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裁判年月日 平成19年 9月26日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平18(ワ)4623号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 棄却 文献番号 2007WLJPCA09268014
要旨
◆男性用衣料の製造卸販売、小売りを業とする原告らが、同種の小売業を営む被告に対し、被告が、ファッション情報誌等(本件各情報誌)を発行している会社に対し、原告らの広告を掲載しないように要求したため、本件各情報誌に原告らの広告が掲載されず、そのために損害を被ったと主張し、その損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件証拠のもとでは、被告の関係者において、本件各情報誌の発行元会社に対して原告らの広告を掲載しないように要求ないし指示をしたとの事実があったとは認められないとして、原告の主張を全て棄却した事例
出典
参照条文
民法709条
裁判年月日 平成19年 9月26日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平18(ワ)4623号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 棄却 文献番号 2007WLJPCA09268014
東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 有限会社コアトラスト
同代表者取締役 A
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 有限会社コネクテッド・セルズ
同代表者取締役 A
上記両名訴訟代理人弁護士 本橋美智子
熊本市〈以下省略〉
被告 株式会社ベイブルック
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 倉田榮喜
主文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告有限会社コアトラストに対し,1591万9291円及びこれに対する平成18年3月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告有限会社コネクテッド・セルズに対し,416万0217円及びこれに対する上記同日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,男性用衣料の製造卸販売,小売りを業とする原告らが,同種の小売業を営む被告に対し,被告が,ファッション情報誌を発行している会社に対し,原告らの広告を掲載しないように要求したため,上記情報誌に原告らの広告が掲載されず,そのために損害を被ったと主張し,その損害賠償及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年3月11日以降の商事法定利率による遅延損害金の支払を求めている事案である。
1 前提事実((3)の事実以外は争いがない。)
(1) 原告有限会社コアトラスト(以下「原告コアトラスト」という。)は,男性用衣料のデザイン,製造等を業とする会社であり,「Subciety」「EASNUIK」「81LDK」等のブランドの衣料を製造卸販売している。
(2) 原告有限会社コネクテッド・セルズ(以下「原告CC」という。)は,平成16年1月14日に設立された主として男性用ストリートファッションの小売業を営む会社である。
その熊本店及び大分店は,いずれも原告コアトラストの製造する男性用衣料品その他のブランドの衣料品を販売している。
(3) 被告は,主として九州において,30店舗以上の衣料品の小売店を経営している会社である(弁論の全趣旨)。
(4) 被告が熊本市において経営する衣料品店BEATUP店(熊本店)に勤務していたC(以下「C」という。)は,平成16年3月6日,解雇となり,同年4月から原告CCに勤務するようになった。
(5) 原告CCは,同年5月15日,被告のBEATUP店の近くに,熊本店を開店した。
(6) 被告は,C外2名の元従業員を債務者として,同年5月,熊本地方裁判所に,競業禁止を求める仮処分命令の申立てをしたが,この申立ては,同年6月,却下され,確定した。
2 争点及びこれについての当事者の主張
(1) 雑誌スパイマスターへの熊本店の広告掲載妨害
(原告CCの主張)
ア 原告CCは,平成16年3月初旬,株式会社ダブリュケイコーポレーション(以下「WK」という。)に対し,WKが発行する若者男性向けファッション情報誌スパイマスターの同年4月号又は5月号に,原告CC熊本店の広告を1ページ掲載する申込みをし,その後,2分の1ページの広告を年6回掲載する申込みをし,これらにつき,WKの担当者から口頭で承諾を得た。
イ しかし,被告が,WKに対し,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するよう要求したため,原告CCは,WKから,同年3月末,同店の広告は掲載できないとの連絡を受け,上記広告掲載をすることができなかった。
ウ 被告は,さらにWKに指示をし,原告CCが取引しているブランドがスパイマスター九州版に広告掲載する場合には,熊本の取扱いだけできないこととさせた。
(被告の主張)
被告は,WKに対し,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するよう要求したことはなく,広告掲載について指示をしたこともない。
(2) 雑誌NOへの広告掲載妨害
(原告CCの主張)
ア 原告CCは,平成16年4月2日,有限会社エヌオー出版(以下「NO出版」という。)に対し,NO出版が発行し,熊本で販売されている男性向けファッション情報誌NO!(以下「NO」という。)の平成16年5月号から平成17年1月号までに広告掲載の申込みをし,NO出版との間で,NOの平成16年5月号,8月号,10月号,平成17年1月号に,カラー1ページの原告CC熊本店の広告を掲載する内容の広告掲載契約を締結した。
