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裁判年月日 平成21年11月25日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平２１（う）１５０９号
事件名 爆発物取締罰則違反、火薬類取締法違反事件
裁判結果 棄却 上訴等 上告（棄却） 文献番号 2009WLJPCA11256003
要旨
◆爆発物取締罰則1条あるいは3条にいう「治安妨害目的」や「身体財産加害目的」の存否を判断する際，その基礎事実の一つである爆発物の爆発力，危険性については，その使用あるいは所持の時点において一般人に認識可能だった事情及び一般人は認識し得なかったが行為者本人が特に認識していた事情を基礎として，一般人がどのようにその爆発力，危険性を認識するかという点から規範的に捉えるべきである。
◆被告人が爆発物を所持・使用した際に，治安を妨げる目的及び人の身体財産を害する目的のいずれをも有していたとされた事例
新判例体系
刑事法編 > 刑法 > 爆発物取締罰則〔明治… > 第一条 > ○爆発物使用罪 > （一）行為 > Ａ 目的 > （３）目的の在否の判断基準
◆爆発物取締罰則第一条あるいは第三条にいう「治安妨害目的」や「身体財産加害目的」の存否を判断する際に基礎となる爆発物の爆発力、危険性については、一般人に認識可能であった事情及び行為者が特に認識していた事情を基礎として、一般人がどのように認識するかという点から規範的に捉えるべきである。
裁判経過
上告審 平成22年 4月26日 最高裁
第一審 平成21年 6月30日 東京地裁 判決
出典
東高刑時報 60巻213頁
評釈
若尾岳志・刑事法ジャーナル 26号111頁
参照条文
爆発物取締罰則１条
爆発物取締罰則３条
裁判年月日 平成21年11月25日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平２１（う）１５０９号
事件名 爆発物取締罰則違反、火薬類取締法違反事件
裁判結果 棄却 上訴等 上告（棄却） 文献番号 2009WLJPCA11256003
（抄録）
1 原判示第1，第4及び第5の各事実は，被告人が，いずれも治安を妨げ，かつ，人の身体財産を害する目的を持って，①平成20年9月9日午前10時ころ，横浜市金沢区のａ公園バーベキュー場の沖合約240メートル付近海上において，爆発物である遠隔操作装置付爆弾1個（容量約1000リットルのローリータンク内に硝安油剤爆薬約540キログラムを装填するなどしたもの）を所持し（原判示第4の事実。以下「ローリータンク爆弾事件」という。），②同月18日午前2時40分ころ，千代田区内のｃ交差点ｄ濠側歩道上において，駐車させた小型貨物自動車の荷台に積み上げた土嚢上から，金属製消火器型爆発物1本を点火して皇居に向けて発射し，約137.5メートル離れた皇居敷地内に到達させて爆発させ（原判示第1の事実。以下「連結消火器型爆弾事件」という。），③同じころ，同歩道上において，時限装置付爆弾2個（ア 約56リットルのドラム缶にアルミニウム粉末を混合した硝安油剤爆薬約42.5キログラムを装填し，その中に起爆装置としてアルミニウム粉末を混合した黒色火薬約1597グラムを装填した消火器爆弾を備えて時限装置に接続したもの1個及びイ 同様のドラム缶に硝安油剤爆薬合計約36.5キログラムを装填し，その中に起爆装置として前同様の黒色火薬合計約363グラムを装填して時限装置に接続したニップル管爆弾6本を装着したもの）を，それぞれ午前8時ころ起爆するようにセットして順次ｄ濠に投下して爆発物を使用した（原判示第5の1及び2の各事実。以下これらを一括して「ドラム缶爆弾事件」という。）という，いずれも爆発物取締罰則違反（①は3条違反，②，③ア，イは1条違反）の事案である…〈省略〉…。
2 まず，ローリータンク爆弾事件について検討する。
(1) 治安妨害目的の存否について
関係各証拠から認められるローリータンク爆弾の想定される爆発物としての威力，同爆弾が繋留されていた場所の地域的特性あるいは捜査段階から原審段階における被告人の供述から認められる同爆弾所持の動機に照らせば，ローリータンク事件について，被告人に治安妨害目的があったことは，以下のとおり，優に認められる。すなわち，
