あなたの街の「ポスターPR」貼る(掲示許可交渉)前に知っておきたい地域情報「掲示管理許可承諾」1

裁判年月日　平成28年12月 8日　裁判所名　東京地裁　裁判区分　判決
事件番号　平２７（ワ）３００３３号
事件名　建物明渡等請求事件
文献番号　2016WLJPCA12086011

裁判経過
控訴審平成29年 5月18日東京高裁判決平２９（ネ）１７３号建物明渡等請求控訴事件

出典

東京都杉並区〈以下省略〉
原告株式会社Ｘ
同代表者代表取締役Ａ
同訴訟代理人弁護士Ｂ
同Ｃ
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告株式会社Ｙ
同代表者代表取締役Ｄ
同訴訟代理人弁護士Ｅ

主文

１　原告の請求をいずれも棄却する。
２　訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第１　当事者の求めた裁判
（請求の趣旨）
１　被告は，原告に対し，原告から９７２７万９９２０円の支払を受けるのと引き換えに，別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。
２　被告は，原告に対し，平成２７年６月１６日から別紙物件目録記載の建物の明渡済みまで１か月３６７万０９２０円の割合による金員を支払え。
３　訴訟費用は被告の負担とする。
４　第２項につき仮執行宣言
（本案前の答弁）
１　本件訴えを却下する。
２　訴訟費用は原告の負担とする。
（本案の答弁）
１　原告の請求をいずれも棄却する。
２　訴訟費用は原告の負担とする。
第２　事案の概要
１　事案の要旨
本件は，別紙物件目録記載の建物（以下「本件建物」という。）の所有者である原告が，原告から本件建物を賃借している被告に対し，原告と被告との賃貸借契約（以下「本件賃貸借契約」という。）が立退料の提供を伴う解約申入れにより終了するとして，賃貸借契約終了に基づき，立退料９７２７万９９２０円の支払と引き換えに本件建物の明渡し，及び，債務不履行に基づき，賃貸借契約終了の日の翌日と主張する日である平成２７年６月１６日から本件建物の明渡済みまで，１か月３６７万０９２０円の割合による賃料相当損害金の支払を求める事案である。
２　前提事実（当事者間に争いがないか，掲記した証拠等により容易に認められる事実。なお，枝番のある書証は，特に断らない限りそのすべてを含む。以下同じ。）
(1) 　本件建物に関する賃貸借契約の経緯
ア　ａ株式会社（以下「ａ社」という。）は，昭和５３年３月２９日，本件建物を建設し，所有権保存登記をした。（乙１，３，弁論の全趣旨）
イ　株式会社ｂ（以下「ｂ社」という。）は，昭和６０年１月３０日，本件建物及びその底地の所有権をａ社から売買により取得した。なお，被告は，当時，ａ社の１００％子会社であったが，同時にｂ社がａ社から被告の全株式を取得した。被告は，ａ社が本件建物を所有していた当時から，本件建物を一括して借り受け，本件建物を各テナントに転貸していた。（当事者間に争いがない事実のほか，乙１，３）
ウ　被告は，ｂ社が本件建物の所有権を取得する昭和６０年１月以前は，ａ社から本件建物を月額賃料５００万円で賃借していたところ，ｂ社と被告は，昭和６０年２月１日，ｂ社を賃貸人，被告を賃借人とし，賃貸期間を２０年，賃料を月額１０００万円とする賃貸借契約を締結した。（当事者間に争いがない）
エ　ｂ社は，平成３年１２月１０日，東京地方裁判所に和議の申請をし，事実上倒産した。（当事者間に争いがない）
オ　株式会社ｃ（以下「ｃ社」という。）は，昭和６２年３月２７日，ｂ社の出資により設立されたところ，平成１１年９月２１日，競売による売買を原因として本件建物を及びその底地の所有権を取得した。（当事者間に争いがない）
カ　ｃ社は，被告との間で，平成１２年５月９日付け及び平成１３年２月２１日付けの２通の建物賃貸借契約公正証書（甲２，３。以下，前者を「本件公正証書１」といい，後者を「本件公正証書２」という。）を作成しているところ，本件公正証書２の内容は，以下のとおりである。なお，原告は，本件公正証書２の作成により，原告と被告との間で改めて本件建物の賃貸借契約が締結されたと主張するところ，その当否については争いがある。（甲２，３）
（ア）　ｃ社は，平成１１年９月２１日，被告に対し，本件建物について，次項以降の約定により引き続き賃貸した。
（イ）　賃貸借期間
平成１１年９月２１日から平成２１年９月２０日までの１０年間とする。
（ウ）　賃料　１か月３００万円（本件建物が競売等のためテナントの退店，不法占有者に対する明渡裁判手続，転借人の変更等により十分に賃料収入がなかったことに鑑みたものである。）
（エ）　現状変更
被告は，ｃ社の書面による承諾を受けることなく次の行為をすることができる。
ａ　増築により現状を変更すること
ｂ　本件建物の賃借権を第三者に譲渡すること
ｃ　被告は，いつでも本件建物の全部または一部について，その用途を変更することができる。
キ　株式会社ｄ（以下「ｄ社」という。）は，平成１５年１月１４日，競売による売却を原因として本件建物及びその底地の所有権を取得した。（当事者間に争いがない）
ク　原告は，平成１７年７月１２日，本件建物及びその底地の所有権をｄ社から売買により取得した。（当事者間に争いがない）
(2) 　原告と被告との裁判の経過
原告と被告との間では，以下のとおり，多数の訴訟が提起されていた（なお，係属していた第一審裁判所はすべて東京地方裁判所（以下「東京地裁」という。）であり，控訴審の裁判所はすべて東京高等裁判所（以下「東京高裁」という。）である。事件番号は，これらの裁判所の事件番号である。）。
ア　平成１８年（ワ）第９１４９号　建物明渡請求事件（以下「別件訴訟１」という。）
原告が被告に対し，賃料債務の不履行を理由に，本件賃貸借契約を解除し，かつ，被告に対し，本件建物の明渡し及びテナント（転借人）に対する返還請求権を原告に譲渡することなどを求めた事案である。
第一審は原告の本件建物明渡し請求を認容する判決が言い渡されたものの，控訴審では，信頼関係を破壊する程度に至っていないとして本件建物の明渡し請求を棄却した。（以上，乙３，）
イ　平成２３年（ワ）第３１９０８号　仮執行による原状回復等請求事件（以下「別件訴訟２」という。）
別件訴訟１の第一審判決に付されていた仮執行宣言に基づく，強制執行の回復を求めた事案である。
第一審は，被告が一部勝訴し，控訴審も原告の控訴を棄却した。
ウ　平成２３年（ワ）第４００６３号，平成２４年（ワ）第１４７５１号　賃料，賃料増額確認請求事件（以下「別件訴訟３」という。）
原告が，被告に対し，本件建物の賃料を月額３００万円から月額７２４万６０００円に増額する旨の平成１６年７月１５日付意思表示に基づき，増額賃料と現行賃料との差額の支払を求めた事案である。
第一審は，原告の請求を棄却したが，控訴審は，原告の請求を一部認容し，本件建物の賃料について，平成１８年１１月１日から平成２４年１月３１日までは，月額３４５万６０００円，平成２４年２月１日からは，月額３３９万９０００円になると判示したところ，被告が上告提起及び上告受理の申立てをした。
（争いのない事実のほか，甲１８，乙１）
エ　平成２４年（ワ）第２６９１１号　建物修繕等請求事件（以下「別件訴訟４」という。）
被告が，原告に対し，本件賃貸借契約における賃貸人と賃借人との間の修繕義務に関する合意（合意をした賃貸人はｃ社である）に基づき，本件建物の修繕及び被告が立て替えた費用の支払等を求めた事案であり，平成２７年１２月４日，東京地裁は，被告の請求を一部認容する判決をした。（乙２０）
オ　平成２６年（ワ）第３２８０３号，平成２７年（ワ）第７７９８号　損害賠償請求事件（以下「別件訴訟５」という。）
