どぶ板PR専門!新規開拓訪問営業PR×ポスター広告許可貼り交渉+ビラチラシ配布ポスティング=あなたの街の「ポスターPRドットコム」
あなたの街の「ポスターPR」貼る(掲示許可交渉)前に知っておきたい地域情報「弁士」7
裁判年月日 昭和31年 5月 1日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 事件番号不詳
事件名 公職選挙法違反被告事件 〔いわゆる松原事件・第一審〕
文献番号 1956WLJPCA05010007
要旨
◆選挙騒擾罪が成立する為の要件
◆事件の大要欄記載の如き経過の下に一二票不足、一票破毀、投票箱開函等でもみ続け薮中立会人が多少興奮したためとは謂いながら立会人の分際を越えた振舞があり、選挙長等が手際よく事務を処理せず最終発表も行われないまま実に延々三時間余が空費され取締の任に当つた警察官の傍観的態度と優柔不断の措置とから場内の秩序が次第に乱れると共に四囲の群衆の昂奮が次第に昂まり四時五〇分頃絶頂に達していたところ、被告人Aの言動のため爆発し、群衆は殆ど一瞬になだれこみ、BやCを取囲んで殴打脅迫等の行為があつたが、これらの行為は一部の者の計画的意識的挑発に因るものではなく、全くいわゆる群衆心理に支配された盲目的瞬間の行動とみるのが妥当である。即ち数百人の群衆がなだれ込みから冷静に帰する迄にたつた五分という短時間-当時の状態としては殆ど一瞬間の出来事とも言えようか-であつて、全く以てあつけない幕切れであつたこと、機動隊を含む警察官に抵抗した者はなく、B、C選挙長以外に暴行をうけた者もないこと、投票済用紙の入つた投票箱にも全然手を触れていなかつたこと並に乱入した者がD派のみだとの証明もない諸事情から推究すれば、乱入の事前に於て、又同時に於て、若しくは事後に於て多衆が集合していわゆる集団して本件騒擾行為をするという共同の意思が形成されたと見ることは被告人等の本件群衆心理を其の不利益に曲解するものである。
新判例体系
公法編 > 組織法 > 公職選挙法〔昭和二五… > 第一六章 罰則 > 第二三〇条 > ○多衆の選挙妨害罪 > 成立要件
◆公職選挙法第二三〇条の騒擾は、一地方の静ひつを害する程度であることを要せず、選挙会場等の静ひつを害し選挙事務等の公正を妨害する程度のものであれば足りるが、その群集相互間に群集の集団として暴行脅迫を加えるという認識のあることを必要とする。
出典
判時 78号3頁
参照条文
刑法106条
公職選挙法229条
公職選挙法230条
裁判年月日 昭和31年 5月 1日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 事件番号不詳
事件名 公職選挙法違反被告事件 〔いわゆる松原事件・第一審〕
文献番号 1956WLJPCA05010007
本籍 松原市上田町四百七十三番地
住居 同右
真珠加工業
樋口作造
〈外三四名〉
右の者に対する公職選挙法違反被告事件について当裁判所は検察官大野潔出席の上審理を遂げ次の通り判決する。
主文
被告人林辰次郎、同南口一夫、同小松基夫、同八丈増次、同浅田長治郎を懲役五月に、同土師賢治を懲役参月に処する。但し被告人に対し、この裁判確定の日から何れも参年間右各刑の執行を猶予する。
訟訴費用中
証人西田逸治に支給した分は被告人小松基夫、同八丈増次、同浅田長次郎に於て各三分の一ずつ、
証人佐野平八郎に支給した分は被告人林辰次郎、同南口一夫に於て各二分の一ずつ。
証人新田長治郎に支給した分は被告人土師賢治に於て全部。
証人赤坂政吉に支給した分は被告人八丈増次、同浅田長次郎に於て各二分の一ずつの負担とする。
被告人樋口作造、松永恒治郎、吉末芳松、土師正太郎、信田徳三、西田儀一、西井寅三、小森重一、乾竹松、松永覚、森内貞雄、土師昭三、百石種太郎、春日敏雄、野元明夫、芝池末太郎、藤井昭光、津村浅次郎、南口秀夫、西田吉次、松村和夫、松永孝昭、池本秀雄、松野忠、松野好一、沢田望、永田伊佐夫、伊藤政一、坂上実は何れも無罪。
理由
第一、本件公訴事実の要旨
(一) 昭和三十年四月二十三日施行された大阪府議会議員選挙の松原市選挙区に於ける開票は、昭和三十年四月二十四日午前八時から同市上田町松原市立松原小学校講堂の選挙会場に於て選挙会の事務と併せて行われたが奥田政三、津田義守両候補者の得票数が伯仲し僅少の得票差で勝敗を争つたため、開票の進捗に伴い両派運動員を含む約五百名の参観者は会場東側参観席のほか場外南側及び北側の各窓際に蝟集し、興奮の裡に開票事務の運営及び進行を注視していたところ、同日午後二時頃選挙立会人藪中光蔵と得票整理係事務員佐野平八郎との間に疑問票から撰別された浅田義守の得票と認むべき有効票一票の計算に関し紛争を生じ、観衆の中からその一票は佐野が破るのを見たと騒ぎ出し、加うるに投票総数より投票紙実数が十二票少い事が発見され、更にまた投票当日同市阿保町第六投票所に於て、投票箱を不法に開いた事実が暴露される等のことがあつたため、多数の観衆は開票事務担当者に不信を抱いて激烈な罵声を浴せるに至り、遂に同日午後四時五十分頃に至るや観衆中被告人等を含む約三百名は多衆集合して、或は参観席から境界柵を突破して会場内に乱入し、或は場外から窓を乗越え入口扉を破つて会場内に雪崩れ込み、得票撰別台を踏み壊し椅子を振上げ、灰皿を投げる等の暴力を振つて喧騒し、得票整理事務に従事中の前記佐野平八郎を追いまわして暴行を加え、選挙長西田逸治がマイクで最終得票の発表をするため立会人席の前方に至るや同選挙長に詰寄り、且これに暴行脅迫を加えて発表を阻止し以て開票事務の執行を不能に陥らしめて前記選挙会場を騒擾したものであるが右の騒擾に際し
1、被告人樋口作造は最終得票の発表を阻止するため、会場東側参観席に於て、被告人吉末芳松、参観者浅田清一をして多数を使嗾して罵声を挙げしめ喧騒すると共に自ら洋傘をふりかざして参観者多数に対し「第六投票所の投票箱を不法に開いているのに最終得票の発表をせんとしている。こんな不正な選挙があるか。我々の手でしつかりやろう。」と大声で演説し多数の志気を鼓舞しつつ、多衆に先んじ、参観席の境界柵を踏み壊して会場内に乱入し
2、被告人南口一夫は多衆に先んじて会場北側西寄りの窓より会場内に乱入し、場内二ヶ所に於て前記佐野平八郎のネクタイを引張り、又は手拳でその顔面を殴打する等の暴行をなし、
3、被告人林辰次郎は多衆に先んじて会場北側西寄りの窓より会場内に乱入し、前記佐野平八郎に対し「お前が票を破るのを見た」と怒号しつつ、そのネクタイを引張り両手でその顔面を引掻く等の暴行をなし
4、被告人小松基夫は多衆に先んじて会場北側西寄りの窓より会場内に乱入し、前記佐野平八郎を殴打中の数名に対し「はつて終え、殺せ」と叫んで同人等を鼓舞し、更に前記西田選挙長に対し、「馬鹿野郎、恥しいと思え、叩き殺すぞ」と怒号脅迫し
5、被告人松永恒治郎は多衆に先んじて会場南側中央入口より会場内に乱入し前記佐野平八郎に対し、右手を振上げ「嘘をつくな、お前が票を破つた。」と怒号し、更に前記西田選挙長に対し手拳を以て殴りかかる等の暴行をなし
6、被告人吉末芳松は多衆に先んじて会場東側参観席より会場内に乱入し前記西田選挙長に対し「選管がぼんやりしている」と怒号しつつその襟首を掴み手拳でその頭部を殴打する等の暴行をなし
7、被告人土師正太郎は多衆に先んじて会場西側北寄りの演台上より会場内に乱入し、前記西田選挙長に対し、「委員長けしからん」と怒号しつつ同人めがけて椅子をふりあげて殴りかかり
8、被告人信田徳三は多衆に先んじて会場東側参観席より会場内に乱入し、前記西田選挙長に対し手拳を以て殴りかかり
9、被告人西田儀一は多衆に先んじて会場東側参観席より会場内に乱入し、前記西田選挙長に対し肩をいからせ、同人を突き飛ばさんとする気勢を示しながら「最終得票の発表をするならしてみろ」と怒号脅迫し
10、被告人土師賢治は多衆に先んじて会場東側参観席より会場内に乱入し、前記西田選挙長が暴行を受けるのを庇護せんとしていた同人の友人新田長治郎の手を引張り、且つ之を突き倒させんとする等の暴行をなし
以て夫々右騒擾の気勢を昂め多衆に率先して勢を助け
11、右の騒擾に際し被告人小森重一、乾竹松、松永覚、森内貞雄、土師昭三、百石種太郎、春日敏雄、野元明夫、芝池末太郎、藤井昭光、津村浅次郎、南口秀夫、西田吉次、松村和夫、松永孝昭、池本秀雄、松野忠、松野好一、沢田望、永田伊佐夫、伊藤政一、坂上実はいずれも前記率先者を含む約十数名の率先者に附和随行して会場内に立入り
(二) 被告人西井寅三は前記選挙会を参観中同日午後三時半頃同選挙会場北側西寄りの窓口より場内に立入り、唾液をはき散らし乍ら場内を徘徊し、且つ同会場南側西隅の窓ガラス一枚を叩き破つて同選挙会場を騒擾し
(三) 被告人八丈増次、浅田長次郎はいずれも右選挙会が多衆の騒擾によつて流会となつたのに乗じ、右選挙の投挙及び開票事務の不正を糾明すべく翌二十五日同町松原市役所二階会議室に於て選挙長西田逸治に対し交々選挙の不正を肯認するよう迫つたが、同選挙長に於て之を拒んだので憤激の余り即時同所に於て同選挙長に対し被告人八丈は「おいこら、俺は天美の八丈だ、いてしまつてやろうか、殺してやろうか」と申し向け、同浅田は「こらしぶといガキじや白状せんのならやつてしもうてやろうか」と殴りかかり因つて夫々同選挙長を畏怖させて脅迫したと謂うにある。