ア まず，ローリータンク爆弾の爆発物としての威力は，客観的には前記のとおりであるが，被告人自身，多数回にわたる爆破実験を経た上で，かなりの爆発力を備えるに至ったと感じるようになったアンホ爆薬を，ローリータンク内に実に540キログラムも入れ，これを爆発させようとしたものである。被告人の思惑どおり，540キログラムすべてが爆発した場合はもとより，すべてでなくともその多くが爆発すれば，相当な爆発力となることは明らかである。被告人は，その控訴趣意書において，ローリータンク爆弾は，起爆弾がニップル管爆弾1本のみであったし，それほど大きな爆発になるとは思っていなかったと主張し，原審において，その趣旨の供述もしているけれども，他方で，当時，爆薬の一部が爆発すると，それに連鎖して，次々と爆発していくという性質，すなわち殉爆性が硝安油剤爆薬にはない，あるいは乏しいということを明確には認識していなかったことを認めているのであるから，ニップル管爆弾1本の起爆により540キログラムの手製アンホ爆薬の相当量が爆発し，相当程度の爆発となることを期待していたものと認めるのが相当である。現に，海上保安庁からの電話を受け，ローリータンクの内容物に疑いを持たれていることを知って同爆弾を処理しようと本件犯行場所に赴いた際，爆発の様子を映像に撮影すべくビデオカメラを携行しているが，ローリータンク爆弾までの距離が240メートルもあることを考えると，その撮影は相当の爆発であることを期待してのものと考えられるし，また，ローリータンク爆弾を海に沈めた後に，ニップル管爆弾1本では大量の手製アンホ爆薬を爆発させることはできないとして，爆発力の増強に向けた更なる実験を行っていることは，ローリータンク爆弾が誤爆した際の爆発の程度が被告人にとって不本意なものであったことを明らかに示すものである。さらに，付言すると，爆発物取締罰則1条あるいは3条にいう「治安妨害目的」や「身体財産加害目的」の存否を判断する際，その基礎事実の一つである爆発物の爆発力，すなわちその危険性については，同条の罪が抽象的危険犯であることを考えると，純客観的に見るべきものではなく，その使用あるいは所持の時点において，一般人に認識可能だった事情及び一般人は認識し得なかったが行為者本人が特に認識していた事情を基礎として，一般人がどのようにその爆発力，危険性を認識するかという点から規範的に捉えるべきものである。そして，その観点から判断すると，多数回にわたり爆弾実験を繰り返した上で，その爆発力を認識し，540キログラムもの手製アンホ爆薬を入れて製造されたローリータンク爆弾は，客観的に殉爆性が乏しいものであったとしても，一般人の立場から見れば，相当の威力ある爆発に至る危険性があると捉えるものであるから，その点からも被告人の上記弁解は採用できないとしなければならない。
イ 犯行場所であるａ公園は，被告人自身，誰でも知っている「顕著な場所」としてここを選んだと述べているとおりの著名な観光地の一つであり，原判決が第3の2(2)イに認定するとおり，非常に多くのレジャー客等が集まる場所である。
ウ 上記のような犯行場所で，ローリータンク爆弾が爆発すれば，これを目撃した来園者や公園関係者にテロ行為を想起させ，多大の恐怖心や不安感を与えるとともに，マスコミにも大きく報道され，報道に接した多くの人々にも同様の不安や脅威の念を生じさせることは多言を要しない。現に，本件犯行を目撃し，本件犯行現場周辺でローリータンク爆弾に関わりを持ったｂサービス従業員らは一致して恐怖感を供述しているところである。そして，被告人自身も，捜査段階から，本件犯行の動機を，座間市議会議員選挙に立候補し，その選挙期間中に海上で大量の手製アンホ爆薬を爆発させ，世間の反応を見てみたいと述べているところに照らせば，被告人も当然そのような認識を持ち，これを認容していたと推認できるし，かえって，この供述は社会に衝撃を与えることを意図し，期待していたと見るべきものである。したがって，ローリータンク爆弾事件において，被告人に治安妨害目的があったことは否定し難い。