被告が，原告に対し，原告が転貸承諾書を交付する義務があるのにこれを怠り，被告が損害を被ったとして損害賠償を求めた事案であり，少なくとも平成２７年１０月２３日当時，東京地裁に係属している。
(3) 　解約申入れ
原告は，被告に対し，平成２６年１２月１５日付け内容証明郵便により，借地借家法２７条１項により，本件賃貸借契約を当該内容証明郵便到達から６か月が経過した日をもって解約する旨告知し，当該内容証明郵便は，同月１６日に被告に到達した。（甲１２の１・２）
さらに，原告は，被告に対し，平成２７年７月２２日到達の内容証明郵便により，借地借家法２７条２項，２６条２項に基づく異議を述べた。（甲１３の１・２）
(4) 　立退料の提供の申出
原告は，平成２７年１２月２２日の本件第１回口頭弁論期日及び平成２８年９月２０日の本件第４回口頭弁論期日において，立退料として９７２７万９９２０円を提供する申し出をした。（当裁判所に顕著な事実）
３　争点
(1) 　本案前の争点
本件訴えが訴訟上の禁反言に反するか
(2) 　本案の争点
ア　正当事由の存否
イ　原告が被告の本件建物の使用について遅滞なく異議を述べたといえるか（再抗弁）
ウ　原告が解約申入れを撤回したか（抗弁）
エ　賃料相当損害金の金額
第３　争点に対する当事者の主張
１　争点(1)（本件訴えが訴訟上の禁反言に反するか）について
（被告の主張）
原告は，別件訴訟３において，本件建物の賃料が，平成１８年１１月１日から平成２４年１月３１日までは月額７６０万８３００円，同年２月１日からは月額９１３万６０００円であると主張し，原告の請求を一部認容した別件訴訟３の控訴審判決に対して，被告が現在上告しているのであり，本件賃貸借契約の存続を前提としている別件訴訟３における原告の主張と本件訴訟の提起及び本件訴訟における原告の主張は矛盾するものであり，訴訟上の禁反言の原則に反し，また，信義誠実の原則にも反するものであり許されない。
（原告の主張）
被告の主張は争う。
被告の主張は確定判決の既判力は主文に包含されるものに限って認められるという原則に反するものであり，また，その内容も「訴訟上の禁反言の原則」や「信義誠実の原則」など抽象的な一般原則を述べるだけであり，理由がない。
２　争点(2)ア（正当事由の存否）について
（原告の主張）
解約申入れは，建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか，建物の賃貸借に関する従前の経過，建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して，正当の事由があると認められる場合でなければ，することができないが，以下の事情からすれば，本件においては正当事由が認められる。なお，本件賃貸借契約の解約申入れについては，同契約が本件公正証書２の作成により改めて締結されたことから，借地借家法が適用される。
(1)　被告の転居可能性
被告は，本件建物に居住しているわけではなく，専ら転貸による経済的利益を得ることを目的に本件建物を賃借しているのであるから，経済的利益さえ確保できれば，本件建物の賃借を継続しなければならない理由はない。
(2)　原告と被告との間の継続的な紛争
原告と被告との間には，前記第２の２(2)のとおり，多数の訴訟が提起され，それらの中には今も係属中のものもある，なお，別件訴訟１の控訴審判決においては，原告と被告との信頼関係が破壊されるに至っていないと判断されたが，その後も多数の訴訟が提起されることにより，原告と被告との信頼関係は，その頃と比較にならないほど悪化しており，このような状態で賃貸借契約を継続することはあまりに酷である。
(3)　原告が経済的利益のために本件建物を使用する必要性があること
原告は，本件建物を取り壊して新たなビルを建設し，新規の優良テナントに賃貸することを計画している。原告は，かつて，株式会社ｅ（以下「ｅ社」という。）から月額賃料２０００万円で本件建物を賃貸したいとの申し出を受けたこともあったが，本件建物の築年数・建物仕様がｅ社の希望に満たなかったことから，誘致に至らなかったところ，本件建物が建て替えられて新築ビルとなれば，さらに経済条件の高い優良テナントを誘致できる可能性が高く，原告の経済的利益のために被告が退去する必要性は極めて高い。
(4)　本件固有の事情
ア　本件賃貸借契約が真実の法律関係を反映していないこと
本件賃貸借契約における賃料が月額３００万円と安いのは，以下に述べるとおり，ｃ社と被告が共謀して，本件建物及びその底地の第三者による競売を阻止するために，相場よりも大幅に低額な賃料を設定し，過大な追加保証金及び敷金の支払義務の合意をしたものであり，追加保証金及び敷金の支払義務の合意は通謀虚偽表示であると推測され，遵法意識の低い被告の賃借権を保護すべき必要性はない。
（ア）　まず，ｃ社と被告との賃料は，当初の１０００万円の賃料から３分の１以下である３００万円にまで減額されており，それ自体不合理である。
（イ）　また，このような場合，通常は，賃貸人に解約権などのオプションがあるが，本件ではそのようなものはなく，むしろ賃借人に転貸の自由があるなど利益が一方的に強化されており，整合性がない。
イ　違法増改築による本件建物の遵法性毀損
本件建物においては，①１階西側に竣工時には存在しなかったクレープ店の木造家屋（以下，「本件クレープ屋」という。），②竣工時，エスカレーター及びピロティであった１階南側に，パチスロ景品交換所，ＡＴＭコーナー等の店舗，③竣工時ゴミ置き場等であった１階東側に被告の事務所がそれぞれ原告に無断で建築確認申請手続を経ずに増改築が行われている。
なお，本件賃貸借契約では，被告は原告の承認を得ずに増改築ができるが，建築確認申請手続を経ない違法な増改築をすることまで許容するものではなく，本件建物所有者である原告に対する重大な背信行為である。しかも，本件建物は，防火地域内にあり，建物を建築する場合には，当該建築物が建築基準法により耐火構造を備えることが義務付けられており，木造家屋の建築は禁止されており，今後も，現状が是正されない場合には，本件建物の安全性が損なわれることになる。
また，被告はｄ社の袖看板を無断で撤去し，新たな看板を設置し，当該看板について原告が武蔵野市から，改善要請を受けている。
さらに，被告は被告代表者を統括防火防災管理者（平成２６年消防法改正で導入）の届け出を行っていないし，届け出るべき全体についての消防計画を提出していない。そのため，現在は，個別の部分に防火管理者がいるだけである。
このように遵法意識が著しく欠如する被告に，これ以上本件建物を占有させ続けることはできない。
(5)　立退料
ア　別件訴訟３の控訴審判決の認定賃料３６７万０９２０円（消費税含む）を本件建物の正味実質賃料６８６万６０００円（消費税別の金額である。別件訴訟３の鑑定書〔甲１９の３４頁〕）から控除した３７４万４３６０円の２年分＝８９８６万４６４０円
イ　移転費用　７４１万５２８０円
ウ　合計　９７２７万９９２０円
（被告の主張）
(1)　被告の転居可能性について
被告は，本件建物の運営のために設立され，本件建物の管理，運営を専らの業とし，本件建物以外に事業所を有しておらず，本件建物からの転居は不可能である（当該主張は，被告が本件建物を使用する必要性に関する主張も兼ねる。）。
(2)　原告と被告との間の継続的な紛争について
原告は，原告と被告との間の複数の裁判が本件賃貸借契約を継続することが困難となる事情であると主張するが，原告と被告との裁判は，原告が被告に対して負う修繕義務，仕様収益させる義務の不履行に起因するものであり，被告に何ら非はない。
(3)　原告が経済的利益のために本件建物を使用する必要性があることについて
原告は，本件建物を取り壊し，新築ビルを新規の優良テナントに賃貸する計画であると主張するが，原告訴訟代理人は，別件訴訟５の平成２７年１１月１６日の弁論準備手続期日において，今すぐに本件建物の建て替えを行う予定はないと回答しているし，本件においても，本件建物の取り壊し，ビルの新築計画等は何ら提出されていない。
