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裁判年月日 令和 3年 9月29日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ワ)8498号
事件名 損害賠償等請求事件
文献番号 2021WLJPCA09296002
要旨
◆ポジションの廃止による配置転換命令を有効とし、パワハラは否定された例
出典
労経速 2468号43頁
裁判年月日 令和 3年 9月29日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ワ)8498号
事件名 損害賠償等請求事件
文献番号 2021WLJPCA09296002
東京都中央区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 中野麻美
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y合同会社
同代表者代表社員 a合同会社
同代表社員職務執行者 A
同訴訟代理人弁護士 三谷革司
同 石川由佳子
同 東出大輝
同訴訟復代理人弁護士 竹原鈴花
主文
1 本件訴えのうち,原告が被告○○事業部マーケティング本部顧客管理業務マネージメントに従事する労働契約上の地位にあることの確認を求める訴えを却下する。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 原告は,被告に対し,被告○○事業部マーケティング本部顧客管理業務マネージメントに従事する労働契約上の地位にあることを確認する。
2 被告は,原告に対し,880万円及びこれに対する平成31年3月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,被告の従業員として稼働していた原告が,原告が在籍していたポジションが廃止され,その後別のポジションへの配転を命じられたところ,上記ポジションの廃止及び別のポジションへの配置転換(被告が原告に対してした令和元年9月27日付けの配転命令)は違法かつ無効なものであるなどと主張して,被告に対し,当該配転前のポジションにおいて勤務する労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに,原告は被告ないし被告の従業員から数々のパワーハラスメントを受けたなどと主張して,被告に対し,不法行為(709条,715条)又は債務不履行に基づく損害賠償請求として,慰謝料800万円及び弁護士費用80万円の合計880万円及びこれに対する原告が主張する一部の不法行為の日である平成31年3月14日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲各証拠[証拠に枝番がある場合,特に掲記しないときは,全ての枝番を含む。]及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1) 当事者
ア 被告は,医療用医薬品,栄養剤,医療機器,診断薬,診断機器の製造開発及び販売を主たる事業の目的とするb株式会社が令和元年12月31日付けで組織変更した合同会社である。被告は,アメリカ合衆国に本社を置くc社(以下「米国本社」という。同社は,世界各国に子会社を有しているところ,以下,同社を中心とする企業グループを「△△グループ」という。)の日本法人であり,その従業員数は,同年5月末日時点で755名であった。
イ 原告は,被告との間で,後記(2)の期間の定めのない労働契約を締結し,被告の○○事業部(以下「○○事業部」という。)のマーケティング本部において,CRM(顧客管理を主軸にしたマーケティング活動)業務に従事していた。原告の直属の上司は,マーケティング本部の部長であるB(以下「B部長」という。)であった。
(2) 原告と被告との間の労働契約の締結
原告は,平成30年5月31日頃,被告との間で,以下の内容の労働契約を締結した。なお,原告の月例基本給は,平成30年10月1日以降は,100万3637円であった。
ア 入社日
平成30年7月1日
イ 入社時所属
○○事業部マーケティング本部
ウ 入社時職務・等級
CRMマーケティングマネージャー(顧客管理業務マネージメント),17等級
エ 入社時勤務地
三田本社
オ 賃金(月額)
基本給 96万円
住宅手当 2万7700円
(甲1)
(3) 原告の業務内容及び架空発注に関する原告の申告等
ア 被告には,糖尿病患者のための血糖測定器である「□□」という製品があるところ,同製品は,ユーザー(使用者である患者)が粘着剤の付いたセンサーと呼ばれる針を皮膚に2週間継続して装着し,血糖値を読み込む機器とのセットで,ユーザーが常に血糖値を確認できるというものである。同製品のセンサーの使用期限は2週間であるため,ユーザーは2週間ごとにセンサーを取り換える必要がある。被告では,同製品のユーザーに関する管理システム(◎◎と呼ばれるウェブサイト)を構築し,ユーザーに同システムに登録してもらうことで,継続的に新しいセンサーを購入しやすくするためのサービスである「◎◎システム」の導入を検討しており,同システムの実施可能性の検討のための検証を「◎◎プロジェクト」と呼んでいた。
◎◎プロジェクトは,医療サービスの効率的な提供及び患者の快適な生活の確保を目的としたものであるところ,◎◎システムのようなサービスが日本に普及し定着するためには,同サービスが日本の医療制度やマーケットに適合することが必要であり,課題であった。
(甲10,弁論の全趣旨)
イ 原告は,入社後,◎◎プロジェクトの担当者となり,平成30年7月下旬に開催された同プロジェクトに関する会議にB部長と共に出席し,△△グループのうちアジアパシフィック地域の◎◎プロジェクトの担当者であるCから同プロジェクトの説明を受け,その進め方を検討することとなった。
原告は,その後,同プロジェクトを支援する会社の候補として,株式会社d(以下「d社」という。)を選定した。被告及びd社は,同年8月,機密保持契約を締結した。同契約の目的は,被告が,広告物の企画・制作業務及びその他の業務をd社に委託し,また,d社が同業務を被告から受託する可能性を検討するために,相互に相手方に開示される情報の機密保持について取り決めることを目的としたものであった。(甲3)
原告は,d社から◎◎プロジェクトに関する業務の概算見積りの提示を受けて,同月28日,社内システムを通じて,同プロジェクトに関する被告とd社との間の契約について承認申請を行った。
ウ 原告は,その後,被告から株式会社e(以下「e社」という。)に対し,◎◎プロジェクトの業務に関する費用が支払われていることを認識した。同支払に関する発注等の担当者はマーケティング本部所属のD(以下「D」という。)であり,当該発注及び支払についてはB部長が平成30年6月29日付けで承認していた。なお,被告は,e社による成果物の納入が十分に確認できていない状況で,同年8月20日に同社に対する支払を完了させていた。
他方で,原告は,同年9月6日,d社に対する◎◎プロジェクト業務に係る費用の支払につき,社内システムを通じて申請したが,B部長は,同月10日,同申請を却下した(甲15)。
エ 原告は,平成30年9月10日,e社の代表取締役であるE(以下「E」という。)と面談したところ,Eは,同面談において,e社は被告に対し成果物を納品していないのにもかかわらず,被告から費用の支払がされた旨発言した。
被告の○○事業部のファイナンス部長であるF(以下「F部長」という。)は,同月頃,被告とe社との間の取引記録を確認した上,同社との取引に不審な点がある旨指摘し,関係者に報告するなどした。なお,F部長は,同年10月30日を最終出社日として,同年11月14日,被告を退職した。
オ 原告は,平成30年9月18日又は19日頃,被告の人事部○○事業部担当のG(以下「G」という。)に対し,e社に対する被告の架空発注の疑いについて相談した。
原告は,同月21日頃,Gに対し,再度,架空発注の疑いについて相談したが,Gは,架空発注等に関する問題は,人事部では調査を実施できないなどと回答した。原告は,同日,被告の法務部長であるH(以下「H部長」という。)に対し,上記架空発注について相談した。
原告は,同月又は同年10月頃,被告の○○事業部全体を統括する立場にあるジェネラル・マネージャーのI(以下「I」という。同年9月8日付けでジェネラル・マネージャーに就任。)に対し,上記架空発注に関する報告をした。
カ 被告は,社外弁護士にe社の調査を依頼し,平成30年10月以降,社外弁護士による調査が実施された。原告は,同月24日,H部長にe社に関するデータ一式を提供したほか,当該社外弁護士に対し,情報を提供するなどした。
キ 被告の人事本部長であるJ(以下「J部長」という。)及び被告の経理財務本部長であるK(以下「K財務本部長」という。)は,平成30年11月15日,原告と面談し,原告による◎◎プロジェクトに関する発注等についての事情を聴取した(甲5)。B部長は,同面談が行われる前に,J部長に対し,d社に対する発注等については承認されていない旨告げた。
ク 被告は,その後,B部長に対し出勤停止を命じたところ,B部長は,平成31年2月28日付けで被告を退職した。また,Dは,同年4月30日付けで被告を退職した。
(4) 原告のポジションの廃止
G及び当時マーケティング本部長代理であったCは,平成31年3月14日,原告に対し,原告が在籍していたCRMマーケティングマネージャーのポジション(以下「CRMポジション」という。)を廃止する(以下「本件ポジションクローズ」という。)こと,他のマーケティング部署には現状空きがないこと,他部署で空きがあるポジションは,品質管理部門での業務であり,勤務地が松戸になること,原告が品質管理部門への配転を希望しない場合には退職という選択肢もあることを告げ,退職条件を記載した覚書を交付した上で,2週間以内に原告の意向を示すように求めた(以下「本件退職勧奨」という。)(甲6)。
(5) 原告が所属する労働組合と被告との間の交渉経過等
ア 原告が所属する労働組合は,平成31年3月18日,被告に対し,本件退職勧奨の理由を明らかにすること,本件退職勧奨を直ちに撤回し,現部署での雇用を継続させることなどを要求し,団体交渉を申し入れた(甲7,28)。
