裁判年月日 平成 4年 2月26日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平3(行ケ)93号
事件名 選挙無効請求事件 〔千葉県議会議員定数不均衡訴訟〕
裁判結果 棄却 文献番号 1992WLJPCA02260002
要旨
◆平成三年四月に施行された千葉県議会議員選挙において、三選挙区が特例選挙区として存置され、投票価値の最大較差が一対三・四八であつたことが違法でないとされた事例
裁判経過
上告審 平成 5年10月22日 最高裁第二小法廷 判決 平4(行ツ)94号 選挙無効請求事件
出典
判タ 781号101頁
判時 1433号21頁
参照条文
公職選挙法15条
公職選挙法271条
裁判年月日 平成 4年 2月26日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平3(行ケ)93号
事件名 選挙無効請求事件 〔千葉県議会議員定数不均衡訴訟〕
裁判結果 棄却 文献番号 1992WLJPCA02260002
原告(選定当事者) 宮川淑
原告(選定当事者) 杉原福
(選定者は別紙選定者目録記載のとおり)
被告 千葉県選挙管理委員会
右代表者委員長 須賀利雄
右訴訟代理人弁護士 鎌田久仁夫
右指定代理人 宇野英雄
外一名
主文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 原告ら
1 平成三年四月七日執行の千葉県議会議員選挙のうち、市川市選挙区における選挙を無効とする。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
二 被告
(本案前の答弁)
本件訴えを却下する。
(本案の答弁)
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 (当事者)
原告らは、平成三年四月七日に執行された千葉県議会議員選挙(以下「本件選挙」という。)の市川市選挙区における選挙人であり、被告は、本件選挙を管理した選挙管理委員会である。
2 (異議申出と決定)
原告らは、平成三年四月一一日、被告に対し、本件選挙のうち市川市選挙区における選挙を無効とする旨の決定を求め、公職選挙法(以下「公選法」という。)二〇二条一項に基づき異議申出をしたが、被告は、同月三〇日、原告らの異議申出を却下する決定をした。
3 (本件選挙の違法事由)
(一) 公選法二〇三条に基づく本件訴訟は、本来、法規の正しい適用を確保し、選挙の公正を保障するために、特に自己の権利利益に関わりなく選挙人一般が提起しうる民衆訴訟であるが、他面において、憲法により保障されるべき選挙人の投票価値の平等に対する侵害からの救済という抗告訴訟的性格をも有している(最高裁判所昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日大法廷判決・民集三〇巻三号二二三頁〔以下「昭和五一年大法廷判決」という。〕)。
(二) そこで、まず、千葉県議会議員の各選挙区への定数配分を定める千葉県議会議員の選挙区等に関する条例(昭和四九年条例五五号。以下「選挙区条例」という。)による議員定数の配分が公選法の規定に適合しているか否かという条例の法適合性を民衆訴訟の観点から検討してみる。
(1) 公選法一五条七項の規定により、各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議員の数は、特別の事情がない限り、人口比例で算出することとされているが、具体的に、人口比例の手法は、直近の国勢調査の結果公表された人口に基づき、当該都道府県の人口を当該都道府県の議会の議員定数をもって除して得た数(以下「議員一人当たりの人口」という。)を求め、各選挙区の人口を、その議員一人当たりの人口で除して得た数によるとされている。そして、この手法により、各選挙区ごとの配当基数(各選挙区人口を議員一人当たりの人口で除して得た数)を算出して、整数部分を各選挙区にまず配分し、次いで小数部分の大きい順に残余の議席を配分するのである(昭和三七年一一月三〇日鳥取県選管宛自治省選挙局長回答、昭和三九年八月二六日福岡県選管委員長宛自治省選挙局長回答)。
これにより、千葉県議会の選挙区ごとの議員定数を算出し、現行の定数配分と比較すると、第一表のとおりとなる。
(2) 選挙区条例は、昭和四九年に制定されたが、制定時を含め、定数配分が人口比例でなされたことは一度もない。この積年の不当・違法な定数配分の結果、本件選挙に先立ってなされた選挙区条例の改正(以下「本件改正」という。)では、改正前の議員一人当たりの人口の多い選挙区(第二表参照)から順に定数を増員する方式がとられたが、これが人口比例による定数配分と両立しえないという矛盾が生じ、本件改正による定数配分規定(以下「本件定数配分規定」という。)は、以下の三点において公選法一五条七項に違反することとなった。すなわち、①第一表に示したとおり、人口比例による定数配分と比較して、定数増を行った七選挙区(改正前の我孫子市・沼南町選挙区は、沼南町を分離して定数一の独立の選挙区とした。)のうち、君津市、成田市、茂原市の三選挙区は、定数一増の必要はなかった。②公選法一五条七項の規定を無視して「各」選挙区に対して定数の人口比例配分がされない結果、千葉市選挙区では、人口比定数一四(配当基数13.736)に対し三も不足、船橋市選挙区では、二不足という極端な人口比例配分からの乖離も生じている。地方自治法九〇条一項の規定からして、平成二年一〇月国勢調査の結果に基づき、千葉県議会の議員総数を一一一人まで増員することが可能であるから、千葉市選挙区の定数を人口比定数まで三増、船橋市選挙区の定数をさらに二増することに何の支障もなかったはずである。③全体としてみて、本件定数配分規定は、人口比による配分と一五選挙区で一致せず、本件改正前の状態(第二表)と比較すると、不一致は四選挙区も増加している
(三) 次に、本件定数配分規定が選挙人の投票価値の平等を侵害するものでないかを抗告訴訟的観点から検討してみる。
議員一人当たりの人口は、本件改正後でも、第一表記載のとおり、最高で匝瑳郡対柏市の一対3.48の較差が生じている。これは、公選法二七一条二項の特例選挙区を存置しているためである。
昭和六二年四月一二日に執行された千葉県議会議員選挙(以下「前回選挙」という。)に関する最高裁判所昭和六三年(行ツ)第一七六号平成元年一二月一八日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二一三九頁(以下「第一小法廷判決」という。)は、公選法二七一条二項の趣旨につき、「いわゆる高度経済成長下にあって社会の急激な工業化、産業化に伴い農村部から都市部への人口の急激な変動が現れ始めた状況に対応したものとみられる」として、これを根拠に配当基数が0.5よりも著しく下回らなければ特例選挙区を置けるとし、投票価値の最大較差3.98倍を合法としている
しかし、昭和五一年大法廷判決は、衆議院の議員定数の各選挙区への配分にあたっての人口比例以外の要素として「社会の急激な変化や、その一つのあらわれとしての人口の都市集中の現象などが生じた場合」を挙げ、このような要素を加味して2.29倍という較差を合憲と判定し、最高裁判所昭和五六年(行ツ)第五七号同五八年一一月七日大法廷判決・民集三七巻九号一二四三頁(以下「昭和五八年大法廷判決」という。)も、右大法廷判決を踏襲して、同じ論理に立ち、3.94倍の較差を違憲状態と判断している。このように、最高裁大法廷判決は、衆議院の議員定数につき、高度経済成長に伴う人口変動という要素を加味した上で、3.94倍の較差を違憲状態としているのであるから、第一小法廷判決は誤っており、改められなければならない。
本件定数配分規定は、議員一人当たりの人口の最大較差3.48倍を残し、投票価値の平等保障を侵害し、公選法一五条七項に違反しているものである。
よって、原告らは、本件選挙のうち、市川市選挙区における選挙を無効とすることを求める。
二 被告の本案前の答弁の理由
本件選挙における議員定数を定めた千葉県議会議員の定数を減少する条例(昭和五三年千葉県条例第五三号。以下「減少条例」という。)及び選挙区条例は、地方自治法九〇条三項並びに公選法一五条二項、三項、四項、七項及び二七一条二項の規定により制定されたものであり、本件選挙は、これら現行法上適法に成立した条例に基づき適法に執行されたものである。
原告は、本件定数配分規定は公選法一五条七項に違反しており、これに基づき行われた本件選挙は無効であると主張するが、公選法二〇三条一項の訴訟に関する規定は、同法に基づき執行された選挙の管理執行上瑕疵があった場合に、これを無効とし早期に適正な再選挙を実施させ、もって選挙の自由と公正を確保しようとするものであるから、本件のように条例それ自体の瑕疵を理由とする訴訟は、同法二〇三条一項の規定の趣旨に適合しないものであり、却下を免れない。
三 請求原因に対する認否
請求原因1、2の事実は認め、その余は争う。ただし、第一、二表の数値は争わない。
四 被告の主張
1 都道府県議会議員の定数配分に関する法律の規定
(一) 県議会議員の総定数
地方自治法九〇条は、直近の国勢調査人口に基づき議員定数の上限の算出方法を定め、また、その上限に対し条例で特に減少することができる旨定めている。本県では、本件選挙直近の平成二年一〇月一日現在における人口に基づいて算定すると、議員定数の上限は一一一人であるが、県議会は、平成三年一月議員の総定数を九二名とした。
(二) 選挙区の決定方法
公選法によれば、議員の選挙区は郡市の区域による(同法一五条一項)とされている。
当該選挙区の人口が議員一人当たりの人口の半数に達しない場合には、条例で隣接する郡市と合わせて一選挙区を設けなければならないのが原則である(強制合区規定、同条二項)。
また、当該選挙区の人口が議員一人当たりの人口の半数以上あるが、議員一人当たりの人口に達しないときは、独立した選挙区とするか、あるいは条例で他の郡市と合わせて選挙区を設けるか当該都道府県の裁量に委ねている(任意合区規定、同条三項)。そして、合区選挙区を設けるにあたり、どのような郡市をもって合区選挙区とするかについても議会の裁量による(同条六項)。