第二、(一) 当裁判所の認定した事件の大要
昭和三十年四月二十三日施行された大阪府議会議員選挙の松原選挙区に於ける開票の事務は、同年同月二十四日朝から松原市上田町松原市立松原小学校講堂の選挙会場に於て選挙長西田逸治の管理の許に選挙会の事務に併せて行われ、候補者の奥田政三、浅田義守の得票数は次の通りであつたので、その旨その時間に発表され、午後一時頃までは順調に事務が進んでいた。
時刻 奥田 浅田
午前 九時半 二九六〇 一一二〇
午前十一時 四三六〇 四三六〇(同点)
午前十一時半 五二二〇 五二六〇(浅田四〇票勝)
午後 一時 七九六〇 七九二〇(奥田四〇票勝)
午後一時頃有効投票を確認し、引続いて無効票、疑問票の撰別審査に入つた。この選挙は定員一名のところへ奥田、浅田の両名が立候補し、選挙期間を通じて激烈な選挙戦を展開し開票前から勢力が五分五分であり、いわば松原市を真二つに割つた恰好になつたため、市民の関心も強く、開票当日に於ては開票状況をみようと次第に見物人がつめかけ、講堂の北、南、後に至つて参観席や西側演台も見物人が一杯になつて来た。その上開票結果は勢力正に伯仲し、午後一時の発表に於ては四十票だけ奥田が勝つてはいたものの、疑問票、無効票が多数あり、その中から選び出される有効票の行方如何によつては何れともつかぬ接戦であつたため、四囲の見物人も次第に興奮して来た。
無効票の審査は既に各括束表紙でもつて二十枚綴に選別してある無効票のうちから開票立会人が有効票と認めるものを抜き取り、残部を得票整理係の事務をしていた佐野平八郎等のもとに廻し佐野等は票数の変つた分につき、新しい括束表紙と書替え、古い表紙をその都度破り捨てていた。その時は別に問題にもならなかつたが、佐野がその中の一枚を破つてその場に捨てた時、北窓の西寄りで見物していた被告人林辰次郎、土師勇三がこれをみて浅田の票を破つたと言つて騒ぎ出した。当人の佐野は破り捨てた紙片でも直に拾い上げて、右林辰次郎等に之を示して説明したら多分この問題は其の後再燃せず、本件の大きな遠因の一つとならなかつたかも知れない。にも拘らず森本選挙係長(松原市選挙管理委員会職員兼務)等に話したのみで別に自身弁明をしなかつた。然し選挙管理委員側の職員が数名括束表紙を示す等して弁明し、余り徹底はしなかつたが被告人林辰次郎を除いて何とか納得し、一票破つた旨の問題は一応おさまつたかの如くであつた。そのうち午後二時頃浅田候補の開票立会人(兼選挙立会人)の藪中光蔵と右佐野との間に票の受渡しの事から争が生じ藪中が一票足りないと言い出し、(この点は決して言いがかりではない)佐野に対し大声で「一票足りない。お前どこへやつた。俺が浅田派の立会人であることを知らんのか。」等となじり、それをきいていた北窓の見物人がさきの問題と結びつけて、佐野を指さして「その男が破つた。俺等はみていた。ポケツトを探せ。」等と騒ぎ出し、これが四囲に拡がつて騒がしくなつた。藪中もそうは言つたものの投票総数と開票総数とが合致すればよいと考え、半時間程費してその調査をしたところ後者が十二票不足(後日十一票と判明)と判明し、西田選挙長ももう一度調べさせたところ、やはり同様であつたので藪中は不足の理由を明らかにせよ、西田選挙長は足りない事実は認める等というような押問答となり結論は出なかつた。ところが北窓の西寄りの見物人等は「現に一票破つたではないか。十二票破つたかも知れん。」とまで結びつけて騒ぎ出し佐野や西田選挙長に対し弥次が激しくなつてきた。
こうするうち見物人は参観席にも多数入り、演台にも上り、北窓南窓も増えて来たが、一方その頃既に無効票、疑問票の審査も終り、開票総数、各候補者の得票総数等の計算も出来ており何時でも最終発表ができる状態にあつたので、西田選挙長は早く最終発表してしまおうという森本選挙係長の意見を容れ、同人に発表させようとした。森本はマイクの所に行き奥田八千三百八十四票、浅田八千三百三十七票、無効票六百七票とまで発表した時、突然藪中が近より「十二票不足しているのに最終発表ができるか、責任をもつか。」と詰め寄り、森本は「選挙長の命令でやつているから選挙長にきいてくれ」と一応はつつはねたものの、マイクを置いて発表をやめてしまい、後は藪中と選挙長との間の問答となつたが藪中はマイクを持つて、投票総数より開票総数が十二票不足していること、投票当日、阿保町の投票所に於て投票箱を不法に開いたこと(この点も客観的に確認されたことで、決して言いがかりではない)不明朗な選挙であること等を述べこんな状態では最終発表できぬ旨放送したため、見物人は開票事務担当者に不信を抱き、次第に激烈な罵声を浴せるに至つた。
このような面白くない形勢であつたのに、選挙長等が断乎たる決意の下に時宜に適した的確な措置を採らなかつたことと、折角取締のため立会つた警察官達が選挙干渉だと抗議せられるのを惧れ事なかれの消極的傍観的立場を採つたため、次第に秩序が乱れ、選挙長に対し藪中は強硬に迫つてくるし、勝手にマイクで放送する者が出るし、参観席等から場内へ入つてうろうろする者が現れるし、酒に酔つた者も入つて来て窓ガラスを破る等の行動が大びらに行われ、従つて、四囲の群衆の興奮に拍車をかける結果となつた。其の頃東側参観席内には参観券を持たない者も入り乱れ、西側演台上にも警察官の制止もきかず遂に一杯になつて来た。然し警察官は場外及び参観席等の群衆をそれ以上場内に入れぬようにするのに骨を折つたが、これも多勢に無勢のため押され気味勝ちであり、署長以下、数度に亙りマイクを通じて静粛にする様警告するところがあつたが、これもほんの当座のみ、多少のきき目があつただけで又すぐにワーツとなつてくるという状態であつた。
午後四時半頃、西田選挙長は断乎最終発表するという程の強い決意もなかつたが、やれるものならやろうと自席からマイクの附近へ行こうとしたが、その途中、浅田派の松原市会議員等が近よつて来て、西田選挙長に対し「この状態で最終発表すれば混乱に陥る。あんた責任を持つか。」と迫りその後、間もなく、被告人西田儀一が、参観席の方から来てマイクの近くにいた西田選挙長に対し、「発表するならしてみろ」等と言つて強硬に抗議して来た。この頃四囲からの佐野に対する弥次や選挙の不正不手際をなじる罵声は猛烈を極めていた。
そのうち浅田派の萬田富三がどこからか勝手に入つて来て佐野に対し票を破つたか否か詰問したが、事情をきいて直に納得して引下つた。しばらくして、今度は被告人林辰次郎が北側西寄りの窓を乗り越えて南側中央部から入つて来た被告人松永恒治郎と一緒に入り、両名はマイク附近にいた佐野に近より被告人林は大声で佐野にどなりつけ、その胸倉をつかんでゆすぶり、すぐ側にいた大塚松原警察署長に突飛ばされたが再び佐野につかみかかろうとしたその瞬間―午後四時五十分頃―西田選挙長等の事務の処理が不手際であつたり、立会警察官の傍観的優柔不断の態度も手伝つて、延々三時間以上にも亙り、最終発表もせず、群集に対し納得し得る説明もせず、且解散命令もなかつた事から群集はじりじりと次第に興奮を高め、又一票破毀について佐野に不信を抱き、その他開票結果に不満を抱いていた数百人の群衆は被告人林の右行動がきつかけとなつて爆発し、盲目的にどーつと四囲からなだれ込み一部の者は佐野を取囲みその頭、顔その他を殴打し、他の一部は西田選挙長を囲んで脅迫的な言葉でどなりつけたり、更に同人をかばつた新田長治郎等を殴りつける等したが、この頃参観席あたりから椅子や灰皿が飛んで来て場内は一瞬大混乱となつた。このために選挙会の事務の執行が全く不能となつたのみでなく種々の器物が毀れたが、五分程して応援の機動隊が来て群衆を場外へ追い出したため全く平常にもどつた。
右の如く佐野(三十六年)は頭や顔その他を殴られ、同人が場外で殴られたことと併せて治療約二十余日を要する右眉部裂創、右顔面及左肩胛部挫傷の傷害を受け、又西田選挙長、新田長治郎等が殴られたけれども、その他の場内にいた選挙会事務関係職員及び群衆の鎮圧にあたつた警察官に対しては何等の暴行もなく、投票関係の書類殊に投票用紙に対しては群集は全然手を触れず全く無事であつた。
それから浅田候補が数十票の差で負けていることを知つている浅田派の者は右選挙会が流会になつたため、この機会に西田選挙長に対し、右選挙が不正であることを認めさせようと考え、同日晩から翌朝まで松原市役所二階会議室に於て質問、抗議を続けたが、一応休憩し二十五日午後二時頃から同所で選挙長等列席して協議会のようなものを開いた。浅田派の市会議員その他合計十数人は交々前記のような趣旨の下に選挙長に迫つたが、その際午後四時頃被告人八丈増次、同浅田長治郎が後段認定の如く選挙長を脅迫した。
というのが本事件の大要である。
右の事実は次の証拠により認める。
≪証拠 省略≫
(二) 開票場内の取締に当つた警察官と本件騒乱との関係