(4)　本件固有の事情について
ア　本件建物の賃料が決まった経緯について
本件建物は，賃貸人の長年の修繕義務の不履行により，テナントへの転貸は極めて困難な状態になっていた。
（ア）　すなわち，本件賃貸借契約の賃料が月額３００万円となったのは，前の賃貸人であるｂ社が，事実上倒産し，本件建物の損傷や設備の故障を放置したまま修繕義務が尽くされず，全館空調設備，給排水設備，エレベーターの老朽化が進行し，雨漏りも発生したため，テナントの退店が相次ぎ，賃料収入が減っていた。その後，本件建物所有者であったｃ社と被告は，本件建物の賃料を，被告の転貸賃料収入が改善されるまでの間月額３００万円とし，被告が修繕工事を実施した場合は，工事費用と賃料とを相殺するなどして利害を調整して本件賃貸借契約を維持してきたのである。
（イ）　また，被告は，ｃ社に対して，平成１３年２月２０日，現実に１億３０００万円を差し入れている。（乙２）
イ　増設工事について
（ア）　本件クレープ屋の建物は，被告が，昭和５４年１０月２日，当時の所有者であるａ社の許可を得て，さらに，同社との間で，敷地の使用権を有することを確認して建築したものである。
（イ）　１階南側店舗は，昭和６２年３月３０日には現在と同じ状態に変更されている。また，エスカレーターの撤去などという大掛かりな工事を所有者ではない被告が行うことなどない。
また，１階東側被告事務所についても，平成１３年２月頃に当時の所有者であったｃ社の承諾を得て工事を行ったものである。
（ウ）　そもそも，上記（ア），（イ）の各工事は，原告が本件建物の所有権を取得する前に行われたものであり，原告の承諾を得る必要などない。
（エ）　原告が主張する看板は，平成１６年頃に，同じ場所にあった袖看板が腐食，劣化して落下の危険があったにもかかわらず，当時の所有者であったｄ社が修繕をしなかったため，平成１７年春から秋にかけて，被告がこれを撤去して設置したものである。
被告は，ｃ社との間で，本件建物の修繕に関する覚書を交わして，修繕範囲の分担を決め，さらに，被告が，本件建物外部に設置されている袖看板等をいつでも新設，取り替え等でき，ｃ社が修繕義務を負うべき者である場合，その修繕費用をｃ社に請求し，月額賃料と相殺できる旨合意している。袖看板は，ｃ社が修繕義務を負うとされたものであり，上記の経過からすれば，被告の袖看板の設置は上記合意に基づくものであって何ら問題はない。
ウ　統括防火防災管理者
本件建物の統括防火防災管理者は，被告代表者ではなく，原告のＦである。
(5)　立退料について
ア　立退料は正当事由の補完事情にすぎず，正当事由が認められない本件においては，立退料の提供により明渡しが認められるものではない。
イ　なお，原告主張の立退料について反論すると，原告主張の立退料の設定賃料及び期間は，低額に過ぎ，不当であることは明らかである。
本件建物と同程度の建物を賃借するには，２２９８万５０００円の月額賃料を要する（乙２１の「一括貸ランキング」と題する表の「平均値」欄の上限価格と下限価格の中間価格）ところ，本件建物の法定耐用年数は５０年であり，残り１２年８か月賃借することが可能であるから，被告が本件建物と同程度の建物を上記期間賃借するために要する費用は，合計２９億７７０７万２０００円となる。
さらに，月額賃料と同程度の仲介手数料と月額賃料１０か月分程度の保証金と敷金が必要となり，これらを合計すると，被告が本件建物と同程度の条件の建物を賃借した場合に増加する費用は３２億２９９０万７０００円を下らない。
３　争点(2)イ（原告が被告の本件建物の使用について遅滞なく異議を述べたといえるか）について
（原告の主張）
原告は，被告が，解約申入れをしてから６か月が経過した平成２７年６月１６日以降も本件建物の使用を継続していたため，同年７月２１日付けで，被告代理人に対し，借地借家法２７条２項，２６条２項に基づく異議を述べる旨の内容証明郵便を送付し，同書面は，翌２２日に被告代理人に到達したのであり，原告は，被告の本件建物の使用について遅滞なく異議を述べている。なお，本件賃貸借契約に借地借家法が適用されるべきなのは，上記２（原告の主張）のとおりである。
（被告の主張）
被告は，原告が，被告に対して平成２６年１２月１６日到達の書面により本件賃貸借契約の解約申入れをした日から６か月が経過した平成２７年６月１６日以降も本件建物の使用を継続し，同年６月２９日，原告に対し，原告が賃料支払口座として指定する銀行預金口座に同年７月分の賃料として３６７万０９２０円を振り込んだが，原告はこれに対し，当該金員を賃料ではなく賃料相当損害金として受領するなどの異議を述べなかった。
そのため，原告が，その後に異議を述べたとしても遅滞なく異議を述べていないことは明らかである。
なお，被告は，本件建物建設当時から本件建物を賃借し続け，本件建物所有者兼賃貸人の交代に伴って契約書を作成したに過ぎないことから，原告の解約申入れにおいては，借家法３条の適否が問題となる。
４　争点(2)ウ（原告が解約申入れを撤回したか）について
（被告の主張）
被告は，本件賃貸借契約が終了すると原告が主張する日以降も，原告に対して賃料を支払っており，原告は，これを受領し続けている。
このような原告の態度からすれば，原告は，本件賃貸借契約に基づく被告の建物使用を認めており，解約申入れは撤回されたものと考えるほかない。
（原告の主張）
被告の主張は争う。
原告は，平成２７年６月１６日以降の時期についても，原告が被告に立退料を支払うまでは，賃料請求権を有するのであり，解約申入れの撤回と評価されることはない。
５　争点(2)エ（賃料相当損害金の金額）
（原告の主張）
前記２ないし４の（原告の主張）のとおり，本件賃貸借契約における原告の解約申入れは有効と解するべきである。
そのため，原告には，本件賃貸借契約終了の日の翌日である平成２７年６月１６日から別件訴訟３の控訴審判決において認定された賃料月額３６７万０９２０円（消費税込み）の損害が発生している。
（被告の主張）
原告の主張は争う。
第４　当裁判所の判断（争点に対する判断）
１　争点(1)（本件訴えが訴訟上の禁反言に反するか）について
(1) 　被告は，本件訴えが別件訴訟３における原告の主張と矛盾するものであり，訴訟上の禁反言の原則及び信義誠実の原則に反すると主張する。
(2) 　しかしながら，前記前提事実のとおり，別件訴訟３は，本件建物の賃料が，平成１８年１１月１日から平成２４年１月３１日までは月額７６０万８３００円，同年２月１日からは月額９１３万６０００円であると主張して，増額賃料と現行賃料との差額の支払を求めるものであり，本件建物の明渡しなどを求める本件訴えとは訴訟物を異にするものである。しかも，別件訴訟３は，原告の解約申入れの以前の未払賃料の請求も含むものであり，別件訴訟３が当然に本件賃貸借契約の存続を前提とするものともいえないことからしても，原告が別件訴訟３を提起した上で，本件訴えを提起したことが，訴訟上の禁反言や訴訟上の信義則に反するとはいえず，他に本件訴えが訴訟上の禁反言や訴訟上の信義則に反すると認めるに足りる証拠はない。
(3) 　そのため，本件訴えが不適法であり，却下されるべきであるとする被告の主張には理由がない。
２　争点(2)ア（正当事由の存否）について
(1) 　判断の前提となる事実関係
前提事実，後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば，以下の事実が認められる。
ア　本件建物に関する賃貸借契約の経過
（ア）　被告は，ａ社が本件建物を建設した昭和５３年３月直後から本件建物を一括して賃借しているところ，ａ社と被告は，昭和５４年１０月２日，本件建物出入口に至る通路部分及び道路と建物との間の空地部分については，被告が使用でき，ａ社がこれら空地部分に工作物等を設置することはない旨の確認書を作成した。（乙１，３，４）