エ 被告人は，その控訴趣意書において，ローリータンク爆弾事件を含め，本件各犯行に及んだ動機について，どのような世間の反応があるか興味を持つとともに退廃的な世相に喝を入れ，やる気と正しくあろうという気概を啓発したいという漠然とした思いからであり，人心や社会に不安を与えることを意図していなかったと主張し，当審公判においても，世間をびっくりさせようとは思っていなかった，世間の人に不安を覚えさせるような行為をしたと感じていない旨の供述をしているけれども，退廃的な世相云々の主張は，当審に至って初めて出されたものであり，そもそもその信用性には疑問があるし，上記のような相当程度の爆発力がある爆発物を使用している以上，テロ行為等と結び付けられ，社会に不安感や恐怖心を与えることになることは容易に認識できるはずである。また，どのような世間の反応があるか見てみるつもりであったとしながら，世間をびっくりさせようとは思わなかったなどとする供述は，それ自体自己矛盾といってよく，自己の刑責を免れようとするための強弁に過ぎず，到底信用し得ない。
(2) 身体財産加害目的の有無について
身体財産加害目的についても，ローリータンク爆弾の爆発物としての危険性，犯行場所の状況，犯行に至るまでの間のｂサービス従業員らとの関わり等のほか，被告人の捜査段階及び原審段階の供述状況に照らせば，その存在は十分に認めることができる。
すなわち，
ア 被告人が所持したローリータンク爆弾の爆発力は上記のとおりであり，また，一般人から見た場合，爆発物としての大きな爆発力を持った危険性のあるものと評価されるものであることも既述のとおりである。
イ 原判決も指摘するとおり，ａ公園には非常に多数のレジャー客があり，その中の海上レジャーを楽しむ者がローリータンク爆弾の繋留されている沖合約240メートルの地点付近まで近づくことも十分に考えられる。また，繋留した付近に横浜市長所有の公園区域表示ブイ14基等が設置されていることも原判決が説示するとおりである。
ウ 取り分け，被告人がローリータンク爆弾を本件現場に繋留する前後において，ａ公園を管理するｂサービス従業員らからローリータンクを現場海上に繋留することにつき注意を受けていたことからすれば，同従業員らがローリータンク爆弾の検査，点検に赴くことも十分想定される事態であったし，実際，同従業員らはそのような行動に出ていた。
エ ローリータンク爆弾は，遠隔操作起爆装置によって爆発させる構造ではあるが，被告人自身，遠隔操作によらないでも起爆装置が作動してしまう危険性を感じており，現に海上保安庁からの電話を受け，同爆弾を処理しようと考えたのも，スイッチは手動でも入れることができるから危ないと思っており，海上保安庁職員らが繋留場所に赴き，そのような行為に出ることがあり得ると考えたからであると述べている。
オ 現に，ローリータンク爆弾は，被告人の意図しない時点で誤爆しており，客観的に見ても，起爆に至るその構造は不安定であったことが否定できないし，被告人自身その脆弱性を認識していたと認められる。
カ 以上の諸事情を総合すれば，ローリータンク爆弾事件については，被告人において，人の身体，財産に対して，加害が及ぶことを意図していたとは認められないものの，その未必的な認識，認容があったことは否定できない。
キ 被告人は，その控訴趣意書において，公園の作業船がローリータンク爆弾の蓋を開けて何かすることはあり得ず，また，鉄パイプ爆弾1本で大量の手製アンホ爆薬を反応させるため，爆力も弱く，また，海上レジャーを行う者が近くにいる可能性も低く，被害は出ないものと考えた，ブイ等の財産に危害を加える可能性については，十分に距離が離れており皆無であるなどと主張し，身体財産加害目的はなかったとするが，既に説示しているとおり，いずれも理由がない。
3 連結消火器型爆弾事件及びドラム缶爆弾事件について
(1) 治安妨害目的の有無について
関係各証拠から認められる連結消火器型爆弾の爆発力及びドラム缶爆弾の想定される爆発物としての威力，各爆弾が使用された場所の地域的特性あるいは捜査段階から原審段階における被告人の供述から認められる同爆弾使用の動機等に照らせば，両事件について，被告人に治安妨害目的があったことは以下のとおり，明らかである。すなわち，
ア 連結消火器型爆弾及びドラム缶爆弾の爆弾としての構造，その爆発力は，前記のとおりであるが，連結消火器型爆弾に充填された黒色火薬は相当の爆発力を有し，人の身体や財産に危害を加える能力を十分備えたものであるし，各ドラム缶爆弾は，捜査機関の実験によれば，ｃ交差点のｄ濠側歩道上に十分その破片が到達し得るものである。また，各爆弾は被告人による多数の実験を経た上で製造されたものであり，かつ，1個のドラム缶爆弾については，ローリータンク爆弾の誤爆の状況から，ニップル管爆弾1本では手製アンホ爆薬が十分に起爆しなかったと考え，ニップル管の本数を6本に増やしていることや他の1個についても爆発力を高めるため，アルミニウム粉末を混合した黒色火薬を起爆装置としていること等に照らすと，いずれの爆弾も，一般人の立場から見れば，爆発物として大きな爆発力を持った非常に危険性の高いものと評価されるべきものである。
