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裁判年月日 平成19年 1月16日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平17(ワ)26916号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2007WLJPCA01168015
要旨
◆原告の代表取締役であった被告が、忠実義務違反及び競業避止義務に違反して競業会社の設立資金を拠出させたことにより、原告の売上が減少し、得べかりし利益を喪失した等を主張して、損害の賠償等を求めた事案につき、競業会社が設立されたことによって減少した原告の利益は、被告の忠実義務違反行為と因果関係を有する損害であるとして、請求の一部を認容した事例
参照条文
会社法330条
会社法355条
会社法356条
会社法423条
裁判年月日 平成19年 1月16日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平17(ワ)26916号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2007WLJPCA01168015
東京都中央区〈以下省略〉
原告 株式会社シーエスピー
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 藤森功
東京都文京区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 辻希
主文
1 被告は,原告に対し,1464万5022円及びこれに対する平成17年12月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用はこれを3分し,その1を被告の,その余を原告の負担とする。
3 この判決は,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,4535万7188円及びこれに対する平成17年12月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件事案の要旨及び争点
本件は,株式会社である原告が,原告の代表取締役であった被告に対し,①原告から被告に対する750万円の支払は,報酬名目の支払については,株主の同意がなく報酬としての支払ではなく,また,精算金名目の支払については支出の実態がなく法律上の原因を欠く,②被告が原告に対する忠実義務に違反して取引先からの商品仕入を取り消したことによって,原告が当該商品を転売することによる得べかりし利益を喪失した,③被告が原告に対する忠実義務に違反して架空の請求書に対する支払をした,④被告が原告に対する忠実義務及び競業避止義務に違反して競業会社の設立資金を拠出させたことにより,原告の売上が減少し,得べかりし利益を喪失したと主張して,①について不当利得の返還を,②,③及び④について損害賠償を求める事案である。
これに対し被告は,①報酬については株主が存在しないから同意は不要であり,仮に株主が存在するとしてもその同意を得ている,精算金として支出した分については原告にとって必要な支出である,②原告の仕入を取消したことはなく,別会社の仕入が混ざり込んでいたにすぎない,③架空の請求ではなく顧客紹介に対する謝礼である,④被告が原告の競業会社の設立資金を原告から拠出させたことはなく,損害額の主張も根拠がないとしてこれを争う。
したがって,本件の争点は,①被告に対する報酬名目の支払が適法になされたか,精算金名目の支払に支出の実態があるか,②原告の取引先に対して取消した仕入が原告の取引であったか否か,③請求書が架空か否か,④被告が原告の競業会社設立のために原告の資金を拠出したか否か,原告の競業会社が設立されたことによる原告の損害額はいくらか,である。
2 前提事実(証拠を掲記した事実以外は当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨から認定できる事実である)
(1) 当事者等
ア 原告は,販売促進に関する企画,マーケティングリサーチの請負等を目的とする株式会社であり,ポイントサービス事業を行っている(甲1の1・2)。
イ 被告は,平成15年8月2日,原告の取締役兼代表取締役に就任した。
ウ 株式会社シージードラフト(以下「シージードラフト」という。)は,平成17年5月2日に設立された。シージードラフトの代表取締役は,平成15年8月2日から平成17年9月26日まで原告の監査役の地位にあったB(以下「B」という。)である(甲1の1・2,6の2)。
(2) 被告は,同年1月から,自らの原告代表取締役としての給料を月額60万円と決定した。
原告は,被告に対し,同年5月30日,750万円を支払った。
