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裁判年月日 平成12年10月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平6(ワ)22222号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2000WLJPCA10270008
要旨
◆平和団体(ピースボート)の主催したクルーズに関する週刊誌の記事及びその広告について、内容が真実であるか、真実であると信じたことに相当の理由があり、論評としても正当なものであるとして、同団体の構成員に対する名誉毀損による不法行為が成立しないとされた事例
出典
新日本法規提供
参照条文
民法709条
民法710条
民法715条
裁判年月日 平成12年10月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平6(ワ)22222号
事件名 損害賠償等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2000WLJPCA10270008
原告 A 〈外一四名〉
右一五名訴訟代理人弁護士 木村晋介
同 内田雅敏
同 矢花公平
同 伊藤芳朗
同 森川文人
被告 株式会社文藝春秋
右代表者代表取締役 白石勝
被告 設楽敦生
同 浦谷隆平
同 鈴木洋嗣
同 片瀬裕
同 本多孝子
右六名訴訟代理人弁護士 古賀正義
同 吉川精一
同 喜田村洋一
同 小野晶子
同 二関辰郎
同 鈴木五十三
古賀正義訴訟復代理人弁護士 古島ひろみ
同 石橋達成
主 文
一 原告らの請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 被告らは、連帯して、原告ら各自に対し、それぞれ二〇八万一二五〇円及び内各二〇〇万円に対する被告本多孝子については平成六年一二月一四日から、その余の被告ら五名については同月一三日からそれぞれ支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 被告らは、原告らに対し、各自、別紙一の謝罪広告を、被告株式会社文藝春秋については日刊新聞朝日新聞、同読売新聞及び同毎日新聞各紙の全国版朝刊並びに同被告発行の週刊文春に、その余の被告ら五名については右新聞各紙の全国版朝刊に、別紙二記載の条件で一回掲載せよ。
第二 事案の概要
本件は、原告らが、被告株式会社文藝春秋(以下「被告文藝春秋」という。)が被告本多孝子(以下「被告本多」という。)の働きかけを受けて、その発行する週刊誌「週刊文春」一九九四年一〇月二〇日号に掲載した別紙三記載の記事(以下「本件記事」という。)及び同記事に関する広告によって名誉を毀損されたと主張して、被告文藝春秋、同本多、「週刊文春」の編集長である被告設楽敦生(以下「被告設楽」という。)、本件記事の取材等を担当した被告浦谷隆平(以下「被告浦谷」という。)、同鈴木洋嗣(以下「被告鈴木」という。)及び同片瀬裕(以下「被告片瀬」という。)に対し、不法行為に基づき損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた事案である。
一 争いのない事実等(括弧内に掲記した証拠等によって認められる事実のほか、当事者間に争いがない事実である。)
1 当事者等
(一) 原告らは、「ピースボート一〇周年クルーズ主催者会規約」と題する書面(以下「本件規約」という。)による契約を締結し、第一六回ピースボート主催者団と称する団体を結成した六八名(以下、右団体を「ピースボート主催者団」といい、構成員を「主催者」という。)のうちの一五名であり、後記2のクルーズ(以下「本件クルーズ」という。)を企画し、これに出資し、労力を提供した者である。
ピースボートとは、年齢、性別、国籍、職業などを問わず自主的に集まった人々(主として学生が中心)により、昭和五八年、「過去の戦争を見つめ未来の平和をつくる」「みんなが主役で船を出す」というスローガンの下、小笠原、グアム、サイパン等へのクルーズを企画・実行し、その後も毎年、アジア諸国などへのクルーズを企画し、諸国の人々との交流を深める平和運動を行っている法人格のない非営利団体であり、同年から平成五年までに一五回のクルーズを企画・実行し、延べ数千名が参加した。クルーズの主催者団は、各クルーズごとに、一般公募によりその都度組織され、その活動を終えると解散しているが、これとは別に数名ないし十数名で構成されるピースボートの事務局(以下「ピースボート事務局」という。)が平成四年ころから継続的に設置・維持されている(右事務局の責任者は、事務局主催者と呼ばれる。)。原告A(以下「原告A」という。)、同B(以下「原告B」という。)及び同Cは、昭和五八年の第一回クルーズからその企画・実行に携わっている。
(甲二、五一、五六の一、甲五八、五九、七〇、八四、九三、一一二、一一六、乙八、原告D、同A、同B)
(二) 被告文藝春秋は、雑誌の発行等を業とする株式会社であり、週刊誌「週刊文春」を発行している。
被告設楽は、平成六年一〇月当時、「週刊文春」の編集長であり、被告浦谷、同鈴木及び同片瀬は、いずれも被告文藝春秋の社員又は契約記者として本件記事の取材等を担当した。
被告本多(平成六年一〇月当時六八歳)は、本件クルーズに参加した者である。
2 本件クルーズ
ピースボートの企画により、平成六年(以下、年の記載を省略する場合は同年を指す。)六月九日から八月三一日にかけて、ゴールデン・オデッセイ号という客船(以下「本件客船」という。)に乗船して世界を一周する「第一六回ピースボー卜 夏休み地球一周の船旅」と名付けられた旅行が実施された。
3 本件記事の掲載
被告文藝春秋は、平成六年一〇月一三日発売の「週刊文春」一九九四年一〇月二〇日号(以下「本件週刊誌」という。)に、別紙四の本件記事部分一覧表1ないし15記載の各部分を含む本件記事を掲載した(以下、同一覧表に記載された記事部分を記載の順に「本件記事部分1」、「本件記事部分2」等といい、これらを一括して「本件各記事部分」という。)。
4 本件記事に関する広告
被告文藝春秋は、平成六年一〇月一三日ころ、本件週刊誌について、「『サンマがご馳走か』地球一周豪華クルーズ(ピースボート)にケチ」との内容で新聞広告及び車内吊り広告を行った(以下「本件広告」という。)。
(甲八六の一、二、弁論の全趣旨)
二 争点
1 本件記事の掲載及び本件広告による不法行為の成否
(一) 本件記事の掲載及び本件広告は、原告らの社会的評価を低下させるものか。
(二) 本件記事の掲載及び本件広告について、被告らに違法性又は故意・過失がないといえるか。
2 原告らが被った損害の有無及びその額
三 争点に関する当事者の主張
1 争点1の(一)について
(原告らの主張)
(一) 原告らとピースボートとの関係
(1) 本件記事は、原告B以外の原告らの氏名を明記していないが、後記(二)及び(三)のとおりピースボートの社会的評価を低下させるものであるから、次の理由により、結局、原告らそれぞれの名誉を毀損している。
すなわち、原告らは、いずれも、ピースボートの主催者として、日頃からピースボートの名においてピースボートとしての活動をしており、別紙五の「周囲から社会的にピースボートの責任者であると認識されている事情」欄及び「本件クルーズにおいて責任者として認識されていた事情」欄記載のとおり、周囲の不特定多数の者からピースボートの責任者(主催者)であると認識されていた。
原告らのこのような活動実態によれば、「ピースボート」という表示は、原告ら又は原告らを含むピースボート主催者団を指し示すものとして用いられている社会的実態があり、ピースボートの活動をしている原告ら又はピースボート主催者団の総称であるから、原告らは、それぞれ「ピースボートことA」、「ピースボートことB」などの名義を用いて活動しているというべきであり、原告らそれぞれがいずれも「ピースボート」である。
(2) ピースボートは、昭和五八年以来連綿と続けられている平和運動であるとともに、各年度の個別の船旅のことをいうのであり、社会的事実としての団体であることは明らかである。その構成員である原告らは、本件記事の掲載によって、後記3(一)記載のとおり精神的苦痛を受けた。
ピースボートに当事者能力があるとすれば、ピースボートが直接に構成員の受けた精神的苦痛に関して損害賠償を請求し得るが、ピースボートは、代表を置かず、各構成員がいずれも対等に主催者となって共同責任を負い、民主的な組織運営を行っている団体であるため、権利能力なき社団にも該当しないから、訴訟上の当事者となることは困難である。したがって、原告らは、法的な保護を受けなければならず、直接に精神的苦痛の慰謝料を請求し得るというべきである。
(二) 本件各記事部分の名誉毀損性
本件各記事部分は、次のとおり、原告ら又はピースボートの社会的評価を低下させる事実を摘示している。
(1) 本件記事部分1について
本件記事部分1は、ピースボートが本件クルーズを豪華な世界一周旅行であると強調して宣伝していたとの事実、他に選択肢のない最高の食事としてサンマという大衆魚が提供されるような極めてサービスのレベルが低いクルーズであったとの事実、ピースボートの企画した本件クルーズにおいて乗客から極めて多くのクレーム、不満が頻出し、混乱続きであったとの事実を摘示するものである。
(2) 本件記事部分2について
本件記事部分2は、原告Bの顔写真が掲載されていること及び他の本件各記事部分と相まって、原告Bが、本件クルーズにおいて低劣なサービスを提供し、また、乗客の大半からクレームが頻出したことの責任者であるとの事実を摘示するものであり、特に原告Bの名誉を毀損した。
(3) 本件記事部分3について
本件記事部分3は、食事の際デッキに乗客の行列ができたことが、他の同種クルーズとは異なる本件クルーズ特有のものであって、難民船のようであったとの事実を摘示するものである。
(4) 本件記事部分4について
本件記事部分4は、食費が一日当たり五・五ドルという異例の低額であり、ツアー中に痩せてしまうほど低水準であったとの事実、本件クルーズの料金が一日当たり二万ないし三万円と高額であるのに「エサ」と評される程度の最低水準の食事が供されたとの事実を摘示するものである。
(5) 本件記事部分5について
本件記事部分5は、老齢の者が全く食べられないような夕食が供され、また、自分で対応するしかないほど貧しい食事であったとの事実を摘示するものである。
(6) 本件記事部分6について
本件記事部分6は、ディナーのメインディッシュとして大衆魚であるサンマのみが供されたとの事実を摘示するものである。
(7) 本件記事部分7について
本件記事部分7は、食事が低水準であり、また、娯楽が全く供されなかったとの事実を摘示するものである。
(8) 本件記事部分8について
本件記事部分8は、本件客船が当時既に老朽化したものであり、本件クルーズのような長期クルーズには耐えられないような劣悪な構造であったとの事実を摘示するものである。
(9) 本件記事部分9について
本件記事部分9は、太平洋横断中、給水が客船での平均的な日常生活に支障を来す程度に不足したとの事実を摘示するものである。
(10) 本件記事部分10について
本件記事部分10は、オプショナルツアーが事前の説明どおりに実施されなかったとの事実を摘示するものである。
(11) 本件記事部分11について
本件記事部分11のうち「この事件で、主催者側と一部の乗客との間が決定的に対立し、険悪な空気となったという。」までの部分(以下「前段部分」という。)は、本件クルーズの参加者である恵川美代子(以下「恵川」という。)からの伝聞内容を紹介することによって、オプショナルツアーであるパレスチナスペシャルツアー(以下「パレスチナツアー」という。)等でいわゆるダブル・ブッキングがあったとの事実を摘示し、「ダブル・ブッキングはこれだけじゃない。」から後の部分(以下「後段部分」という。)は、同様に恵川の話を紹介することによって、カリブ海クルーズでダブル・ブッキングがあったこと及び乗船者の犠牲において主催者又はスタッフに便宜を図ったとの事実を摘示し、いずれも本件クルーズの企画に重大な暇疵があったかのような印象を与えるものである。
(12) 本件記事部分12について
本件記事部分12は、本件クルーズが自治体の実施する「青年の船」などと同じ形態であることについて一般読者が知らないことを前提に、旅行業者の発言を引用する形で、本件クルーズのみが旅行業法の問題点等を含むものであったとの事実を摘示するものである。
また、本件記事中の「にわかには信じ難いのだが、四百五十名が乗る豪華客船(?)には、『添乗員』は乗っていなかった。」という部分は、多人数の客が乗るクルーズには必ず添乗員が乗っているという前提で、本件クルーズに添乗員が乗っていなかったことが極めて異常であるとの事実を摘示するものである。
(13) 本件記事部分13について
本件記事部分13は、社団法人日本旅行業協会(以下「JATA」という。)の梅沢功事務局次長(以下「梅沢」という。)の発言を引用する形で、本件クルーズのパンフレットが旅行業法違反などの問題を有し、運輸省からJATAに指示が来ており、利用者に対する詐欺の問題があったかのような事実を摘示するものである。
(14) 本件記事部分14について
本件記事部分14は、ツアーの先遣隊になることが優遇的な措置であるかのような誤った認識を読者に与えることにより、主催者になる主たる動機が個人的利益の追求にあるとの事実を摘示するものである。
(15) 本件記事部分15について
本件記事部分15は、前段において、拡大したピースボート事務局の体制を経済的に維持するために、ピースボートのテーマ性やカジュアル性を理解していない者を対象として無理に募集し、本件クルーズに大量に参加させたとの虚偽の事実を摘示し、後段において、あたかも本件クルーズで一般的にトラブルが発生していたかのような事実を摘示し、又はクレームとトラブルが多発したクルーズであったかのような一方的な評価を述べるものである。
(三) 本件記事全体の名誉毀損性
(1) 本件記事は、全体の文脈から総合的に判断すれば、次の特徴を指摘できる。
ア 本件記事部分1や「主催者と乗客の間が険悪に」、「全ての乗客がボランティア」、「呉越同舟がトラブルの原因」という各小見出しの誇張的・否定的表現は、本件クルーズにおいて、ピースボート側の不適切な運営により、他の一般的な長期クルーズにはないような多くのクレームがあったとの認識を一般読者に与える。
イ 右の誇張的・否定的表現は、本件記事全体を埋め尽くしている本件クルーズに関する否定的な情報・表現と一体をなし、本件クルーズ全体を総括するために用いられている。
ウ 「豪華クルーズにケチ」「世界一周のような豪華クルーズ」(いずれも本件記事部分1)、「夢の豪華クルーズ出航」などの表現は、本件クルーズがカジュアルなものであるのに、乗客募集のために宣伝時に豪華・優雅を目玉とし強調していたとの印象を一般読者に与える。
エ 本件記事部分14や「呉越同舟」という小見出しは、本件クルーズの持つカジュアル性やテーマ性などを乗客に十分伝えないで募集が行われたとの印象を一般読者に強く与える。
(2) 右の特徴を前提とすると、本件記事は、〈1〉これにちりばめられた多くの苦情について、それぞれその原因となる否定的事実が存在し、かつ、それらの事実が本件クルーズにおいて偶発的・例外的・局部的に生じたのではなく、「クレームがつかないのが当たり前、ところがケチがつくわつくわ」と表現できるほどに多く、日常的に頻繁に生じたとの事実、〈2〉各苦情が、乗客のごく一部だけからあったのではなく、他の同種クルーズに比し特段に多くの乗客からあったとの事実、〈3〉各苦情の原因が本件クルーズのテーマ性などを理解しない乗客を参加させたピースボート側の不適切な運営方法にあるとの事実を摘示しているというべきである。
