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裁判年月日 令和 4年 5月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ワ)9655号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2022WLJPCA05178007
出典
裁判年月日 令和 4年 5月17日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ワ)9655号
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2022WLJPCA05178007
東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 弘中惇一郎
弘中絵里
大木勇
白井徹
品川潤
小佐々奨
竹崎裕
水野遼太
毛野泰孝
山本雄一郎
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y
同訴訟代理人弁護士 大石雅寛
宮下了
大島晴子
主文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は、原告に対し、550万円及びこれに対する令和元年5月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、a大学の非常勤講師である原告が、a大学b学部の教授である被告に対し、被告が、原告に対してパワーハラスメントに当たる各種言動をしたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料500万円及び弁護士費用相当損害50万円の合計550万円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である令和元年5月9日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)
(1) a大学内の組織及び当事者等
ア a大学内には、c学術院(以下「本件学術院」という。)が設置されており、これは、d学部、b学部、e研究科等の上位組織である。b学部内には、「○○」と呼ばれる教育上の組織が複数存在しており、このうち、△△(以下「本件○○」という。)は、文芸の創作者から伝達者までの養成を目的に掲げている。各○○における最高意思決定機関は、「教室会議」と呼ばれる会議体である。教室会議は、各○○に所属する専任教員(非常勤講師は含まない。)によって構成され、月に1度の定例会のほか、必要に応じて臨時会議が開催されている。各○○では、専任教員の中から「主任」を務める教員が1名選任される。主任は、教室会議を招集した上でその議長(司会進行役)を務めるほか、本件学術院の運営を担っている学術院長、副学術院長等からなる教務等との連絡窓口(教室会議の内容の報告を含む。)になるなど、○○の組織運営に関わる事務を主に担当している。(乙2)
イ 原告は、本件学術院に所属する非常勤講師であり、A准教授(以下「A准教授」という。)外1名の教員と共に、平成30年度後期の「△△演習(編集実践2)」(以下「本件授業」という。)を担当し、本件授業の受講生らに対し、雑誌制作における原稿執筆、企画、編集、執筆依頼等の指導をした。なお、原告が本件授業を担当することとなったのは、A准教授の推薦によるものであった。
ウ 被告は、a大学b学部が設置された平成19年から現在に至るまで、本件学術院の教授を務めている者であり、かつ、小説家である。被告は、平成30年度の本件○○の主任を務めていた。
(2) 本件授業内外における被告の言動等
ア 本件授業は、受講生が、授業を通じて「f」というタイトルの雑誌を作成し、その過程の中で企画・編集・執筆・制作進行・校閲・デザインといった雑誌編集に関わる基礎的な知識を学んでいくことを目的とするものであった。
イ B元教授(以下「B元教授」という。)は、平成30年7月27日付けで大学院生の女性に対するセクシュアルハラスメント(以下「本件セクハラ事案」という。)を理由に教授職を解任された者であるところ、本件授業の受講生の中には、B元教授のゼミに所属していた学生3名(以下「本件学生ら」という。)が含まれていた。本件学生らは、同年9月29日の本件授業の初回において、原告ら担当教員向けのアンケートに、f誌に掲載する企画としてハラスメントの問題を取り上げたい旨を記入して提出した(以下、本件学生らによるハラスメントの問題を取り上げるとの企画を「ハラスメント企画」という。)。なお、A准教授は、B元教授の直弟子であり、本件セクハラ事案が生じた後の関係者に対する言動を理由に、a大学から、平成30年9月21日付けで訓戒の処分を受けた。(乙5の3・4、乙9の1ないし3、乙72、乙81)
ウ 被告は、平成30年10月中旬頃、原告に対し、本件学術院の学術院長(以下「本件学術院長」という。)が同月29日にB元教授のゼミに所属していた学生(本件学生らを含む。)向けの本件セクハラ事案に関する説明会を行うことを予定していることから、この説明会が終わるまでの間、本件授業においてハラスメント企画についてコンペ等をすることを待つように指示した。
その後、被告は、同年11月23日、被告の研究室で原告と共に本件学生らと面談をした際、本件授業においてハラスメント企画についてのコンペ等の機会がないこと等からハラスメント企画が抑圧されているのではないかとの不信感を表明していた本件学生らに対し、今後、本件授業の担当教員以外に、本件○○の主任である被告が本件授業外でのf誌の作成作業に関与することとなったとして、「授業内でいろいろあると、不透明なところが出てしまうと、よくないかもしれないんで、一応何でもこう透明にしてしまう人をというか、責任、今年のf誌の発行責任者になっているから、僕を外に置いた方がやりやすいんじゃないかと思っている。」、「とにかく風通しが悪かった部分は、どんどん風を流していきますし」などと説明した(以下、被告のこれら一連の言動を「本件行為1」という。)。
(以上につき、甲20、乙62、乙62の2)
エ 平成30年12月8日の本件授業の第10回において、f誌に掲載する自主企画のコンペ等が行われ、ハラスメント企画が自主企画として成立することになった。原告は、同日、被告に対し、今後、本件セクハラ事案に関連する可能性があり、具体的な事情を把握していない非常勤講師では対応が困難なハラスメント企画については、本件学生らと被告との間で直接やり取りをする形とすることを希望し、被告はこれを了承した。
被告は、同月27日、本件学生らとハラスメント企画の具体的な内容等に関して面談をし、原告もこれに同席した。そして、被告は、本件学生らが、ハラスメント企画の具体的な内容としてC(以下「C」という。)に対するハラスメントに関するインタビューの実施を考えていることついて、インタビューを受ける作家側の立場から、インタビューの際の心構えやその進め方についての助言を述べた後、「で、Xさん的に、そのあと気をつけなきゃいけないってところは何ですか?僕は雑誌の現場にいる人間じゃないんで。」と編集の観点からの留意点についての説明を促し、原告は、本件学生らに対し、インタビュー中で実名や個別のハラスメント事案などの話題が出た場合、事実確認が困難であることに起因し、名誉毀損訴訟等が提起されるというリスクがあることなどを説明した。さらに、被告は、原告による上記リスク説明を聞いた上で、インタビューを「やる前に、こういう危険があるって言うのもどうかっていう風には思うんだ。」とか、まずインタビューを実施した上で、本件学生らとCとの間で「できあがったものを、今、具体的に相談しながら、そこは時間がかかるかもしれないけれど、やり取りをするということにせざるを得ないところがあると思うね。」、「今の話、具体名が出ることは当然だと思うんだよね。」などと発言した(以下、この面談の場における被告の言動を「本件行為2」という。)。
(以上につき、乙63)
オ その後、本件学生らがCとやり取りをした結果、インタビューを実施するのではなく、Cから寄稿を受けることとなり、Cは、平成31年2月上旬頃、本件学生らに対し、f誌に寄稿するエッセイの初稿を送付した。同エッセイは、若干の修正を経てf誌に掲載されたが、f誌に掲載された同エッセイ(以下修正の前後を問わず「本件エッセイ」という。)中には、原告及びA准教授が、本件学生らに対し、本件授業でハラスメント企画を取り扱うことを妨害するなどのハラスメント行為をした旨の記載が含まれていた。(乙1の1の1、乙42、乙43)
カ 平成31年2月8日、教室会議が開催され、本件エッセイに対する本件○○の対応が検討されたが、被告は、同教室会議の冒頭において、本件エッセイにつき、「出来上がった作品になっているわけですよね。Cさんの。短いコメントを下さるという、学生からの話ではそういうことだったんですが、短いものではないと。ボリュームのある一つの作品として出来上がってきた。これを、作中でもありますが、載せる載せないということについての議論をしなければならないわけですけれども、お読みになって、これまでの流れからしてということを、ちょっとお聞きしたいということです。」と議題について述べた。
また、被告は、教室会議の中盤において、「だから、完全にその、今の話で、雑誌は、雑誌の作品として出したいという解釈は、まあ確認はしましたよね。そういうことでよろしいわけですよね、作品の中の言葉であると。」と従前の議論を要約し、確認する趣旨の発言をした。
その後、原告が、本件エッセイ中で、原告が本件学生らに対しハラスメントをした旨の記載があることから、事実として、原告が本件学生らに対してハラスメントをしたのかどうか正式に調査する必要があること、及びこのような調査を求める原告の申し出を教室会議が無視したとすれば、そのことが、教室会議が、非常勤講師である原告に対してネグレクトをし、ハラスメントをしたことになる旨を申し出たことを受けて、教室会議は、原告に対してメールで送付する通知文の内容を検討し、「Cさんの原稿は一篇の作品として完成しているものであり、文言等について修正はできないという点を確認しました。」、「○○としてなし得る最善の策は、学内外のハラスメント防止室に直接訴えていただくことだと思われます。」、「○○が間に入ることを、むしろ避けなければなりません。」、「現時点でなし得る対応は以上です。」といった通知文を決定した。そして、被告は、本件学生らに対して、本件エッセイの修正をしない前提で編集作業を続けるように伝えた(以下、この一連の被告の言動及び教室会議の決定を併せて「本件行為3」という。)。
(以上につき、乙65)
キ 原告は、平成31年2月14日、本件学生らのうち1名を含むf誌の編集作業に関与している学生3名の前で、原告及びA准教授としては、本件エッセイがf誌に掲載されるべきではないと考えているとの発言をした。(乙64)
ク 被告は、平成31年2月19日の臨時の教室会議において、前記キの本件学生らのうち1名が、被告に対して、原告からハラスメント企画のf誌への掲載を取り下げるように迫られた旨の申告をしたとして、原告の前記キの発言について、「一番近いのは、そのハラスメント、一番最初に申しましたのは、そういうことなんですけど(中略)立場としては、先生が非常勤と専任って学生から見れば区別は全然ないですから、先生に言われたっていう、しかも少人数のところで言われてしまった以上、もう動けないってことになっているので、これはまあ、力関係のハラスメントっていう風に言っていいんですよね、上下関係がどうしてもありますから。」との報告をし、その結果、教室会議は原告を本件学生らとの接触の可能性のあるf誌の編集作業から外すことを決議した。その後、被告は、本件学術院の教務に対し、教室会議として、原告の上記ハラスメントがあったことを確認したとの報告をした(以下、この一連の被告の言動及び教室会議の決定を併せて「本件行為4」という。)。(乙66)
ケ 被告は、平成31年2月27日、本件学生らを含む本件授業の受講生6名と面談し、本件○○としてはハラスメント企画も含めてf誌の企画は全て掲載したいと考えていること、本件エッセイは掲載してよいとの結論であるにもかかわらず、一部においてその掲載をストップしたいという動きがあったため、本件○○がf誌の残りの編集作業を引き取って掲載するところまで持っていくことになったこと、本件○○が引き取らなかったらハラスメント企画を含む自主企画を全て掲載した形ではf誌を出せなかったと思われることなどを説明した(以下、この被告の説明を「本件行為5」という。)。(甲24、乙88)
2 争点及び争点に関する当事者の主張
(1) 本件行為1が原告に対する不法行為を構成するか(争点(1))
ア 原告の主張
