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あなたの街の「ポスターPR」貼る(掲示許可交渉)前に知っておきたい地域情報「道議会議員選挙」5
裁判年月日 昭和40年12月24日 裁判所名 札幌地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭38(わ)433号
事件名 公職選挙法違反被告事件
文献番号 1965WLJPCA12240013
要旨
◆公職選挙法二二四条による追徴の対象とするための要件
◆ちなみに、検察官は、その科刑意見において、被告人Aに対する追徴金額として、金一九万円を求刑している。しかしながら、被告人Aが判示Bから供与を受けた現金総額は前判示のとおり金四〇万円であるところ、判示第一の三の(一)、(二)の事実に関する前提各証拠によれば、右金員は、前判示のごとき趣旨のもとに、右Bから、その妻ないしCを介し、供与を受けたものであるが、その使途などについては、何ら特段の明示的な指示がなく、いわば、被告人Aの自由裁量に委ねられたものであることが認められる。したがつて、右金員は、その供与を受けた時点において、被告人Aの利益に帰したものとして、全額公職選挙法二二四条による没収もしくはその価額の追徴をまぬがれないものと解すべく、その後、同被告人が被告人Cその他の者に供与した金員の全部もしくはその一部に、右Bからの受供与にかかる金員そのものが含まれていたとしても、かかる分与方法につき、同人の具体的な指示などがあつてのことではなく、被告人Aの自由裁量に基づく支出ということができるので、右金員の分与行為は、前記Bから供与を受けた事犯とは別個の新たな犯行であつて、あたかも、従前から自ら所有していた金員をもつて新たな買収行為をした場合と同一に評価されるべきものであるから、追徴金額の算定にあたつては、これらを控除すべきものではなく、その全額を追徴しなければならない。
出典
下刑 7巻12号2254頁
参照条文
公職選挙法224条
裁判年月日 昭和40年12月24日 裁判所名 札幌地裁 裁判区分 判決
事件番号 昭38(わ)433号
事件名 公職選挙法違反被告事件
文献番号 1965WLJPCA12240013
被告人 辻野武男 外二四名
主 文
被告人辻野武男を懲役一年六月に、
同佐藤正夫、同中田秀雄、同上原道弘を懲役三月に、
同中村清、同野口惣之丞、同柿田享を懲役一〇月に、
同加藤金次郎を懲役三月に、
同佐勝正を懲役四月に、
同森山勝次郎を懲役三月に、
同伊藤善蔵を懲役八月に、
同神田義光を罰金五〇、〇〇〇円に、
同高橋孝雄を懲役六月に、
同北島喜八郎を懲役一年六月に、
同千葉荘康、同大澗一郎を懲役一年に、
同千歩松雄を懲役三月に、
同松原章、同鈴木実を懲役四月に、
同竹本昇を懲役五月に、
同森本文男、同田中滋を懲役四月に、
同立石守義を懲役六月に、
同石川一、同国分儀を罰金二五、〇〇〇円に、
各処する。
被告人神田、同石川、同国分につき、前記各罰金を完納することがでない場合は、いずれも金五〇〇円を一日に換算した期間、当該不完納の被告人を労役場に留置する。
ただし、この裁判確定の日から、被告人辻野、同中村、同野口、同柿田、同北島、同千葉、同大澗に対しては、いずれも五年間、被告人伊藤、同高橋、同立石に対しては、いずれも四年間、被告人佐藤正夫、同中田、同上原、同加藤、同佐藤正、同森山、同千歩松雄、同松原、同鈴木、同竹本、同森本、同田中に対してはいずれも三年間、右各刑の執行を猶予する。
押収してある一、〇〇〇円紙幣一一枚(昭和四〇年押二二一号の三四)は、これを被告人鈴木から、一、〇〇〇円紙幣一〇枚(押同号の三六)は、これを被告人竹本から、一、〇〇〇円紙幣五枚(押同号の三七)は、これを被告人国分から、それぞれ没収する。
被告人辻野から金四〇万円を同佐藤正夫から金二、〇〇〇円を、被告人上原から金一万円を、被告人中村から金三万円を、被告人柿田から金二五、〇〇〇円を、被告人加藤から金一万円を、被告人伊藤から金三万円を、被告人大澗から金一五万円を、被告人千歩松雄から金七、〇〇〇円を、被告人松原から金一万円を、被告人鈴木から金一一、〇〇〇円を、被告人竹本から金二万円を、被告人森本から金一二、〇〇〇円を、被告人田中から金一万円を、被告人立石から金五万円を、被告人石川から金五、〇〇〇円を、それぞれ追徴する。
被告人神田、同石川、同国分に対しては、選挙権、被選挙権を有しない期間を短縮し、これを三年とする。
理 由
(罪となるべき事実)
被告人等は、いずれも昭和三八年四月一七日施行の北海道議会議員選挙に際し、同月二日石狩支庁管内から立候補した千葉忠雄の選挙運動者であり、なお、被告人辻野は、右千葉の立候補届出後その出納責任者となつたものであるところ、
第一 被告人辻野は、
一 右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である
(一) 昭和三七年一二月二〇日頃石狩郡当別町西小川通五二番地片岡一応方において、被告人大澗に対し、右千葉のための投票取りまとめ等の選挙運動を依頼し、その報酬として現金五万円を供与し、
(二) 同三八年一月一〇日頃同郡同町対雁通一一八番地の自宅において、被告人大澗に対し、前記同趣旨のもとに現金一〇万円を供与し、
(三) 同年一月中旬頃前同所において、選挙運動者である佐々木亀次郎に対し、前記同趣旨のもとに現金五万円を供与し、