(四) 本件広告
被告文藝春秋は、本件週刊誌について、別紙六の本件広告の方法記載のとおりの新聞広告及び車内吊り広告を行った。本件広告は、これ自体、本件クルーズが極めて低質のものであるとの誤解を見る者に与え、本件記事が掲載されている本件週刊誌の購読を誘引するものであって、本件記事と一体として原告らの名誉を毀損した。
(五) 被告らの責任
(1) 被告本多は、原告らが本件クルーズの前に行った説明会などで再三説明した「過去の戦争を見つめ未来の平和をつくる」「みんなが主役で船を出す」というピースボートの趣旨や世界各国の現地の人々と交流を深めるという目的を承知しながら、本件クルーズを一般のいわゆる豪華世界一周旅行と比較し、豪華ではなかったとの不満を持ち、ピースボートを誹謗中傷する目的で、九月ころ、知人の元兵庫県警本部長を介して、被告文藝春秋に対しピースボートの本件クルーズに関する誹謗中傷記事を掲載するよう要請した。
また、被告本多は、原告ら又はピースボートを誹謗中傷する意図をもって、本件クルーズの参加者である恵川等に対し、被告文藝春秋の取材に応じて誹謗中傷する事実を伝えるよう要請し、自らも、被告文藝春秋の記者の取材に積極的に応じて、本件クルーズに対する誹謗中傷を述べた。
被告本多は、右各行為により、本件記事が掲載される契機を与えたばかりでなく、本件記事部分4に関与し、被告文藝春秋の本件記事作成に協力した。
(2) 被告文藝春秋は、被告本多の働きかけに呼応し、被告設楽、同浦谷、同鈴木及び同片瀬が作成した原告ら又はピースボートの名誉を毀損する本件記事を掲載した。
(被告らの主張)
(一) 本件記事は、原告B以外の原告らの氏名を全く記載しておらず、原告Bについても、その顔写真の説明として「ピースボート代表」と記載しているのみであって本文中では全く触れていない。
ピースボートの活動を担っているのが原告らであるということが社会一般に知られているとはいえないから、一般読者は、本件記事が原告らに関する報道であると理解することはない。換言すれば、一般読者は、本件記事を読んでピースボートという団体について何らかの意見を形成することはあっても、自然人である原告らに関して何らかの意見を形成することはない。
したがって、本件記事及び本件広告が原告らの社会的評価を低下させることはない。
(二) 仮に、原告らが本件記事及び本件広告により精神的苦痛を受けたとしても、本件記事及び本件広告により社会的評価が低下した主体がピースボートであるのであれば、不法行為に基づく精神的損害に対する賠償を請求できる者は、その不法行為を受けた者であって、その例外は、死亡した者の父母、配偶者及び子のみであるから(民法七一一条)、原告らに対して法的な保護が与えられることはない。
(三) 原告Bを「ピースボート代表」と紹介することは、その名誉を毀損するものではないから、本件記事部分2が原告Bの社会的評価を低下させることはあり得ない。
原告Bは、他の新聞・雑誌等においても、繰り返し「ピースボート代表」として紹介されている。被告文藝春秋は、他の新聞、雑誌の例にならって、原告Bをピースボート代表と表示し、団体についての記事の通例に従い、代表者である同原告の写真を掲載したにすぎない。
(四) 被告本多がピースボートを誹謗中傷する目的を有していたとの事実、元兵庫県警本部長に仲介を頼んだとの事実、恵川等に対し被告文藝春秋の取材に応じてピースボートを誹謗中傷する事実を伝えるよう要請したとの事実は、いずれも否認する。
2 争点1の(二)について
(被告らの主張)
本件記事の掲載及び本件広告は、以下の理由により違法性又は故意・過失がないから、不法行為は成立しない。
(一) 本件記事及び本件広告は、ピースボートが企画した地球一周豪華クルーズの実態を紹介し、これが旅行業法に照らして問題がないかどうかを検討し、さらに、このような問題が生じた原因を探求したものであり、これが社会の多数の人々に関連する公共的な性格を有する事実であることは明らかであって、公共の利害に関するものである。
(二) 被告文藝春秋は、右のような性格を有する本件クルーズの実態を広く報じ、その問題点を探ることが公共の利益にかなうものであると考え、その社員又は契約記者にこの問題を調査させ、本件記事を執筆し公表した。
被告本多は、自らの体験に照らし、ピースボートが企画する旅行の情報が広く社会に流布すれば、一般人もピースボート企画の旅行への参加を検討するに当たって参考となり好ましいことであると考えて、被告文藝春秋の取材に応じた。
被告らのこのような目的は、もっぱら公益を図るものというべきである。
(三) 本件各記事部分及び本件広告は、次のとおり、いずれも真実を摘示したものであり、又は正当な評価である。
(1) 本件記事部分1及び本件広告について
ピースボートは、本件クルーズの宣伝の際、本件客船を「4つ星クラスの世界的にも定評のある外航客船」、「豪華外航客船」などと称し、また、本件客船を用いた本件クルーズについて、「白亜の女王とも称すべき容姿、格調の高さをうかがわせる設備、そして超一流のサービスは、名実ともに地球一周にふさわしいものといえるでしよう」、「毎日続くゴージャスなイベント、食事」、「世界でもトップランクのクルーによるサービス」などと謳っていた。
被告本多を含む本件クルーズの参加者の大部分は、このようなピースボートの宣伝に誘われ、豪華客船による世界一周旅行を楽しもうとして参加した。
旅行業界では、世界周遊のクルーズはクレームが出ないのが当たり前であると捉えていること、しかし本件クルーズの参加者から不満が続出したことは、いずれも真実である。
サンマが供されたことは後記(6) 記載のとおりであり、「サンマがご馳走か!」という見出しは、本件クルーズの問題点を一言でえぐる優れたものである。本件クルーズのパンフレットには「動く高級ホテル」「ヨーロッパ一流レストランの食事」などと謳われていたにもかかわらず、本件クルーズの食費は、一日一人当たりわずか五・五ドルにすぎず、食事のまずさが乗客の不満の最たるものの一つであった。
(2) 本件記事部分2について
前記1(三)記載のとおりである。
(3) 本件記事部分3について
朝食の和食デッキに乗客の列ができたことは、真実である。
レストランの食事があまりにもまずいために乗客がビュッフェに殺到し、また、料理を置いたテーブルが一つだけであったから、料理を取る乗客の行列がプールの周りを一周半するほどになり、順番が来るまで数十分もかかるという状況であった。
乗客の中には、前記(1) 記載のピースボートの宣伝を信じ、高い費用を払って参加した者が多数おり、このような乗客が右のような毎朝の状況に我慢できなかったことは十分に理由があるから、「難民船みたい」という乗客の評価を紹介した本件記事部分3は、何ら問題がない。
(4) 本件記事部分4について
食事は本件記事部分4のとおりであり、同部分で摘示した事実は、真実である。
乗客一人分の食費が一日当たり五・五ドルであったことは真実であるが、仮に原告ら主張のように八・九ドルであったとしても、クルーズにおける食費としては最低のレベルである。
(5) 本件記事部分5について
本件記事部分5のような趣旨の話をしていた乗客は実在する。また、ここで紹介した女性と同様の船上生活を送った者は、他にも大勢いた。
(6) 本件記事部分6について
サンマは、「フォーマルウェア着用」と指定された八月一日の夕食に供された。食事は船旅の大きな楽しみの一つであり、乗客は、フォーマルウェア着用と指定されて正装で臨むのであるから、ご馳走を期待するのが当然である。
(7) 本件記事部分7について
実際にこれといった娯楽がなかったのであり、特に年配の乗客にとっては辛い毎日であった。
本件クルーズにおいて行われた娯楽は、素人による学芸会風のものが大部分であって、宣伝のパンフレットに記載されていた「毎日続くゴージャスなイベント」は全くなかった。また、パンフレットに記載されていたカジノは、実際にはなかった。
(8) 本件記事部分8について
本件客船の揺れが結構激しかったこと、水濡れして服が濡れてしまった部屋やトイレの下水が逆流して糞尿が飛び出した部屋があったことは真実であり、本件客船の設備ないし補修に問題があったとしか考えられない。
本件客船は、本件クルーズ以外には世界一周に用いられたことがなく、その造水能力に照らしても、世界一周を行う能力はない。また、本件客船は、四つ星の評価を受けていたが、これは一〇段階評価の上から四番目であって豪華客船ではなく、大衆向けのものである。
また、昭和六二年や平成二年に行われた本件客船の改修工事は、小規模なものであり、効果的ではなかった。
したがって、本件客船が老朽化していると表現した本件記事部分8は、何ら問題がない。
(9) 本件記事部分9について
世界一周に必要な造水能力が本件客船に備わっていなかったため、特にハワイに向かうころに水が不足し、クリーニングができず、タオルやシャワーの使用を節約せざるを得ず、サウナにはバスタオルもないという状況になった。本件記事部分9は、このような状況を表現したものであって、何ら問題がない。
(10) 本件記事部分10について
本件記事部分10に記載されている事態が発生したことは真実である。
オプショナルツアーのガイドブックには、「ベトナム経済のいまを知るコース」というオプショナルツアー(以下「ベトナムツアー」という。)の内容として、「活気とモノがあふれる市場や、合弁企業などを見学したあと、現地ビジネスマンとの交流会で『躍進するベトナム』のホントをざっくばらんに話し合います。」と記載されていたにもかかわらず、実際には、工場見学の際に工場長による説明があっただけであり、ベトナム経済人との交流はなかった。
(11) 本件記事部分11について
本件記事部分11に記載されている事態が発生したことは次のとおり真実であり、このような事態について「ダブル・ブッキング」と評価することは相当である。
ア 前段部分について
パレスチナ・イスラエルスペシャルコースの中の「パレスチナA 歴史の原点を訪れる大満喫ツアー」というオプショナルツアー(パレスチナツアー)に参加した乗客は、参加しない乗客と同様に世界一周旅行八四日分の代金を支払っていたから、右ツアーに参加している間も、当然に荷物を船室内に置いておく権利があったが、ピースボート側からパレスチナツアーの参加中は船室を使用することができないと言われ、他の乗客にその船室を使用させるため、相当量の荷物を船室から別の場所へ移動しなければならない事態になった。
オプショナルツアーの参加者が参加中はその船室を使用することができないのであれば、一般的なクルーズとは異なるのであるから、事前に参加者に説明すべきであるが、実際には、参加者が説明を受けたのは早くとも右ツアーの出発日の二日前であった。
イ 後段部分について
本件記事部分11の後段部分において摘示した事実も真実であり、もしスタッフが任意に下船しなければ、ダブル・ブッキングになったものである。ピースボートは、そのような事態を避けるために、スタッフに対し、法外に安い価格でペルーへの旅行(以下「ペルーツアー」という。)に行けるよう便宜を図った。
(12) 本件記事部分12について
本件記事部分12は、本件クルーズの勧誘等が行われた際にピースボートの名称のみが宣伝され、旅行の主催会社であったアムネット株式会社(以下「アムネット」という。)や手配会社であった株式会社ピース・イン・ツアー(以下「ピース・イン・ツアー」という。)の名称がほとんど明らかにされず、参加者の大部分がピースボートと旅行契約を締結したと思っていたという事態を批判したものである。
右のような事態が生じた原因は、本件クルーズのパンフレットにアムネットの表示がなく、極めて小さな活字で「お申し込みはピース・イン・ツアー」と記載されているだけであったことにある。主催旅行会社の名称の記載のないパンフレットを作成・頒布することは、その当時も旅行業法違反であった。
また、前記(1) 記載のようなパンフレットは、誇大広告を禁止する旅行業法一二条の八に違反している上、前記(7) のように実際には行われないカジノをパンフレットに記載したことは、不当表示であり問題である。
本件クルーズの計画や参加者の募集は、すべてピースボートが行ったものであり、主催会社であるアムネットは、特に旅程管理を行ったわけでもなく、名義を貸した程度にとどまる。
アムネットは、一二月、運輸省から本件クルーズに関して警告を受け、平成七年一二月二七日に旅行業者としての登録を抹消されており、また、ピース・イン・ツアーも同時に登録を抹消された。
以上のとおり、本件記事部分12の前提事実は真実であり、表明した意見は合理的である。
(13) 本件記事部分13について
パンフレットに旅行業法上問題があったことは前記(12)のとおりであり、梅沢が本件記事部分13に引用した趣旨の発言をしたことは真実である。
(14) 本件記事部分14について
主催者に様々な特典があったことは真実である。
主催者は、その出資額に応じて旅行代金の割引がある上、専従スタッフになれば更に割引があり、出港から帰港まで専従スタッフを務めれば代金が無料となるという特典があった。また、専従スタッフは、月額一八万ないし二〇万円の給料を得ていた。
ツアーの先遣隊は、その旅費や調査費用の半額を負担していたが、本件クルーズが黒字になればその負担部分も補われるから、その費用は、最終的に参加者の負担となる。本件クルーズのオプショナルツアーに対しては、先遣隊による調査が極めて不十分であったために乗客から様々な不満が出たことを考えると、先遣隊の調査は、若い者が旅先で楽しく気ままに行う仕事であったという印象が拭えない。
以上のような状況について「様々な特典がある」と表現することは、相当な論評の範囲内である。
(15) 本件記事部分15について
本件クルーズにおいては、一般的にトラブルが生じていたから、本件記事部分15は問題がない。
(四) 被告鈴木ら被告文藝春秋の記者は、本件記事に関し、この種の記事では取材対象の数は自ずから限定されるにもかかわらず、被告本多、関口雅之、足立正義ら合計十数名の乗客に接触して取材したほか、JATAの梅沢事務局次長やアムネットの近藤実(以下「近藤」という。)らにも取材したものであり、ジャーナリズムに要求される通常の水準を下回るものとはいえず、また、取材した乗客の供述の信憑性も高かったから、本件記事で摘示した事実が真実であると信じたことについて相当の理由がある。
(原告らの主張)
(一) 本件各記事部分及び本件広告において摘示された事実は、次のとおり、いずれも真実ではない。
(1) 本件記事部分1及び本件広告について
ア ピースボートは、国連改革や地球環境問題を考えるなどテーマ性を持ったカジュアルなクルーズであって、事前にピースボートのこのような性格を参加者に十分に告げていたものであり、豪華さを強調したことはない。
特に、ピースボートは、被告本多が参加した神戸での説明会において、観光地であるハワイにおいても先住民を訪ねるという独自のテーマ性を持つオプショナルツアーの企画を説明し、被告本多は、右説明会の趣旨を理解していた。
イ 本件クルーズで提供されたサービスや企画は、旅行代金が極めて低額であるにもかかわらず、他の世界一周等のクルーズに比し、圧倒的多数の乗客を満足させるに足りる高水準なものであった。サンマが夕食に供された日のメニューも、後記(6) 記載のとおりであり、決して食事の質が低かったものではない。
ウ 本件クルーズに関して多少の不満の声があったとしても、一般に、世界一周クルーズのような長期クルーズにおいてはある程度の不満が出てくるのが常識であり、特段指摘されるべきことではない。
(2) 本件記事部分2について
ピースボートは、代表制を採らない組織であり、原告Bがピースボートの代表であると自称したこともない。また、原告Bが本件記事において摘示されている事実の責任を負うことがないのは明らかである。
(3) 本件記事部分3について