四月二十二日松原市選挙管理委員会から書面で警備要請をうけ、且選挙期間中の形勢に鑑み大塚松原警察署長は開票当日署員全員でもつて警備態勢を編成し、開票開始頃は、そのうち制服警察官五名を開票場内に配置し、場内外の整理、取締に当らせて居り、署長は署にいて状況の報告をうけ、それに応じて逐次場内へ増員し、午後四時頃には制、私服合計三十名近くの警察官を場内各所に配置(米田、桐山各警部補指揮)していたが、その頃署長自ら場内へ来て整理、取締に当つていた。ところが午後二時頃になると前段説明の様に、場内の秩序が乱れ、場外が騒然となつたのであるが、此の際須く取締の任にあつた警察官は時を移さず、断乎たる措置に出るべきにも拘らず、選挙干渉だと抗議せられるのを惧れる余り、消極的、傍観的態度をとつたため、却て群集に乗ぜられる結果となつた。これら警察官は、四囲から場内へじりじり押入ろうとする群衆を押し返したり―多勢に無勢で次第に押されてはいたが―署長も数回マイクで群衆に注意したが、一時静かになつたが、またすぐ騒々しくなつてくるという状況であつた。斯様にして、遂には、参観席には参観券を持たない者が入り又西側演台上にまで、群集が入ることを黙認し、場内にも選挙開票事務関係者以外の者が出入り、横行することを見逃さざるを得なかつた。然し署長は午後三時半頃に到り万一を慮り署員だけでは不十分とみて本部へ機動隊の応援を要請していたところ、機動隊は四時三十二分に一個分隊、四時三十四分に二個分隊が松原署に到着したが、署長は群衆が一せいになだれこんだりする程の事はあるまいと判断していたので、署に帰つて機動隊に対し状況を説明して一応署に待機させ再び現場の状況の検討のため四時四十六分頃場内へ来たところ、四囲の騒ぎが一段と激しくなつていたのを目撃した署長は直に時を移さず解散命令等の非常の措置を講ずべきに拘らず、この措置を採らず単に機動隊を直に出動させるよう命じ自身はマイクをもつて静かにするよう警告しようとした頃、被告人林が佐野につかみかかり、これがきつかけとなつて群衆がなだれこんだので場内の警察官は佐野や選挙長を出来得る限り保護し場外へつれ出したがまもなく機動隊が来て群衆を場外に追い出したため場内は平常に戻つた。
右の事実は次の証拠により認める。
≪証拠 省略≫
第三、検察官の多衆騒擾の主張に対する判断
(一) 検察官は本件騒擾を目し、予謀、計画的なものなりと断じ、るる事情を述べた上、当日純真に集合せる観衆が偶々係員の不手際に憤激し、正義感に駆られて場内に侵入したものとみるが如きは盾の一面をもみざるものと主張する。
当裁判所は右の点につき少しく法廷に顕われた証拠を集め、それに基いて判断を加えたい。
大塚栄(松原警察署長)(当公廷の供述)
「五分五分の接戦で、今までに経験した事のない激戦を展開した。風評では奥田は非常に金持であり、従つて金の力で闘つては浅田はとても相手になれない。浅田は前回の市長選にもわずかの差で落選し、今度落選すると浅田の政治生命がなくなるのではないか。だから負けられぬ一戦である。従つてその運動員も熱意をもつて手弁当で、部落の人も総出で応援したというような状況であつた。奥田の方からは毎晩のように宿直の主任の所に電話で浅田派の運動員が尾行したり、或は町角等に立つて見張り等をしているから取締つてもらいたいというような事を言つてくる。それで私は朝出勤して、その報告をうけたが実際に電話があつて行つてみると、それが余りに大げさな事を言つている。というわけで宿直員は相当憤慨していた。尤も幾分そういう事例―奥田派の運動員が浅田派の運動員に尾行された事等―はあつたようである。
四月二十二日私が管内を巡視したところ四つ角で沢山の人が集つており駐在所の巡査が交通整理をしていたので近よると両派の運動員が四つ角で見張りをしていたので、私はこれはどんなことで喧嘩になるかも知れないと思い署に帰つて両派の事務長に来て貰つて注意した。
普通の選挙会場の取締は本部の通達もあつて私服員二、三名を派遣して主として情報収集させる程度であつたが、本選挙は今までにない警備態勢をとつた。その訳はこれまでにない激しい選挙運動ぶりであつて、前日の二十三日には投票箱を開けた事でもめたという情報が入り、又奥田候補の事務所からは二十三日の夜当日奥田が当選すれば開票場をつぶしてしまうというような問題がおきるかも知れんとヤイヤイ言つて来たそうで、私は大げさな事を言うと思つたが、いろいろ情況を考え、署員の力で一応やり、できなければ機動隊を要請するという考えで開票当日をむかえた」
大塚栄(当裁判所の証人尋問調書)
当日の警備状態について第二の(二)開票場内の取締に当つた警察官と本件騒乱との関係の項に認定したのと略ぼ同趣旨の事を述べる。
森本正留(検察官に対する第一回供述調書)
「運動期間中から両派の間に激しい争があり、運動員同志で喧嘩したり、候補者の乗用車のタイヤーが切られたり、或は投票前日には夜間市内の通行人に双方から監視人が尾行するという風な状況で開票当日は血を見るだろうという事まで言われており、私はそんな危険までは予想しなかつたがとにかく激しい対立状況であつた。」
寺内栄(奥田派の運動員)(当公廷の供述)
「開票所へ七名参観に行くのに進んで希望した者は誰もないはずです。それが何というか、開票の前頃から空気というものがまあわし等の予感ですが何かあるという予感があつた。それと運動員同志でもどこでニユースをきいてくるのか、この選挙には何かある。気をつけんといかんという事を盛に言うたわけだ。…………当日窓の外の人間で奥田派の人やなという者は余りみかけなかつた。奥田の党では二人位我が党を支持して見に来ているなと思つた位です。それは世間の空気が何かあると言つていたから、さわらぬ神にたたりなしで行かなかつた人が多かつたと思う。何かあるとは選挙に負けても勝つんだと言うような事を言つているという噂も飛んでいたし、選挙中にあれだけいやがらせをされたんだからうかうか行つたら何かの巻ぞえを食つたらつまらんという気持があつたと思う。当日我々七人が何かあるから喧嘩せられてもつまらんから最終決定だけきいて帰ろうと相談していた。それで最終決定をきいて帰つた。」
西田民恵(当裁判所の証人尋問調書)
「当日十一時頃浅田がリードして今度奥田がリードした直後私の前の方(運動場の掲示板附近)で、浅田が負けるような事があつたらこのままではすまん。という声がし、被告人土師賢治もその後で浅田が負けるとえらい事になる、このままではすまん、と言つていた。私は何かあるのかなと思つた。」
西田逸治(当裁判所の証人尋問調書)
「何か事故があると思つたので警備については如何なる事態がおきるかも知れないからと言つて警備要請した。…………奥田の方が四、五十票多くなつてからぼつぼつ弥次が飛出して来た。当時まで問題はおきておらず何かあるふんいきであつた。」
右のような証拠があるかと思うと
大塚栄(当裁判所の証人尋問調書)
「三時半に機動隊要請、四時三十二分、三十四分に松原署に到着、…………一応署に待機させた。…………林辰次郎が飛込むまでおそらく一人か二人位喧嘩する事はあるかも知れんと思つていたが、会場の中へ群衆がワツと入るだろうという考えは持つていなかつた。万一やつた時のために機動隊を待機させた。…………」
大塚栄(当公廷の証言)
問「共同謀議で明日何がごててやろうとか不利になつたら選挙会を潰してやろうとかいう情報は警察自体では何も聞かなかつたのか」
答「潰してしまうというような大げさな事ではなく、浅田が落ちれば運動員同志の喧嘩があるとか或は阿呆の投票所の開函問題があつたし必ずもめるという警察の情報です。尚博徒の一味が数名暴れるかも知れん―従来この一味は選挙等にあばれた事はない―という情報が入つていた。」
問「前々からこの選挙を無効に持つて行こうという陰謀や計画が行われている事を耳にしたか」
答「情報は前日の日に奥田の事務所からつぶしてしまうという計画があるかも知れないと言つて来ただけで私は信用せず、警察としてはそういう根拠をもつていなかつた」
西田逸治(当裁判所の証人尋問調書)
問「最初から殴り込みでもかけるという予想は」
答「ない」
という証拠もある。
以上を綜合して考えてみると松原市という田舎の小さい市を真二つに割つた様な選挙で、選挙運動も激烈を極め、始終運動員の見張、尾行等が行われていたこと、奥田派では自派が勝てば何かある、という漠然たる危惧の念を持つて二十三日松原警察へその旨伝えたことは一応認められる。然しながら他方取締の責任者である松原警察署長は奥田派の言う事を信用せず、当日は前日までの激しい運動等からみて運動員の間に多少のいざこざがある位に考え、相当の警備をしたことと、当日午後三時半頃までは機動隊の必要を認めず、四時半頃機動隊が到着しても一時署に待機させる程度で、被告人林辰次郎が入つてくるまではこれ程の騒ぎになるとは思わなかつたことが認められる。
西田民恵のいう土師賢治の言葉は同人の本心から出たものとみるよりも現在苦戦に陥つている浅田候補の運動員である土師賢治が虚勢の意思で発した言葉と解するのが妥当である。
被告人等の殆どが浅田派の運動員ないしは支持者である事、被告人等の当日の場内、外に於ける言動その他諸般の事情を考慮に入れても結局検察官主張の本件騒乱行為が予謀、計画に基くものであるとの当裁判所の心証を惹起するに由ない。
要するに検察官提出の証拠は何れも想像の域を脱せず憶測の範囲を出でないものである。想像や憶測に依つて有罪の認定を為し得ないこと論を俟たない。
(二) 次ぎに然らば乱入直前又は乱入同時、若くは乱入後に於て共同の意思に因る騒乱の行為があつたか、どうかの点について論究する。
佐野平八郎(当裁判所の証人尋問調書)
被告人林辰次郎が両手で私の顔をかくような恰好をした。その時後の参観席の方で「そいつをやつてしまえ」という声がかかると同時に大勢が私の所へ入つて来た。誰がやつてしまえと言つたか分らぬ。
藤本敬三(同右)
問、後から入つた群衆は何を目的で入つたのか。