(四) 同年三月下旬頃同郡同町字西小川通五四番地「たこ寅ずし」こと高田昌明方客席において、被告人立石に対し、前記同趣旨のもとに現金五万円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
二 前同様の目的をもつて、出納責任者の地位にあつた同年四月七日頃札幌郡手稲町字手稲三五二番地の一伊保内養親方において、選挙運動者である同人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円を供与し、
三 (一) 同三七年一二月一七日頃石狩郡当別町西小川通五九番地千葉忠雄方において、同人から、同人の妻トミを介して右千葉のための投票取りまとめ等の選挙運動についての報酬として供与されるものであることの情を知りながら、現金二〇万円の供与を受け、
(二) 同三八年一月一〇日頃前記自宅において、右千葉忠雄から、同人の妻および大澗一郎を介して、前記同趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金二〇万円の供与を受け、
第二 被告人大澗は、
一 前記第一の一、(一)記載の日時場所において、被告人辻野から、同記載の趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金五万円の供与を受け、
二 前記第一の一、(二)記載の日時場所において、被告人辻野から、同記載の趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金一〇万円の供与を受け、
第三 いずれも、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前であるのに、
一 同三八年一月一六日、被告人辻野、同大澗、同上原、同中村は、右千葉と共謀のうえ、札幌郡手稲町緑ケ丘一五七番地旅館「緑荘」こと万田テツ方客室において、同選挙区の選挙人登坂三二ほか七名に対し、右千葉のための投票および投票取りまとめ等の選挙運動を依頼し、その報酬として一人当り約四六四円相当の酒食の饗応接待をなし、
二 同年一月二八日、被告人野口、同中田、同柿田、同加藤は、右千葉および渡部一郎と共謀のうえ、石狩郡石狩町大字八幡町西五番地料理店「北原待合所」こと北原きぬ方客室において、同選挙区の選挙人山崎宗太郎ほか二七名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約三七五円相当の酒食の饗応接待をなし、
三 同年二月一二日、被告人野口、同佐藤正夫は、右千葉および岸部儀八郎と共謀のうえ、同郡同町大字新町一番地料理店「金大亭」こと石黒コウ方客室において、同選挙区の選挙人村井司ほか三三名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約三七〇円相当の酒食の饗応接待をなし、
四 同年二月一五日、被告人野口、同千葉荘康、同千歩松雄、同森本、同柿田は、右千葉および佐々木忠雄と共謀のうえ、同郡大字花畔村北一一線五一〇番地「立江寺」本堂において、同選挙区の選挙人似鳥正雄ほか二五名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約四一〇円相当の酒食の饗応接待をなし、
五 同年二月二〇日、被告人野口、同千葉荘康、同佐藤正、同森山は右千葉と共謀のうえ、厚田郡厚田村大字厚田五番地「戸田旅館」こと小野寺治方客室において、同選挙区の選挙人金子芳示ほか三四名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約三五〇円相当の酒食の饗応接待をなし、
六 同年二月二五日、被告人神田、同伊藤は、右千葉、伊藤正男、土川堅、萱野利吉と共謀のうえ、石狩郡石狩町大字生振付六線南「生振寺」本堂において、同選挙区の選挙人竹口俊則ほか二二名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約三〇〇円相当の酒食の饗応接待をなし、
七 同年三月九日、被告人千葉荘康は、右千葉、南部栄吉と共謀のうえ、札幌郡手稲町字西野八〇〇番地右南部方において、同選挙区の選挙人川中新治ほか一三名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約一一五月相当の酒食の饗応接待をなし、
八 同年三月一五日、被告人北島、同田中、同柿田は、右千葉、片岡一応、斉藤寿治と共謀のうえ、石狩郡石狩町大字花畔村北四線番外地の被告人田中方において、同選挙区の選挙人高谷直利ほか一二名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約四八〇相当の酒食の饗応接待をなし、
九 同年四月一日、被告人柿田、同加藤、同中田は、右千葉および渡部一郎と共謀のうえ、前記「北原待合所」客室において、同選挙区の選挙人井利元春一ほか一〇名に対し、前記同趣旨のもとに一人当り約三七〇円相当の酒食の饗応接待をなし、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第四 被告人千葉荘康、同北島の両名は、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、共謀のうえ、いまだ同人の立候補届出前であるのに、