（イ）　ｂ社は，昭和６０年１月３０日，本件建物及びその底地の所有権をａ社から売買で取得したところ，ｂ社と被告は，昭和６０年２月１日，ｂ社を賃貸人，被告を賃借人とする以下の内容の賃貸借契約を締結した。
ａ　賃貸期間　２０年
ｂ　賃料　月額１０００万円
（ウ）　ｂ社は，平成３年１２月１０日，東京地方裁判所に和議の申請をして事実上倒産し，本件建物及びその底地の不動産競売手続が進行したため，被告は，諸設備の修理不調，雨漏り，電気関係の支障，エレベーターの故障等のためテナントの退店が続出した。（甲２，３）
（エ）　ｂ社の出資により設立されたｃ社は，平成１１年９月２１日，競売により本件建物及びその底地を取得して，同日，被告との間で，以下の約定で本件建物の賃貸人の地位を承継することを合意し，その内容に沿った本件公正証書１（甲２）を作成した。
ａ　賃料　テナントの退店，転借人の変更等により十分な転貸料収入がなかったことから当分の間月額３００万円とする。
ｂ　修繕費の負担　本件建物の修繕義務者はｃ社とする。ただし，小修繕は，被告の費用負担において被告がこれを行う。
また，ｃ社と被告は，平成１２年５月２５日，本件公正証書１のうち，修繕義務について定めた条項に関し，別紙ｃ社修繕目録について，ｃ社が修繕義務を負う旨合意し，さらに，テナントのため，本件建物外部に設置されている袖看板及び建物内外の看板，表示等は，テナントの要望を受け，被告において何時でもこれを新設，取り換え及び修繕等をすることができると合意した。（乙１２，１３）
（オ）　ｃ社と被告は，平成１３年２月２１日，本件建物に関する賃貸借契約に関し，本件建物の賃料が月額３００万円，賃貸期間を平成１１年９月２１日から１０年とし，さらに，被告が，ｃ社の書面による承諾を受けることなく，①増築による現状の変更，②本件建物の賃借権を第三者に譲渡すること，③いつでも本件建物の全部又は一部について，その用途を変更することができることを合意し，さらに，④本件建物の重要な部分及び躯体部分の修繕義務をｃ社が負い，小修繕は，被告の費用負担で被告が行うことなどを内容とする本件公正証書２を作成した。また，ｃ社と被告は，追加保証金として１億円，敷金として３０００万円を差し入れることを合意し，被告は，同月２０日，当時のｏ銀行ｐ支店にあるｃ社の普通預金口座に１億３０００万円を振り込んだ。（甲３，乙２）
（カ）　ｃ社に振り込まれた上記１億３０００万円は，有限会社ｆから支出されたものであった。また，上記１億３０００万円のうち５３００万円は平成１３年２月２１日に預金小切手として引き出され，訴外Ｇ名義の口座に入金されている。また，その余の金員についても，２週間程度で数回に分けて引き出されている。（甲２４～３７）
（キ）　本件建物の根抵当権者であったｇ信用組合は，ｃ社と被告が同視できるとして，被告のテナントに対する転貸料債権を物上代位に基づいて差し押さえたところ，これに対して被告が平成１３年に第三者異議の訴えを東京地裁に提起した（東京地方裁判所平成１３年（ワ）第２２０９５号事件。以下「別件第三者異議訴訟」という。）。
東京地裁は，ｃ社と被告が同視できるとして，被告の請求を棄却する判決を言い渡した。
（以上の事実について甲５）
イ　本件建物の状況等
平成２５年６月頃の本件建物の状況は以下のとおりである。
（ア）　本件建物には，かつて１階から６階までエスカレーターが設置されていたが，１階から２階に至るまでの部分は取り外され，２階から６階までについても故障により動いていない。（甲１９〔２３頁〕）
（イ）　本件建物の２階には雨漏り跡があり，４階の非常用階段部分には雨漏り又は水漏れ跡が見られ，５階及び６階にも雨漏り跡がある。（甲１９〔２３頁〕）
ウ　被告及び転借人の本件建物の使用状況
（ア）　被告は，昭和５１年４月１４日設立の株式会社であり，本件建物の管理，運営を専らの業とし，本件建物の一部分を事業所として使用している。なお，本件建物以外に被告が持つ支店等はない。（乙６，１６，弁論の全趣旨〔全部事項証明書〕）
（イ）　平成１３年１１月当時における本件建物の位置関係等は，別紙「建物間取図」（以下「別紙図面１」といい，特定の階の図面をいう場合には，「別紙図面１（１階）」などという。）及び別紙未登記建物及びその敷地図（以下「別紙図面２」という。）に各記載のとおりであるところ，被告は，平成１３年１１月頃，本件建物の各部分を別紙「占有者及び占有権原」記載のとおり，各テナントに転貸し，又は，事務所として使用しており，各テナントに対する転貸賃料は合計で月額３３３万７７４２円であった。なお，東京地方裁判所八王子支部執行官Ｈは，当時の本件建物の所有者であるｃ社と連絡を取ろうとしたところ，連絡が取れない状況であった。（乙６）
また，別紙図面１（１階）のうち，南側の増築部分とされている部分については，竣工時には存在せず，また，１階東側には竣工時にはゴミ置き場等があったが，１階南側部分については，遅くとも昭和６２年には別紙図面１（１階）のＤ部分の店舗の転借人であるＩがテナントとして使用していた。（甲９，乙６）
（ウ）　被告は，平成２１年８月１５日当時，本件建物のうち地下１階部分をパチンコ店（有限会社ｈ）に，１階中央部分をゲームセンターの店舗（有限会社ｆ）に，同階南側をパチンコ店の景品交換所（ｉ社）に，同階東側を洋品店（ｊ店ことＪ）に，同階管理人室南側を店舗（ｋ株式会社）にそれぞれ転貸していた。また，被告は，同日当時，本件建物の２階部分をｌ店ことＫ及びｍ店ことＬに対して転貸し，別紙図面２の「Ｈ」とされる部分をＭ（以下「Ｍ」という。）に対して転貸していた。（乙１６）
（エ）　Ｍは，本件建物１階の西側敷地部分（別紙図面２の「Ｈ」とされる部分）にある敷地面積約３．８５m2の構造物において本件クレープ屋を営んでいるところ，当該構造物は，昭和５５，６年頃，株式会社ｎが建て，その後，昭和５７年からＭが使用しているものであり，屋根及び外壁が存在するものの，基礎は設置されておらず，平成１５年７月２６日に当該部分を調査した一級建築士Ｎは，本件クレープ屋が構造的に建築物とは認定し難いとしている。（甲９，乙５，６〔９，１１枚目〕，１７〔図面１０〕）
エ　原告と被告との間における裁判の内容及び経過等
（ア）　別件訴訟１について
別件訴訟１は，原告が，被告に対し，平成１７年３月分から平成１８年１月分の賃料不払等を解除原因とする本件建物の明渡し等を求めた訴訟であり，これに対して被告は，①本来原告が負うべき本件建物の修繕義務を被告が履行して修繕工事を行ったことから，その費用償還請求権と未払賃料債権とを相殺したため，未払賃料は存在しない，②仮に，被告に債務不履行があるとしても，当事者間の信頼関係を損なうほどのものとはいえないなどと主張したが，別件訴訟１の第一審は，被告主張に係る修繕費用の多くについて原告が負担すべきものとは認められないとして，本件建物の明渡し請求等を認容した。
これに対して，被告が控訴したところ，東京高裁は，被告が主張する修繕費用のうち２４４７万１８７６円分については，原告が修繕義務を負い，これを被告が負担したことによる費用償還請求権と未払賃料との相殺により未払賃料額が１０９万５９３５円に過ぎず，賃貸借契約の基礎となる信頼関係を破壊するに至っていないとして，原告の被告に対する請求のうち建物明渡しに関する請求を棄却した。
（以上の事実について，甲１５，１６）
（イ）　別件訴訟２について
別件訴訟２は，別件訴訟１の第一審判決の仮執行宣言によりなされた本件建物の明渡しの強制執行が，別件訴訟１の控訴審判決により失効となったことに基づく原状回復訴訟であるところ，別件訴訟２では，本件建物のうち一部分の明渡請求の可否，被告がテナントに転貸していた部分に関する賃料相当損害金の金額等が争点となった。
第一審及び控訴審は，いずれも被告の請求を一部認容する判決を言い渡している。