(3) 富士琺瑯工業株式会社(以下「富士琺瑯」という。)は,原告の取引先である。原告の担当者Cは,同年5月ころ,富士琺瑯に対し,富士琺瑯が原告に対して送付した請求書中,324万0468円分は,シージードラフトが仕入れた分である旨連絡して,同額の支払をしなかった(甲4の1・2)。
(4) 原告は,同年9月20日,D(以下「D」という。)に対し,販売手数料名目で414万5022円を支払った。
(5) 被告は,同年4月26日,原告から,仮払金名目で1000万円の支払を受けた(以下「本件仮払金」という。甲6の1)。
(6) 本件訴状は,同年12月28日,被告に送達された(当裁判所に顕著)。
3 争点に関する各当事者の主張
(1) 750万円の支払について
(原告の主張)
ア 報酬との主張について
被告は,平成17年1月から,原告代表取締役としての給料を月額60万円と決定し,支給されていた。被告は,同年5月30日,未払金名目で,原告会社をして750万円を被告に対し支払わせた。
被告の報酬は,株主であるE(以下「E」という。)の承認を得て決定してきた。Eは,上記750万円のうち300万円を報酬ないし給料として支払うことについて承認していないし,被告に対して給料を自由に設定して良いとも述べていない。
イ 精算金との主張について
被告が精算金と主張する450万円については,被告の提出する出金伝票は作成年月日も起票者も不明である上,原告会社に被告の主張するパソコンは存在しないし,備品類等の買取の必要はなく,自動車リース料については被告が個人で使用していたもので,予めこれらの費用について原告が負担する合意もない。出張手当についても,出張日から遡って作成された伝票で信用性はなく,賞与についても支払約束はない。したがって,これらの支出は精算金として支出すべきものではない。
ウ 以上のとおり,被告は,法律上の原因がなく750万円を受領したものであり,法律上の原因がないことを知っていたものであるから,利息を付して返還すべき責任を負う。
(被告の主張)
ア 報酬について
Eは,被告に対し,被告の給料を自由に設定して良いと述べていた。被告は,平成17年5月期において原告に黒字が出ることが判明したため,遡って平成17年1月から同年5月までの報酬を月額120万円に増額した。被告の報酬が月額60万円から120万円に増額され,5か月分であるから,300万円が報酬として支払われたものである。
原告は,株主総会によって利益を守られるべき株主が存在せず,株主総会を開催して承認を得ることが不可能であるから,報酬支払いについて株主総会の承認は不要である。仮にEが株主であるとしても,Eは,被告の報酬額につき,被告に対して事前に包括的な同意を与えていたから,総株主の同意がある。
イ 精算金について
750万円のうちの450万円は精算金であり,その内訳は,被告個人が所有していたパソコン等を原告が買い取った70万8500円,電話・ファックス等備品類の買取36万8436円,出張手当の清算38万円,社会保険料40万8064円,賞与100万円,自動車リース料163万5000円である。
ウ したがって,以上の合計額である750万円の支払はいずれも適法である。
(2) 富士琺瑯の仕入取消に伴う逸失利益について
(原告の主張)
被告は,平成17年5月,富士琺瑯から原告が仕入れた商品(仕入代金324万0468円)を,シージードラフトの取引であるとして取り消した。かかる行為は原告に対する忠実義務に違反する。原告の粗利率は,平成17年5月期決算において22.34パーセントである。したがって,被告が上記仕入を取り消さなければ,324万0468円を77.66パーセントで除した417万2634円の売上げを得られた。したがって,同売上額417万2634円から取り消された仕入額324万0468円を控除した得べかりし利益93万2166円の損害を被った。
(被告の主張)
被告が富士琺瑯の仕入を取り消したことはない。富士琺瑯の原告に対する請求書に,原告ではなくシージードラフトの仕入分が混ざり込んでいたため,原告の支払額を明確にしただけである。
(3) Dへの販売手数料の支払について
(原告の主張)
被告は,原告代表取締役として,原告が平成17年6月30日にエフコープ生活協同組合から受注したわくわくシールラリー販売手数料と称して,Dに414万5022円の架空の請求書を提出させた。原告は,同年9月20日,Dに対し同額を支払った。
エフコープ生活協同組合は,Dを全く知らないから,同顧客に対する謝礼ではないし,Dに対する支払は金額からしても,謝礼とは考えられない。
株式会社メッセージが顧客紹介料の半分を負担する合意はなく,したがって,同社が原告に対して顧客紹介料の半分を支払っているという事実もない。
したがって,かかる支払行為は忠実義務に違反するもので,原告は,これにより414万5022円の損害を被った。
(被告の主張)
被告は,Dに顧客を多く紹介して貰い,その謝礼として支払ったもので,架空の請求ではない。エフコープ生活協同組合自体はDの紹介にかかる顧客ではないが,支払時点で売上げが多い企画であったため,当該企画の分として割り当てただけである。