一 同二八年二月二二日頃石狩郡石狩町大字浜町の岸部儀八郎方において、選挙運動者である同人に対し、同人の妻ヒサを介し、右千葉のための投票取りまとめ等の選挙運動を依頼し、その報酬として現金二万円を供与し、
二 前同日頃前同所において、被告人柿田に対し、前記同趣旨のもとに現金二万円を供与し、
三 同年三月四日頃同郡同町大字花畔村北一一線所在の「松美食堂」こと松沢ミヨ方において、被告人森本に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
四 前同日頃同郡同町大字花畔村北一一線先道路上において、被告人石川に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第五 被告人千葉荘康、同北島、同柿田は、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、共謀のうえ、いずれもいまだ同人の立候補届出前である同年二月二二日頃
一 同郡同町大字花畔村北一一線の被告人千歩松雄方において、同被告人に対し、右千葉のため投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として現金五、〇〇〇円を供与し、
二 同郡同町大字花畔村北八線二〇番地の被告人森本方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
三 同郡同町大字樽川村西四線の選挙運動者である千歩達雄方において、同人に対し、その妻ウメを介し、前記同趣旨のもとに現金三、〇〇〇円を供与し、
四 同郡同町大字樽川村西六線の被告人竹本方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第六 被告人千葉荘康、同高橋は、共謀のうえ、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である同年二月中旬頃札幌郡手稲町字手稲一九一番地の被告人中村方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金二万円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第七 被告人千葉荘康、同野口は、共謀のうえ、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である同年三月九日頃同郡同町字手稲一九三番他の被告人国分方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第八 被告人千葉荘康は、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である同年三月中旬頃、同郡同町字西野八〇〇番地南部栄吉方において、選挙運動者である同人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円の供与の申込をし、もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
第九 被告人北島は、いずれも、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、
一 いまだ右千葉の立候補届出前であるのに、
(一) 同年三月九日頃石狩郡石狩町大字樽川村西七線水の屋滝次郎方付近路上において、被告人竹本に対し、右千葉のための投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として、現金一万円を供与し、
(二) 同年三月一三日頃同郡同町大字花畔村北六線付近路上において、被告人柿田に対し、前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
(三) 同年三月一五日頃同郡同町大字花畔村北四線の被告人田中方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円を供与し、
(四) 同年三月一六日頃同郡同町大字生振村八線南七番地の被告人伊藤方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円を供与し、
(五) 前同日頃同郡同町大字樽川村西四線千歩達雄方において選挙運動者である同人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円を供与し、
(六) 同年三月一九日頃同郡同町大字生振村生振中一実行組合集会所前付近において、被告人鈴木に対し、前記同趣旨のもとに現金二万円を供与し、
(七) 同年三月二〇日頃同郡同町大字樽川村西六線被告人竹本方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現全一万円を供与し、
(八) 同年三月二五日頃同郡同町大字八幡町東六番地の被告人佐藤正夫方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金二、〇〇〇円を供与し、
(九) 前同日頃同郡当別町西小川通「白樺会館」内千葉忠雄後援会事務所において、被告人松原および同伊藤に対し、前記同趣旨のもとに各現金一万円ずつを供与し、
もつて、いずれも立候補届出前の選挙運動をなし、