さらに、公選法二七一条二項では、昭和四一年一月一日現在において設けられている選挙区については、強制合区の対象となった場合でも、当分の間、強制合区の規定にかかわらず、当該区域をもってそのまま選挙区として設けることができる旨規定している(特例選挙区)。
この規定は、いわゆる高度経済成長下に生じた都市部ないし大都市周辺部への急激な人口集中、農山漁村の過疎化をそのまま定数配分に反映させることが、過疎地域の活力の一層の低下を招いたり、一貫性、継続性のある施策を遂行する妨げになったりすることを考慮して設けられたものである。
本県においても、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区は、議員一人当たりの人口数からは、強制合区の対象となるが、右二七一条二項の規定を適用し、独立の選挙区として存置されている。
(三) 議員定数の配分方法
公選法は、議員定数の配分方法として、各選挙区に対する定数配分は原則として人口比例とするが、特別な事情がある場合には、地域間の均衡を考慮して人口以外の諸要素を総合勘案して行うことができるとしている(一五条七項)。
本県においても、都市部における人口の増加、一方郡部における人口の減少により、住民の数と地方公共団体の行政需要が必ずしも対応しない状況となっている。すなわち、各地域の社会的経済事情に著しい格差が生じ、このため各地域が当該地方公共団体全体の発展の上で占める重要さの程度や各地域の積極的な行政上の施策を必要とする程度が、必ずしも人口に比例しなくなっており、また、都道府県の行政の役割が、市町村、特に小さい市町村の行政を補完すること、及び広域にわたる行政を推進することにあることから、その公正かつ円滑な運営を期するため、各選挙区に対する定数を機械的に人口に比例して行うのではなく、人口比例原則に特例を設け、それぞれの地域の代表をそれぞれの地域の特殊性に応じて確保し、均衡のとれた配分を議会の裁量により可能にする必要がある。そのため、右の規定が設けられたのである。
2 本県における減少条例及び選挙区条例
(一) 従前の改正経緯
(1) 第一回統一地方選挙の県議会議員選挙から昭和四二年執行の第六回県議会議員選挙まで
選挙区については強制合区規定及び任意合区規定の該当選挙区はなく、また、昭和四四年の法改正により公選法一五条七項但書の規定が制定される前なので、人口比例によった。
(2) 昭和四六年執行の第七回県議会議員選挙
東葛飾郡我孫子町が昭和四五年七月一日に市制施行したが、その人口が議員一人当たりの人口に達しなかったため、任意合区規定を適用して、東葛飾郡・我孫子町選挙区を設置した。なお、選挙区定数はそのままであった。
(3) 昭和五〇年執行の第八回県議会議員選挙
昭和四五年国勢調査人口の結果に基づき算定したが、本県への人口流入による都市部における人口の偏在という現象が生じて以来、初めての条例制定であった。
総定数は九人増加して七九人となった。
海上郡選挙区及び匝瑳郡選挙区が強制合区の対象となったが、公選法二七一条二項の規定を適用して独立選挙区として存置された。
東葛飾郡については、その構成する浦安町、関宿町、沼南町がそれぞれ他の市の区域により分断され、飛地となり、公選法一五条四項の対象となったが、右三町の人口が議員一人当たりの人口の半分に達しなかったので、結局、同法一五条二項を適用し、浦安町は市川市に、関宿町は野田市に、沼南町は我孫子市にそれぞれ合区された。
安房郡の天津小湊町は飛地となっていたが、人口が議員一人当たりの人口の半数に達せず、強制合区規定の適用対象となり、隣接する鴨川市に合区された。
選挙区別定数については、初めて公選法一五条七項但書を適用することとなり、香取郡、山武郡、長生郡及び夷隅郡の各選挙区において、人口比例によると一人ずつ定数が減ずることとなるところ、地域間の均衡を考慮して、現行定数を維持することとされた。
(4) 昭和五四年執行の第九回県議会議員選挙
昭和五〇年国勢調査人口の結果に基づき算定すると、法定数が九〇人となるところ、初めて減少条例を制定し、現行の七九人に据え置かれた。
選挙区については、強制合区規定及び任意合区規定の適用の異動はなく、選挙区別定数についても、公選法一五条七項但書の規定を適用し、地域間の均衡を考慮して、現行定数を維持し、条例改正は行わなかった。
(5) 昭和五八年執行の第一〇回県議会議員選挙
昭和五五年国勢調査人口の結果に基づき算定すると、法定数が九九人となるところ、行政改革の趣旨等も考慮して、現行の七九人に据え置かれた。
勝浦市選挙区が新たに強制合区の対象となったが、公選法二七一条二項を適用し、独立選挙区として存置することとされた。
選挙区別定数については、公選法一五条七項但書の規定を適用し、地域間の均衡を考慮して、現行定数を維持することとされた。
(6) 昭和六二年執行の第一一回県議会議員選挙(前回選挙)
昭和六〇年国勢調査人口の結果に基づき算定すると、法定数が一〇五人となるところ、行政改革の要請にできるだけ応えるために、最小限の増員にとどめ、八五人とされた。
海上郡、匝瑳郡、勝浦市の各特例選挙区は、本県における急激な人口移動の特殊性等を考慮して、引き続き存置することとされた。
選挙区別定数については、佐倉市、柏市、流山市、八千代市、浦安市、我孫子市、沼南町選挙区の六選挙区の定数が各一人ずつ増員された。
なお、他の選挙区については、公選法一五条七項但書を適用し、現行定数に据え置かれた。
(二) 本件改正の経過
(1) 定数等検討委員会の設置
昭和六三年一二月一日に各党代表者により千葉県議会議員定数等検討委員会(自民党六名、社会党二名、公明、共産、民社各一名)が設置され、同日第一回の委員会が開催された。その後、平成二年七月五日に小委員会(自民党二名、社会党、公明、共産、民社各一名)が設置され、同年一二月二七日までの間両委員会合わせて一一回開催された。
右両委員会においては、前回選挙についての東京高等裁判所昭和六三年九月一九日判決及び第一小法廷判決の主旨を踏まえ、千葉県の人口急増による較差の広がり及び逆転選挙区に関する検討が重要であるとの認識に立ち、検討が行われたが、調整が図れず、意見の一致を見るに至らなかった。
(2) 議会への提案・議決
自民党がまとめた「七増」案と、社会党がまとめた「二一増七減」案の二案が議員発議で平成三年一月の県議会に提出され、討論、採択の結果、社会党案は否決され、自民党案が可決成立した。
(3) 条例の改正内容
法定数は、平成二年一〇月の国勢調査人口の結果に基づき算定すると、一一一人となるところ、行財政改革の要請にできるだけ応えるために、九二人とされた。
海上郡、匝瑳郡、勝浦市の各特例選挙区は、本県における急激な人口移動の特殊性等を考慮して、引き続き存置することとされた。
右の特例選挙区を除いた選挙区ごとの定数は、地域間の均衡を考慮した非人口的要素を加味し、最大較差は2.5倍以内に、各特例選挙区に対する最大較差は3.5倍以内に抑え、印旛郡、鎌ヶ谷市、君津市、市川市、成田市、茂原市、我孫子市、沼南町選挙区において各一人ずつ増員された。なお、我孫子市・沼南町選挙区については、人口増加が著しく、市制施行を目指している沼南町を独立の選挙区(東葛飾郡選挙区)とし、我孫子市選挙区、東葛飾郡選挙区(関宿町を除く。)の定数はそれぞれ二人、一人とされた。
その結果、特例選挙区を含む議員一人当たりの人口の最大較差は、改正前の5.17倍(匝瑳郡選挙区対印旛郡選挙区、平成二年国勢調査人口の結果による。)から3.48倍(匝瑳郡選挙区対柏市選挙区)に大幅に縮小され、特例選挙区を除く議員一人当たりの人口の最大較差も、改正前の3.65倍(長生郡選挙区対印旛郡選挙区)から2.45倍(長生郡選挙区対柏市選挙区)に大幅に縮小された。また、改正前に三四通りあったいわゆる逆転現象は、一六通りに減少した。
3 本県の特性
(一) 全国有数の人口増(社会増)県
本県における国勢調査人口は、昭和二五年から同三〇年にかけては、人口の社会減(流出)が見られたが、以下に述べるとおり、同三五年以降高度経済成長に伴う人口の大都市圏への集中により、首都近郊の千葉・東葛飾地域を中心として著しく人口が増加した。
(1) 人口増加状況
増加状況を見ると、昭和三五年から四〇年にかけて17.2パーセント(社会増11.5パーセント、自然増5.7パーセント)、同四〇年から四五年にかけて24.6パーセント(社会増17.2パーセント、自然増7.4パーセント)、同四五年から五〇年にかけて23.2パーセント(社会増14.5パーセント、自然増8.8パーセント)と昭和四〇年代にかけてピークに達し、主に首都近郊地域への人口流入(社会増)により急激な人口増を示した。
その後、同五〇年から五五年にかけて14.1パーセント(社会増8.1パーセント、自然増6.0パーセント)、同五五年から六〇年にかけて8.7パーセント(社会増4.4パーセント、自然増4.3パーセント)、同六〇年から平成二年にかけて7.9パーセント(社会増5.0パーセント、自然増2.9パーセント)と増加率は鈍化しているものの、依然全国一、二位という高い増加率を示しており、また、昭和六〇年まで低下傾向にあった社会増がその後再び上昇に転じているのは、最近の東京を中心とする高次機能の集積や地価高騰などを背景としたものと推測され、本県への人口流入傾向は再び強まってきていると考えられる。
この結果、本県の人口は、昭和三五年の二三〇万余から同五五年までの二〇年間に倍増して約四七〇万人となり、その後の一〇年間でさらに約八〇万人増加し、五五五万人余となっている。
(2) 地域別人口増加状況
本県における人口増は、そのほとんどが首都近郊内地域市町村(千葉市、市川市、船橋市、木更津市、松戸市、野田市、成田市、佐倉市、習志野市、柏市、市原市、流山市、八千代市、我孫子市、鎌ヶ谷市、君津市、富津市、浦安市、四街道市、袖ケ浦市、東葛飾郡〔関宿町・沼南町〕、印旛郡〔酒々井町・八街町・富里町・印旛村・白井町・印西町・本埜村・栄町〕。以下「近郊内地域」という。)に集中しており、昭和五〇年以降の一五年間だけ見ても、県全体の増加数の九六パーセント強をこの地域で占めている。一方、それ以外の地域(以下「近郊外地域」という。)では、人口は微増ないし横這いとなっており、中には人口がやや減少している市町村すらある。
