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裁判年月日 令和 2年 1月14日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(ワ)22215号
事件名 地位確認等請求事件
裁判結果 一部却下、一部棄却 文献番号 2020WLJPCA01148009
要旨
◆被告会社とシニア・ヴァイス・プレジデントとして労働契約を締結して就労していた労働者である原告が、被告会社から就業規則所定の「従業員の労働能力が著しく低下し、又は勤務成績が不良で改善の見込みなく就業に適さないと会社が認めたとき」に該当するとして普通解雇されたことについて、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合に当たり、無効であると主張して、被告会社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、賃金未払分及び解雇日以降の賃金等の支払を求めた事案において、本件解雇の理由として被告会社が主張する諸点につき、被告会社の主張の趣旨を採用することができないことを考慮すると、相当に高額な賃金に相応しい水準の業務が求められるという一般的な観点を考慮しても、また、被告会社が原告について減給又は降格といった措置を執らずに本件解雇をした点を被告会社に不利な事情としては斟酌しないとしても、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠くものであり、社会通念上相当であるとは認められず、無効であるとして、将来給付を除く原告の全ての請求を認容した事例
出典
参照条文
労働契約法16条
民法536条2項
民事訴訟法135条
裁判年月日 令和 2年 1月14日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(ワ)22215号
事件名 地位確認等請求事件
裁判結果 一部却下、一部棄却 文献番号 2020WLJPCA01148009
東京都港区〈以下省略〉
原告 X
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y証券株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 荒井紀充
同 門野多希子
主文
1 原告が被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は,原告に対し,127万1965円及びこれに対する平成30年6月26日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告に対し,平成30年7月から本判決確定の日まで,毎月25日限り月額152万9400円の割合による金員及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
4 原告のその余の金銭支払請求に係る訴えを却下する。
5 訴訟費用は,被告の負担とする。
6 この判決は,2項及び3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 主文1項及び2項同旨
2 被告は,原告に対し,平成30年7月以降,毎月25日限り月額152万9400円の割合による金員及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,被告と労働契約を締結して就労していた労働者である原告が,被告から解雇されたことについて,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合に当たり,無効であると主張して,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,平成30年6月分の賃金未払分127万1965円,同年7月分以降の賃金月額152万9400円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実等(当事者間に争いのない事実のほか,掲記の証拠又は弁論の全趣旨により認められる事実)
(1) 当事者
ア 原告は,平成10年に京都大学工学部を卒業した男性であり,a生命保険,b社及びc証券に勤務した経歴を有するものである。
イ 被告は,有価証券の売買,市場デリバティブ取引及び外国市場デリバティブ取引等を目的とする株式会社である。
(2) 労働契約の締結等
原告は,平成18年2月,被告(当時の商号は「Y証券準備株式会社」であった。)との間で,被告を使用者とする労働契約を締結し(以下「本件労働契約」という。),同年4月から就労を開始した(甲2の1,2)。
本件労働契約に基づく当初の原告の労働条件等は,次のとおりであった。
職位 被告の株式営業本部のアソシエイト
年俸 1200万円(うち840万円を基本給とし,360万円を社宅予算とする。)
支払方法 毎月末日締め,基本給を12等分した金額を当月25日支払
社宅家賃 社宅予算内で原告が社宅を選定し,被告が家賃を家主に対して直接に支払う。
(3) 原告の職位の推移等
被告における職位は,上位から順に,マネージング・ディレクター,ディレクター,ヴァイス・プレジデント,アソシエイト及びアナリストの5段階とされている。
アソシエイトであった原告は,平成21年1月,ヴァイス・プレジデントに昇進した。
また,原告の年俸は,平成18年から平成21年までは1200万円であったところ,平成22年1月に昇給し,平成22年からは2200万0800円とされた。
(4) 原告の経歴等
原告は,被告において,おおむね,以下の職務を担当してきた。
ア 入社当初から
株式本部d部デスク・アナリスト(顧客向け株式取引アイデアの調査,提供,説明等)
イ 平成22年3月から
株式本部e部ストラテジスト(株式投資戦略についての調査レポートの執筆等)
ウ 同年5月から
株式本部f部転換社債トレーダー(転換社債及び転換社債デリバティブの顧客向けトレード等)
(5) 整理解雇
被告は,原告に対し,平成25年2月8日付けで整理解雇するとの意思表示をした(以下「前件解雇」という。)。
(6) 前件解雇に関する訴えの提起
原告は,平成25年4月,東京地方裁判所において,前件解雇が無効であるとして,被告に対し労働契約上の地位の確認等を求める訴えを提起した(東京地方裁判所平成25年(ワ)第10472号。以下「前件訴訟」という。)(甲56)。
(7) 訴訟上の和解と復職等
前件訴訟において,平成26年12月12日,原告と被告との間で,次の内容を含む訴訟上の和解が成立し(乙5。以下「前件和解」という。),原告は,前件和解に基づき,平成27年1月から復職し,被告の株式調査本部○○営業部(以下,単に「○○営業部」という。)の業務に従事した。
ア 被告は,前件解雇を撤回し,原告と被告は,平成25年2月8日以降も原告と被告との間に労働契約が継続していることを相互に確認する。
イ 被告は,原告に対し,原告が平成25年2月9日以降平成26年12月31日まで被告において勤務を継続したものとして取り扱い,原告の勤続年数に係る労働条件において不利益な取扱いをしないこと,並びに社会保険及び労働保険について解雇の撤回に伴って被告がとるべき所定の手続を直ちにとることを約束する。
ウ 原告及び被告は,原告の被告への復職に当たり,以下の事項を確認する。
(ア) 原告は,平成27年1月1日から職場復帰し,○○営業部に配属となり,ヴァイス・プレジデントとして勤務する。
(イ) 原告の勤務地,業務内容及び職位は,被告の就業規則に従い,業務上の必要に応じて変更されることがある。
(ウ) 平成27年度の原告の基本年俸(住宅手当含む)は,年2200万0800円とする。
(エ) その他の原告の勤務条件については,被告の就業規則に従うものとする。
(8) ○○営業部の業務等
ア 被告を含む△△グループは,データベースに集約された財務データを用いて国内・海外の多くの企業を評価・分析することができる企業価値評価プラットフォーム(「○○」と称されているものであり,以下「○○」という。)を提供している。
○○営業部は,日本株式及び外国株式に関する○○のデータベース及びソフトウェアに関して,主として機関投資家である顧客に対する営業及び営業補助業務等を行う部署である。
