上で議員の良識に任せるとされている。これは,政務調査活動をするための移動の方法の選択についてはその時点での状況に応じて各議員の合理的な判断に委ねるのが相当であることを踏まえ,タクシー代についてはそれを利用した区間を明らかにさせて透明性を確保することとして定められたものと推認され,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらず,原告が問題とする支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(7) 支出1-61のタクシー代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年8月18日,タクシー代として2020円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員は同日に仙台に滞在していたとして違法である旨主張し,元妻等の陳述書(甲12,13,15)にはこれに沿う記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の支出1-61に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,政策提言した継続した地域猫捕獲活動に関する緊急連絡を受けての移動のためのものである旨記載し,その陳述書(丙1)においては,上記の旨に併せて,翌日早朝からの視察のため,ちゅうちょしたが,野良猫の捕獲の現場に立ち会えるとのことから訪問したもので,周辺は駐車場がなく,翌日からの視察に合わせてオートバイを修理に出していたため,タクシーを利用した旨記載しており,証拠(丙2)によれば,Z議員は,同月19日午前に東京都を出発した平成19年度自民党目黒区議団の気仙沼市及び角田市の視察に参加したことが認められる。上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところであるところ,本件申合せ事項においては,タクシー代の支出については乗車区間を明記した上で議員の良識に任せるとされており,既に述べたように,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらず,原告が問題とする支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(8) 支出1-65の高速代及び1-66の駐車場代について
証拠(甲4,甲5,甲8,甲12,甲15,乙11,丙1,丙6)によれば,Z議員は,いずれも平成19年8月28日,渋谷料金所において首都高速道路の料金として700円を支払ったこと(支出1-65),午後3時32分から午後5時39分までの間の江戸東京博物館前駐車場における駐車の料金として900円を支払ったこと(支出1-66)及び江戸東京博物館において開催されていた後藤新平展を訴外女性とともに見たことがそれぞれ認められる。原告は,上記の各支出について,Z議員が上記の展覧会を見る時間があったはずはなく違法である旨主張するが,Z議員が上記の展覧会を見た事実は上記の証拠からも明らかであり,公知のところである東京都の歴史における後藤新平の業績等を考慮すると,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところであって,上記の移動に使用する車両の駐車に要する経費もこれに含まれるものといえる。そして,他に,上記に認定したところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(9) 支出1-12,1-21,1-46,1-68及び1-87の人件費について
証拠(甲4,乙11)によれば,Z議員は,平成19年5月,6月及び同年9月の各末日に事務作業区政レポート編集配付代としてそれぞれ2万円を支払ったこと(支出1-12(同年5月19日,同月26日及び同月31日分),1-21(同年6月16日,同月23日及び同月30日分)並びに1-87(同年9月18日,同月21日及び同月28日分))並びに同年7月及び同年8月の各末日に一般質問用調査編集代としてそれぞれ2万円を支払ったこと(支出1-46(同年7月13日,同月21日及び同月25日分)並びに1-68(同年8月10日,同月17日及び同月31日分))がそれぞれ認められる。
原告は,上記の各支出について,Z議員の実家に同居している人に対してお小遣いとして支出したものである旨等を主張し,元妻の陳述書(甲12)にはこれらに沿う記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,同じく添付の上記の各支出に係る領収証(甲4)には,摘要として既に示したような記載があり(なお,Z議員の自署であると推認される甲15添付2の「○○家賃貸借」と題する書面の「Z」の署名と比較対照すると,上記の各領収証にあるZ議員名義の記載がZ議員によるものであるとは認め難い。),その陳述書(丙1)においては,実家に同居する人物に対するものであるが,本人の活動実態があり,実際に地元で配布などの活動をしている旨記載しているものであり,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査を補助する職員を雇用する経費は人件費として本件使途基準に掲げられているところであるところ,本件申合せ事項においては,人件費は議員1人につき年額60万円を上限とするとされている。これは,政務調査活動をする際にその内容等に応じ補助者を雇用することがあることは通常想定されるところであること等を踏まえ,議員が各年度において行う政務調査活動のための雇用に関する一般的な実情等に照らして定められたものと推認され,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらない。そして,Z議員が政務調査費を充てた上記の人件費の各支出については,平成19年度においてした他の同種の支出と併せて上記の上限の範囲内にとどまり(甲4,乙8),かつ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。なお,上記の人物が本件使途基準において人件費の支出を禁じている対象者に当たると認めるに足りる証拠はなく,原告が指摘する社会保険料の支払に関する事項は,各月において3日程度臨時に雇用するとの証拠から推認される事情に照らし,上記の判断を左右するものとはいい難い。
そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(10) 支出1-54の写真現像代について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,平成19年8月7日,DPE代として1320円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員の家族旅行の写真についてのものである旨主張し,元妻の陳述書である甲12にはこれに沿う記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の支出1-54に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,区内調査記録である旨記載し,その陳述書(丙1)においては,政務調査のための記録写真代である旨記載しており,上記のように政務調査活動に当たり写真を撮影することはその一部を成すものといえ,議会審議に必要な資料を作成するために要する経費は資料作成費として本件使途基準に掲げられているところであって,上記のような写真の現像に要する経費もこれに含まれるといえる。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(11) 支出1-24,1-48及び1-86の新聞購読料について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,いずれも読売新聞セット税込代金として,平成19年7月3日に同年6月分3925円(支出1-24)を,同年8月3日に同年7月分3925円(支出1-48)を及び同年9月29日に同月分3925円(支出1-86)を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出について,調査研究のためのものではない旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,上記の各支出は家計からされている旨の記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,調査研究の記録のための保管等に使用した旨記載し,その陳述書(丙1)においては,本来読売新聞は購読していなかったが,議員となった後に情報収集のため契約してその購読を開始したもので,調査研究の記録のための保管等に使用した旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費は資料購入費中の新聞雑誌購読料として本件使途基準に掲げられているところである。本件申合せ事項においては,資料購入費について,新聞は1人3紙までとするとされているが,Z議員につき上記に抵触する事情は見当たらない。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(12) 支出1-13及び1-14の事務用品費について
証拠(甲4)によれば,原告は,いずれも平成19年6月4日,ウィズユーに対し,DELLノートパソコン本体,保守サービス,セットアップ代として15万6000円を支払い(支出1-14),また,事務用ソフトウェア(マイクロソフトオフィス)代として3万5700円を支払った(支出1-13)ことが認められる。原告は,上記の各支出について,実質はCへのお小遣いである旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,CはZ議員と親密な関係にある旨の記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,前記ノートパソコンについて,セットアップやソフトのカスタマイズをした上でフルサポート付きで購入したもので,調査行動に即した購入である旨記載し,その陳述書(丙1)においては,友人でIT関係の個人事業主に対する支払で,業務に対する対価であり,支出1-14の内訳は,パソコン本体価格が9万6000円,セットアップ作業が1万2000円,24時間サポートが4万8000円(月額1000円の4年分)である旨記載しており,証拠(乙15)によれば,Cがウィズユーの屋号をもって事業をしている事実が認められる。そして,上記のような購入は政務調査活動に係る事務を実効的にするためのものに当たるといえ,このような調査研究に係る事務遂行に必要な経費は事務費中の事務用品・備品購入費として本件使途基準に掲げられているところであって,物品の購入の際に通常附帯する役務の提供を受けるのに要する経費もこれに含まれるものといえる。本件申合せ事項においては,事務費について,備品購入に充てられる金額は1品当たり20万円を上限とするとされており,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらないところ,Z議員につき上記に抵触する事情は見当たらず,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。支出先が個人事業主であること又はその領収証に事業上の屋号が記載されたことをもって,当該支出に政務調査費を充てることが違法となると解すべき根拠は見当たらず,このことは,当該支出先における税務処理のいかんについても同様である。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(13) 支出1-36,1-62及び1-77のプロバイダ接続料について