イ しかし,被告は,その後,NO出版に対し,原告CCを誹謗中傷する虚偽の事実を話し,被告がNO出版に対して多くの広告掲載をしている地位を利用して,不当に原告CC熊本店の広告掲載をしないように圧力をかけ,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するよう要求したため,NO出版は,平成16年4月14日,上記広告掲載契約を一方的に解約し,原告CCは,NOに上記広告を掲載することができなかった。
(被告の主張)
ア 原告CCが,平成16年4月,NO出版に広告掲載の申込みをし,広告掲載契約を締結したことは認める。
イ 同月ころ,被告BEATUP店の店長であったCが,同店のすぐ近くに原告CC熊本店の開店を準備していたことから,被告に対し,取引先から,その事情について問い合わせが相次いだ。
そこで,被告の従業員は,各取引先に対し,被告BEATUP店で不正が行われていたこと,同店の責任者であったCを懲戒解雇したことのほか,仮処分の申立てをした事情を説明し,NO出版に対しても事情を説明した。しかし,被告が,NO出版に対し,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するように要求したり指示をしたことはなく,広告掲載の是非は,NO出版が判断したものである。
(3) 雑誌ガラシャの広告掲載妨害
(原告CCの主張)
ア 原告CCは,平成16年11月20日ころ,株式会社メディアプレス(以下「メディアプレス」という。)との間で,同社が発行する雑誌月刊ガラシャ九州版(以下「ガラシャ」という。)の平成17年1月号の別冊特別企画「2004 NEW SHOPS! in Fukuoka & Kumamoto」及び特集部分の別冊(フリーペーパー)に原告CCの広告を掲載する契約を締結し,ガラシャの平成17年1月号には,原告CC熊本店の広告が2ページ掲載された。
イ しかし,被告は,その後,メディアプレスの編集部に圧力をかけ,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するように要求したため,ガラシャの平成17年1月号の特集部分の別冊(フリーペーパー)では,原告CC熊本店の広告部分2ページ分がそのまま被告の広告に差し替えられた。
(被告の主張)
ア 原告CCが,平成16年11月,メディアプレスに広告掲載の申込みをしたことは認めるが,メディアプレスとの間で広告掲載契約を締結したことは知らない。
イ 被告は,メディアプレスに,原告CC熊本店の広告掲載を拒否するよう指示や要求をしたことはない。
(4) 雑誌スパイマスター九州版への大分店の広告掲載妨害
(原告CCの主張)
ア 原告CCは,平成17年4月28日,大分市内に,店舗「エクスペクト」(原告CC大分店)を開店したが,被告は,大分においても,ストリートファッションの店舗を開設しており,上記店舗は,被告店舗と競争関係にあった。
イ 原告CCは,原告CCの取引先である有限会社ティエラ(以下「ティエラ」という。)と業務委託契約を締結し,ティエラを通じて,スパイマスター九州版に広告を掲載しており,平成17年6月ないし平成18年3月までの間に発売された号には,原告CC大分店の広告を掲載することができた。
ウ しかし,その後,被告が,WKに対して,原告CC大分店の広告を掲載しないように要求したため,原告CCは,スパイマスター九州版の平成18年4月以降は,原告CC大分店の広告を掲載することができなくなった。
(被告の主張)
被告は,大分には店舗を有しておらず,原告CC大分店の存在も知らなかった。また,被告が,WKに,原告CC大分店の広告を掲載しないように要求したことはない。
(5) 原告コアトラストの広告掲載妨害
(原告コアトラストの主張)
ア 原告コアトラストは,平成15年,WKとの間で継続的広告掲載契約を締結し,スパイマスターの九州版,関西版及び東海版に広告を掲載していた。
イ しかし,被告は,WKに対し,原告コアトラストの広告掲載を拒否するよう要求したため,スパイマスターの九州版には,平成16年4月号を最後に広告を掲載することができなくなった。
(被告の主張)
被告が,WKに対し,原告コアトラストの広告掲載を拒否するよう指示したり要求をしたことはない。
(6) 原告らの損害
(原告らの主張)
ア スパイマスター九州版は,九州における若い男性向けファッション情報誌としては,突出した発行部数となっているところ,原告CCは,熊本店について,スパイマスター九州版に2か月に1回の広告を掲載する予定としていた。そして,原告CCは,この広告が掲載できた場合には,平成16年6月から平成17年12月までの間に合計990万5280円の売上げが増え,売上げから60%の原価を控除した416万円0217円の利益を得られたはずである。しかるに,被告の行為により,上記広告が掲載できなかったものであり,原告CCは同額の損害を被った。
イ 原告コアトラストは,スパイマスター九州版に,平成16年3月発売号から広告を掲載できなくなったが,平成17年12月まで広告を掲載できた場合には,2年間で合計3979万8228円の売上げが上がり,その40%にあたる1591万9291円の利益を得たはずである。しかるに,被告の行為により,上記広告が掲載できなかったことにより,原告コアトラストは同額の損害を被った。
(被告の主張)
ア 広告掲載の判断は,各広告会社が行うものであり,被告は,広告掲載について,広告会社に指示したり要求する立場にはない。
イ 被告の行為と原告らが主張する損害との間に因果関係はない。
第3 争点に対する判断