この結果、昭和三五年には、近郊内地域の人口は近郊外地域の約1.4倍に過ぎなかったのが、平成二年には約5.0倍に達し、本県の発展に大きな不均衡をもたらし、議員一人当たりの人口の格差となってあらわれている。
(二) 地域性特性
近郊内地域は、首都東京に隣接するという立地条件により商業・工業の集積化が高く、東京圏のベッドタウンとして都市化が進んでいる。また、近年、本県を代表する施設である新東京国際空港や幕張メッセ、東京ディズニーランド等もこの地域にあり、経済力等地域活力の増大している地域でもある。一方、近郊外地域は、本県の半島性、袋小路性等により、発展の遅れている地域である。近年、内陸工業団地の造成などにより企業誘致も一部されつつあるが、主産業は、全国第三位の粗生産額を誇る農業や水産業等の第一次産業であり、首都圏の食糧供給基地として、また、レクリエーション空間として大きな役割を担っている。
近郊内地域においては、人口の増加が昭和三〇年代後半に始まり、同四〇年代にピークに達し、今なお急増しているが、都市環境整備が官民により実施され、現在も種々の課題を抱えつつも、居住環境は整備されつつある。一方、近郊外地域においては、雇用の場の不足、地域の魅力の欠如等による若年労働者の都市部への流出に伴う地域活力の停滞、後継者不足による主産業である農業・水産業従事者の高齢化、地域内人口の著しい高齢化といった問題を抱えており、加えて、両地域の間には、公共施設整備、交通機関等の利便性、あるいは所得、市町村の財政等の面でも大きな格差があり、これら両地域間の格差是正を図り、本県の均衡ある発展を図ることが、昭和四〇年代から現在及び将来の県政上の最も重要な課題の一つである。
(三) 格差是正のための措置
昭和四〇年代以降策定された本県の長期計画等でも、地域間での均衡ある発展がそれぞれ大きな柱とされており、昭和五九年一二月策定の「二〇〇〇年の千葉県」(目標年次平成一二年)、昭和六〇年一二月策定の「ふるさと千葉五か年計画」(昭和六一年度から平成二年度)及びそれに続く平成二年一二月策定の「さわやかハート千葉五か年計画」(平成三年度から同七年度)においても具体的方向が明定されている。例えば、県政の主要プロジェクトである千葉新産業三角構想は、千葉市(幕張新都心構想)、成田市(成田国際空港都市構想)、木更津市・君津市(かずさアカデミアパーク構想)を開発の軸とし、それぞれを幹線道路で結び、さらに東京湾横断道路とも連絡し、半島性を脱却し、これを拠点に全県的な産業立地を促進し、県土の均衡ある発展を図ろうとするものである。平成元年四月に国の承認を受けた「房総リゾート地域整備構想」は、房総半島の豊かな自然と東京との高い近接性を生かし、首都圏住民や世界の人々の憩いと交流の場となる魅力的で個性的なリゾート地域として整備することにより、各地域の活性化を図ろうとするものである。また、本県を西地域、中央地域、東地域及び南地域の四地域に区分し、各地域の特色と発展可能性を生かし、それぞれの地域の活性化と発展を図るとともに、交通基盤、情報基盤の整備を一層促進する等地域の交流基盤を構築し、地域間の連帯のとれた均衡ある県土つくりを推進している。
これらにとどまらず、各地域の特色を生かした地域振興策を図り、各地域の実質的均衡を図ることが、本県の場合、特に強く要請されている。
4 特例選挙区について
(一) 配当基数について
以上のような特性を踏まえて、本県においては、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区が公選法二七一条二項の適用による特例選挙区として存置されている。
前回選挙の際の配当基数は、昭和六〇年国勢調査人口の結果によれば、海上郡選挙区が0.355、匝瑳郡選挙区が0.357、勝浦市選挙区が0.415であったところ、第一小法廷判決は、公選法二七一条二項は、配当基数が0.5より著しく下回る場合には特例選挙区の設置を認めない趣旨であると解されるが、右の程度の配当基数は、いまだ特例選挙区の設置が許されない程度には至っていないものというべきであり、右三選挙区を特例選挙区として存置したことは適法であると判示した。平成二年国勢調査人口の結果によれば、今回の配当基数は、海上郡選挙区が0.364、匝瑳郡選挙区が0.363、勝浦市選挙区が0.419と幾分数値が上がっているのであるから、配当基数に関しては、公選法二七一条二項の適用は適法である。
(二) 海上郡選挙区について
この選挙区は、昭和二二年、二六年の県議選の際は、一二町村で構成され、代表二名を選出していたが、昭和二九年から三一年にかけて行われた町村合併により、旭市、海上郡海上町及び飯岡町の三市町が誕生し、旭市は、昭和二九年市制施行により独立選挙区(定数一名)となった。以来、海上郡選挙区は、海上郡海上町及び飯岡町によって構成され、現在に至っている。
この間、選挙区の人口は、国勢調査の結果では昭和三〇年から四五年まで人口流出により減少を続けてきたが、その後わずかながら増加に転じている(昭和四五年一万九八二四人、同五〇年二万〇一八七人、同五五年二万〇七六四人、同六〇年二万一五三二人、平成二年二万二〇三〇人)。
しかし、昭和五〇年の県議会議員選挙から、配当基数が0.5を下回ること(0.465)になり、強制合区の対象となったが、この低下が主に近郊内地域の人口急増による相対的なものであること、この地域の行政需要、地域の特殊性、議員選出の歴史的経緯等を勘案し、特に近郊内地域との均衡を図る観点から、昭和四九年九月の県議会において、公選法二七一条二項を適用し、独立選挙区として存置することを決定し、平成三年一月の県議会においても同様の観点から引き続き独立選挙区として存置することが決定された。
この選挙区は、東京から約八〇キロメートル、千葉市から約五〇キローメトルで、県の東北端にあり、農業・水産業を主産業に発展してきた。しかし、農業・水産業の後継者不足とこれに伴う就業者の高齢化等の問題を抱えている。さらに、地域内に就業の場が少ないことにより、若年層の流失もあり、地域内人口の高齢化が進んでおり、所得水準も低く、市町村の財政力も弱い。
以上のように、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれていること、地域内人口も昭和四五年国勢調査以降微増を続けていること、配当基数の低下が近郊内地域の人口増加による相対的なものであること等を総合的に勘案し、近郊内地域との均衡を図る観点から独立選挙区として存置されている。
(三) 匝瑳郡選挙区について
この選挙区は、昭和二二年、二六年の県議選の際は、一四ないし一八町村で構成され、代表二名を選出してきたが、昭和二九年の町村合併により、八日市場市、匝瑳郡光町及び野栄町の三市町が誕生し、八日市場市は、昭和二九年市制施行により独立選挙区(定数一名)となった。以来、匝瑳郡選挙区は、光町及び野栄町によって構成され、現在に至っている。
この間、選挙区の人口は、国勢調査結果では、昭和三〇年から四五年まで人口流出により減少を続けてきたが、その後わずかながら増加に転じている(昭和四五年二万〇二六五人、同五〇年二万一〇四三人、同五五年二万一二九四人、同六〇年二万一六六三人、平成二年二万一九三〇人)。
しかし、昭和五〇年の県議会議員選挙から、配当基数が0.5を下回ること(0.475)になり、強制合区の対象となったが、この低下が主に近郊内地域の人口急増による相対的なものであること、この地域の行政需要、地域の特殊性、議員選出の歴史的経緯等を勘案し、特に近郊内地域との均衡を図る観点から、昭和四九年九月の県議会において、公選法二七一条二項を適用し、独立選挙区として存置することを決定し、平成三年一月の県議会においても同様の観点から引き続き独立選挙区として存置することが決定された。
この選挙区は、東京から約七〇キロメートル、千葉市から約四〇キローメトルで、県の北東部にあり、主たる産業は農業である。しかし、農業の後継者不足とこれに伴う就業者の高齢化等の問題を抱えている。さらに、地域内人口の高齢化が進んでおり、所得水準も低く、市町村の財政力も弱い。
以上のように、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれていること、地域内人口も昭和四五年国勢調査以降微増を続けていること、配当基数の低下が近郊内地域の人口増加による相対的なものであること等を総合的に勘案し、近郊内地域との均衡を図る観点から独立選挙区として存置されている。
(四) 勝浦市選挙区について
勝浦市は、昭和三〇年四町村が合併し、同三三年の市制施行に伴い独立選挙区となり、以来、代表一名を選出してきた。
この間、選挙区の人口は、市外への流出により、国勢調査結果では、昭和三〇年には三万一六四八人であったものが、昭和五五年には二万五四六二人にまで減少し、その後、昭和六〇年にかけては人口減少も鈍化(同年二万五一五九人)したが、昭和五八年の県議会議員選挙から、配当基数が0.5を下回ること(0.425)になり、強制合区の対象となった。しかし、この低下が主に近郊内地域の人口急増による相対的なものであること、この地域の行政需要、地域の特殊性、議員選出の歴史的経緯等を勘案し、特に近郊内地域との均衡を図る観点から、昭和五七年一二月の県議会において、公選法二七一条二項を適用し、独立選挙区として存置することを決定し、平成三年一月の県議会においても同様の観点から引き続き独立選挙区として存置することが決定された。
同市は、東京から約七五キーメートル、千葉市から約四五キロメートルで、県の南東部にあり、農業と漁業の町として発展してきた。しかし、農業・水産業の後継者不足とこれに伴う就業者の高齢化等の問題を抱えている。さらに、地域内に就業の場が少ないことにより、若年層の流失もあり、地域内人口の高齢化が進んでおり、所得水準も低く、市町村の財政力も弱い。