証拠(甲4)によれば,Z議員は,いずれもウィズユーに対し,平成19年7月20日,同年8月20日及び同年9月20日,プロバイダ接続料(B-FLETS+プロバイダ代)として,それぞれ7384円を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出について,Cないしウィズユーはプロバイダ企業ではないとして違法である旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,CはZ議員と親密な関係にある旨の記載があるが,Z議員は,19年度前半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲4)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,Z議員のホームページ運営に欠かせない適切な回収代行コンサルタント業務である旨記載し,その陳述書(丙1)においては,領収証の記載は実情に即して分かりやすくしたものである旨記載している。そして,議員がするホームページの運営の活動は情報収集等に係る政務調査活動に当たるといえ,このような活動に要する経費は通信費に準ずるものとして本件使途基準に掲げる事務費に含まれるものといえるところ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。プロバイダ接続料の所要の支払がパーソナルコンピューターの保守等に継続的に当たる事業者(前記(12)及び後記(19)参照)を介してされたことをもって,当該支出に政務調査費を充てることが違法となると解すべき根拠は見当たらず,直接の支出先である上記の者が個人事業主であること等のCないしはウィズユーに関する原告の主張を採用し難いことは,既に述べたとおりである。そして,他に,19年度前半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(14) 支出2-1,2-11,2-60,2-63,2-92及び2-93のタクシー代について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,いずれもタクシー代として,平成19年10月4日に900円(支出2-1)を,同月17日に740円(支出2-11)を,平成20年1月9日に710円(支出2-60)を,同月13日に710円(支出2-63)を並びに同年3月19日に710円(支出2-92)及び800円(支出2-93)を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出について,Z議員が自家用車又は3輪バイクのほかに更にタクシーを利用したことは違法である旨主張するが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載しているところ,政務調査活動をするための移動に要する経費のうちタクシー代についての考え方は,既に述べたとおりであり,議員が日常は自家用車等を使用しているとの一事をもって,政務調査費をタクシー代に充てたことにつき直ちに違法ということができるものではなく,他に,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もなく,上記の原告の主張は採用し難い。
(15) 支出2-18の往復新幹線乗車券について
証拠(乙8,丙1)によれば,Z議員は,平成19年10月23日,新幹線乗車券代として2万7000円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,視察の実態がない旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,大阪・京都に他の党員と行く視察が中止になってZ議員は自宅にいた旨の記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の支出2-18に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,視察内容は上記の記載のとおりである旨記載し,その陳述書(丙1)においては,大阪府及び京都府への景観条例調査,路上自転車駐輪場,自転車専用道路について日帰りで視察したものであって,当初は宿泊予定であったが,Z議員の都合で日帰りとなった旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(16) 支出2-43の高速代について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,平成19年12月5日,渋谷料金所において,首都高速道路の料金として700円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員が実家に行くためのものである旨主張するが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の支出2-43に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,日本橋地区再開発研究及び会合出席のためのものである旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(17) 支出2-90の駐車場代について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,平成20年3月18日,同日午後7時8分から同日午後8時19分までの間の新宿NSビル駐車場における駐車の料金として300円を支払ったことが認められる。原告は,上記の支出について,Z議員が訴外女性のところに行っている間のものである旨主張するが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の支出2-90に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,ニュービジネス被害者の会に出席するためのものである旨記載しており,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,既に述べたように,政務調査活動をするための移動に要する駐車場代を含む経費は調査研究費中の交通費として本件使途基準に掲げられているところである。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(18) 支出2-21,2-41,2-54,2-70,2-82及び2-96の新聞購読料について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,いずれも読売新聞セット税込代金として,平成19年10月27日に同月分3925円(支出2-21)を,同年11月28日に同月分3925円(支出2-41)を,同年12月22日に同月分3925円(支出2-54)を,平成20年1月26日に同月分3925円(支出2-70)を,同年2月26日に同月分3925円(支出2-82)を及び同年3月20日に同月分3925円(支出2-96)をそれぞれ支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出について,調査研究のためのものではない旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,上記の各支出は家計からされている旨の記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,調査研究の記録のための保管等に使用した旨記載し,その陳述書(丙1)においては,本来読売新聞は購読していなかったが,議員となった後に情報収集のため契約してその購読を開始したもので,調査研究の記録のための保管等に使用した旨記載しており,既に述べたように,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,調査研究のために必要な図書・資料等の購入に要する経費は資料購入費中の新聞雑誌購読料として本件使途基準に掲げられているところである。