イ 被告は,平成31年3月26日,労働組合による上記要求に対し,被告を含む△△グループで検討した結果,CRMポジションの業務はそれ自体業務量が極めて少なく,今後の日本における戦略を考慮した際に大きな役割が期待されないことなどから,CRMポジションをクローズすることを決めたこと,そのため,原告に対し,品質管理部門での業務を提示するととともに,原告が配転を希望しない場合には退職する選択肢もあることを説明し,退職する場合の条件を提示したこと,このように本件退職勧奨は合理的な理由に基づくものであり,原告が被告での勤務継続を希望するのであれば,退職を求めるつもりは全くなく,退職勧奨を継続することはないこと,原告が,被告での勤務を継続する場合には,原告は配転先の業務に従事することになること,この場合,原告の賃金その他待遇について変更は生じない予定であることなどを回答した(甲8,28の5)。
(6) 被告による配転命令までの出来事
ア 原告は,シンガポールにおいて平成31年4月に開催される予定のアジアパシフィック地域での○○事業部マーケティング部門の会議への招待メールを受け取ったことから,Iに対し,同会議への出席を申請したが,被告は,原告の出席に必要な手続を取らなかった。
イ 原告は,令和元年6月19日,被告の懲戒委員会から,原告の言動について事情を聴取された。被告の懲戒委員会において問題とされた原告の言動は,勤怠管理が不正確なこと,業務命令に従わないこと及び職場内で不穏な言動を繰り返していることの3点であった。
(7) 原告に対する配転命令
ア 被告と原告が所属する労働組合は,約半年間にわたって,原告の配転先のポジションについて協議を重ねたところ,被告は,令和元年9月27日,原告に対し,配転日を同年10月1日として原告を○○事業部のセールス・オペレーション・マネージャーのポジションに配転する旨命じた(以下「本件配転命令」という。)。なお,配転先の勤務場所は三田本社であり,原告の労働条件その他待遇について変更はなかった。(甲28の16,乙6)
イ 原告は,令和元年9月30日,被告に対し,本件配転命令について異議を留保し,被告がこの命令を撤回するまで同命令に従う旨通知した(甲28の18)。
(8) 原告のうつ病り患
原告は,平成31年3月頃,重度のうつ状態と診断された(甲36)。
(9) 被告の就業規則の定め
被告の就業規則には,以下の定めがある。なお,就業規則第36条から第48条までは,第3章第4節(服務)の規定である。
ア 第25条(年次有給休暇の請求)
① 年次有給休暇を受けようとする者は,事前にその受ける日を届け出なければならない。ただし,やむを得ない事由により,事前に届け出ることができないときは,事後速やかに届け出なければならない。
(②から⑤まで略)
イ 第32条(出退勤時刻の処置)
① 従業員は出勤及び退勤のとき,定められた手続をしなければならない。
(②は略)
ウ 第34条(欠勤)
① 傷病その他の事由で欠勤する場合は,予め欠勤日数とその事由を所属長を通じて人事に届け出て許可を受けなければならない。やむを得ない事由によって事前に届出ができなかった場合は,当日始業時刻前までに電話等で所属長に連絡しなければならない。その場合,必ず欠勤後最初に出社した日中に当該欠勤について届け出なければならない。
(②及び③は略)
④ 前各項の届出を怠った場合は無断欠勤として取り扱い,別に定めるところにより処置する。
⑤ 前項の無断欠勤をした場合に,第24条による年次有給休暇又は第27条による特別有給休暇への振替えは認めない。ただし,会社が承認した場合にはこの限りではない。
エ 第36条(服務の基本原則)
① 会社は社会的な存在と認識し,そこで働く従業員は,社会人として社会的なルール及びマナーを当然守らなければならない。
② 従業員は,この規則及びその他の諸規程を遵守し,業務上の指示命令に従い,自己の業務に専念し,業務運営を円滑に行うとともに,相互に協力して職場の秩序を維持しなければならない。
(③は略)
オ 第37条(服務心得)
従業員は,次の各号に掲げる事項を守り,服務に精励しなければならない。
(1から27まで略)
28 会社内において,人をののしり,又は暴行を加えないこと
(後略)
カ 第39条(パワーハラスメントの禁止)
パワーハラスメントとは,同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にして,業務の適正な範囲を超えて,継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいい,従業員はパワーハラスメントに該当するか,該当すると疑われるような言動を行ってはならない。なお,上司から部下に行われるものだけでなく,先輩・後輩間や同僚間,さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われる行為も含むものとする。
キ 第60条(懲戒の事由)
① 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは,情状に応じ,譴責,減給又は出勤停止とする。
1 正当な理由なく欠勤をしたとき
(2及び3は略)
4 虚偽の申告,届出を行ったとき
(5から7まで略)
8 会社内で暴行,脅迫,傷害,暴言又はこれに類する行為をしたとき
(9から18まで略)
19 第3章第4節(服務)に違反したとき
(以下略)
ク 第61条(懲戒委員会)
懲戒は懲戒委員会に諮って行うのを例とする。
ケ 第66条(人事異動)
① 会社は,業務の都合により,従業員に異動を命じることがある。従業員は,正当な理由がない限りこれを拒むことができない。
② 前項で定める異動とは,次のとおりとする。
1 異動 同一事業場内での担当業務等の異動
2 配置転換 勤務場所の変更や職種の異動
(後略)
(乙4)
2 争点
(1) 本件配転命令の有効性(争点1)
(2) 被告の原告に対する不法行為等の成否(争点2)
(3) 原告の損害の有無及び損害額(争点3)
3 争点に対する当事者の主張
(1) 争点1(本件配転命令の有効性)
(原告の主張)
ア 本件ポジションクローズは,原告がe社に関する架空発注について社内通報したことを理由とするものであり,これは,公益通報者保護法5条により禁止されている公益通報をしたことを理由とする不利益な取扱いに該当する。
したがって,本件ポジションクローズは違法で無効なものであり,原告は,これに基づくマーケティング業務からの排除を受けない労働契約上の地位を有する。
イ そして,本件配転命令は,業務上の必要性や合理的な根拠に基づくものではなく,◎◎プロジェクトに係る架空発注の存在を察知した原告がコンプライアンスに関わる重要事態としてこれを社内告発したこと,当該架空発注を不問ないし無かったこととする上司らの指示に原告が従わなかったことから,当該上司らの保身のために原告を職場から排除する意図のもとにされたものである。また,本件配転命令は,マーケティング業務でキャリアを積んできた原告に対し,1ランク降格した上で,セールス・オペレーション業務に従事させるというものであり,労働契約の内容を著しく不利益に変更するものである。
したがって,同命令は違法であり無効なものである。
(被告の主張)
被告が,原告からの架空発注に関する報告や情報提供行為を理由に原告を不利益に扱う理由はなく,本件ポジションクローズは,原告が主張するような架空発注に関する情報提供行為に対する報復では全くない。本件ポジションクローズは,被告の○○事業部におけるCRMポジションの現在及び将来の業務量に鑑みて,1名の従業員により専属的に処理させるよりも,他部署のサポートやベンダーの活用により処理する方がより効率的であるとの経営判断に基づくものであって,業務上の必要性によるものであるし,業務効率に係る判断は企業の専権に属すべきものであるから,特段の事情がない限り違法とされる余地はない。また,被告は,本件ポジションクローズに伴い,原告に対して,現実的に従事可能な別のポジションを調整して提示するなどして本件配転命令を行い,配置転換後も従前と同じ待遇を保証するなど,十分な配慮を行っている。加えて,被告の就業規則第66条によれば,被告には,原告に対する広範な配置転換命令権があり,原告は,自ら希望する職種からの転換を拒否する権利を有していない。
したがって,本件ポジションクローズ及び本件配転命令は違法なものではなく,本件配転命令は有効である。
(2) 争点2(被告の原告に対する不法行為等の成否)
(原告の主張)
ア 原告は,業務上関知した法令に反する不正行為については,上司に通報する職務上の責任を負っており,通報することは労働者の権利でもある。また,公益通報者保護法5条は,労働者が,上司への申告等により,雇用及び労働条件において不利益を被らせることを禁止している。
被告は,公益通報者保護法に基づいて社内通報した労働者に対して,その権利を保護し,当該労働者が雇用において不利益を被らないよう配慮すべき注意義務,具体的には,①公益通報により不利益を被るものではないこと,また不利益を加えてはならないことを社内規定で策定すること,②公益通報のための申告窓口を設置し,労働者が不利益を被らないようにする具体的な措置を講じられるようにすること,③社員に対し,①及び②を周知徹底すること,④社員から公益通報を受けたときには,不利益に扱わず保護されることを告知し,不利益な取扱いを受けたときには,苦情申告により是正を求められるようにすること,⑤苦情申告されたときには,労働者の権利を保護する具体的な措置を講じること,以上の注意義務を負う。また,原告の上司及び社員の人事を統括する部署に在籍する社員については,上記注意義務を具体化し,使用者たる被告に代わって被告の事業を監督する地位にあるものであるから,I,B部長,C,J部長及びGは,上記注意義務を負い,公益通報を行った労働者の労働条件及び雇用上の権利を保護すべき職務上の責任を負う。