以上のように、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれていること、配当基数の低下が近郊内地域の人口増加による相対的なものであること等を総合的に勘案し、近郊内地域との均衡を図る観点から独立選挙区として存置されている。
5 公選法一五条七項但書が適用されている各選挙区の特別の事情及び合理性について
前記3で主張した本県の特性を踏まえて、長生郡ほか一四の選挙区に公選法一五条七項但書が適用されているが、各選挙区ごとの同項但書の特別事情及び同条項適用の合理性は次のとおりである。
(一) 長生郡選挙区について
本選挙区は、昭和二二年、二六年の県議選においては、それぞれ四名、三名の代表を選出したが、昭和二七年に茂原市が市制施行により分離独立(定数一名)した。その後、昭和三〇年の県議選では代表三名を選出したが、三四年の県議選以降、代表二名を選出し、今日に至っている。
この地域は、千葉市から約三五キロメートルの九十九里平野の南部に位置し、六町村から構成されている。
主たる産業は農業で、首都圏の食糧基地として重要な役割を果たしている。しかし、後継者不足による農家数の減少、第二種兼業農家の増加が目立つ。
また、人口の高齢化が進み、全人口に占める六五歳以上人口の割合は県平均の二倍弱となっている。
一方、道路、ごみ、し尿処理等生活環境施設整備が立ち遅れ、これらの整備が課題となっている。
以上から、今後とも行政需要の増大が見込まれること、それを実現する町村の財政力も弱いこと、配当基数の低下が首都近郊の人口増大による相対的なものであること等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(二) 山武郡選挙区について
本選挙区は、昭和二二年、二六年の県議選においては、五名の代表を選出していたが、昭和二九年に東金市が市制施行により分離独立(定数一名)した。その後、昭和三〇年、三四年の県議選では代表四名、さらに三八年の県議選以降は代表者三名を選出し、今日に至っている。
この地域は、千葉市から約三〇キローメトルの九十九里平野の中央に位置し、八町村から構成されている。海岸部は九十九里海岸が続いている。そして、成田空港の東側に位置し、圏域北部は航空機の離着陸コースとなっており、一部空港用地を含んでいる。
主たる産業は第一次産業で、農業は水稲、野菜、施設園芸等が行われ、林業は「山武杉」の名で知られる杉の生産等が行われ、いわし漁を中心とした水産業も盛んである。
地域内を通過しているJR総武本線、東金線は単線で、東京、千葉方面への運行本数も少なく、その改善が望まれており、特に夏季に混雑の著しい道路等の整備が課題とされている。新たに芝山鉄道の建設、千葉東金道路の延伸等に努めようとしているところである。
以上から、今後とも広域的な行政対応が必要なこと、行政需要の増大が見込まれること、それを実現する町村の財政力も弱いこと、地域内人口が増加傾向にあること等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(三) 香取郡選挙区について
本選挙区は、昭和二二年の県議選においては、代表六名を選出したが、昭和二六年に佐倉市が市制施行により分離独立(定数一名)した。その後、昭和二六年、三〇年の県議選では代表四名を選出したが、三四年の県議選以降、代表三名を選出し、今日に至っている。
この地域は、千葉市から約四〇キローメトルで、本県の北東部、北総大地に位置し、九町で構成されている。
主たる産業は農業であるが、農業就業者の減少、高齢化、後継者不足等の問題を有しており、地域外に就業の場を求める者も多い。
一方、ごみ、し尿処理等生活環境施設や上水道の普及が遅れ、これらの整備に努めている。
こうした中で、東関東自動車道が地域内を通るようになり、大栄工業団地等に企業立地が進められている。
以上から、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれること、それを実現する町村の財政力も弱いこと、配当基数の低下が首都近郊の人口増大による相対的なものであること等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(四) 夷隅郡選挙区について
本選挙区は、昭和三〇年の県議選までは、三名の代表を選出していたが、昭和三三年に勝浦市が市制施行により分離独立(定数一名)した。その後、昭和三四年の県議選以降代表二名を選出し、今日に至っている。
この地域は、本県の東南部、千葉市から約四五キローメトルのところに位置し、五町から構成されている。
主な交通機関は、JR外房線、木原線があるが、いずれも単線である。外房線は勝浦までの複線化が強く要請されており、木原線は、昭和六三年から第三セクター「いすみ鉄道」として運営され、その存続に努めている。
一方、この地域内の夷隅町は過疎地域活性化特別措置法により過疎地域となっており、また、同町及び大多喜町の町内では、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律に基づき辺地対策が進められている。
以上から、今後とも地域の活性化を図る必要性が高いこと、それを実現する町村の財政力も弱く、県行政の果たすべき役割が大きいこと等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(五) 安房郡選挙区について
本選挙区は、昭和三〇年の県議選までは五名の代表を選出していたが、三四年の県議選で定数四名となった。その後、四二年の県議選以降代表三名を選出していたが、四六年の鴨川市の市制施行により鴨川市・天津小湊町選挙区が分離独立(定数一名)したことに伴い、五〇年以降は代表二名を選出し現在に至っている。
この地域は、千葉市から約七〇キロメートルの房総半島の南部に位置し、八町村から構成されている。
基幹産業は農・漁業の第一次産業と観光であるが、交通体系の立遅れによる袋小路性により産業経済は伸び悩んでいる。このため、地域内人口は減少を続けており、高齢化も県内で最も高く、全人口に占める六五歳以上人口の割合は県平均の2.37倍となっている。このような状況を踏まえ、高規格一二七号富津館山道路の事業促進、南房総広域水道用水供給事業の創設等各種施設が推進されている。
以上から、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれること、それを実現する町村の財政力も弱く、県行政の果たすべき役割が大きいこと等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(六) 銚子市選挙区について
本選挙区は、昭和二二年の第一回県議会議員選挙以来、独立選挙区として代表二名を選出してきている。ただし、昭和三四年及び三八年の県議選は定数三名であった。
同市は、千葉市から約七〇キローメトルの県の東北端に位置し、北は利根川、東は太平洋に面し、全国有数の水揚高を誇る銚子漁港を有し、水産業、農業及び醤油醸造、水産加工を主とする製造業を主産業として発展してきた東総地域の中核都市である。
しかし、袋小路の地理的条件、JR総武本線、成田線は単線で利便性に劣ることなどが定住を阻害する要因となっている。このため、同市の人口は昭和四〇年国勢調査人口をピークに減少し続けており、人口の高齢化を招いている。こうした中で、県市とも名洗港マリンリゾート、水産ポートセンターの整備等地域開発に力を入れている。
以上から、今後とも地域の行政需要の増大が見込まれること、それを実現する町村の財政力も弱いこと等を総合的に勘案し、特に地域間の均衡を図る観点から、公選法一五条七項但書を適用したことは合理性を有するものである。
(七) 茂原市選挙区について
本選挙区は、昭和二七年に市制施行し、長生郡選挙区から分離独立し、三〇年の県議選以降代表一名を選出してきたが、本件改正により、本件選挙から代表二名が選出されることとなった。
同市は、千葉市から約三〇キロメートル弱の県中央部に位置し、天然ガスが産出され、これを利用した工業都市として発展し、現在は、地域の商業中心地となっている。
一方、長生郡市のごみ処理、水道、し尿処理、病院等の事業を行っている長生郡市広域市町村圏組合、県の長生支庁、長生土木事務所、茂原保健所等の主要な施設が置かれている。
以上から、県の中央地域の行政の中核として重要な地域であること、選挙区内人口も増加を続けていること等を総合的に勘案し、公選法一五条七項但書を適用し、定数を一名から二名としたことは合理性を有するものである。
(八) 成田市選挙区について
本選挙区は、昭和二九年に市制施行し、印旛郡選挙区から分離独立し、三〇年の県議選以降代表一名を選出してきたが、本件改正により、本件選挙から代表二名が選出されることとなった。
同市は、千葉市の北東約三〇キロメートル弱にあり、古くから成田山新勝寺の門前町として発展し、地域の中核都市となっている。
同市には、新東京国際空港が設置されており、現在も空港拡張の二期工事が進められている。県では企画部に航空対策課を置くなどして、航空機騒音等の諸問題に対処している。この成田空港の開港により、国際的な人の交流、物流の拠点を持つこととなり、成田国際物流複合基地事業、国際観光モデル地区の整備、国際高等学校の設置等を推進している。
以上から、県行政の果たすべき役割が大きいこと、選挙区内人口も増加を続けていること等を総合的に勘案し、公選法一五条七項但書を適用し、定数を一名から二名としたことは合理性を有するものである。
(九) 君津市選挙区について
本選挙区は、昭和四六年に市制施行し、君津郡選挙区から分離独立し、五〇年の県議選以降代表一名を選出してきたが、本件改正により、本件選挙から代表二名が選出されることとなった。
同市は、千葉市の南約四〇キロメートル弱にあり、東京湾に面した地域から房総丘陵に至るまで318.84平方キロメートルの広さを有しており、これは県内八〇市町村中二番目の広さである。
臨海部は世界屈指の製鉄所が立地して京葉工業地帯の一角を占め、これに続く平野部は住宅開発が進み、丘陵部は「福野」、「香木原」の辺地があるなど過疎地域の問題も抱え、まさに千葉県の縮図といえる。