紹介料については,株式会社メッセージとの間で半額ずつ負担する合意があったので,いったん原告が負担して,株式会社メッセージに対して200万円の請求をして,支払われているから,仮に原告に何らかの損害が発生したものとしても,200万円については損害が填補されている。
(4) シージードラフト設立について
(原告の主張)
ア 忠実義務違反ないし競業避止義務違反行為
被告は,原告から引出した本件仮払金をシージードラフトの設立資金に費消した。
被告が本件仮払金を引き出したのはシージードラフト設立よりも前であるから,シージードラフト買取資金として引き出す必要はない。被告は,シージードラフト設立のために資本金払込保管証明書を得る必要から本件仮払金を使用し,平成17年5月30日に会社設立資本金払込保管証明書が交付され使用済みとなったため,会計上,仮払金の精算が必要となったことから,精算しているにすぎない。
シージードラフトの事業目的は,ギフト用品の企画,販売,販売促進の企画,販売促進用品の販売であり,ポイント情報の販売促進企画が主たる業務である。シージードラフトの顧客の多くは,原告と同一である。
被告は,原告の代表取締役であるにもかかわらず,原告の競業会社であるシージードラフトを設立し,原告の取引先をシージードラフトに移行したもので,忠実義務及び競業避止義務に違反する。
シージードラフトの代表取締役兼一人株主であるBと被告は,親密な関係にあり,Bの供述内容は信用できない。
イ 損害額
原告の平成17年5月期の売上高は3億9137万9500円である。原告の目的であるマルチメディア関連情報サービス,販売促進に関する企画,立案,実施事業は,スーパー,量販店の増加に伴い,事業の急激な拡大とそれによって集客率アップを図るポイント情報サービスの販売促進企画業務が拡張するに至ったから,平成18年5月期の売上高は倍増が見込まれた。原告の粗利率を22.34パーセント,経費率を20.78パーセントとし,営業外利益を100万円として利益を試算すると,3278万円である。
したがって,原告は,被告の上記義務違反により,3278万円の得べかりし利益を喪失した。
(被告の主張)
ア 本件仮払金は,シージードラフトを買い取るための資金に利用しようとしたが,シージードラフト代表者Bに拒絶されたため,原告に返金したもので,シージードラフト設立にあたっての払込資金としたものではない。
イ 損害額の主張は争う。
(5) 相殺について
(被告の主張)
原告は,被告とのつながりが強い取引先には支払を拒絶し,従業員にも給料を支払わなくなった。被告は,これらの支払について,被告個人の資金で総額600万円の支払を行った。
少なくとも,株式会社ハーモニックに対する78万5332円,株式会社アビアに対する3万6172円,株式会社イメージパークに対する42万4305円,株式会社ハーモニックに対する58万6157円,有限会社エスピーエンタープライズに対する54万0876円,大日本印刷株式会社に対する43万8900円の合計281万1742円の弁済は証拠上明らかである。
(原告の主張)
被告が原告のために立替支払をした事実はないし,立て替える約束をしたこともない。立替金は全く存在しない。したがって,相殺の主張は争う。
(6) まとめ
(原告の主張)
原告は,被告に対し,悪意の不当利得返還請求権及び忠実義務違反若しくは競業避止義務違反に基づく損害賠償請求権合計4535万7188円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成17年12月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
(被告の主張)
争う。
第3 当裁判所の判断
1 750万円の支払について
(1) 前提事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
被告は,平成17年5月30日,原告会社をして,被告に対し750万円を支払わせた。
被告は,原告が同額を被告に支払うことにつき,原告の株主総会決議の決議を経ておらず,その他に特段誰かの承認を得ることもしなかった。
被告は,平成17年8月31日,原告の代表取締役及び取締役を退任した。
(甲1の1・2,乙7,証人E,被告本人)
(2) 原告の株主について
被告は,原告には株主が存在せず,したがって原告の代表者にEの息子であるAが選任された事実もないから,原告代表者及び同人に委任された訴訟代理人には何ら権限がない旨主張するが,原告は株式会社として有効に設立されており(甲1),株主が存在しないとの主張は理由がない。原告の株主について,原告はEが全株式を有する旨主張しているところ,これに反する証拠はなく,原告の代表取締役であったFがEが全株式の株主であった旨述べていること(甲1の2・3)からすれば,Eが原告の全株式を有するいわゆる一人株主であると認めるのが相当である。
(3) 報酬及び精算金のうちの賞与との主張について