被告は、原告に対し、本件○○の専任教員(教授)と非常勤講師という地位の差、本件セクハラ事案に関する情報量の差などに起因する優越的な地位に基づいて、本件授業においてハラスメント企画についてコンペ等をすることを引き延ばすよう指示して、この指示に従わせた一方で、本件学生らから「自分たちの企画が抑圧されているのではないか」との疑問が呈されると、それまでの本件○○や本件学術院の教務との協議内容を一切説明せず、「外からの目として、透明性を保ち、風通しをよくするために僕が入った」などと虚偽の説明を行い、自らがハラスメント企画のコンペ等の実施を引き延ばすよう指示していたことを隠ぺいするとともに、あたかも原告が不適切なことをしていたかのように装った。このため、学生は、実際にハラスメント企画が抑圧されていると誤信し、また、抑圧したのは原告であるとの誤解をすることになり、もって、本件学生らの原告ら担当教員に対する不信感を生じさせ、原告の就業環境を著しく害した。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
(ア) 本件行為1ないし本件行為5に共通する主張
パワーハラスメントとは、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものをいう。
被告は、本件授業において生じた問題について、本件学術院の教務に報告・相談を行い、また常に教室会議に方針決定を諮りながら対応をしてきたものであって、被告が、教授や作家としての立場・影響力を行使して、業務の適正な範囲を超えて、原告に不利益を被らせようとしたこと自体が全くない。
また、教員と学生は同じ職場で働く仲間ではなく、学生の教員に対する評価や好感度というのは様々な要因で変化し得るものであって、何らかの理由により学生からの評価や信用が低下したとしても就業環境の悪化の問題ではない。
さらに、学生の主張や訴え、原告を含む本件授業の担当教員の対応、教室会議を構成する教員の意向や会議の流れなどによって、原告に不利益な結果が生じたとしても、それは被告一人の言動によって生じたものであるとは到底いえないし、被告が意図的に原告に不利益を被らせようとしたというには論理の飛躍がすぎ、被告の責めに帰するのは明らかに誤っている。
したがって、被告の行為が原告に対するパワーハラスメントに当たることはなく、被告が原告に対して不法行為責任を負うことはない。
(イ) 本件行為1に係る主張
被告は、本件学術院長による説明会後にハラスメント企画のコンペ等を進めるという教室会議の決定事項をそのまま原告に伝えただけであって、意図的にハラスメント企画のコンペ等を引き延ばしてはいない。また、本件学生らが本件授業の運営について不信感を抱いた主な原因は、被告の指示による本件授業のスケジュールの遅れではなく、原告及びA准教授ら担当教員の本件授業の進め方自体である。そして、被告は、本件学生からの不信感を受けて、今後は適切に授業運営を行っていくことを表明する趣旨で、前提事実(2)ウのとおり、透明性を確保することや、風通しを良くする趣旨で被告が関与することになった旨を説明したものにすぎない。本件学生らが不信感を抱いたことについて、被告は何らの責任もない。
また、被告は、平成30年11月17日に本件学生らから不信感を打ち明けられるまでは、ハラスメント企画が本件授業においてどのように取り扱われているかを把握しておらず、まして、本件学生らが原告らの授業運営に不信感を抱いていることは認識していなかった。同日以降も、被告は、ハラスメント企画が隠ぺいされようとしているとの本件学生らの疑念を払しょくし、教室会議で決定されたとおり、適切な指導の下で本件学生らの希望する企画を実現させようとしていたにすぎない。被告において、原告の何らの権利を侵害する意図を有していたはずがなく、原告の就業環境を悪化させることについての故意はなかった。
(2) 本件行為2が原告に対する不法行為を構成するか(争点(2))
ア 原告の主張
被告は、原告から、本件セクハラ事案について十分に事情を知らない原告において本件学生に対するリスクの説明等をすることは困難であり、被告においてこれを実施するよう依頼されてこれを引き受け、事前に、原告及びA准教授から、Cへのインタビューに付随するリスク事項について説明を受けていたにもかかわらず、平成30年12月27日に行われた本件学生らとの打ち合わせでは、本件学生らに対してネガティブな印象を与えてしまう性質があるリスク説明を一切せず、優越的な関係に基づいて、これを原告に押し付けた。さらに、被告は、原告がする説明の内容を批判するような発言をすることにより、原告はハラスメント企画を抑圧しようとしている一方で、被告は本件学生らを擁護しているかのような印象を与えた。これによって、本件学生に原告に対する不信感を抱かせ、講師である原告の就業環境を著しく害した。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
被告は、事前に、平成30年12月27日の本件学生らとの打ち合わせへの原告の同席を断っていたのであり、原告において自らその場に同席することを強行しておきながら、優越的な関係に基づいて被告からリスク説明を強いられたというのは、理解し難い主張である。この点を措くとしても、被告は、本件学生らの質問に対し、被告自身の作家としての経験を踏まえて、有益と考えたことを真摯にアドバイスしただけであって、本件行為2をもって原告に対する不法行為を構成するとはいえない。
(3) 本件行為3が原告に対する不法行為を構成するか(争点(3))
ア 原告の主張
被告のそれまでの言動によって原告からハラスメント企画を抑圧されていると誤信した本件学生らは、Cに対して、原告が本件学生らのハラスメント企画を抑圧しているとの情報を提供し、その結果、平成31年2月、Cから、原告がハラスメント企画を抑圧しているかのような、事実と異なり、原告の社会的評価を低下させる記載が多々ある本件エッセイが寄稿された。
被告は、平成31年2月8日の教室会議の冒頭に、本件エッセイをf誌に載せるか載せないかを議論しなければならない旨発言し、教室会議の議題を本件エッセイの内容の真実性ではなく、掲載の可否の点に誘導した上で、その中盤に、雑誌の作品として出したいという解釈が確認された旨発言し、本件エッセイをf誌に掲載する方向で議論がまとまったかのような確認をし、最終的に、教室会議において、本件エッセイを修正することなくf誌に掲載することが決定事項とされ、原告に対する通知文の内容も決定された。このように、被告は、優越的な関係に基づいて、原告の社会的評価を低下させる内容である本件エッセイが掲載されたf誌を発行させたものであり、原告に多大な精神的苦痛を与えた。
なお、被告は、議長として教室会議の議論の流れを作り出し、本件エッセイを修正せずにf誌に掲載するという事前に得ていた教務からの回答に沿う結論に誘導していたものであって、被告は、その決定過程において、反対意見を述べたり棄権をしたりしたものではない以上、上記決定の主体が教室会議であるとしても、被告が教室会議を構成する他の教員と連帯して原告に責任を負うだけであって、被告が免責されることはない。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
教室会議において、本件エッセイの掲載の可否の議論を行うことは当然である。被告は、教室会議において、基本的に聞き役に徹していた上、教室会議で自由に議論がなされるように、事前に教務から本件エッセイの掲載に問題がないとの回答を得ていることを開示せず、議論が膠着した段階で、教務の見解を明らかにするという対応を取ったものである。また、本件エッセイを修正せずに掲載することを決定し、原告に対する通知文の文案を作成したのは教室会議であって、教室会議の決定が被告個人の不法行為と評価される余地はない。
(4) 本件行為4が原告に対する不法行為を構成するか(争点(4))
ア 原告の主張
被告は、平成31年2月19日の臨時教室会議において、原告が本件学生らのうち1名に対してハラスメント企画の掲載の取下げを迫るハラスメントをした旨を報告し、その結果、教室会議は、f誌の編集作業から原告を外すことを決定し、また、被告は、上記教室会議では、ハラスメント防止室等第三者の調査を経ていないことから、実際にハラスメントがあったかどうかは認定できないことが確認されているのに、本件学術院の教務に対して、原告が学生に対してハラスメントをしたことを教室会議で確認したとの虚偽の報告をした。しかし、原告には、学生らにハラスメント企画を取り下げさせる権限はなく、また、学生らに対し本件エッセイの掲載の取下げを迫った事実もないのであるから、被告の上記の報告は虚偽である。
したがって、被告の上記報告及び教室会議の決定は、上記学生1名からの訴えのみに基づき、原告に対する事実確認を一切行わずに断定的になされたものであって、教室会議を構成する教授らや本件学術院の教務において原告に対する不信感を生じさせるとともに、原告と本件学生らとの人間関係を切り離すことで、講師である原告の就業環境を著しく害したものである。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
原告は、本件学生らが本件授業において原告からハラスメント企画の妨害などのハラスメントを受けたと感じた旨の本件エッセイの内容を認識していたにもかかわらず、平成31年2月14日、本件学生らの内1名を含む学生3名に対し、本件エッセイがf誌に掲載されることに対する否定的な評価を感情的かつ断定的に、繰り返し述べたものである。原告は、本件授業の担当教員であり、学生から見ればf誌の掲載内容を差配することができる地位にあり、かつ、本件授業の最終的な成績評定を付ける立場にあるという優越的な立場にあるから、このような原告の発言は、他の学生2名を巻き込んだ形で、上記本件学生らのうち1名の学生に対し圧力をかけ、本件エッセイの掲載の取下げを迫ったものと評価せざるを得ないし、現に、当該学生は原告の上記発言によって精神的ハラスメントを受けたと被告に申告したものである。さらに、被告は、同月15日に、学生3名と面談し、同月14日の原告の発言の録音を再生するなどしてその内容を確認した。
被告は、これらの事情を踏まえて、同月19日の臨時教室会議において、原告の発言内容を正確に報告した上で、被告としては原告の発言がハラスメントに該当する可能性があると考えるとの私見を述べたにすぎず、教室会議において議論を重ねた結果、原告と本件学生らとの接触を遮断すべきであることで意見が一致したものである。したがって、本件行為4が原告に対する不法行為を構成するとはいえない。
(5) 本件行為5が原告に対する不法行為を構成するか(争点(5))
ア 原告の主張
被告は、平成31年2月27日、本件学生らを含む6名の学生と面談した際、学生らに対し、真実は、原告が本件エッセイの掲載を阻止しようとした事実はないのに、一部において本件エッセイの掲載を阻止する動きが見られたため、本件○○がf誌の残りの編集作業を引き取ることになったなどと、あたかも原告が本件エッセイの掲載を阻止しようとしたかのような虚偽の説明をして学生らに対する印象操作をした。これによって、学生らの原告に対する不信感を生じさせ、もって、講師である原告の就業環境を著しく悪化させた。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
原告は、平成31年2月14日、本件学生らのうち1名に対し本件エッセイの取下げを迫っており、被告は、このような経過も踏まえた上で、学生らに事実を説明したものであって、何ら虚偽の説明をしていない。
(6) 原告に生じた損害の額(争点(6))
ア 原告の主張
原告は、被告又は教室会議の本件行為1ないし本件行為5によって、本件学生ら、教室会議を構成する教授ら及び本件学術院の教務からの信頼を失い、適応障害を発症し心療内科に通院することになった。この原告の精神的苦痛を金銭に換算すると500万円を下らない。また、原告は、本件訴訟の追行を弁護士に依頼せざるを得なかったのであり、弁護士費用のうち上記慰謝料の1割に相当する50万円が、被告の本件行為1ないし本件行為5と相当因果関係のある損害である。したがって、原告に生じた損害は550万円である。
イ 被告の主張
原告の主張は否認し又は争う。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)(本件行為1が原告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 前提事実並びに証拠(甲8ないし甲12、甲19、甲20、甲27、甲28、乙1の1の1・2、乙1の2・3、乙3の1・2、乙4、乙9の1ないし3、乙11、乙13ないし乙15、乙18、乙59ないし乙62、乙62の2、乙69、乙70の1ないし3、乙71の1ないし3、乙73の1ないし5、乙74の1・2、乙75、乙76の1ないし6、乙79、乙89の1・2、乙90の1、乙91、乙92、証人A、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 原告は、明治24年に創刊された雑誌「g」の編集室デスクを務め、同雑誌の制作総指揮を務めるA准教授と共に、同雑誌の編集実務の中心的な役割を担っている(なお、上記編集室は、平成29年度にa大学本部キャンパス内から本件学術院構内に移転された。)。また、原告は、平成28年度後期に、担当教員のうちの一人として、本件授業と同一科目名の授業を担当したことがあった。(弁論の全趣旨)