（以上の事実について乙１８，１９）
（ウ）　別件訴訟３
別件訴訟３は，原告が，被告に対し，本件建物の賃料を月額３００万円から月額７２４万６０００円に増額する旨の平成１６年７月１５日付意思表示に基づき，増額賃料と現行賃料との差額の支払を求めた事案であるところ，別件訴訟３では，賃料増額事由の存否が主たる争点となり，第一審は，原告による賃料増額請求が理由のないものとして，請求を棄却した。これに対して，原告が控訴したことによる控訴審では，平成１６年７月１５日時点における本件建物の相当賃料額が３４５万６０００円であり，平成２３年１２月２６日時点における相当賃料額が３３９万９０００円であるとして，原告の請求を一部認容した。
（以上の事実につき，甲１８，乙１）
（エ）　別件訴訟４
別件訴訟４は，被告が，原告に対し，本件賃貸借契約における賃貸人と賃借人との間の修繕義務に関する合意（上記ア（エ），同（オ））に基づき，本件建物の修繕及び被告が立て替えた費用の支払並びに本件建物の内外における看板の設置の禁止等を求めた事案である。主たる争点は，原告が実施すべき工事義務の存否（外壁面止水改修工事に関するもの。争点(2)）やその内容（アスベスト飛散防止工事に関するもの。争点(1)）並びに被告が実施した，①スプリンクラー設置工事，②定温式防水型感熱器及びスピーカー設置工事，③換気機器設置工事，④空調設備設置工事，⑤現場管理費，⑥６階水道メーター交換工事，⑦２階天井エアコンカセット漏水修繕工事，⑧外部１～２階ＰＳ内共用排水鋳鉄管詰まり改修工事，⑨誘導灯新設，避難階段灯ランプ交換，清掃点検，⑩本件建物地下１階空調機の修繕及び交換工事の修繕に関して被告が支出した費用の支払義務を原告が負うか否か（争点(3)），被告が原告に対し，本件建物の内外に看板を設置し，使用することを禁じることができるか（争点(4)）というものであった。
第一審は，争点(1)ないし(3)に関する被告の主張には理由があるとして，請求を認容し，争点(4)については，被告が設置することを許容していた２枚の看板を除き，被告の請求を認容した。
（以上の事実について乙２０）
オ　原告の営業活動
原告は，平成２３年９月１２日，ｅ社から，同社が原告より本件建物を建物一括賃貸借により，賃料月額２０００万円で賃借する旨記載された出店意向書（甲４２）を受領したが，最終的に，本件建物の築年数・建物仕様がｅ社の希望に満たず，誘致に至ることはなかった。（甲４２，弁論の全趣旨）
また，原告には，現時点において，本件建物の具体的な建て替えの計画はない。（弁論の全趣旨〔原告準備書面(2)〕）
カ　本件建物の統括防火防災管理者
原告従業員Ｆは，平成２４年６月２０日，本件建物の統括防火防災管理者を名乗り，「東京消防庁の指導により，通路等の共用部分には物を置かないで下さい。」との張り紙を掲示しており，また，少なくとも平成２５年頃までは，本件建物の統括防火防災管理者となる意思を有していた。（乙１５，弁論の全趣旨〔原告準備書面(2)〕）
(2) 　正当事由の判断
前記認定のとおり，本件賃貸借契約は，ａ社と被告が締結し，その後，本件建物の所有者が，ｂ社，ｃ社，ｄ社，原告と順次移転することによってその賃貸人の地位が移転したものと認められ，そのため，本件賃貸借契約の解約申入れについては，借地借家法附則１２条により借家法１条の２が適用されるものと解され，同条に定める正当の事由の存否を検討するにあたっては，建物の賃借人（転借人を含む。）が建物の使用を必要とする事情のほか，建物の賃貸借に関する従前の経過，建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引き換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮してこれを判断すべきものと解される（借地借家法２８条参照）。なお，原告は，本件公正証書２の作成により賃貸借契約が新たに締結されたと主張するが，前記認定の本件建物の所有者と被告との賃貸借契約の経過に照らしても採用できない（ただし，原告としても，借家法の適用も黙示的に主張するものと善解される。）。
そして，前記認定のとおり，本件賃貸借契約においては，本件公正証書２で定めた期間である平成２１年９月２０日が経過しており，その後は期間の定めのない賃貸借契約になるものと解され，正当事由のある限り，解約申入れ後６か月の経過により終了すると解される（最高裁昭和２７年１月１８日第二小法廷判決・民集６巻１号１頁，最高裁昭和２８年３月６日第二小法廷判決・民集７巻４号２６７頁参照）。前記前提事実のとおり，原告は，平成２６年１２月１６日，被告に対して，本件賃貸借契約の解約申入れをしていることから，本件において他の争点の検討に先立ち，原告の解約申入れに正当事由があるか検討する。
ア　賃借人側の事情について
（ア）　前記認定のとおり，本件建物の賃借人たる被告は，本件建物を唯一の活動拠点としてテナント料（転借料）による収入を収益として事業活動を行っており，本件賃貸借契約が終了した場合には，その唯一の収入源が断たれることになることからすれば，本件賃貸借契約の終了が被告の事業活動に与える影響は極めて深刻なものといえ，また，被告が，原告及びその前主との間で本件建物一棟の賃貸借契約を締結し，順次テナント（転借人）に転貸することで収益を上げている事業形態をとっていることからしても，本件建物と同種のビルについて賃貸借契約を締結することは容易ではないと想定され，長期間にわたり被告の事業活動に影響が出る可能性も否定し難い。
そのため，被告が本件建物を使用する必要性は極めて高いと言わざるを得ない。
（イ）　この点につき，原告は，被告が専ら転貸による経済的利益を得ることを目的として本件建物を賃借していることから，経済的利益を確保できれば，本件建物の賃借を継続しなければならない理由はないと主張し，原告申出に係る立退料も上記の視点から算定しているものと解される。
しかしながら，被告が本件建物を使用することによって得られる経済的利益の内容は，原告が立退料の算定根拠として主張するような本件建物の正味実質賃料や移転費用に限られるものではなく，被告が本件建物において長期間にわたり営業を継続してきたことによって得られた社会的信用や転借人をはじめとする関係取引先との継続的取引関係の維持など，これらが立退料の算定要素となるか否かはともかくとしても，種々の有形無形のものがあり得るのであり，また，本件建物を使用できないことによる不利益についても，テナントを含めた顧客の維持管理や移転に伴う事業機会の喪失など多種多様なものが考えられるところ，これらの経済的利益（不利益）が立退料の提供によりすべて保証され得るともいえないことからすれば，被告が本件建物を専ら経済的利益を得る目的で使用しているとしても，それによって当然に被告において本件建物を使用する必要性が低いとは評価できず，また，立退料の提供及びその金額により当然に正当事由があるということにもならないというべきである。
イ　賃貸人（原告）が本件建物を使用する必要性について
（ア）　前記認定のとおり，原告は，ｅ社から月額賃料２０００万円で本件建物を一括して賃借する旨の意向を受けており，本件建物が被告以外に賃貸された場合には，より高額な賃料収入を得られる可能性はないとはいえないし，本件建物を建て替えることにより高収益な建物を建設することにより高い収益を上げることも理解できないことはない。
（イ）　しかしながら，前記認定のとおり，ｅ社は本件建物が築年数及び建物仕様が同社の希望に満たないとの理由で誘致に至ることはなかったことからすれば，ｅ社の上記申出が本件建物の現況等を詳細に調査した上でなされたものかについては疑問があり，同社の意向書自体も特段違約金の記載もないことからすれば，仮に同社に本件建物が賃貸できる状況が整っていたとしても，月額賃料２０００万円で賃貸することが可能であったとは認め難いものというべきである。