答、マイクの所にいた佐野を目標にし佐野を殴れと言つて入つた。
西田民恵(同右)
はつきり分らぬが四時頃と思う。その時講堂ではときの声が上つていた。
福井武雄(同右)
私が開票場を出て学校の門の所へ行く途中、何かが毀れるような音や人声がした。その声は、今まで私がきいた声より大きい声でした。しばらくして佐野が警察官に連れられて出て来た。
森本正留(同右)
問、藪中がマイクで放送した時群衆が殺してしまえとか、のばしてしまえとか言つていたようにあるがどうか。
答、群衆がなだれこんだ時そういう声をきいた。
奥村芳夫(同右)
問、あいつが破つた、やつつけてしまえという事をきいた最後は何時か。
答、なだれこんだ瞬間である。
菅原繁治(同右)
問、なだれ込んだ時参観席の人達はどうしていたか。
答、全部起上つて府議側の方を向いて雑言をはいていた。
大塚栄(同右)
同じ窓で同じようにやじつていたので同じ部落の人ででもあろうか―なだれ込みは話合でもしている程瞬間でした。
問、示しあわせているような態度、様子であつたか。
答、やじり方窓ぎわの騒ぎ方は同じような気持でやつているように見受られた。
問、飛込む時はこれからやるという意思が通じていたようか。
答、私はそう感じた。
佐藤秀雄(同右)
群衆がなだれこんだ時何を言つていたか分らんが大声をはりあげていた。
本多忠義(同右)
林が佐野に引破るのをみたと文句を言つていた。それに対して傍からわーわー言つていた。
山瀬唯男(同右)
つかみ合と同時にわつと喊声が上つてなだれこみ。
被告人樋口作造(検一)
ワーツという声がして大勢がマイク附近めがけてなだれこみ、佐野を逃すな、そいつをつかまえとか口々に言つていた。
被告人南口一夫(検一)
その時参観席の方から警官の制止を押切つて四、五人が前に飛出し黒ネクタイ目がけてかけよつたところ、それと同時に傍の演台の観衆が一斉に飛下り、黒ネクタイめがけて走り、同時に南からも北からも喊声をあげて場内へなだれこんだ。私も同時に場内へ入つて行く。
被告人林辰次郎(検供)
私が佐野を鋭く追及したところ、どついてやれ、やつつけてやれという声がして一斉にワーツとなだれこんだ。
被告人小松基夫(検一)
そのうち参観席から三、四人立会人席の方へなだれこみ、それと前後して「やつちまえ」という声があちこちから起きワーツとなだれこんだ。私もそれと同時に飛込み、佐野を殴つてやろうと思つて行く。
被告人吉末芳松(検一)
林が佐野に大声で食つてかかり、それを合図のように北側の窓からバラバラと人が飛込み、立会人席の後の演台からも飛下りやつちまえやつちまえとどなり参観席の方からもどつと入つて来た。私はそれまでに新聞記者席に入つていたが、私も腹が立つていたのでこの機会に殴つてやろうと佐野をめがけて走つた。
被告人土師正太郎(検供)
私はこのような状態でヤジの連中のいる演台の上に上る事はその仲間に加わつていると考えられてもかまわぬと思つて上つた。萬田富三が佐野にどなつてくらいつきそれをみた群衆は喊声をあげてなだれこんだ。
被告人信田徳三(検供)
群衆がワイワイさわいだ。それから一寸した頃北窓の方から二、三の男が開票所へ飛込み、こらとか何とか大声を出してマイク附近で何かやつた瞬間私のまわりの群衆がワーツと喊声を上げてマイクの方へ走り出したので私もその方へ飛出した。
被告人土師賢治(検一、二)
群衆は大変興奮してワイワイ騒いでおり、その様子をみてワーツと喊声をあげて佐野の方へ殴りに行つた。私もこの様子をみて「こんな不正な事があるかやりなおしや」と言つて西の方へ進んで行つた。私は西田選挙長に腹が立つて殴つてやろうと思つて行つた。
被告人八丈増次(検供)
その後藪中は数え終つた票を元の投票箱に入れさせ、すぐマイクの所に行き皆さんに発表します、只今投票用紙を調べたら十二票足りませんと言つた。すると北窓の林他三人が足らんのは当り前やさつきから票を破つているのをこの眼で見たと叫んで窓から飛込み、佐野の所へかけよる。私はそれをきいて佐野に憤慨したが周囲からこんな選挙はやりなおしやとあちこちでわめき立てる者があり、林がかけよつたのをみて群衆がその方向へわつとなだれ込んだので私は未だ開票事務が終つていないが、こんな選挙はやり直しやという群衆の声もあり、どうせ開票事務はもうできないと思い先程言つたような腹立たしさから原因を知りたいと思つて群衆と一緒になつて藪中等の席をめがけて「こんな不正な事があるか」と叫び乍ら走つて行つた。群衆の中では猶もこんな選挙はやり直しやと叫びマイク附近で人波が渦の様になつて誰かが殴られているようで、こいつやこいつやこの目でみたという声も聞えた。私は群衆に対して十二票足らんのはほんまかと大声でどなつたが誰も返事なし。
同被告人(検二)
私は後の群衆の気配を感じ大声でこんな不正な選挙あるかと二、三回叫んで前方へかけ出した。後方の者も私が出たので一緒についてこんな不正な選挙あるかと叫び乍ら進んだ。
右のような証拠があるかと思うと
菅原繁治(当裁判所の証人尋問調書)
問、大声をあげて殴りこみをかけるような場面であつたか。
答、いいえ。
藤本敬三(同右)
問、やつてしまえという声で皆がわつと入つたという人があるがどうか。
答、私はきいてない。
森本正留(同右)
問、観衆は声をあげて来たのか。
答、声はきかぬ。
宮垣泰正(同右)
群衆は喊声というより個々にどうしたどうしたとか言つて入つて来た。
という証拠もあり、又
西田逸治(当裁判所の証人尋問調書)
問、この選挙は不正だから潰してしまえという意思が皆に通じて開票事務を邪魔しようとしたのかどうか。その時の空気から考えてみてどう思うか。
答、皆が言い合せてしたとは思えない。候補者のために有利に考える事は当然と思う。それが偶然一致したのではないかと思う。
問、開票場へ入つた人は最終発表させない意図の人ばかりか。
答、入つた人が皆私に迫つたのではない。ヤジ馬連中が多かつたと思う。
問、藪中立会人の放送がそのきつかけとなつたのか。
答、それもあると思う。色々な不手際がそうさせたと思う。
佐野平八郎(同右)
問、シーソーゲームで何票かの差で無効投票の審査に進んだので観衆が興奮し、場内が騒々しくなつて来たのではないか。
答、ある意味では興奮していた。
問、騒擾関係になるような気配であつたか。
答、そういう気配はないと思う。
保田俊一郎(同右)
問、選挙に負けたから腹いせに騒いだ事はどうか。
答、そんな事はないと思う。
今川改三(同右)
便所へ行き廊下の所にいた時会場内が騒々しくなつて来て物が倒れる音がして何かはじまつたと思つた。あのような事態に陥つたのは計画的にやつたとは思えない。事務の執行の不手際からと思う。
森孫一(同右)
群衆が入つたのはマイク附近の興奮した声と関係があると見方によれば見られるかも知れないが、ほかに事務がはつきりせず、にえきらぬため早くせよという状態におかれていたためとも思える。その点私には分らぬ。
問、選管の方に不手際があつた事が原因と思うか。
答、ヤキモキしていたと思う。
問、殴つてやろうとか、乱暴しようとかいうような群衆の空気か。
答、私は殴るというよりそういう事にしびれを切らしていたと思う。
大塚栄(同右)
問、群衆がなだれこんだ直接のきつかけは、
答、佐野が票を破つた破らぬという事や、票数が合わぬ。不正だという事で中でもみあつていた。それをきいている観衆は「みていた―佐野が破るのを見た」と言つており発表がないのでしびれを切らしていたようです。それが大きくなつて爆発した。最初早くやれと言つていたらしいが私が来た時(四時頃)は「あいつが破つた」という声の方が多かつた。私は林辰次郎が飛込むまで二、三人喧嘩する位だと思つていた。中へ入つた者はかちどきをあげる事もなく騒いでいただけでした。
田畑功一(当公廷の証言)
四時四十分頃行く。皆がなだれ込むとは思わぬ。もたもたしているので興奮している人々が爆発した。
被告人小森重一(検供、検二)
私も何が何やら見えんようなこわいような興奮状態にあり演台から飛降りて群衆の中に入つた…………
被告人乾竹松(検二)
私もその時は全く興奮していたので会場内に入つた。
被告人松永覚(検供)
私は虫が好くので面白いと思つて中へ飛込んで行つた。
森内貞雄(検供)
私も昂奮して南の窓を乗り越えて中へ入ろうとしたが巡査が制止したので一旦は窓から下へ降り又中へ飛込んでしまつた。その時私は夢中で何か怒鳴つた。
津村浅次郎(検供)
ただもうわけも分らず人の後について場内へ入つた。
松村一夫(検供)
ただそれ行けという気持で昂奮して気が上つてしまい飛込んだ。
松永孝昭(検供)
私も無我夢中で群衆と一緒に飛出した。
永田伊佐夫(検供)
私は昂奮していたので今では記憶していないが、やれとか行けとかわけの分らん事をどなつて飛出した。
伊藤政一(検供)
私はその時全く昂奮していたので群衆について行つた。
坂上実(検供)
私も昂奮していたのでわあわあという群衆と場内に入つた。