さらに、東京湾横断道路、上総新研究開発都市等のビッグプロジェクトが推進されており、これらの影響により大きく変貌しようとしている。
以上から、県行政の果たすべき役割が大きいこと、選挙区内人口も増加を続けていること等を総合的に勘案し、公選法一五条七項但書を適用し、定数を一名から二名としたことは合理性を有するものである。
(一〇) 印旛郡、千葉市、市川市、船橋市、松戸市、柏市の各選挙区について
これらの選挙区の定数は、総定数の枠の中で郡または市の区域を単位として選挙区を定めることを原則とする公選法のもとで、同法一五条七項但書を適用して、各選挙区の定数が定められた結果、人口比定数と比較すると、それぞれ一名、三名、一名、二名、一名、一名の不足となった。これらの選挙区には、それぞれ三名、一一名、六名、七名、六名及び四名の複数の議席が配分されており、すべて中選挙区(三ないし五名)以上の規模を有している。現行の都道府県の制度においては、代議制民主主義が採用されているが、この代議制では、県民の多様な声が県議会で十分に反映されることが重要である。また、地方自治を市町村とともに担う都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体であり、国と市町村の中間に位し、その機能は市町村と異なり、広域にわたるもの、統一的な処理を必要とするもの等を処理するものとされている。このような点を踏まえ、非人口的要素を勘案して定数配分をした結果、一部人口比例とのずれが生じたものである。
6 定数配分について
(一) 投票価値の較差について
公選法は、人口比例の原則に修正を認め、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができるとしている(一五条七項但書)。
そして、第一小法廷判決は、前回選挙の際の定数を、各選挙区の人口、配当基数及び配当基数に応じて定数を配分した人口比定数(すなわち、公選法一五条七項本文の人口比例原則に基づいて配分した定数)と比較すると、特例選挙区とその他の選挙区間の投票価値の最大較差が本来は一対4.35のところが一対3.98、特例選挙区を除いた場合には本来は一対2.91のところが一対2.81となっており、いずれも較差が縮小されており、定数配分条例は適法であると判示しているところ、本件選挙についてこれをみると、第三表のとおり、人口比定数により特例選挙区とその他の選挙区間の投票価値の最大較差を算出すると、一対4.07(匝瑳郡選挙区対君津市選挙区)、特例選挙区を除くその他の選挙区間における投票価値の最大較差は、一対2.76(八日市場市選挙区対君津市選挙区)と計算されるが、本件改正により、投票価値の最大較差は、特例選挙区を含めた場合には一対3.48(匝瑳郡選挙区対柏市選挙区)、特例選挙区を除いた場合には一対2.45(長生郡選挙区対柏市選挙区)になっており、いずれも較差が縮小されている。
(二) 逆転現象について
人口の多い選挙区の定数が人口の少ない選挙区の定数より少ないといういわゆる逆転現象については、昭和五八年選挙時は五〇通り、前回選挙時には三一通りであったが、今回選挙では一六通りに減少している。なお、定数が二以上の差のある顕著な逆転現象は生じていない。
7 本件改正の時期について
昭和六一年一二月一九日に改正された選挙区条例については、前回選挙に対する選挙無効の訴えにつき平成元年一二月一八日言い渡された第一小法廷判決により、適法であることが確定したが、その後も県内人口が主に近郊内地域において増加し続け、投票価値の較差の拡大が見込まれていた。
こうした中で、平成二年一〇月に国勢調査が実施され、速報値が同年一二月二一日に官報に公示された。千葉県議会は、これを受け、平成三年一月に臨時県議会を開催し、本件改正を行ったものである。なお、国勢調査の確定値は、本件選挙までには官報に公示される見込みはなかった(実際に公示されたのは、平成三年九月二〇日になってからであった。)。
すなわち、本件定数配分規定は、本件選挙が執行される直前に公示された国勢調査の速報値をもとに、適法とされた従前の選挙区条例をさらに改正したものであり、この点からも、本件選挙は、適法な定数配分規定に基づき適法に執行された選挙である。
8 事情判決の法理の適用について
以上のとおり、本件定数配分規定は適法であり、これに基づき施行された本件選挙は適法であるが、仮に本件条例に違法を帯びる点があるとしても、これに基づく選挙が当然に無効とされるものではない。すなわち、①選挙無効の判決によっては、当該選挙区の選出議員がいなくなるだけであり、公選法に適合する有効な選挙が実現するためには、定数配分規定自体の改正を待たなければならない、②仮に一部の選挙区の選挙のみが無効とされた場合は、もともと同じ違法な選挙について、ある者の関係では無効とされ、他の者の関係では有効として残るという不平等が生じる、③定数配分規定の改正が、選挙を無効とされた当該選挙区から選出された議員が存在しない状態で行われることとなる、等の不当な結果を避けるため、事情判決の法理を適用して、本件選挙を有効としなければならない。
五 被告の主張に対する原告の反論
1 被告の主張2(一)(3)について
昭和四九年に千葉県議会が制定した選挙区条例における議員定数の配分では、市川市、船橋市、我孫子市、君津市の四選挙区に対しては、人口比例によった場合よりも一少ない定数が配分されており、これらの選挙区についても、公選法一五条七項但書が適用されていた。千葉県議会議員の選挙の効力に関する従前の判決は、いずれもこの点を看過し、事実を誤認したまま判断しているので、すべて改められなければならない。
2 被告の主張4(二)ないし(四)について
被告は、特例選挙区の存置の理由として、行政需要、地域の特殊性、議員選出の歴史的経緯、近郊内地域との均衡等を挙げるが、これらのほとんどは訴訟提起後に被告が考え出した説明であり、千葉県議会の審議において特例選挙区存置の理由が詳細に論じられたことはない。しかも、被告の考えは、議員を端的に地域利益の代表者とみなして行政需要への対応として議員の配分を把握しているが、都道府県議会議員は全都道府県住民の代表であり、議員は単なる地域利益の代表者であってはならず、行政需要への対応は、直接的には行政当局がなすものであるから、右基本的考え方自体法律論としても政治論としても正論とはいえない。しかも、被告の主張は、一方的な首都近郊外地域擁護論であり、首都近郊内地域では、過密の弊害と社会資本の不足が、上下水道施設、交通対策その他における大きな行政需要を生み出しているのである。結局、特例選挙区存続論は、選挙権の平等確保の重要性についての認識が欠けていること、議員が地域に対して果たす政治的役割の観点からしか議員定数の配分を考えないこと、議員の選挙地盤を固定的なものとみなして、選挙区の境界線の引き直しを嫌うエゴイズム等から由来するもので、憲法が強く求めている投票価値の平等を著しく否めてまで特例選挙区を存置しなければならない「特別の事情」を見出すことはできない。
3 被告の主張6(一)について
公選法二七一条二項が定める特例選挙区は、公選法一五条二項からすれば人口比例での議員定数の配分がもはや不可能であるため、隣接する他の都市と合区しなければならない選挙区なのであるから、仮に特例選挙区に定数一を配分するとしても、人口比例の場合の較差の比較に特例選挙区を含めることはそれ自体が矛盾であり、特例選挙区を含めて人口比例で定数を配分した場合の最大較差を超えなければ合法とする第一小法廷判決の考え方は根本的に誤っている。仮に第一小法廷判決のような考え方をとるとすれば、むしろ、現存較差が特例選挙区を除いた人口比例配分選挙区間で生じる最大較差を超えない範囲で合法と修正すべきである。第四表のとおり、平成二年国勢調査人口の結果により千葉県議会の現行総定数九二を各選挙区へ人口比例配分した場合生じる人口比例配分選挙区間の較差の最大値は、八日市場市選挙区対君津市選挙区の一対2.76となる。したがって、人口比での定数配分から生じる最大較差を超える現存較差が違法とすれば、印旛郡選挙区等一四選挙区が違法較差となる。
また、最高裁判所昭和五八年(行ツ)第一一五号同五九年五月一七日第一小法廷判決・民集三八巻七号七二一頁(以下「昭和五九年第一小法廷判決」という。)は、公選法一五条七項本文の定める定数配分の人口比例原則は、憲法一四条一項の要請を受け、投票価値が平等であるべきことを強く要求しており、東京都議会の定数配分についての特例を定めた昭和三七年の公選法二六六条二項の規定は、後の昭和四四年に定められた同法一五条七項但書以上の広範な裁量権を都議会に与えるものではないと判示した。これと同様に、昭和四一年に定められた同法二七一条二項の特例選挙区の規定も、同法一五条七項但書に包摂されると考えなければならない。これまでの最高裁大法廷の判決から導き出される、人口比例原則の緩和の限度は議員一人当たり人口の較差三倍未満であるとする考えからすると、公選法二七一条二項の規定が、第一小法廷判決のように3.98倍もの較差を許容する規定であるとすれば、同条項そのものが憲法一四条一項に反する規定ということとなる。
4 被告の主張8について
裁判所が選挙無効訴訟という形態の訴えを容認した以上、事情判決により選挙無効を回避し続けるということはできず、議会が議員定数配分の微調整を繰り返すのみで、抜本的是正を行う姿勢が認められない場合は、裁判所は当然選挙無効の判決を出さなければならない。
第三 証拠関係〈省略〉
理由
一 請求原因1(当事者)、2(異議申出と決定)の各事実は当事者間に争いがない。
二 被告の本案前の申立について
被告は、本件訴訟は、選挙区条例それ自体の瑕疵を理由とするもので、公選法二〇三条一項の規定の趣旨に適合しないものであるから、却下を免れないと主張する。
しかしながら、地方公共団体の議会の議員の定数配分を定めた条例の規定そのものの違憲、違法を理由とする地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟が、公選法二〇三条の規定による訴訟として許されることは、最高裁判所の累次の判決(昭和五一年大法廷判決、昭和五九年第一小法廷判決、第一小法廷判決等)に照らして明らかであり、被告の右主張は採用の限りでない。