イ 連結消火器型爆弾を発射し，また，ドラム缶爆弾を投下したｃ交差点周辺は，原判決も指摘するように，我が国の国政，文化に関わる重要な施設が所在する場所である。そして，連結消火器型爆弾は，ｄ濠を越え，皇居に向けて発射されたものであり，ドラム缶爆弾はｄ濠に投下されたものである。皇居に向かって強い爆発力を持った爆発物が発射され，あるいは，その濠において同様の爆発物が使用されれば，社会的に見て，天皇制に対するテロ攻撃ではないかと受け止められる可能性があることは明らかである。周辺に国政上も重要な施設があることを考えると，さらにより大きなテロにつながるものではないかとの疑心を煽るものでもある。現に，連結消火器型爆弾事件発射当時，爆発音を聞いたり，閃光を見たりしたｃ交差点付近の各所で警備等に従事していた者や自動車を運転して同交差点に差しかかった者更には就寝していた近隣住民は，テロではないかと思った旨供述するなど，一様に恐怖や不安を感じたことを供述している。これらによれば，いずれの爆弾についても，直接見聞きした者だけではなく，マスコミ等で聞き知った一般人がテロ行為と結び付けるなど，不安感を抱くことは否定し難い。
ウ そして，このような状況を招くことは，行為者として，容易に認識できるものである。被告人は，これらの爆弾についても，世間の反応を見たいと述べており，かつ，上記のとおり，ローリータンク爆弾の失敗からさらにその爆発力を高めようとしていたことを併せ考えると，被告人は，社会がそのような不安や脅威を覚えるであろうことを十分に認識しながら敢えて本件各爆弾を使用したのであるから，治安妨害目的を有していたことは明らかである。なお，被告人の控訴趣意書に主張されている被告人のこの点に関する弁解あるいは当審における供述が信用し得ないことは，既にローリータンク爆弾事件に関して述べたとおりである。
(2) 身体財産加害目的の有無について
連結消火器型爆弾事件及びドラム缶爆弾事件についても，以下のとおり，被告人には身体財産加害目的が十分に認定できる。
ア 連結消火器型爆弾について
（ア） 連結消火器型爆弾の構造及びその爆発力は前記のとおりであって，充填された黒色火薬は相当の爆発力を有し，人の身体や財産に危害を加える能力を十分備えたものであり，そのことは，原判決も説示するように，被告人も十分認識していたと認められる。また，一般人としての視点から規範的に見たところでもその爆発力等の危険性は同様に評価できるものである。
（イ） この連結消火器型爆弾の発射台は，自家用小型貨物自動車の荷台に敷き詰めるように置かれた土嚢袋であり，同爆弾は堅固な材質の物の上に置かれたものではないし，発射台は固定されているわけでもなく，構造的に不安定なものである。また，それまでに被告人が神奈川県愛甲郡の丹沢山中で繰り返し行った実験を見ても，連結消火器型爆弾同様の爆弾の発射実験は1回のみであり，かつ，その結果も後方推進弾の亜鉛板を4枚にしたことから後方推進弾は爆発し，同爆弾がどの程度飛翔するかの実験としては失敗に終わっている。さらに，連結消火器型爆弾は，後方推進弾と前方爆裂弾が時間差で爆発するよう設計されているものの，実際に時間差で爆発するかについては実験さえ行われていない。飛翔に直結する消火器型飛翔物については，5回ほどの実験ができたものの，亜鉛板を3枚にした結果最も遠くまで飛翔した物はその後発見できなかったため，飛翔距離は目測300メートルであったという程度しか分からず，他方，捜査機関の実施した連結消火器型爆弾の実験においては，発射地点のわずか16メートル先にしか到達せずに爆発したものもあった。これらの事実からすると，連結消火器型爆弾を皇居に向けて発射するといっても，その飛翔距離，飛翔方向，爆発時期，爆発位置等は不確実であったと認められるのであり，上記のような実験状況とその結果から，被告人もその不確実性を認識していたことは明らかである。