イ 原告は,○○営業部において,「スペシャリスト」と称される地位に就いたところ,スペシャリストは,主に,以下のような業務を担当することとされている。
(ア) 顧客(機関投資家)からの依頼に基づき,○○を用いてカスタマイズされた分析を行うこと。
(イ) 幅広い市場,産業,企業について,定期的なレポートを行うこと。
(ウ) ○○における評価の枠組みを改善すること。
(エ) ○○企業データベースの保守・管理を行うこと。
(オ) 株式調査本部と連携して,○○の導入を推進すること。
ウ 原告が前件和解に基づき平成27年に復職した後,原告の直属の上司は,B氏(以下「B氏」という。)であった。また,同年末頃からの原告の直属の上司は,C氏(以下「C氏」という。)であった。(甲56,乙11)
(9) 書面の交付等
ア 被告は,平成29年6月6日,原告に対し,次の内容の記載のある「Written Warning」(書面による厳重注意)と題する書面(以下「本件通知書1」という。)を交付して通知した(乙1の1,2。原文は英語である。)。
「貴殿は,継続して,下記の職能分野における期待に応えておらず又は上回っていません。
業績 ・投資根拠を裏付け,潜在株式のアイデアを明らかにする,○○フレームワークの使用における包括的な知識及び信頼性を示すことができていません。
・依然として,当行のシニア・ヴァイス・プレジデントとしての役割にふさわしい,好調な投資案件及び実行可能なアイデアを伴う,独自の○○インサイトを構築する能力を示すことができていません。例えば,2017年1月に貴殿が提出した日本の建設セクターに関するインサイトは,その深さ並びに企業分析及び投資正当化の多様性の点において,当社がシニア・スペシャリストに求める,公表できる内容のレベルに達していません。
・新たな産業/セクター又は企業分析の作成の催促を頻繁に必要としていますが,これは貴殿のシニオリティに鑑みると不十分です。成果物の内容のレベルも,○○の他のスペシャリストに後れをとっています。
・現在に至るまで,限られた数の顧客とのコンタクト/タッチポイントしか持たない等,○○のセクター/企業の情報を用いた顧客に対する積極的な働きかけを行っていません。
・顧客及びセールスからの問い合わせに対し,不適切な回答を行い,○○ワークフローの理解及び顧客へのサービスに対するコミットメントの欠如を示しました。2017年3月,東芝に関するコメントを求められた際,最初に東芝のデータの適切なレビューを行なわないまま回答しました。また,同月,資生堂に関してコメントを求められた際にも,貴殿はデータを注意深く確認しないまま回答し,包括的なコメントを構築することができませんでした。」
「個人の影響力
・貴殿が○○の顧客に営業を行うことに対して,同僚及び○○営業部が安心できるような,○○の利用及び理解における信頼を得ていません。
・貴殿のシニオリティのレベルに反して,貴殿は重要なコンテンツ配信者及び担当セクター/データのエキスパートとして認識されていません。
・週例チームミーティングでの話し合いに積極的に参加していません。貴殿は,シニア・ヴァイス・プレジデントとして,主導的な立場に立ち,建設的なフィードバックを提供すべきです。
・○○の利用において機会を特定し,顧客の意識を高めるべく,営業及び調査部門に積極的に働きかけていません。
貴殿と協議したとおり,当社は,可能な限りの手段で,貴殿がこれらの要件を満たすことができるよう支援することに全力を尽くします。」
「当社は,貴殿の業績の注視及び管理を継続して行います。当社は,2017年9月5日に,上記の期待事項に関する貴殿の業績を再度評価します。万が一,貴殿が当社の要求を満たすことができなかった場合には,さらなる措置がとられるおそれがあります。」
イ 被告は,平成29年9月6日,原告に対し,次の内容の記載のある「Performance Issues」(勤務成績の件)と題する書面(以下「本件通知書2」という。)を交付した(乙2の1,2。原文は英語である。)。
「残念ながら,本レターの日付において,貴殿は,以前協議し,当社の前回のレターで示された分野において,引き続き不十分な業績を収めています。」
「繰り返しになりますが,貴殿が所属部署のシニア・ヴァイス・プレジデントとしての当社の要求を満たしていない分野は,下記の点に示されています。
・プロフェッショナルスキル:貴殿は業務に関する知識とスキルが不足しています。貴殿は,顧客にとって論理的で洞察に満ちた○○シナリオを示す,合理的かつ独創性のある方法を含む,○○フレームワークの使用における,包括的な知識及び信頼性を構築する必要があります。
・認知:貴殿は,当社のグローバル及び国内のチームとの強力な内部ネットワークを持ち,貴殿の同僚と同程度に,外部の顧客からある程度の認知を得ていることを証明する必要があります。
・積極的なアプローチ:貴殿は,○○の利用において投資機会を明らかにすべく,営業及び調査部門に積極的に働きかけ,顧客の認識を更に高める必要があります。また,貴殿は,積極的にインサイトを作成し,定期ブローカー評価において,顧客からより高い認知を得るために,これらのインサイトに関して顧客をフォローする必要があります。
・コミュニケーション:貴殿は,国内及び国外の両方における,当社とのコミュニケーションに関してより目に見える改善を示す必要があります。当社は,貴殿に対し,モデルの高度化,テータの完全性及び顧客への影響力に関する○○ビジネスへのハイレベルなコミットメントを示すとともに,○○の見解及び日本市場に対するアイデアに関するコミュニケーションを牽引することを求めています。」
ウ 被告は,同年12月7日,原告に対し,「Performance Issues」(勤務成績の件)と題する書面(以下「本件通知書3」という。)を交付した(乙3の1,2)。
(10) 解雇の意思表示
被告は,原告について被告の就業規則第42条第2号に該当するとして,平成30年3月7日,原告に対し,同年6月5日付けで解雇するとの意思表示をした(甲18の1,2。以下「本件解雇」という。)。
(11) 解雇理由証明書の交付
被告は,原告に対し,本件解雇の理由について次の内容を記載した平成30年3月15日付けの解雇理由証明書を交付した(甲19)。
「勤務態度及び勤務成績が不良であり,改善の見込みがないこと:当社は,貴殿宛の2017年6月6日付書簡にて,貴殿の勤務態度及び勤務成績に関する重大な懸念があることからPerformance Improvement Planを開始する旨通知し,貴殿の勤務態度及び勤務成績の向上のため教育及び指導を継続してきた。上記教育・指導は当初予定されていた期間(同年9月5日まで)を二度にわたり延長して2018年3月7日まで行われたにもかかわらず,貴殿の勤務成績は改善せず,また貴殿において改善の意欲も認められなかった。」
(12) 就業規則の定め
被告の就業規則第42条には,解雇につき,次の定めがある(甲3)。
次の各号の一に該当する場合は,会社は従業員を解雇することができる。
2) 従業員の労働能力が著しく低下し,又は勤務成績が不良で改善の見込みなく就業に適さないと会社が認めたとき
(13) 原告の賃金額等
本件解雇の直前3か月における原告の賃金(社宅家賃控除後)の1か月平均額は,152万9400円である。
被告は,原告に対し,平成30年6月分の賃金として25万7435円を支払った。
(14) 本件訴えの提起
原告は,平成30年7月10日,東京地方裁判所において,本件訴えを提起した。
2 争点及び争点に対する当事者の主張
本件の争点は,本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合(労働契約法第16条)に当たるかどうかであり,争点に対する当事者の主張は,以下のとおりである。
(1) 原告の主張
以下のとおり,原告の勤務態度及び勤務成績は良好であり,原告の能力及びスキルにも全く問題がないから,本件解雇は,労働契約法第16条により無効である。
ア 原告の勤務態度及び勤務成績等
(ア) 原告の勤務態度は,真摯であった。原告は,勤務態度が真摯でないとの指摘を受けたことはないし,無遅刻・無欠勤であり,顧客や同僚との関係も良好であった。
(イ) 業務に関する原告の知識,理解,技能及び経験は,十分な水準にあった。
原告は,上司であったB氏から,積極性がないとの指摘こそ受けたことがあるものの,業務に関する知識等が著しく不十分な水準にとどまるなどの指摘を受けたことはない。原告の降格も,行われたことがない。