取締役の報酬は,株主総会において決議される必要があるところ,被告の主張する300万円の報酬については株主総会決議を経ていないから,被告は,株主全員の同意がある場合を除いて報酬請求権を有しないものといわなければならない。被告は,Eから事前に包括的な同意を与えられていた旨主張するが,Eはこれを否定する証言をしており,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
なお,Eは,株式会社メッセージの代表取締役であり,被告に対し,原告が株式会社メッセージの100パーセント子会社である旨述べたことがあることが認められるが(乙2),仮に原告の株主が株式会社メッセージであるとしても,同社の代表取締役はEであって,上記のとおり,被告が報酬の支払につきEから同意を得ていたとは認められない。
したがって,被告に対する750万円の支払のうち,被告が報酬と主張する300万円については,報酬請求権を有さず,法律上の原因なくして受領したものと認められる。
また,被告は,450万円については精算金である旨主張するところ,そのうち100万円については賞与であると主張しており,賞与については取締役報酬としての性質を有するものと認められるから,上記同様,被告は法律上の原因なくして100万円を受領したものと認められる。そして,被告は,報酬ないし賞与を受領するにつき株主総会決議を経ていないこと,株主全員の同意も得ていないことを認識していたものと認められる。
(4) 賞与以外の精算金の主張について
その余については,被告はその主張にかかる支出があった旨述べ(被告本人),これを裏付ける証拠として出金伝票(乙8の1から8の16まで)を提出するものの,これらの出金伝票は,決算時において,被告がG税理士に対し内容を告げて作成を指示し,被告が認め印を押捺したものであるから(被告本人),被告の供述を裏付ける客観的な証拠ではなく,直ちに出金伝票に対応する形での支出が真実存在したものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。精算金であるとの被告の主張は採用できない。
(5) したがって,上記750万円の支払は,法律上の原因なく被告に支払われたものであるから,被告は,原告に対し,同金員に法定利息を付して返還すべき義務を負うと認められる。
2 富士琺瑯の仕入取消について
(1) 前提事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
富士琺瑯は,原告の取引先である。富士琺瑯は,平成17年5月31日締めの請求書を原告に送付したところ,同月ころ,原告の担当者Cは,富士琺瑯に対し,同請求書中,324万0468円分は,シージードラフトが仕入れた分である旨連絡して,同額について支払をしなかった。
(甲4の1・2)
(2) Cが支払をしなかったことが被告の指示に基づくものであると認めるに足りる証拠はない。
また,上記324万0468円分の仕入につき,原告が仕入れた商品であると認めるに足りる証拠はないから,仕入れたものと認められない分の支払を拒絶する行為は何ら忠実義務に違反するものではない。
したがって,原告の主張は理由がない。
3 Dへの支払について
(1) 前提事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
原告は,平成17年5月20日ころ,株式会社メッセージに対し,エフコープ生活協同組合のポスター作成デザイン料,ワッペン作成納品,販売手数料として,236万8626円の支払を請求した。
Dは,平成17年6月30日,原告に対し,エフコープ生活協同組合わくわくシールラリー販売手数料として,414万5022円の支払を請求した。
被告は,平成17年8月31日,原告の取締役を退任した。
原告は,平成17年9月20日,Dに対し,414万5022円を支払った。
(甲1の1・2,5の1から5の4まで,12,13)
(2) 被告は,Dに対する支払が顧客紹介料である旨主張するが,エフコープ生活協同組合がDの紹介した顧客でないことは当事者間に争いがなく,Dが紹介した顧客名も明らかでないことからすると,顧客紹介料として支払った旨の被告の主張は採用できない。
また,Dへの支払が顧客紹介料であるとは認められないこと,原告が株式会社メッセージに対し,エフコープ生活協同組合に関してポスター作成デザイン料等として236万8626円の支払を請求していることからすると,株式会社メッセージが原告に対して支払った金額が原告と株式会社メッセージとの間における顧客紹介料の半額を株式会社メッセージが負担する旨の合意に基づくものとは認められない。したがって,損害が一部填補されているとの被告の主張は理由がない。
なお,Dからの請求の後,被告は原告の取締役を退任し,さらにその後Dに対する支払がなされているが,被告は,本人尋問において,Dへの紹介料を支払うに当たってエフコープ生活協同組合が金額が多かったためにエフコープ生活協同組合に対する販売手数料名目として支払うこととした旨述べており,Dによる原告に対する支払請求も原告の取締役である被告の了承の下にされたものと認められる。また,被告は,本人尋問において,Dへの支払がされた日よりも後まで現実に原告の業務を行っていた旨述べている。そうすると,Dに対する現実の支払時期が被告の原告取締役退任後であったとしても,Dに対する支払は原告取締役の地位にあった時点における被告の了承に基づくものと認められる。