イ 被告は,原告に対し,本件ポジションクローズに基づく本件退職勧奨を行い,原告をマーケティング業務から排除することを決定し,雇用上の不利益を加えた。また,別紙一覧表の「行為者」欄記載の被告の各従業員又は被告は,原告に対し,その業務遂行の過程等において,同一覧表の「年月日」及び「行為」欄各記載のとおり,パワーハラスメントを行った(以下,原告が主張する同一覧表記載の各行為をまとめて「本件パワハラ」という。また,同一覧表の番号に基づき,各行為につき,それぞれ,「本件パワハラ行為1」等と表記する。)。本件パワハラは,原告が被告の不正行為を告発することを抑制する目的で行われ,原告を従わせるために上司及び人事担当者によって行われた違法なものである。
ウ 以上によれば,被告は,労働契約上の権利保護義務ないし注意義務を怠り,原告の雇用上の権利を侵害したものといえる。また,被告に代わって被告の事業を監督する地位にある別紙一覧表の「行為者」欄記載の被告の各従業員は,原告に対し,それぞれ,同一覧表の「行為」欄記載のとおりの違法なパワーハラスメントを行ったものであり,前記アの注意義務を怠り,原告の権利を侵害したといえ,被告は,被告の各従業員らの行為によって原告が被った損害について,使用者責任を負う。よって,被告は,原告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負う。
(被告の主張)
原告が主張する本件パワハラに係る事実は存在しない。
また,原告が主張する本件パワハラは,いずれも,仮に当該各行為が存在したとしても,それ自体,業務の適正な範囲を超えて行われたものではなく,また,原告の身体的若しくは精神的な苦痛を与えるようなものではないことが明らかであるから,違法な行為と評価される余地はない。
さらに,被告が,e社の調査に関する原告による報告や情報提供行為を理由として,原告に圧力をかけたり,あるいは不利益な取扱いをしたりした事実は一切存在しないし,その理由もない。
以上によれば,被告は,原告に対し,不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負わない。
(3) 争点3(原告の損害の有無及び損害額)
(原告の主張)
原告は,本件パワハラ,本件ポジションクローズに基づく本件退職勧奨及びマーケティング業務からの排除によって,重度のうつ状態となった。これらの行為による原告の精神的損害を慰謝するための慰謝料は800万円を下らない。また,本件の弁護士費用として,損害額の1割に相当する80万円が賠償されるべきである。よって,原告の損害額は880万円である。
(被告の主張)
争う。
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
前提事実に加え,当事者間に争いがない事実,後掲各証拠(証拠に枝番がある場合,特に掲記しないときは,全ての枝番を含む。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
(1) 被告のCRMポジション創設に至る経緯等
◎◎システムの導入は,日本に先行して,アメリカ合衆国やドイツ連邦共和国など様々な国において進められていたところ,被告は,平成29年頃から,海外で成功していた◎◎システムの日本への導入を検討し始めた。また,被告は,平成30年頃には,米国本社から,△△グループにおいて考案された◎◎プロジェクトについて検討を進めるよう求められていた。
被告の◎◎プロジェクトにおいては,日本の法的規制の考慮とともに,顧客管理システムを構築・維持するためのシステム運用費や患者であるユーザーの登録を促すためのプロモーション費用といったコストなどを考慮し,経済的な観点から◎◎システムを導入できるか否かを十分に検討する必要があった。また,◎◎システムの導入にあたっては,国際的なマーケティング戦略として患者に直接フォーカスする戦略が日本以外の一部地域で重視されていたことから,そのようなマーケティングを日本に取り入れることが目的とされていた。
そこで,被告は,米国本社の戦略に従い,◎◎プロジェクトを推進するために,新たに,被告の○○事業部マーケティング本部に,◎◎システムの導入と運用を職務内容として,◎◎プロジェクトを担当するポジションであるCRMポジションを創設した。被告は,同年5月31日に原告を採用し,原告を同ポジションに就かせた。
(乙24,証人J部長)
(2) ◎◎プロジェクトの費用の支払に関する事実経過
ア 原告が被告に入社した当時,マーケティング本部は,マーケティングディレクターであるB部長が統括していたところ,原告,プロダクトマーケティング(シニアプロダクト)マネージャー1名及びデジタルマーケティングマネージャーであるDの合計4名で構成されていた。原告は,入社後,B部長から,CRMポジションの業務として◎◎プロジェクトに関するマーケティング業務を行うよう指示された。(甲20,乙24)
イ B部長は,平成30年8月23日,原告に対し,◎◎システムのパイロット版の開始時期の目標を同年10月とする旨指示した。
原告は,d社に対し,◎◎システムの構築に係る業務を委託することとし,同年8月下旬頃,d社から同業務委託に関する概算見積書の最終版を受け取った。d社は,同年9月下旬頃には,被告に対し,同社が作成した◎◎プロジェクトのパイロット版のシステムを納品した。
(甲2,13,20,原告本人)
ウ 原告は,平成30年9月6日,d社に対する◎◎システムの開発費用等の支払について社内システムを通じて申請したが,B部長は,同月10日,同申請を却下した(甲15)。
原告は,同月上旬頃,プロダクトマーケティングマネージャーから,被告がe社に対し◎◎システムの開発費用を支払っている旨の指摘を受け,B部長に相談するよう言われた。原告は,この頃,被告のe社への支払についてB部長に相談した。(甲20,原告本人)
エ 原告は,平成30年9月10日,e社の代表取締役であるEと面談し,◎◎システムに関するe社の被告への納品物について確認したところ,Eは,e社は被告に対し成果物を納品していないにもかかわらず,被告から費用の支払がされた旨述べた。また,原告は,Eに対し,B部長に確認したところ既に被告からe社に支払われている費用を返還してもらうというのは困難であり,他方で,被告は,d社に対し,e社に発注したものと同じものを発注したことから,e社の方からd社に費用を入金してほしい旨話した(甲14)。
オ 原告とB部長は,遅くとも平成30年11月頃には,前記ウで原告が申請したd社に対する◎◎システム開発費用等の支払を巡って,激しく対立するようになった。
原告は,同月12日,Iに対し,◎◎プロジェクトについて,d社は,被告が必要とした全ての素材につき,同年9月28日に納品を完了したこと,d社は下請代金支払遅延等防止法の適用対象であること,同年11月15日までに添付の書類(契約書)を承認するよう記載したメールを送信した。
Iは,同メールに対し,適切な書類なしにベンダーに仕事を発注できないことは以前にも伝えた旨,被告は,業務委託基本契約書及び作業範囲書なしにベンダーに支払を行うことはできない旨,以前,B部長は業務委託基本契約書に署名していないことを確認し,これについて原告は謝罪した旨,H部長に対し当該業務委託基本契約書が法的に問題ないことを確認するメールを送付するよう依頼したが,そのようなメールは受領していない旨,Iが署名するために,原告に対し,業務委託基本契約書及び作業範囲書のコマーシャルな部分について英訳したものを渡すよう依頼したが受領していない旨原告に返信し,また,H部長に対し,上記内容につき確認を依頼するメールを送信した。
H部長は,Iに対し,原告とIとの会議で話したように,法務部はd社と被告との間の業務委託基本契約書の要約を用意し原告に提供した旨,H部長としては,d社との契約締結に関して法的見地からは懸念はなく,原告が承認するよう求めた承認シートに押印した旨返信した。
(甲17,20,乙2)
カ B部長は,平成30年11月13日,原告に対し,上記オのやり取りについて,B部長は,原告に,被告のプロセスを遵守するよう繰り返し求めてきた旨,原告は,特に,ベンダー選定プロセスに関するB部長の質問に適切に回答していない旨,原告は,B部長と相談することなく,I等と話すべきではない旨,B部長は,原告に対し,繰り返し,Iから承認を得るのに先立ち,マーケティングチームと行動を調整し,B部長や他の関係者とも調整を行うのが被告のプロセスであると説明してきた旨,原告は,必要とされる契約,作業範囲書及び承認された発注書のいずれもないまま仕事を開始したと何度も認めている旨,以上の点が全てクリアになれば,原告の提案を承認していた旨記載したメールを送信した。また,B部長は,I及びH部長に対し,B部長としては,ベンダーの選定プロセスについて確認したかっただけであり,法的見地から問題があるとは思っていない旨,契約締結及び支払に進みたいのであれば,その決定に従う旨記載したメールを送信した。
原告は,同日,B部長の上記メールに対し,B部長は事態を解決するために動いておらず,既に1か月半が経過している旨,H部長は,既に業務委託基本契約書及び作業範囲書を承認している旨,B部長が,業務委託基本契約書及び作業範囲書に署名していなくても,d社はプロジェクトのための素材を全て納入済みである旨,被告は,下請代金支払遅延等防止法に基づき,d社に代金を支払う必要がある旨,支払をしなければ,d社から法的措置をとられる旨,マーケティングディレクターであるB部長がプロセスを把握していなければならないことは常識である旨返信した。
Iは,同日,B部長及び原告に対し,被告のプロセスに従った関連資料及びそれを英訳したものを用意してほしい旨,プロセスが踏まれていないために納品物が規則に従っていない部分があれば,IとH部長で確認する旨記載したメールを送信した。
B部長は,同日,原告に対し,被告のポリシーでは,署名済みの秘密保持契約書,業務委託基本契約書及び作業範囲書が必要であり,その後に,調達部門により発注書が発行される旨,ベンダーが仕事を開始できるのは発注書を受領してからである旨,ベンダー選定及び評価プロセスを遵守する必要がある旨,B部長は,d社の公式な選定プロセスに関する一切のコミュニケーションについて受領していないし,原告がこれまでに提供した書類は不十分である旨,ITに関する手続を踏むことなしに,支払を行うことはできないことを理解してほしい旨,原告がd社に支払わなければならないと主張する支払を解決するよう共に作業する旨,d社を◎◎プロジェクトの選定ベンダーとして承認し,これまでの完了済みの業務に対する支払を検討し進めるために,不足している項目について追跡するため,添付のシートを参照し,同シート上の問題についての記入に協力してほしい旨記載したメールを送信した。