と言つた証拠もあり、之を要するに前記事件の大要欄記載の如き経過の下に十二票不足、一票破毀、投票箱開函等でもみ続け藪中立会人が多少興奮したためとは謂いながら立会人の分際を越えた振舞があり、選挙長等が手際よく事務を処理せず最終発表も行われないまま実に延々三時間余が空費され取締の任に当つた警察官の傍観的態度と優柔不断の措置とから場内の秩序が次第に乱れると共に四囲の群衆の昂奮が次第に昂まり四時五十分頃絶頂に達していたところ、被告人林辰次郎の言動のため爆発し、群衆は殆ど一瞬になだれこみ、佐野や西田を取囲んで殴打脅迫等の行為があつたが、これらの行為は一部の者の計画的意識的挑発に因るものではなく、全く所謂群衆心理に支配された盲目的瞬間の行動とみるのが妥当である。即ち数百人の群衆がなだれ込みから冷静に帰する迄にたつた五分という短時間―当時の状態としては殆ど一瞬間の出来事とも言えようか―であつて、全く以てあつけない幕切れであつたこと、機動隊を含む警察官に抵抗した者はなく、佐野、西田選挙長以外に暴行をうけた者もないこと、投票済用紙の入つた投票箱にも全然手を触れていなかつたこと並に乱入した者が浅田派のみだとの証明もない諸事情から推究すれば、乱入の事前に於て、又同時に於て、若しくは事後に於て多衆が集合して所謂集団して本件騒擾行為をするという共同の意思が形成されたと見ることは被告人等の本件群衆心理を其の不利益に曲解するものである。思うに、群衆心理は感情の興奮や暗示に因つて、何等の動機もなく瞬間的に爆発する場合があるのである。本件について見ても、数百人が一せいに場内に乱入し、たつた五分間でけろりと平静におさまつた点、投票箱等に対し何等の損傷もなかつた点からすれば騒擾について共同の意思があつたと見るのは酷である。然し数百人が一瞬時を同うして場内になだれ込むということには何か意思の共通に似たものがあつたのではないかを疑うのであるが、これは畢竟、暗示と興奮の感情の伝染に因るものであつて、其の共通の基盤は盲目的群衆の心理のみである。暗示を意識的に本件犯行に利用したり感情の興奮を意識的にかり立てることに因つて本件犯行を誘致挑発したことについて全然立証のない本件に於ては、それを騒擾の共同の意思に迄高めて認定することは行過ぎであろう。検察官は群衆心理の危険を説く、当裁判所も其の一半の真実性を認めるのに、吝かでないが、他面又群衆心理の盲目性にも着目したい。刑法第三十八条の犯意は本件群衆心理に於ても例外ではあり得ないのである。要之、本件騒擾罪のキイ・ポイントである共同の意思について、検察官提出の各証拠に依つてもこれを認定することができないし、又、其の外形事実に依つてこれを認めることはできないのである。
以上の如く多衆の共同の意思が認められないから爾余の判断を待つ迄もなく、全被告人につき公職選挙法第二百三十条の罪の成立するわけはない。
第四、(一) 罪となるべき事実
(1) 被告人林辰次郎は大阪府議会議員選挙の松原選挙区に於ける開票事務を見物するため、四月二十四日午前十時頃、松原市上田町の松原小学校講堂の開票場へ来たが、同日午後、得票整理係の事務をしている佐野平八郎が括束表紙を一枚破り捨てたのをみて、浅田の票を破つたと誤解し騒ぎはじめた。選挙管理委員会の職員が同被告人に対し括束表紙を示して説明したのに同被告人はこれをきき入れず、自分は投票用紙を破つたのを見た等言つて怒鳴り続けていた。
ところが、一方場内ではその後更に十二票不足の問題や投票箱を開いた問題等が持出され藪中立会人(浅田派)や市会議員その他(同上)の抗議が持出され、又西田選挙長等の優柔不断も手伝つて会場の秩序が乱れるばかりで事務がはかどらずに時間がたち、一向に解決しそうになかつたところ、同被告人は相変らず弥次つていたが、午後四時四十五分頃、場内へ入つて佐野に対し一票破つた旨の文句を言うつもりで、北側の西寄り窓を乗り越えて入り、南側から来た松永恒治郎と一緒に、マイク附近の佐野の所に行き、被告人林は佐野に対し、選挙会場でそのような事をすれば選挙会場を騒擾することを認識しながら大声で手まねを入れて「お前が投票用紙を破るのをみた。それには浅田とはつきり書いてあつた。お前が破るのを俺はみた。」旨怒鳴りつけて詰問し、引続いて佐野のネクタイの上からワイシヤツを掴んで前後にゆすぶり佐野に対して暴行すると共に同選挙会場を騒擾した。
(2) 被告人南口一夫は前同選挙の前同選挙区に於ける有権者であつて浅田派の選挙運動(奥田派の運動の監視等)をしていたものであるが、四月二十四日昼頃、開票状況見物のため開票場へ行き北側の中央附近で見物していたが、そのうち土師勇三等に得票整理係の事務をしている佐野が票を破つた旨の話をきき佐野が不正を行つたと考えて同人に対して憤慨し、何度も「その黒ネクタイの男(佐野)に票をさわらすな。外へ出してしまえ」等と怒鳴つていたが、午後四時頃から窓に上り、下りるよう警察官に注意されてもきき入れず、相変らず弥次つていた。ところが前記(1)同様にして時間がたち一向に解決しそうになかつたところ、被告人林辰次郎の前記行動がきつかけとなつて、種々の原因によつて剌戟され、佐野等に対して不信を抱き憤慨していた群衆の興奮が極度に達し、四時五十分頃爆発し、群衆は四囲からなだれ込むに至つたが、前記の如く佐野に対して憤慨していた被告人南口一夫は群衆同様興奮のあまり盲目的に窓から飛下りて走つたが、我に帰つてからも更に佐野を殴つてやろうと考えてすばやく佐野に近より、マイク附近で既に数名に取囲まれている佐野に対し、そのネクタイを掴み、右手拳で佐野の顔面を殴りつけ、更に選挙会場南西入口附近で、佐野のネクタイを引きちぎり、同時に右手で佐野の顔面を力一杯殴りつけて佐野に対して暴行した。
(3) 被告人小林基夫(当時未成年で選挙権なし)は浅田派の選挙運動(奥田派の運動の監視等)をしていたものであるが、四月二十四日は開票場から浅田の選挙事務所へ開票状況の連絡係をしていたところ、同被告人が午後開票場へ行くと群衆が票を破つたと言つて騒いでいるので、被告人南口一夫等にきいてみると得票整理係の事務をしていた佐野が浅田の票を破つたとの事であつたので之を信じて立腹し、北側中央附近の窓に上つて佐野等に対し弥次つていた。ところが前記(1)同様にして時間がたち一向に解決しそうになかつたところ、被告人林辰次郎の前記行動がきつかけとなり、前記の如くして爆発し、群衆は四囲からなだれ込むに至つたが、佐野等に対して憤慨していた被告人小松基夫も群衆同様興奮のあまり盲目的に窓から飛下りて走つたが、我に帰つてからも、尚佐野に殴りかかろうとマイク附近に接近したが既に十数人が取囲んで殴つているので殴れなかつたところ、ふと傍をみると西田選挙長が群衆にもまれているので同人に対し脅してやろうと考え、「馬鹿野郎、恥しいと思え。叩き殺すぞ」と怒鳴りつけ同選挙長を畏怖させて脅迫した。
(4) 被告人土師賢治は同選挙に於ける同選挙区の有権者であつて浅田派から日当をもらつてその選挙運動(演説会場の準備、奥田派の運動の監視等)をしていたものであるが、四月二十四日昼頃開票場へ見物に行き参観席にいたところ、浅田の票を破つたとか、投票箱を不法に開いたとかいう事をきいて之を信じ、今わずかの差で負けているのに右のようなことは全くけしからんことであると、破つた当人の佐野やこれをとがめぬ西田選挙長に対して立腹し参観席から隣家の関係にある選挙長に顔を見られぬよう注意しながら、「こんな選挙は無茶苦茶や、やり直せ、用紙を破るという事があるか、選挙長辞職せよ」等と怒鳴つていた。ところが前記(1)同様にして時間がたち一向に解決しそうになかつたところ、被告人林辰次郎の前記行動がきつかけとなり、前記の如くして爆発し、群衆は四囲からなだれ込むに至つたが、西田選挙長に対して立腹していた被告人土師賢治も群衆同様興奮のあまり盲目的に場内に走つたが、我に帰つてから、尚も西田選挙長をかばつていた新田長治郎につつかかつて同人に対して暴行した。
(5) 浅田候補が数十票の差で負けていることを知つている浅田派の者は右選挙会が流会になつたため、この機会に西田選挙長に対し右選挙が不正であることを認めさせようと考え、同日晩から翌朝まで松原市役所二階会議室に於て質問や抗議を続けたが、一応休憩し二十五日午後二時頃から同所で選挙長等列席して協議会のようなものを開いた。浅田派の市会議員その他合計数十人は交々前記のような趣旨の下に選挙長に迫つたが、選挙長は不手際である旨述べ不正であることを認めず、極力説明したが相手方は受付けず、次第に殺気立つた空気となつていたところ、被告人八丈増次、同浅田長次郎は同日午後四時頃前同様の趣旨で選挙長に迫つていたが、選挙長が応じなかつたので、被告人八丈増次は選挙長を脅してやろうと考えその前に来て同人に対し「俺は天美の八丈だ。いてもうたろうか」と怒鳴りつけ、まもなく被告人浅田長次郎も選挙長を脅してやろうと考え上衣を脱いで選挙長に近より同人に対し「殺したろうか、のばしたろうか」と怒鳴りつけて殴りかかり夫々選挙長を畏怖させて各脅迫した。
(二) ≪証拠 省略≫
(三) 法令の適用
右被告人等の判示所為中選挙会場騒擾(個人騒擾)の点は公職選挙法第二百二十九条の選挙会場騒擾罪に
西田選挙長に対する脅迫の点は各同法同条の選挙長に対する脅迫罪に
佐野平八郎、新田長次郎に対する暴行の点は各刑法第二百八条に夫々該当するところ、被告人林辰治郎の個人騒擾と佐野に対する暴行とは、一個の行為であつて数個の罪名に触れる場合に当るから刑法第五十四条第一項前段、第十条に則り重い個人騒擾の一罪として処断すべく、(以上所定刑中各懲役刑を選択し、)各所定刑期範囲内に於て、被告人林辰次郎、同南口一夫、同小松基夫、同八丈増次、同浅田長次郎を各懲役五月に同土師賢治を懲役参月に処する。但し以上全被告人に対し刑法第二十五条に則り、この裁判確定の日から各参年間右各刑の執行を猶予する。