そして，他に本件建物を被告以外の者に賃貸することにより原告がより高い収益を上げることができると具体的に認められる証拠はない。原告は，本件建物の正常実質賃料が６８６万６０００円である旨記載された鑑定書（甲１９）を提出するが，前記認定のとおり，本件建物が平成３年１２月１０日にｂ社が和議の申請をして事実上倒産して以降，諸設備の修理不良や雨漏り，電気関係の支障やエレベーターの故障等十分な修繕がされなかったこと，少なくとも平成２６年においても，本件建物ではエスカレーターが故障したり，雨漏り跡があったりするなどその使用収益が困難となる事情が複数あることからしても，被告が本件建物を明け渡した場合に，直ちに原告が上記賃料で本件建物を第三者に賃貸することができるとはいえない。さらに付言すれば，前記認定の別件訴訟４の経過からすれば，本件建物について十分な収益が得られていないのは，原告として修繕義務を負うべき部分について十分な修繕をしていないということも原因として挙げられることからすれば，そのような原告が本件建物について十分な収益を上げられないことを解約申入れの正当事由とするのは疑問があるといえる。
また，原告において，本件建物の建て替えが具体的に計画されているわけではないというのは前記認定のとおりである。
（ウ）　上記の各事情からすれば，現時点において，原告が本件建物を使用してより高い収益を得られる蓋然性があるとはいえず，原告が本件建物を使用する必要性が高いとまでは認められない。
ウ　原告・被告間における別件訴訟の評価について
（ア）　原告は，原告と被告との間に多数の訴訟が提起されており，そのような状況では，当事者間の信頼関係が悪化しているため，本件賃貸借契約を継続していることは原告に酷であると主張する。
（イ）　しかしながら，前記認定のとおり，原告と被告との間で提起された訴訟のうち，別件訴訟１については，賃料不払という賃借人たる被告として原告との信頼関係を破壊するおそれのある事情に基づくものといえるが，賃料不払に至る経緯については，同訴訟の控訴審判決が認定説示しているように，本来原告が負担すべき修繕を被告が行ったことに基づく費用償還請求権との相殺を被告が行ったという事情があることからすれば，これをもって本件賃貸借契約における信頼関係を破壊する事情というのは被告側に酷なものといえる。
また，別件訴訟２ないし４についても，前記認定のとおり，賃料増額請求というそれ自体訴訟の提起が当事者間の信頼関係を破壊するものとは言い難い訴訟であったり（別件訴訟３），別件訴訟１の第一審判決の仮執行宣言が同訴訟の控訴審判決で失効した原状回復訴訟であったり（別件訴訟２），前記認定のｃ社と被告との修繕内容に関する合意からすれば，原告が修繕義務を負うと考えられる修繕を被告において代替したことに基づく修繕費用の請求（別件訴訟４）であるなど，被告として当然の権利行使と考えられる訴訟であり，少なくとも現在係属中のものについても，被告の言い分におおむね沿う内容の判断がなされていることからしても，これら別件訴訟の存在が，当事者間の信頼関係を破壊するものとして，賃貸人たる原告から賃借人たる被告に対して明渡しを求める正当事由とはなり得ないものといえ，この点に関する原告の主張を採用することはできない。
（ウ）　そのため，原告・被告間の別件訴訟の存在は，本件賃貸借契約の解約申入れの正当事由とは認められない。
エ　本件賃貸借契約特有の事情について
（ア）　さらに，原告は，解約申入れの正当事由に関する本件賃貸借契約特有の事情として，①本件賃貸借契約が真実の法律関係を反映していないこと，②違法増改築による本件建物の遵法性毀損等があると主張する。
（イ）　まず，①の点について検討するに，原告は，ｃ社と被告が共謀して，本件建物及びその底地の第三者に対する競売を阻止するために，相場よりも大幅に低額な賃料を設定し，過大な追加保証金及び敷金の支払合意をしたと主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，本件賃貸借契約においてｃ社と被告が本件賃貸借契約における賃料を当分の間月額３００万円と定めたのは，平成３年１２月にｃ社の前主であるｂ社が和議の申請をしたことにより事実上倒産し，本件建物及びその底地の不動産競売が進行し，その後，本件公正証書１が作成されるまで少なくとも７年以上にわたり本件建物の修繕が十分に行われず，設備の修理不調，雨漏り，電気関係の支障，エレベーターの故障等によるテナントの退店が続出したためであり，このような状況は，前記認定のとおり，少なくとも平成１３年頃には，被告が得られていた転貸賃料が月額３３０万円程度と低額であり，平成２１年８月当時も，本件ビルの多くのフロアについてテナントがおらず，平成２５年６月頃においても，エスカレーターが故障により動かず，しかも，各所に雨漏り跡があること（これらの状況は現在も継続していると推認できる。）に加え，別件訴訟３において，本件建物の賃料が平成２３年１２月２６日以降３３９万９０００円と本件公正証書１により合意された額とほとんど変わっていないことからしても，本件公正証書１が作成された当時の状況と現在の状況が大きく改善されたとは言い難いといえ，少なくとも本件建物の賃料が相場よりも大幅に安いとはいえない。なお，原告は，賃料を減額する際には，賃貸人に解約権などのオプションがあるのが通常であると主張するが，そのような事実を認めるに足りる証拠はなく，採用できない。
また，追加保証金及び敷金について，原告は，ｃ社と被告との合意が通謀虚偽表示であると主張するところ，確かに前記認定のとおり，別件第三者異議訴訟の第一審判決において，ｃ社と被告が，本件賃貸借契約に関する追加保証金及び敷金合計１億３０００万円が支払われた実績を敢えて作出したなどと認定されていることが認められる。
しかしながら，証拠（甲３）によれば，別件第三者異議訴訟は，ｃ社の債権者であったｇ信用組合が根抵当権に基づく物上代位により行った被告の転借人に対する賃料債権の差押えの適否が問題となった事案において，関係者間における一連の計画（ｃ社がｇ信用組合から融資を受けて本件建物及びその底地を買い受け，テナントから支払われる賃料を同組合等に対する債務の弁済に充てる等）の合意とその実行により，同組合と被告及びｃ社との間においては，ｃ社と被告との間の本件建物に関する賃貸借契約が形骸化し，少なくとも平成１３年１月１５日の時点では，被告とｃ社を同視することが相当であると判示したにとどまるものと認められ，被告とｃ社又は同社から賃貸人の地位を承継した第三者との関係で，本件賃貸借契約及びこれに関する追加保証金並びに敷金が真実の法律関係を反映しない作為的な契約であるとまでは判断していない。また，確かに前記認定のとおり，ｃ社の口座に振り込まれた１億３０００万円は，その翌日には預金小切手として５３００万円が引き出され，当時の訴外Ｇ名義の口座に入金されていること，その余の金員についても２週間以内にすべて引き出されていることが認められるものの，これらの事実のみでは，本件公正証書２の作成に際し，ｃ社に対して，追加保証金及び敷金の入金の合意が被告とｃ社の通謀虚偽表示であり，当該合意に係る１億３０００万円の振り込みが見せ金であるとまでは認められない（原告としても，当時ｃ社が資金繰りに窮していたことは認めており，他の使途に用いられた可能性も否定し難く，これを否定するような証拠もない。）。
そのため，①に関する原告の主張は採用できない。
（ウ）　②の点について
ａ　本件クレープ屋について