これに対し,原告は,同日,B部長及びDに対し,B部長は現在の状況を理解していない旨,d社は,◎◎プロジェクトのための素材を全て納入済みであることから,被告は,d社に対し,法に基づき代金を支払う義務がある旨,Iと,業務委託基本契約書及び作業範囲書の署名に向けた動きを続けるよう記載したメールを送信した。また,原告は,同日,B部長に対し,◎◎プロジェクトはB部長の責任下にある旨,上記シートと◎◎プロジェクトはB部長自身で完成させるよう記載したメールを送信した。
(乙2)
キ 被告は,その後,d社に対し,◎◎プロジェクトに関する費用を支払った(甲20,原告本人)。
(3) 原告とJ部長等との面談
Iは,d社への支払に関して前記(2)のメールでのやり取りにもあるようにB部長と原告の対立が深刻なものであったことから,J部長及びK財務本部長に対し,B部長と原告の対立を解決し,d社への支払について進めてほしい旨依頼した。
そこで,J部長及びK財務本部長は,平成30年11月15日,原告と面談した。J部長は,同面談において,原告に対し,原告について懲罰に関わる行動があり,その一つが,社内システム上の事前承認なくd社に対し発注をしたことである旨説明したところ,原告は,J部長らに対し,B部長がd社に対し発注をするよう言ったので発注した旨回答した。J部長は,d社に対する発注について社内システム上の事前承認が却下されていたことを確認した上で,原告に対し,却下されていたのであれば発注をするべきではないというのが被告の方針である旨話した。これに対し,原告は,J部長らに対し,同年8月23日にB部長からd社に発注するよう言われて発注しているので,原告が無断でやったわけではない旨伝えたところ,J部長は,原告に対し,B部長からd社に発注をするよう依頼されたことについて証拠を提出してほしい旨,虚偽の報告の場合にはコンプライアンス違反になるため,B部長から依頼されたという明確な証拠を提出してほしい旨伝えたところ,原告はこれを了承したが,B部長から発注をするよう依頼されたことが記載されたメールはない旨回答した。J部長は,原告に対し,d社に対する発注に関して,社内システム上のベンダー登録がされていない旨指摘したところ,原告は,ベンダー登録はしている旨回答したことから,K財務本部長は,原告に対し,その資料も提出するよう依頼した。また,J部長は,原告に対し,原告に関して虚偽の報告というのがある旨告げたところ,原告は,虚偽というのは嘘である旨回答した。J部長は,原告に対し,虚偽の報告の件については,調査中であり,確認できたらまた連絡する旨告げたところ,原告は,J部長に対し,連絡があれば原告も情報提供する旨述べた。
(甲5,証人J部長)
(4) 原告とGとの間のやり取り
原告は,平成30年10月31日,Gに対し,B部長は,「架空取引を隠ぺいするために不正を支持した上司」であるため,B部長からの評価を拒否したい旨,他のディレクターを設定してほしい旨メールで連絡した。
Gは,同年11月1日,原告の上記メールに対し,評価は直属の上長から受けるものであり,人事部は他のマネージャーを割り当てる権限は有していない旨,原告は,B部長について,「架空取引を隠ぺいするために不正を支持した上司」と記載しているが,この件については現在調査中であり,まだ何も明らかにされていない旨,上記のような表現を使用した原告の行動は,就業規則第60条①の8「会社内で暴行,脅迫,傷害,暴言又はこれに類する行為」をしたもの,また,就業規則第39条に違反するものとみなされるので注意する旨返信した。
これに対して,原告は,原告の行動が就業規則に違反するというGの指摘は間違っていること,「パワーハラスメントは,上司であるB」部長であるなどと返信した。
Gは,原告の返信を受け,原告に対し,「ご返信ありがとうございました。以下は個人的なアドバイスでしたので,ご了承ください。」と記載したメールを送信した。
(甲4)
(5) ◎◎プロジェクトの休止に至る経緯等
ア 被告において◎◎プロジェクトを検討したところ,次のことが明らかとなった。
海外では,□□の性質上,患者に対して直接マーケティングを行っていく方法が主導になりつつあったところ,日本市場の顧客の大部分は医師等の医療関係者であることから,日本では,患者に対する直接的なマーケティングは十分に成熟しているとは言い難く,患者に直接フォーカスするマーケティング戦略は,他地域と比較すると実効的ではなかった。また,被告において,◎◎システムを当初想定していた規模でサービスとして機能する水準にするためには,◎◎プロジェクトの予算を大幅に超えるコストがかかる可能性があった。
(甲28の13,乙24,証人J部長)
イ Iは,上記アの状況を踏まえ,◎◎プロジェクトを当初想定していたとおりに進めることは不可能であると判断し,また,同プロジェクトに関してB部長と原告が対立しており◎◎システムの導入が順調に進んでいなかったことも踏まえ,平成30年11月半ばに開催された被告の会議において,同プロジェクトを当面休止することを発表した(乙24,証人J部長)。
ウ 被告においては,令和元年6月下旬頃から,再び◎◎プロジェクトに関する検討を開始し,◎◎システムは,その後,再度の検討を経て,令和2年1月頃から正式に運用が開始されたが,当初の◎◎プロジェクトの構想と比較すると,登録する患者の想定数は当初の2割程度となり,規模を相当程度縮小しての運用となった。なお,再検討された◎◎システムの導入及び運用は,マーケティング本部のHCPマーケティングマネージャー(後記のとおり,プロダクトマーケティングマネージャーの名称が変更されたポジション。)及びデジタルマーケティングマネージャーが,同ポジションの業務とは別に担当しているほか,外部ベンダーへの委託によって行われており,特段支障なく運用されている。(乙24,証人J部長)
(6) 本件ポジションクローズ
ア ◎◎プロジェクトの休止により,原告が在籍していたCRMポジションは,当面同ポジションが担当すべき独自の業務はなくなった。原告は,同休止後,マーケティングの営業資材の準備や,社内ポータルの整理,改善,更新等を行っており,マーケティング本部の他の従業員の業務の補助をしていた。(甲20,乙24,証人J部長,原告本人)
イ △△グループにおいては,日本におけるマーケティング戦略を見直すこととなり,これに伴い,平成31年1月頃から,CRMポジションの見直しが進められた。
被告と,米国本社の関連会社のうち被告を含むアジア太平洋地域に存する会社を統括する部門(以下「アジアパシフィック部門」という。被告○○事業部の上位組織。)との間で,日本におけるマーケティング戦略について検討され,日本では医療従事者のサポートがないと製品を拡散することが難しい状況であったことなどから,日本においては,国際的な視点でのマーケティング(患者に直接フォーカスするマーケティング)を推し進めるよりも,日本市場に即した伝統的なマーケティング戦略に立ち返り,マーケティング部内のポジションを再構成することが望ましいなどと議論された。そして,同年2月中旬頃,被告及びアジアパシフィック部門との間の議論に米国本社が加わり,CRMポジションの必要性について検討されたところ,前記アのとおり,当時同ポジションが担当すべき独自の業務がなかったことも踏まえて,被告においては,CRMポジションを常設するまでの必要性は乏しく,CRMポジションが担当すべき業務が生じたとしても,被告の他のポジションやアジアパシフィック部門などに当該業務を分担することが可能であり,当該分担によっても業務遂行上の支障が生じないことが確認され,同月下旬頃には,CRMポジションが従事する業務については,被告の他のマーケティング部門におけるポジション等が分担し,個別に必要がある場合には外部ベンダーを使用して対応することが最も効率的であるとの結論に至り,同年3月,被告のCRMポジションを廃止することが決定された。
また,被告においては,上記議論を踏まえ,医療従事者へのマーケティングを重視することになったことから,マーケティング本部を再編し,プロダクトマーケティングマネージャーのポジションを,医療従事者に対してのマーケティングを専任するポジションとしてHCPマーケティングマネージャーという名称に変更し,1名から2名体制へと変更した。なお,デジタルマーケティングマネージャーのポジションについては,Dの退職後,令和元年4月1日に入社した別の者が同ポジションに就くこととなった。
(甲28の13,乙24,証人J部長)
(7) 本件ポジションクローズに関する面談
G及びCは,平成31年3月14日,原告と面談し,原告に対し,CRMポジションを廃止すること,他のマーケティング部署には現状空きがないこと,他部署で空きがあるポジションは,品質管理部門での業務であり勤務地が松戸になること,急な話であり,被告としては,原告が品質管理部門のポジションを希望しない場合には,他の選択肢を用意していることを告げた上で,当該選択肢について聞くかどうか尋ねたところ,原告は書面があれば交付するよう依頼した。そこで,Gは,原告に対し,他の選択肢である退職について,会社都合扱いになること,退職日は,次の仕事を探すなどすることも踏まえて,同年6月30日で設定してあること,最終出社日については,相談の上で決定することとしていることを説明し,また退職金についても説明した。これに対し,原告は,Gらに対し,マーケティング部署は人材も少なく業務量が多い状況でCRMポジションをクローズすることにした理由や本件ポジションクローズを誰が決定したのかについて尋ねたところ,G及びCは,被告の現状と将来,被告の今後の戦略ないし方針を踏まえた上で,マーケティングポジションの構成を再構築することになったこと,本件ポジションクローズについては,社内の誰か一人が決めたわけではなく,会社としての決定であり,アジアパシフィック部門,被告の○○事業部,人事部などで意思決定したことである旨回答した。また,原告は,Gらに対し,原告は,D及びB部長による架空発注を発見して通報した人間であるなどと訴えたが,Gらは,その話と本件ポジションクローズに関する話は別の話である旨伝えた。原告は,Gらから話があったことについて検討する旨回答したところ,Gらは,ゆっくり考えてほしい旨,また何かあればGかCに相談してほしい旨伝え,2週間以内に回答をしてほしい旨依頼した。(甲6)