客船クルーズにおいては、ビュッフェ形式の食事で行列ができることは常態であって何ら稀なことではないから、本件クルーズで行列ができたことを「難民船」と形容してサービスが著しく悪いかのごとく指摘することは、誤りである。
(4) 本件記事部分4について
本件クルーズにおける食事は、他の船と比較しても十分に水準を満たすものであったから、「エサ」という乗客の声のみを取り上げることは、真実に反する。また、「一日あたり二~三万円もとりながら」という部分は、本件クルーズの代金の最多価格帯が一日当たり一万八〇〇〇円である事実に反する。
また、本件クルーズにおける乗客一人分の食費は、一日当たり八・九ドルであり、クルーズとしては標準を上回るものであって、十分に高い水準の食事が提供できた。
本件クルーズの食事に関して多少の不満の声があったとしても、一般に長期クルーズではある程度の不満が出ることが常識であることは、前記(1) ウのとおりである。
(5) 本件記事部分5について
本件記事部分5の発言を行った松本賢治(以下「松本」という。)は、被告文藝春秋の記者に対し、母親がある時期に怪我をしていたため部屋にいることが多かったこと、それ以外の時期には食事に出ることも多かったこと等の楽しい体験を述べていた。したがって、本件記事部分5は、松本の発言の一部のみを誇張し、意図的に読者を誤解させるものであり、真実に反する。
(6) 本件記事部分6について
サンマが供された日がフォーマルウェア着用とされたのは、夕食後にウェルカムパーティーが予定されていたためである。また、その日の夕食は、他の日と同様に、サンマをメインとする和食コースと洋食コースとが選択できるものであった。和食コースは、サンマのほか、おすまし、酢の物、ごま和え、煮物、おひたし、ご飯、白玉小豆が供されたのであり、圧倒的多数の乗客は、和食を選択し、喜んでいた。
(7) 本件記事部分7について
食事がまずいとの指摘が真実ではないことは、前記のとおりである。
娯楽は、ピースボートのスタッフの努力により、社交ダンス、将棋大会、切り絵教室、絵手紙講座、ワインテイスティング、フラダンス、星空上映会、仮装パーティーなどの様々な娯楽的企画が催されていた上、映画が常時上映されていた。したがって、「娯楽が何もない」という指摘は、明らかに誤りである。
(8) 本件記事部分8について
本件客船は、昭和四九年に建造されたものであるが、その後、大規模な改装を含めて合計三回の改装が行われており、また、二年に一回の定期点検・改修、保険会社ロイズによる一年に一回の検査、米国の沿岸警備隊による六か月に一回の厳重な検査、三か月に一回の衛生面の検査なども行われている。建造年度と老朽化とは関係がない。
本件客船は、本件クルーズが行われる直前においても、高水準の客船として紹介され、平成六年当時の客船のガイドブックでも、メンテナンスが極めて良好であると評価されていた。
これらの事実に照らすと、本件客船が老朽化していたとの点は、真実に反することが明らかである。
(9) 本件記事部分9について
乗客に対し節水を呼びかけたにとどまり、水が全くなくなってしまったということは、当然ながら一度もない。そして、節水を呼びかけることは、太平洋を横断するような長い航路では通常のことであり、本件記事部分9において摘示された事実が真実に反することは明らかである。
(10) 本件記事部分10について
ベトナムツアーは、ガイドブックに紹介したとおり、「躍進するベトナムのホントをざっくばらんに話し合う」ことが目的であって、経済人との交流が予定されていたものではなく、実際にも、工場を見学した後、工場責任者と懇談する機会が設けられ、右ツアーは、その目的のとおりに実施された。したがって、本件記事部分10の指摘は誤りである。
(11) 本件記事部分11について
ア 前段部分について
パレスチナツアーは、その参加者が、エジプトのポートサイドでいったん本件客船を離れ、本件客船が本来の世界一周の旅を続ける間、これとは別の陸路の旅をし、ポルトガルのリスボンで再び本件客船に合流するというオプショナルツアーであった。したがって、参加者は、いったん本件客船からチェックアウトし、正式にイスラエルへの入国手続を行い、再びポルトガルで本件客船にチェックインせざるを得なかった。
そして、チェックアウトに関し、原告Eは、エジプトの税関当局から、「船で出国しない者の荷物を船室内に残すことは認められない」との指示を受けたため、ピースボートは、現地の旅行社の提案に従い、パレスチナツアーの参加者の荷物を船室外に搬出してまとめておく取扱いをせざるを得なかった。
したがって、参加者の船室は、やむを得ず空室となったものであるから、これを他の乗客に使用させたことは、何らダブル・ブッキングに当たらない。
また、本件客船から離脱してパレスチナツアーに参加した者の本件クルーズ代金を、離脱しなかった者の代金と同額にした理由は、パレスチナツアー参加の前後を二分して代金を機械的に算出すると、かえってパレスチナツアーに参加しない場合よりも高くなるためであり、パレスチナツアーの代金を原価よりも低く設定したことをも併せて考えれば、代金を二重に取ったといえないことは明らかである。
イ 後段部分について
本件記事部分11の後段部分については、同一区間の同一船室に二組以上の乗船予約を受けていたわけではないから、ダブル・ブッキングでないことは明らかである。また、ピースボートのスタッフがペルーツアーに行くことになった背景には、カリブ海区間において本件客船への乗船を希望する者が多かったことから、希望者を乗船させるため、ピースボートがそのスタッフに対し、一時下船することを打診し、船室を空けてもらい、ペルーツアーに行ってもらったという事情がある。
したがって、ペルーツアーの参加費を五〇〇〇円としたことも、右のような背景事情を踏まえれば理由があることであり、決してスタッフに不当な便宜を図ったものではない。
(12) 本件記事部分12について
ア 本件クルーズは、次のとおり適正に実施されたものであり、ピースボートによる旅行業法違反の事実はなかった。
すなわち、本件クルーズの主催旅行社はアムネットであり、同社は、本件クルーズに関する計画の作成、参加者の募集を行い、参加者との間で標準旅行約款に基づき旅行契約を締結した。ピース・イン・ツアーは、旅行業法(当時)四条三項三号により一般旅行業者であるアムネットを代理して旅行業を営む者であり、本件クルーズの主催旅行業務全般について窓口となった。
ピースボート主催者団は、アムネットとの間で旅行契約を締結するとともに、同社の代理人であるピース・イン・ツアーとの間で、ピースボート主催者団が本件クルーズの参加者募集に協力し、宣伝し、船上等の企画を催し、オプショナルツアーを企画すること、ピース・イン・ツアーがピースボート主催者団に対して本件客船のチャーター料等の実費及び企画費を支払うこと、アムネットが保険会社との間で本件クルーズについての主催旅行保険契約を締結することなどを内容とする平成五年七月二一日付け契約を締結した。
本件クルーズの募集パンフレットには、主催旅行社としてアムネットが明記されている。
イ 本件クルーズにおいては、信義の問題、社会通念に対する違反行為もなかった。
第一に、旅行について、企画者と主催旅行社が別であることは一般的な形態であり、何の問題もない。
第二に、パンフレットにおける主催旅行社の記載について、当時の旅行業法は、その記載の有無のみを問題にしていたのであって、記載する文字の大きさ等については何ら規定がなかった。また、本件クルーズのパンフレットにおける主催旅行社の記載について、アムネットは、その発行前に運輸省当局と協議をし、その了解を得ていた。本件クルーズは、ピースボート主催者団の協力なくしては成立しなかったものであり、パンフレットで社会的によく知られているピースボートの名前を強調することは当然である。
ウ 仮に、「信義の問題、社会通念に対する違反行為だと思います」という部分が論評であるとしても、その前提となる重要な事実について重大な誤りがあるから、やはり違法である。
エ 本件クルーズのように世界一周を一つの船舶で行うクルーズの場合、船内でのサービスに支障がないような措置が採られている限り、添乗員が同行する必要はない。
(13) 本件記事部分13について
旅行業法違反の事実がないこと、特にパンフレットの記載に関して同法違反の事実がないことは、右(12)記載のとおりである。
また、梅沢が被告文藝春秋の記者に対してパンフレットがひどいと言った事実はなく、「運輸省からもこの件に関して指示が来ています」と言った事実もない。
(14) 本件記事部分14について
先遣隊の業務は、責任を持ってツアー企画を実施する上で必要な義務であり、決して特典と指摘されるようなものではない。
先遣隊は、例えば、入港手続を行う代理店との調整、バスや食事に関する手配、難民キャンプを訪問するため国連難民高等弁務官事務所への訪問と交渉など、きめ細かい配慮を要する地道な作業を中心に行っている。
また、先遣隊は、先遣のための旅費の半額又は全額を自己負担し、本件クルーズが赤字になればその補填がされないという厳しい条件のものであり、自覚のある主催者のみが先遣隊となり、その責任を負うのである。
(15) 本件記事部分15について
真実は次のとおりであり、本件記事部分15において摘示された事実又は前提としている事実は、虚偽である。
すなわち、平成五年八月ころ、新さくら丸による世界一周のピースボートの企画について、旅行会社が乗客を募集したところ、応募が殺到したから、ピースボートは、応募者の期待に応えるため、平成六年春に本件客船をチャーターし、改めて二隻の船による世界一周クルーズを企画した。ピースボートの事務体制や専従スタッフを増やさざるを得なかった原因は、応募者があまりに多かったことにある。
また、本件クルーズが国連改革や地球環境の問題を考える場を提供するテーマ性を持ったカジュアル性の強いクルーズであることは、参加者に対し、説明会や配付資料により事前に十分に告知されている。
(二) 本件記事全体において摘示された事実は、本件クルーズにおける食事、船内サービス、船体・船内設備、乗客の行動、オプショナルツアーの内容と料金及びパレスチナツアーに特有の否定的現象があることを前提としているが、これらの摘示事実が、根拠のない中傷であるか、サービスや設備上の欠陥とは関係のない偶発的なものであるか、仮にそうでないにしても、本件クルーズのごく一部に例外的・局部的に生じた現象であり、クルーズ全体を否定的に評価する根拠とするには著しく不当なものであることは明らかであり、したがって、本件記事全体としての事実摘示は、重要な点において事実に反し、その真実性の証明がない。
また、本件記事部分1や「主催者と乗客の間が険悪に」、「全ての乗客がボランテイア」、「呉越同舟がトラブルの原因」という各小見出しなどが、意見・論評に当たるとしても、その前提とする事実はいずれも第三者の伝聞に基づく事実であり、本件クルーズ特有の否定的現象として、同種のクルーズに比して全体的に特段に多く頻繁に生じたことをその重要な前提とするものであるが、これらの前提事実の重要な部分について真実であるとの証明はない。
(三) 本件記事及び本件広告において摘示された事実は、次のとおり、被告らがこれらを真実であると信ずべき相当の理由はなかった。
(1) 本件記事に関する取材は、本件クルーズに不満を持った者の名簿に基づいて行われ、本件クルーズに乗船した七一一名のうち、本件クルーズに悪意を持つ者を中心とする不満を持った十数名のみが対象とされたため、本件記事に記載されている乗船者の発言は、極めて少数の者の発言であり、それをあたかも全体の発言のように記している本件記事は、極めて不当である。
(2) 被告鈴木ら被告文藝春秋の記者は、本件クルーズに対する不満等の正当性、信憑性、客観性を確認すべきであったにもかかわらず、乗客等の話をそのまま信用し、何ら裏付け取材を行わなかった。
例えば、一人一日当たりの食費が五・五ドルであったとの話、水漏れがあり、下水の逆流で糞尿が飛び出した船室があったとの話、八月一日の夕食のメインディッシュがサンマであったとの話、本件客船が老朽化していたとの話、運輸省から本件クルーズに関してJATAに対し指示が来ているとの話等について、被告鈴木らは、信用できるものと勝手に判断し、それらの話の詳しい調査や背景事情の取材を全く行わなかった。
(3) 「週刊文春」編集部は、勝手に決めた原稿締切日に間に合わせるため、五日間という極めて短い取材期間を設定し、本件記事による批判の主たる対象であるピースボート主催者団への取材が極めて不十分なまま、本件記事の掲載を強行した。
すなわち、ピースボート主催者団の代理人であった木村晋介弁護士(以下「木村弁護士」という。)は、被告文藝春秋側からの取材要請に対し、一〇月九日午前零時一九分、パレスチナツアーに関するクレームに何ら根拠がないことを証拠を添付した上説明し、その他のクレームにも根拠がないことを指摘しつつ、クレームの内容をより具体的に示してもらえば調査の上取材に応じて反論する用意があること、ただし現在はピースボートのスタッフが休暇中であることを伝え、本件記事の掲載を見合わせるよう要望し、同日午後一一時三四分にも、再度、ピースボートのスタッフが休暇中であることなどを伝えて、取材を同月一一日まで待ってほしいと要請した。しかし、「週刊文春」編集部は、同月一〇日には本件記事の掲載を決定し、同日、木村弁護士に対し、掲載を延期することがない旨を告げつつそのコメントを求めてきたものである。
(4) さらに、本件記事は、単に裏付け調査が不十分であるというにとどまらず、意図的に取材内容を無視し、故意に事実を歪曲して都合のいいように作成されたものであるといわざるを得ない。
(5) 本件各記事部分について検討しても、次のとおり、その取材が不十分であることが明らかである。
ア 本件記事部分2について、ピースボートが代表制を採っていないことは、原告B等を取材すれば容易に判明したことである。
イ 本件記事部分8について、ピースボート、船会社に対する取材や船に関する世界的な基準・評価の調査が不足していた。
ウ 本件記事部分10について、オプショナルツアーガイドブックによれば、ベトナムツアーに関し何ら「経済人」との交流が予定されていないものであり、これは容易に確認できる事実である上、ベトナムツアーの実際の実施内容についても十分な取材は行われなかった。
エ 本件記事部分11について、ダブル・ブッキングであるとの話が本件クルーズに悪意を抱いている恵川の発言であり、被告文藝春秋の記者もそのことを認識していたこと、ダブル・ブッキングが真実であったかどうかについてピースボー卜主催者らに対し取材していないこと、ダブル・ブッキングが真実でなかったことの資料を容易に知り得たことから、被告文藝春秋において摘示事実が真実であると信ずるに足りる相当の理由がなかったことは明らかである。
オ 本件記事部分12について、アムネット等に取材した被告片瀬は、旅行業法等についての基礎知識が欠けていた。
3 争点2について
(原告らの主張)
(一) 原告らは、本件記事及び本件広告によってピースボートの名誉を毀損されたことにより、これを主催した者として著しく名誉を毀損され、別紙五の「個別に受けた被害」欄記載のとおり、精神的、経済的損害を蒙った。特に、原告Bは、その顔写真を大きく掲載され、本件クルーズで低劣なサービスを提供した張本人のように扱われたばかりでなく、ピースボートという不名誉な集団の代表であるかのように記載されたものであって、その名誉毀損の程度は特段に強い。
これらの精神的損害に対する慰謝料としては、各原告についてそれぞれ二〇〇万円が相当である。
また、原告らは、それぞれ原告ら訴訟代理人弁護士に対し、本件訴訟の提起・追行を委任し、その弁護士費用として八万一二五〇円を支払う旨約した。