本件申合せ事項においては,資料購入費について,新聞は1人3紙までとするとされているが,Z議員につき上記に抵触する事情は見当たらない。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(19) 支出2-44及び2-66の区政報告個人版発行費用について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,いずれもウィズユーに対し,平成19年12月10日に「区政報告個人版 編集・印刷・発送・ポスティング5000部」として14万円(支出2-44)を及び平成20年1月20日に「区政報告個人版 編集・印刷・発送・ポスティング5000部」として14万円(支出2-66)を支払ったこと,また,19年度後半報告書に,表面にZ議員の写真を,裏面にZ議員が区議会において登壇質問をする様子や選挙の応援演説,大橋ジャンクション及び中目黒再開発事業等に関する写真並びにそれらの説明文を印刷した郵便はがきを添付したほか,郵便はがき大の用紙に,Z議員が区議会において登壇質問をする様子等の写真及び都市環境委員であること等のZ議員の活動やZ議員が所属する自民党議員団が取り組む改革についての説明文を印刷したものを添付したことが認められる。原告は,上記の各支出について,サンプルを作ったにすぎない旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,Z議員とCが作成しているところを見たことはなく,そのような話を聞いたこともない上,できたものを見たこともない旨の記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,OAサプライを全て依頼しているウィズユーに依頼し,完成品を添付して報告している旨記載し,その陳述書(丙1)においては,ウィズユーに一括して依頼し,Z議員が深夜まで原稿を作ったり,Cが何度となく訪問して打ち合わせをしたりした旨記載しているものである。
会派又は議員が行う議会活動及び目黒区政に関する政策等の広報活動に要する経費は広報費として本件使途基準に掲げられているところであり,本件申合せ事項においては,作成した広報紙など成果物は収支報告書に添付するものとされているところ,Z議員は既に述べたようにこれに沿った取扱いをしていたものであって,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。支出先が個人事業主であること等のCないしはウィズユーに関する原告の主張を採用し難いことは,既に述べたとおりである。
そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(20) 支出2-4,2-31,2-45,2-61,2-76及び2-84の携帯電話料について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,いずれもクレジットカードの決済により,平成19年10月10日に同年7月分の携帯電話料金として2万0233円(支出2-4)を,同年11月12日に同年8月分の携帯電話料金として1万2922円(支出2-31)を,同年12月10日に同年9月分の携帯電話料金として1万3222円(支出2-45)を,平成20年1月10日に平成19年10月分の携帯電話料金として1万3523円(支出2-61)を,平成20年2月12日に平成19年11月分の携帯電話料金として1万3222円(支出2-76)を及び平成20年3月10日に平成19年12月分の携帯電話料金として1万2921円(支出2-84)を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支払のうちの一部に政務調査費を使用したとする上記の各支出について,違法である旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,Z議員は携帯電話を1台しか有していない旨の記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,複数の携帯電話を所持し,あん分計算した旨記載しているところ,調査研究に係る事務遂行に必要な通信に係る経費は事務費中の通信費として本件使途基準に掲げられているところである。本件申合せ事項においては,事務費について,政務調査費から支出できるのは,事務所の電話か携帯電話のどちらか一方とし,支出金額は議員1人当たり年額12万円を上限とするものとしているところ,これは,今日における携帯電話の普及に伴い,これが政務調査活動をするための通信に使用され,その際に上記の通信以外の通信にも使用されることがあることは通常想定されるところであること等を踏まえ,議員が各年度において行う政務調査活動をするための通信に関する一般的な実情等に照らして定められたものと推認され,その内容につき格別不合理というべき事情は見当たらない。