二 (一) 同年四月八日頃同郡石狩町大字生振村八線南七番地の被告人伊藤方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金一万円を、また、選挙運動者である同被告人の妻伊藤住に対し前記同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を各供与し、
(二) 同年四月一一日頃同郡同町大字花畔村北一一線の被告人千歩松雄方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金二、〇〇〇円を供与し、
(三) 前同日頃同郡同町大字花畔村北一〇線五番地小林清平方玄関付近において被告人森本に対し、前記同趣旨のもとに現金一、〇〇〇円を供与し、
(四) 同年四月一二日頃同郡同町大字親船町南九番地川内久志方前において、被告人森本に対し、右千葉のため選挙人に清酒を供与されたい旨依頼し、その資金として現金一、〇〇〇円を交付し、
(五) 同年四月一三日頃同郡同町大字生振村四線被告人鈴木方裏畑において、同被告人に対し、右千葉のため投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として現金五、〇〇〇円を供与し、
(六) 同年同月一四日頃同郡同町大字樽川村西六線の被告人竹本方において、同被告人に対し、右同趣旨のもとに現金五、〇〇〇円を供与し、
第一〇 被告人高橋は、右千葉に当選を得しめる目的をもつて、
一 いまだ同人の立候補届出前であるのに、
(一) 同年三月中旬頃厚田郡厚田村大字望来村二六番地佐藤正年方納屋において、選挙運動者である同人に対し、右千葉のため投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として現金五、〇〇〇円を供与し、
(二) 同年三月下旬頃右佐藤正年方において、同人に対し、前記同趣旨のもとに現金二、〇〇〇円を供与し、
もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
二 同年四月二日頃札幌郡手稲町字手稲一九一番地の被告人中村方において、同被告人に対し、前記同趣旨のもとに現金二万円を供与し、
第一一 被告人柿田は、
一 右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である同年二月二五日頃石狩郡石狩町大字八幡町一一三番地の被告人加藤方において、同被告人に対し、右千葉のため投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として現金一万円を供与し、もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
二 (一) 前記第四の二記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島から同記載の趣旨をもつて供与されるものであることの情を知りながら、現金二万円の供与を受け、
(二) 前記第九の一、(二)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨をもつて供与されるものであることの情を知りながら現金五、〇〇〇円の供与を受け、
第一二 被告人中村は、
一 右千葉に当選を得しめる目的をもつて、いまだ同人の立候補届出前である同二月中旬頃札幌郡手稲町字八八番地の被告人上原方において、同被告人に対し、右千葉のため投票取りまとめ等の選挙運動をなすことを依頼し、その報酬として現金一万円を供与し、もつて、立候補届出前の選挙運動をなし、
二 (一) 前記第六記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同高橋から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金二万円の供与を受け、
(二) 前記第一〇の二記載の日時場所において、被告人高橋から同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金二万円の供与を受け、
第一三 被告人立石は、前記第一の一、(四)記載の日時場所において、被告人辻野から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五万円の供与を受け、
第一四 被告人千歩松雄は、
一 前記第五の一記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島、同柿田から同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
二 前記第九の二、(二)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら現金二、〇〇〇円の供与を受け、
第一五 被告人森本は、
一 前記第五の二記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島、同柿田から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
二 前記第四の三記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与受け、
三 前記第九の二、(三)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら現金一、〇〇〇円の供与を受け、