原告は，被告が，当時のａ社との賃貸借契約に反し，本件クレープ屋を建築しており，しかも，本件クレープ屋が違法建築であることにより本件建物の遵法性が毀損されていると主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，本件クレープ屋は昭和５５年頃建てられているところ，それに先立つ昭和５４年１０月１日には，ａ社が被告との間で，本件建物の空き地部分を自由に使用できる旨の確認書を作成していること，少なくとも平成１５年７月２６日時点において，本件クレープ屋が一級建築士の認定として建築物とは認識されていなかったことに加え，別件訴訟１において，原告が，本件クレープ屋の存在を債務不履行の事由に挙げていないこと，被告が原告及びその他の所有者から本件クレープ屋の明渡しを求められたことを認めるに足りる証拠がないことからしても，本件クレープ屋の建設については，本件確認書により，又は，それ以降，ａ社及びその他の所有者から同意を得ていたと認められる。
また，原告は，本件クレープ屋が防火地域内にあることを問題視するが，そもそも，前記認定のとおり，本件クレープ屋の構造等からすれば，本件クレープ屋が建築基準法上の建築物に該当するとまでは認められない。また，仮に，本件クレープ屋が建築物に該当するとしても，前記認定のとおり，本件クレープ屋の建築自体は，当時の所有者であるａ社の承諾があったと認められること，原告が別件訴訟１において，本件クレープ屋の存在が原告との関係で債務不履行を構成するなどと主張していないこと（甲１５，１６）からしても，本件クレープ屋の存在が原告及び被告間の信頼関係を破壊し，解約申入れの正当事由として重視されるべき事情になるとは認められない。
ｂ　１階南側店舗について
原告は，本件建物１階南側店舗が無断増改築であり，建築確認を受けていない違法増改築であると主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，本件建物１階南側店舗は，昭和６２年頃には建築されていたと推認できるところ，その範囲は別紙図面１（１階）のとおり，比較的広範囲に及ぶものであったことからすれば，このような工事を行ったのはその頃までに所有者であったａ社又はｂ社であった可能性は否定できないのであり，原告の主張はその前提を欠くものといえ採用することができない。
ｃ　１階東側部分事務所について
原告は，本件建物１階東側事務所部分が建築確認を受けていない違法かつ無断な増改築であると主張し，被告が遵法意識の低い賃借人であると主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，被告は，本件建物における増改築については，ｃ社及び被告との間で，増改築を認める本件公正証書２が作成されており，その後，被告と当時の本件建物の所有者等の間で，上記の各部分について，訴訟等になった様子が見られないことからしても，少なくとも本件公正証書２が作成された平成１３年２月までには上記各部分の存在について，その当時の所有者であるｃ社の承諾又は追認があったものと認められる。
また，本件建物１階東側事務所について，原告が別件訴訟において提出した不動産鑑定評価書（乙７）によれば，本件建物について建築確認等の行政手続は適切に行われている，この他特段遵法性にかかる懸念点はない旨の記載があることからしても，被告が当該部分について，建築確認を受けていないとは認められず，他に当該部分について，被告が建築確認を受けていないことを認めるに足りる証拠はない。
そのため，これに関する原告の主張は採用することができない。
ｄ　ｄ社の袖看板の無断撤去について
原告は，被告がｄ社の袖看板を無断で撤去し，新たに原告に無断で看板を設置し，当該看板が武蔵野市から改善指導を受けていると主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，被告はｃ社との間で，テナントのため本件建物外部に設置されている袖看板及び建物内外の看板，表示灯について，何時にても被告において新設，取り替え，修繕できると合意し，その費用についてはｃ社が負担すると合意したのであるから，ｄ社の袖看板の撤去及び看板の設置について，ｄ社及び原告の同意が必要であったとは認められない。
また，原告は，当該袖看板について武蔵野市から改善を求められていると主張するところ，確かに，証拠（甲１１）によれば，当該看板について，本件建物の所有者である原告が，平成２７年８月，武蔵野市から，①未申請物件の道路占用申請，②基準外物件及び不法占用物件の改善，③路上看板及び商品陳列の改善という３点の改善指導を受けたことが認められるが，②及び③については，その具体的内容が明らかではなく，また，①についても，被告の申請の有無及びその結果が明らかではないことからすれば，これをもって，直ちに原告の被告に対する解約申入れの正当事由になるとは認められない。
ｅ　統括防火防災管理者の選任について
原告は，被告が統括防火防災管理者を選任していないことを，本件賃貸借契約の解約申入れに係る正当事由の一つとして主張する。
しかしながら，前記認定のとおり，本件建物については，少なくとも平成２５年までは，原告の従業員であるＦが統括防火防災管理者となる意思を有しており，かつ，統括防火防災管理者を名乗っていたこと，また，証拠（甲４０）によれば，東京消防庁においては，統括防火防災管理者の選任については，協議会の代表者，所有者等で代表的な管理権原者の名前で届出を行う場合や連名による届出を行う運用がされていることが認められ，いずれにしても本件建物の所有者である原告の協力を得る必要があると窺われるところ，原告が統括防火防災管理者の選任について被告に働きかけたことを認めるに足りる証拠がないことからすれば，仮に，現時点において，本件建物の統括防火防災管理者が選任されていないとしても，その責任が被告のみにあるとはいえず，これをもって，解約申入れの正当事由として考慮することはできないというべきである。
(3) 　小括
以上検討のとおり，被告が本件建物を使用する必要性が大きく，その一方で，原告の本件建物及びその底地の利用について具体的な計画がない状況においては，原告が本件建物及びその底地を使用する必要性が高いとは言い難く，かつ，原告が，解約申入れの正当事由として主張する各事由についても，正当事由として重視すべき事情とは認められないか，そもそも正当事由とはならない事由であるといえる。そのため，原告が，立退料９７２７万９９２０円の提供を申し出ており，原告が提供する立退料が当該金額に限られないことが窺われることを考慮しても，立退料の提供があくまでも正当事由の補完事由であることからすれば，立退料の提供をもって，本件において原告の解約申入れについて正当事由が具備されるとはいえないといわざるを得ない。
そのため，原告の解約申入れは効力を生じておらず，本件賃貸借契約は現在も継続しており，被告は，本件賃貸借契約に基づき，本件建物を使用収益することができる。
３　その他（賃料相当損害金の請求（争点(2)エ）について）
以上のとおり，原告の解約申入れは認められず，本件賃貸借契約は継続していることから，被告には，本件建物の明渡義務も生じておらず，そのため賃料相当損害金の支払義務も生じていない（なお，原告の請求が黙示的，予備的に賃料の支払を求めるものとも認められない。）。
なお，原告は，口頭弁論終結後，平成２８年２月１２日到達の内容証明郵便により改めて解約申入れをし，当該解約申入れから６か月が経過した後にも，被告が本件建物を使用していることに関し，異議を述べた旨主張する意向を記載した口頭弁論再開申立書及びこれに関する書証を当裁判所に提出するが，上記認定・説示のとおり，原告の解約申入れに正当事由がなく，上記説示に係る事情について，口頭弁論終結後に特段変更があったとは認められない以上，弁論を再開する必要はない。
第５　結論
よって，原告の請求は，いずれも理由がないからこれらを棄却することとし，訴訟費用の負担について民訴法６１条を適用し，主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第１０部
（裁判官　山口雅裕）