訴訟費用の負担については刑事訴訟法第百八十一条に則り主文の通り定める。
右有罪の被告人の中被告人林辰次郎、南口一夫、小松基夫、土師賢治につき被告人林辰次郎だけを個人騒擾と認定し他を除いた理由は、右被告人等の本人調書には何れも個人騒擾の意思が明らかに表現されていないところ、被告人林は前記認定の通り執拗に弥次り、なだれこみの少し前に入つて佐野に対し大声で前記のようにどなりつけて詰問し、暴行したというのであり、これが一触即発の群衆に動機を与える結果となつてしまつたのであるが、右言動は他の被告人を含む多数の群衆等に乱入の動機を与える程に目立つていたとみる事ができ、被告人林に特段の事情がない本件に於ては右行為はそれ自体選挙会場を騒擾する事を認識しながら行われたとみるのに十分であるが、他の被告人の場合は暴行或は脅迫としては完璧であつてもそれ以外に行動自体からにわかに個人騒擾の意思を認めうる性質のものではないからである。
右各被告人は前記の如く公職選挙法第二百三十条の騒擾罪は無罪であり、又被告人小松基夫の佐野に対する怒号脅迫は同被告人の検察官に対する供述調書によると群衆のため佐野になかなか近よれないのでやつてしまえ、殺してしまえと怒鳴つたとあり、森本正留(当裁判所の証人尋問調書)によると「群衆がなだれこんだ時殺してしまえとかのばしてしまえとか言う声をきいた」とあるが当人の佐野がきいたという証拠もなく、時期的にも森本の言う方が少し早く、森本の右供述を直に被告人小松基夫が言つたものとしてこれと結びつけるのは早計に過ぎ、結局自白一本に帰し裏付けがないから無罪であるが、右各被告人に対しては暴行或は脅迫を含めた公職選挙法第二百三十条の集団選挙騒擾罪の一罪として起訴されているから右集団選挙騒擾、暴行の点について特に主文に於て無罪の言渡をしない。
第五、全部無罪の被告人に関する判断
率先助勢者として起訴されている樋口作造、松永恒次郎、吉末芳松、土師正太郎、信田徳三、西田儀一、附和随行者として起訴されている小森重一外については前記の通り共同の意思がないから公職選挙法第二百三十条の集団騒擾の罪が成立しないが、個人騒擾として起訴されている西井寅三も含めて同法第二百二十九条の個人騒擾の罪が成立するかどうか考えてみる。
(1) 樋口作造
「参観席に於て吉末芳松、浅田清一をして多数を使嗾して罵声をあげしめ喧騒した」との点につき、
共同被告人吉末芳松の検察官に対する第一回供述調書に於て同人は「午後二時半頃になつて立会人の方で浅田の票が一票足りないという事が問題になり北側の窓から林辰次郎が大声でどなつていた。…………私もどなつた…………それから私の側にいた樋口作造、小松松太郎とおくれて来た萬田富三の三人が参観席から出て行つて立会人席近くで藪中立会人(浅田派)と何か話合つており、それから引返して来て三人が私に対して「この選挙は不正だ、皆にもつと弥次れと伝えてくれ」と言つたので私は参観席の北寄りの窓から窓の附近にいた浅田派の運動員である浅田ゴムの主人の弟らしい男、外四、五名の者に「この選挙は不正だから皆もつと弥次り倒さんといかん」と言い含め、更に南寄の窓際に行つて窓の附近にいた浅田派の者十数名に前同様弥次るよう伝えた。それで一層弥次が盛になり佐野等に対し「その男をひつぱり出せ」等の弥次がとんだ…………」と述べる。
ところが小松松太郎、萬田富三(各当裁判所の証人尋問調書、前者は検察官に対する供述調書をも含める)は何れも群衆を煽動した事なしと述べ、吉末芳松に対し右を伝えたとは言わず、浅田清(当裁判所の証人尋問調書)によると「当日現場で樋口或は吉松に頼まれて場内、場外を騒いで廻つた事はない」と言い、更に吉末芳松が言い伝えた相手が右の外誰なのか不明である。
従つて吉末芳松の右供述は必ずしも全面的に信用できないし、信用できる点があるとしても所謂半証拠である関係上、その補強証拠がないからして右事実を認めるわけには行かない。「自ら洋傘をふりかざして参観者多数に対し………と大声で演説し、多数者の志気を鼓舞した」との点についてはその時間、内容、効果が問題になる。赤坂政吉(当裁判所の証人尋問調書、検察官に対する第一回供述調書)は奥田派の運動員であつて参観券を持つて当日参観に来ていたが「三時頃市長に出刃を放り込めとか選挙長どうするとかいうような声が出て、これは危い、とてもいられんから最終発表をきいたら直ぐ逃げて帰ろうと話合つていた。それから樋口は場内に入つたらいかんと阻止され乍ら入つて行つて府議側の開票台附近まで行き、又戻つて来て三時半頃、洋傘の柄を上にして両手でもつて上げて左右にふり西の方を向いて場内にひびき渡るような大声で「阿保の投票箱をあけてどうする。十二票どうした。どう申訳するか。この選挙は不正だ。我々の手でしつかりやろう。」と怒鳴つたが、窓際の人もそれに応じて然りその通りやと言つていた。尚樋口は警察官のいる所でそんな事を言つたが警察官はとめなかつた。これから浅田派の連中が騒ぎ出した」と述べ証人寺内栄もほぼ同趣旨のことを述べる。
ところがその附近にいてこれをきいたという警察官である佐藤秀雄(当裁判所の証人尋問調書)は「樋口は藪中の所へ行つていろいろきいてきて参観席に報告していたものと思う。参観席の者にはきこえたと思うが群衆を煽り立てるためにしたものではないと思う」と述べ、その内容は十二票足りない阿保の投票箱の蓋を開けた。これは不正な選挙だ。というのであつてこんなべらぼうな選挙があるか我々の手でしつかりやろう等はきいてないと言う。又附近にいながら樋口の演説をきいてないと述べる警察官も多数あり、制止した警察官もなく、従つて右は演説ではなく、その内容に於てほぼ赤坂政吉、寺内栄の言う如くであるとしても報告ないしはせいぜい弥次の程度を出るものではなく、又その程度の点に就て場内にひびきわたつたとか、そのため参観席の浅田派がさわぎだしたとかは、当時すでに非常に騒々しかつたことを考え合せると、赤坂政吉、寺内栄の証言のうち右の点は到底信用できず、その他右を認定しうる証拠はない。
「多衆に先んじ参観席から乱入した」との点につき、樋口の検察官に対する供述調書、桐山忠二、宮垣泰正、森孫一、菅原繁治、佐藤秀雄、竹添長明、山瀬唯芳の各証人尋問調書、沢勝美の捜査復命書添付の写真を綜合すると樋口は四時過頃から場内へ入つたり、参観席へ行つたりしてうろうろしていたが、警察官からもとめられた事なく皆がなだれ込んだ時は南西の入口附近でじつとしていたもので、このように場内へ入つてうろうろすることや前記報告ないしは弥次は何れも個人騒擾の行為ではなく、又その意思を以てなされたものでもない。結局同被告人には犯罪の証明がないので刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(2) 松永恒治郎
「多衆に先んじて南側中央入口より場内に乱入した」との点につき被告人松永恒治郎、同林辰次郎、同吉末芳松の各検察官に対する供述調書(吉末は第三回)によると被告人松永恒治郎は四時過頃開票場が票不足の問題でわいわい騒いでいる事をきいて見に来たところ、開票場の四囲は鈴なりで騒々しく藪中立会人が選挙長につめよつていた。南側中央出入口は閉つていたが、松永は外の者と一緒に開けて入り、警察官から出るよう言われたが、後から押されて出られないのでその附近でみていた。佐野に文句を言うつもりで場内を横切り林辰次郎と共に佐野の附近へ行つたことが認められるがこのような行為は個人騒擾の行為ではなく、又その意思を以てなされたものではない。
「佐野に対する怒号」につき、被告人松永恒治郎の検察官に対する第一回供述調書によると「…………私も傍で右手を前に二、三回ふつてウソを言うなこの男がみていたと言つておるではないかと怒鳴りつけた」旨の記載があり、本多忠義(当裁判所の証人尋問調書)は「林は佐野に引破るのをみたと文句を言つていた。それに対し傍からワアワア言つた」と述べるが、その前の質問からみて、ワアワア言つたのは四囲の観衆であると考えるのが妥当で、にわかに松永なりと断ずるのは早計に過ぎ、その他当人の佐野が当時落付を失い、且つ被告人林に気をとられていたとは言え、松永から右のような事を言われた旨の供述もないのであるから、右は松永の自白一本であつて裏付となるべき証拠がない。
「西田選挙長に対し手拳を以て殴りかかる等の暴行」の点につき、松永は終始否認しており、新田長治郎(当裁判所の証人尋問調書)によると検察官と新田との間に次の問答がある。
問 選挙長に証人が近づいた時どうであつたか。
答 四、五人に手でか何んでか分らんが殴られていた。沢山の者だつたから、どのようにして殴つたか分らぬ。
問 殴つた人達の中で顔見知りの者がいたか。
答 二人位いた。一人は松永という人で一人の名前は忘れた。
問 松下か松永という人の年令は五十五、六位であつたか。
答 その位の人でした。
問 その人は何で殴つたか。
答 番傘で殴つた。
問 それで証人はどうしたか。
答 私は殴られ乍らじつとしていたのですが、そこへ警官が助けに来てくれた。
問 他の人達は手で殴つたのか何かで殴つたのか。
答 松永だけ番傘で殴つたのは覚えているが他の人は何で殴つたか記憶なし、
問 検察官に取調べられた時、松永は手拳で殴つたと述べているがどうか、そして他の者は番傘で殴つたとあるが
答 その通りです、松永は番傘で殴つたのが本当です。