四 前記第九の二、(四)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で交付されるものであることの情を知りながら現金一、〇〇〇円の交付を受け、
第一六 被告人竹本は、
一 前記第五の四記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島、同柿田から、同記載の趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
二 前記第九の一、(一)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら現金一万円の供与を受け、
三 前記第九の一、(七)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
四 前記第九の二、(六)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りなが、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
第一七 被告人石川は、前記第四の四記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
第一八 被告人国分は、前記第七記載の日時場所において、被告人千葉荘康、同野口から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
第一九 被告人田中は、前記第九の一、(三)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
第二〇 被告人伊藤は、いずれも、被告人北島から、
一 前記第九の一、(四)記載の日時場所において、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
二 前記第九の一、(九)記載の日時場所において、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
三 前記第九の二、(一)記載の日時場所において、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
第二一 被告人鈴木は、いずれも被告人北島から、
一 前記第九の一、(六)記載の日時場所において、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金二万円の供与を受け、
二 前記第九の二、(五)記載の日時場所において、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金五、〇〇〇円の供与を受け、
第二二 被告人佐藤正夫は、前記第九の一、(八)記載の日時場所において被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金二、〇〇〇円の供与を受け、
第二三 被告人松原は、前記第九の一、(九)記載の日時場所において、被告人北島から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
第二四 被告人加藤は、前記第一一の一、記載の日時場所において、被告人柿田から、同記載の趣旨で供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け、
第二五 被告人上原は、前記第一二の一、記載の日時場所において、被告人中村から、同記載の趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、現金一万円の供与を受け
たものである。
(証拠)〈省略〉
(確定裁判)
被告人竹本は、昭和三八年一一月二一日札幌簡易裁判所において、道路交通法違反の罪により罰金一万円に処せられ、右裁判は同年一二月六日確定したもので、この事実は、検察事務官作成の同被告人に対する昭和四〇年一一月二六日付前科調書によつてこれを認める。
(法令の適用)
法律にてらすと、判示第一の一の(一)ないし(四)、第三の一ないし九、第四の一ないし四、第五の一ないし四、第六、第七、第八、第九の一の(一)ないし(九)、第一〇の一の(一)、(二)、第一一の一の各所為のうち、金員供与、饗応接待、金員供与の申込の各点はいずれも公職選挙法二二一条一項一号(なお、共犯の点については、刑法六〇条)に、事前運動の点はいずれも公職選挙法二三九条一号、一二九条なお、共犯の点については、刑法六〇条)に各該当するところ、右金員供与、饗応接待および金員供与の申込と事前運動とは、それぞれ刑法五四条一項前段にいわゆる一個の行為にして二個の罪名に触れる場合であるから、同法一〇条により、重い金員供与、饗応接待および金員供与の申込の罪につき定めた刑に従うべく、
判示第一の二の所為は、公職選挙法二二一条三項三号、二二一条一項一号に該当し、
判示第九の二の(一)ないし(三)および(五)、(六)、第一〇の二の各所為は、いずれも同法二二一条一項一号に、判示第九の二の(四)の所為は、同法二二一条一項五号に各該当し、
判示第一の三の(一)、(二)、第二の一、二、第一一の二の(一)、(二)、第一二の二の(一)、(二)、第一三、第一四の一、二、第一五の一ないし三、第一六の一ないし四、第一七ないし第一九、第二〇の一ないし三、第二一の一、二、第二二ないし第二五の各所為は、いずれも同法二二一条一項四号、一号に、