三 本件条例の適否について
1 地方自治法九〇条一、二項は、都道府県議会の議員定数の上限の算出方法を定め、同条三項は条例で右上限を特に減少することができる旨定めている。そして、公選法によれば、議員の選挙区は郡市の区域によるとされているが(一五条一項)、当該区域の人口が、議員一人当たりの人口の半数に達しない場合には、条例で隣接する郡市と合わせて一選挙区を設けなければならず(強制合区、同条二項)、また、当該区域の人口が議員一人当たりの人口の半数以上あるが、議員一人当たりの人口に達しないときは、条例で他の郡市と合わせて一選挙区を設けることができるとされており(任意合区、同条三項)、ただ、昭和四一年一月一日現在設けられていた選挙区については、当該選挙区の人口が議員一人当たりの人口の半数に達せず、強制合区の対象となった場合でも、当分の間、条例で当該区域をもってそのまま選挙区として設けることができるとされている(二七一条二項。すなわち特例選挙区である。)。そして、このようにして定められた選挙区に対する議員の配分は、人口に比例して条例で定めるが、特別な事情がある場合には、おおむね人口を基準として地域間の均衡を考慮して人口以外の諸要素を総合勘案して行うことができるとされている(一五条七項)。これらの規定からすると、議員の法定数を減少するか否か、特例選挙区を設けるか否か、議員定数の配分にあたりどの程度人口比例の原則を修正するかについては、原則として都道府県の議会にこれらを決定する裁量権が与えられているものと解すべきである(第一小法廷判決)。
2(一) 公選法が定める右特例選挙区は、もともと昭和三七年法律第一一二号により設けられたものであり、当初は島についてのみ設置が認められていた(「昭和三七年一月一日現在において一又は二以上の島の全部の区域をもってその区域とする・・・」)ものであるが、昭和四一年法律第七七号による改正により、島以外の地域についても認められるようになったものである。そして、現行の規定は、いわゆる高度経済成長下にあって社会の急激な工業化、産業化に伴い、農村部から都市部への人口の急激な移動が現れ始めた状況に対応すべく改正されたものであるが、併せて都道府県議会議員の選挙区制については、歴史的に形成され、存在してきた地域的まとまりを尊重し、その意向を都道府県政に反映させる方が長期的展望に立った均衡のとれた行政施策を行うために必要であり、そのための地域代表を確保する必要があるという趣旨を含むものと解すべきであり、したがって、具体的にいかなる場合に特例選挙区の設置が認められるかについては、右規定の趣旨に照らして、当該都道府県の行政施策の遂行上当該地域からの代表確保の必要性の有無・程度、隣接の郡市との合区の困難性の有無・程度等を総合判断して決することにならざるを得ないところ、それには、当該都道府県行政における複雑かつ高度な政策的考慮と判断を必要とするものであるから、特例選挙区設置の合理性の有無は、この点に関する都道府県議会の判断がその裁量権の合理的な行使として是認されるか否かによって決するほかない。そして、都道府県議会において、このような観点から特例選挙区設置の必要性を判断し、かつ、地域間の均衡を図るための諸般の要素を考慮した上でその設置を決定したときは、それは、原則的には裁量権の合理的な行使として是認され、その設置には合理性があるものと解すべきである。もっとも、都道府県議会の議員の選挙区に関して公選法一五条一ないし三項が規定しているところからして、同法二七一条二項は、当該区域の人口が議員一人当たりの人口の半数を著しく下回る場合、すなわち、配当基数が0.5よりも著しく下回る場合には、特例選挙区の設置を認めない趣旨であると解すべきである(第一小法廷判決、最高裁判所平成元年(行ツ)第一五号同年一二月二一日第一小法廷判決・民集四三巻一二号二二九七頁)。
そして、第一小法廷判決は、本件改正前の条例に基づいて行われた前回選挙に関し、配当基数がいずれも0.35であった海上郡選挙区、匝瑳郡選挙区及び0.41であった勝浦市選挙区について、この程度の配当基数は、いまだ特例選挙区の設置が許されない程度には至っていないと判示した。
(二) これを本件改正についてみると、〈書証番号略〉及び弁論の全趣旨によれば、千葉県議会では、昭和六三年一二月一日に各党代表者により千葉県議会議員定数等検討委員会が、ついで平成二年七月五日に小委員会がそれぞれ設置され、同年一二月二七日までの間に両委員会合わせて一一回開催されたこと、右両委員会においては、前回選挙についての東京高等裁判所昭和六三年九月一九日判決及び第一小法廷判決に判示されたところを検討し、県統計課の調査による平成二年六月一日現在の県常住人口、昭和六〇年国勢調査人口の結果及び平成二年の国勢調査結果の速報値等に基づく較差の状況等の検討を行い、種々の提案が出されたが、意見の一致を見るに至らなかったこと、そこで、自民党がまとめた「七増」案と、社会党がまとめた「二一増七減」案の二案が議員発議で平成三年一月の県議会に提出され、特例選挙区の存廃を含めて討論され、採決した結果、社会党案は否決され、自民党案が可決成立し、本件改正となったこと、その際、海上郡、匝瑳郡、勝浦市の三選挙区については、他の地域、特に首都近郊内地域における急激な人口増のため配当基数が0.5を割るに至ったという人口移動の特殊性があることや本件改正に至るまでの議員選出の歴史的経緯、地域からの代表確保の要請等を考慮し、地域間の均衡を図るため、特例選挙区として存置されることとなったことがそれぞれ認められる。そして、平成二年国勢調査人口の結果による右三選挙区の配当基数は、海上郡選挙区、匝瑳郡選挙区がいずれも0.36、勝浦市選挙区が0.42であり、前回選挙時よりも向上していることが認められる。
これらの事実によれば、本件改正にあたり、千葉県議会が、右三選挙区を特例選挙区として存置したことは、同議会に与えられた裁量権の合理的な行使として是認しうるものであり、かつ、その配当基数もいまだ特例選挙区の設置が許されない程度には至っていないものというべきであるから、右三選挙区を特例選挙区として存置したことは適法である。
(三) 原告らは、被告が特例選挙区の存置の理由として挙げる事情のほとんどは訴訟提起後に被告が考え出した説明であり、千葉県議会の審議において特例選挙区存置の理由が詳細に論じられたことはなかったと主張する。しかしながら、〈書証番号略〉によれば、本件改正をした県議会においても、それぞれの提案理由において、特例選挙区存置の可否について論じられているし、可決された提案については、この点をめぐる討論もなされた上で採決されたものであることが認められる。また、前記認定のとおり、右議会の審議の前に一一回にもわたって委員会が開催されていたのであるから、ここにおいてもこの点について相当程度の議論がなされていたものと推認することができる。
また、原告らは、特例選挙区の存置の理由として挙げられたところは、法律論としても政治論としても正論ではないとか、一方的な首都近郊外地域擁護論であると論難するが、前述したとおり、県議会において、当該地域の代表確保の必要性を総合判断し、地域間の均衡を図るための諸般の要素を考慮した上で特例選挙区の存置を決定した以上は、原則として議会の裁量権の合理的な行使として是認すべきものであるのであって、右理由が著しく不合理で、議会の裁量の範囲を逸脱するものとはいまだ認めがたい。
したがって、原告らの反論はいずれも理由がない。
3(一) 次に、都道府県議会の議員の選挙に関し、当該都道府県の住民がその選挙権の内容、すなわち投票価値において平等に取り扱われるべきものであることは憲法の要求するところであり(昭和五九年第一小法廷判決、最高裁判所昭和五九年(行ツ)第三二四号同六〇年一〇月三一日第一小法廷判決・裁判集民事一四六号一三頁等)、公選法一五条七項は、憲法の右要請を受け、都道府県議会の議員の定数配分につき、人口比例を最も重要かつ基本的な基準とし、各選挙人の投票価値が平等であるべきことを強く要求しているものと解される。もっとも、公選法は、右人口比例の原則に修正を認め、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができるとしているところ(一五条七項但書)、いかなる事情の存するときに右但書を適用して右の修正を加えるべきか、また、どの程度の修正を加えるべきかについての客観的基準が存するものでもないから、議員定数の配分を定めた条例の規定が公選法一五条七項の規定に適合するか否かについては、都道府県議会が具体的に定めるところがその裁量権の行使として是認されるか否かによって決するほかなく、したがって、定数配分規定の制定またはその改正により具体的に決定された定数配分の下における選挙人の投票の有する価値に不平等が存し、あるいはその後の人口の変動により右不平等が生じ、それが都道府県の議会において地域間の均衡を図るため通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは、右のような不平等は、やはや都道府県の議会の合理的裁量の限界を超えているものと推定され、これを正当化すべき特別の理由が示されない限り、公選法一五条七項違反と判断せざるをえないものである(第一小法廷判決)。