(二) よって、原告らは、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償として各原告それぞれに連帯して二〇八万一二五〇円及びこのうち慰謝料二〇〇万円に対する訴状送達の日の翌日(被告本多については平成六年一二月一四日、その他の被告ら五名については同月一三日)からそれぞれ支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払並びに前記のとおりの謝罪広告の掲載を求める。
(被告らの反論)
原告らの損害は、争う。
第三 当裁判所の判断
一 本件の経緯
前記争いのない事実等のほか、証拠(甲一ないし五、八、九の一、二、甲一〇、一一、一二の一ないし三九、甲一三、一四の一ないし七、甲一五ないし一七、二三、二四の一、二、甲二五ないし三五、三六の一、甲三七、四〇の一、甲四一の三、甲四二、四四、五〇の一、二、甲五一、五三、五六の一ないし三、甲五七ないし五九、六七、七〇、七二、八四、八五の一、甲八六の一、二、甲九二、九三、九七、一〇一、一〇二、一一六、乙一、二の一ないし三、乙四ないし一六、二三ないし二九、三一ないし三九、四二、証人伊藤七重、原告D、同A、同B、被告鈴木、同本多、同片瀬(甲五一、五六の一、二、甲七〇、八四、九三、九七、一〇二、一一六、原告D、同A及び同Bについては、後記認定に反する部分を除く。))及び弁論の全趣旨によれば、以下の各事実が認められる。
1 本件クルーズの概要
(一) 原告ら一五名を含む六八名の者は、平成五年四月ころから、ピースボー卜一〇周年クルーズとして世界一周クルーズを企画し開催する主催者(「主催者」という言葉については、第二の一1(一)参照)となることを互いに約し、ピースボート主催者団を結成した。本件規約によれば、主催者らは、クルーズの全責任を共同で負うものとされており、特定の者をピースボート主催者団の代表とする旨の定めはなかった。
世界一周クルーズは、当初は客船「新さくら丸」を傭船して実施される予定であったが、複数の新聞報道があったこともあって応募の問い合わせが予想を上回ったため、急遽米国の船会社ロイヤル・クルーズ・ライン社から本件客船を傭船して合計二隻で実施されることとなった。
(二) 本件クルーズは、六月九日から八月三一日までの八四日間、本件客船に乗船して東京から西回りで世界を一周し、途中で十数か所の港に寄港して各地を見聞し現地の人々と交流を図るものである。八四日間の全日程に参加するコースである「地球一周フルクルーズ」の代金は、一二八万円から三九八万円まで数種類に分かれており、価格差は船室の位置と設備によるもので食事及び船内の利用、催し等についての差はないとされていた。そのほかに、右八四日間の日程の一部分について本件客船に乗船して参加するコースが数種類設定されており、「地中海スペシャルクルーズ」(以下「地中海クルーズ」という。)は、本件客船が地中海を航行する区間に乗船する七月一一日から同月二四日までの一四日間のコースであって、その代金は四八万八〇〇〇円から六六万八〇〇〇円まで、「カリブ海スペシャルクルーズ」(以下「カリブ海クルーズ」という。)は、本件客船がカリブ海を航行する区間に乗船する七月二九日から八月一三日までの一六日間のコースであって、その代金は四六万八〇〇〇円から六六万八〇〇〇円までであった。
(三) また、本件クルーズにおいては、本件クルーズ参加代金とは別料金で各寄港地ごとに数種類のオプショナルツアーが企画され、参加者はこれを自由に選択して申し込むことができた。オプショナルツアーは、パンフレットによれば本件クルーズの旅行主催とは別にピースボートと現地(各寄港地)の旅行会社が独自にアレンジしたものであって、主催者の中から選ばれた担当者(先遣隊ないし先遣団と呼ばれていた。)が、事前に寄港予定地等に赴き、オプショナルツアーの日程、ツアーのテーマ、訪問地・観光地、交通手段、宿泊先、食事等を企画検討し、現地の旅行会社等と打ち合わせながら訪問地等の下見や交渉・手配をして内容を確定したものである。
(四) 本件客船は、昭和四九年に建造されたものであり、総トン数が一万〇五〇〇トン、全長一三〇メートル、全幅一九メートル、最大乗客数四六〇名の客船であり、直近の改装は平成二年から平成三年にかけて行われている。
2 ピースボートの運営組織
ピースボートの組織においては、複数の主催者及び事務局主催者がその責任者である。
(一) 主催者は、本件規約上、クルーズのすべての責任を共同で負う一方、その出資額に応じてクルーズの参加代金の割引を受ける。例えば、九〇万円を出資した主催者は参加代金の全額が免除されるほか、四五万円を出資した主催者は参加代金の半額が、五万円を出資した主催者は参加代金の一ないし二割がそれぞれ割引になる。また、本件クルーズの終了後の決算が赤字となった場合には主催者がこれを負担するが、黒字となった場合には、主催者の出資金は返還され、また、ピースボー卜事務局の維持費六か月分に補填すると定められていた。
(二) ピースボート事務局は、事務局主催者がその責任者であり、専従スタッフ及びボランティアスタッフと呼ばれる者が運営に携わっていた。専従スタッフとは、生活補助費として給料を得ながらピースボート事務局に専従する者であって、本件規約上、クルーズの主催者のみから選ばれ、また、その従事期間に応じ、ピースボート主催者団が定めた割合で、クルーズの参加代金が割引になる。
ボランティアスタッフは、資格等に関わりなく誰でもなることができ、パンフレット等により募集され、作業従事時間一時間当たり一〇〇〇円の割合でクルーズの参加代金が割引になり、ボランティアスタッフの中には参加代金の全額が免除された者もいた。
(三) 本件客船内においては、船上専従スタッフ及び船内スタッフと呼ばれる者が運営に携わっていた。
船上専従スタッフとは、生活補助費として給料を得ながら本件客船内の運営に従事する者であって、そのほとんどが主催者であった。船上専従スタッフは、その従事期間に応じて参加代金の割引があり、例えば本件クルーズの全日程の運営に従事すれば、参加代金の全額が免除された。
船内スタッフは、本件客船内において無償で従事する者であり、資格等に関わりなく誰でもなることができるボランティアであった。
(四) 各寄港予定地に赴く先遣隊の費用は、一次的にはピースボートと先遣隊個人が折半して負担するが、本件規約において、本件クルーズの終了後の決算が黒字となった場合には優先的に先遣隊に対し右費用の残り半額を返還すると定められていた。
なお、本件クルーズの決算は、結局黒字となり、主催者の出資金全部の返還、先遣費用残額の返還及びピースボー卜事務局の維持費の一部への補填が実行された。
3 本件クルーズの準備・募集状況
(一) 募集、説明会及びパンフレットの内容
(1) 本件クルーズの参加者の募集は、ポスターの貼付やビラ・パンフレットの配布・送付、マスコミを通じての宣伝等により行われ、全国紙を含む多くの新聞が、ピースボートが世界一周クルーズを企画していること、広く参加者を募集していることなどを報道し、公衆の関心が集められた。
本件クルーズに関しては、ピースボートが主体となって、全国各都市において数十回にわたり旅行説明会が開かれた。
(2) 被告本多は、二月五日、神戸で開かれた旅行説明会に出席した。右説明会では、原告Fや中村明弘ら主催者により、ピースボートに関する一般的な説明のほか、寄港地の一つであるハワイが単なる観光地ではなく、独自の伝統文化を有している先住民が住んでおり、本件クルーズではそのような先住民と交流してその文化に触れるオプショナルツアーも企画されているという趣旨の説明があり、そのような文化を守っている農園や水田等を撮影したスライドが上映された。
また、右説明会では、出席者に対し本件クルーズに関するパンフレッ卜等が配布された。これには、クルーズの寄港地、参加代金一覧表等が記載されていたほか、「夢の地球一周がいま実現」「東京を出たら84日間。ふたたび晴海埠頭にもどってくるまでスーツケースはあなたのキャビンに置いたまま。体ひとつで身軽にアジアの、アフリカの、地中海の、カリブの、太平洋の港みなとに降りたって、好きな街、好みのツアー、知りたい問題の場に向かう。」「ピースボートは、『みんなが主役で船を出す』を合い言葉に集まった、好奇心と行動力いっぱいの若者たちを中心に、大型客船をチャーターして、アジアをはじめ世界各地を訪れるクルーズを企画・運営しているグループです。」「ピースボートは、企画、チャーター契約から宣伝、集客まですべてを独力でこなし、いかなる政治・宗教団体ともつながりをもたず、スポンサーとも無縁の自主管理です。だから、運営にかかる費用一切は、クルーズ参加者と主催者の個人負担によって、非営利でまかなわれています。もちろん会議の決定事項、会計報告などはすべて公開が原則です。」などと記載されていた。
右パンフレット等の中には、新さくら丸の資料はあったが、本件客船の資料がなかったため、被告本多は、翌六日ころ、主催者の一人であった井奥雅樹(以下「井奥」という。)から本件客船が四つ星の評価を受けている船であると聞き、本件客船のパンフレットを請求して入手した。このパンフレットは、本件客船を紹介する内容のものであり、船内や食事を撮影した鮮やかなカラー写真とともに、「中米・カリブ海クルーズを中心に世界の海をめぐり、太平洋や大西洋といった長期クルーズもじゅうぶんに堪能できる外洋豪華客船です。『白亜の女王』とも称するべき容姿、格調の高さをうかがわせる設備、そして超一流のサービスは、名実ともに地球一周にふさわしいものといえるでしょう。」「84日間の洋上生活における『動く高級ホテル』の役割をじゅうぶんに果たすことでしょう。」「百花繚乱のイベントを多彩に演出する贅沢なスペース。」などの文章が記載され、本件客船内のレストランについては、「洋上ライフの最大の楽しみのひとつが食事。毎日三度めぐってくる快楽を素晴らしい環境のなかで味わいたいものです。そんな願いも、ロータス・レストランならば、簡単にかなえることができます。」「格調の高いレストランで、こころゆくまで味覚に酔うことでしょう。」などと紹介されていた。また、募集のチラシには、「毎日続くゴージャスなイベント、食事」「船旅の大きな楽しみのひとつである食事。ヨーロッパ一流レストランの料理を大きな窓から大海原を眺めながらおおいに堪能しましょう。昼食は南洋の明るい陽光を浴びつつ、デッキでのビュッフェスタイルも楽しめます。一転して夜はいくつかのメニューから選べる、フルコースディナー。信頼できるソムリエのお墨つきのワインが世界中から取り揃えてあります(ワインは別料金です)。」「本場のカジノを体験できるのも外国船ならでは。ひょっとしたら、クルーズ参加費用を全額回収なんてことも!?」「サービス面では世界でもトップクラスに位置づけられているゴールデン・オデッセイ。二〇〇人のクルーによるきめ細かいサービスは充実度満点。」などと記載されていた。
オプショナルツアーについては、特に別冊のパンフレットが作成・配布された。これには「オプショナルツアーは、寄港地でいくつかのテーマに別れて行動するユニークな体験ツアーです。名所や観光地を巡るもののほか、現地の人たちとの交流をおもな内容としたものや、社会問題に焦点をあてたものなど、各種のツアーが用意されています。これらのオプショナルツアーはピースボートのスタッフが実際に下見し、NGOやジャーナリスト、研究家たちと検討し、寄港地の受け入れのグループの人たちと話し合って準備しました。」と記載されていた。オプショナルツアーのうちベトナムツアーについては、訪れる代表的スポットとして「自由市場、工場見学、ビジネスマン交流会、フェスティバル」と記載され、特色として「活気とモノがあふれる市場や、合弁企業などを見学したあと、現地ビジネスマンとの交流会で『躍進するベトナム』のホントをざっくばらんに話し合います。」と記載されていた。また、パレスチナツアーは、エルサレム、ナザレ、ガラリヤ湖、死海、テルアビブ、カイロを訪問予定地とする代金一七万円のコースであり、「このコースはスエズから途中離脱して、チュニス又はリスボンにて合流します。」と記載されていた。
(3) 被告本多は、二月二〇日、本件クルーズのうち地球一周フルクルーズの参加代金一七八万円のクラスへの参加を申し込み、同月二三日に申込金五万円を、三月九日に参加代金(諸経費を含む。)一八一万四八〇〇円をそれぞれ「ピースボート」名義の銀行口座に振り込んで支払った。
また、被告本多は、三月七日ころ、希望のオプショナルツアーを選択してその申込書をピースボート事務局に提出した。
(4) 二月ころ参加申込者に配布されたパンフレットには、「港で積み込んだ荷物はあなたのキャビンに置いたままで、世界各地を飛び回ることができ、ふたたび日本にもどってこれる。船はあなたが84日間滞在する動くホテルなのです。」、「日本発着の世界一周航海という20年ぶりの快挙にくわえ、なんと夏休みをまるごと含みこんだ6月9日から8月31日という、多くの方々が参加しやすい絶好のクルーズ日程が実現しました。」「4つ星クラスの本格派クルーズ客船『ゴールデン・オデッセイ』」「ゴールデン・オデッセイは、米国ロイヤルクルーズライン社所有の1万トン級の豪華外航客船です。中米、カリブ海クルーズを中心に世界の海をめぐる豊富なクルーズを経験し、その優美な容姿、格調高い船内設備、そして一流のサービスは、世界じゅうの船旅を愛する人たちにも定評があります。」などと記載されていた。また、五月ころ配布されたパンフレットには、「洋上ではすべての乗船者がボランティア・スタッフ。『洋上自治共和国』たるピースボートでは『サービスする側』と『サービスされる側』の分離はありません。船内のカウンター業務や、オプショナルツアーのリーダーなどは主催者が責任をもってあたりますが、船上には『お客さま』をもてなす『添乗員』もいません。」などと記載されていた。
(二) ピースボートの役割
本件クルーズは、ピースボートが企画し、一般旅行業者の登録を受けていたアムネットが主催し、旅行業代理店業者の登録を受けており同社と旅行代理店契約を締結していたピース・イン・ツアーの旅行取扱いにより行う主催旅行という形態であった。
ピース・イン・ツアーの代表取締役は、本件クルーズの主催者の一人であった松永充弘(以下「松永」という。)であり、同人は、昭和五八年からピースボートの活動に携わり、その後同社を設立してからも、おおむねピースボートの主催者となっていた。また、ピース・イン・ツアーの事務所は、ピースボート事務局と同し建物内にあった。
原告Aは、平成五年七月二一日ころ、ピース・イン・ツアーとの間で、本件クルーズに関し、ピースボート主催者団のためにすることを示して、〈1〉ピースボート事務局がすべての包括的な企画業務を行うこと、〈2〉ピースボート主催者団がピースボート事務局を通じて客船の傭船契約の交渉、締結及び代金支払を行うこと、〈3〉ピース・イン・ツアーが本件クルーズに関するすべての渡航手続、運輸機関、主催旅行保険等の手配を行うこと、〈4〉ピースボート事務局が独自にオプショナルツアーの手配を行うこと、〈5〉ピース・イン・ツアーが、ピースボー卜主催者団に対し、本件クルーズ参加者により支払われた代金の九五パーセント相当額を企画費(傭船契約代金、オプショナルツアー手配費を含む。)として適宜支払うことなどを合意している。アムネットとピースボート主催者団との間においては、金銭的な取り決めはなかった。
ピースボートは、本件クルーズを実施するについて、主催者が中心となって、これを企画したほか、傭船の交渉、契約締結、各寄港予定地におけるオプショナルツアーの企画、交渉、手配等をし、本件クルーズの宣伝・広報・募集活動、旅行説明会の実施、水先案内人(乗船して講演等を行う著名人や評論家)との乗船交渉、ポスター・パンフレット等の制作、本件クルーズに関する問い合わせへの対応、郵送物の発送・管理等を行った。
(三) 参加者の認識等