判示第一五の四の所為は、同法二二一条一項五号に各該当する。
ところで、被告人竹本については、前示確定裁判を経た罪があり、これと判示の各罪とは、刑法四五条後段の併合罪であるから同法五〇条により、さらに判示の各罪につき処断すべく、
被告人佐藤正、同森山、同神田、同松原、同立石、同石川、同国分を除くその余の被告人等についての判示の各罪は、同法四五条前段の併合罪の関係に立つから、各罪につき、いずれも、その所定刑中懲役刑を選択し、同法四七条、一〇条にしたがい、
被告人辻野については、最も重い判示第一の二の罪の刑に、同佐藤正夫については、犯情の重いと認める判示第三の三の罪の刑に、同中田については、犯情の重いと認める判示第三の九の罪の刑に、同上原については犯情の重いと認める判示第三の一の罪の刑に、同中村については犯情の重いと認める判示第三の一の罪の刑に、同野口については犯情の重いと認める判示第三の三の罪の刑に、同柿田については、犯情の重いと認める判示第三の九の罪の刑に、同加藤については、犯情の重いと認める判示第三の九の罪の刑に、同伊藤については、犯情の重いと認める判示第三の六の罪の刑に、同高橋については、犯情の重いと認める判示第六の罪の刑に、同北島については、犯情の重いと認める判示第九の一の(六)の罪の刑に、同千葉荘康については、犯情の重いと認める判示第四の一の罪の刑に、同大澗については、犯情の重いと認める判示第二の二の罪の刑に、同千歩松雄については、犯情の重いと認める判示第三の四の罪の刑に、同鈴木については、犯情の重いと認める判示第二一の一の罪の刑に、同竹本については、犯情の重いと認める判示第一六の三の罪の刑に、同森本については、犯情の重いと認める判示第三の四の罪の刑に、同田中については、犯情の重いと認める判示第三の八の罪の刑に、それぞれ法定の加重をなした刑期の範囲内で処断すべく、
他方、被告人佐藤正、同森山、同松原、同立石については、いずれも判示各罪の所定刑中懲役刑を選択し、
被告人神田、同石川、同国分については、いずれも判示各罪の所定刑中罰金刑を選択し、
右各刑期ないし各罰金額の範囲内で、それぞれ主文掲記のごとく量刑し、
換刑処分につき刑法二一条を、刑の執行猶予につき同法二五条一項を、主文掲記の各押収紙幣の没収につき公職選挙法二二四条前段を、また、没収不能による追徴につき同法同条後段を、いわゆる公民権停止期間の短縮につき同法二五二条四項を、訴訟費用につき刑訴一八一条一項ただし書を各適用して、主文のごとく定める。
(ちなみに、検察官は、その科刑意見において、被告人辻野に対する追徴金額として、金一九万円を求刑している。しかしながら、被告人辻野が判示千葉忠雄から供与を受けた現金総額は前判示のとおり金四〇万円であるところ、判示第一の三の(一)、(二)の事実に関する前提各証拠によれば、右金員は、前判示のごとき趣旨のもとに、右千葉から、その妻トミないし大澗一郎を介し、供与を受けたものであるが、その使途などについては、何ら特段の明示的な指示がなく、いわば、被告人辻野の自由裁量に委ねられたものであることが認められる。したがつて、右金員は、その供与を受けた時点において、被告人辻野の利益に帰したものとして、全額公職選挙法二二四条による没収もしくはその価額の追徴をまぬがれないものと解すべく、その後、同被告人が被告人大澗その他の者に供与した金員の全部もしくはその一部に、右千葉からの受供与にかかる金員そのものが含まれていたとしても、かかる分与方法につき、同人の具体的な指示などがあつてのことではなく、被告人辻野の自由裁量にもとずく支出ということができるので、右金員の分与行為は、前記千葉から供与を受けた事犯とは別個の新たな犯行であつて、あたかも、従前から自ら所有していた金員をもつて新たな買収行為をした場合と同一に評価さるべきものであるから、追徴金額の算定にあたつては、これらを控除すべきものではなく、その全額を追徴しなければならない。
一方、被告人鈴木は、前判示のように、被告人北島から現金合計二五、〇〇〇円の供与を受けたものであるところ、判示第二の一の事実に関する前掲各証拠によれば、そのうちの金一四、〇〇〇円については、昭和三八年三月一九日に供与を受けた現金二万円中の一部をそのまま他の現金と区別し、特定できる状態下に保管していたこと、なお、捜査官による家宅捜索により、右一四、〇〇〇円が差押えられたこと、ところが、その後、同被告人の取調を担当した警察官の指示にもとずきそのうちの三、〇〇〇円を同被告人の横井商店に対する未払買掛代金の支払いにあてたことが認めれる。ところで、このように、収受した利益を没収することのできない事由が、受供与者の意思によるものでなく、捜査官の指示にもとずく支払行為に起因する場合、これをもつて、没収不能による追徴の対象とすることは、一般に被告人のため酷な事態を招来することを否みがたく、公職選挙法二二四条後段の規定の立法趣旨にてらしても、不合理なものというほかないから、追徴すべき価額から控除するのを相当と解する。そこで、同被告人の受供与にかかる現金のうち、没収不能の価額総計一四、〇〇〇円中、右三、〇〇〇円を控除した金一一、〇〇〇円のみを追徴するにとどめた。)
そこで、主文のとおり、判決する。
(裁判官 角谷三千夫)
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