(ウ) 原告は,被告の指導及び改善要求に応じる姿勢を示していたのであり,このことは,上司であったC氏のメモ(乙6の1,2。以下「本件メモ」という。)により明らかである。
(エ) 原告は,C氏や同僚と比較しても,非常に多数の企業を担当しており,企業のデータ品質管理業務の負担は重かったにもかかわらず,他のヴァイス・プレジデント3名と比較しても,多くのレポートを執筆していた。また,被告の多くの従業員が,原告の作成したレポートを顧客に送付していることは,原告のレポートの質が高いことを示している。
イ 原告の能力及びスキルに対する評価
(ア) 原告の上司であったD氏(以下「D氏」という。)は,平成24年9月7日の面談において,原告に対し,原告のスキルや業績には全く問題がなかった旨説明した。
(イ) 被告の人事部長のE氏は,平成26年9月12日の前件訴訟の証人尋問において,原告の能力に問題があったという理解はしていない旨証言した。
(ウ) 被告の人事部担当者のF氏は,平成30年2月28日の面談において,原告に対し,原告が優秀なので日本企業等他社にも適したポジションがあるはずである,○○に合っておらず,実力を発揮することができていないので,もったいない,もっと活躍できるはずである旨発言した。
(エ) ○○営業部において原告の近くの座席において勤務していた同僚のG氏は,平成29年9月6日の面談において,原告の勤務成績が改善しているとの発言をした。
(オ) 原告は,上司であったB氏から,レポート等の成果物の質が低いという指摘を受けたことはなく,原告の知識,理解,技能及び経験が不足しているという指摘を受けたこともなかった。
(カ) C氏は,日本語を理解せず,原告の成果物に対してポイントを外した指摘をすることが多々あり,また,レポート等の作成において,強引な前提や無茶な仮定を置く傾向が強かった。
ウ 被告の主張に対する反論
(ア) 東芝に関するC氏の質問に対して原告が回答した内容に誤りがあったことは事実であるが,それは,原告の前担当者によるデータ入力のミスを原因とするものであったし,C氏と○○チーム内のみにおけるやり取りであって,顧客には全く関わりがない出来事であったのであり,解雇事由には当たらない。
(イ) 建設セクターに関して原告が作成したレポートは,顧客に好評であり,原告はその貢献に対して顧客から評価(投票)されており,顧客はレポート内容に沿った投資を行ったものである。
エ 解雇手続の不当性
(ア) 被告は,原告に対してパフォーマンス・インプルーブメント・プラン(以下「PIP」という。)を適用したと主張しているが,原告は,PIPの適用,延長又は再延長について,被告から通知や説明を受けたことはない。
被告は,原告に対して指摘・警告をし,注視していただけであり,原告の業績や能力の向上を目的とした具体的な改善計画や業績目標を定めたわけではなく,プランと呼べるようなものはなかった。
(イ) 被告は,原告につき能力不足であるとしているが,本件解雇をする前に,減給や降格を行っておらず,不当である。被告は,減給や降格が予定されていない旨主張するが,その理由とするところは言い訳にすぎないし,従前には被告のe部の従業員がディレクターからヴァイス・プレジデントに降格された事例もある。
(2) 被告の主張
以下のとおり,本件解雇は,客観的に合理的な理由に基づく社会通念上相当なものであって,有効である。
ア 原告の勤務態度及び勤務成績
原告は,前件和解の後,3年余りの期間にわたり,一貫して「指示されたことをこなす」という最低限のレベルを追求する姿勢に尽き,真摯に職務に取り組もうとせず,原告の知識,理解,技能及び経験は,求められる水準に達しておらず,著しく不十分な水準にとどまった。
原告については,例えば,原告の作成したレポートの質が被告として公表することができる水準に達していないこと,顧客や被告社内の関係者からの問合せに対して不適切な対応を行うこと,簡単な作業においてケアレスミスをすること,チームの打合せに積極的に参加しないこと,社内の関係者と連携して顧客に対して積極的に働きかけるということをしないことなどの問題が日常的に発生していた。
原告は,被告から,再三にわたり,具体的な教育及び指導並びに改善要求を受けたが,言い訳に徹したり,同僚の業務のレベルも低いのになぜ自分だけが改善を求められるのかといった言いがかりをつけたりして,一向に改善に応じなかった。
イ 具体的な問題状況
原告が○○営業部に在籍していた約3年間においては,原告の勤務態度及び職務遂行能力に起因して,以下のような事態がしばしば発生していた。
(ア) データの品質管理の懈怠
原告は,○○営業部スペシャリストの主要な業務の一つとして,○○データベースに集約された担当企業の財務データの品質管理を担っていたが,このような品質管理を適切に行わず,被告からその旨を指摘されて改善を求められることがしばしばあった。例えば,原告は,平成29年3月,担当企業の一つである東芝について,不正確な財務データに基づいて質問に回答した。企業の財務情報は,随時更新され得るものであるから,特に自らが注目する担当企業のデータについては,随時最新のデータを確認し,自らの保有するデータの正確性を保つことが求められているのは当然のことであり,上記のデータが正確でないことは損益計算書を確認すれば容易に認識し得るものであったにもかかわらず,原告は,そのような最低限のレベルのデータ管理すら怠っていた。
(イ) 質の低い分析,レポート
原告が担っていた主要な業務の一つに,○○を用いた企業の財務データの分析業務(各種レポートの執筆を含む。)があったが,原告が行う分析や作成するレポートは,その内容が極めて表面的なものにとどまっていたり,○○を用いた分析に求められるものと方向性がずれていたり,独創性を欠き読み手にとって魅力的な内容を備えていないなど,シニアのスペシャリストに求められるレベルに達していないことが多々あった。これは,専ら原告の○○(ないし○○営業部の業務)に対する理解の欠如に起因するものであった。そして,原告は,上司であるC氏らから分析やレポートのやり直しや修正の指示を受ければ,事後的に個別に対応していたものの,それを次の業務に活かして質を改善していこうとする姿勢を見せず,被告は,原告に対して同じような指摘を何度も行わなければならなかった。
例えば,原告が平成29年1月に作成した日本の建設セクターに関するレポートのドラフトは,その分析の深さ等の点において,被告において公表することができるレベルに達していなかった。しかも,原告は,当該レポートの内容についてC氏から受けた指摘を適切に考慮せずにそれを修正したため,C氏は,求められる成果物のレベル及び原告のレポートがそのレベルに達していないことを改めて説明しなければならなかった。
(ウ) 積極性の欠如,顧客からの認知の不足
○○のスペシャリストは,顧客による○○の利用を促進するために,社内の関係者と連携して顧客に対する積極的な働きかけを行うとともに,○○を用いた分析やレポートの作成等を自発的に行うことが求められる。特に,原告のようなシニアのスペシャリストは,主体的かつ積極的にこれらの業務に取り組み,チームに貢献することがより強く期待されており,このことは,日々の業務の過程においてはもちろん,半期ごとの人事評価の機会や本件通知書1ないし3においても,繰り返し強調されていた。
しかし,原告の勤務態度は,○○営業部の在籍期間を通じて,積極性を著しく欠くものであり,被告の度重なる改善要求にもかかわらず,改善することはなかった。具体的には,原告は,被告から頻繁に催促を受けるまでデータの分析やレポートの作成を行おうとせず,例えば,平成28年から平成29年までに○○チームが発行したレポート(ウィークリー・ビューポイントを除く。)の数は約120件であったのに対し,原告が関与したのは,このうちわずか6件であった。また,原告は,限られた顧客に対して限られた回数のアプローチをするにとどまり,例えば,被告の社内システムに記録されている,原告が平成28年に行った顧客活動の回数(顧客からのリクエスト,顧客との電子メールのやり取り,電話,会議の回数の合計)は,チームのヴァイス・プレジデントの中で最も少なかった(他のヴァイス・プレジデント3名の顧客活動の回数は,それぞれ474回,461回,350回であったのに対し,原告のそれは193回であった。)。また,当該システムの記録上,原告が平成29年に行った顧客との会議の回数は合計41回であったが,これは他のスペシャリストが同年に行った会議の回数(他のヴァイス・プレジデント3名においてはそれぞれ203回,103回,102回,アソシエイト3名においてはそれぞれ106回,82回,78回)に比して極めて少ないものであった。