そして、第一小法廷判決は、右のような見地に立って本件改正前の条例につき検討し、前前回の昭和五八年四月一〇日に執行された県議会選挙当時の条例では、特例選挙区とその他の選挙区間において議員一人当たりの人口の最大較差が海上郡選挙区対我孫子市・沼南町選挙区の一対6.49、特例選挙区を除いたその他の選挙区間における右最大較差が長生郡選挙区対鎌ヶ谷選挙区の一対4.58であり、人口の多い選挙区の定数が人口の少ない選挙区の定数より少ないいわゆる逆転現象も六〇通りあり、定数二以上の差のある顕著な逆転現象もあって、前掲昭和六〇年一〇月三一日第一小法廷判決により公選法一五条七項に違反する状態にあったものと断定されたものであったが、その後の改正の結果、前回選挙当時には、特例選挙区とその他の選挙区間において議員一人当たりの人口の最大較差は海上郡選挙区対鎌ヶ谷選挙区の一対3.98、特例選挙区を除いたその他の選挙区間における右最大較差は長生郡選挙区対鎌ヶ谷選挙区の一対2.81となったこと、いわゆる逆転現象は三一通りであり、定数二以上の差のある顕著な逆転現象は解消されていること、そして、人口比定数(配当基数に応じて定数を配分したもの、すなわち公選法一五条七項本文の人口比例原則に基づいて配分した定数)により較差を検討すると、特例選挙区と他の選挙区間の投票価値の最大較差は海上郡選挙区対浦安市選挙区の一対4.35、特例選挙区を除くその他の選挙区間における投票価値の最大較差は一対2.91となるはずのところ、千葉県議会が公選法一五条七項但書を適用して改正前条例を定めた結果、投票価値の最大較差は、特例選挙区を含めた場合には一対3.98、特例選挙区を除いた場合には一対2.81となっており、人口比定数による較差に比べていずれも較差が縮小されていることから、右程度の投票価値の不平等は、千葉県議会において地域間の均衡を図るため通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度には達していたとはいえず、同議会に与えられた裁量権の合理的の行使として是認することができると判示した。当裁判所も、特例選挙区を存置した場合に生ずる投票価値の不平等が県議会の合理的裁量権の行使として是認されるか否かを判断するにあたっては、右第一小法廷判決と同じように判断すべきものと考える。
(二) これを本件についてみると、〈書証番号略〉によれば、千葉県においては、主に首都近郊内地域と近郊外地域との間で人口の変動、公共施設の整備状況、交通の利便性、市町村の財政力、人口の高齢化等に著しい差が出ており、千葉県議会は、これらの事情を勘案して、前記の三特例選挙区を設けたほか、長生郡、山武郡、香取郡、夷隅郡、安房郡、銚子郡、茂原市、成田市、君津市、印旛郡、千葉市、市川市、船橋市、松戸市、柏市の各選挙区に公選法一五条七項但書を適用して本件改正を行ったことが認められ、そして、本件改正により特例選挙区を含む議員一人当たりの人口の最大較差は、匝瑳郡選挙区対柏市選挙区の一対3.48、特例選挙区を除く議員一人当たりの人口の最大較差も、長生郡選挙区対柏市選挙区の一対2.45となり、いわゆる逆転現象も一六通りに減少し、定数二以上の差のある顕著な逆転現象もないこと、また、人口比定数により特例選挙区とその他の選挙区間の投票価値の最大較差を算出すると、匝瑳郡選挙区対君津市選挙区の一対4.07、特例選挙区を除くその他の選挙区間における投票価値の最大較差は、八日市場市選挙区対君津市選挙区の一対2.76と計算されるのに対し(すなわち、これらの較差は、公選法の定める選挙区割に基づくものとして、公選法の定め自体に由来する較差であるから、もともと同法の許容するものと考えることができる。)、本件改正により、投票価値の最大較差は、前記のとおり、特例選挙区を含めた場合には一対3.48、特例選挙区を除いた場合には一対2.45になっており、いずれも較差が縮小されていることが認められる。
右の事実によれば、本件選挙当時の議員一人当たりの人口の較差が示す投票価値の不平等は、千葉県議会において地域間の均衡を図るため通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお、一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達していたとはいえず、同議会に与えられた裁量権の合理的な行使として是認することができるものというべきである。
(三) 原告らは、右人口比定数を考慮する場合は、特例選挙区を除くべきであると主張するが、特例選挙区が公選法二七一条二項の要件を満たしてその存置が認められる以上は、これを含めて計算することに矛盾や不合理はない。原告らは、仮に第一小法廷判決のような考え方をとるとすれば、むしろ、現存較差が特例選挙区を除いた人口比例配分選挙区間で生じる最大較差を超えない範囲で合法と修正すべきであると主張するが、特例選挙区が認められた趣旨に反し、合理的ではない。誤解を避けるために付言しておく。当裁判所は、特例選挙区を除く選挙区相互の較差が県議会の合理的裁量権の行使を逸脱しているかどうかの判断において特例選挙区との較差を考慮に入れているのではない。特例選挙区とそれ以外の選挙区との較差についての判断にあたって、法の許容する較差を考慮しているのである。
なお、原告らは、昭和四九年制定当時の選挙区条例における議員定数の配分では、市川市ほか四選挙区に対しては人口比例によった場合よりも一少ない定数が配分されており、これらの選挙区についても、公選法一五条七項但書が適用されていたと主張し、〈書証番号略〉によれば、右の事実が認められる。しかしながら、この事実は、現行規定である本件定数配分規定の適法性が争点である本件訴訟の結論に影響を及ぼすものではない。
また、昭和五九年第一小法廷判決が、東京都議会の定数配分についての特例を定めた昭和三七年の公選法二六六条二項の規定は、後の昭和四四年に定められた同法一五条七項但書以上の広範な裁量権を都議会に与えるものではないと判示したことは原告ら主張のとおりであるが、右二六六条二項と同法二七一条二項の特例選挙区の規定を同視すべき理由はない。原告らは、さらに、公選法二七一条二項の規定が、第一小法廷判決のように3.98倍もの較差を許容する規定であるとすれば、同条項そのものが憲法一四条一項に反する規定ということになると主張する。しかしながら、配当基数が0.5以下であるにもかかわらず、これを強制合区の対象とせず、特別に独立の選挙区として存置することを認める法律を定めるのが相当であるかどうかは、人口比例の原則を重視しつつ、これ以外に考えられるべき諸要素を念頭においた上で、憲法一四条一項に定める平等の要請をどのように具現するのが相当であるかを判断することにほかならず、これは、とりもなおさず、国会の立法における裁量の問題である。先に判示したとおりの昭和四一年法律第七七号による改正が、国会の合理的裁量権の行使の範囲を逸脱するものと判断すべき根拠は見当たらない。
(四) したがって、本件定数配分規定は公選法一五条七項に違反するものではなく、適法である。
四 結論
以上によれば、原告らの本訴請求はいずれも理由がないので、これらを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官上谷清 裁判官満田明彦 裁判官高須要子)
別紙 選定者目録〈省略〉
第一表
改正後の定数、議員1人当たり人口他90.10国勢調査速報値人口
選挙区 人口 現行
定数
議員1人
当たり人口
較差配当基数人口比
定数
過不足
匝瑳1長生1
印旛郡 226,901 3 75,634 3.45 2.43 3.757 4 -1
鎌ヶ谷市 95,052 2 47,526 2.17 1.53 1.574 2
君津市 89,243 2 44,622 2.03 1.43 1.477 1 +1
市川市 436,597 6 72,766 3.32 2.34 7.230 7 -1
成田市 86,708 2 43,354 1.98 1.39 1.435 1 +1
茂原市 83,437 2 41,719 1.90 1.34 1.381 1 +1
我孫子市 120,629 2 60,315 2.75 1.94 1.997 2
東葛飾郡 41,942 1 41,942 1.91 1.35 0.694 1
柏市 305,060 4 76,265 3.48 2.45 5.051 5 -1
船橋市 533,273 7 76,182 3.47 2.45 8.831 9 -2
松戸市 456,211 6 76,035 3.47 2.44 7.554 7 -1
習志野市 151,472 2 75,736 3.45 2.43 2.508 2
千葉市 829,467 11 75,406 3.44 2.42 13.736 14 -3
八千代市 148,615 2 74,308 3.39 2.39 2.461 2
野田市・関宿町 145,207 2 72,604 3.31 2.33 2.404 2
佐倉市 144,688 2 72,344 3.30 2.32 2.396 2
四街道市 72,157 1 72,157 3.29 2.32 1.194 1
流山市 140,059 2 70,030 3.19 2.25 2.319 2
市原市 257,717 4 64,429 2.94 2.07 4.267 4
木更津市 123,434 2 61,717 2.81 1.98 2.044 2
浦安市 115,675 2 57,838 2.64 1.86 1.915 2
富津市 54,877 1 54,877 2.50 1.76 0.908 1
館山市 54,574 1 54,574 2.49 1.75 0.903 1
君津郡 52,818 1 52,818 2.41 1.70 0.874 1
佐原市 49,547 1 49,547 2.26 1.59 0.820 1
東金市 45,179 1 45,179 2.06 1.45 0.748 1
銚子市 85,138 2 42,569 1.94 1.37 1.409 1 +1
山武郡 126,632 3 42,211 1.92 1.36 2.097 2 +1
鴨川市・天津小湊町 39,866 1 39,866 1.82 1.28 0.660 1
旭市 38,907 1 38,907 1.77 1.25 0.644 1
香取郡 113,031 3 37,677 1.72 1.21 1.871 2 +1
八日市場市 32,305 1 32,305 1.47 1.04 0.534 1
夷隅郡 64,588 2 32,294 1.47 1.04 1.069 1 +1
安房郡(除天津小湊) 62,924 2 31,462 1.43 1.01 1.042 1 +1
長生郡 62,243 2 31,122 1.42 1.00 1.030 1 +1