そして,Z議員が政務調査費を充てた上記の携帯電話料の各支出については,平成19年度においてした他の同種の支出と併せて上記の上限の範囲内にとどまり(甲4,乙8),かつ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(21) 支出2-16,2-34,2-53,2-67,2-80及び2-95のプロバイダ接続料について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,いずれもウィズユーに対し,平成19年10月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行9月分」として7384円(支出2-16)を,同年11月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行10月分」として7384円(支出2-34)を,同年12月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行11月分」として7384円(支出2-53)を,平成20年1月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行12月分」として7384円(支出2-67)を,同年2月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行1月分」として7384円(支出2-80)を及び同年3月20日に「Bフレッツ・OCN回収代行2月分」として7384円(支出2-95)を支払ったことが認められる。原告は,上記の各支出について,Cないしウィズユーが回収代行に当たる地位にはなかったとして違法である旨主張し,元妻の陳述書である甲12には,CはZ議員と親密な関係にある旨の記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)において,Z議員のホームページ運営に欠かせない適切な回収代行コンサルタント業務である旨記載し,その陳述書(丙1)においては,パソコンの設置,管理,保守(インターネットへの接続を含む。)をウィズユーに委託した旨記載している。そして,既に述べたように,議員がするホームページの運営の活動は情報収集等に係る政務調査活動に当たるといえ,このような活動に要する経費は通信費に準ずるものとして本件使途基準に掲げる事務費に含まれるものといえるところ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。プロバイダ接続料の所要の支払がパーソナルコンピューターの保守等に継続的に当たる事業者を介してされたことをもって,当該支出に政務調査費を充てることが違法となると解すべき根拠は見当たらず,直接の支出先である上記の者が個人事業主であること等のCないしはウィズユーに関する原告の主張を採用し難いことは,既に述べたとおりである。そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
(22) 支出2-38,2-55,2-73及び2-81の人件費について
証拠(乙8)によれば,Z議員は,平成19年11月25日,同年12月23日及び平成20年1月30日に,区政報告(個人用)発行作業代としてそれぞれ2万円を支払ったこと(支出2-38(平成19年11月18日及び同月25日分),2-55(同年12月22日及び同月23日分)並びに2-73(平成20年1月10日及び同月19日分))並びに同年2月24日に資料整理,編集作業代として2万円を支払ったこと(支出2-81(同月17日及び同月24日分))がそれぞれ認められる。
原告は,上記の各支出について,Z議員の実家に同居している人に対してお小遣いとして支出したものである旨主張し,元妻の陳述書(甲12)にはこれに沿う記載があるが,Z議員は,19年度後半報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(乙8)において,別紙1の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,同じく添付の上記の各支出に係る領収証(乙8)には,摘要として既に示したような記載があり(なお,各領収証のZ名義の記載については,前記(9)に説示したとおりである。),その陳述書(丙1)においては,上記の各支出は実家に同居する人物に対するものではない旨記載しているものであり,上記のような活動は政務調査活動に当たるといえ,政務調査を補助する職員を雇用する経費は人件費として本件使途基準に掲げられているところであるところ,本件申合せ事項においては,人件費は議員1人につき年額60万円を上限とするとされている。これについての考え方は,既に述べたとおりであり,Z議員が政務調査費を充てた上記の人件費の各支出については,平成19年度においてした他の同種の支出と併せて上記の上限の範囲内にとどまり(甲4,乙8),かつ,原告が問題とする各支出について,社会通念に照らし相当性を認め得る範囲を逸脱しているというべき事情を認めるに足りる証拠もない。なお,支出先の者が本件使途基準において人件費の支出を禁じている対象者に当たると認めるに足りる証拠はなく,原告が指摘する社会保険料の支払に関する事項は,各月において2日程度臨時に雇用するとの証拠から推認される事情に照らし,上記の判断を左右するものとはいい難い。
そして,他に,19年度後半報告書添付の書類等の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
4 B議員の各支出について
(1) 支出3-1ないし3-20のタクシー代等について
原告は,B議員に平成19年5月から同年9月までの各月分の政務調査費が実際に交付された同年5月18日以前にされた上記の各支出に政務調査費を充てることは違法であると主張するが,この主張を採用し難いことについては,前記3(1)において述べたとおりである。
(2) 支出3-3,3-10ないし3-12,3-19,3-24,3-25,3-27,3-34,3-37及び3-38のタクシー代並びに支出3-14,3-15及び3-113ないし3-115の乗車券類代について
証拠(甲6)によれば,B議員は,いずれもタクシー代として,平成19年5月3日に660円(支出3-3)を,同月11日に660円2件及び740円(支出3-10ないし3-12)を,同月15日に660円(支出3-19)を,同月30日に1380円(支出3-24)を,同年6月5日に1620円(支出3-25)を,同月9日に660円(支出3-27)を,同月14日に660円(支出3-34)を並びに同月15日に660円及び1940円(支出3-37及び3-38)を支払ったこと,また,いずれも乗車券類代として,同年5月13日に800円2件(支出3-14及び3-15)を並びに同年9月29日に1110円,1860円及び1860円(支出3-113ないし3-115)を支払ったことがそれぞれ認められる。原告は,上記の各支出について,実家等への交通費である旨主張するが,B議員は,平成19年度前半の政務調査費収支報告書添付の支出内訳及び会計帳簿(甲6)において,別紙2の上記の各支出に対応する欄に記載されているように記載し,目黒区監査委員がした本件調査に対する回答(乙11)においては,目黒区の事務及び地方行財政に関する調査に要したものである旨記載しており,他に,上記の証拠にあるところを覆し,原告の主張するように事実の認定をすべきことを的確に裏付ける証拠は見当たらず,上記の原告の主張は採用し難い。