ウ PIPの適用
(ア) 被告は,平成29年6月6日付けで,原告についてPIPを適用することを決定した。PIPとは,勤務態度・勤務成績が芳しくない従業員に対してその旨を正式に指摘・警告するとともに,一定期間,当該従業員の業績を注視することを通じて改善を促す手続である。
そこで,○○営業部の責任者であるB氏及びC氏らは,同日,原告と面談を行い,本件通知書1を交付した。原告は,本件通知書1の内容に反発し,同書面への署名を拒否した。
(イ) その後,原告は,本件通知書1により指摘された問題を改善しようとせず,その勤務態度及び勤務成績が依然として極めて不十分な水準にとどまったため,被告は,原告についてPIPの延長を決定し,同年9月6日,原告に対し本件通知書2を交付した。
原告は,その後も,同様の勤務態度及び勤務成績であったため,被告は,原告についてPIPの再延長を決定し,同年12月7日,原告に対し本件通知書3を交付した。
エ 本件解雇の経緯
原告の姿勢や勤務態度及び勤務成績は,その後も同様であったことから,被告は,やむを得ず,PIPの終了及び本件労働契約の終了を決断した。B氏らは,平成30年2月28日,原告に対し,解雇せざるを得ない状況にあること及び解雇の通知を行う予定であることを説明した上で,任意退職のパッケージを提示した。原告が任意退職に応じなかったことから,被告は,やむを得ず,本件解雇をした。
オ 減給及び降格をしなかったことについて
被告においては,個々の従業員の当該年度の業績が翌年の年俸額に直ちに影響するという給与制度を採用しておらず,主として賞与の額に反映させるという運用を行っている。また,特定の役職と連動する形で給与の額が決定されるという仕組みもなく,業績が不良な従業員についても,特段の業務上の必要がない限り,降格は予定されていない。
被告に高給をもって採用される従業員は,その働きが雇用主の期待に沿わない場合,減給や降格といった措置を経て改善を促し,又は別の機会を与えられる形で当該組織に留まることが予定されているわけではなく,PIP等を通じて一定の改善の機会は与えられるものの,最終的には退職を求められる立場にあり,その一方で,自らの処遇に不満のある従業員は,活発な転職市場を利用して,より良い雇用の機会を探すことが予定されている。
被告においては,内部部署に異動する機会は設けられているし,原告に対しても,本件解雇に先立ち社内公募の仕組みにより募集がされていたポジションを紹介し,担当者との面談を調整するなどしたが,これは,既に高給が支払われている従業員に対して一からの挑戦や教育の機会を与えることを本旨とするものではなく,自らが転職市場において価値のある人材であることを社内の他部署に対して納得させることのできる者に対してのみ挑戦の機会を与えようとする制度である。原告のように一貫して「指示されたことをこなす」という最低限のレベルを追求する働きぶりに終始するような者に対してパターナリスティックに挑戦の機会を与えるということは,本来的に予定されていない。
第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲56,乙11,原告本人,証人Bのほか,括弧内に掲記したもの。ただし,認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1) 前件和解の成立までの状況
ア 原告は,平成24年当時,転換社債トレーディング部に所属していたところ,被告は,同部署の人員を縮小することを決定した。
原告は,同年9月7日,上司であったD氏に対し,人員削減の理由の説明等を求め,その中で,人員削減が会社の都合によるものであって原告に何らかの問題があったことによるものではないことの確認を求めた。D氏は,原告に対し,これが整理解雇による人員削減である旨,原告は普通解雇を要することを何もしていない旨などを述べた。(甲26)
イ 前件解雇の効力が争われた前件訴訟の平成26年9月12日の第3回口頭弁論期日において,被告の人事部長であった証人Eは,証人尋問の中で,原告の能力・スキルに問題があったかとの質問に対し,「いいえ,その削減対象にXさんが不幸にも選ばれたということは,先ほど主尋問で申し上げたとおり,総合的な判断ということですので,能力に問題があったという理解はしておりません,承知しておりません。」と証言した(甲27)。
ウ 原告と被告は,前記争いのない事実等(7)のとおり,同年12月12日,前件和解をした。
(2) 前件和解の後,平成27年から平成28年までの状況
ア 原告の平成27年の業務等の評価について,原告の上司であったB氏が平成28年1月12日頃に作成した評価書(マイ・パフォーマンス・レビュー)には,次のような内容が記載された(ただし,(ウ)は,原告作成部分である。原文は英語である。乙8の1,2)。
(ア) 上司による全体的なコメント
原告は,本年初めに現在の役職に就任し,○○のスペシャリストとしての職務に沿って,また,○○に関連しないリクエストについても,○○モデルの知識を展開し,多数のクライアント/社内のセールスからのリクエストに対応することに努めた。これらの努力は,直接の問い合わせや管理職からの指示に応じたものであったり,週次の作成要件に沿ったものであったりという意味で,大いに人から言われたことに対応する/消極的な性質のものであった。コンテンツの発展(新しい若しくは興味深いもの又はウィークリー・ビューポイントに寄与するもの),モデル改良の提案,又は追加の職務を引き受けることに積極的に努めた様子は全体的に見られず,もしこれらの努力がなされていたならば有用であったであろう。
(イ) 全般的な貢献についての上司による評価及び全体的なパフォーマンス評価は,Aである。
(ウ) 原告による全体的な貢献についてのコメント等(原告作成部分)
外部及び内部のクライアントからの多くのリクエストに対応した。ほとんどのリクエストが○○に関連しないものであったにもかかわらず,私は対応を行うことには積極的で,適時に対応した。リクエストをした人たちは,クライアントから幾分の評価をもらえ,Y証券の収益に貢献したのではないかと思う。
マーケティング資料及びクライアントの要請したプロダクトのための,○○関連のコンテンツ及び○○に関連しないコンテンツを作成した。マネタイズ及びストラクチャーという点において,○○チームにおいて○○に関連しないコンテンツを作成することに少し苦労した。
全般的な貢献についての自己評価及び全体的なパフォーマンスの自己評価は,AAである。
イ 原告は,そのころ,平成27年の業務に関し,被告から,業績奨励賞与として約117万7400円の支給を受けた。
ウ 平成27年末頃から,C氏が原告の直接の上司となった。なお,原告の勤務地は日本国内であった一方で,C氏はシンガポール等において勤務しており,両名は,通常,電子メールやテレビ会議等により意思疎通をしており,直接に会って話をした機会は1回程度である。
エ 原告の平成28年の業務等の評価について,原告の上司であったC氏が同年末頃に作成した評価書には,次のような内容が記載された(原文は英語である。乙9の1,2)。
(ア) 全般的な貢献についての上司による評価
部分的に期待に応えている。
(イ) (貢献についての)上司による全体的なコメント
原告は,本年を通じて向上が見られたが,原告のアウトプット,積極性のレベル,○○モデルの使い方及びコンテンツ作成の質は,全般的に同じ職位の者の標準以下のままであり,私たちがシニアのヴァイス・プレジデントの役職に期待するレベルをはるかに下回るものであった。
私たちは,原告が積極的に○○についてクライアントに説明を行い,自身のクライアントのフランチャイズを,シニアの○○部門スペシャリストとして相応しいレベルになるよう築くことを期待する。
特に改善が必要な領域には,以下が含まれる。
① 日本における品質管理データのマッピング・プロセスを自分のものにされたい。データの欠陥について理解及び対応し,過去のデータにおけるエラーを修正されたい。
② 興味を引く可能性のあるコンテンツについて積極的に提案し,これらのコンテンツの準備につき,H,I,私に連絡して,話し合うようにされたい。もともと予定されているウィークリー・ビューポイントのタイムラインに基づいて待っていて書くだけでは十分ではない。本年を通じて,広く配布されたコンテンツの一つ一つについて,私たちは原告に具体的に作成を依頼しなくてはならなかった。