(3) 上記のとおり,被告は,顧客紹介料名目で,原告が支払う必要のない金員をDに対し支払わせたものであるから,原告は,被告の忠実義務違反行為に基づき,414万5022円の損害を被ったものと認められる。
4 シージードラフト設立について
(1) 前提事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
原告の従業員らは,平成17年初めころ,被告に対して,原告従業員らに原告株式を取得させること,原告に対するEの関与を排除すること等を要望しており,要望が容れられなければ原告を退職して新会社を設立する旨被告に述べていた。
被告は,平成17年4月26日,原告から本件仮払金1000万円を仮払金名目で引き出した。被告は,同年5月30日,仮払金戻り金として,1000万円を原告に対し支払った。
司法書士Hは,平成17年5月17日,原告に対し,シージードラフト設立についての報酬,登録免許税,印紙等の合計32万5210円を請求した。
原告は,商品ギフト販売のポイントサービス業務等を行っている。シージードラフトは,平成17年5月2日に設立された株式会社で,発行済株式総数は200株,資本金は1000万円,事業目的は,ギフト用品の企画・販売,販売促進の企画,販売促進用品の販売等である。シージードラフトの取引先である顧客の多くは,原告の取引先と同一である。
Bは,シージードラフトの代表取締役であり,かつ,シージードラフトの発行済株式全てを保有している。Bは平成15年8月2日から平成17年9月26日まで原告の監査役であった者である。
I(以下「I」という。)は,原告の契約社員であったが,シージードラフト設立後,シージードラフトの取締役に就任した。
原告の従業員であった者らが,シージードラフトの取締役若しくは従業員となり,原告の取引先に対してシージードラフトとの取引を行うよう働きかけた結果,原告の取引先の多くが,原告との取引を中止して,シージードラフトとの取引を行うようになった。
原告の平成17年5月期(平成16年6月1日から同17年5月31日まで)の売上高は,3億9137万9500円であり,営業利益は610万0974円であった。
原告の平成18年5月期(平成17年6月1日から平成18年5月31日まで)の売上高は,4831万0034円であり,営業損失は,1204万6924円であった。
(甲1の1,3の3,6の2・3,7の1,9,11,12,14,乙5,7,証人E,被告本人)
(2) 被告は,本件仮払金の引き出しは,Eの指示により,シージードラフト買取資金として使用したものである旨主張するが,①シージードラフトは,本件仮払金が引き出された平成17年4月26日においては,未だ設立されておらず,この段階でシージードラフトを買い取ることは考え難いこと,②BやIら原告の従業員らの要望を容れるのではなく,設立された会社を買い取ることで原告の従業員等を引き止めるという目的を達することができるとは考え難いこと,③被告は,本人尋問において,B,Iらが借り入れていると推測される1000万円を返済する資金を融通して原告に戻ってくるよう同人らと交渉するつもりであった旨述べるが,会社設立費用を返済すればむしろシージードラフトの財政的基盤が安定して同人らが原告に復帰する動機はなくなると考えられること,④被告は,本人尋問において,Bとの交渉前に,同人と直接連絡を取れておらず,現実にBと会うこともできなかったと述べているにもかかわらず,1000万円の現金を東京から広島まで持参するために現金を用意したというのであって,しかも平成17年5月末まで返金しておらず,被告の供述に係る経緯は不自然であること,⑤Eが平成17年4月26日の時点においてシージードラフト設立の動きを知っていたと認めるに足りる証拠はなく,Eはシージードラフトの存在を知ったのは平成17年8月に至ってからであると証言していること(証人E)からすると,被告の主張は採用できない。
(3) 以上の事実に加え,シージードラフトの設立時期及び資本金に照らすと本件仮払金をシージードラフトの払込資金として利用した可能性があること,司法書士Hがシージードラフトの設立にかかる報酬等を原告に対して請求していること,Bが自ら1000万円を調達してシージードラフト設立費用に充てたと認めるに足りる証拠がないことからすると,本件仮払金は,シージードラフト設立の費用に充てられたものと推認することができ,他にこの推認を妨げるべき証拠はない。
(4) 被告は原告の元従業員らがEに対し不満を抱き,要望が受け容れられない場合には新会社を設立しようとしていたことを知っていたのであるから,シージードラフトの名称自体は知らなかったとしても,原告の元従業員らが設立する会社が原告と競争関係に立つこと,原告の取引先のうち相当数が設立された新会社と取引を開始するに至り,これに伴い少なくとも一部の取引先が原告との取引を中止するであろうことを認識していたものと認められる。