（ウ） 犯行場所であるｃ交差点付近の建造物等の状況は前記のとおりであるが，夜間とはいえ，その交通状況も相当程度あったことが認められる。そして，当時ｃ交差点を通過しようとしていた自動車運転者が，連結消火器型爆弾及び消火器型飛翔物発射の際の爆発音により，驚愕し，ハンドル操作を誤り，危うく事故になりかけたと述べているが，現実に事故を惹起することも十分に考えられたことであるし，仮にそうなれば，連結消火器型爆弾等の使用と相当因果関係を有するものであって，このような事態を生ずる可能性は，本件現場の場所的性格からすれば容易に想起しうるものである。
（エ） また，被告人は，発射方向である皇居敷地内に存在する施設等について明確な認識を有していなかったと認められるが，他方，皇居の重要性からして，その周辺には様々な警護設備があり，また，夜間であっても警備関係者がいることなどが可能性として十分考えられ，そのことも容易に想定できるはずである。そして，現に，連結消火器型爆弾は，約137メートル飛翔して，ｄ濠を超え，皇居敷地内の堤腹に到達して爆発したが，その際，同所に設置されていた皇宮警察管理の電波信号線センサーの支柱1本を破損させた。
（オ） 以上の事実を総合すれば，連結消火器型爆弾を発射した際，被告人は，発射方向に存在する施設や設備，あるいは人間に対して，場合によっては，危害を加えることになる可能性を認識しながら，敢えて同爆弾を発射したものというべきである。また，爆弾の製造方法や発射台の状況等に照らせば，同爆弾の発射は，被告人の意図どおりの方向に飛翔して爆発するという絶対的な確実性はなく，思惑外の方向に飛び，あるいは，飛翔と同時に爆発したりするなど，想定した時間差をもった爆発とはならない可能性もあったと考えられる。そして，そのことは被告人においても，前記のとおり，あり得べきこととして認識していたと認められ，そのような事態となれば，ｃ交差点周辺の建物や付近を行き来する歩行者や走行する自動車やその運転者に対して危害を加えかねないものであったとしなければならない。結局，連結消火器型爆弾の使用に際して，被告人には，人の身体，財産を害するという意図まであったとは認められないものの，その未必的な認識，認容はあったというべきである。
（カ） この点について，被告人は，その控訴趣意書において，ｄ濠の堤腹に前記センサーがあることは知らなかったし，飛翔方向に人がいないことは目視で確認している，また，発射されることは実験上明らかであったし，発射方向以外に飛翔することは考えられず，発射後に爆発する構造であるから，ｃ交差点周辺に危害を及ぼす可能性はなかった，加えて，発射方向以外の荷台板は上げられており，万一逆推進したとしても，それによって止められたはずであると主張し，身体財産加害目的はなかったとする。しかしながら，発射方向に存在する設備等について，被告人は，事前に十分な確認をしたわけでもなく，また，発射直前の目視も夜間であることを考えると確実なものとはいえない。かえって，既に述べたとおり，皇居自体の重要性からすれば，その周辺に様々な警備施設や設備がある可能性を，通常人であれば認識し得たはずである。被告人は，事前の実験の結果，被告人の意図どおり，同爆弾は飛翔，爆発することは確実であるとするが，被告人の実験の方法や検証・分析は，様々な点で厳密さを欠いた非常にアバウトなものであって，その結果に全面的に依拠できるようなものではない。また，その製造方法からして，実験に用いた物と全く同一構造，同一能力を持った爆弾を製造できないことも明白である。ローリータンク爆弾の失敗はその現れであるし，取り分け，連結消火器型爆弾は，直前に実験を失敗しているのであるから，確実性がないものであることは被告人自身，十分に認識していたはずである。被告人の，発射方向以外の荷台板は上げていたから，万一逆推進したとしても，それによって止められたはずであるとの主張自体，逆推進を全く想定していなかったわけではないことを物語るものである（なお，この点について付言すると，当該荷台板は写真で見る限りは，せいぜい50センチメートルにも満たないものであって，逆推進の全ての場合にそれに当たるとは限らないし，それに当たって後爆発した場合に付近の通行車両や通行人の身体財産に対する危害を防ぐことができるとは到底認め難い。）。以上の次第で，被告人の所論はすべて採用できない。
イ ドラム缶爆弾について