③ クライアントとの交流のレベルを向上されたい。原告のクライアントのタッチポイントとブローカー・レビューの認識は,セクターのスペシャリストと比べてはるかに低いままである。
④ 改善が必要な領域のうち重要なものは,実際のコンテンツ作成,○○のデータポイントの創造的な使用並びに○○の効果的な提示及び使用である。
(ウ) 全般的な能力についての上司による評価
部分的に期待に応えている。
(エ) (能力についての)上司による全体的なコメント
積極的なアプローチ:コンテンツに関するアイデア,提案をもっと積極的に出す必要がある。毎週及び毎日の電話会議において積極的に発言すること。昨年,これらがなされている様子は見られなかった。
協調性:例えば,データチームに日本のマッピングについて理解させる等,チームを越えた取組をより示す必要がある。
プロフェッショナル・スキル:会社にプレゼンテーションを行う際,○○フレームワークについてより良く理解しているところを示されたい。脈絡なく,○○の使用は当社ではうまくいかないといった言葉を使わないでもらいたい。
(3) 平成29年の状況
ア(ア) 原告は,建設セクターに関するレポート案を作成し,平成29年1月19日,C氏に対し,電子メールで送信した。
(イ) C氏は,同日,原告に対し,レポート案について,「より多くのオーディエンスに使用されるようより強化していただければと思います。」とし,「サマリーのページ―フォントタイプとレイアウトについて―通常の当該地域に関するその他のPPTと整合性が取れるようにしてください。」,「視覚的に,最初のスライドに説得力がなく,ラベル中のチャートのキャプションと若干ずれがあります。」,「4ページ目と5ページ目を入れ替えてください。」,「6ページ目 建設は明らかな景気循環にあります。示唆される□□が低いものの,投資家は現在の□□に投資するつもりはありません。これまでの平均を下回る□□について価格設定する会社を強調するのはいかがでしょうか?」など合計7項目を指摘する内容の電子メールを送信した。(なお,証人Bの証言によれば,□□とは,◎◎の略称であり,被告において,国際的な株式の比較をする際に,企業のパフォーマンスや業績を比較するための測定基準の方法ないし指数・数値であると認められる。)
(ウ) 原告は,同月23日及び26日,C氏に対し,レポートの修正案を送付した。
(エ) C氏は,同日,原告に対し,レポートの修正案について,「この記事に関し,広くクライアントに対して配布できる基準を満たすため改善できる重要な点がまだあると思います。」とし,「ディスクレイマーが誤っています。これは我々がスペシャリストに対して使用するよう依頼している更新済みのディスクレイマーではありません。」,「△△リサーチビュー又は格付けを参照する場合,直近の△△リサーチレポートをリンクする必要があります。」,「3ページの建設全体のヘッダー―よりインパクトのあるものを記載してください。」,「「□□の見通しは上昇傾向であるが,市場においては□□はおよそこれまでの平均水準を維持しているとされ,7%を超える現在の□□は長くは続かないとされている。」この文章のトーンは,このセクターについてあなたがネガティブな考えを持っているという印象を与えないでしょうか?これは適切なメッセージではないと思います。」,「くどくなるので次のような言い回しは避けてください。「セクターにおける同業者間での関連する評価を考慮し,セクターにおける同業者と比較すると,安藤ハザマ(1719)は比較的魅力的である一方,清水(1803)は比較的見栄えがしない」」など合計8項目を指摘する内容の電子メールを送信した。
(オ) 原告は,同日,C氏に対し,レポートの修正案を送付した。
(カ) C氏は,同日,原告に対し,レポートの修正案について,「適切にご対応いただいていると思いますが,現段階の形では公表するのに十分な深さを備えていないと思います。」とし,「具体的に変更すべき点を指摘することはできますが,あなたも品質について改善すべき点を積極的に検討する必要があります。例えば,3ページ目についてはよりインパクトのあるヘッダーをリクエストしましたが,3ページ目と全く同様のヘッダーである4ページ目はいかがでしょうか?」,「公表用の記事について,示唆される予測が高いか低いかを強調するだけではなく,強力なストーリーとコンテクストが必要です。」,「良いストーリーを打ち出す―例としてマカオのカジノ用記事を見てみると,時間を通したアップグレードサイクルの長さについてのコメントがあります。これが前例のないことであるのはなぜですか?使用可能で□□の変更とリスクをさらに説明する建設サイクルの主要な指標があるのですか?」などの指摘をする内容の電子メールを送信した。
((イ),(エ)及び(カ)の電子メールの原文は,いずれも,英語である。乙7の1,2)
イ(ア) C氏は,平成29年3月10日,原告に対し,東芝の部門別データを得たい旨の電子メールを送信した。
(イ) 原告は,これを受け,同日,C氏に対し,東芝の□□が-15.2%であり,東芝の半導体部門が同業他社の中で最も悪いと思う旨の電子メールを送信した。
(ウ) C氏は,同日,原告に対し,更に,東芝の2016年3月期でグロス・キャッシュ・フローには特別項目(特別損失又は特別利益)がないのかなどと尋ねる電子メールを送信した。
(エ) 原告は,同月14日,C氏に対し,以前に担当していたスペシャリストがデータ修正を忘れていたものであり,修正後の東芝の昨年度の□□は-21%になることなどを記載した電子メールを送信した。
(オ) C氏は,同日,原告に対し,「私は他のスペシャリストが間違いを起こしたことは理解しました。私のポイントは,興味のある会社があれば,入力されたすべての財務情報が完璧であることを確認し,自分で修正する必要があるということです。この場合,損益計算書を見ると何かが欠けていることは明白です。あなたがセクターのスペシャリストであることを忘れないでください。」などと記載した電子メールを送信した。
((オ)の電子メールの原文は,いずれも英語である。甲36の1,2)
ウ 原告は,同年3月23日,顧客(J氏)から,○○における資生堂の売上原価の計算が誤っているのではないかとの照会を受け,○○における売上原価の計算においては減価償却費を控除していることなどについて顧客の理解を得るべく,同月28日まで,同僚のG氏と共に対応に当たった。(甲37の1,2)
エ 被告(B氏及びC氏)は,前記争いのない事実等(9)アのとおり,同年6月6日,原告に対し,面談の上で(なお,C氏は,シンガポールにおいて,テレビ会議を使用して,面談に参加した。),本件通知書1を交付して通知した。被告は,本件通知書1の署名欄(「私はこの正式な書面による警告を読み,その内容を理解しました。」との記載のある欄)に署名するよう原告に求めたが,原告は,書面の記載内容に同意することができないとして,署名することを拒んだ。(乙1の1,2)
オ 被告(B氏,C氏,人事部のF氏)は,同年9月6日,原告と面談し(なお,C氏は,シンガポールにおいて,テレビ会議を使用して面談に参加した。),前記争いのない事実等(9)イのとおり,原告に対し,本件通知書2を交付した。被告は,本件通知書2の署名欄に署名するよう原告に求めたが,原告は,書面の記載内容に同意することができないとして,署名することを拒んだ。(乙2の1,2)
その面談の際,面談に同席していたG氏は,原告のパフォーマンスは改善している旨の発言をした。
カ 原告は,同月7日,C氏に対し,「あなたが昨日話していた「洗練された質の高い」コンテンツをより正確/明確に理解するために,ディレクターの品質基準を満たす「洗練されて質の高い」,「顧客が取引できる」,「インパクトのある」あなたのレポートを参考例として送ってください。」と記載した電子メールを送信した(原文は英語である。甲35の1,2)。
キ 被告(B氏,C氏,F氏)は,同年12月7日,原告と面談し(なお,C氏は,シンガポールにおいて,テレビ会議を使用して面談に参加した。),原告に対し,次の内容の記載のある本件通知書3を交付した(原文は英語である。乙3の1,2)。