新田長治郎の検察官に対する第一回供述調書によると「松永恒治郎は手拳で西田を殴つていたが、私が西田をかばつた後に於てもしつような西田に殴りかかつて来た。」とあり、松永恒治郎の司法警察職員に対する第一回供述調書により認められるように松永は傘を持たずに開票場へ行つたのであり、従つて新田長治郎のいう傘の点を除いてその他に松永が傘をもつていたとみられる証拠がないから場内に入つた時も傘を持つていなかつたとみるのが妥当であろう。従つてこの点については新田の検察官調書の方で証人尋問調書よりも或は信用できるかも知れないが、西田逸治はその検察官に対する第二回供述調書に於て「私は殴つてくる者があればよく顔をおぼえておこうと思つていたが林辰雄が右肩を殴つてしばらくたつた時吉末芳松が番傘の柄の方を持つて私の左肩を一回殴つた。この時新田長治郎はやはり私を抱くようにしていた…………」と述べる点、及び当時の混乱せる状況又助けに来た警察官の供述もないことを併せ考えると、新田長治郎は人違いをしているとみるべきものである。
よつて同被告人には犯罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(3) 吉末芳松
「多衆に先んじて参観席より会場内に乱入した」との点につき吉末芳松の検察官に対する第一、二回供述調書、沢勝美の捜査復命書に添付してある各現場写真、当裁判所の森孫一、佐藤秀雄、牧善、竹添長明の各証人尋問調書によると、吉末芳松ははじめ参観席にいて皆が弥次るので吉末も弥次つており、佐野が破つたと言つているのに警察官は之を逮捕せず、西田選挙長は責任者であり乍ら責任ある発表をしないと考え立腹していたところ、群衆がなだれ込む頃南窓中央新聞記者席附近に入つていたが、群衆が入ると同時に吉末も興奮して盲目的に走り、ついでこの機会に佐野を殴つてやろうと考えてマイク附近の同人に近よつたが、萬田富三や警察官その他がいて殴れず、そのうち西田選挙長が附近へ歩いて来たので之に近よつたもので、之等の行為は個人騒擾の行為でもないし、又その意思を以てなされたものでもないことが認められる。
「西田選挙長に対して選管ぼんやりしていると怒号しつつその襟首をつかみ手拳でその頭部を殴打する等の暴行をなした」との点につき、
西田逸治はその証人尋問調書と検察官に対する第二回供述調書に於て、吉末芳松は傘で前から私を殴つた。その時新田長治郎が私をだくようにしてかばつてくれたので私は傘で肩を殴られただけで、新田は私の身代りになつて傘で何度も殴られていた。そして警官二名が来て助けてくれた。尚面割のあつたのは吉末と林辰雄であると述べ、
新田長治郎はその検察官に対する第一回供述調書に於て、吉末が西田を殴つたと言い、証人尋問調書で西田がそう言つたからそう述べたと答えている。
一方吉末はその検察官に対する第一、二回供述調書に於て西田に近より「西田君」と言つてその襟を右手でつかみ「選管ぼんやりしてんやないか、我々を騒がしているのはお前やないか」と言つて殴りつけようとした…………その司法警察職員に対する第一回供述調書に於て当日細雨がふつていたが傘はもつて来なかつたところ、十時頃私の三男が開票場へ傘をもつて来てくれたが必要がないので持帰らした。と述べる。ところで吉末の言う「西田君」と言つてその襟を右手でつかみ………の点は自白一本で裏付なく、当時西田、新田が何者かに傘等で殴られた事は十分に認められるにしても、吉末との関係に於て同人が手で殴つたと認めうる証拠はなく、むしろ西田が傘を持出した事が邪魔になり、又傘で殴つたとするには傘が三男によつて持つて来られたのかどうか、又持帰られたのかどうかの裏付けがあつて然るべく尚附近に警察官もいてその二名が助けに来てくれたのであるから、当時場内が混乱していたとは言え、これら警察官の供述にも現れるべき筋合であるのにこれがない。
吉末は場内に於て比較的多数の写真に写つており暴行でもしたと疑いうるふしがないではないが、西田に対する暴行の証拠はなく、疑はしいというに止まり結局同被告人には犯罪の証明がないことに帰するので刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(4) 土師正太郎
「多衆に先んじて演台上より会場内に乱入し西田選挙長に対し委員長けしからんと怒号しつつ同人めがけて椅子をふり上げて殴りかかつた」との点につき
土師正太郎の検察官に対する供述調書、三浦敬人、佐藤秀雄、山瀬唯芳の各証人尋問調書を綜合すると土師正太郎は当日昼頃開票場へ行つたが票を破つたこと、西田選挙長が之をとがめない事に立腹し、西田が奥田候補から金銭をもらつているのではないだろうか等と邪推していた。
群衆の一部が演台に上つたので土師も上り演台南方にいたが、群衆がなだれ込んだ頃盲目的に殆ど同時に南側に下りついで選挙長を殴ろうと考えて附近にあつた一人がけの椅子を持ち上げ、その附近にいた西田選挙長に殴りかかるために数米の所まで近よつたが警察官に制止せられておとなしくなつたもので、このような行為は幸い早く制止せられたこと、椅子をふりあげて走つた距離が短かいこと等からみて個人騒擾行為ではなく、又その意思でなされたものとは認められない。よつて同被告人には狂罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(5) 信田徳三
「多衆に率先して参観席より乱入し西田選挙長に対して手拳を以て殴りかかつた」との点につき、信田徳三の検察官に対する供述調書、同人の司法警察職員に対する供述調書に添付してある写真、宮垣泰正、竹添長明の各証人尋問調書を綜合すると信田徳三は当時午前十時頃開票場へ行き参観席にいて見物していたところ、票を破つたとか、足りないとか、投票箱を開いたとかの問題をきいて立腹し群衆と共に怒鳴つていた。群衆がなだれ込んだ時信田も参観席から盲目的に群衆の一団の先頭附近を群衆と共に走り佐野の附近へ行つたところ群衆が佐野を取囲んでおり、佐野は得意先になるので可愛想になつてみていた。
ひよつと横をみると西田選挙長が群衆にかこまれて胸倉をつかまれていたので西田に対しては別段恩義もなく不正な選挙をやりおつたというにくしみをもつていたので殴ろうと考え、その背後からこらと言つて殴りかかろうとしたが附近の警察官に突飛ばされたため殴れなかつたもので、このような行為は個人騒擾行為ではなく、又その意思でなされたものとは認められない。よつて同被告人には犯罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(6) 西田儀一
「多衆に先んじて参観席より会場内に乱入し、西田選挙長に対し肩をいからせ、同人を突きとばさんとする気勢を示し乍ら最終得票の発表をするならしてみろと怒号脅迫した」との点につき
西田儀一の検察官に対する第一、四回供述調書、西田逸治、新田駒蔵、竹添長明の各証人尋問調書、西田逸治の検察官に対する第一、二、四回供述調書を綜合すると被告人西田儀一は当日朝から開票場へ来て参観席等でみていたが、連日連夜浅田派の応援弁士として選挙運動したのにわずかの差で浅田が負けており、残念でならず又十二票不足、票破毀等の問題もあつたのでこの状態で最終発表されたら疑惑の点の解明のないまま奥田が当選人になると思い、午後四時半頃疑惑の点の調査のないまま最終発表しないようにしてやろうと考え、参観席から場内に入つて府議得票撰別台の西南角附近にいた西田選挙長に近より同人に対し「十二票不足しているのに最終発表ができるか」等と声を大にして抗議を申込んだもので、右は場所柄をわきまえず、且つ度の過ぎた抗議ではあるけれども未だ脅迫と認める程ではなく、右行為は個人騒擾ではなく又その意思でなされたものとも認められない。よつて同被告人には犯罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(7) 西井寅三
「午後三時半頃北側西寄の窓より場内に入り唾液をはき散らし乍ら徘徊し、且つ同会場南側西隅の窓ガラス一枚を叩き破つた」との点につき西井寅三の検察官に対する供述調書当裁判所の証人本多忠義、広田勇、向井章に対する各証人尋問調書を綜合すると、西井寅三は当日午後三時頃浅田が負けていたので樋口作造方で自棄酒を飲んで開票場へ来て北西附近の窓際で弥次つていたが、浅田が負けていたこと、票を破つた者がいること等に腹を立て酒の勢も手伝つて午後三時半頃附近の者に尻を押してもらつて北側西隅の窓から場内に入り、その附近でつばをはき、又警察官に無理を言つて府議立会人席の後方を通つて南西出入口から出たが、その後まもなくその窓ガラスを手の肘で破つた。このため大きな音がして立会人等はその方をみていたが、別に選挙事務に支障を来さなかつたことが認められ、右は個人騒擾行為ではないし又その意思でなされたものでもない。よつて同被告人には犯罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
(8) 附和随行者として起訴されている被告人小森重一、乾竹松、松永覚、森内貞雄、土師昭三、百石種太郎、春日敏雄、野元明夫、芝池末太郎、藤井昭光、津村浅次郎、南口秀夫、西田吉次、松村和夫、松永孝昭、池本秀雄、松野忠、松野好一、沢田望、永田伊佐夫、伊藤政一、坂上実関係について、