したがって,被告は,原告に損害を与えることを認識していたにもかかわらず,B,Iらが原告と競争関係に立つ会社を設立するための費用を本件仮払金として原告から支出させたもので,かかる行為は,原告に対する忠実義務に違反するものと認められる。
(5) ①シージードラフトの顧客の多くが原告の取引先であったこと,②原告の元従業員らの働きかけにより原告の取引先がシージードラフトと取引を開始するに至ったことからすると,シージードラフトが設立されたことによって減少した原告の利益は,被告の忠実義務違反行為と因果関係を有する損害であると認められる。
そこで損害について検討するに,原告は,シージードラフト設立がなければ,原告の平成18年5月期の売上高は平成17年5月期と比較して倍増が見込まれ,原告の粗利率,経費率から試算すると3278万円の利益を得る機会があった旨主張するが,売上高が倍増する高度の蓋然性があったことを認めるに足りる証拠はなく,粗利率,経費率も年度によって変動することが考えられるのであって,シージードラフト設立がなされたために,3278万円の利益を得る機会を喪失したものとは認められない。
一方,原告の営業利益は,前記(1)に認定のとおり,平成17年5月期から平成18年5月期にかけて,約600万円の利益から損失に転じているところ,原告の取引先がシージードラフトに移行していることに鑑みれば,シージードラフト設立がなければ,平成17年5月期程度の利益は得られた可能性は高く,シージードラフト設立以外の要因が原告の営業利益に与える影響を勘案しても,少なくともその2分の1程度の利益が得られる高度の蓋然性があったものと認められる。
なお,平成18年5月期は,約1200万円の営業損失を計上しており,その原因としてシージードラフトの設立による売上の減少が影響していることは認められるものの,当該損失は,売上のほか,仕入高,期首及び期末の棚卸残高,販売費及び一般管理費から算出されるものであり,当該損失のうち,シージードラフトの設立による影響度を適切に算定することはできない。
したがって,被告がシージードラフト設立費用を原告から支出したことによる原告の損害としては,平成17年5月期の営業利益に照らして,300万円と認めるのが相当である。
5 相殺の主張について
証拠(乙9の1から9の6まで)によれば,被告が,平成17年10月24日から平成18年2月28日にかけて,合計281万1742円を支出したことが認められる。
被告は,少なくとも600万円の支出を原告のためにした旨主張するが,この全額を認めるに足りる証拠はない。
また,被告が支出したと認められる281万1742円のうち,被告が平成17年ll月14日に有限会社エスピーエンタープライズに支払った54万0876円については,平成18年2月3日に同社から被告に対し同額が返金されていること(甲20,乙9の5),被告が平成17年11月30日及び同日ころに株式会社ハーモニックに対して支払った合計137万1489円については,同日,同社に対し原告が同額を支払っており被告が原告のために立替払いしたとは認められないこと(甲21,乙9の1・4),被告が同年10月24日に株式会社アビアに対して支払った3万6172円についても,同年ll月30日に同社に対し原告が同額を支払っていること(甲22,乙9の2)から,被告の支出につき原告が同支出額を被告に返還すべきものとは認められない。さらに,その余についても,原告にとって必要な支出であったものと認めるに足りる証拠はない。
したがって,相殺に関する被告の主張は理由がない。
第4 結論
以上によれば,原告の本訴請求は,報酬ないし精算金名目の750万円,Dへの販売手数料名目の414万5022円,シージードラフト設立に関する300万円の合計1464万5022円については理由があるからその限度で認容することとし,その余については理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 進藤光慶)
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(1)「地獄のドブ板」に特化した広報PR支援会社ですので、一番しんどい部分のみご相談ください
(2)候補(予定)者の認知度拡大に向けて、貼る場所(箇所)に差をつける!どぶ板PRマーケティング
(3)どぶ板実績No.1 ポスタリストの豊富な経験と実績で、候補(予定)者の選挙区をPRで完全包囲
(4)政治活動に必須となる地域密着型どぶ板PRで候補(予定)者と有権者を繋ぐご挨拶回り握手代行
(5)選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立する
(6)ご挨拶回り!ビラ手渡し!ポスター貼り(掲示交渉)!街頭演説!で、どぶ板の相乗効果を狙え
■どぶ板選挙PR代行の流れ
■どぶ板OJTとは?