「例えば,10月上旬,○○日本第4四半期のアイデアを作成した際,貴殿のANA(9202),コスモス製薬(3349)及び塩野義製薬(4507)の投資案件のレポートは不明確であり,当社はこれらを修正しなければなりませんでした。」「同文書は,撤回及び修正される前に,上位のアイデアのリストに記載されている制限会社の名前とともに送付されました。」
「2017年10月19日,貴殿は,日本及びグローバルの半導体装置産業に関するレポートにおいて,事前に適切かつ明確な質問を提起することなく,不適切なデータポイントを利用しました。」
「年初来,貴殿の顧客との面談回数は,アクティブな担当を持つセクター・スペシャリストの中で最も少ないものとなっています(その他のセクター・スペシャリストの平均80回~100回の面談に対し,50回以下の面談)。」
「当社は,10月下旬,貴殿に対し,産業/企業レベルのアイデアについてのアップデート及び今後予定されているコンテンツを依頼しました。毎週催促及び提案を行ったにもかかわらず,当社は2017年11月28日まで(日本のREITに関する)アイデアの案すら受領しませんでした。」
「年間を通じて,当社は貴殿に対し,1月の株式分割ファクターのミスや,5月の一部のNADのデータのミス等,多くの○○基本データのレビューにおける問題(QC問題)について注意喚起してきました。当社は,引き続き,10月にも,ベンダーの株式分割ファクターの変更のミス等,QCの不十分な管理を目撃しています。」
「当社は,貴殿の業績の注視及び管理を継続して行います。当社は,2018年3月7日までに,上記の期待事項に関する貴殿の勤務成績の正式な評価を再度行います。万が一,貴殿が次の評価までに当社の要求を満たすことができなかった場合には,当社は,雇用の終了を含む更なる正式な措置をとることになります。」
被告は,本件通知書3の署名欄に署名するよう原告に求めたが,原告は,書面の記載内容に同意することができないとして,署名することを拒んだ。
ク 原告の平成29年の業務等の評価について平成30年1月頃に作成された評価書には,次のような内容が記載された(原文は英語である。乙10の1,2)。
(ア) 全般的な貢献についての上司による評価
部分的に期待に応えている。
(イ) (貢献についての)上司による全体的なコメント
原告は,うまく流れるクライアントにとって見識に富んだ○○のコンテンツ及びシナリオを作成するために,○○の知識という点において,まだ更に能力を向上させる必要がある。
○○事業へのクライアントの影響を大きくするため,多数の内部/外部からのリクエストをフォローする必要がある。
積極的なコンテンツ作成/アイデア創造,特に,質の高いアイデア及び私たちが全世界の○○のクライアントに広く配布することができるようなパワーポイントによるメモ。
仕事の状況がより良く見えるようにして,定期的に,貴殿のアイデア/行っている興味深い仕事について積極的に共有すること。○○のセールスと連絡を取り,潜在的なクライアントのタッチポイントを特定すること。
消極的(受け身)な姿勢から,クライアントへの積極的なサービス/積極的なコンテンツ作成に移行すること。
(4) 平成30年の状況
ア 被告(B氏,F氏)は,平成30年2月28日,原告と面談し,1週間後(同年3月7日)に解雇予告をする予定である旨を説明した。その際,F氏は,原告に対し,もし合意退職をすれば,退職金を上乗せしたパッケージの提供が可能であること,上乗せする金額については交渉が可能であることを説明した。また,F氏は,原告に対し,社内異動又は社外への異動の可能性を探るべく,社内の空きポジションやヘッドハンターの紹介を行うことを約束した。
イ その後,F氏は,原告に対し,社内の3部署のポジションの話を紹介した。
そのうちの一つは,管理規制部門担当部署のポジションの話であり,原告は,自身の経験が活かせないポジションであるとして,その話を断った。
また,投資銀行本部に関する話について,投資銀行本部長は,原告に対し,空きポジションがあるわけではなく,採用活動をしているわけではないが,社内にどのような人材がいるのか見たいので面談をした旨述べた。
さらに,ソリューション本部に関する話について,ソリューション本部長は,社内異動候補者とは積極的に会うことにしており,債券デリバティブの地方銀行向けのセールスを探している旨述べたが,原告は,自身の経験が活かせないポジションであると考え,その話は成就しなかった。
ウ 被告は,同年3月7日,原告に対し,本件解雇をした。
2 争点に対する判断
被告は,前記第2の2(2)のとおり,本件解雇が客観的に合理的な理由に基づく社会通念上相当なものであるとし,原告の勤務態度及び勤務成績,具体的な問題状況等について主張するので,以下において検討する。
(1) データ品質管理の懈怠について
被告は,前記のとおり,原告が財務データの品質管理を適切に行っていなかったとし,その例として,東芝のデータに係るエピソードを主張するところ,前記1(3)イのとおり,C氏が原告に対して平成29年3月10日に東芝の部門別データを示すよう依頼し,その後の経緯の中で原告がC氏にした回答の内容を修正したというエピソードが認められるところであり,また,その原因となったデータの不備は,東芝の損益計算書を見れば気が付き得るものであったこと,そのようなデータの維持管理も原告の業務に含まれる位置付けのものであったことがうかがわれる(甲36の1,2)。
しかし,前記認定事実のほか,原告の供述(内容に間違いない旨供述する原告の陳述書(甲56)の記載内容を含む。以下同じ。)によれば,上記エピソードに係る東芝のデータの不備は,○○における平成28年3月期のデータに関するものであり,原告が東芝を担当する前の時期に,当時の担当者が入力・修正を失念していた部分であって,その後,平成29年3月当時まで誰も指摘していなかった不備であったことが認められる。また,甲36の1及び2によれば,C氏の当該依頼は,その具体的なデータを直ちに公表したり,社外の顧客等に示す予定であったなどの事情はうかがわれず,むしろ,東芝に関する一定の分析評価が成立するかどうかや,C氏による仮説の定立・検証といった内部的な検討に供するための依頼であったことがうかがわれるし,原告は,この不備について,分析における影響度は相対的に小さく,当該データの修正の前後のいずれにおいても,平成28年3月期の東芝の業績が非常に悪いという結論に変わりがないものであって,C氏の指摘は重箱の隅をつつくようなものである旨供述するところ,本件各証拠上,この原告供述に係る評価を排斥することができるものは見当たらない。
以上のような諸事情を考慮すると,このエピソードをもって,直ちに,○○のデータ管理について原告の資質能力等に改善困難な問題があることが明らかになっているとか,業務に対する姿勢に深刻な問題があると評価することはできないし,他に,データ品質管理の問題に関する具体的なエピソードを認めるに足りる証拠はなく,原告のデータ品質管理に関して客観的に著しい懈怠があったとはいえない。
(2) データの分析やレポートについて
被告は,前記のとおり,原告の分析やレポートの質が低く,また,原告が質を改善する姿勢も見せなかったとし,その例として,日本の建設セクターに関するレポートに係るエピソードを主張するところ,平成29年1月頃の原告とC氏との間の建設セクターに関するレポート案のやり取りの経緯は前記1(3)アのとおりであり,また,原告の供述によれば,C氏は,原告の作成したレポート案について満足することはなく,原告はC氏の了解を得られず,結局,当該レポート案が公表されるには至らなかったことが認められる。
しかし,前記やり取りの経緯におけるC氏の要求内容は,レポート案に使用されているフォントタイプとレイアウトの整合性,スライドの順序といった形式的なものがある一方で,スライドの説得力がないこと,よりインパクトのあるヘッダーを記載すべきこと,ネガティブな考えを持っているという印象を与える文章のトーンを変更すべきことといった抽象的なものも多いし,最終的にも,強力なストーリーとコンテクストが必要であるなどの抽象的な指摘や,「これが前例のないことであるのはなぜですか?使用可能で□□の変更とリスクをさらに説明する建設サイクルの主要な指標があるのですか?」等の質問をするにとどめている。
(なお,C氏が作成したという本件メモ(乙6の1,2)においても,C氏は,平成29年1月26日に原告に対し,「コンテンツ作成において我々が期待していること(文脈,明晰さ,深さ,視野,投資の論理的根拠,創造性,言語,専門的なプレゼンテーション)及び彼のコンテンツでなぜそれが欠けているかについてより詳細に説明した。」と記載されているのみであり,その記載内容は抽象的であるといわざるを得ない。)