(1) 本件クルーズに関するパンフレット類は、アムネットの主催である旨小さい字で記載されていたものもあった。しかし、ピースボートに関する多くの報道に加え、右パンフレット類の表紙・裏表紙等にも大きくピースボートと記載されていたこと、ピースボートの名義しか記載されておらず発行名義もピースボートとされているパンフレットも少なくなかったこと、本件クルーズに関する問い合わせ先及び申込書の送付先がいずれもピースボート事務局であったこと、本件クルーズの参加代金及びオプショナルツアーの代金の振込先がいずれも「ピースボート」名義の銀行口座であったこと、パンフレットには、前記のとおり、ピースボートは、企画、チャーター契約から宣伝、集客まですべてを独力でこなすなどと記載されていたほか、「主催者として名乗りをあげた言い出しっぺたちが、ピースボート・クルーズ事業運営の財政的・社会的責任のいっさいを共同で負ってがんばります。」と記載されていたこと等の事情により、本件クルーズの実施主体がピースボートであると考えていた申込者ないし参加者は少なくなかった。
(2) 本件クルーズの総参加者数は六四四名、そのうち全日程参加者は三七八名であった。総参加者の世代別の割合は、二〇代以下の者が約五〇パーセント、三〇代ないし四〇代の者が約一八パーセント、五〇代以上の者が約三三パーセントであった。また、オプショナルツアーの中で希望者が殺到したコースは、ジブチの砂漠やアサル湖を観光する「灼熱地獄へようこそ!コース」やポルトガルを観光する「聖地ファティマ探訪コース」など観光をテーマにしたものも多く、本件クルーズにおいて行われたアンケートによれば、本件クルーズに参加した動機・目的は、世界一周の観光旅行をしたかったというものが大半であった(後記4(五))。
4 本件クルーズの状況
(一) 食事について
朝食は、午前六時三〇分にプールサイドでコンチネンタル式のものが、午前七時にレストランで選択式のものが、午前八時にプールサイドで和食のバイキング方式のものがそれぞれ供され、昼食は、午後零時にレストラン及びプールサイドで供され、夕食は、午後五時三〇分から及び午後七時からの入替え制でコースの選択ができるものが供された(昼食及び夕食においては、乗客が日本人であることを考えて三日に一回程度和食が供された。)。また、午後三時四五分には軽食及び飲み物が供されたほか、本件クルーズの途中からは午後一一時に夜食が用意された。
朝食のうち和食のバイキングでは、しば漬け、納豆、玉子、味噌汁等のほか、副食物が数品供されたが、前日のメインディッシュがサイドディッシュとして出されたこともあった。バイキングの料理が置いてあるテーブルが一つしかなく、朝食を取るために並ぶ者の行列の長さがプール一周以上になることがあった。
八月一日の夕食は、途中乗船者の歓迎会のため服装がフォーマルと指定された。この日のメニューは、洋食のコースと和食のコースとの選択制であったが、和食のコースのメインディッシュはサンマの塩焼きであった。
被告本多は、本件客船の調理場にいた者から、一人一日分の食費が五・五ドルであると言われ、一食分かと聞き直したが、三食分であり腕の振るいようがないと言われ、原告D(当時の姓は古山。以下「原告D」という。)に対し、食事が餌のようであると苦情を言ったことがあった。また、被告本多は、テーブルスチュワードに対し、タンシチューが缶詰ではないかと絵を書いて尋ねたところ、肯定された。
参加者の足立正義は、食事がまずいと乗務員に話したところ、その乗務員は、「金さえ出せばいくらでもおいしいものは出せるが、今回はかなりディスカウントの料金なのでこの程度のものしか出せない。」と述べた。
このほか、当初は、ステーキのソースが毎回同じであったり、サラダのドレッシングが一種類しかなかったり、短期間に同じメインディッシュが再び供されたり、ロブスターの予定であったのに冷凍エビが供されたりしたことがあった。
好意的な評価もあったが、かなりの参加者から食事に対する不満が出たため、ニューヨークを出港した八月初旬ころから、改善が図られた。
(二) 娯楽について
娯楽の企画には、ピースボート事務局が企画し実施するもの(事務局企画と呼ばれた。)と参加者が自主的に企画し実施するもの(自主企画と呼ばれた。)とがあり、催し物としては、社交ダンス、英会話教室、男性俳優の姉のトークショー、軍人将棋大会、太鼓を叩く会、伝言ゲームや隠し芸会が催されるパーティー、フラダンス講座、囲碁教室、ワイン試飲会、川柳大会、盆踊り、仮装歌合戦、フェアウェルパーティーなどがあった。また、シアターラウンジと呼ばれる部屋では、映画が一日に一本ないし数本上映された。
事務局企画の代表的なものに水先案内人による講演があり、本件クルーズのパンフレットには乗船予定ないし交渉中とされる多くの水先案内人が記載されていたが、水先案内人の一人とされていた灰谷健次郎が乗船しなかったため、予定されていた講座が急遽中止になり、期待していた参加者は落胆した。
被告本多は、これらの催しが必ずしもエンターテインメントのプロではない若者中心の手作りの企画で、しかも講座ものが多く、高級客船から予想される大人向けのショーやコメディなどの企画がなかったことに落胆した。また、カジノは、本件クルーズ途中で営業されなくなり、被告本多はこれにも不満を持った。
(三) 上下水について
航海中、船内新聞等により随時節水が呼びかけられた。船室の水洗トイレは、流水の勢いがあまりないため、汚物が完全に流れず、何度も水を流すと水があふれることがあり、この点について不満を持つ参加者も少なくなく、被告本多が乗務員に苦情を言ったが、乗務員はこれ以上どうにもならないと述べた。また、参加者が誤って衣類をトイレに流したため下水が逆流したり、三つの船室が水浸しになったことがあった。
上水は、塩分を含んだ塩辛い水が出ることがあり、コーヒーが塩辛かったことがあったため、これを「ソルトコーヒー」と呼んで揶揄する者もあった。太平洋を横断する際には、参加者に対し特に節水への協力が呼びかけられ、太平洋上でのクリーニングのサービスは原則として一回のみとされた。また、参加者に対し、風呂には入らずシャワーにするよう要請されたこと、サウナにタオルが支給されなかったこともあった。
なお、船体の揺れが激しいこともあった。
(四) オプショナルツアーについて
(1) ベトナムツアーについて
ベトナムツアーでは、ゴム工場の見学があり、見学の際、工場責任者が参加者に対し会社の説明をしたが、それ以上にビジネスマンと交流する機会は設けられていなかった。
これに参加した被告本多は、井奥に対し、ビジネスマンとの交流会がなくなった理由を聞いたところ、井奥は、新さくら丸によるクルーズでのオプシヨナルツアーのときにはビジネスマンが来たが、同人からベトナムへの出資を求められるなどの事情があったので、本件クルーズではビジネスマンとの交流を取りやめにしていた旨説明した。しかし、ベトナムツアー実施前に参加者に対しこのような説明はされていなかった。
(2) パレスチナツアーについて
パレスチナツアーは、一つの寄港地を起点として行動する他のオプショナルツアーとは異なり、その参加者は七月一一日にスエズ運河で本件客船を下船し、同月一九日ないし二三日にチュニス又はリスボンで本件客船に再び乗船するという企画であった。
その参加者四三名の多くは、パレスチナツアーに参加しても本件クルーズ自体の参加代金が減額されることはなかったことやパンフレットの記載(前記3(一)(2) 、(4) )等から、パレスチナツアーに参加する期間も自分の船室に荷物を置いておくことができると考えていた。
ところが、パレスチナツアーに出発する二日前の七月九日、説明会が行われ、船室を地中海クルーズの参加者に使用させるので、参加者は、ツアー参加のため下船する際に荷物を船室からすべて出して明け渡すよう指示された(これ以前には、このような取扱いについての説明はなかった。)。参加者の中には、直前まで明確な説明がなかったことに苦情を述べた者がおり、ピースボート側のスタッフが参加者の船室から荷物を運び出す手伝いをするなどした。パレスチナツアーの参加者の荷物は、本件客船内にまとめて保管された。
また、パレスチナツアーの参加者は、自分達が地球一周フルクルーズの参加代金を支払っているのに、パレスチナツアーの参加中に地中海クルーズの参加者からも代金の支払を受けて自分の船室を使用させるのは代金の二重取り又はダブル・ブッキングではないかとの不満を述べた。これに対し、ピースボー卜側は、パレスチナツアーの費用は本来一七万円よりも高く、その不足分は地中海クルーズの参加者から支払われる代金を充てて賄われているから、代金の二重取りではない、費用の明細を明らかにする旨の説明がされたが、明細は明らかにされず、参加者は必ずしも納得しなかった。
パレスチナツアーの参加者が七月一一日にスエズ運河で下船した後、地中海クルーズの参加者三五名は、カイロから乗船し、パレスチナツアー参加者が使用していた船室等を割り当てられて使用した。
このパレスチナ事件は乗客の間でも大きな話題となり、旅行業務を担当していた井奥は、七月一六日ころ、パレスチナツアーの案内としてスエズ運河で「離脱」するとパンフレットに記載されていた点に関し、ピースボートのスタッフの間では船室を空けるという認識であったこと、これを一般乗船者に説明していなかったもので、もっと早く発表すべきであったと考えている旨釈明した。
パレスチナツアーに関する参加者らの不満が募ってきたため、ピースボート側は、六名に限って苦情を聞くとして、参加者が苦情を述べる機会を設けた。しかし、ピースボート側は、ピースボートは任意団体であって旅行社ではない旨反論し、原告Bは、顧問弁護士三名に相談しながら運営しているから法的に違法な点はない旨反論するなどしたため、参加者らの不満は鎮まらなかった。
ピースボート事務局は、七月二九日、原告G名義で、パレスチナツアーの参加者に対し、「参加されるにあたって、船室の手荷物をまとめ、一括して事務局がお預かりし、船室をあけていただくことが当初より予定されていたにもかかわらず、皆様にお伝えするのが出発の2日前となり、たいへんご迷惑をおかけしましたことを深くおわびいたします。」などと記載した謝罪文を発表した。また、主催者のうち数名は、パレスチナツアー等に関する参加者の不満を受けて、七月二四日、二七日、八月四日、二〇日及び二四日に、各日とも約三時間にわたり、説明会を開いた。しかし、パレスチナツアーの参加者の中には、自分の客室を他人が使用したこと、事前に説明がなかったこと、後記(3) のペルーツアーの支払額は五〇〇〇円にすぎなかったこと等から納得しなかった者も少なくなく、八月二六日ころには、パレスチナツアー参加者有志一同の名義で、ピースボート側に対し、パレスチナツアーがダブル・ブッキングであることやペルーツアーの費用負担との不均衡を指摘して問題の解決を要望する旨の書面が提出された。
なお、ピースボー卜側からは、本件クルーズ終了後、パレスチナツアーの参加者に対し、お詫びの趣旨で一万円相当の商品券が送られた。
(3) ペルーツアーについて
ボランティアスタッフのうち三四名は、七月三〇日ころ、ニューヨークで船室を明け渡して下船し、金城旅行社が主催するペルーへの旅行(ペルーツアー)に参加し、八月一一日ころ、グァテマラで再び乗船した。この旅行は、本件クルーズの一般参加者を対象に募集するオプショナルツアーではなく、事前に参加者一般に対して周知されていないものである。右旅行代金は、参加したボランティアスタッフがそれぞれ五〇〇〇円ずつ支払ったほかはピースボート事務局が残額を負担した(右旅行代金の合計額は、証拠上明らかではない。)。
カリブ海クルーズの参加者四六名は、七月三一日ころ、ニューヨークで本件客船に乗船し、ペルーツアーに参加したボランティアスタッフが明け渡した船室等を割り当てられて使用し、八月一〇日ころ、グァテマラで下船した。
ピースボート事務局は、八月一七日ころ、右の経緯についての参加者からの疑問に対して、「ピースボート事務局は、カリブ海クルーズの参加希望者を定員の限られた本件客船に一人でも多く乗船させてピースボートや世界を体感してもらいたいと考え、スタッフに対し下船することを依頼し、了解を得た。ピースボート主催者団は、この下船費用をピースボー卜事務局の経費として認めるとの決定をし、右経費と日程等を考慮して、スタッフはペルーへ行くこととした。」旨説明した。
(4) その他のオプショナルツアーについて
オプショナルツアーのうち、ダナン(ベトナム)における「学生交流と民泊コース」は、ベトナムの学生の家に宿泊する予定であったが変更された。参加者は、ピースボート側の説明や謝罪が不足しているのではないかとの不満を述べた。
スリランカ(コロンボ)における「よーし、漁師と交流コース」は、漁村で漁師と交流し、昼食にはカレーが供される予定であったが、実際には、漁師と交流する機会はなく、カレーも供されずに甘い料理が出され、参加者から不満が出た。
カタニア(イタリア)における「コンビナートと環境問題コース」は、石油コンビナートを訪問する予定であったが、急遽訪問しないこととされた。
(五) その他の状況と乗客の評価について
(1) ピースボートの運営に携わっていない一般の参加者にとっては、ピースボートのスタッフである者とそうでない者との区別がはっきりしなかったため、参加者から、ピースボー卜側に対し、誰がスタッフであるか分からないとの苦情があり、その後、ピースボートのスタッフは、名札を付けるようになった。
本件客船内のレストランでのフォーマルディナーに下駄を履いて現れる者、Tシャツと短パン姿で現れる者、本件客船内でローラーブレードで遊ぶ者などがいたため、これを快く思わない参加者がピースボート側に対して苦情を述べ、ピースボート側のスタッフが右のような行動について注意することもあった。
また、未成年と思われる者が酒を飲み喫煙する姿や若い男女の人目をはばからない姿なども見受けられた。
被告本多は、乗客であるアフリカの政治家夫妻がこの船は難民船かボートピープルかと話しているのを聞いた。
(2) 八月一二日ころに船内新聞紙上で実施されたアンケートの結果は、次のとおりであった。ピースボートに参加した理由として最も多かった回答は、世界一周をしたかったというものであり、純粋な観光目的の者から、世界の人々と交流したいという者、世界のサッカーを見てみたいという者など様々な理由があった。そのほかには「自分の人生を見つめ直す」「自分の道を探す」等の回答も多かった。純粋な観光を目的として参加した者の満足度はかなり低く、九九パーセント達成されていないと断言した者もいた。その他の目的で参加した者の回答は、目的が達成され又はある程度達成されたという者が多かったが、目的が達成されていないという者も三割程度あった。
5 本件記事に関する取材状況等
(一) 被告本多は、本件クルーズのパンフレット等から受けた事前の印象や期待と実際の本件クルーズの内容が大きく相違していたと感じ、憤慨するとともに、その実情を広く知らせて今後ピースボートによるクルーズに参加して期待はずれの思いをする者が現れないようにしたいと考え、本件クルーズ終了後、第三者を介して株式会社新潮社に対し、本件クルーズについて報道するよう依頼したが、同社は、当初これを取り上げなかった。
また、被告本多は、運輸省の関係機関や警察等に赴き、ピースボートや本件クルーズに問題があるのではないかと訴えたが、立件されなかった。
その後、被告本多は、一〇月上旬ころ、知人である警察関係者に相談するなどして、被告文藝春秋に対しピースボートや本件クルーズを記事に取り上げるよう依頼し、本件クルーズのパンフレット、船内新聞、参加者約一〇名を記載した名簿等を送付した。
(二) 一〇月六日午前、「週刊文春」のプラン会議において、被告本多から提供された右情報・資料が提出され、同日午後のデスク会議で取材の対象にするかどうか検討された結果、同月一〇日を締切日として取材を行うことが決定された。「週刊文春」のデスクであった被告浦谷は、同日午後四時ないし五時ころ、被告鈴木、同片瀬ほか二名の合計四名の記者に対し、社会的に認知され知名度も高いピースボートが主催する世界一周クルーズに参加者からクレームが出ているから、できる限り多くの参加者からクレームの内容を聞いて事実関係を確認し、ピースボートにも取材することなどを指示し、取材チームが結成された。