勝浦市 25,334 1 25,334 1.16 0.81 0.419 1
海上郡 22,030 1 22,030 1.00 0.71 0.364 1
匝瑳郡 21,930 1 21,930 1.00 0.70 0.363 1
合計 5,555,467 92 60,386 92
第二表
改正前の定数、議員1人当たり人口他 90.10国勢調査速報値人口
選挙区 人口 定数 議員1人
当たり人口
較差配当基数人口比
定数
過不足
匝瑳1長生1
印旛郡 226,901 2 113,451 5.17 3.65 3.471 3 -1
鎌ヶ谷市 95,052 1 95,052 4.33 3.05 1.454 1
君津市 89,243 1 89,243 4.07 2.87 1.365 1
市川市 436,597 5 87,319 3.98 2.81 6.680 6 -1
成田市 86,708 1 86,708 3.95 2.79 1.326 1
茂原市 83,437 1 83,437 3.80 2.68 1.276 1
我孫子市・沼南町 162,571 2 81,286 3.71 2.61 2.487 2
柏市 305,060 4 76,265 3.48 2.45 4.667 4
船橋市 533,273 7 76,182 3.47 2.45 8.159 8 -1
松戸市 456,211 6 76,035 3.47 2.44 6.980 7 -1
習志野市 151,472 2 75,736 3.45 2.43 2.317 2
千葉市 829,467 11 75,406 3.44 2.42 12.691 13 -2
八千代市 148,615 2 74,308 3.39 2.39 2.273 2
野田市・関宿町 145,207 2 72,604 3.31 2.33 2.221 2
佐倉市 144,688 2 72,344 3.30 2.32 2.213 2
四街道市 72,157 1 72,157 3.29 2.32 1.104 1
流山市 140,059 2 70,030 3.19 2.25 2.142 2
市原市 257,717 4 64,429 2.94 2.07 3.943 4
木更津市 123,434 2 61,717 2.81 1.98 1.888 2
浦安市 115,675 2 57,838 2.64 1.86 1.769 2
富津市 54,877 1 54,877 2.50 1.76 0.839 1
館山市 54,574 1 54,574 2.49 1.75 0.835 1
君津郡 52,818 1 52,818 2.41 1.70 0.808 1
佐原市 49,547 1 49,547 2.26 1.59 0.758 1
東金市 45,179 1 45,179 2.06 1.45 0.691 1
銚子市 85,138 2 42,569 1.94 1.37 1.302 1 +1
山武郡 126,632 3 42,211 1.92 1.36 1.937 2 +1
鴨川市・天津小湊町 39,866 1 39,866 1.82 1.28 0.609 1
旭市 38,907 1 38,907 1.77 1.25 0.595 1
香取郡 113,031 3 37,677 1.72 1.21 1.729 2 +1
八日市場市 32,305 1 32,305 1.47 1.04 0.494 1
夷隅郡 64,588 2 32,294 1.47 1.04 0.988 1 +1
安房郡(除天津小湊) 62,924 2 31,462 1.43 1.01 0.962 1 +1
長生郡 62,243 2 31,122 1.42 1.00 0.952 1 +1
勝浦市 25,334 1 25,334 1.16 0.81 0.387 1
海上郡 22,030 1 22,030 1.00 0.71 0.337 1
匝瑳郡 21,930 1 21,930 1.00 0.70 0.335 1
合計 5,555,467 85 65,358 85
第三表
本件選挙時における選挙区間の議員1人当たり人口の較差
項目 平成2年
国調人口
定数
議員1人
当たり人口
/
較差人口比 議員1人
当たり人口
(人口比)
/
較差
選挙区匝瑳
=1
長生
=1
配当
基数
/
定数
差
–
匝瑳
=1
八日
市場
=1
1 東葛飾郡(除関宿町) 41,942 1 41,942 1.91 1.35 0.694 1 0 41,942 1.91 1.30
2 印旛郡 226,901 3 75,634 3.45 2.43 ⑤ 3.757 4 -1 56,725 2.59 1.76
3 長生郡 62,243 2 31,122 1.42 1.00 1.030 1 1 62,243 2.84 1.93
4 山武郡 126,632 3 42,211 1.92 1.36 2.097 2 1 63,316 2.89 1.96
5 香取郡 113,031 3 37,677 1.72 1.21 ③ 1.871 2 1 56,516 2.58 1.75
6 海上郡 22,030 1 22,030 1.00 0.71 0.364 1 0 22,030 1.00 0.68
7 匝瑳郡 21,930 1 21,930 1.00 0.70 0.363 1 0 21,930 1.00 0.68
8 君津郡 52,818 1 52,818 2.41 1.70 0.874 1 0 52,818 2.41 1.63
9 夷隅郡 64,588 2 32,294 1.47 1.04 1.069 1 1 64,588 2.95 2.00
10 安房郡(除天津小湊) 62,924 2 31,462 1.43 1.01 1.042 1 1 62,924 2.87 1.95
11 千葉市 829,467 11 75,406 3.44 2.42 ⑥13.736 14 -3 59,248 2.70 1.83
12 銚子市 85,138 2 42,569 1.94 1.37 1.409 1 1 85,138 3.88 2.64
13 市川市 436,597 6 72,766 3.32 2.34 7.230 7 -1 62,371 2.84 1.93
14 船橋市 533,273 7 76,182 3.47 2.45 ④ 8.831 9 -2 59,253 2.70 1.83
15 館山市 54,574 1 54,574 2.49 1.75 0.903 1 0 54,574 2.49 1.69
16 木更津市 123,434 2 61,717 2.81 1.98 2.044 2 0 61,717 2.81 1.91
17 松戸市 456,211 6 76,035 3.47 2.44 7.554 7 -1 65,173 2.97 2.02
18 野田市・関宿町 145,207 2 72,604 3.31 2.33 2.404 2 0 72,604 3.31 2.25
19 佐原市 49,547 1 49,547 2.26 1.59 0.820 1 0 49,547 2.26 1.53
20 茂原市 83,437 2 41,719 1.90 1.34 1.381 1 1 83,437 3.80 2.58
21 成田市 86,708 2 43,354 1.98 1.39 1.435 1 1 86,708 3.95 2.68
22 佐倉市 144,688 2 72,344 3.30 2.32 2.396 2 0 72,344 3.30 2.24
23 東金市 45,179 1 45,179 2.06 1.45 0.748 1 0 45,179 2.06 1.40
24 八日市場市 32,305 1 32,305 1.47 1.04 0.534 1 0 32,305 1.47 1.00
25 旭市 38,907 1 38,907 1.77 1.25 0.644 1 0 38,907 1.77 1.20
26 習志野市 151,472 2 75,736 3.45 2.43 2.508 2 0 75,736 3.45 2.34
27 柏市 305,060 4 76,265 3.48 2.45 5.051 5 -1 61,012 2.78 1.89
28 勝浦市 25,334 1 25,334 1.16 0.81 0.419 1 0 25,334 1.16 0.78
29 市原市 257,717 4 64,429 2.94 2.07 4.267 4 0 64,429 2.94 1.99
30 流山市 140,059 2 70,030 3.19 2.25 2.319 2 0 70,030 3.19 2.17
31 八千代市 148,615 2 74,308 3.39 2.39 2.461 2 0 74,308 3.39 2.30
32 我孫子市 120,629 2 60,315 2.75 1.94 ① 1.997 2 0 60,315 2.75 1.87
33 鴨川市・天津小湊町 39,866 1 39,866 1.82 1.28 0.660 1 0 39,866 1.82 1.23
34 鎌ヶ谷市 95,052 2 47,526 2.17 1.53 ⑦ 1.574 2 0 47,526 2.17 1.47
35 君津市 89,243 2 44,622 2.03 1.43 1.477 1 1 89,243 4.07 2.76
36 富津市 54,877 1 54,877 2.50 1.76 0.908 1 0 54,877 2.50 1.70
37 浦安市 115,675 2 57,838 2.64 1.86 ② 1.915 2 0 57,838 2.64 1.79
38 四街道市 72,157 1 72,157 3.29 2.32 1.194 1 0 72,157 3.29 2.23
99 計 5,555,467 92 60,386 91.999 92 0 60,386
(注) 「議員1人当たりの人口」「較差」については、表示桁以下4捨5入 「配当基数」については、切り捨て
別紙 第四表〈省略〉
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