イ f誌は、毎年、本件○○の学生から徴収される実験実習費を用いて印刷・出版され、本件○○の学生に無料配布されている。本件授業を通じて作成された「f誌2019」は、「あなたとして生きる」、「文学とハラスメント」、「紙の本を保存すること」という3つの特集で構成されており、このうち、「あなたとして生きる」は、教員から与えられたh社・Dを基に本件授業内で企画・作成されたメインとなる特集であり、これ以外の2つの特集は、本件授業外で、自由に学生らが企画立案し、具体的な記事を作成・編集したもので、自主企画と呼ばれていた。
また、本件授業のシラバスは、本件授業の担当教員らが平成29年12月7日から平成30年1月8日までの間にその内容を決定し掲載したものであり、同年3月6日以降は適宜更新・編集が可能であったものであるところ、授業概要として、f誌について、半期(と冬休み、春休み)をかけて企画を立て、取材やインタヴューを行い、あるいは原稿を募集・執筆し、デザインから組版、校正、完成に至るまでを経験することとされ、また到達目標として、雑誌の完成をする旨記載されていた。もっとも、本件授業のシラバスの各回の授業計画部分は、平成29年度の記載が更新されておらず、平成29年度の担当教員であるE教授が授業を担当するといった記載が残ったままの状態となっていたところ、少なくとも、平成28年度及び平成29年度に作成されたf誌は、学生ら各自が自由にそれぞれの企画を行い、記事を作成・編集したものであった。
(以上につき、甲28、乙1の1の1・2、乙1の2・3、乙3の1・2、乙4、乙70の1ないし3、乙71の1ないし3、乙75、乙76の1ないし6、弁論の全趣旨)
ウ 本件授業の担当教員3名(原告を含む。)は、平成30年9月29日の本件授業の初回において、学生らに対し、本件授業においては、f誌という雑誌1冊を作ることが目的であることを説明した上で、自己紹介、「f誌2019」における担当業務(執筆、編集など。)の希望、作りたいもののイメージや具体的な企画案などを記載するアンケートを実施した。このうち、自己紹介部分については、教員向けの「自己紹介a」と学生同士向けの「自己紹介b」の両方を記載する(これらが同一の内容で良い場合には「自己紹介a/b」として記載する。)ことが指示され、その共有の仕方は後に、教員側で相談することとされた。本件学生らのうち2名は、上記アンケートにおいて、本件授業で作りたいもののイメージとして、「文壇のハラスメント問題についての論考」、「今年2018年に私たちの身に起きたことを最大限に反映」と記載し、残り1名は、上記の「自己紹介a/b」の記載として、「セクハラを告発された教授のゼミ生です。これに限らず、ハラスメントなるものが世間を騒がせている今日、ハラスメント、弱者への暴力の問題を取りあげられたらいいなと思っています」と記載した。なお、この日の授業においては、Dを企画内容として盛り込むことや、自主企画を授業外で扱うこと等については一切説明されなかった。(前提事実(2)イ、甲8ないし甲12、乙9の1ないし3、乙91、弁論の全趣旨)
エ A准教授は、平成30年9月30日、本件授業においてハラスメント企画を取り扱うことについての希望があったことを受けて、本件○○の主任である被告を含めた数名の教員らと、本件セクハラ事案について情報を有していない非常勤講師の原告ではハラスメント企画を扱うことに責任を持てないこと、本件セクハラ事案に派生する二次被害が生じる可能性があることなどについて短時間話し合い、本件授業の進め方等について、改めて教室会議に諮ることとした。(甲28、乙79、証人A、被告本人、弁論の全趣旨)
オ 平成30年10月6日に開講された本件授業の第2回において、インタビューの文字起こしについての講義があり、次回授業までの課題として、インターネット動画サイトであるYouTube上に投稿されているDのインタビュー動画の文字起こしをした上で、これを記事の形にまとめることが指示された。(弁論の全趣旨)
カ 教室会議は、平成30年10月6日の臨時会議において、本件授業において本件セクハラ事案に関連するハラスメント企画を扱うことは難しいとの方向を一旦決定したものの、念のため、本件学術院の教務の判断を仰ぐことを決定した。(甲28、乙79、証人A、被告本人、弁論の全趣旨)
キ 被告は、平成30年10月8日、本件学術院の教務に対し、本件授業の受講生からf誌で扱う企画の提案があり、担当教員はこれらの企画の全てに目を通し、その採否を決めた上で、不採用の企画についてはその理由を説明しなくてはならないこと、本件学生らが、B元教授のハラスメント行為と二次被害について、学内外の関係者や識者にインタビューしてまとめるという趣旨の企画を提出したこと、「現在○○の置かれている状況で、かつ学内予算の出る雑誌で、このような企画を通すのは、現時点では認められないというのが○○の立場です。その不採用の説明に際し、「大学(教務)として認められない」との理由を用いることができれば、担当者としてはありがたいと申しております。」と記載したメールを送信した。
これを受けて、本件学術院の教務は、同月10日、被告に対し、教務として授業内容に介入することはできないので本件○○において判断をしてほしいが、もはやハラスメント等を隠すような時代ではないので、学生がやりたいならハラスメント企画をやらせてあげるべきではないかとの見解を示した。また、教務は、被告に対し、B元教授のゼミ生に対して本件セクハラ事案等についての正式な説明がなかったために、本件学生らがハラスメント企画を提案するに至った面があるようにも思われ、詳細は未定だが、本件学術院長が同ゼミ生に対して説明会を開くことを考えている旨も伝えた。
(以上につき、乙11、乙79、被告本人)
ク 被告は、平成30年10月12日、原告及びA准教授と面談し、教務も交えながら同月17日の教室会議においてハラスメント企画について検討をすること、本件学術院長がB元教授のゼミ生に対する説明会をする予定であるから、本件授業においてハラスメント企画のコンペ等をすることを1週間待ってほしい旨の話をした。(甲27、甲28、乙79、証人A、原告本人、被告本人、弁論の全趣旨)
ケ 平成30年10月13日の本件授業の第3回において、前回の課題であったDのインタビューをまとめた記事の提出があった後、原告は、受講生を50音順に班分けし(その結果、本件学生ら3名は別々の班となった。)、この記事を元にした模擬特集を練習として組むように指示した。(弁論の全趣旨)
コ 被告は、平成30年10月16日、本件学術院の教務に対し、本件学術院長による説明会は、同月29日を候補日としていること、f誌の企画決定は、本件授業の担当者との話し合いで1週間延ばしてもらっており、17日の教室会議で議論する旨を報告した。(乙59)
サ 被告は、平成30年10月17日の教室会議において、教務から、大学(教務)や本件○○が企画を抑圧したと捉えられることのないよう、十分な指導と監督の下、企画を行わせるようにとの回答があったこと等を報告し、教室会議は、本件学術院長によるB元教授のゼミ生に対する説明会の開催を待って、ハラスメント企画を本件学生らの希望どおりやらせる方向で進め、必要に応じて、十分な指導監督をしていくことを決定した。(甲28、乙18、乙79、証人A、被告本人)
シ 被告は、前記サの教室会議の後、原告に対し、当該教室会議において、本件学術院長によるB元教授のゼミ生に対する説明会を待って、ハラスメント企画を進めていくとの結論に決まったことを説明し、そのように本件授業を進めるように指示をした。なお、原告と被告との間では、本件学術院長による上記説明会の開催時期との関係で、本件授業において企画を進行させていく時期が同年11月以降となり得ることについても話題となった。その結果、原告は、同年11月10日の本件授業の第6回まで、本件授業においてハラスメント企画のコンペ等をすることを待つこととなった。(前提事実(2)ウ、甲27、乙59、乙79、弁論の全趣旨)
ス 平成30年10月20日の本件授業の第4回において、受講生は班ごとに模擬特集の打ち合わせを行った。また、同月27日の本件授業の第5回において、各班が作成した模擬特集のコンペを行い、原告による講評が行われた。(弁論の全趣旨)
セ 本件学術院長は、平成30年10月29日、B元教授のゼミ生に対する説明会を開催した。(乙79、被告本人、弁論の全趣旨)
ソ 原告は、平成30年11月8日及び9日、過去の年度におけるf誌の頁数等を照会し、表紙のみ4色カラー・本文モノクロ刷りとの構成で、総頁数が162頁のものを700部という平成28年分の頁数等がスタンダードであること、平成30年分は総頁数が128頁のものを500部であったが、これは全編カラー印刷としたことの都合などで部数を落としたものであるとの回答を得た。(乙73の1ないし5、乙74の1・2)
タ 原告は、平成30年11月10日の本件授業の第6回において、本件学生らに対し、Dのインタビューが本当に取れるかもしれないことになったので、生インタビューを起点にした本特集を作成しf誌に掲載することとすることを説明し、各班(模擬特集時と同じ班)において、Dの生インタビューを含む企画の案について提出し、次回授業においてコンペを実施した上で勝ち残った班の特集を本特集とすること、この本特集の他に卒論の中から優秀作品を選びf誌に掲載すること、雑誌全体の頁数は118頁で印刷部数は500部であること、頁数(118頁)の内訳は卒論の優秀作品が70頁、本特集が40頁であり、残り8頁が自主企画の予定であることを説明した。なお、本件学生らが、f誌にDのインタビューを含む本特集と卒論を掲載することを知らされたのは、この時が初めてであって、この内容はこれまでの授業で説明されたこともなければ、シラバスにも記載されていなかった。(乙3の1、乙69、乙90の1、原告本人、弁論の全趣旨)
チ 原告は、平成30年11月17日の本件授業の第7回をインフルエンザを理由として欠勤し、代わりに、A准教授らが授業を担当することとなった。A准教授は、今年度から自身が本件授業の担当教員となったのは、本件授業とf誌作成のプログラムの組み直しを本件○○から命じられたためであり、本件授業においては、より実践に近い形で、制約を受け入れてその中でどうやりたいことをやるか、制約をどうかわすかを教えたいこと、そのため、f誌の内容も受講生のやりたい企画をただ集めたフリーペーパーのようなものではなく、授業に組み入れられる前の古いf誌に戻し、特集パート・作品パート・フリーパート(自主企画)の三パート構成とすること、作品パートは公募する時間的余裕がないため主に卒論の中から受講生らが選抜をする予定であること、自主企画については授業内で扱わず、コンペ等も行わないが、近年のf誌と同様に受講生が好きなことをやることができ、企画が完成すればf誌に掲載される旨を説明した。
また、A准教授は、本件学生らからの追加の質問を受けて、シラバスの記載は、一部、昨年度の内容が掲載されており間違っていたものの、制約の中でどう雑誌を作るかということや、f誌を三パート構成とすることは、A准教授自身の頭の中にはあったこと、原告が第6回で説明したf誌の頁数の割り振りについては、全体の頁数を増やすこともあり得るのでどうとでも調整ができるが、自主企画をやりたい人がいなければフリーパートは0頁になってしまうこともあること、初回にとったアンケートの自己紹介部分は事務的な工程ができていないために共有できていないが、主たる目的は担当教員の側で学生のことを把握するためのものであったこと、f誌の編集権は本件○○の主任である被告にあること、授業外で進めることとされた自主企画部分の具体的な進め方の説明は、原告もいない状況であり、来週まで待ってほしいことなどを更に説明した。
(以上につき、甲28、乙92、証人A、弁論の全趣旨)