(8) 本件配転命令に至る経緯
ア 被告は,本件ポジションクローズにより,原告を他のポジションに配置転換する必要があった。被告のマーケティング本部のCRMポジション以外の他のポジションは,従来の医療業界におけるマーケティング手法が,影響力のある医師に対しマーケティングを行い,その影響力のある医師が医療関係者に対して影響力を発揮し製品を拡販していくものであり,前記(6)イのとおり,被告のマーケティング戦略として医療従事者向けのマーケティングを行うことになったことから,キー・オピニオン・リーダー(医療業界で多方面に影響力を有する医師)やその他の医師のマネージメントの知識や経験を有していることが必須であったところ,原告は,そのような知識や経験を有していなかった。また,マーケティング本部のCRMポジション以外の他のポジションは,業務上,医師との関係の構築のほかに,他部署の従業員や様々な関係者との連絡及び調整を行うことが必須であり,コミュニケーション能力の高さが求められるポジションであった。
被告は,以上の事情を踏まえ,原告を,マーケティング本部のポジションに配置しなかった。また,被告は,当初,前記(7)のとおり,原告を○○事業部の品質管理部門のポジションに配置転換することを検討していたが,同部門の状況や原告の言動等を踏まえて,原告の配転先を再検討することとした。
(甲28の14,乙24,証人J部長,原告本人)
イ 他方で,被告においては,製品の拡充,拡販により,営業スタッフが平成30年以降著しく増加し,新入社員の受入準備や教育に関する業務が増えていたため,セールス部門の従業員を増やす必要があった。
そこで,被告は,マーケティング本部とは別部門の○○事業部のうちのコマーシャルエクセレンス部に上記業務を担当するセールス・オペレーション・マネージャーというポジションを新たに創設し,本件配転命令により,原告を同ポジションに配転転換した。なお,当該配置転換の前後で,原告の被告における等級,給与,その他福利厚生等の労働条件その他待遇については一切変更されていない。
(甲20,28の14,乙6,24,証人J部長)
(9) 被告によるe社に係る取引等の調査
ア f株式会社は,被告に対し,同社と被告との間の業務委託契約に基づき,広告物等を製作し,それを全て納品した旨,同契約に基づく対価については,被告の担当者であるマーケティング本部に所属するB部長及びDらの指示に基づき,e社宛てに請求書を送付したところ,同社又は同社代表者であるEを経由して,その一部につき支払があった旨,他方で,上記対価のうち187万9200円については,支払期限を既に経過しているにもかかわらず,被告及びe社より支払がないため,2週間以内に上記金額を口座に振り込んでほしい旨,期限未到来の対価についても,支払期限までに確実に支払ってほしい旨記載した平成30年9月10日付け内容証明郵便を送付した(乙1)。
イ 被告は,上記内容証明郵便を端緒として,被告法務部でe社に関する調査を開始し,被告とe社との取引関係を精査したところ,発注書と納品物の照合が十分に確認できないものがあったことから,外部の専門家による調査が必要であると判断し,平成30年10月,e社への発注状況等についての調査を社外弁護士に依頼した。
被告は,同調査開始後,e社との取引を全面的に中止するとともに,B部長を自宅待機とするなどして対応を検討していたところ,B部長はその後退職した。なお,社外弁護士による上記調査の結果,被告においては,e社との取引に関し,社内規程違反の事実や関連する取引の杜撰な管理状況が判明したが,被告の発注に対応する成果物は一応納入されており,関与が疑われる従業員の具体的な不正行為を確認するまでには至らなかった。
(乙24,証人J部長)
(10) 被告の懲戒委員会に関する事実経過等
ア J部長は,平成31年3月20日,「御社の横領案件につきまして,取材させていただけますでしょうか」と記載された差出人不明のメールを受領した。
また,当時の被告代表者は,同年4月4日,「御社の○○事業部担当者様に横領案件につき情報提供を求めましたが,お返事をいただけずおります。」「日本法人からは説明が困難ということでしたら,御社米国本社へ直接連絡させていただいてよろしいでしょうか。また,国税庁には既に報告済みでしょうか。」と記載された差出人不明のメールを受領した。
(乙22,23)
イ Iは,平成31年4月2日,H部長及びJ部長に対し,トルコ語で「貴方はまじめに受け取らないと思うけれども,貴方に法的な責任がある」と記載されたメールを受け取った旨記載したメールを送信した。同メールを受け,J部長は,H部長及びIに対し,情報リークの脅威として検討できる旨,上記メールが原告によるものであった場合には,交渉において被告は有利になるなどと返信した。これに対し,Iは,H部長及びJ部長に対し,原告のパソコンやメールを確認できないか,ITチームによってリモートで確認できないかどうかメールで尋ねた。H部長は,I及びJ部長に対し,上記トルコ語のメールはジャンクメールであると思われること,現時点でできるのは上記メールが届いたことを記録することぐらいであること,原告のメールを確認するのは,シカゴのチームに具体的に内容を説明し申請する必要があること,原告が脅迫行為をしたと特定できない以上,原告を悪者として原告のパソコンを確認すべきではないことを記載したメールを送信した。これに対し,Iは,原告が機密情報等のダウンロードなど,社外とつながっていないか確認する必要がある旨,シカゴのチームと協力して承認を得るなどと返信した。(甲18)
ウ Cは,令和元年5月27日,原告に対し,原告が◎◎のために制作した資料を共有してほしい旨メールで伝えた。これに対し,原告は,同年6月4日,◎◎等について原告からのサポートを必要とするのであれば,Gか原告の弁護士に尋ねるよう返信した。Cは,同月5日,原告に対し,原告にただ資料を共有してほしいだけであるが,自身の要求を拒否するということなのか尋ねた。原告は,同日,Cに対し,Gに尋ねてほしい旨,◎◎等はCRM業務の一部であった旨,これらのプロジェクトは原告のポジションクローズに関連している旨記載したメールを送信した。(乙13)
エ Cは,令和元年6月3日午後7時45分,原告に対し,同日原告を会社で見かけなかったが,同日は休暇であったのかメールで尋ねた。これに対し,原告は,翌4日,自身の弁護士に会うためである旨返信した。Cは,同月5日,原告に対し,原告が同年5月15日の朝に会社にいなかったと告げられたことから,出退勤をそのようにアップデートしてほしい旨,従業員は規則を遵守することが求められており,休暇を取得する際には事前に不在にすることの連絡をする必要がある旨メールで伝えた。これに対し,原告は,同日付けでCに送信したメールにより,原告は東京地方裁判所にいたと既に伝えている旨メールで回答した。(乙11)
オ 原告は,令和元年6月7日,I及びJ部長に対し,「I,J,あなた達が地獄に落ちるまで許さない」と記載したメールを送信した(乙14)。
原告は,同日,当時の被告代表者に対し,「私は昨年9月からIとJからパワハラを受けています。6月末までにIとJを解雇することを希望します。さもなければ,全ての人脈を使ってTBS,朝日,NTV及びフジテレビなどのマス・メディアに伝えます。国税庁に全ての情報を送ります。これは脅しではありません。既に内部告発の局面にあります。」と記載したメールを送信した(乙15)。
カ 原告は,令和元年6月19日,被告の懲戒委員会から,①勤怠管理が不正確なこと,②業務命令に従わないこと及び③職場内で不穏な言動を繰り返していることについて,事情を聴取された。懲戒委員会は,原告に対し,冒頭で,上記3つの事項,具体的には,①原告は,令和元年5月15日及び同年6月3日に勤務していないにもかかわらず,勤務した旨申請がされていたこと,また,原告は,同月11日から同月14日まで出勤しない旨連絡したが,社内の休暇取得の申請処理を行わなかったこと,②原告が,同年5月27日,上長であるCから◎◎に関する業務資料の共有を求められたにもかかわらず,正当な理由なく,それに従わなかったこと,③原告が,J部長,I及び被告代表者に対し,前記オのメールを送信したことについて,原告の意見を確認したい旨述べた。原告は,①の件について,同年5月15日に関しては,本件訴訟の期日であったため,事前にCの方に連絡していたこと,有給休暇にはしていなかったところ,Cからその点について指摘を受けたので,有給休暇の申請をして受理されていること,同年6月3日については,弁護士との打合せに行っていたところ,事前にCには伝えていないが,今月対応する旨,同月11日から14日の件については,システム上原告の方で対応できない状況になっている旨回答した。また,原告は,②の件について,同年5月27日に,Cに対し,原告のサポートが必要であればCRMポジションを作ってほしい旨,原告が作成した資料については,全て社内の共有ドライブに入っているなどと伝えたと回答した。さらに,原告は,③の件については事実であり,I及びJ部長に対するメールは重度のうつ状態の状況で送信したものであり,被告代表者に対するメールはI及びJ部長からのパワーハラスメントが酷いために上記状況の中で送信した旨回答した。(甲19,乙5)
(11) 被告における内部通報制度
被告を含む△△グループには,従業員が不正行為の可能性がある事象を報告することができるスピークアップ制度と呼ばれる制度が存在する。当該制度は米国本社で管理されているところ,従業員から報告があった場合には,米国本社においてその内容を精査した後,必要に応じて,当該報告の対象となっているグループ会社の関係者に報告がされ,同関係者が調査を行うこととされている。(乙24,証人J部長)
2 争点1(本件配転命令の有効性)