第4 よって,原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 八木一洋 裁判官 石村智 裁判官 藤井秀樹)
別紙
関係法令等
第1 地方自治法の定め
1 地方自治法100条13項(平成20年法律第69号による改正前のもの。以下同じ。)は,普通地方公共団体は,条例の定めるところにより,その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,その議会における会派又は議員に対し,政務調査費を交付することができ,この場合において,当該政務調査費の交付の対象,額及び交付の方法は,条例で定めなければならない旨を定める。
2 地方自治法100条14項(平成20年法律第69号による改正前のもの。以下同じ。)は,政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする旨を定める。
3 地方自治法109条の2第1項は,普通地方公共団体の議会は,条例で議会運営委員会を置くことができる旨を定める。
4 地方自治法283条1項は,前記1から3までの各規定は,特別区に適用する旨を定める。
第2 目黒区政務調査費の交付に関する条例(平成13年目黒区条例第5号。甲1。以下「本件条例」という。)
1 本件条例1条は,本件条例は,地方自治法100条13項及び14項の規定に基づき,目黒区議会における会派又は議員に対する政務調査費の交付に関し必要な事項を定める旨を定める。
2 本件条例4条1項は,一の会派に対する政務調査費の額は,月額14万円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額とする旨を定め,同条2項は,議員一人に対する政務調査費の額は,月額14万円とする旨を定める。
3 本件条例6条は,政務調査費の交付を受けようとする会派の代表者又は議員は,毎年度,目黒区長(以下,第2において「区長」という。)に申請しなければならない旨を定め,本件条例7条は,区長は,本件条例6条の規定による申請があったときは,速やかに交付の可否及び交付額を決定し,当該申請をした会派の代表者又は議員に通知する旨を定める。
4 本件条例8条1項は,政務調査費は,申請があった日の属する月の翌月分(当該日の属する月が任期満了に伴う一般選挙が行われた月の翌月である場合は,当月分)から,月を単位として交付する旨を定め,同条2項本文は,政務調査費の交付の時期は,4月から9月まで又は10月から3月までのそれぞれの期間において交付すべき最初の月とし,当該それぞれの期間内に交付すべき月分を交付する旨を定める。
5 本件条例9条1項は,本件条例7条の規定による通知を受けた会派の代表者又は議員は,本件条例8条2項に規定する交付すべき最初の月に,区長に対し請求書を提出しなければならない旨を定め,本件条例9条2項は,区長は,同条1項の規定による請求があったときは,当該請求のあった日から10日以内に,政務調査費を交付するものとする旨を定める。
6 本件条例11条は,政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,当該政務調査費を別に定める使途基準に従って使用しなければならない旨を定める。
7 本件条例12条1項は,政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員は,本件条例8条2項本文に規定する期間ごとの当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を,当該期間の最後の月の翌月の末日までに議長に提出しなければならない旨を定め,本件条例12条4項は,上記報告書には,当該支出の目的,内容等を記載した内訳書及び当該支出に係る領収書等の証拠書類の原本を添付しなければならない旨を定め,同条5項は,上記報告書の提出を受けた議長は,同報告書並びにこれに添付して提出された内訳書及び証拠書類の原本を,提出期限の日の翌月から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない旨を定め,同条6項は,議長は,同条1項から3項までの規定により提出された報告書の写しを区長に送付するとともに,別に定める方法により公開する旨を定める。
8 本件条例13条1項は,議長は,政務調査費の適正な運用を期すため,本件条例12条の規定により報告書が提出されたときは,調査を行わなければならない旨を定め,本件条例13条2項は,議長は,同条1項の調査の結果を議会に報告するものとする旨を定め,同条3項は,議長は,同条1項の調査の結果,本件条例11条に規定する使途基準に基づかない経費(以下「使途基準外経費」という。)の支出があると認めるときは,その旨を区長に報告するものとする旨を定める。
9 本件条例14条1項は,区長は,政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員に対し,当該会派又は議員がその年度において交付を受けた政務調査費の総額から,当該会派又は議員がその年度においてした支出のうち政務調査費を充てたものの総額を控除して残余がある場合には,当該残余の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる旨を定め,同条2項は,同条1項に定めるもののほか,区長は,議長から本件条例13条3項の規定による報告を受けたときは,当該報告に係る会派の代表者又は議員に対し,使途基準外経費の額に相当する額の政務調査費の返還を命ずることができる旨を定める。
10 本件条例15条は,本件条例11条に規定する使途基準並びに本件条例の規定による届出,申請,請求及び報告に係る手続に関し必要な事項は,議長が定める旨を定める。
第3 目黒区政務調査費の交付に関する規程(平成13年目黒区議会告示第1号。甲2及び甲3。以下「本件規程」という。)
1 本件規程1条は,本件規程は,本件条例15条の規定に基づき,政務調査費に係る手続に関し,必要な事項を定めるものとする旨を定める。