また,甲44及び原告の供述によれば,上記レポート案は,当初は,公表するために作成されたものではなく,被告の顧客(ウエリントン・マネージメント・カンパニー・エルエルピー。以下「W社」という。)の需要に応じて,W社に提出するために作成されたレポートであり,W社は,当該レポートを相応に評価し,当該レポートの受領後に,建設会社である株式会社安藤・間の株式を購入するに至ったこと,このような経緯から,当該レポートを他の顧客にも配布することが検討され,C氏が原告のレポート案を検討するに至ったこと等の諸事情が認められる。
以上のような事情を考慮すると,単にC氏が個人的な主観や好みに基づいて原告のレポートのレベルが劣っていると決めつけたものである旨の原告の供述も,明らかに失当であるとはいい難いし,少なくとも,このエピソードをもって,客観的に,原告が○○に対する理解を欠いていたとか,上司の指示を次の業務に活かして質を改善しようとする姿勢を有していなかったなどと評価することはできず(本件各証拠によっても,原告が,業務に関する上司の具体的な指示に従わなかったとか,無視したというような事実を認めるに足りる証拠はない。),原告の分析やレポートの質が一般的・客観的に看過し難いほどに低水準であったとは認められない。
(3) 積極性の欠如や顧客からの認知の不足について
ア 被告は,前記のとおり,原告の積極性の欠如や顧客からの認知の不足について主張するところ,この点に関して,証拠(甲56,乙11,原告本人,証人Bのほか,括弧内に掲記したもの。ただし,認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア) 原告は,○○営業部におけるスペシャリストとして,少なくとも平成28年6月頃以降,すべての日本企業の分析等を担当していた。原告が○○チームに加入した当時は,B氏及びK氏も日本企業の分析等を担当していたが,その後,原告が一人で日本企業の分析等を担当するようになったものである。原告が担当していた企業の数は,3584社(平成30年2月当時)であったところ,これは,全世界の分析対象企業数の約24%に当たり,原告は,Y証券における世界のスペシャリストの中で,最も多い数の企業の分析等を担当していたものであり,スペシャリストの平均担当企業数(689件)の約5倍に当たる。(甲22)
(イ) 原告は,平成28年において,ウィークリー・ビューポイントと称するレポートを合計4本執筆した。この本数は,同年の他のスペシャリスト等が執筆した本数に比して遜色のないものである。(甲21)
(ウ) 原告は,平成29年において,ウィークリー・ビューポイント5本を含む合計12本のレポートを執筆した。このうち,ウィークリー・ビューポイント5本という本数は,同年の他のスペシャリスト等が執筆した本数に比して遜色のないものである。(甲20,48,51)
(エ) 原告は,平成28年及び平成29年において,それぞれ,合計144件及び合計129件の社内外からの照会・質問等に対応した(甲23)。
(オ) G氏は,平成29年5月31日,約279名の顧客に対し,原告が親子上場問題について作成したレポートを送付した(甲28,29)。また,被告のセールスであるL氏も,同日,約119名の顧客に対し,原告が作成したレポートを送付した(甲31)。
同様に,被告のセールスであるM氏,N氏及びO氏は,それぞれ,平成29年6月1日,同月2日及び同年8月31日に,多数の顧客に対し,原告が作成したレポートを送付した(甲32から34まで)。
イ この点について,被告は,平成28年から平成29年までに○○チームが発行したレポートの数が約120件であったのに対し,原告が関与したものはこのうちわずか6件であったと主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はないし,仮に,このような事実があるとしても,その件数が他の従業員と比較して著しく少ないのかどうかなどの評価に関わる的確な証拠も見当たらず,少なくとも,原告が頻繁に催促を受けるまでデータの分析やレポートの作成を行おうとしなかったとの事実は認められない。
また,被告は,前記のとおり,原告が平成28年に行った顧客活動の回数や平成29年に行った顧客との会議の回数が少なかった旨主張するが,前記アの認定事実を超えて,被告の主張に沿う客観的な証拠(とりわけ,原告以外の従業員の顧客活動の回数等に関する客観的な証拠)は見当たらず,被告の主張する事実は認められない。仮に,顧客活動の回数や顧客との会議の回数について,原告とその他の従業員との間に違いがあったとしても,従業員の担当する具体的な業務にはそれぞれ違いがあることがうかがわれるから,このような回数自体の多寡をもって,直ちに,原告の積極性が欠如しているとか,原告が他の従業員よりも顧客からの認知度に不足があると認めることもできず,他に,これを認めるに足りる証拠はない。
(4) 勤務態度及び勤務成績について
被告は,前記のとおり,原告の知識,理解,技能及び経験が,求められる水準に達しておらず,著しく不十分な水準にとどまったこと,被告が再三にわたり具体的な教育及び指導並びに改善要求をしても,原告が一向に改善に応じなかったことなどを主張する。
そこで,検討すると,原告の勤務態度及び勤務成績に関する資料としては,C氏が作成した平成28年の原告の業務等の評価書(前記1(2)エ),平成29年の原告の業務等の評価書(前記1(3)ク)があるほか,C氏が作成していたという本件メモ(乙6の1,2)が存在する。
しかし,C氏については,反対尋問等を経ていないところ,原告は,本人尋問において,本件解雇がされた理由について「C氏に嫌われていたっていう一点だと思います」旨供述し,「C氏は結構プライドが高くて1回だけフェイストゥフェイスで会ったことあるんですけども,そのときも俺はおまえをいつでも首にできるんだみたいなことを言っていたので,結構プライドが高い,この権力主義者の人なんだなっていう実感がありましたので,そこをうまくやる必要はあったんですけども,なかなかうまくできなかったので最終的には切られてしまった」,「一度,何かこいつは気にくわないやつだっていうふうに見られると,そういった指摘がより細かくなる。」,「パワーポイントのここの本当はもう1ポイント小さくないといけないとか,文字の種類がゴシックじゃなくて明朝だみたいな種類があるんですけど,その種類についてとか」などと供述し,C氏の評価の信用性ないし公正性・客観性を争っている。そして,原告の勤務態度等について評価書に記載された内容は,それ自体必ずしも十分に具体性のあるものではないし,被告が本件解雇の理由として主張する事由に対する前記(1)から(3)までの検討結果のほか,前件解雇の経緯は前記1(1)のとおりであり,原告の執務能力面等において何らかの問題があったともうかがわれないことを併せ考慮すると,原告の勤務態度等について評価書に記載された内容や評価をそのまま信用・採用すべきであるという事情は認められない。
また,C氏が作成した本件メモの内容も,その大半は本件通知書1を交付した以降のエピソードに関するものであり,その記載内容を原告が否認して争っているものであって,その記載内容をそのまま信用・採用すべき事情は見当たらないが,この点を措くとして,本件メモによっても,例えば,平成29年6月6日の本件通知書1の交付の際には,C氏は原告に対して「業績評価を改善するために取り組むことができるいくつかの部分,特に積極的なコンテンツ作成,○○の優れた利用,クリエイティブなアイディアの創出,すぐに実施可能な質の高いコンテンツを示すことが重要であると強調した」ものとされており,同年7月14日には,C氏は原告に対して改善分野として「積極的なコンテンツ作成/アイディア創出,特に我々が世界中の○○の顧客に広く配布することのできる質の高いアイディア及びパワーポイントの注記。注目度の増加及び彼のアイディア/通常行っている興味深い業務の共有,潜在的な顧客とのタッチポイントを特定するための○○セールスに対する積極的な働きかけ。顧客・サービス/コンテンツ作成に対する受身的(受動的)姿勢から積極的な姿勢への転換。」等の指摘をしたものとされている(原文は英語である。)。このような本件メモの記載内容からうかがわれるC氏の要求内容は,やはり抽象的であるといわざるを得ず,このような要求内容が客観的に的確なものであるのか否かを本件各証拠により検証・確認することはできず,C氏がこのような指摘をしたことを根拠として直ちに原告の業務の質に客観的な不足ないし劣悪なものがあったと認めることはできないし,さらには,原告の成果物に対する評価について,C氏の評価が原告の評価よりも適切なものであるかどうか自体についても,これを断定するだけの客観的資料はない。
