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裁判年月日 平成30年10月11日 裁判所名 鹿児島地裁名瀬支部 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)2号・平28(ワ)44号
事件名 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
文献番号 2018WLJPCA10116015
出典
裁判年月日 平成30年10月11日 裁判所名 鹿児島地裁名瀬支部 裁判区分 判決
事件番号 平28(ワ)2号・平28(ワ)44号
事件名 損害賠償請求事件(本訴)、損害賠償請求反訴事件(反訴)
文献番号 2018WLJPCA10116015
平成28年(ワ)第2号 損害賠償請求事件(本訴)
平成28年(ワ)第44号 損害賠償請求反訴事件(反訴)
鹿児島県大島郡〈以下省略〉
本訴原告(反訴被告) X村(以下「原告」という。)
同代表者村長 A
同訴訟代理人弁護士 松下良成
同 泉武臣
鹿児島県大島郡〈以下省略〉
本訴被告(反訴原告) 有限会社Y(以下「被告」という。)
同代表者取締役 B
同訴訟代理人弁護士 小堀清直
同 井口貴博
主文
1 原告の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,本訴反訴を通じこれを5分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 本訴
被告は,原告に対し,2656万1000円及びうち1776万1000円に対する平成28年2月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 反訴
原告は,被告に対し,1630万7084円を支払え。
第2 事案の概要
本訴事件は,地方公共団体である原告が,原告から防災会館の建築工事等を請け負って施工をした建設業者である被告に対し,被告が約定の期限までに上記建設工事等を完成させなかったため,上記建設工事等の財源として見込んでいた国からの交付金等を受領することができず損害を被ったと主張して,債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償請求として,損害金及び一部の損害金に対する訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
反訴事件は,被告が,被告には上記の債務不履行(履行遅滞)がなかったにもかかわらず,原告が,公共工事の指名競争入札につき,被告に対する違法な指名停止措置,参加資格の格下げ措置及び指名回避措置をしたため,公共工事を受注することができず損害を被ったと主張して,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,原告に対し,損害金の一部の支払を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)
(1) 当事者等
ア 原告は,奄美大島の地方公共団体である。
イ 被告は,平成2年12月4日に設立された特例有限会社であり,土木工事請負業,建築工事請負業等を目的とし,平成14年3月17日に本店を鹿児島県名瀬市(現在の奄美市)から鹿児島県大島郡X村に移転している。B(以下「B」という。)は被告の代表者である。(甲1)
(2) 平成25年度施行a防災会館整備事業
原告は,「平成25年度施行 a防災会館整備事業」などと題し,X村○○内に防災会館(以下「本件建物」という。)を整備する事業(以下「本件事業」という。)を行うこととし,指名競争入札を実施するなどして,次のとおり,被告を含む事業者と契約等をした(下記アないしエに掲記の各証拠,弁論の全趣旨)。
ア 設計監理業務委託契約
原告と有限会社b(以下「b社」という。)は,平成26年1月30日,本件事業につき,原告を委託者,b社を受託者として,次のとおり,設計監理業務の委託契約をした(甲42の1,42の2)。
履行期限 平成26年3月31日(ただし,同年3月28日付け変更契約により平成27年3月25日に変更)
業務委託料 417万9000円(ただし,平成26年3月28日付け変更契約により429万8400円に変更)
イ 屋外整備工事請負契約
原告と株式会社c(以下「c社」という。)は,平成26年9月16日,本件事業につき,原告を注文者,c社を請負人として,次のとおり,本件建物の敷地を造成する屋外整備工事(以下「本件盛土工事」という。)の請負契約をした(甲51,乙2,4)。
工期 平成26年9月17日から平成27年3月20日
請負代金額 864万円(ただし,平成26年11月4日付け変更契約により902万9640円に変更)
ウ 給排水衛生設備工事請負契約
原告と有限会社dは,平成26年9月16日,本件事業につき,原告を注文者,有限会社dを請負人として,次のとおり,給排水衛生設備工事の請負契約をした(甲43の1)。
工期 平成26年9月17日から平成27年3月20日
請負代金額 334万8000円