(三) 被告鈴木は、一〇月六日夜、知人のピースボート参加者に対しピースボートの一般的な知識について取材を行うなどした上、東京都内在住の女性の参加者に連絡を取り、同夜、面会して取材を行った。
右参加者は、被告鈴木に対し、退職の記念に世界一周の船旅に憧れて申し込んだが、思い描いた船旅とは異なり失望したこと、カクテルドレスを着て大人の雰囲気を楽しむようなクルーズを期待していたが、実際は異なっていたこと、未成年らしい若者が飲酒・喫煙をし、食事もまずく期待はずれであったことなどを述べた。被告鈴木は、右参加者に政治的な意図等がないか注意して取材を行ったが、そのような意図・背景はうかがわれなかった。
被告片瀬は、同日、ピースボートの事情に詳しい者と面談し、ピースボートについての一般的知識を教わった。
(四) 被告鈴木は、被告片瀬と共に、一〇月七日午後五時三〇分ころ、JATAの梅沢事務局次長及びその部下の服部に対する取材を行った。
梅沢らは、同日午前中にピースボートの件で近畿運輸局に苦情が寄せられた旨運輸省の担当係長から聞いていること、JATAの関西支局の者が近畿運輸局に呼ばれ、JATAで苦情を受け付ける態勢にしてほしいと言われたことを述べ、被告鈴木らから示された本件クルーズのパンフレットを見て、旅行条件等を記した小さい活字について「よくやる手ですね。これはひどいな。」などと言い、ピースボートとピース・イン・ツアーは一体のものであると思われること、おいしい文句といい表現の仕方であって、消費者側にも責任があるものの、こういう方法には引っかかってしまうと思うこと、旅程管理者がいなかったならば問題であること、食事等について誇大広告があれば旅行業法違反の問題となることなどを述べた。
(なお、この点に関し、甲第七〇号証(原告Aの陳述書)には、梅沢が一〇月一三日にアムネットの近藤に対し、右発言をしたことを否定した旨、また、原告Aや木村弁護士らがその後梅沢に会った際にも同人が右発言を否定した旨の記載があるが、梅沢の右発言に関する乙第三二号証は、一〇月七日に梅沢に対する取材を行いながら被告片瀬が記載したメモであり(被告片瀬)、その記載内容の具体性に照らしても十分信用することができる上、甲第九七号証(近藤の陳述書)には右と異なる趣旨が記載されていることに照らし、甲第七〇号証はにわかに採用できない。)
(五)(1) 被告片瀬は、一〇月八日、東京都新宿区高田馬場所在のピース・イン・ツアーを訪れ、責任者に対する取材を求めたが、海外出張中との理由で会うことができず、また、同じく高田馬場所在のピースボート事務局も訪れたが、一〇月中は休業する旨書かれた紙が貼られており、誰にも会うことができなかった。
(2) 一〇月八日のその後、被告片瀬は、被告鈴木と共に、本件クルーズの参加者であり、ピースボートの趣旨を理解している安在尚人(以下「安在」という。)に対し、約二時間にわたり取材を行った。安在は、被告鈴木らに対し、本件クルーズの申込先はピースボートであると思っており、申し込んだ動機の決め手は世界一周であると述べた。
このほか、安在が取材に応じて述べたことは、次のとおりであった。スリランカのオプショナルツアーでは、到着が遅れたために漁師がおらず、カレー料理と聞いていたのに甘い料理が供された。ダナンのオプショナルツアーでは砂浜で野宿したと聞いている。イタリアのオプショナルツアーでは、コンビナートに行くはずであったのに行かなかった。オプショナルツアーの内容が出発の前日に説明されたために事前の案内と内容が異なってもキャンセルできなかった。パレスチナツアーの一七万円という代金額についてピースボー卜側が「こんな値段ではとても行けない。地中海コースから乗ってくる人の船室代を充てるからこの値段で行ける」旨の説明をし、その原価が四〇万円であると言っていたが、自分はそんなに高いはずがないと思う。先遣隊は、主催者のみが資格を有しており、クルーズの前に出発して下見をしオプショナルツアーの段取りをする者であるが、旅行業のプロフェッショナルではなく素人である。ボランティアスタッフは、その従事時間一時間当たり一〇〇〇円の参加代金割引制度があり、合計二〇〇時間以上従事すると割引率が一時間当たり二〇〇〇円に倍増するが、従事時間はボランティアスタッフの自己申告であり、スタッフという資格の証明があるわけではなく、誰がスタッフであるか分からず、苦情が出てからネームプレートを付けるようになった。専従スタッフは給料を得ている。レストランの食事がまずいという多くの苦情があってスタッフが慌てており、クルーズの後半には改善されたものの最後までまずかった。毎朝のビュッフェでは食事を待つ者の行列がプールの周りに並び、年配者が不満を漏らしていた。水先案内人に予定されていた灰谷健次郎が乗船せず、多くの乗客が落胆した。娯楽については、ダンスパーティーがなかった。「みんなが主役」という標語のもとに、スタッフミーティング、ディレクターズミーティングと呼ばれる会議で娯楽等について一定期間ごとに企画され、誰でもこの会議に参加することができたが、会議の雰囲気になじめない年配者もいた。ピース・イン・ツアーは、本件クルーズを申し込んだ後にその名を知ったが、本件クルーズはピースボートが行っておりピース・イン・ツアーはその事務の代行をしているにすぎないと思っていた。ピース・イン・ツアーに申し込んだとの意識を有している参加者はいないと思われ、仮に本件クルーズについてピースボートに責任がないのであれば言語道断であると思う。また、本件クルーズ全般の感想として、従来のピースボートのクルーズは若者中心でハプニングがあっても悪くなかったが、次第に観光目的で参加する者が増えて変わってきたと思う。ピースボートの本来の趣旨は観光を充実することではなく、ピースボートの目的を理解せずに参加した人が多かったというのは事前の説明が不十分であったからではないかと思う。ピースボートは翌年及び翌々年に長期のクルーズを計画しているが、その背景にはピースボート事務局が拡大して家賃や専従スタッフの給料を払うために大きなクルーズを行わざるを得ないという面もあるように思われる。本件客船内で様々な者と出会ったことはよかった。一生付き合っていきたいと思うような者もおり、その意味で満足感もあった。ピースボート側の最高責任者が誰であるかは結局最後まで分からなかった。
安在は、被告鈴木が、食事の問題は主観的な面があるので旅行業法違反の点を問題にしようと考えている旨や被告本多はかなり極端な意見を持った者であると思う旨などを述べたことから、週刊文春がある程度バランスのとれた記事を掲載するのではないかとの印象を持った。また、被告鈴木らが主催者等ピースボート側の者に対する取材が実現していないと述べたので、安在は、ピースボー卜側の者を紹介したいとの考えを伝えた。
(3) 右取材の後、安在は、主催者三名に電話し、週刊文春の取材に応じるよう勧めたが、いずれも取材に応じるつもりがない旨述べて拒否した。その後、被告片瀬は、安在から右主催者三名がいずれも取材に協力するつもりがないことを知らされたが、ピースボート側の者に対しても取材を行いたいと考え、安在に対し、主催者やスタッフの連絡先を教えてくれるよう強く求め、約一〇名の電話番号を教えてもらった。
被告鈴木は、一〇月八日夜、安在から船内新聞の縮刷版、パンフレッ卜等の資料を入手した。
(4) 木村弁護士は、一〇月八日夜、ピースボー卜主催者代理人として、「週刊文春」編集部に対し、〈1〉同編集部が掲載を企画しているピースボートに関する記事は、そのままでは事実に反する単なる中傷、誹謗記事となる可能性が極めて強いから、十分に事実の確認ができるまでは記事の掲載を見合わせるべきであること、〈2〉パレスチナツアーに関するクレームが真実ではなく、その他のクレームも、ピースボートに消極的なイメージを植え付けようとする意図によるものであって、悪意による中傷の可能性が大きいと考えられること、〈3〉個々のクレームは、いずれも事実に反するものか、単なる抽象的な印象にとどまるものであるから、十分な事実調査をせずに記事を掲載すればピースボート主催者等に対する名誉毀損となることが明らかであること、〈4〉具体的なクレームの内容を示されれば、当方も事実を調査した上取材に応じて反論する用意があること、ただ、現在はスタッフが休暇中であって十分な調査ができず、また、クレームの内容も多岐にわたることから、翌週に発売するという被告文藝春秋の予定に合わせた反論は不可能であることなどを記載した書面を送った。
(六)(1) 被告鈴木は、一〇月九日、神戸に赴き、神戸在住の被告本多及び恵川に対する取材を行った。右両名は、四つ星の豪華客船ということで応募したこと、スープが塩水のようで、サラダには白菜の芯まで入っており、タンシチューが缶詰であったこと、コックに食費を聞いたら一日五・五ドルと言われたこと、一日当たり二万ないし三万円も取りながら食事がエサのようでありまずい上に、熟年向けのショーやパーティーが少なく、映画を上映する部屋も冷房が効きすぎて行く気がせず、娯楽が何もなく、食事を済ませた後は寝るだけであったことなどを述べた。
このほか、被告本多らが取材に応じて述べたことは、次のとおりであった。本件客船の揺れが結構激しかった。水漏れして服が濡れてしまった船室やトイレの下水が逆流した船室があった。太平洋を横断してハワイに向かうころには、クリーニングのサービスが制限され、手洗いで洗濯し、シャワーの水が止まるなど水が使えなくなった。パレスチナツアーは、思い出したくもないが、主催者から、スエズに着く二日前に突然、船を離れる間はチェックアウトという規定であるから、地中海クルーズの参加者に船室を利用させるために荷物を出すよう言われた。ダブル・ブッキングではないかと抗議したら、本来は五〇万円近いツアーを安く提供しているのだから空けてほしいと言われた。ペルーツアーについては、約三〇名のスタッフが自主企画と称してニューヨークで下船し、ペルーに飛んで一〇日間くらい遊んでいた。その理由はカリブ海クルーズの参加者を乗船させるためであって、ペルーツアーに参加したスタッフは本来二七万円くらいするところをわずか五〇〇〇円の料金で楽しんでおり、その差額はピースボー卜事務局の経費で負担すると聞いた。十代の若者が喫煙し、ビールをラッパ飲みしながら夜中まで騒いでいた。ベトナムツアーでは現地のビジネスマンとの交流があると聞いて自分のビジネスに役立つと思い参加したが、肝心のべトナムの経済人が来なかった。
被告鈴木は、取材をするうちに、本件クルーズの募集、運営、旅程の管理、接客態度等に相当の問題があると考えるに至った。また、被告鈴木は、同日夜、旅行業者二名に電話をし、取材した事実を述べた上で旅行業法の問題があるか否かの解釈について取材を行った。
(2) 「週刊文春」編集部は、被告浦谷及び同鈴木の名で、一〇月九日、木村弁護士に対し、〈1〉同編集部は、本件クルーズの旅行業法上の問題も取材していること、〈2〉世界一周クルーズのパンフレットには、その旅行取扱いがピース・イン・ツアー、旅行主催がアムネットと記載されているが、取材によれば、旅行の企画のみならず営業活動・運営の主体もピースボートであることが明白である上、「ピースボート主催者団」との名称に照らしても、本件クルーズが旅行業法に違反する疑いがあるとの問題意識で取材を行っていること、〈3〉世界一周クルーズの責任の主体を明らかにするとともに、運営の旅行業法上の根拠を回答してほしいことなどを記載した書面を送った。
これに対して、木村弁護士は、同日、被告浦谷及び同鈴木に対し、〈1〉「ピースボート主催者」という名称は、旅行の主催者という意味ではなく、ピースボートという社会文化組織の主催者という意味であること、〈2〉取材については、十分に調査した上で応じたいと考えているが、ピースボートが休暇中であることなどから、一〇月一一日にならなければ事情に詳しい者等に連絡できないため、同日まで待ってほしいことなどを記載した書面を送った。
(3) 被告鈴木及び同片瀬は、原告Bに取材を行いたいと考え、一〇月九日、ピースボート事務局に電話したが、留守番電話になっており、急ぎの用件はファクシミリにてとの案内があったため、ピースボート事務局の原告Bあてに、至急会ってピースボートに関する話を聞きたいので連絡先を知らせてほしい旨記載した書面をファクシミリにより送信した。また、被告片瀬は、ピースボートの水先案内人とされている者数名に原告Bの連絡先を尋ねたが、結局判明しなかった。
(七) 被告片瀬は、一〇月一〇日午前から、本件クルーズの参加者十数名に電話をして取材を行い、次のような結果を得た。
(1) 関口雅之の話
アムネット及びピース・イン・ツアーについて、自分はパンフレットや契約書等に小さな字で記載されていたものを読んでいたので知っているが、ほとんどの者は大きな活字に目を通すだけであろうから、おそらく知らないと思う。右両社に関する口頭の説明はなかった。本件クルーズでは誰が右両社の者であるか判然としなかった。旅行の申込みや代金の払込み等の手続はすべてピースボー卜事務局で行った。主催者とは、最初に出資した者であり、参加代金の割引を受けるようであるが、その割引率については全く知らない。専従で働いている者は給料を得ているという話を聞いている。主催者は二〇代、三〇代の者が中心と思われる。本件客船内では、ボランティアスタッフや主催者についての説明があった。オプショナルツアーに対しては、必ずしも全員ではないが、年配者が不満を述べていたのを見聞した。オプショナルツアーは先遣隊により企画されているが、先遣隊の能力に濃淡があったと思われる。また、ペルーツアーは、地中海クルーズの参加者を募集しすぎてダブル・ブッキングのような事態になり、船室が不足したために、ボランティアスタッフを中心にペルーへの旅行を募って船室を空けさせた。右旅行は、約一〇日間もあるのに費用が五〇〇〇円にすぎなかったため大きな問題となり、主催者側は船室を空けることによって得られる収入に五〇〇〇円を加えれば旅行代金に見合う旨説明していたが、疑問が残った。
(2) 足立正義の話
最後までピースボートが本件クルーズを主催しているものと思っていた。本件クルーズの終盤に苦情や不満が噴出したころ、本件クルーズがピースボートの主催ではなく別の業者が主催しているとの噂を聞いた。一般参加者の九〇パーセントはピースボートが旅行の主催者であると思い込んでいると思う。本件客船は、世界一周をするに足りる性能がなく、水処理能力がないからか水は出ず、やっと出ても塩辛い水であるなど、水には終始悩まされ、世界一周用ではなく地中海クルーズ用の船であると思った。オプショナルツアーのほとんどに参加したが、いずれも内容に比して料金が非常に高く、四、五名でタクシーをチャーターして行動した方がよかったと思ったこともあった。ジャマイカでは現地の一か月の給料が一五ドルくらいであるのにオプショナルツアーの代金が一万二〇〇〇円であった。先遣隊が素人のような者であるため、「船からすぐ」と聞いていた場所が二時間かかったこともあり、高い料金に見合った良い食事が供されるものと期待していたが、実際には鶏肉、キュウリ、キャベツにパン二切れだけであって失望したことがある。前日にレストランで残されたようなものが朝食に出されることもあった。食事がまずいと思い乗組員に聞いてみたら「金さえ出せばいくらでもおいしいものは出せます。今回はかなりディスカウントの料金なのでこんなものしか出せない」と言われた。旅行の終わりころに特に年配者の不満が募り、ミーティングで毎日のように苦情が続出していた。旅行業者であった参加者が「この旅行は違法じゃないか」と主催者側を追及したが、明確な答えはなかった。ミーティングにおける主な苦情はオプショナルツアー、船内設備、食事等に関するものであったが、ピースボート側の回答はほとんど要領を得なかった。また、本件クルーズの運営について、システムそのものに不明朗な点が多く、例えば、主催者は参加代金の割引があるようであるが、それがどの程度であるか、なぜ割引されるのかは全く分からない。