以上のほか,本件各証拠を精査しても,原告の勤務態度及び勤務成績について被告が主張するような評価を裏付ける客観的な事実を認めることはできない。
(5) 総括的検討
以上の検討を踏まえて,本件解雇の効力について検討する。
被告は,前記のとおり,被告に高給をもって採用される従業員の働きが雇用主の期待に沿わない場合には最終的には退職を求められる立場にある旨主張するところ,確かに,原告は,いわゆる新卒採用ではないし,前件和解に基づき,平成27年1月から,基本年俸2200万0800円という労働条件で,○○営業部配属のヴァイス・プレジデントとしての勤務を始めたものであり,その賃金額は相当に高額であって,いわゆる即戦力の中途採用者という側面があるという余地もある。しかし,このような側面があるとしても,原告は,前記争いのない事実等のとおり,平成18年4月から本件労働契約に基づきアソシエイトとして就労を始めた者であり,当初の年俸額は合計1200万円であったが,その後,昇進や昇給を経てきたものであり,本件解雇がされるまで約12年間にわたり本件労働契約に基づく勤務を継続し,その間には所属部署の異動もあったのであって(なお,実際には,前件解雇に伴う約2年間の不就労期間があるが,前件和解においても,被告は,原告が平成25年2月9日から平成26年12月31日まで被告において勤務を継続したものとして取り扱い,原告の勤続年数に係る労働条件において不利益な取扱いをしないこと等を約束している(前記争いのない事実等(7))。),本件解雇の効力を検討するに当たっては,上記のような側面を重視することはできない。
そして,本件解雇の理由として被告が主張する諸点に対する検討結果は,前記(1)から(4)までのとおりであり,いずれも,被告の主張の趣旨を採用することができないことを総合的に考慮すると,相当に高額な賃金に相応しい水準の業務が求められるという一般的な観点を考慮しても,また,被告が原告について減給又は降格といった措置を執らずに本件解雇をした点を被告に不利な事情としては斟酌しないとしても,本件解雇は,客観的に合理的な理由を欠くものであり,社会通念上相当であるとは認められず,無効であるというべきである。この点に関する原告の主張は採用することができ,被告の主張は採用することができない。
(なお,本件解雇に至る経緯の中では,F氏が原告に対し社内の3部署のポジションの話を紹介したという事情があるが,その具体的な状況は前記1(4)イのとおりであり,これらの話が成就しなかったことについて原告に何らかの落ち度があったともいえず,このような事情をもって解雇理由を補完するものになり得るとはいえない。)
3 結論
以上によれば,原告は,現在も,本件労働契約上の権利を有する地位にあり,また,本件解雇後に原告が被告において就労していないことは,被告の責めに帰すべき事由によって生じた事態であるから,本件請求に係る賃金及び遅延損害金の支払請求権を有しているものというべきである(民法第536条第2項前段)。
ただし,将来の給付を求める請求部分のうち,本判決確定の日より後の賃金に係る部分は,あらかじめその請求をする必要があるというべき事情が見当たらないから,民事訴訟法第135条所定の訴訟要件を欠くものであり,この部分に係る訴えを却下することとする。
よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第36部
(裁判官 清藤健一)
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(1)「地獄のドブ板」に特化した広報PR支援会社ですので、一番しんどい部分のみご相談ください
(2)候補(予定)者の認知度拡大に向けて、貼る場所(箇所)に差をつける!どぶ板PRマーケティング
(3)どぶ板実績No.1 ポスタリストの豊富な経験と実績で、候補(予定)者の選挙区をPRで完全包囲
(4)政治活動に必須となる地域密着型どぶ板PRで候補(予定)者と有権者を繋ぐご挨拶回り握手代行
(5)選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立する
(6)ご挨拶回り!ビラ手渡し!ポスター貼り(掲示交渉)!街頭演説!で、どぶ板の相乗効果を狙え
■どぶ板選挙PR代行の流れ
■どぶ板OJTとは?
■どぶ板同行OJT内容(座学研修および実地特訓)
■どぶ板OJT当日配布資料
■どぶ板の学校オンライン
■ドブ板選挙にはじまり、どぶ板選挙で終わる!
ポスタリング | 掲示交渉実績 | お問い合わせ |
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①新規開拓PR | ②他党多党PR | ③一戸建てPR |
⑧政策ビラPR | ポスタリング | ④集合住宅PR |
⑦意外注目PR | ⑥公的公共PR | ⑤独占単独PR |
【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
【ポスター【制作前の】候補予定者様】のメニューです。
「政治活動用ポスターのデザイン」は、こちらです。
公職選挙法規定の法的審査(レギュレーションチェック)対応済みの、個人ポスター、2連ポスター、3連ポスター等のデザインを制作!
「弁士相手探しマッチング」は、こちらです。
「探して、交渉して、お隣りへ!」理想の有名人や著名人の弁士相手を探して、地域有権者に対して認知度拡大の相乗効果を狙う!
「ポスターの掲示責任者代行」は、こちらです。
【全国対応】ポスターを掲示した選挙区からのクレーム対応・妨害等の「総合窓口」として、ポスター掲示責任者の代行をいたします。
【ポスター【制作後の】候補予定者様】のメニューです。
政治活動期間における「どぶ板専門!ポスター貼り(掲示交渉)代行」は、こちらです。
【稼働の流れ】
①新規ご挨拶回り|戸別訪問代行|握手代行
選挙区(指定エリア)の有権者(民家・飲食店・その他施設)に対して、候補予定者に代わって選挙ドットウィン!が直接ご訪問致します。
②名刺|ビラ|リーフレット等の手渡し配布
候補予定者と有権者を繋ぐため、名刺・ビラ・政策レポート・討議資料・リーフレットなど活動報告資料の直接手渡し配布を致します。
③留守宅|候補者PR資料ポスティング投函
ご訪問先がご不在の場合には、配布物を郵便受け等にポスティング投函致します。(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)
④政治活動ポスター貼り(新規掲示交渉!
【完全成果報酬】地獄のドブ板活動に必須となる、政治活動用ポスター貼り(新規掲示交渉代行!)(貼れた分だけの枚数課金となります)
⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン!が致します。
所属政党の「党員募集獲得代行」、政治団体および後援会等の「入会募集獲得代行」は、こちらです。
当該政党の「党員」「サポーター」募集等の規定に従って、選挙立候補(予定)者様に代わって政党への入党におけるご案内を促します。
どぶ板同行OJT(座学研修および実地特訓)で学ぶ「スパルタ個別訪問同行OJT」は、こちらです。
候補予定者様ご本人・選挙事務所スタッフ・ボランティア様が効率良く「どぶ板の政治活動」が行なえるようアドバイスいたします。
絶対的な地盤を構築する「立札看板設置交渉代行」は、こちらです。
選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立するためのご支援をさせていただきます。
あらゆる政治選挙におけるお困りごとを支援する「選挙の窓口」活動支援一覧は、こちらです。
「地上戦」「空中戦」「ネット戦略」などを駆使し、当選に向けたコンサルティングおよびプランニングのご支援をいたします。
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
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