ツ 本件学生らは、平成30年11月17日の本件授業の第7回の後に、本件○○の主任である被告を訪ね、A准教授の授業中及び授業後の説明によると、①f誌の編集権が本件○○の主任である被告にあるのか、本件授業の受講生にあるのか曖昧になっていること、②本件学生らとしては、コンペ等を通じて他の受講生からの意見なども聞きながら、ハラスメント企画を実現できるかどうかについて議論したいと考えていたところ、本件授業においてそもそもコンペ等の機会すら与えられず、企画をやる場自体を狭められていることにやや不信感があること、③自主企画の掲載スペースが0になることも示唆されており、結局は雑誌の都合でハラスメント企画を進めても掲載されない可能性があると感じていること、④本件学生らとしては、本件授業のシラバスは昨年度と同様の内容で、本件授業の初回において特段昨年度からの変更点の説明がなかったにもかかわらず、この際に実施されたアンケートが受講生間で共有されないことなどからすると、本件授業の初回の時点では例年どおり学生主体のf誌を作る予定であったところ、本件セクハラ事案に関連するハラスメント企画の提案があったことを受けて、原告及びA准教授がその方針を転換したのではないかとも思っていること、⑤一番大きいのは、受講生に確認をとることなく、担当教員の側で勝手にf誌にDのインタビューを起点とする本特集を掲載することに決まったことであり、模擬特集のための班分けだと思っていたものが、そのまま本特集についても継続していくことになったことへの不信感が受講生から出ていることなど、主に、原告及びA准教授らの本件授業の進め方に対する様々な不信感を伝えた。なお、本件学生らは、ハラスメント企画を進める上で、本件セクハラ事案の被害者に対する二次被害を生じさせるような内容にならないようにすることについての問題意識を持っていると述べ、被告もその点の配慮は必要であることを確認した。(甲19、乙60、乙61、乙79、被告本人、弁論の全趣旨)
テ 被告は、平成30年11月17日の夜、A准教授と電話で話し、本件学生らから前記ツの不信感の訴えがあったことや、A准教授の授業における説明の趣旨などを確認した。
A准教授は、被告に対し、本件授業の在り方について、要旨、①半期の15回の授業内で雑誌一冊を完成させることは無理であって、例年、授業終了後の2月に、教員及び受講生が長時間拘束される形で編集作業をし、f誌を完成させてきたこと自体に問題があると考えていること、②f誌は本件○○の名義・予算で出す雑誌であることから、本来的には、本件授業外からも自主企画を受け付けることと整理した方がよいのではないかと考えていること、③学生が統一的なイメージもなく好きな企画の寄せ集めをするだけでは授業にならないとの考えから、受講生全員から距離がある統一のテーマとしてDという題材を提示し、実際の雑誌作りの現場に近い、制約のある環境下で本特集を組む勉強をしてもらいたいこと、④授業内で扱う本特集と、授業外で扱う自主企画という区分けについては授業開始前から考えていたものの、シラバスの内容が昨年度の内容のままになっていたことには同日に初めて気が付いたことなどを説明した。
また、A准教授は、被告に対し、ハラスメント企画を授業外の自主企画として扱うことについては、要旨、①本件授業の中でハラスメント企画を取り上げること自体が副次ハラスメントになる可能性がありそうであったことから、本件授業で扱う内容とf誌に載せる内容とを完全には一致させない方針とし、そうすると、ハラスメント企画について受講生全員にオープンに共有してコンペ等をすることは避けるべきであると考えていると説明した上で、②授業外の自主企画をどのように、誰の責任でコントロールするかは来週の水曜日(同月21日)の教室会議において相談しようと考えており、受講生らに対しては、まだ協議中であるとして詳細に説明しなかったことを報告しつつ、③授業外で扱うこととなる自主企画部分の責任者は、授業外という仕切りや、発行主体が本件○○であることからすると、本件○○全体又はその代表である主任(被告)とすることが適切なのではないかとの考えを述べた。なお、A准教授は、被告の質問に対し、授業外の自主企画という形にはなるが、f誌全体の頁数やカラー頁数の調整などによって、完成した自主企画(ハラスメント企画を含む。)をf誌に掲載できないというような事態にはならないものと考えているとも説明した。
(以上につき、甲19、甲28、乙60、乙61、乙79、証人A、被告本人、弁論の全趣旨)
ト 平成30年11月21日の教室会議において、A准教授の前記テのような意向も踏まえて、f誌の自主企画部分(ハラスメント企画を含む。)については、本件授業外で作業を進めることとし、その責任者は本件○○の主任である被告が務めることになった。(甲28、乙13、乙15、乙79、乙89の1・2、証人A、被告本人、弁論の全趣旨)
ナ 原告及び被告は、平成30年11月23日、本件学生らと面談をし、被告は、その冒頭で、これまでの本件授業の進め方の中で、ハラスメント企画について隠ぺいしているかのような印象を与えてしまったこと及びシラバスに誤って平成29年度の授業内容が掲載されており、そのことに誰も気が付いていなかったことを謝罪した。その上で、来月、自主企画についてのコンペ等を行い、企画ごとに3から5名程度の編集グループ(班)をまとめることにすること、自主企画は授業外での企画であることから時間外かつ専任教員の責任で行うものとして、被告が相談役となり対応をすることを説明した。また、やり取りの中で、本件授業の初回でとったアンケートの公開の範囲が自己紹介部分に限定されているのか、作りたいイメージ・企画案の部分までも含んでいるのかが明確ではなかった可能性があるとして、同月24日の本件授業の第8回において、改めて、自己紹介アンケートの公開に関する受講生の意思を確認した上で、手書きの自己紹介アンケートを適宜共有・公開することとした。さらに、本件学生らから、自主企画を授業の外で扱うことが決まったのはいつかと質問があり、被告は、決まったのは、同月17日に本件学生らから話を聞いてからであり、本件○○の教員で議論した結果、非常勤の先生に時間外労働を強いることの問題点を正常化すること等や透明性を確保する観点から、f誌の発行責任者となる本件○○の主任である被告が本件授業の外で自主企画を受け持った方がよいと判断した旨回答した。この中で、被告は、「授業内でいろいろあると、不透明なところが出てしまうと、よくないかもしれないんで、一応何でもこう透明にしてしまう人をというか、責任、今年のf誌の発行責任者になっているから、僕を外に置いた方がやりやすいんじゃないかと思っている。」、「とにかく風通しが悪かった部分は、どんどん風を流していきますし」などと発言した。
原告は、被告が席を外した後も引き続き本件学生らと話をし、要旨、①当初、自主企画の頁数は8頁位であったが、いろいろな調整の結果少し増やせることになったこと、②f誌から自主企画部分がなくなるかもしれないとの説明は、自主企画の性格上、企画が途中で消滅すること等もあり得るという趣旨でしたものにすぎないこと、③完成した記事(自主企画)は、他の企画との間での若干の頁数の調整を要する可能性があるものの、掲載自体ができなくなるようなことは考えていないこと、④h社を本特集のテーマにすることは複合的に決まったものであること、⑤Dに対するインタビュー交渉は、原告とA准教授が、知人を間に挟んで行っていること、⑥自主企画を授業外で被告が担当するという方針は、直近の教室会議で決定したものであるから、本件学生ら以外の受講生にも説明をする必要があると考えていること、⑦f誌の編集権が誰にあるかは確認しないと分からないが、受講生か、本件○○の学生全体なのではないかとの説明をした。また、本件学生らは、原告に対し、①A准教授は第7回授業で自主企画についてのコンペ等はやらないと断言していたところ、今回の原告及び被告からの説明ではこれを実施することとなっており、受講生からすると、言っていることが二転三転しているように見えるので説明が必要であること、②自主企画を授業外で扱い、かつ、担当教員ではない被告が相談役になることは明らかにシラバスに記載されておらず、この点についても説明が必要であること、③本件授業の方針が、昨年度までの授業内容又はシラバスの記載とは異なっていることについて、受講生としては、初回から数回の間であれば履修取り消しをした上で他の授業を選択する余地もあったことなどから、シラバスからの変更点については初回授業などにおいて説明をしてもらいたかったことなどを指摘し、原告としてもこれらの指摘事項について同意した。
(以上につき、前提事実(2)ウ、甲20、甲27、乙14、乙62、乙62の2、乙79、原告本人、被告本人、弁論の全趣旨)
(2) まず、前記(1)でみた経過を整理する。
A准教授が、ハラスメント企画の希望あったことを被告を含む本件○○の教員らに相談したことをきっかけとして、教室会議においてハラスメント企画の取扱いについて議論がされ、一旦は、ハラスメント企画を本件授業で扱うことは難しいとの方向になったものの、その後、教務の判断を仰いだ結果、平成30年10月17日の教室会議において、ハラスメント企画を希望どおりに進める方向とし、必要に応じて十分な指導監督をしていくことになり(前記(1)ウ、エ、カ、キ、サ)、被告は、同日の教室会議の後、原告に対し、本件学術院長によるB元教授のゼミ生に対する説明会を待って、ハラスメント企画のコンペ等をするようにとの指示をし、その結果、原告は、同年11月10日の本件授業の第6回までの間、本件授業においてハラスメント企画のコンペ等をすることを待つことになった(前記(1)シ)。その後、原告は、同説明会後の本件授業の第6回において、今年度のf誌について、Dの生インタビューを起点にした本特集を掲載することになったこと、及びf誌の全体の頁数が118頁であり、そのうち自主企画に使える頁数が8頁の予定であることを説明した上、第5回までの模擬特集の班を引き継いだままで、本特集についてのコンペを実施することとし(前記(1)タ)、また、A准教授は、同月17日の本件授業の第7回を原告の代わりに担当し、本件学生らに対し、シラバスの記載には間違いがあり、また具体的な進め方については来週までに検討するものの、授業として行う本特集では制約の下での表現を学んでほしいとし、本年度のf誌では、学生がやりたいことをやる自主企画は授業の外で扱い、コンペ等も行わないこと、自主企画のページ数の増減の調整は可能であるが、やりたい人がいない場合には自主企画部分は0頁になることもあること、本件学生らがハラスメント企画を記載した自己紹介アンケートを共有する具体的な予定はないことなどを説明した(前記(1)チ)。本件学生らは、このような原告及びA准教授の授業での説明を受けて、同日中に、本件授業の担当ではなく、本件○○の主任である被告を訪ね、本件授業の進め方がシラバスや例年の授業内容とは大きく異なっているにもかかわらず、そのことは本件授業の初回では全く説明されておらず、受講生の了解を得ることもなく教員の側でDインタビューを起点とする本特集を作るようにとの指定がなされた上、例年どおりの自主企画は授業外とされ、コンペ等をする機会もないということであり、かつ、ハラスメント企画の希望を記載したアンケートも共有されず、さらに、f誌における自主企画の頁数がかなり少ないか0頁になることも示唆されるなど、原告及びA准教授の本件授業の進め方についての様々な不信感を表明した(前記(1)ツ)。そして、最終的に、A准教授の要請も踏まえ、f誌の自主企画部分は本件授業外で被告が責任者となって進めていくこととなり、被告は、同月23日、本件学生らに対し、透明性を確保し風通しを良くするために被告が関与することになった旨の説明をするなど、本件行為1を行った(前記(1)テ、ト、ナ)。
以上のような経過によれば、本件○○の主任である被告としては、本件学生らが参加する本件授業において本件セクハラ事案をいかにして取り扱うべきかにつき、教室会議の見解や本件学術院の教務の見解等を踏まえつつ慎重に対応すべき状況下にあったといえ、原告に対して、本件学術院長による説明があるまではハラスメント企画のコンペ等の実施に入らないよう原告に指示することが不相当であるとはいえない。当該指示の結果、原告は、本件授業の第2回から第5回までの間、ハラスメント企画のコンペ等に入ることができず、シラバスの記載や例年の授業進行とは異なる事態が生じているが、これが本件学生らの原告に対する不信感を生じさせる一因となったとしても、上記の次第であるから被告による指示が違法であったということは困難である。そして、本件学生らが被告に直接に相談をするほどにその不信感を持ったのは、上記のような被告の指示に起因する第2回から第5回までの進行の遅れや変更というよりは、シラバスの記載や本件授業の初回における説明からは、昨年までのf誌とは異なる内容の雑誌作成を行うとの話がなかったのに、原告自身が本件授業の第6回で突如として本特集の指定をし、自主企画部分の頁数を8頁という僅かな頁数にすぎないものとして説明し、その次の第7回の授業では、A准教授が、第6回の授業での説明内容とも異なる、自主企画を授業内で扱わず、コンペ等もせず、場合によっては掲載がない可能性があることを示唆するなどしたことにあったと認められる。本件行為1の本件学生らに対する説明は、そうした状況を踏まえ、本件学生らの不信感を払しょくする趣旨で、被告が本件授業外でのf誌の作成作業に関与することになったことに関連して述べられたものといえるのであって、これが、被告が教室会議の決定も踏まえつつハラスメント企画のコンペ等の実施を引き延ばしていたことを隠ぺいしたり、原告が不適切なことをしていたことを強調したりする趣旨でなされた虚偽の説明であるとみることは困難であり(なお、これまでの本件○○における議論の内容を、本件学生らに対して逐一説明すべき義務があるとはいえない。)、少なくとも、このような説明によって、本件学生らの原告に対する不信感を生じさせたり、これを強めたりしたなどということはできない。したがって、本件行為1によって、被告が、本件学生らの原告に対する不信感を生じさせ、もって原告の就業環境を著しく害したということはできず、これが原告に対する不法行為を構成するとは認められない。