2 本件規程5条は,本件条例11条の使途基準は,本件規程の別表1(以下「本件使途基準」という。)のとおりとする旨を定める。
3 本件規程6条1項は,本件条例12条1項から3項までに規定する報告書は,所定の様式の政務調査費収支報告書,同条4項に規定する内訳書は,所定の様式の支出内訳によるものとする旨を定め,本件規程6条2項は,同条1項の政務調査費収支報告書には,所定の様式の会計帳簿を添付しなければならない旨を定める。
〈以下省略〉
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裁判年月日 平成23年 6月 8日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(ワ)45802号
事件名 建物明渡請求事件
裁判結果 認容 文献番号 2011WLJPCA06088004
要旨
◆建物所有者である原告が、当該建物を占有している被告に対し、所有権に基づき建物明渡と賃料相当損害金の支払を求めたのに対し、被告が占有権原として賃貸借契約の存在を主張し、原告が当該契約は債務不履行解除されたとして争った事案において、被告には賃料不払の債務不履行があり、本件建物の賃貸人による本件賃貸借契約の解除は有効であるとして、原告の請求を認容した事例
出典
参照条文
民法206条
民法540条1項
民法601条
裁判年月日 平成23年 6月 8日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平22(ワ)45802号
事件名 建物明渡請求事件
裁判結果 認容 文献番号 2011WLJPCA06088004
東京都新宿区〈以下省略〉
原告 野村不動産レジデンシャル投資法人
同代表者執行役員 A
同訴訟代理人弁護士 桜井美佐
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 井上乾介
主文
1 被告は,原告に対し,別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。
2 被告は,原告に対し,平成22年12月4日から別紙物件目録記載の建物の明渡済みまで1か月16万1000円の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。
事実
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要等
本件は,建物所有者である原告が,当該建物を占有している被告に対し,所有権に基づき建物明渡と平成22年12月4日以降の賃料相当損害金の支払を求めたのに対し,被告が占有権原として賃貸借契約の存在を主張し,原告が当該契約は債務不履行解除されたとして争った事案である。
1 争いのない事実等(特記しない限り当事者間に争いがない。)
(1) 原告は,平成22年8月20日,みずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託銀行」という。)から,信託財産引継を原因として別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の所有権を取得し,以降,本件建物を所有している(甲1)。
(2) 平成21年6月13日,合同会社エムシーアール・ナイン(以下「エムシーアール・ナイン」という。)は,被告との間で,当時みずほ信託銀行所有であった本件建物の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)を締結し,同月26日ころ,同建物を引き渡した。なお,本件建物を含む賃貸物件全体がペット飼育可とされている(甲8,弁論の全趣旨)。
ア 賃貸借期間 平成21年6月27日から平成23年6月30日まで
イ 賃料 月額16万1000円
翌月分を毎月27日までに支払う。
ウ 契約解除 被告が,賃料等の支払を2か月分以上滞納したときは,賃貸人は被告に対し何ら催告なしに本契約を解除することができる。
(3) 原告,エムシーアール・ナイン及び株式会社東急コミュニティー(以下「東急コミュニティー」という。)は,平成22年11月19日に被告に到達した内容証明郵便による同月15日付「催告書兼条件付解除通知書」により,被告に対し,前記未払金を支払うよう催告するとともに,同書面到達後14日以内に上記未払金全額の支払がない場合は,上記期日の経過をもって本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。しかし,被告は,同年12月3日を経過しても前記未払金を支払わなかった(甲5,6)。
(4) 被告は,同年12月4日以降本件建物を占有している。
(5) 本件建物の賃料相当額は,1か月当たり16万1000円である。
2 争点
(1) 本件賃貸借契約の貸主の地位の東急コミュニティーへの移転につき,被告は承諾したか。
(原告の主張)
平成22年8月20日,本件建物の所有者がみずほ信託銀行から原告に変更したことに伴い,本件賃貸借契約における賃貸人の地位は東急コミュニティーに移転した。
被告は,上記賃貸人の地位の移転につき,同年9月3日,東急コミュニティーの担当者に対する電話において口頭で承諾した。
(被告の主張)
賃貸人の地位の移転は不知。口頭による承諾は否認する。
(2) 本件賃貸借契約の東急コミュニティーないしエムシーアール・ナインによる解除は有効か。
(原告の主張)
ア 被告は,本件建物の賃貸人及び管理会社が東急コミュニティーに変更となった後の平成22年11月15日時点で,同年9月分から同年11月分までの賃料合計48万3000円を支払っていなかった。
そこで,東急コミュニティーは,前記1記載のとおり,エムシーアール・ナインと連名で,同年11月19日に被告に到達した内容証明郵便による同月15日付「催告書兼条件付解除通知書」により,被告に対し,前記未払金を支払うよう催告するとともに,同書面到達後14日以内に上記未払金全額の支払がない場合は,上記期日の経過をもって本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。しかし,被告は,同年12月3日を経過しても前記未払金を支払わなかった。
イ 仮に,東急コミュニティーに本件賃貸借契約の契約上の地位が移転していないとしても,エムシーアール・ナインによる前記通知書による本件賃貸借契約の解除を主張する。