1 前提事実と証拠(甲4,甲6の1ないし3,甲8ないし甲11,甲12の1,2,甲13,甲15の1ないし7,甲20ないし甲25,甲26ないし甲29の各1,2,甲32,甲33,乙1ないし乙9,証人C,同D,原告ら代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1) Cは,被告のBEATUP店に店長として勤務していたが,棚卸作業で判明した商品数の不一致に対し,在庫記録を改ざんし,会社に虚偽の報告をする不正があったなどとして,平成16年3月6日,懲戒解雇の通知を受けた。
しかし,Cは,その後,同年4月から,原告CCに勤務するようになり,同年5月15日に被告のBEATUP店の近くに開店した原告CC熊本店の店長となった。
被告は,C外2名の元従業員を債務者として,同年5月,熊本地方裁判所に,競業禁止を求める仮処分命令の申立てをしたが,この申立ては,同年6月,却下され,確定した。
被告は,これに先立つ同年4月40日,上記商品数不一致の問題につき,警察に被害届を提出し,その後,警察による捜査が行われた。
(2) 原告CCは,平成16年3月初旬,WKに対し,WKが発行する若者男性向けファッション情報誌スパイマスターの同年4月号又は5月号に,原告CC熊本店の広告を1ページ掲載する申込みをし,その後,2分の1ページの広告を年6回掲載する申込みをし,これらにつき,WKの担当者から口頭で承諾を得た。
しかし,原告CCは,同年3月末,WKから,原告CC熊本店の広告は掲載できないとの連絡を受け,上記広告を掲載することができなかった。
(3) 原告CCは,平成16年4月2日,NO出版に対し,NO出版が発行し,熊本で販売されている男性向けファッション情報誌NOの平成16年5月号から平成17年1月号までに広告掲載の申込みをし,NO出版との間で,NOの平成16年5月号,8月号,10月号,平成17年1月号に,カラー1ページの原告CC熊本店の広告を掲載する内容の広告掲載契約を締結した。
しかし,NO出版は,平成16年4月14日,上記広告掲載契約を一方的に解約し,原告CCは,NOに上記広告を掲載することができなかった。
(4) 原告CCは,平成16年11月20日ころ,メディアプレスとの間で,同社が発行する雑誌月刊ガラシャ九州版の平成17年1月号の別冊特別企画「2004 NEW SHOPS! in Fukuoka & Kumamoto」及び特集部分の別冊(フリーペーパー)に原告CCの広告を掲載する契約を締結し,ガラシャの平成17年1月号には,原告CC熊本店の広告が2ページ掲載された。
しかし,その後,ガラシャの平成17年1月号の特集部分の別冊(フリーペーパー)では,原告CC熊本店の広告部分2ページ分が被告の広告に差し替えられた。
(5) 原告CCは,平成17年4月28日,大分市内に,大分店「エクスペクト」を開店し,業務委託契約を締結していた取引先ティエラを通じ,スパイマスター九州版の平成17年6月ないし平成18年3月までの間の発売号には大分店の広告を掲載していた。
しかし,スパイマスター九州版の平成18年4月号以降には,原告CC大分店の広告を掲載することができなくなった。
(6) 原告コアトラストは,平成15年から,スパイマスターの九州版,関西版及び東海版に広告を掲載していた。
しかし,スパイマスターの九州版には,平成16年4月号を最後に,広告を掲載することができなくなった。
2 原告らは,上記認定の各情報誌ないし雑誌(以下「本件各情報誌」という。)に原告らの広告を掲載することができなくなったのは,被告が,本件各情報誌の発行元会社に対し,原告らの広告を掲載しないように要求ないし指示をしたことによるものであり,このような被告の行為は,原告らに対する不法行為を構成すると主張する。
そして,証人C及び原告ら代表者は,本件各情報誌の発行元会社の担当者から,上記原告らの主張に沿う内容の発言を聞いた旨供述しており,原告ら代表者の陳述書(甲33)にも同趣旨の記載があり,証拠(乙1,証人D)によれば,被告の担当者は,本件各情報誌の発行元会社に対し,Cが店長であったBEATUP店において不正が行われていたこと,警察に被害届を出したこと,責任者であったCを懲戒解雇したこと,裁判所に仮処分命令の申立てをしたことを話したことが認められる。
しかしながら,被告の取締役Dは,自身及び被告の従業員が本件各情報誌の発行元会社に対し,原告らの広告を掲載しないように求めた事実を否定する証言をしているところ,この事実があったことを裏付ける客観的な証拠はなく,NO出版のEの陳述書(甲32)にも,被告から,Cほかの従業員が被告に勤務していた際に商品を盗み,横流しをしているので刑事事件として訴えると述べた旨の記載はあるものの,被告から広告を掲載をしないように求められたとの記載はない。
これらの証拠のもとでは,被告の関係者において,本件各情報誌の発行元会社に対して原告らの広告を掲載しないように要求ないし指示をしたとの事実があったとは認められない。
そして,既に認定した事実と証拠(乙1ないし乙9,証人D)によれば,被告においては,BEATUP店の在庫商品や売上げの調査をしたところに基づき,Cが被告に在勤中,BEATUP店において,商品について不正があったと判断し,Cを懲戒解雇し,警察に被害届を提出したものと認められ,被告が,各情報誌の発行元会社に対し,虚偽の事実を伝えたとは認められない。
以上検討したところによれば,本件各情報誌への原告らの広告掲載に関連して,被告に不法行為があったとは認められない。
3 結語
以上によれば,原告らの請求は,その余の点については判断するまでもなく,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 端二三彦)
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Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
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Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
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