2 争点(2)(本件行為2が原告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 前提事実並びに証拠(甲13ないし甲15、甲21、甲22、甲27ないし甲30、乙21の1・2、乙22、乙23の1ないし3、乙25、乙26の1ないし4、乙28、乙29の1・2、乙30、乙31、乙32の1・2、乙33、乙34、乙63、乙79、証人A、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 平成30年11月24日の本件授業の第8回において、本特集についての各班のコンペが行われた。また、原告から、受講生に対し、初回にとったアンケートを公開する予定なので、一部又は全部のいずれの公開を希望するかを申告するようにとの説明があった。さらに、自主企画についても、近くコンペ等を行う予定であることが説明された。(弁論の全趣旨)
イ 原告は、平成30年11月27日付けで、h社に宛てて、Dのインタビュー動画を起点とした本特集をf誌に掲載する予定であること、その際にDのインタビューの再録をさせていただきたい旨の依頼文を作成・送付したところ、h社の担当者は、同日、そもそも、D監督自身がf誌のインタビューを受けたわけではないことから、原告の述べるような本特集自体が成立しないと思われること、また、この点に目をつぶったとしても、インタビュー原稿をD監督自身が確認する時間的余裕がないとして、原告の依頼を断った。(甲29、甲30、原告本人)
ウ A准教授は、平成30年11月29日、本件学術院の教務に対し、本件授業においてハラスメント企画を取り扱うことについての副次ハラスメントのリスクなどについての検討メモ(具体的には、本件セクハラ事案の関係者や本件授業の受講生などに、ハラスメントや訴訟リスクなどがあるというものであった。)をメールで送付した。その中では、本件授業とハラスメント企画とを切り分けることによるリスク管理の提案などが含まれていた。(甲13、甲14、甲28)
エ 平成30年12月1日の本件授業の第9回において、本特集のコンペの結果として、5つの小企画から構成される「あなたとして生きる」というテーマが選ばれ、選ばれなかった班の学生は、この5つの小企画のいずれかに所属することが義務付けられた。また、初回でとったアンケートが、受講生の一部・全部開示の希望の別に従って、受講生間で共有された。(弁論の全趣旨)
オ 平成30年12月8日の本件授業の第10回において、被告も同席の下、自主企画のコンペ等が行われたところ、ハラスメント企画が自主企画として成立した。この際、本件学生らは、ハラスメント企画の具体的な内容として、Cを含む複数名へのインタビューを予定しており、このインタビューのための依頼状や質問状の作成の叩き台として、本件○○の全学生にGoogleのアンケートフォームを利用してアンケートを送付したいと希望した。
原告は、授業後、被告に対し、本件セクハラ事案について具体的な事情を把握していない原告では、ハラスメント企画の内容についての判断が難しいので、今後、自主企画であるハラスメント企画の内容の精査・検討は、授業外で、被告と本件学生ら3名との間で直接進めてほしいとの申入れをし、被告はこれを了解した。
(以上につき、前提事実(2)エ、乙21の2、乙22、乙26の3・4、弁論の全趣旨)
カ 原告は、平成30年12月8日以降、A准教授に対し、ハラスメント企画においてCにインタビューを実施することなどに伴う名誉毀損訴訟のリスクを指摘する内容のメールを送信した。(乙26の4、弁論の全趣旨)
キ A准教授は、平成30年12月12日、被告に対し、メールを送付し、まず、これまでの教室会議の議論等を通じて、ハラスメント企画を含む自主企画については授業外で被告が責任者となって進める体制が構築できており、非常勤講師である原告をハラスメント企画を進めることによる副次ハラスメントのリスクから守る対処はできたことを確認した。その上で、A准教授としては、次に、本件○○やその主任である被告を、名誉毀損訴訟という別のより深刻なリスクから守る方策を考える必要があるとして、具体的なリスクの内容やその対策を記載したメモを送付した。
その具体的な内容は、ハラスメント企画の内容次第では、本件セクハラ事案についての実名の記載や事実誤認に基づく記載などがなされる可能性があり、これは本件○○が発行主体であるf誌による副次ハラスメント又は名誉毀損訴訟に発展するリスクがあること、従って、ハラスメント企画全体において、①実名記載の回避(匿名化)、②事実関係の可能な限りの照合と、事実確認ができない記述についての過不足のない配慮が最低限必要ではないか、③これらの措置を講じたとしても更に複数のリスクが想定されるといった内容であって、ハラスメント企画を進めさせないこと自体が隠ぺいととられる危険があるというこれまでの議論は妥当である一方で、ハラスメント企画を進めることによって全く別の、より深刻な訴訟リスク等があるとして、可能であれば法務や法的な専門家のアドバイスを伴って進めていくような体制が作れないかと打診するものであった。
このA准教授の指摘事項は、同日の教室会議においても共有された。
(以上につき、乙23の1ないし3、乙26の1・2、被告本人)
ク 被告は、平成30年12月13日、本件学術院の教務に対し、ハラスメント企画の柱の一つとして、本件○○の学生に対するハラスメントについてのアンケートの実施の提案があり、その内容等について、問題のある箇所や修正の必要な箇所があるかどうかを照会した。その後、最終的に、本件学生らによる修正や再度の教務による確認を経て、上記アンケートは本件○○の学生に対して一斉メールで送信された。(乙21の1・2、乙25、乙79)
ケ 本件授業は、平成30年12月15日に第11回が、同月22日に第12回が行われ、特集企画や自主企画についての話し合い等がされた。(弁論の全趣旨)
コ 本件学術院の教務は、平成30年12月21日、A准教授に対し、f誌におけるハラスメント企画の状況について大学の法務部門にも情報共有したところ、法務部門としては、学生が教員の適切な指導の下、関係者を傷つけないという十分な自覚をもって企画を実行し発行するのであれば、訴訟の可能性を過剰に心配する必要はないだろうとの見解であった旨を回答した。また、教務は、同月22日、A准教授とのやり取りの要旨を被告にも伝えた。さらに、被告は、同月26日、法務課長のコメントの全文をメールの転送の形で入手した。(甲15、乙28、乙29の1・2)
サ 原告は、平成30年12月25日、被告に対し、被告と本件学生らとの打ち合わせの日時・場所を尋ね、もし未定であれば原告から学生たちに連絡をする旨のメールを送った。これに対し、被告は、同月26日、原告に対し、ハラスメント企画は原告の手を離れており、被告が対応することとなっていたことから、打ち合わせは同月27日になったことを伝えるとともに「冬季休業期間中ですし、演習外の「f誌」編集に該当するかと思いますので、当方が対応します。」とのメールを返信した。(乙30、乙31、弁論の全趣旨)
シ A准教授は、平成30年12月25日、ハラスメント企画に伴う名誉毀損訴訟等のリスクについて、a大学の法務課に相談したところ、原稿ができあがっているわけでもない段階で、事実誤認、名誉毀損、プライバシー侵害のリスクがあるというだけで企画の見直しを求めると、かえってハラスメントの隠ぺいと取られる可能性があるものの、具体的な事案に即して懸念を事前に伝えること自体は問題ない旨の回答を得た(前記コで被告が取得した、法務課長のコメントである。)。
上記のような回答を得たことを受けて、A准教授は、同月27日の午前5時頃、被告に対し、メールで、上記リスク事項について、A准教授の側で必要な資料を作った上で被告から本件学生らに伝える方法にせよ、原告又はA准教授が同席の上説明をする方法にせよ、即日の相談が必要ではないかと連絡した。これに対し、被告は、同日午後1時頃、A准教授に対して、懸念は分かるので被告の口から可能な範囲でリスク事項については説明すること、A准教授の指摘するリスク事項の説明の機会はf誌のスケジュール上今後もまだあると考えられること、本件学生らとの打ち合わせは午後3時からの予定であるが、自主企画の担当は被告であり、威圧的な印象を与えないように被告一人で学生との打ち合わせをするので、A准教授の同席は不要である旨を伝えた。
(以上につき、甲21、甲22、乙32の1・2、弁論の全趣旨)
ス 原告とA准教授は、被告に事前に連絡をせず、平成30年12月27日午後2時頃に被告の研究室を訪れたところ、被告も午後3時からの学生らとの打ち合わせのために午後2時40分頃に研究室にやって来た。A准教授は、被告に対し、ハラスメント企画に伴う名誉毀損やプライバシー権侵害などの訴訟リスクについて記載された書面を交付し、「編集の実務を知らない主任ではわからないところがあるだろうから、X講師に言わせてもよいし、この紙を渡しても良い。」などと述べた。そのようなやり取りをしている間に、本件学生らが被告の研究室を訪れたので、被告は、原告及びA准教授が同席したままの状態で、本件学生らと打ち合わせを開始した。もっとも、A准教授は、冒頭に同席したのみで途中退席した。
まず、被告は、本件学生らに対し、作家としての立場からインタビューをする際の心構えや進め方についての助言を伝えた上で、「で、Xさん的に、そのあと気をつけなきゃいけないってところは何ですか?僕は雑誌の現場にいる人間じゃないんで。」と原告に発言を促した。これを受けて、原告は、実際の雑誌編集の実践という観点・立場から、本件セクハラ事案の概要は、大学の公式発表とメディアによる報道内容に相違があり、Cが本件セクハラ事案の具体的な事実関係に言及したときに事実確認が極めて難しいこと、出版社のような校正・校閲部門を有しないf誌の学生編集部において事実確認などをすること自体が困難である上、Cと本件学生らとのやり取りを通じて該当箇所を削除することに納得が得られるかどうかの見通しが不明瞭である点にも懸念があることなどを伝え、記事に実名を記載した場合には名誉毀損訴訟に発展するリスクが伴うことをCに伝えることで実名を避ける方向に回答を誘導していくことが必要になるのではないかとの助言をした。被告は、「やる前に、こういう危険があるって言うのもどうかっていう風には思うんだ。」と述べた上、続けて、原告はこれまで雑誌を作る現場を見てきた人間であって、「Xさん的な言い方もよくわかる」として、その説明内容に理解を示した。被告は、その上で、工夫をするとすれば問いの立て方ではないかと述べ、原告もこの点は本質的なところであり重要だと同意したが、同時に、実効性をもって回答者の発言をコントロールするようなことは熟練のインタビュアーでも難しく、本件学生らには無理ではないかという話題も出た。
被告は、ここまでのやり取りを踏まえて、自身が編集の実践の観点や具体的な訴訟リスクの判別などの実務能力は欠けるとの立場を表明しながらも、インタビューを受ける作家の心情の観点から、インタビューに臨むに当たって、Cの過去の著作を本件学生らで手分けして読み込んでいくなどすることで、その熱意が伝わるのではないか、そこがインタビューとしての内容の面白さにつながるのではないかとの意見を述べるとともに、原告から、実務的な視点として、名誉毀損訴訟等のリスクを回避することとの落としどころを探る必要があるとの説明があったものと整理した。
以上のような被告及び原告とのやり取りを踏まえて、本件学生らは、個人名が出てくる形になった場合の対応は相談したいと考えていたとしつつ、熱意をもって率直にCに語ってもらいたいというハラスメント企画の趣旨からすると、固有名詞を避けることで失われるもの、伝わらなくなるものもあるように思い、実名を全て避けるというような方針は望ましくないように感じるとも述べた。本件学生らの希望を受けて、被告は、まずインタビューを実施した上で、本件学生らとCとの間で「できあがったものを、今、具体的に相談しながら、そこは時間がかかるかもしれないけれど、やり取りをするということにせざるを得ないところがあると思うね。」、「今の話、具体名が出ることは当然だと思うんだよね。」などと発言し、学生の熱意をもって、Cを信頼したい気持ちがある旨を述べた。この点について、原告は、自身が編集を担当するg誌がCから本件セクハラ事案に関してセクハラ体質だと批判された実例があり、Cを手放しで信頼し、回答を求めるということについては懸念が拭い切れず、何らかのリスク回避措置を講じておく必要があると考える一方で、本件学生らとして、インタビューにおける質問事項や回答を制限したくないとの気持ちも分かることから、どうしたら良いという答えは持ち合わせていないものの、最低限、事実関係の裏取りをした事実を残しておくことが必要なのではないかと述べた。