同被告人等の各検察官及び司法警察職員に対する供述調書(写真添付のものはそれも含む)前記当裁判所の認定した事件の大要の末尾の各証拠、右の外被告人小森重一については被告人南口一夫の検一、被告人乾竹松については山下浅吉の検供、被告人芝池末太郎については被告人吉末芳松の検一、被告南口秀夫については被告人小松基夫の検二、被告人松永孝昭については被告人南口一夫の検二、三をも綜合すると、当裁判所の認定した事件の大要欄記載の如く多数の者がなだれ込んだ際右被告人等は何れも盲目的な群衆心理に支配されて瞬間的に参観席、北窓、南窓、演台等から場内に入りこんだことが認められる。従つて、右被告人等の行為は何れも個人騒擾の行為でもなく、又その意思の下になされたものでもない。よつて同被告人等には犯罪の証明がないから刑事訴訟法第三百三十六条に則り無罪の言渡をする。
第六、法律問題についての管見
公職選挙法第二百三十条は、多衆集合して同法第二百二十五条第一号又は同法第二百二十九条の罪を犯したことを以て構成要件とする。同選挙法は其の第二百二十九条に於て、更に個人による騒擾罪を認めており、此の点と刑法第百六条以下の騒擾の罪とを彼此対比するときは、同選挙法第二百三十条に所謂多衆が集合して為す暴行脅迫等の騒擾は刑法の騒擾罪におけるが如く、一地方の静謐を害する程度のものたることを要件とせず、単に選挙会場等の静謐を害し選挙事務等の公正を妨害する程度のもので足るものと謂わねばならぬ。然し多衆の集合を法律上の構成要件としているが故に、一名乃至数名程度の集りでは足らない。一応、人数を直ちに識別し得ない程度の大勢の集団たることを要するものと解する。更に同条の犯罪は所謂群衆犯罪の一態様であるから、単なる弥次馬的な烏合の衆のみで犯し得るものではない。
明文にある通り首魁、他人を指揮し、他人に率先して勢を助ける者―少くとも其の一人―を中核としこれに附和随行する群衆の集団による犯罪でなければならぬ。換言すれば本条の犯罪は首魁(指揮、率先、助勢者を含む以下同じ)のみでも行われ得ないし、又逆に附和随行者のみによつても行われ得ないのである。必ず両者の参加する群集によつてのみ行われるのである。従つて若し夫れ、此の要件の一を欠如する場合に於ては同選挙法第二百二十九条の個人の騒擾等の成立を見るは格別、同法第二百三十条の犯罪の成立は断じてないのである。首魁が責任無能力者であつたり、又逆に附和随行者が皆気狂いであつたりした場合には間接正犯問題とも関聯するむつかしい問題を提起するのであるが、本件に付直接関係がないので単に問題を提出するに止める。
更に、同条は群集に因る集団犯罪を規定しているが故に其の群集相互間には少くとも共同の意思即ち群集の集団として暴行脅迫を加えるという認識あることを要件とするのである。この点は刑法の騒擾罪と其の解釈を同じうする。勿論、事前の謀議、計画、一定の目的があつたことは必要ではない。同条は勿論刑法第六十条の適用を排除してないから、群集の集団に加わらないで、以上の様な共謀があれば同条の共犯として処罰されることも考えられる。共同の意思は共謀と同意義ではない。共謀即ち相互認識の交換迄は必要でないが、さりとて共同の意思すら必要としないと謂う訳には行かぬ。多衆が共同の意思もなく銘々ばらばら別々な意思のみで参加して良いことになると、それは群集による集団の犯罪ではなく、多衆による同時犯に過ぎないのである、又若し共同の意思が必要でないとするときは、例之、個人騒擾の意思で選挙会場に暴れ込んだ者が暴れ込みの際、群集が後に続くことを未必的にも予期しなかつたのに、偶々群集が後に続いて暴れ込んだため集団騒擾の率先助勢者に祭り上げられることの不合理を考えることにより自ら明らかであろう。これは個人責任の原理に反し刑法第三十八条の法意にも背致する。斯るが故に多衆の共同意思は横の共同意思と縦のそれとがあつた場合に於てのみ初めて完全と謂えるのである。これ本条の犯罪につき確定的共同意思若くは少くとも未必的共同意思を要するものと解する所以である。尚又同法第二百三十条の集団騒擾と同法第二百二十九条の個人騒擾とは其の構成要件を異にし、法定的にも必ずしも符合しないから同法第二百三十条の騒擾罪が成立しない場合に、直ちに同法第二百二十九条の個人騒擾罪が成立すると謂う訳にも行かないのである。同法第二百二十九条の犯罪の成立を認めるためには、更に別に同条の構成要件の充足ありや否やを吟味しこれに照応する主観的条件が具備するかどうかを認定するの必要があるのである。
即ち同法条と第二百三十条とは相互に一部補足の関係に立つ場合もあるが、元来両法条は独立別個のものである。
以上認定した通りであるから、仍て主文の如く判決する。
(裁判長裁判官 畠山成伸 裁判官 林繁 裁判官安井章は転任につき署名捺印することができない。裁判長裁判官 畠山成伸)
*******
■どぶ板選挙ドットウィン!にしかできない「地獄のどぶ板PR代行」の強み
(1)「地獄のドブ板」に特化した広報PR支援会社ですので、一番しんどい部分のみご相談ください
(2)候補(予定)者の認知度拡大に向けて、貼る場所(箇所)に差をつける!どぶ板PRマーケティング
(3)どぶ板実績No.1 ポスタリストの豊富な経験と実績で、候補(予定)者の選挙区をPRで完全包囲
(4)政治活動に必須となる地域密着型どぶ板PRで候補(予定)者と有権者を繋ぐご挨拶回り握手代行
(5)選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立する
(6)ご挨拶回り!ビラ手渡し!ポスター貼り(掲示交渉)!街頭演説!で、どぶ板の相乗効果を狙え
■どぶ板選挙PR代行の流れ
■どぶ板OJTとは?
■どぶ板同行OJT内容(座学研修および実地特訓)
■どぶ板OJT当日配布資料
■どぶ板の学校オンライン
■ドブ板選挙にはじまり、どぶ板選挙で終わる!
ポスタリング | 掲示交渉実績 | お問い合わせ |
無料ワッポン | どぶ板MENU | 握手挨拶代行 |
よくある質問 | 各種資料一覧 | お申込み流れ |
ポスターPR党 | どぶ板OJT | 弁士相手探し |
党員獲得代行 | 選挙妨害対策 | 立札看板交渉 |
①新規開拓PR | ②他党多党PR | ③一戸建てPR |
⑧政策ビラPR | ポスタリング | ④集合住宅PR |
⑦意外注目PR | ⑥公的公共PR | ⑤独占単独PR |
【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
【ポスター【制作前の】候補予定者様】のメニューです。
「政治活動用ポスターのデザイン」は、こちらです。
公職選挙法規定の法的審査(レギュレーションチェック)対応済みの、個人ポスター、2連ポスター、3連ポスター等のデザインを制作!
「弁士相手探しマッチング」は、こちらです。
「探して、交渉して、お隣りへ!」理想の有名人や著名人の弁士相手を探して、地域有権者に対して認知度拡大の相乗効果を狙う!
「ポスターの掲示責任者代行」は、こちらです。
【全国対応】ポスターを掲示した選挙区からのクレーム対応・妨害等の「総合窓口」として、ポスター掲示責任者の代行をいたします。
【ポスター【制作後の】候補予定者様】のメニューです。
政治活動期間における「どぶ板専門!ポスター貼り(掲示交渉)代行」は、こちらです。
【稼働の流れ】
①新規ご挨拶回り|戸別訪問代行|握手代行
選挙区(指定エリア)の有権者(民家・飲食店・その他施設)に対して、候補予定者に代わって選挙ドットウィン!が直接ご訪問致します。
②名刺|ビラ|リーフレット等の手渡し配布
候補予定者と有権者を繋ぐため、名刺・ビラ・政策レポート・討議資料・リーフレットなど活動報告資料の直接手渡し配布を致します。
③留守宅|候補者PR資料ポスティング投函
ご訪問先がご不在の場合には、配布物を郵便受け等にポスティング投函致します。(想定ターゲットに完全100パーセントのリーチ率!)
④政治活動ポスター貼り(新規掲示交渉!
【完全成果報酬】地獄のドブ板活動に必須となる、政治活動用ポスター貼り(新規掲示交渉代行!)(貼れた分だけの枚数課金となります)
⑤掲示(貼付)後のフォロー|クレーム対応
ポスター掲示(貼付)完了後における掲示許可承諾者へ、フォローやクレーム対応等のストレスな部分は選挙ドットウィン!が致します。
所属政党の「党員募集獲得代行」、政治団体および後援会等の「入会募集獲得代行」は、こちらです。
当該政党の「党員」「サポーター」募集等の規定に従って、選挙立候補(予定)者様に代わって政党への入党におけるご案内を促します。
どぶ板同行OJT(座学研修および実地特訓)で学ぶ「スパルタ個別訪問同行OJT」は、こちらです。
候補予定者様ご本人・選挙事務所スタッフ・ボランティア様が効率良く「どぶ板の政治活動」が行なえるようアドバイスいたします。
絶対的な地盤を構築する「立札看板設置交渉代行」は、こちらです。
選挙立て札看板(後援会連絡事務所)の設置交渉代行で、半永久的に絶対的な知名度を確立するためのご支援をさせていただきます。
あらゆる政治選挙におけるお困りごとを支援する「選挙の窓口」活動支援一覧は、こちらです。
「地上戦」「空中戦」「ネット戦略」などを駆使し、当選に向けたコンサルティングおよびプランニングのご支援をいたします。
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
コメント