(1) 被告の就業規則第66条は,「会社は,業務の都合により,従業員に異動を命じることがある。従業員は,正当な理由がない限りこれを拒むことができない」と規定しており(前提事実(9)ケ),被告は,従業員に対し配置転換を命じて労務の提供を求める権限を有する。しかし,使用者に配転命令権があったとしても,これを濫用することが許されないことはいうまでもなく,当該配転命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であっても,当該配転命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等,特段の事情の存する場合には,当該配転命令は権利を濫用して発せられたものとして無効となると解するのが相当である。
(2)ア 業務上の必要性について
(ア) 本件配転命令は,原告が同命令前に就いていたCRMポジションが廃止されたために行われたものであるから,まず,本件ポジションクローズに業務上の必要性があったか否かについて検討する。
前記前提事実及び認定事実によれば,被告は,△△グループにおいて海外で成功していた◎◎システムの日本への導入を検討し,また,患者に直接フォーカスする国際的なマーケティング戦略を日本に取り入れることを目的として,同システムの導入と運用を職務内容とするCRMポジションを新たに創設したこと,その後の被告における検討により,日本市場の顧客の大部分は医師等の医療関係者であることなどから,日本においては,国際的なマーケティング戦略は実効的ではないことが明らかになったこと,そこで,被告は,アジアパシフィック部門との議論を経て,マーケティング戦略を変更することとし,医療従事者にフォーカスしたマーケティングを重視することにしたこと,他方で,被告は,このような日本におけるマーケティング戦略の検討状況に加え,◎◎システムを当初想定していた規模でサービスとして機能する水準にするためには予算を大幅に超えるコストが見込まれたことなども踏まえて,◎◎プロジェクトをいったん休止することとしたこと,被告は,上記マーケティング戦略の変更等に伴い,マーケティング本部の構成を再編成するとともに,CRMポジションについては,その業務量を考慮すると常設する必要性はないと判断し,本件ポジションクローズを決定したこと,本件ポジションクローズは,被告だけではなく,アジアパシフィック部門や米国本社とも議論した上での判断であることが認められる。以上の事実からすれば,本件ポジションクローズは,△△グループによる日本におけるマーケティング戦略の変更に伴うものであるといえる。すなわち,被告を含む△△グループは,マーケティング戦略の変更を踏まえた被告における当時及び将来のCRMポジションの業務量を考慮すると同ポジションに一名専任の従業員を置く必要性はなかったことからCRMポジションを廃止したものと認められる。そして,現に,本件ポジションクローズ後,CRMポジションの業務はマーケティング部門における他のポジション等が分担することで特段支障なく業務が遂行されていることも踏まえると,被告がCRMポジションを廃止したことには合理的な理由があるといえる。したがって,本件ポジションクローズには,業務上の必要性があったということができる。
この点,原告は,Iが平成31年2月に作成した○○事業部の戦略に関する資料(甲9)に,CRMを介し顧客対応をリードすることを加速する旨の記載があることからすれば,本件ポジションクローズは著しく不合理なものである旨主張ないし供述する。しかし,上記資料(甲9の4枚目)には,加速することとして,「競合に打勝ち日本のマーケットにおいて#1シェアを獲得する」,デジタル面,CRM,患者対応「を介し,顧客対応をリードする」と記載されており,被告のCRMポジションを特別重視していくことが読み取れるものではないから,同記載から,本件ポジションクローズが著しく不合理なものであったと認めることはできない。また,原告は,本件ポジションクローズに至った経緯等について縷々主張するが,いずれも,前記判断を左右するものではない。
(イ) そして,被告は,本件ポジションクローズにより,原告を他のポジションに配置転換させる必要があったところ,前記認定事実によれば,マーケティング本部の他のポジションは,その業務の性質上,医療従事者のマネージメントの知識や経験を有していることが必須であったところ,原告はそのような知識や経験は有していなかったこと,他方で,被告においては,社員の教育等に関する業務が増えていたこと,そこで,被告は,原告を,同業務を担当するセールス・オペレーション・マネージャーというポジションに配置転換したことが認められる。以上の事実からすれば,本件配転命令には業務上の必要性があったものと認められる。
イ 不当な動機・目的について
この点,原告は,本件ポジションクローズ及び本件配転命令は,e社に関する架空発注について社内告発した原告を職場から排除する意図で行われたものである旨主張する。
前記前提事実及び認定事実によれば,被告は,f株式会社から同社と被告との間の業務委託契約に関する支払についての内容証明郵便を受け取ったことをきっかけとして,被告とe社との取引に関して調査したところ,発注書と納品物の照合が十分に確認できないものがあったことから,外部の専門家による調査が必要であると判断し,社外弁護士に対し,e社に関する調査を依頼していること,原告は,同調査に協力し,e社に関する情報提供をしたこと,社外弁護士は,被告に対し,同調査の結果を報告していることが認められる。以上の事実によれば,被告は,原告によるe社に関する架空発注の報告とは別に,f株式会社による内容証明郵便をきっかけとして,社外弁護士に対して,e社との取引に関する調査を依頼し,被告において不正等がないかどうか明らかにしようとしているのであって,同取引に係る不正等について隠蔽する意図を有しているものとは認められない。また,前判示のとおり,本件ポジションクローズ及び本件配転命令には,業務上の必要性があったと認められること,他方で,被告が,e社との取引に係る架空発注について情報提供した原告を排除する目的で,本件ポジションクローズ及び本件配転命令を行ったことを認めるに足りる的確な証拠はないことも踏まえると,原告の上記主張は採用することができない。
その他に,被告が,不当な動機又は目的で本件ポジションクローズ及び本件配転命令を行ったと認めるに足りる証拠はない。
ウ 原告の不利益について
前記前提事実及び認定事実によれば,本件配転命令の前後で,原告の被告における等級,給与,その他福利厚生について変更はされていないことが認められるから,本件配転命令によって,原告の労働条件等の待遇面において不利益が生じたということは認められない。この点,原告は,本件配転命令によって1ランク降格した旨主張ないし供述するが,降格の事実を認めるに足りる証拠はない。
その他に,本件配転命令によって,原告に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益が生じたことを認めるに足りる証拠はない。
エ 小括
以上の検討によれば,本件配転命令は,権利の濫用として無効とすべき特段の事情があるとはいえないから,有効である。
(3) 以上によれば,マーケティング業務からの排除を受けない労働契約上の地位を有する旨の原告の主張は採用することができない。また,本件地位確認の訴えは,原告が,本件配転命令が無効であることを理由に,本件配転命令前の特定のポジション(CRMポジション)において特定の業務(顧客管理業務)に従事する労働契約上の地位の確認,すなわち権利・義務の確認を求める訴えであるが,労働者には原則として就労請求権はないものと解すべきであり,他方で,原告の訴えを特定のポジションにおいて特定の業務に勤務する義務の存在確認の訴えと解したとしても,自己の負担する義務の存在を確認する利益はないから,請求の趣旨第1項に係る訴えは,確認の利益を欠く不適法なものであって,却下すべきである。
3 争点2(被告の原告に対する不法行為等の成否)
(1) 原告が主張する各パワーハラスメント行為について
ア 本件パワハラ行為1について
被告は,原告が主張する本件パワハラ行為1に係る事実について否認しているところ,原告が主張する事実を裏付ける的確な証拠はないし,Iが被告の○○事業部のジェネラル・マネージャーに就任したのは平成30年9月8日であり,原告が主張するIによる本件パワハラ行為1は同月12日の出来事であるところ,就任して間もない時期にIが原告に対して攻撃的な態度で接する理由が証拠上見当たらないことも踏まえると,本件パワハラ行為1に係る事実は認められない。また,仮に当該事実が認められたとしても,原告から架空発注の件について報告を受けたIが,原告に対し,人事部に行くよう指示し,部屋から退出するよう指示したこと自体は,社会的相当性を逸脱した違法な行為と認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為1に係る原告の主張は採用することができない。
イ 本件パワハラ行為2について
被告は,原告が主張する本件パワハラ行為2に係る事実について否認しているところ,原告が主張する事実を裏付ける的確な証拠はないし,Iが被告の○○事業部のジェネラル・マネージャーに就任したのは平成30年9月8日であり,原告が主張するIによる本件パワハラ行為2は同月14日の出来事であるところ,就任して間もない時期にIが原告に対して攻撃的な態度で接する理由が証拠上見当たらないことも踏まえると,本件パワハラ行為2に係る事実は認められない。また,仮に当該事実が認められたとしても,原告から架空発注の件について報告を受け対策を取るよう求められたIが,原告に対し,人事部に行くよう指示した上で,F部長にゴシップを言わないよう告げたこと自体は,社会的相当性を逸脱した違法な行為と認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為2に係る原告の主張は採用することができない。
ウ 本件パワハラ行為3について
被告は,原告が主張する本件パワハラ行為3に係る事実について否認しているところ,原告が主張する事実を裏付ける的確な証拠はないし,Iが被告の○○事業部のジェネラル・マネージャーに就任したのは平成30年9月8日であり,原告が主張するIによる本件パワハラ行為3は同月14日の出来事であるところ,就任して間もない時期にIが原告に対して攻撃的な態度で接する理由が証拠上見当たらないことも踏まえると,本件パワハラ行為3に係る事実は認められない。また,仮に当該事実が認められたとしても,原告から架空発注の件について申告されたIが,原告の上長はB部長であることから,そのことを踏まえて自身に報告しないよう伝えたとしても,そのこと自体が,直ちに社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為3に係る原告の主張は採用することができない。