(以上につき、前提事実(2)エ、甲27、甲28、乙33、乙34、乙63、乙79、証人A、原告本人、被告本人、弁論の全趣旨)
(2) 前記(1)でみたとおり、原告と被告との間では、平成30年12月8日以降、本件授業外で進めることとされた自主企画であるハラスメント企画ついては、被告が本件学生らとの間で直接にやり取りをすることになっており(前記(1)オ)、被告は、当初、A准教授及び原告から指摘のあったCに対するインタビューに伴うリスク事項については、まずは被告において可能な範囲で説明し、より具体的な説明の必要が生じた場合には別途そのタイミングはあると考え、同月27日の本件学生らとの面談は、被告単独で行う意向であり、原告及びA准教授にもそのように伝えていた(前記(1)サ、シ)。ところが、原告及びA准教授は、積極的に、本件学生らに対してリスク事項をあらかじめ説明しておきたいとして、事前に被告に連絡することもなく、被告と本件学生らとの面談に同席した(前記(1)ス)。そして、被告は、同日の面談において、自身が編集の実践の観点や具体的な訴訟リスクの判別などの実務能力は欠けるとの立場を表明し、訴訟リスクの判別とは異なる次元の問題として、インタビューに臨む際の心構え等について助言をする一方で、雑誌の編集現場の経験がある原告に対し、Cに対するインタビューに伴う懸念事項として名誉毀損訴訟のリスクなどについての説明を促したため、原告は、本件学生らに対し、ハラスメント企画の内容としてCに対するインタビューを実施することについて、記事に実名を記載した場合には名誉毀損訴訟に発展するリスクがある一方で、Cの回答を質問内容でコントロールすることや、記事の内容の事実確認をすることは困難であり、最低限、事実関係の裏取りをした事実を残しておくなどのリスク回避措置を講じておく必要があることなどを説明し、被告は、原告の説明に対しては理解を示すなどの対応をしていた(前記(1)ス)。
以上によれば、被告は、本件学生らとの面談において、ハラスメント企画を進めるという本件学生らの方針を肯定しつつ、ハラスメント企画を採用した場合のリスク事項について原告に説明を促したため、原告は、ハラスメント企画の実施を妨げる方向であるリスク事項の説明をしたものと認められる。しかし、本件学生らが原告による説明をどのように捉えたかはともかくとして、ハラスメント企画を実施するに当たっては、名誉毀損等を理由とする訴訟の提起を受けるリスク等は現実的に認められるのであるから、編集の実践の場に身を置くわけでもなく、また、法的な知見を有するわけでもない被告が、同席していた、編集の現場の経験があり、かつ、本件授業を担当する原告に対してリスク事項の説明を促すことは自然な流れであるといえ、面談当日の具体的な会話の内容を踏まえても、被告がその優越的な地位を利用して、必要かつ相当な範囲を超え、原告にこれを押し付けたということは困難である。また、本件学生らとの面談では、被告が一人でリスク事項の説明をする予定であったにもかかわらず、原告及び特にA准教授の側で、積極的に本件学生らにリスク説明をする必要があるとして同日の面談に一方的に同席をするに至ったものであり(前記(1)ウ、カ、キ、コ、サ、シ、ス)、被告が原告に対してリスク事項の説明を押し付けるということ自体考え難い状況にあったものである。加えて、原告は、被告は原告がする説明の内容を批判するような発言をしたとも主張するが、同日の面談の内容を全体として踏まえれば、被告は原告の指摘するリスク事項の懸念にも理解を示していたといえ、原告による訴訟リスクの説明の内容が間違っているとか誇張であるとかいった批判をしたとは認められず、何らかの形でそのリスクとの折り合いをつけていく必要があるという形で話をしたにすぎないものといえ、少なくとも、面談当日の被告の言動によって、本件学生らの原告に対する不信感を生じさせたと認めるに足りない。したがって、本件行為2によって、本件学生らに原告に対する不信感を抱かせ、講師である原告の就業環境を著しく害したとは認められず、これが原告に対する不法行為を構成するものであるとは認められない。
3 争点(3)(本件行為3が原告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 前提事実、前記1(1)、前記2(1)でみたところに加え、証拠(甲16ないし甲18、甲27、甲28、乙1の1の1、乙35の1・2、乙36ないし乙45、乙46の1・2、乙47、乙48の1・2、乙49の2、乙65、乙79、証人A、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 本件学術院の教務は、平成30年12月28日、被告に対し、教務において、A准教授に宛てて、本件○○で決定したとおりf誌の自主企画については主任である被告に任せることを求めるメールを送信した上、年明けに、教務とA准教授との間で、①A准教授の指摘するハラスメント企画に伴う名誉毀損訴訟リスク等の懸念点及び②教務として把握しているA准教授の授業勤怠について面談をすることとした旨の連絡があった。(乙35の1・2、弁論の全趣旨)
イ A准教授は、平成31年1月7日、本件学術院の教務と面談をした。その後、A准教授は、教務に対し、現状で具体的に想定されるリスク事項について深刻に、かつあらかじめ検討しておく必要があり、無用なトラブルが生じた場合に最も傷つくのは、本件学生らにとどまらず、本件○○、b学部に所属する数百人・数千人の学生たちであること、B元教授のゼミ生(本件学生ら)の心情への配慮は大切ではあるものの、同時に、本件学生らを満足させることで他の学生たちに別の負担や負荷を強いることがないよう配慮を求める旨を記載したメールを送信し、本件○○が発行主体となるf誌にハラスメント企画が掲載されることについて、それに賛同しているわけではない他の多くの学生たちに理不尽な新たなストレスを生じさせるものとの認識を示して、教務としてハラスメント企画に伴う具体的なリスクについて検討することを求めた。(甲16ないし甲18、甲28、証人A)
ウ 被告及びA准教授らとの間で、平成31年1月11日から15日まで、ハラスメント企画におけるCへのインタビューの依頼文に関して、本件学術院の教務の意向の確認について、複数回のやり取りがなされたが、教務は、当初から一貫して、学生の立場として書かれているものであり、内容の修正は必要ないとしており、最終的にも特段の修正を要しないこととなった。
この過程の中で、被告は、教務との間で、教務が本件○○の自主性を尊重する方針であることは当然ではあるが、依頼文の修正が必要ないとの上記の判断が、このような自主性を尊重する立場からの判断にとどまり、最終的には本件○○において検討、判断する余地があるという趣旨だとするならば、何か問題が生じた場合の責任者は本件○○の主任である被告だということになってしまい、そのことを確認するようにA准教授に誘導されていると感じているとの相談をし、これを受けて、教務は、本件○○の上部組織である本件学術院としての責任の下、依頼文については、削除や修正の必要はないという判断が公式になされたという理解でよいという趣旨の回答をした。
(以上について、乙36ないし乙39、被告本人)
エ 原告は、平成31年1月12日、被告に対し、本件授業の第13回が始まる前に、前記ウのCへのインタビューの依頼文について確認したいことがあるとして、本件学生らとの打ち合わせへの同席を求めたが、被告の予定がつかないことから、週明け以降に改めて日程調整をすることとした。
また、原告は、同日の授業終了後、被告の了解を得て、本件学生らに確認したいこと等の話をし、Cに対するインタビューの依頼文の内容についても、客観的な事実が何であるかとそのことに対する解釈とは切り分けて書く必要があることなど具体的な指摘をした。
(以上につき、乙40、乙41、弁論の全趣旨)
オ 本件学生らは、平成31年1月17日頃、Cに対し、インタビューの依頼文を送付し、Cが本件セクハラ事案をどのように捉えているかや、文学で様々な抑圧と戦い続けてきたCから本件○○の学生に向けたメッセージなどについてのインタビューを依頼した。(乙42、弁論の全趣旨)
カ 平成31年1月19日の本件授業の第14回において、本件学生らから、原告とA准教授に対し、Cに対するインタビューの実施が時間的な観点から困難との応答があり、代わりにCからの寄稿を掲載する方向になりそうである旨が報告された。本件学生らは、同月20日、被告に対しても、インタビューではなく、Cが寄稿してくれる方向になったが、最終的には間に合わなかったり、ごく短い物になったりする可能性もある旨をメールで報告した。その後、同月26日に本件授業の第15回が行われ引き続き打ち合わせが行われた。(乙43、弁論の全趣旨)
キ Cは、平成31年1月27日、本件学生らに対し、約9000字の長文のエッセイの初稿(本件エッセイ)を送付した。
なお、最終的にf誌2019に掲載された本件エッセイは、「これ?2019年f誌の解説です」と題するものであり、本件学生らが、Cに対し、ハラスメント企画という形でB元教授による本件セクハラ事案を告発すべきだと考えたところ、A准教授及び原告からありとあらゆる妨害を受け、このことは担当教員による本件学生らに対するハラスメントである旨述べたこと、Cは、本件学生らが現場の指導教員であるA准教授及び原告を批判する特集を意図しているものとインタビュー依頼の趣旨を受け止めたこと、本件授業においては、①学生が自主的に企画を作るはずであったのに、担当教員の指示によって、Dの模擬特集が本特集として差し替えられ、結果的には、Dのインタビューは忙しくて断られたとあっさり言われたとの経過があり、そうすると、真実はともかく、Dの模擬特集と称してハラスメント企画に割ける頁数を削減しようという意図があったのかもしれないと本件学生らが感じたこと、②インフルエンザかもしれないという理由での原告の不審な休講があったこと、③原告は、平成30年12月27日、本件学生らによるCに対するインタビューの実施に際して、「名誉毀損訴訟が起こるといけないので個人名が書けない場合があると言っておけば」と助言したこと、④A准教授が、原告の休講時の代打の際に「表現の制約を学んでほしい。」と述べたことなどが盛り込まれていた。
(以上について、前提事実(2)オ、乙1の1の1、乙44、弁論の全趣旨)
ク 被告は、平成31年2月3日、本件学生らのうち2名と面談をし、本件エッセイの内容がハラスメント企画をめぐる本件授業の担当教員である原告及びA准教授の実名批判となったことの報告を受けるとともに、本件学生らとしてはこのままの形で本件エッセイを掲載したいと考えているところ、今後、A准教授及び原告から当然反発があると予想されるため、どのように対処すればよいかとの相談を受けた。被告は、本件エッセイを一読して、作家の作った「作品」であること、無報酬で協力を得たものであること、情報ソースが現場の本件学生らであること、過去のCとA准教授とのやり取りが記されていることなどからして、その内容に大きな訂正を求める余地はないと考え、被告は、本件学生らに対し、被告個人の考えとしては、本件エッセイはそのまま掲載する以外にはないと考える旨を伝えた。その上で、被告は、f誌の発行主体である本件○○の教室会議の席で、依頼文と同様に、本件エッセイを共有した上でその内容の検討をすることも可能であることを伝えたところ、本件学生らの方から、教室会議での共有をしてほしいとの打診があったので、被告としては、教室会議での共有は、依頼文の検討時の状況からすればハラスメント企画を抑える方向ではなく、推し進めるためのものになるはずであると説明して、これを教室会議に諮ることとした。(乙44、乙79、被告本人、弁論の全趣旨)
ケ 被告は、平成31年2月4日、本件エッセイの初稿を、本件学術院の教務にメールで送付し、元々は、本件エッセイの原稿が届いた段階で、原告にも連絡をすることになってはいたが、前記クのような本件エッセイをそのまま掲載したいとの本件学生らの意向、教室会議にも本件エッセイを共有するという段取りとの関係で、表向きは、同月8日の教室会議の朝に本件エッセイが届いたということにした上で、まずは教室会議のみでの判断をすることとし、その中で異論があれば教務の判断を仰ぐことを述べる段取りとすることなどを提案した(これは、既に、教務に本件エッセイの初稿が渡っており、その内容の検討・判断がなされていることは伏せたままとするという趣旨である。)。これに対し、教務は、同月5日、被告に対し、本件エッセイについて、非常勤講師である原告への言及がやや気になる程度で原稿の修正は不要であるとの見解を示すとともに、本件セクハラ事案に関わる面があることから、念の為大学の法務担当理事にも確認したところ、法務の観点からも掲載に問題なしとの回答を得たことを伝えた。被告は、同月7日、教務に対し、本件エッセイの修正稿が上がって来たので、これを再度共有した。(乙44、乙45、乙46の1・2)