ウ 被告が主張するような賃借人が住居として使用することが不可能といえるほどの騒音や悪臭などの衛生問題が生じていた事実はない。また,エムシーアール・ナインが賃貸人であった当時の管理会社であったトーセイ・コミュニティー(以下「トーセイ」という。)及び東急コミュニティーのいずれも,ペット飼育者に対しポスティング(チラシ配布)や掲示等で注意する措置等をとっており,賃貸人の義務の不履行がない。
(被告の主張)
ア 東急コミュニティーは,被告に対し本件建物の賃貸人であることを対抗できない(争点(1)参照)から,東急コミュニティーに対する賃料債務の不履行はありえない。
イ エムシーアール・ナインは,以下のとおり,管理を怠って本件建物を住居として使用収益可能な状態におくという賃貸人の義務を履行していない。したがって,これに対応する賃料支払義務は発生しないから賃料債務の不履行もない。
(ア) 被告は本件建物に入居以来,共用空間でリードをつけずに放し飼いにされた犬に飛びかかられたり,突然吠えかけられたりするなどの恐怖を味わい,また深夜にわたるペットの騒音などに悩まされてきた。被告は,当時の管理会社であるトーセイにたびたび改善を申し入れたが一向に解決しなかった。
平成22年2月23日に,被告はトーセイに対し,飼主のマナー違反及び騒音について改善を申し入れるとともに,かかる事態は管理会社の管理不足なので,解決まで賃料を3万円減額すると通知し,トーセイは了承した。
(イ) その後も同様の通知を行ったが,トーセイは掲示板に張り紙をするのみであり,同年夏ころになってようやく犬の騒音問題について調査を開始したものの,結果報告がされないまま管理会社が東急コミュニティーに交代した。
(ウ) 東急コミュニティーが管理会社になった後,同年9月上旬にはエントランス付近に犬の糞尿が数日間放置されていた。
また,同年10月中旬にはエレベーター前でリードが外れた犬が被告に近寄ってくることがあり,同月下旬には,被告が宅急便に対応していたときにリードがついていない犬が被告の部屋(本件建物)に入りそうになった。同月下旬から同年11月には,夜,ゴミ置き場付近で急に大きな声で犬に吠えられることが何度もあり,また夜間から朝方にかけて犬が大きな声で吠え,睡眠を妨げられた。
被告は,東急コミュニティーに改善を求めたが,全く対応しないか,張り紙をする等のおざなりな対応しかせず,改善はされなかった。
(エ) 賃貸人は,目的物を使用収益に適する状態におくべき積極的作為義務があり,本件では,エントランス部分の糞尿の速やかな洗浄及び散乱の防止徹底,犬が飛びかかる危険を防止するため屋外ではリードを外さないことを各戸別に徹底するなどの積極的作為義務を負っているが,本件では張り紙やポスティング程度しか行っていない。
(オ) このような状況から,被告の妻は不安定な精神状態となり,深刻な健康被害が生じ,被告及び被告の妻は経済的損害を受けている。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(本件賃貸借契約の貸主の地位の東急コミュニティーへの移転につき,被告は承諾したか。)について
証拠(甲1,4)に弁論の全趣旨を総合すると,平成22年8月20日,本件建物の所有者がみずほ信託銀行から原告に変更したこと,これに伴い本件賃貸借契約における賃貸人の地位をエムシーアール・ナインから東急コミュニティーに移転することとし,本件建物の賃借人である被告に上記賃貸人の地位の移転につき承諾を求めたことが認められるが,同年9月3日,東急コミュニティーの担当者に対する電話において口頭で承諾したことを認めるに足りる証拠はない。
よって,本件建物の賃貸人の地位はいまだエムシーアール・ナインが有しているものといわざるをえない。
2 争点(2)(本件賃貸借契約の東急コミュニティーないしエムシーアール・ナインによる解除は有効か。)について
弁論の全趣旨によれば,被告が平成22年11月15日時点で,同年9月分から同年11月分までの賃料合計48万3000円をエムシーアール・ナインに支払っていないことが認められる。
この点,被告は,本件建物内で放し飼いにされた犬に飛びかかられたり吠えられたりし,またエントランス付近に犬の糞尿が数日間放置されていたり,被告が宅急便に対応していたときにリードがついていない犬が被告の部屋に入りそうになったこと,ゴミ置き場付近で犬に急に大きな声で吠えられることが何度もあったこと,夜間から朝方にかけて犬が大きな声で吠え,睡眠を妨げられたことなどを指摘して,エムシーアール・ナインが管理を怠り本件建物を住居として使用収益可能な状態におくという賃貸人の義務を履行していないから賃料支払義務は発生しないと主張する。
しかし,被告が主張する事実は,仮にその存在が認められたとしても,いずれも本件建物自体の使用収益を直ちに妨げるものではない。また,証拠(甲10ないし14,乙2の1~5,5)に弁論の全趣旨を総合すると,トーセイが管理会社であった平成21年9月ころ及び平成22年2月ころには,被告から犬の鳴き声がうるさいとの苦情を受けてトーセイにおいて周辺住戸へペットの鳴き声に関する通知文のポスティングを実施し,さらに同年4月及び5月には,ペット飼育に関し共用部ではペットにリードをつけるよう求める文書を掲示した上で各戸にポスティングしたこと,東急コミュニティーが管理を行うようになった後の同年12月には,ペットを適正に飼育し,他の居住者等の迷惑にならないようにするよう求める文書を掲示した上で各戸にポスティングしたこと,同年9月9日にはエントランスにペットの排泄物が落ちていたが翌日には東急コミュニティーにおいて撤去したことが認められ,十分なものであるかはともかくとして,管理会社においても一定の対応を行ってきていることがうかがえる。
してみると,被告の指摘する事情が,賃料の一部不払を正当化する余地があるかはともかくとしても,賃料の全額の不払を正当化するとは解されない。被告の主張は理由がない。
よって,被告には賃料不払の債務不履行があるから,エムシーアール・ナインによる本件賃貸借契約の解除は有効である。
3 結論
以上によれば,原告の請求は理由があるから認容し,訴訟費用の負担につき民訴法61条を,仮執行の宣言につき同259条1項をそれぞれ適用し,なお建物明渡については仮執行の宣言は相当ではないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。
(裁判官 野村武範)
〈以下省略〉
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