〈以下省略〉

*******

売れる！ビジネスPR

勝てる！政治選挙PR

★お問い合わせ★

■どぶ板選挙ドットウィン！にしかできない「地獄のどぶ板PR代行」の強み
(１)「地獄のドブ板」に特化した広報PR支援会社ですので、一番しんどい部分のみご相談ください
 (２)候補(予定)者の認知度拡大に向けて、貼る場所(箇所)に差をつける！どぶ板PRマーケティング
 (３)どぶ板実績No.1 ポスタリストの豊富な経験と実績で、候補(予定)者の選挙区をPRで完全包囲
 (４)政治活動に必須となる地域密着型どぶ板PRで候補(予定)者と有権者を繋ぐご挨拶回り握手代行
 (５)選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立する
 (６)ご挨拶回り！ビラ手渡し！ポスター貼り(掲示交渉)！街頭演説！で、どぶ板の相乗効果を狙え

■どぶ板選挙PR代行の流れ
■どぶ板OJTとは？
■どぶ板同行OJT内容(座学研修および実地特訓)
■どぶ板OJT当日配布資料
■どぶ板の学校オンライン
■ドブ板選挙にはじまり、どぶ板選挙で終わる！

以下の「ポスターPR党」画像をクリックし、全国における弊社の掲示交渉実績をご覧いただけます。
【実績一覧】地域ポスター広告PRのための【ポスターPR党】新規掲示許可交渉代行

ポスターPR党許可貼り(1)	ポスターPR党許可貼り(2)	ポスターPR党許可貼り(3)

ポスターPR党許可貼り(4)	ポスターPR党許可貼り(5)	ポスターPR党許可貼り(6)

ポスターPR党許可貼り(7)	ポスターPR党許可貼り(8)	ポスターPR党許可貼り(9)

ポスターPR党許可貼り(10)	ポスターPR党許可貼り(11)	ポスターPR党許可貼り(12)

ポスターPR党許可貼り(13)	ポスターPR党許可貼り(14)	ポスターPR党許可貼り(15)

ポスターPR党許可貼り(16)	ポスターPR党許可貼り(17)	ポスターPR党許可貼り(18)

ポスターPR党許可貼り(19)	ポスターPR党許可貼り(20)	ポスターPR党許可貼り(21)

ポスターPR党許可貼り(22)	ポスターPR党許可貼り(23)	ポスターPR党許可貼り(24)

ポスターPR党許可貼り(25)	ポスターPR党許可貼り(26)	ポスターPR党許可貼り(27)

ポスターPR党許可貼り(28)	ポスターPR党許可貼り(29)	ポスターPR党許可貼り(30)

以下の「政治選挙ポスター」画像をクリックし、全国選挙区における弊社の掲示交渉実績をご覧ください。
【実績一覧】選挙立候補予定者のための【政治選挙ポスター】新規掲示許可交渉代行

政治選挙ポスター掲示許可交渉(1)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(2)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(3)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(4)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(5)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(6)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(7)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(8)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(9)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(10)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(11)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(12)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(13)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(14)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(15)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(16)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(17)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(18)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(19)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(20)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(21)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(22)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(23)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(24)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(25)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(26)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(27)

政治選挙ポスター掲示許可交渉(28)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(29)	政治選挙ポスター掲示許可交渉(30)

メディア関係者様向けのプレスリリース記事 


ポスタリング	掲示交渉実績	お問い合わせ

無料ワッポン	どぶ板MENU	握手挨拶代行

よくある質問	各種資料一覧	お申込み流れ

ポスターPR党	どぶ板OJT	弁士相手探し

党員獲得代行	選挙妨害対策	立札看板交渉

①新規開拓PR	②他党多党PR	③一戸建てPR

⑧政策ビラPR	ポスタリング	④集合住宅PR

⑦意外注目PR	⑥公的公共PR	⑤独占単独PR

【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか？
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか？
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか？
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼～②貼付開始～③貼付完了等の流れについて教えていただけますか？
Q&A【5】ポスターの料金は１枚いくらで貼ってくれるのですか？
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか？
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか？
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか？
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか？貼りっぱなしではないですか？
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか？

■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか？
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか？
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか？
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか？
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか？
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン！ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか？
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか？
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか？
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか？
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか？

■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか？
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか？
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか？

■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開！

■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの

■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて

【ポスター【制作前の】候補予定者様】のメニューです。

「政治活動用ポスターのデザイン」は、こちらです。
公職選挙法規定の法的審査(レギュレーションチェック)対応済みの、個人ポスター、２連ポスター、３連ポスター等のデザインを制作！

「弁士相手探しマッチング」は、こちらです。
「探して、交渉して、お隣りへ！」理想の有名人や著名人の弁士相手を探して、地域有権者に対して認知度拡大の相乗効果を狙う！

「ポスターの掲示責任者代行」は、こちらです。
【全国対応】ポスターを掲示した選挙区からのクレーム対応・妨害等の「総合窓口」として、ポスター掲示責任者の代行をいたします。

【ポスター【制作後の】候補予定者様】のメニューです。

政治活動期間における「どぶ板専門！ポスター貼り(掲示交渉)代行」は、こちらです。

【稼働の流れ】
①新規ご挨拶回り|戸別訪問代行|握手代行
選挙区(指定エリア)の有権者(民家・飲食店・その他施設)に対して、候補予定者に代わって選挙ドットウィン！が直接ご訪問致します。

②名刺|ビラ|リーフレット等の手渡し配布
候補予定者と有権者を繋ぐため、名刺・ビラ・政策レポート・討議資料・リーフレットなど活動報告資料の直接手渡し配布を致します。

③留守宅|候補者PR資料ポスティング投函
ご訪問先がご不在の場合には、配布物を郵便受け等にポスティング投函致します。(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率！)

④政治活動ポスター貼り(新規掲示交渉！
【完全成果報酬】地獄のドブ板活動に必須となる、政治活動用ポスター貼り(新規掲示交渉代行！)(貼れた分だけの枚数課金となります)

⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン！が致します。