コ 原告は、平成31年2月5日、本件学生らを対象にし、外部の校正会社のスタッフが講師を務める校正作業についてのレクチャーを実施し、その中では「差別」や「名誉毀損」についての説明やレクチャーが行われた。(弁論の全趣旨)
サ 本件学生らは、平成31年2月8日、原告及び被告に対し、修正を終えた本件エッセイを送付した。また、同日には教室会議が開催される予定であったところ、原告及びA准教授は、その開催5分前に、被告の研究室を訪れ、原告は、被告に対し、本件エッセイについて、原告を加害者、本件学生らを被害者とするハラスメント事案として正式に取り扱ってほしいと訴えた。また、A准教授は、教室会議に原告を出席させるように主張し、被告は、自分一人では決めることができないとして、原告を待機させた。被告は、本件エッセイの初稿が送付されるまでは、Cが本件セクハラ事案についての寄稿をするものと予想していたために、本件エッセイが本件授業に関する原告やA准教授の言動をその内容としていたことについて、原告及びA准教授に対し、予想していたものとは違うものが出てきたという趣旨の発言をした。
被告は、教室会議の冒頭において、本件学生らからは、短いコメントの寄稿がある予定と聞いていたところ、本件エッセイはボリュームのある一つの作品として出来上がってきたところであり、これをf誌に掲載するかどうかの議論をしなければならないと議題についての説明をした(具体的な発言内容は、前提事実(2)カの第1段落記載のとおりである。)。被告は、その後、基本的には司会進行役に徹していたが、本件学生らからの不信感の訴えがあった時期としては、本件○○としてハラスメント企画のコンペ等を待つように指示した時期よりも後の、Dの本特集の話やA准教授が原告の休講時に授業をした頃からであるとの認識を述べたほか、教務の意見に議論が誘導されることがないよう、事前に教務から本件エッセイの掲載の承諾を得ていたことを伏せ、会議中に被告が電話で確認し、教務が掲載を認めているという形で教務の意見を報告した。
A准教授は、本件エッセイの内容が事実と異なる場合には協議が必要であるとの問題提起をし、原告の意向を代弁する形で、載せるかどうかの問題に歪曲・矮小化せずに、原告から本件学生らに対するハラスメントの問題として正式に扱った上で事実確認をしてほしいこと、原告に非があれば謝るが、本件○○として対応してきたものであるから、原告個人の責任に落とし込まれるのは認め難いとも考えていることなどを説明した上で、正確に意向を代弁することには限界があるので、原告自身の教室会議への参加を求めるなどした。これに対しては、複数の教員から、原告が何を目的として、教室会議に出席し、何を話したいのか疑問であるという指摘があり、A准教授としても、原告が同日の教室会議に参加し、話をすることの意味を明確には説明することができなかった。
議論の中で、A准教授あるいは原告が問題提起をしているのは、本件エッセイの内容云々やそのf誌への掲載自体ではなく、本件授業の中で原告から本件学生らに対するハラスメントがあったかなかったか、その事実確認であるということが明確になっていき、最終的に、A准教授は、自身、また自身が把握している原告の意向として、本件エッセイをf誌に掲載させないことを求めているわけではないと述べるに至った。そして、ハラスメントの問題ということになると、同日に当事者の一方である原告からのみ話を聞くことは不適当であること、被害者ということになるはずの本件学生らの側から正式なハラスメント被害の申告がなく、Cからの本件エッセイが出てきているだけの状況で、ハラスメントの加害者とされる原告がハラスメント防止室に事案を持ち込むことの違和感も指摘された。その結果、原告から話を聞く機会は、別日(同月25日)とし、本件エッセイをf誌に掲載する方向で議論が落ち着きかけたので、被告は、自身としては、ハラスメント案件として扱うのであれば、本件エッセイの掲載やf誌の編集作業は途中で差し止めるという形にせざるを得ないようにも思っていたが、ここまでの議論の中では、本件エッセイの掲載と原告の訴えるハラスメントとは別の問題として切り分けられるということでよいのかという確認をし、最終的には、教室会議において、出席教員全員の賛成で(ただし、A准教授は棄権した。)、本件エッセイは一篇の「作品」として完成されていること、情報ソースは本件学生らがハラスメント企画を進めるに当たって実際に感じたことであって、本件○○としてその内容が正しいか正しくないかを調査判断することはできないことから、本件エッセイを修正せずに掲載することで問題がないことを確認した(このような経過の中で、被告は、前提事実(2)カの第2段落記載の発言をした。)。
その後、原告は、教室会議の休憩中に、A准教授から、原告の話を聞く機会を同月25日とするとの連絡を受けたことから、A准教授を通じて、再度、教室会議に対し、本件エッセイの件を原告による本件学生らに対するハラスメント事案として正式に取り扱うことを求め、同日に原告からの意見聴取をするというのでは遅すぎ、即時に対応がなされない場合、本件○○から非常勤講師である原告に対するネグレクト及び責任転嫁としてのハラスメントであるとして学内外のハラスメント相談機関に相談する旨を上申した。これによって、原告自身は、A准教授とは異なり、本件エッセイをf誌に掲載しないことを求めていることが教室会議に共有されたが、教室会議では、原告の意向の後半部分は、本件○○ないし教室会議が原告に対するハラスメントをしたと述べるほどに事態がこじれているとして、ハラスメントの加害者となり得る教室会議において、その被害者となり得る原告から話を聞くということは一層妥当ではなく、A准教授も含めた参加者全員において、原告からのハラスメントの訴えについては、第三者機関において対応せざるを得ないという方向で議論がまとまった。
最終的に、教室会議としては、本件エッセイのf誌への掲載の決定と、原告の申し立てるハラスメントの問題は切り離して扱うべきものと整理した上で、原告と学生らとの間でのハラスメント事案については、公正を期すために、本件○○で取り扱うのではなく、ハラスメント防止室への相談を促すこととして、原告に対する通知文を作成し、被告は、同月10日、原告に対し、ハラスメント防止室への相談を促す内容(その具体的内容は前提事実(2)カの第3段落記載のとおりである。)の通知文をメール送信した。
(以上につき、前提事実(2)カ、甲27、甲28、乙47、乙48の1・2、乙49の2、乙65、乙79、証人A、原告本人、被告本人、弁論の全趣旨)
(2) 被告は、ハラスメント企画を含むf誌の自主企画分について、本件授業外で本件○○と共に責任を持つとされていたところ(前記1(1)ト)、A准教授からは、ハラスメント企画は、本件セクハラ事案の二次被害を生じさせるリスクがあることが指摘される一方で(前記(1)イ)、本件学生らが、原告等からリスク事項についての説明を受けた上で、Cに対してインタビューを依頼したところ(なお、その依頼文については、教務から、学生の立場として書かれているものであり、内容の修正はないとの見解が示されていたものである。前記(1)ウ、オ。)、Cからは、長文となる本件エッセイの送付を受けたものである(前記(1)カ、キ)。そして、被告は、本件学生らのうち2名から、これをそのまま掲載したいとの意向を伝えられ、これを教室会議に諮ることとしたが、その前提として、教務に対して教室会議の進行について相談をし、あらかじめ、教務からは本件エッセイの掲載には問題がないとの回答を得ていた(前記(1)ク、ケ)。
以上の事情の下で、前記(1)サでみたとおり、平成31年2月8日の教室会議が行われた。被告は、同日の教室会議においては、基本的には自己の意見を述べることなく主任として司会進行役に徹しており、事前に確認した教務や法務担当理事の見解を敢えて伏せたまま議事を進行していたものであり、議事を不当に誘導したとはいえない。被告は、教室会議の冒頭に、本件エッセイをf誌に掲載するかどうかについての議論をしなければならないと述べてはいるが、本件エッセイの掲載の可否を議論するに当たっては、当然に本件エッセイの内容面についての議論にも話題が及び得ることは明らかであり、このような議事の始め方が本件エッセイをそのまま掲載するという結論についての不当な誘導に当たると評価することはできない。むしろ、被告は、被告個人としては、原告の希望を容れてハラスメント事案として扱うことになった場合には、本件エッセイの掲載やf誌の編集作業は途中で差し止めるという形にせざるを得ないようにも思っていたと本件エッセイをf誌に掲載することへの消極方向の意見を表明するなどしていたが、原告の意向を代弁していたA准教授でさえ、本件エッセイの掲載自体を不可とする考えではないことが確認されており、このような教室会議における議論の結果、棄権したA准教授を除く教室会議の総意として、本件エッセイを、その内容を修正することなくf誌に掲載することが決定されたものといえるのであり、いずれにせよ、被告が、教室会議の議論を違法に誘導し、その結果、本件エッセイがf誌に掲載されたと認めることはできないというべきである。したがって、本件行為3は、原告に対する不法行為を構成するものであるとは認められない。
仮に、この点を措くとしても、①本件エッセイ自体は、あくまでもCの立場から書かれた原稿であって、本件学生らが原告からのハラスメント事案の被害申告をしたものではなかったこと、②本件エッセイの内容は前記(1)キでみたとおりであるところ、それに関連する事実のうち、本件エッセイ中の本件授業に関する記載について、原告がDのインタビューを起点とする本特集を掲載するように指示をしたこと(前記1(1)タ)、原告がインフルエンザを理由として休講をしたこと(前記1(1)チ)、原告が、Cに対するインタビューについて、名誉毀損訴訟のリスクがあることを説明して実名が出ることを避けるように回答を誘導する旨の助言をしたこと(前記2(1)ス)などはいずれも事実であったこと、③原告自身が、教室会議(本件○○)による非常勤講師へのハラスメントがあったとして被害申告を検討する意思を表明するに至っていたこと(前記(1)サ)からすれば、ハラスメントの当事者となり得る教室会議としては、原告に対して何らかの接触を行うことが不適切な状況にあったといえ、前記(1)サでみたような教室会議の対応はやむを得ないものであり、少なくとも、教室会議の決定や対応(本件行為3)が、原告に対する不法行為を構成するものであるとはいえず、したがって、これに賛同している被告の言動が原告に対する不法行為を構成するものであるともいえない。
4 争点(4)(本件行為4が原告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 前提事実並びに証拠(甲2、甲3、甲27、甲28、乙47、乙49の1ないし3、乙50、乙64、乙66、乙68、乙79、証人A、原告本人、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 被告は、平成31年2月10日、教室会議のメーリングリストに、前記3(1)サの教室会議の内容を確認する投稿したところ、A准教授は、同月11日、これに対し、本件エッセイには事実誤認の箇所があまりにも多くあり、Cが本件学生らから聞いたということは事実であると主張されるとしても、発行元には事実確認義務があるし、本件学生らから聞いた以外の箇所にも事実確認が必要なところが多々あるのであって、せめて第三者機関による校正・校閲が行われるべきであるから、作品として完成されているという主観的判断を理由にして、そのまま掲載するべきであるとの判断には、賛同していないとした上で、本件学生らの心情を考えるとf誌の作業自体は粛々と進められるべきであるとも思う反面、訴訟リスクのある作品の最終的な扱いは本件○○の主観のみで決めるべきではなく、大学の責任で第三者に確認するべきであるとの応答を投稿した。