エ 本件パワハラ行為4について
被告は,原告が主張する本件パワハラ行為4に係る事実について否認しているところ,原告が主張する事実を裏付ける的確な証拠はないし,本件パワハラ行為4が行われたとされる平成30年10月11日頃にIが原告に対して攻撃的な態度で接する理由が証拠上見当たらないことも踏まえると,本件パワハラ行為4に係る事実は認められない。
したがって,本件パワハラ行為4に係る原告の主張は採用することができない。
オ 本件パワハラ行為5について
証拠(甲29)によれば,被告では,他社に業務を発注し当該業務に対する支払を行うためには,社内システム上の登録ないし承認(具体的には,①ベンダー登録申請,②ベンダー登録承認,③購買申請,④購買承認,⑤発注申請,⑥発注承認,⑦支払申請及び⑧支払承認)をする必要があり,その一つとして業者であるベンダーの登録申請及び登録承認を行うことがまず必要であることが認められる。そして,前記認定事実によれば,原告によるd社に関する発注ないし支払については,社内システム上のベンダー登録等がされていなかったこと,B部長は,J部長に対し,d社に対する発注は承認されていない旨話したことが認められる。
そうすると,B部長としては,d社に関する発注ないし支払は,社内で決められている発注ないし支払のための手順に則っていないことから承認されていないことを,J部長に告げただけであり,当該行為が社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為5に係る原告の主張は採用することができない。
カ 本件パワハラ行為6について
前記認定事実によれば,原告が,平成30年10月31日にGに送信したメールの中で,B部長について「架空取引を隠ぺいするために不正を支持した上司」である旨記載したことから,Gは,原告に対し,架空取引については調査中であり何も明らかにされていないため,上記記載は,就業規則第60条①の8や第39条に違反するものとみなされるので注意するようメールで伝えたことが認められる。Gがこのようなメールを送ったこと自体は,当時,架空発注に関しては調査中であり,B部長の関与についても明らかになっていない状況にあったこと,また,原告がGに送信したメールの記載内容を踏まえると,何ら不適切な行為ではなく,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
原告は,Gが,原告に対し,◎◎システムに関するd社に対する被告の支払について,e社に支払うよう依頼するのを拒否したことは懲戒解雇に匹敵するものであり,その指示に従うように記載したメールを送信したことをパワーハラスメントであると主張しているが,Gが,そのような内容のメールを送ったことを認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為6に係る事実は認められない。
したがって,本件パワハラ行為6に係る原告の主張は採用することができない。
キ 本件パワハラ行為7について
証拠(甲17)によれば,Iは,平成30年11月14日,原告に対し,d社に対する支払に関して,「Bさんはあなたに前メールでガイドしています。あなたはBさんの指示に1つ1つ沿って従う必要があります。」などと記載したメールを送信していることが認められる。前記認定事実によれば,B部長は,同月13日,原告に対して,d社に対する支払については,社内で決められている手順に則っていないことから支払を行うことができないのであって,原告は社内で必要とされている手続を踏む必要があるといった趣旨のメールを送信していることを踏まえると,Iが原告に対して従うよう伝えたB部長の指示とは,支払処理のために必要な社内の手続を履践することであると認められる。このようなIの行為自体は,何ら不適切な行為ではなく,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
この点,原告は,Iは,原告に対して,d社に対する被告の支払について,e社に支払わせる旨のB部長の指示に従うよう指示したと主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,本件パワハラ行為7に係る原告の主張は採用することができない。
ク 本件パワハラ行為8について
前記前提事実及び認定事実によれば,J部長は,平成30年11月15日,原告と面談をし,原告について懲罰に関わる行動があり,その一つが,社内システム上の事前承認なくd社に対して発注をしたことであることを説明した上で,原告から当該事実に関する原告の認識について話を聞いていること,また,その際,J部長は,原告に対し,原告の言い分に関して証拠を提出してほしい旨伝えた上で,虚偽の報告をした場合には,コンプライアンス違反になるなどと話していることが認められる。このように,J部長は,上記面談において,問題とされている原告の行動に関する原告の言い分を聴取しているのであって,原告のd社に対する発注及び支払が不正であると決めつけたり,原告について懲戒解雇の可能性がある旨告げたり,原告を一方的に非難及び厳重注意するようなことはしていないし,また,原告の申告が虚偽の申告であると決めつけたりもしていないから,J部長の当該行為が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為8に係る原告の主張は採用することができない。
ケ 本件パワハラ行為9について
証拠(乙7)によれば,原告は,令和元年9月11日,Gに対し,被告で行われているアワード&レコグニションの運用等について,メールで尋ねているところ,Gは,アワード&レコグニションは,社員同士が指名し合うことによって授与ないし受賞する仕組みになっており,人事部の評価は関係ないことなどをメールで説明していることが認められる。
本件パワハラ行為9は,被告で実施されているアワード&レコグニションにおいて,原告が表彰されなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,上記のとおり,アワード&レコグニションは,社員同士が指名し合うことによって社員が授与ないし受賞される仕組みであることからすれば,原告が他の社員から指名されなかったために表彰されなかった可能性を否定し難い上,原告が表彰されるべきものであったことを認めるに足りる証拠はない。また,原告は,原告を除いた○○事業部社員の全員が表彰された旨主張するが,被告は,当該事実を否認し,表彰されたのは一部である旨主張するところ,原告の主張を裏付ける的確な証拠はない。
したがって,原告が主張する本件パワハラ行為9が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできないから,本件パワハラ行為9に係る原告の主張は採用することができない。
コ 本件パワハラ行為10について
本件パワハラ行為10に係る原告の主張は,C及びGが,平成31年3月14日,原告に対し,本件ポジションクローズを告げ,他のマーケティングポジションが存在しないとして退職の回答をするよう要求したことを違法なパワーハラスメントであると主張するものである。
しかし,前判示のとおり,本件ポジションクローズは合理的な理由があるものであって,違法なものではないことからすれば,本件ポジションクローズを原告に告げたことが社会的相当性を逸脱した違法な行為であるとはいえない。また,前記前提事実及び認定事実によれば,C及びGは,原告に対し,同日時点で提示することが可能なポジションを提示した上で,当該ポジションを希望しない場合には退職という選択肢もある旨説明し,退職条件についても説明した上で,2週間以内に検討してほしい旨話していることが認められる。このように,G及びCは,原告に対し,同日時点で提示することが可能な選択肢を提示した上で検討するよう伝えたにすぎず,退職を強要するなど原告の自由な意思決定を阻害するようなことは一切していないことからすれば,当該行為は,社会的相当性を逸脱した違法な行為であるとはいえない。原告は,C及びGは,原告に対して,退職の回答をするよう要求した旨主張するが,原告提出の同日の会話の録音反訳(甲6)においても,そのような事実は認められない。
したがって,本件パワハラ行為10に係る原告の主張は採用することができない。
サ 本件パワハラ行為11について
本件パワハラ行為11は,本件パワハラ行為9と同様に,被告で実施されているアワード&レコグニションにおいて,原告が表彰されなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,前記ケで判示したことを踏まえると,本件パワハラ行為11についても,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為11に係る原告の主張は採用することができない。
シ 本件パワハラ行為12について
原告は,Iが,平成31年4月1日,被告に入社したLの被告オフィスのラウンジでの紹介に当たって,原告のみを排除した旨主張するが,同主張を認めるに足りる的確な証拠はない。
加えて,原告は,Iが,原告に対し,他のチームメンバーのスケジュールなどを閲覧できないようにし,マーケティングのミーティングにも呼ばないなどして情報共有をできなくさせたことが違法なパワーハラスメントであると主張する。しかし,会社におけるミーティングにおいては,通常,使用者が,当該ミーティングの目的に照らし,業務上の必要性も踏まえて参加者を決めるものであるところ,原告が主張するミーティングが,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったことを認めるに足りる証拠はない。また,会社におけるチーム内のスケジュール共有についても,通常,業務上の必要性に応じて行われるものであるところ,原告が主張するスケジュール共有が,業務上の必要性から原告に共有されるべきものであったことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,原告が主張する本件パワハラ行為12が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできないから,本件パワハラ行為12に係る原告の主張は採用することができない。