(3) 横川純三の話
ピースボートの者が旅行説明会で説明しており、ピース・イン・ツアーという会社は知らない。説明内容は、乗船に当たっての準備や船内設備に関するものが中心であった。旅行をすべてピースボートが行っていると思っていた。本件客船内で年配の男性が旅行業法に違反しているのではないかと言っていたのを聞いた。本件客船が外国船であったから食事が全く駄目であって、パンで補っている始末であった。和食も時々供されたが、通常は洋食で香辛料が強いために食べられなかった。本来自分は洋食が苦手である上に香辛料が強すぎたためにどうしようもなかった。実はこのようなことになるのではないかと思って乾パンをたくさん持っていった。パンと乾パンばかり食べていた。自分ばかりではなく他の人も食事がまずいと言っていた。コロンボで船が遅れたために地元の漁師と歓談する予定が実現せず、予定されていた料理も出なかった。催し物等は、スタッフが皆若者で、計画されるものが若者向けのものばかりであったため、年配者が皆不満を持っていた。自分が社交ダンスをしていることから自主企画として社交ダンスを企画した。若者向けの企画に参加しない年配者の船室にいるか有料のバーで酒でも飲むしかなかった。水先案内人の講演会が無料で自由参加であったのに、若者があまり参加せず、年配者が義理で聴いていた。自分がそれまでに何度か経験したような豪華な旅ではないことを予測して乗船したから、ピースボートの旅はまあこのようなものではないか、若い人が多いからどうしてもあのようなものになるのではないかと思う。
(八)(1) 被告鈴木は、一〇月一〇日ないし一一日ころ、木村弁護士に電話し、ピースボートに対するクレームのほか旅行業法上の問題を指摘したいと伝えた上、これに対する同弁護士の考えを聞き、その話の内容を「クレーム自体、事実ではない。食事については然るべきスタンダードな物を出しているはずで、苦情の根拠はないと思う。旅行業者、代理店の対応も予め利用者にはきちんと企画の内容を説明しているし、案内書も出している。利用者の一部が純粋に観光と考えていたのであれば、それは勘違いです」との文章にまとめ、これを記載した書面を同弁護士に送り、右文章を記事に掲載することの確認を求めた。木村弁護士は、被告鈴木に対し、右文章を確認した旨連絡した。その後、同弁護士は、右文章の中の「観光」の後に「のみ」を挿入するよう求めた。
(2) 被告片瀬は、本件クルーズの旅行業法上の問題に関してアムネットに対する取材を行うため、事前に連絡した上、一〇月一一日、アムネットを訪れたところ、同社の近藤のほかピース・イン・ツアーの水野修享(以下「水野」という。)が待っており、右両名が取材に応じた。
右両名は、ピース・イン・ツアーとピースボートとの間に特別な関係や結び付きがあるわけではなく、ピース・イン・ツアーの事務所とピースボート事務局が同じ建物内に存在したことも偶然にすぎないこと、ピースボートのクルーズが行われるごとにピース・イン・ツアーからピースボート事務局側に社員一名を派遣し、又はアルバイトを雇って担当者としていること、本件クルーズにおいては何か発生した場合の連絡方法を確保しておけば、あえて旅程管理は必要ないと思われること、アムネットの者は東京における旅行説明会に出席していないこと、ピース・イン・ツアーの者は各旅行説明会に二名以上出席していること、業法上アムネットが主催する形を採らなければならないから、パンフレットに主催者として名前は出したが、実際に行った具体的業務はほとんどないことなどを述べた。
旅行約款を記載した書面を参加者に交付しなかったことについて、近藤は本来交付すべぎである旨述べたが、水野からは交付する義務はないはずである旨述べ、旅程表に主催者としてアムネットの名前を明記しなかったことについての説明は、明瞭でなかった。水野は、そのような旅行業法上の細かいことを聞くのはピースボートに対する別の意図があるのではないか、「週刊文春」がアムネットやピース・イン・ツアーの旅行業法違反について紙面を割く必要性はないのではないか、旅行業法違反の問題を取り上げたいのであればJTBや近畿日本ツーリストへ行けばよいなどと反論した。
被告片瀬は、右取材により、右両名の説明が明瞭とはいえず、また、本件クルーズが世界一周という大旅行であるにもかかわらず、旅程管理が曖昧であったことが裏付けられたと考えた。
(九)(1) 被告鈴木は、知人の旅行業者から本件客船の基本的な資料を入手し、外航船に詳しい業界関係者に対する取材を行い、本件客船が建造から二〇年を経過している上、主にカリブ海等の地域に限ったクルーズに使用されていた船であって、これを世界一周のクルーズに用いるのは無理があるのではないかとの説明を受けた。
また、被告鈴木は、他の旅行業者に対して本件クルーズのパンフレットを示して取材を行ったところ、旅行業法上の問題があること、たとえ法律に触れなくとも信義の問題、社会通念に対する違反行為であると思う旨述べられた。
(2) 本件クルーズの参加者である若杉明子(以下「若杉」という。)は、被告文藝春秋の記者の取材に対し、電柱のビラにより本件クルーズを知ったこと、五〇歳になった記念に地球一周のクルージングを楽しもうというのが申し込んだ動機であること、朝食の時から和食が供されるデッキに乗客の行列ができ、難民船のようなので若杉は並ばなかったこと、本件客船内ではスタッフとそうでない者との区別が非常に分かりにくかったことなどを述べた。
(3) 本件クルーズの参加者である松本賢治は、被告文藝春秋の記者の取材に対し、共に参加した母が、夕食を食べずに船室におり、夕食の代わりにおにきりを食べていたことがあったと述べた。
(この点に関し、甲第七〇号証(原告Aの陳述書)及び原告A尋問の結果中には、松本が、同原告に対し、右発言の主旨は本件クルーズが楽しく有意義であったのでまた参加したく、母の面倒も見てもらいピースボートのスタッフには大変感謝しているというものであった旨述べたとの部分があるが、前記認定事実に照らし、にわかに採用できない。)
(4) 世界一周クルーズを企画している郵船クルーズ株式会社の広報担当者は、被告文藝春秋の記者の取材に対し、世界一周規模のクルーズを行う際にはクレームが出ないように努めるのが当たり前であること、同社は世界一周クルーズの準備に最低二年間を必要とすることなどを述べた。
(一〇) 「週刊文春」編集部は、以上のような取材を行い、取材チーム全体で本件クルーズ参加者十数名等から得た供述や資料を総合し、〈1〉本件クルーズの事前説明、サービス内容、運営について不満を持った参加者がいることは真実であり、現実問題として参加者全員から取材することができないこと及びピースボート運動に共鳴している参加者も多いことを考慮しても、これほどのクレームがあったことを考えれば、本件クルーズの企画や運営に問題があったことは真実である、〈2〉本件クルーズは、法律上の主催者や責任の所在がはっきりしていないこと、募集段階及び出発前の説明が不十分であったこと、旅程の管理が不十分であったことなどの旅行業法上の問題点があり、これらは結局ピースボート主催者団の法律的な立場が曖昧であるという問題に収斂すると結論するに至った。そして、編集部は、社会的に広くその名が知られているピースボートによる本件クルーズに対し中高齢層の参加者を中心にかなりのクレームが出ており、また、旅行業法上も問題があったことを、ピースボートに対する理解が必ずしも十分ではない一般読者に伝えることは意味のあることであると考えた。被告鈴木は、一〇月一〇日深夜から、記事の原稿を執筆し始め、原稿を書き上げると、被告浦谷及び同設楽が順次これを点検し、本件記事として完成させ、一〇月一三日発売の「週刊文春」に掲載された。
(一一) ピースボート主催者団は、平成七年一月二五日ころ、本件クルーズ及び新さくら丸によるクルーズの会計収支報告書(平成五年三月一日から平成六年一〇月二〇日までのもの)をその参加者らに送付した。これには、収入一三億六七三二万〇五四〇円、支出一三億四七八九万七一六三円(事務局費三億三七一九万一四〇〇円を含む。)、差引き一九四二万三三七七円の黒字のうち一七八五万円を主催者出資金返済に充て、残余の一五七万三三七七円は次回のクルーズ準備金として繰り越す旨記載されている。
二 争点に対する判断
1 争点1の(一)について
(一) 本件記事は、ピースボートが企画、運営した本件クルーズにつき報じたものであり、原告Bを除く原告らの氏名に言及していないが、ピースボートの代表として原告Bの顔写真と氏名を掲載している(本件記事部分2)。したがって、本件記事がピースボートという団体の社会的評価を低下させるものであれば、少なくとも原告Bの社会的評価も低下させるものであることは明らかである。そこで、本件記事がピースボートの社会的評価を低下させるものであるかどうかを検討する。
(二) 本件各記事部分(本件記事部分2を除く。)は、ピースボートが地球一周の豪華クルーズを企画したが、参加者から多くの苦情が出たこと(本件記事部分1)、提供された食事がまずく粗末であったこと(本件記事部分1、3ないし7)、楽しめる娯楽がなかったこと(本件記事部分7)、本件客船の性能が劣っていたこと(本件記事部分8)、水の不足で参加者が不自由したこと(本件記事部分9)、オプショナルツアーが事前の予定とは異なる等の事情で参加者との間でトラブルが発生したこと(本件記事部分10、11)、本件クルーズには旅行業法上又は信義上の問題があり、参加者からも苦情が出ていること(本件記事部分12、13)、ピースボートの一部関係者が一般参加者に比して有利な取扱いを受けていること(本件記事部分14)及び本件クルーズにトラブルが発生した責任はピースボートにあること(本件記事部分15)といった事実ないし論評を掲載したものである。
(三) したがって、本件記事は、その内容からみて、ピースボートの社会的評価を低下させるものであり、その結果、少なくとも原告Bの社会的評価を低下させるものであると認められる。
2 争点1の(二)について
(一) 本件記事等の目的について
前記一の認定事実によれば、「週刊文春」編集部は、広くその名が知られているピースボートが世界一周クルーズを企画し、これがマスコミ等を通じて報道・宣伝されて一般の高い関心を集めていたこと、取材の結果、一部参加者にかなり大きな不満があり、また、本件クルーズの企画・運営や責任の所在、ピースボート主催者団の法律的な立場等に問題があると考えたこと等から、本件クルーズの実情と問題点を報道することにしたものと認められる。
したがって、被告文藝春秋による本件記事の掲載及び本件広告は、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益を図る目的によるものであると認められる。
(二) 本件各記事部分について
前記一の認定事実に基づき、不法行為の成否につき検討する。
(1) 本件記事部分1について
ア 本件クルーズの参加者は、ピースボートに理解・共鳴していた者、世界一周の船旅という観光旅行を目的に参加した者など様々であるが、観光旅行に眼目があった者が最も多かった。そして、そのような者は、本件客船のパンフレット(前記一3(一)(2) 、(4) )をみて、高級客船による豪華な世界一周の船旅を想定し、一流の食事を期待して参加したものである。
しかし、実際には、オプショナルツアーが事前の予定と違っていたり、旅慣れた中高年齢層も楽しめるような催しが乏しかったり、水に不自由したり、同乗の若者の服装や立ち振る舞いなどが年配者からみて豪華な海外旅行にはふさわしくないものであり、雰囲気を乱していると感じられたり、本件クルーズの実施・運営についての責任の所在が不明瞭であったりしたため、相当数の参加者が本件クルーズに不満を感し苦情を述べた。観光目的で参加した年配者に不満が強かったが、観光に主眼がなかった参加者もその三割が何らかの不満を感じていた。
参加者の不満の中でも、食事に対する不満は大きかった。これは、嗜好の問題であるから、積極的な評価をする者もいたが、相当数の参加者が食事がおいしくなく期待していたような一流のものとはいえないとの不満を抱いた(その原因の一つは、新さくら丸によるクルーズでは本件ほどの不満は出なかったことを考えると、本件客船が外国船であり日本人の口に合う日本料理の提供に必ずしも十分な態勢でなかったことがあるものと考えられる。)。
食事に対する不満の一つとして、フォーマルな服装の着用を指定されたため日頃の食卓とは異なる高級料理が出ることを期待したのに、サンマの塩焼きがメインディッシュであり失望した参加者がいたという出来事があった。
そうすると、本件クルーズに多くのクレームが出たとの本件記事部分1は、真実であると認められる。また、クレームのうち食事に関するものが多かったので、フォーマル着用日のメインディッシュがサンマであったとの本件記事部分6で触れられている事実を食事に関する象徴的な出来事として見出しでも使用したものと推認されるところ、その前提となる出来事は真実であった。
イ 原告らは、ピースボートがテーマ性を持ったカジュアルなクルーズであることを参加者に事前に十分説明しており、豪華さを強調したことがない旨主張する。そして、甲第五一号証(原告Dの陳述書)及び原告D本人尋問の結果中には、本件クルーズの前に参加者に対し十分にピースボートの理念等を説明したとする部分があり、甲第四、第五号証、第一四号証の一ないし七、第二七、第二八、第三一、第六三号証によれば、ピースボートが本件クルーズの募集及び準備段階において配布していたパンフレット類の中には、ピースボートの有するテーマ性を認識・理解し得る記載があったことが認められる。また、ピースボートの事前の説明会において説明者が使用する旅行説明会進行マニュアルである甲第三三、第五三号証によれば、ピースボートのテーマ性等についても説明することとされていたことが認められる。
しかし、本件クルーズの企画運営に当たったピースボートは、企画が予想以上に好評で問い合わせが多かったため、急遽二隻の客船でクルーズを実施することとし、そのため事務局の経費もかさむ見込みとなったので、一定数の参加者を確保する必要があったと考えられること、多くの参加者が観光目的で参加したこと、被告本多を含む相当数の参加者が不満を抱いたことを考えると、事前に参加者の多くに対しピースボートの趣旨や原告らが考えていた本件クルーズの目的が十分に周知されていたとは認められない。
(2) 本件記事部分3について
ア 朝食のうち和食のバイキングにおいて、料理が置いてあるテーブルが一つしかなく、並ぶ者の行列の長さがプール一周以上になったこと、下駄を履き、あるいはTシャツと短パン姿でフォーマルディナーに現れる者やローラーブレイドで遊ぶ者など、雰囲気を乱す参加者がいたことは前記一4(一)、(五)(1) のとおりである。また、実際に、取材において、未成年らしい若者が喫煙し、ビールをラッパ飲みしていたこと、大人の雰囲気を楽しむようなクルーズではなかったこと、朝食を待つ行列が難民船のようで嫌だったことを述べた参加者もいた。
そうすると、本件記事部分3は、参加者の実際の発言であり、また、その前提としている事実の重要な部分は真実であると認められる。
イ 甲第六六、第一一八、第一一九号証によれば、本件客船以外の客船でもビュッフェ形式の食事の際にはある程度の行列ができることが認められるが、右判断を左右するものではない。
(3) 本件記事部分4ないし同6について
ア 本件クルーズにおいて供された食事について参加者から多くの苦情があったこと、被告本多及び松本賢治が取材に対して本件記事部分4及び同5に引用された趣旨の話をしたことは真実であり、また被告本多らの発言は、その前提としている事実の重要な部分について真実であり、又は被告文塾春秋がこれを真実と信ずるについて相当の理由があったと認められる。