被告は、上記のA准教授の指摘を受け、同日、再度、教務に対応を相談したところ、教務は、学生側、教員側、著者に全く異なる見解があり事実関係が争われている状況で、本件○○が事実確認や記事への校閲をするとすれば、それ自体が本件○○によるアカデミック・ハラスメントになり、また、そもそも教務には調査権限がないとした上で、ハラスメント事案はハラスメント防止室に任せるほかはないとの見解を示した。その上で、教務は、原告及びA准教授が、ハラスメント事案化することによって、f誌のハラスメント企画をしばしストップさせ、年度末での時間切れを望んでいるのかもしれないが、教務及び大多数の本件○○の教員が、粛々とf誌の刊行作業を進めることを希望している状況にあり、仮に企画をストップするとか意に反する修正を強いるような事態になった場合、C及び本件学生らからの反発は必至であり、本件○○、本件学術院及び大学にとってネガティブな結果しか生まないことが容易に推測され、このことを原告及びA准教授にも理解いただきたいと願うこと、さらに、原告の指摘する編集・出版のごく常識的・一般的なあり方は市場に流通する出版物には妥当するものと思われるが、教育の実践としての学生誌であるf誌にそのまま適用し得るのか、本件学生らがハラスメント事案に真摯に向き合おうとし、その過程で生じた新たな障害に言葉と文章、作品でもって声を上げようとした熱意と努力の結晶に対し適用し得るのか、強い疑念を持っているとも述べ、加えて、教務は、学内の者ではあるものの、法務担当理事に掲載に問題なしという回答をすでに得ていることから、更なる第三者への確認の必要はないと考えていることも述べた。
(以上につき、乙47、乙49の1ないし3、乙50)
イ 原告は、平成31年2月12日以降、4回にわたり、a大学のハラスメント防止室に、本件エッセイにおいて言及されている、原告による本件学生らに対するハラスメントの調査を求め、その聞き取り調査などに応じた。(甲2、甲3)
ウ 本件授業の受講生のうち5名(本件学生ら3名のうち1名を含む。)は、平成31年2月14日、f誌の表紙のデザイン等を決める会議を行い、遅れて原告がこれに合流した。
この会議の後、学生3名(本件学生ら3名のうち1名を含む。)と原告だけが残る形となった。そして、原告は、上記学生3名に対し、現時点ではここだけの話で留めておいてほしいとしつつ、要旨、f誌の一部の企画の過程で、原告が受講生に対して本件授業においてハラスメントをした旨の原稿が第三者から届いたこと、この事実関係については絶対に確認が必要で、校正校閲を通さずに出版されるようなことになれば、雑誌の信用を落とし他の学生の仕事を無駄なものとし、貶めることになること、原告やA准教授にも名誉があり、f誌に上記の原稿が掲載された場合には自分の権利を守るための行動をしなければならないと考えていることなどを説明した上で、「私とAさんとしては、それがf誌に載らないことがゴールだと思っているけれど。或いは、ある特殊な状態で載るというのがゴール、と思っているけれど。」などと、泣きながら感情的に自身の見解を述べた。また、原告は、被告や本件○○が上記原稿(本件エッセイ)を一篇の作品として扱い、ハラスメントの事実確認すらせず、内容の修正もしないこと、単にハラスメント防止室へ行くように促しているだけであることなどを説明し、「本当に頭がおかしい」判断だと思っていることも述べた。さらに、原告としては受講生の企画を妨げたことはなく、上記企画を担当する学生(本件学生ら)が原告からハラスメントを受けたと思っているのは誤解であること、上記原稿の具体的な内容は説明したり見せたりしないまま、原告自身は書き手ではないので、自分の名前が出ていることはすごく嫌である一方で、ハラスメントの被害者とされる本件学生らは仮名とされていることに釈然としない思いがある旨なども述べた。
(以上につき、前提事実(2)キ、甲27、乙64、乙68、原告本人、弁論の全趣旨)
エ 前記ウの原告の話を聞いた本件学生らのうち1名は、平成31年2月15日、被告に対し、原告からハラスメントを受けた旨を申告するとともに、前記ウの原告の発言の録音(乙64)を被告に聞かせ、原告の話は、ハラスメント企画を担当している自分に聞かせるためのもので、その内容も他の受講生の仕事が無駄になるなどと受講生側のやりがいや感情を人質にしてくるように感じたこと、その結果、ハラスメント企画や本件エッセイをどうすればいいか判断に困っていること、今後も、f誌の刊行作業のための会議自体には参加しなければならないが、その時にまた、原告が同じような説明をし、他の企画を進めている学生との関係で同じような状況に陥るのではないかを懸念していることについての相談をした。この相談を受けた被告は、上記学生がかなり消耗しているとの印象を受けた。(乙64、乙66、乙68、乙79、被告本人)
オ 平成31年2月19日、教室会議が開催された。被告は、その中で、前記エのとおり、本件学生らのうち1名が、原告からハラスメントを受けたとの申告、相談をしてきたことを報告し、原告の発言の録音をメモに書き止めたものに基づいて原告の発言を一部引用したほか、原告の上記学生に対する言動が、本件エッセイの具体的な内容については触れずに、本件エッセイを出してはいけないものだというような、原告への忖度を求めるような言動であったことも紹介した。その上で、被告としては、担当教員と上記学生との間には絶対的な上下関係があることから、前記ウの原告の発言はハラスメントといってよいとの説明をし、上記学生は、原告の指摘に一理あると考えて内的な葛藤を抱えているのではなく、原告から圧迫を受けたと感じて悩んでいるという訴えであったことも説明した(被告の具体的な発言内容は前提事実(2)クのとおりである。)。
教室会議は、被告からの上記説明を受け、上記学生を含む本件学生らが、f誌の残りの作業を同様のストレスを感じることなく進められる方策として、今後、原告と本件学生らとの接触の可能性があるf誌の編集作業については、原告が関わらないこととするとの判断をした。
(前提事実(2)ク、甲28、乙66、乙79、証人A、被告本人、弁論の全趣旨)
(2) 前記(1)でみたところによれば、原告は、平成31年2月14日、本件学生らのうち1名に対し、泣きながら、原告とA准教授としては本件エッセイがf誌に掲載されるべきではない内容であると考えていることや、本件エッセイがf誌に掲載されることによって他の受講生の企画も無駄になる旨の発言をし(前記(1)ウ)、上記学生は、被告に対して原告からハラスメントを受けた旨の被害申告をしたこと(前記(1)エ)が認められる。このような発言は、本件授業の担当教員であり、成績評価をする権限や、f誌の編集作業についても干渉し得る優越的な地位にある原告が、他の受講生が犠牲になる旨を引き合いに出しながら、自身を実名で非難する本件エッセイのf誌への掲載を感情的に拒否し、また、原告だけではなくA准教授も本件エッセイがf誌に掲載されないことがゴールだと思っているなどとして、本件エッセイ及びハラスメント企画に対する否定的な評価を一方的に表明したものであって、他の受講生の企画を無駄にしないためにも、本件学生らが自主的に本件エッセイの掲載を取りやめるべきであることを示唆し、その取下げを暗に迫ったものと受け止めるほかないものであったといえ、上記学生に対し、ハラスメント企画の掲載が否定されるのではないかとの恐怖感・心理的圧迫を与えるものであったといわざるを得ない。
そして、被告は、上記学生から直接話を聞き、かつ、原告の発言の有無自体について客観性の高い資料である録音も聞いた上で、その発言内容を教室会議において報告し、原告の同発言をハラスメントと評価したものであって(前記(1)エ、オ)、その報告や評価は肯首することができ、教室会議を構成する教授らや教務の原告に対する不信感を不当に生じさせたものということはできないし、教室会議が、ハラスメントの被害申告を受けた場合に、ハラスメント当事者の接触を防ぐことは合理的な対応であり、原告と本件学生らとの人間関係を切り離すことによって原告の就業環境を著しく害したなどということもできない。したがって、本件行為4が原告に対する不法行為を構成するものではないことは明らかである。
5 争点(5)(本件行為5が原告に対する不法行為を構成するか)について
(1) 前提事実、前記3(1)及び前記4(1)でみたところに加え、証拠(甲24、乙1の1の1・2、乙51ないし乙55、乙79、乙88、被告本人)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 原告は、平成31年2月19日夕方、本件学術院の教務と面談をし、本件授業の引き延ばしは被告に指示をされて行ったこと、ハラスメント企画を実施することのリスクについては、被告が説明をするものだと思っていたが、全て原告から話すように促されたこと、原告としては、本件学生らに対して、原告がハラスメント企画を妨害したことがないことについて、きちんと説明をすべきであると思っていることを伝えた。(弁論の全趣旨)
イ 原告は、平成31年2月20日、本件学生らに対し、一両日中に台割会議(f誌に対する企画の掲載順を決める会議)を、実際の原稿を見ながら行う予定である旨の連絡をした。(弁論の全趣旨)
ウ 本件学術院の教務は、平成31年2月22日、原告と面談をし、原告は今後f誌の担当から外されることを告げた。
また、教務は、被告に対し、A准教授についても、本件学生らに関わらないように再度伝える予定である旨をメールで回答した。これ以降、f誌の編集作業は、主に、本件○○に属する被告外2名の教員が関与して行われることになった。
教務は、本件授業の受講生に対しても、本件授業については、授業期間が終了しているため、今後のf誌刊行までの作業は本件○○が引継ぎ、助教が中心になって担当することを告知した。(乙51、乙52、弁論の全趣旨)
エ 本件学生ら以外の受講生から、平成31年2月24日、A准教授、原告及び被告外に対し、原告が外れた後の新しい連絡体制の構築はいつ整備されるのか、f誌の発行責任がどこにあるのか、学生主体であるとすればなおのことf誌全体に何が掲載されるのかを確認し納得しておく必要があるといった、疑問を投げかけるメールが送信された。被告及び本件○○は、連絡体制に漏れがあり連絡が届いていなかった受講生が2名存在することを確認し、新たな連絡体制を構築するとともに、f誌の発行責任は本件○○が負うものであって、学生たちに責任が負わされることはないことを伝えた。(乙53ないし乙55、弁論の全趣旨)
オ 被告は、平成31年2月27日、受講生のうち編集担当者である3名及び本件学生ら3名の合計6名と面談し、f誌の刊行についての担当者交代の経緯について話をした。被告は、上記6名に対し、本件○○としてはf誌の企画3つを全て出したいと考えていること、ハラスメント企画の記事についても、本件○○の教員として検討し作品として出してよいとの結論になっているところ、一部において、この記事について掲載をストップしたいという動きがあったこと、そこで、○○が引き取って最後まで持っていくことになったが、○○が引き取らなかったらハラスメント企画を含む自主企画を全て掲載した形では出せなかったと思われることなどを説明した。(前提事実(2)ケ、甲24、乙79、乙88、被告本人、弁論の全趣旨)
カ 平成31年3月12日、f誌2019が完成した。完成したf誌2019に掲載されたハラスメント企画の冒頭では、本件学生らが、f誌2019を作り上げていく過程で、本件授業の担当教員である原告及びA准教授から、授業日程の不可解な変更、例年よりも大幅に削減された頁数、学生に危険が及ぶといけない、名誉毀損訴訟のリスクがあるから掲載が難しいなどといった教員からの助言、ハラスメント企画自体を自発的に取り下げるように誘導するための相談等の形をとったハラスメントを受けたとして、「私たちが受けたハラスメントに、私たちの文学をもって抵抗することをここに宣言します。」との説明が付された。また、f誌2019に挟み込む形で作成された編集後記には、ハラスメント企画の編集長名義で、シラバスには「模擬特集」という言葉が一つも使われていなかったこと、履修者全員が被害者であると思っていることなどが記載されていた。(乙1の1の1・2、乙79)
(2) 原告は、被告において、原告が本件エッセイの掲載を阻止しようとしたかのような虚偽の説明をして学生らに対する印象操作をしたと主張するが、原告の平成31年2月14日の発言は、暗に企画の取下げを迫るものであったとみざるを得ないことは前記4(2)でみたとおりであり、原告自身、本件エッセイのf誌への掲載があり得ない旨を教室会議に表明していたのであるから(前記3(1)サ)、少なくとも、原告が、ハラスメント企画(本件エッセイ)のf誌への掲載を阻止しようとしていたこと自体は客観的に明らかであり、そのことを、f誌の刊行についての担当者交代につき話をする中で学生らにそのまま伝えることが、虚偽の説明であるということはできない。そうすると、本件行為5によって、学生らの原告に対する不信感を生じさせ、もって、原告の就業環境を著しく害したということはできず、これが原告に対する不法行為を構成するとは認められない。
第4 結論
以上によれば、その余の争点(争点(6))について判断するまでもなく、原告の請求には理由がないからこれを棄却することとして主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第7部
(裁判長裁判官 野村武範 裁判官 髙木晶大 裁判官西條壮優は、転補のため署名押印することができない。裁判長裁判官 野村武範)
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