ス 本件パワハラ行為13について
前記認定事実によれば,Iは,差出人不明の不穏当なメールを受信したことなどから,J部長及びH部長に対し,原告のパソコンやメールを確認できないか,また,ITチームによってリモートで確認できないかメールで尋ねたことが認められる。原告は,このようなIの行為を違法なパワーハラスメントであると主張するが,Iは,あくまでJ部長及びH部長との間で,原告への対応について相談したに過ぎず,Iが実際に原告のパソコンを秘密裏に確認したことを認めるに足りる証拠はないことからすれば,当該行為が社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為13に係る原告の主張は採用することができない。
セ 本件パワハラ行為14について
本件パワハラ行為14に係る原告の主張は,平成31年4月にシンガポールで行われたアジアパシフィック地域での○○事業部マーケティング部門の会議に原告を参加させなかったことが違法なパワーハラスメントであると主張するものである。
しかし,会社における会議は,通常,使用者が,当該会議の目的に照らし,業務上の必要性も踏まえた上で参加者を決めるものであるところ,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為14が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為14に係る原告の主張は採用することができない。
ソ 本件パワハラ行為15について
本件パワハラ行為15は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことが違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為15が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為15に係る原告の主張は採用することができない。
タ 本件パワハラ行為16について
本件パワハラ行為16に係る原告の主張は,令和元年6月19日に行われた被告の懲戒委員会による原告に対する面接が違法なパワーハラスメントであると主張するものである。
前記前提事実及び認定事実によれば,原告は,令和元年5月15日及び同年6月3日に勤務していないにもかかわらず,勤務したことを前提とした申請をしていたこと,原告は,同年5月27日,Cから◎◎に関する資料を共有するようメールを通じて依頼されたが,◎◎についての原告のサポートを必要とするならG又は原告の弁護士に尋ねてほしいなどと回答し,Cの要求を拒否したこと,原告は,同年6月7日,I及びJ部長に対し,同人らが地獄に落ちるまで許さないと記載したメールを送信し,また,被告代表者に対し,I及びJ部長を解雇しなければ,マスメディアや国税庁に全ての情報を送る旨記載したメールを送ったこと,このような原告の言動を踏まえて,被告の懲戒委員会は,同月19日,同言動に関する原告の意見を確認するために,原告から事情を聴取したことが認められる。以上の事実によれば,原告には,①勤務状況についての報告が不正確であったこと,②Cによる業務命令に従わなかったこと,③他の従業員に対し不穏当なメールを送信したことといった就業規則の定めに反する言動が認められたことから,被告において,原告の処分を検討するために懲戒委員会を立ち上げ(就業規則第61条),懲戒委員会が,原告に対し,上記言動につき原告の言い分を確認したのであって,このこと自体は何ら違法な行為ではない。そして,原告提出の同日の会話の録音反訳(甲19)によれば,被告の懲戒委員会は,原告に対し,終始穏やかな口調で,上記言動に関する原告の言い分を聴取しており,原告を一方的に非難したり,原告に対する処分を決めつけたりするようなことは一切していないことからすれば,被告の懲戒委員会による原告に対する面接が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であるとはいえない。
したがって,本件パワハラ行為16に係る原告の主張は採用することができない。
チ 本件パワハラ行為17について
本件パワハラ行為17は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為17が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為17に係る原告の主張は採用することができない。
ツ 本件パワハラ行為18について
証拠(甲23)によれば,被告では,令和元年7月9日及び翌10日にナショナル・セールス・ミーティング東京&ディナーという会議及び食事会が開催されたところ,原告は事前に同会議へ参加するよう依頼を受けていたが,同会議への参加者リストに原告の名前が記載されていなかったことが認められる。この点,被告は,事務の手違いで当初原告の席名が用意されていなかったものの,当日には,原告の席や食事が用意され,原告は食事会に参加している旨主張している。証拠上,被告が,故意に原告を排除する目的で,上記会議の参加者リストに原告の名前を記載しなかったとまでは認められないことからすれば,本件パワハラ行為18が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為18に係る原告の主張は採用することができない。
テ 本件パワハラ行為19について
本件パワハラ行為19は,本件パワハラ行為9と同様に,被告で実施されているアワード&レコグニションにおいて,原告が表彰されなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,前記ケで判示したことを踏まえると,本件パワハラ行為19についても,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為19に係る原告の主張は採用することができない。
ト 本件パワハラ行為20について
本件パワハラ行為20は,本件配転命令が違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,前判示のとおり,本件配転命令は被告の業務上の必要性から行われたものであり,不当な動機又は目的によって行われたものではないから,違法なものとはいえない。
したがって,本件パワハラ行為20は,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできないから,本件パワハラ行為20に係る原告の主張は採用することができない。
ナ 本件パワハラ行為21について
本件パワハラ行為21は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為21が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為21に係る原告の主張は採用することができない。
ニ 本件パワハラ行為22について
本件パワハラ行為22は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為22が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為22に係る原告の主張は採用することができない。
ヌ 本件パワハラ行為23について
本件パワハラ行為23は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為23が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為23に係る原告の主張は採用することができない。
ネ 本件パワハラ行為24について
本件パワハラ行為24は,本件パワハラ行為14と同様に,被告で実施された会議に原告を出席させなかったことを違法なパワーハラスメントであると主張するものであるが,原告が主張する会議が,その目的及び業務上の必要性から原告が参加すべきものであったと認めるに足りる証拠はないから,本件パワハラ行為24が,社会的相当性を逸脱した違法な行為であると認めることはできない。
したがって,本件パワハラ行為24に係る原告の主張は採用することができない。
ノ その他
原告は,被告は,原告がe社に関する架空発注について情報提供したことから,原告に対し,本件ポジションクローズに基づく本件退職勧奨を行い,原告をマーケティング業務から排除することを決定し,雇用上の不利益を加えた旨主張し,これが不法行為ないし債務不履行である旨主張するが,本件ポジションクローズに基づく本件退職勧奨は,前記コのとおり何ら違法なものではないし,被告が,e社に関する架空発注について情報提供したことを理由として,原告に対し雇用上の不利益を加えたことを認めるに足りる証拠はない。
(2) 小括
以上の検討によれば,原告が主張するパワーハラスメント等は,いずれも,当該事実が認められないか,あるいは,事実自体が認められるとしても,原告が主張する行為が違法な行為ないし被告の債務不履行であるとは認められないから,被告は,原告に対し,不法行為(709条,715条)又は債務不履行に基づく損害賠償義務を負わない。
4 結論
以上によれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,請求の趣旨第1項に係る訴えは不適法であるからこれを却下し,原告のその余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第19部
(裁判官 天田愛美)
〈以下省略〉
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