■どぶ板同行OJT内容(座学研修および実地特訓)
■どぶ板OJT当日配布資料
■どぶ板の学校オンライン
■ドブ板選挙にはじまり、どぶ板選挙で終わる!
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①新規開拓PR | ②他党多党PR | ③一戸建てPR |
⑧政策ビラPR | ポスタリング | ④集合住宅PR |
⑦意外注目PR | ⑥公的公共PR | ⑤独占単独PR |
【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
【ポスター【制作前の】候補予定者様】のメニューです。
「政治活動用ポスターのデザイン」は、こちらです。
公職選挙法規定の法的審査(レギュレーションチェック)対応済みの、個人ポスター、2連ポスター、3連ポスター等のデザインを制作!
「弁士相手探しマッチング」は、こちらです。
「探して、交渉して、お隣りへ!」理想の有名人や著名人の弁士相手を探して、地域有権者に対して認知度拡大の相乗効果を狙う!
「ポスターの掲示責任者代行」は、こちらです。
【全国対応】ポスターを掲示した選挙区からのクレーム対応・妨害等の「総合窓口」として、ポスター掲示責任者の代行をいたします。
【ポスター【制作後の】候補予定者様】のメニューです。
政治活動期間における「どぶ板専門!ポスター貼り(掲示交渉)代行」は、こちらです。
【稼働の流れ】
①新規ご挨拶回り|戸別訪問代行|握手代行
選挙区(指定エリア)の有権者(民家・飲食店・その他施設)に対して、候補予定者に代わって選挙ドットウィン!が直接ご訪問致します。
②名刺|ビラ|リーフレット等の手渡し配布
候補予定者と有権者を繋ぐため、名刺・ビラ・政策レポート・討議資料・リーフレットなど活動報告資料の直接手渡し配布を致します。
③留守宅|候補者PR資料ポスティング投函
ご訪問先がご不在の場合には、配布物を郵便受け等にポスティング投函致します。(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)
④政治活動ポスター貼り(新規掲示交渉!
【完全成果報酬】地獄のドブ板活動に必須となる、政治活動用ポスター貼り(新規掲示交渉代行!)(貼れた分だけの枚数課金となります)
⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン!が致します。
所属政党の「党員募集獲得代行」、政治団体および後援会等の「入会募集獲得代行」は、こちらです。
当該政党の「党員」「サポーター」募集等の規定に従って、選挙立候補(予定)者様に代わって政党への入党におけるご案内を促します。
どぶ板同行OJT(座学研修および実地特訓)で学ぶ「スパルタ個別訪問同行OJT」は、こちらです。
候補予定者様ご本人・選挙事務所スタッフ・ボランティア様が効率良く「どぶ板の政治活動」が行なえるようアドバイスいたします。
絶対的な地盤を構築する「立札看板設置交渉代行」は、こちらです。
選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立するためのご支援をさせていただきます。
あらゆる政治選挙におけるお困りごとを支援する「選挙の窓口」活動支援一覧は、こちらです。
「地上戦」「空中戦」「ネット戦略」などを駆使し、当選に向けたコンサルティングおよびプランニングのご支援をいたします。
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
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