なお、食事が「まるでエサのよう」だったとの部分ば、本件クルーズの成功に向けて努力してきたピースボートの関係者にとって穏当を欠く表現ではあるが、これは比喩的表現であり、被告本多らの食事に対する不満が大きかった(食事の実情からみて、旅慣れた年配者が大きな不満を持つのも無理からぬ面がある。)ため、そのような言い方になったものと考えられる。
イ ノルウェージャン・クルーズ・ライン社作成書面として提出された甲第四六号証の一には、本件客船による世界一周クルーズの食費は一人分一日当たり八・九ドルである旨記載されており、原告D本人尋問の結果中にも同旨の部分がある。
しかし、本件客船の船主ロイヤル・クルーズ・ライン社と甲第四六号証の一の作成者との関係は必ずしも明らかではない。仮に、本件客船における一人分一日当たりの食費が八・九ドルであったとしても、船舶の評論家ダグラス・ワードが本件と関わりのない討論会において、米国を拠点とする客船における一人分一日当たりの食料費が八ないし三〇ドル、日本の客船におけるそれが二五ないし七五ドルである旨述べていること(甲五四)、同じくダグラス・ワードがその著書の中で、食事にかかる費用が一人当たり八ないし四五ドルと幅があり、求められる料理の水準等により変わるものであって、一人一日当たり五〇ないし七五ドルの食費が異常ではない日本人の場合には例外である旨述べていること(乙四九)のほか、被告本多が調理場にいた者から一人一日分の食費が五・五ドルであると聞き、足立正義が乗務員から食事が割引料金である旨聞き、かつ、被告鈴木らの取材に対しその旨話したこと等前記認定事実によれば、本件記事部分4が摘示する事実が重要な部分で真実であり、又は真実と信ずるについて相当の理由があったとの判断を左右するものではない。
(4) 本件記事部分7について
本件記事部分7のうち食事に関する部分は、前記(1) のとおり、真実であると認められる。
「娯楽が何もない」との部分は、その後に続く記述からみて、年配者向けの娯楽が乏しい旨を指摘したものであり、このことは、前記一4(二)によれば、真実であると認められる。
(5) 本件記事部分8及び同9について
ア 上下水に水漏れや水不足、塩辛い上水等の問題があり参加者が不自由な思いをしたこと、本件客船の揺れが結構激しかったことは、前記一4(三)のとおりである。
したがって、本件記事部分9は、真実であると認められる。
なお、「水がない」との表現は前後の文脈からみて水が一切なくなったという意味ではなく水不足で不自由したとの事実を指摘したものであることは明らかである。
本件記事部分8は、右のような問題があったため、本件客船(昭和四九年建造)に世界一周クルーズをするには設備や性能の点で十分でない点があったのではないかとの趣旨の論評である。この論評は、本件客船に起因すると考えられる問題が発生したことが事実であることや老朽化と断定したわけではないことに照らし、その前提としている事実の重要な部分について真実であることの証明があり、また、論評としての域を逸脱してはいないというべきである。
イ 原告らは、船舶専門家の船舶の格付・評価に関する専門書(甲第一一四、第一二四号証の各一、二)を提出し、本件客船は高い評価が与えられている旨主張する。
しかし、本件記事部分8は、原告らが指摘するような専門的・技術的観点から老朽化の問題を取り上げているわけではなく、航海中に現実に水不足等により参加者が不自由をしたとの事実を紹介するに当たり、一般的な意味で本件客船の建造年度が古くそのために問題が生じたのではないかとの趣旨で「老朽化」という表現を用いたことは、記事自体から明らかである。したがって、原告ら提出の右証拠は、前記アの認定判断を左右するものではない。
(6) 本件記事部分10について
ベトナムツアーは、前記一3(一)(2) のとおり、ベトナムにおける工場見学の後に現地ビジネスマンとの交流会が予定されていたものである。
ところが、実際には、工場見学の際に工場責任者が説明を加えたものの、これとは別にビジネスマンと交流する機会は設けられず、取材において、被告本多から不満が前記のとおり述べられた。したがって、本件記事部分10は、真実であると認められる。
(7) 本件記事部分11の前段部分について
ア 参加者は本件クルーズ中荷物を自己の船室に置いておくことができるとパンフレットに記載されていたこと、パレスチナツアーに出発する日の二日前までチェックアウト扱いとされ船室を明け渡さなければならないとの説明は一切されなかったことは、前記一3(一)(2) 、(4) 、4(四)(2) のとおりである。
したがって、パレスチナツアー参加中も船室を明け渡す必要はなく荷物を置いておくことができるということが契約内容になっており、参加者の多くが申込みの際そのように認識していたことは当然であるというべきである。
そして、参加者がツアーの直前になって初めてピースボート側から他人に使わせるので荷物を片付けて船室を明け渡してほしいと言われたことを承服し難いものと捉えたとしても、無理からぬことといわざるを得ない。参加者の不満に対するピースボート側の説明も、前記一4(四)(2) のとおり必ずしも明快なものではなく、特に、ペルーツアーの参加費用との不均衡が明らかになるや、パレスチナツアー参加者の間に不公平感が広がったのに、ピースボー卜側の説明は要領を得ず、参加者を納得させるものではなかった。こうして代金の二重取りではないかとのパレスチナツアー参加者の疑念・不満は解消せず、かえって増大していった。この出来事が本件クルーズにおける最大のトラブルの一つであった。
以上の事実に照らすと、本件記事部分11の前段部分は、真実であると認められる。
イ 原告らは、前々からエジプトの税関当局から「船で出国しない者の荷物を船室内に残すことは認められない」との指示を受けていたため、現地の旅行社の提案に従ってパレスチナツアー参加者の荷物を船室外に搬出せざるを得なかった旨主張し、これに沿う証拠(甲五六の三、甲九三、一一二、一一三の一、二、甲一一六、一二六及び一二七の各一ないし四)を提出し、原告A、同Dも同旨の供述をしている。
しかし、原告ら主張のような事情が背景にあったとしても、本件記事部分11の前段部分で指摘されている事実関係が大筋において真実であることに変わりはない。
なお、仮に原告ら主張のとおりであったとすれば、ピースボート側としては、なおさらもっと早く参加者に説明し理解を得ておくべきであったのに、ツアー開始の二日前になって初めて船室明渡しを要求したのであり、しかも原告ら主張のようなやむを得ない事情によるものとの説明はしなかったところである。
(8) 本件記事部分11の後段部分について
ペルーツアーの経緯は前記一4(四)(3) 記載のとおりである。ペルーツアーに参加したボランティアスタッフの支払額を五〇〇〇円にとどめた措置は、フルクルーズの参加代金を支払っている上に一七万円の代金を支払ってパレスチナツアーに参加した一般参加者との関係において不均衡・不公平の感が否めない。本件記事部分11の後段部分は、真実であると認められる。
なお、「ダブル・ブッキング」との表現は、前後の文脈からみて、厳密な意味で用いられているわけではなく、同一の船室を二人の参加者に割り当てて双方から料金の支払を受ける(ペルーツアー参加者の参加費用のほとんどを事務局が負担したことは前記認定のとおりである。)という意味で使用されているものである。
(9) 本件記事部分12について
ア ピースボートが事前の説明会を開催したこと、パンフレットにピースボートの名称が大きく記載されていたこと、ピースボートが本件クルーズに関する問い合わせに対応していたこと、旅行代金はピースボー卜名義の銀行口座に振り込むことになっていたこと、ピースボートが本件クルーズの実施について中心的な役割を果たしていたこと(ピースボート主催者団は本来世界一周クルーズを企画し開催する目的で結成されたもので、自ら会計収支報告書を作成送付し、その金額に照らしても、ピースボートの活動規模は相当に大きなものであったことがうかがわれる。)、一部のパンフレットに小さな文字で主催者と表示されていたアムネットの関係者が旅行業法上必要なのでアムネット主催の形を採ったが、実際にはほとんど何もしていないと述べていることなど前記一の認定事実を考えると、本件クルーズの計画を作成し、参加者を募集して旅行を実施した実質的な主催者は、ピースボートであったと認めるのが相当である。
これは、旅行業を営むには運輸大臣の登録を受けなければならないと定めた旅行業法との関係上、疑義のあることである(ピースボートが登録を受けているとの証拠はない。)。
そして、右事実によれば、参加者の中にピースボートが本件クルーズを主催していると思った者や誰が責任者であるかわからず責任の所在が判然としていないと受けとめた者がいたことは、無理からぬ面がある。
本件記事部分12は、パンフレットの文字の大小だけを問題としているのではなく、前記一5(一〇)の認定事実のほか、右記事部分の前後に「いったい誰がこのクルーズを主催し、その責任を負うのだろうか」「これ(パンフレット)は、(中略)ピースボートは企画だけに過ぎない、という意味です」「参加者は『ピースボートが主催者だと考えていた』と認識している」等の記載があることからみて、右に述べた本件クルーズの旅行業法上の問題点を指摘しているものである。
したがって、本件記事部分12は、その前提としている事実の重要な部分について真実であると認められ、また、旅行業法違反と断定しているわけではなく、問題があると指摘するにとどめているのであって、この論評部分も論評としての域を逸脱しているとはいえない。
イ 甲第七号証の三、第二〇号証、第五二号証の一ないし三(主催旅行社と企画者が異なる形態の旅行や、主催旅行社でない者を主催と表記しているパンフレットが他にも存在することを示す証拠)は、右判断を左右するものではない。
なお、本件客船に添乗員が乗っていなかったとの記述は、高額の旅行代金を支払った参加者が通常期待する接客を受けることができなかった事情の一つとして指摘されているものであるから、本件クルーズのほかにも添乗員が同行しない旅行が相当数存在していたとしても、右記述に問題があるとは認められない。
(10) 本件記事部分13について
前記(9) によれば、本件クルーズにおける参加者の募集・運営方法、苦情への対応等について責任の所在が判然としないものであったという問題が生じた原因の一つにパンフレットの記載方法があると指摘したことには相当の理由があり、また、JATAに対する前記取材経過(一5(四))に照らすと、本件記事部分13は、摘示された事実の主要な部分が真実であると認められる。
(11) 本件記事部分14について
主催者は、前記一2のとおり、出資額に応じて本件クルーズの参加代金の免除・割引を受けられるとされていた(主催者は、最終的な収支が赤字になった場合等には出資金が返還されない危険を負担したが、本件クルーズにおいては結局全額返還されるに至っている。)。また、先遣隊は、主催者のみが担当することができ、オプショナルツアーの企画から下見、交渉全般を行ったものであり、その渡航等に要する先遣費用は、一次的にはピースボートと先遣隊である主催者個人が折半して負担する(先遣隊は通常の半額の負担で海外に行ける。)ものの、最終的な収支が黒字になった場合は優先的に右個人の負担分を返還することとされていた(本件クルーズにおいては全額補填された。)。
これらの事実と、通常の料金を支払った一般参加者が一部主催者側の対応に不十分な点があると感じるような実情にあったことやオプショナルツアーに関するトラブルはその準備、打合せに欠ける面があったことが一因と考えられることなどを併せ考慮すると、本件記事部分14は、その前提としている事実の重要な部分が真実と認められ、表現としても適切を欠くとはいえない。
なお、原告らは、先遣隊は必要な義務を地道に行っており厳しいものであった旨主張するが、オプショナルツアーの不手際を考えると、通常の半額(最終的には無料となる可能性もある。)で海外に行けることを「特典」と評価することが実態と大きくかけはなれているとは認められない。
(12) 本件記事部分15について
ピースボートによる世界一周クルーズの企画は予想を超えた反響があり、急遽本件客船を傭船して二隻で実施することとなり、事務局の負担や規模も拡大した(前記一5(二)の会計収支報告からも事務局機能が相当程度のものであったことがうかがわれる。)。そして、本件クルーズには、ピースボートの理解者、共鳴者だけではなく、ピースボートの趣旨や目的を十分に理解せず純粋に世界一周の観光旅行を目的に参加した者が多数であったことも前記認定のとおりである。このように、本件クルーズには、一般参加者からは旅行の主催者と考えられていたが、自らは旅行業や接客のプロではなくサービスする側とされる側との区別はないと考えて乗船した者と、一般の観光旅行と考え旅行代金に見合った世界一周旅行にふさわしい接客が受けられるものと期待し楽しみにしていた多数の一般参加者とが混在していたことが種々のトラブルの要因の一つとなっているものと考えられる。
以上の事情に、安在に対する前記取材経過(一5(五)(2) )を併せ考慮すると、本件記事部分15は、摘示された事実又はその前提としている事実の重要な部分が真実であると認められ、また、論評部分もその域を逸脱しているとはいえない。
(三) 小括
以上の次第であるから、本件記事の掲載は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあり、本件記事部分1、同3ないし同15は、摘示された事実については、いずれもそれが真実であるとの証明があるか、又はこれを真実と信ずるについて相当の理由があったものであり、表明された意見ないし論評については、いずれもその前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があるか、又は右事実を真実と信ずるについて相当の理由があったものであり、かつ、意見ないし論評としての域を逸脱しているとまではいえない。また、本件記事全体についても、前記認定事実に照らすと、それが意見ないし論評としての域を逸脱しているものということはできない。したがって、これらの本件記事部分は、不法行為としての違法性ないし故意・過失を欠くものというべきである。
そうすると、本件記事部分2及び本件広告が不法行為に該当しないことも明らかである。
3 被告本多について
前記一の認定事実(特に一5(一)、(六)(1) )によれば、一般参加者であった被告本多は、食事やパレスチナツアーなど本件クルーズにかなりの不満を抱き、ピースボートの事後の対応が被告本多の不満を一層増大させたこと、そこで、被告本多は、ピースボートに反省を促すとともに、今後の参加者が自分と同じような思いをしないようにするため本件クルーズの実情を広く一般に知らせようと考え、被告文藝春秋に記事の作成掲載を求めたものである。
被告本多が本件クルーズに不満を抱いたのは無理からぬ面もあり、また、被告本多の行動が不正不当な目的に基づくものであったとの証拠はない。
したがって、被告本多の行為も不法行為には当たらない。なお、被告文藝春秋は、被告本多の働きかけや資料提供を契機に本件記事を作成掲載したものであるが、これはあくまで被告文藝春秋の自主的な判断と独自の取材によるものであり、しかも、同被告による本件記事の掲載が不法行為に当たらないことは、前記認定のとおりである。
三 総括
以上によれば、本件記事の掲載及び本件広告に関する被告らの行為は、被告らに保障された言論、論評の自由との関係で、いずれも不法行為に該当しないものというべきであるから、その余の点につき判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六一条、六五条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 菊池洋一 裁判官 村田渉 裁判官 清藤健一)
別紙一~五〈省略〉
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