（ア） ドラム缶爆弾の構造及びその爆発力については前記認定のとおりであって，捜査機関の実験によっても，人の身体や財産に危害を及ぼし得る爆発力があることは明らかである。加えて，被告人は，9月13日の実験結果を踏まえ，爆発をより効果的にすべく，ドラム缶を浮かせるために手製アンホ爆薬の量を減らす一方，爆発力を増やすためにアルミニウム粉末を手製アンホ爆薬に添加している。さらにドラム缶爆弾は2個であり，これらをほぼ同位置に投下されており，これらに照らすと，身体加害目的の有無を判断する基礎事実としてのドラム缶爆弾の爆発力については，一般人の観点から規範的に見れば，相当強度のものがあるというべきである。
（イ） 関係証拠によれば，起爆予定時間である午前8時ころのｃ交差点付近の交通量は，通行歩行者，通行車両とも非常に多く（犯行日と同じ木曜である平成20年10月23日午前7時から午前9時までのｃ交差点付近の通行車両数は3630台，通行歩行者（自転車乗車者を含む。）数は，768名であり，1分当たりに換算すると，その通行車両数は約30台，通行歩行者数は64名である。），そのことは被告人も容易に予見できるはずである。被告人は，投下後，付近の歩道上に，「爆雷投下済 朝方起爆予定」と記載した警告書面（ちらし）を置いているが，そのこと自体，被告人がドラム缶爆弾の爆発により通行人等の身体財産に危害が及ぶ可能性が皆無ではないことを認識していたことを示すものである。
（ウ） 以上によれば，ドラム缶爆弾の使用においても，被告人に身体加害目的があったことは否定できない。
（エ） 被告人は，その控訴趣意書において，ドラム缶爆弾はその大半が水面下に沈んだ状態での爆発を想定しており，その状態での爆発であれば，斜め上方向の歩道上への危険はなかった，また，前記警告文を記載したちらしを歩道上に置き，濠内に人が立ち入ることの危険も知らせているから，いずれの場合も身体財産加害目的はなかったと主張する。しかしながら，ドラム缶爆弾の爆発力については前記のとおりであるし，また，警告書面もはがき大という小さなもの2枚を路面に無造作に置いたに過ぎないものであって，真摯に被害発生防止のための措置を採ろうとしたものとは到底認められない。
（中山隆夫 衣笠和彦 瀧岡俊文）
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⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン！が致します。
所属政党の「党員募集獲得代行」、政治団体および後援会等の「入会募集獲得代行」は、こちらです。
当該政党の「党員」「サポーター」募集等の規定に従って、選挙立候補(予定)者様に代わって政党への入党におけるご案内を促します。
どぶ板同行OJT(座学研修および実地特訓)で学ぶ「スパルタ個別訪問同行OJT」は、こちらです。
候補予定者様ご本人・選挙事務所スタッフ・ボランティア様が効率良く「どぶ板の政治活動」が行なえるようアドバイスいたします。
絶対的な地盤を構築する「立札看板設置交渉代行」は、こちらです。
選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立するためのご支援をさせていただきます。
あらゆる政治選挙におけるお困りごとを支援する「選挙の窓口」活動支援一覧は、こちらです。
「地上戦」「空中戦」「ネット戦略」などを駆使し、当選に向けたコンサルティングおよびプランニングのご支援をいたします。
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88％ ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6％ ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4％ ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2％ ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン！の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
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