エ 建築工事及び電気設備工事請負契約
(ア) 原告と被告は,平成26年9月29日,本件事業につき,原告を注文者,被告を請負人として,次のとおり,本件建物に係る建築工事及び電気設備工事(以下,併せて「本件工事」という。)の請負契約(以下「当初請負契約」という。)をした。
請負代金額 5582万1960円
建物の構造 鉄筋コンクリート造平家(RC1)
延床面積 約160m2
なお,当初請負契約は,被告が,平成26年9月19日,原告に対し,仮契約として工期を空欄とした建設工事請負契約書(以下「本件契約書」という。)を提出した後,本件契約書48条所定の合意に基づき,X村議会が同月29日に契約締結を可とする議決をしたことによって成立した。本件契約書に記載された工期(平成26年9月30日から平成27年3月20日までの172日間とするもの)は,原告の担当者が被告から本件契約書を受領した後に手書きで記入したものである。
(以上につき,甲2,10,34,116,乙3,30,弁論の全趣旨)
(イ) 原告と被告は,当初請負契約において,本件契約書の契約約款38条(以下,単に「契約約款38条」という。)に基づき,次のとおり,履行遅延の場合における損害金等の合意をした(甲2)。
a 被告の責めに帰すべき理由により工期内に工事を完成することができない場合において,工期経過後相当の期間内に完成する見込みのあるときは,原告は,被告から損害金を徴収して工期を延長することができる。
b 上記aの損害金額は,請負代金額から出来形部分に相応する請負代金額を控除した額につき,遅延日数に応じ,年2.9パーセントの割合で計算した額とする。
(3) 本件事業の財源等
原告は,本件事業に要する事業費につき,①国から平成25年度社会資本整備総合交付金(以下「本件交付金」という。)として5074万8000円の交付を受けるとともに,②国から財政融資資金である普通地方長期資金(以下「本件財政融資資金」という。)の貸付けを受けて事業費に充て,これを後に償還することで地方交付税交付金として880万円の交付(いわゆる交付税措置)を受けること,すなわち,事業費のうち上記合計5954万8000円については自ら負担せずに国からの交付金で賄うことを予定していた(甲4,5,16,17,31,48~50,乙27,弁論の全趣旨)。
(4) 当初請負契約の変更契約等
ア 原告は,本件工事が平成27年3月31日までに完成しないことが見込まれ,国からの交付金を一部受けられないことが明らかとなったことから,①当初請負契約について,完成期限を同日,工事内容を本件工事の一部,代金を3181万8000円に減額する旨の同月19日付けの変更契約(以下「本件変更契約」という。)と,②工期を同年4月1日から同月21日まで,工事内容を本件工事の残部,代金を2400万3960円とする原告の単独事業(国から交付金を受けない事業)としての同年3月31日付けの請負契約(以下「新規請負契約」といい,本件変更契約と併せて「本件変更契約等」という。)の二つの契約を締結することとし,同年4月3日頃,各契約につき,それぞれ被告との間で契約書を取り交わした(甲41,乙12,弁論の全趣旨)。
なお,原告は,同様に平成27年3月31日までに完成しないことが見込まれた本件事業に係る設計監理業務委託契約及び給排水衛生設備工事についても,同日を完成期限とする契約と,その後の原告の単独事業に係る契約とに分けて二つの契約とすることにして,各業者と契約を締結し直した(甲42の3・4,43の2・3)。
イ 原告と被告は,平成27年4月2日,本件変更契約等に関して,本件事業について,「3月31日及び4月21日までの延長については,村としてはペナルティは課さない。」との記載がされた同月2日付けのX村長の記名押印のある覚書(以下「本件覚書」という。)を取り交わした(乙11)。
(5) 原告が受領した交付金等
原告は,平成27年4月24日,本件交付金に関し,国から3298万7000円の交付金を受領した(甲52の1・2)。これは,平成27年3月31日の時点において,本件事業のうち,①設計監理の出来形は90%,出来形額(1000円未満切捨て。以下同じ。)は386万8000円,②本件工事の出来形は57%,出来形額は3181万8000円,③給排水衛生設備工事の出来形は72%,出来形額は241万円,④本件盛土工事の出来形は100%,,出来形額は902万9640円であることを前提とし,本件事業全体の出来形は65%,出来形額は4712万5640円であるとして,その70%相当額である3298万7000円が交付されたものであり,原告が本件事業の財源として見込んでいた5074万8000円の交付金とは1776万1000円の差額が生じた(甲3,31)。
また,原告は,平成27年3月25日,本件事業が同月31日までに完成することを前提に,本件財政融資資金として,償還期限を平成37年3月1日とする1100万円の貸付けを国から受けたが(なお,他の貸付対象事業を含む貸付金の合計額は7890万円である。),本件事業が平成27年3月31日までに完成しなかったことから,平成28年3月1日,上記1100万円を繰上償還することになり,予定していた880万円について交付税措置を受けることができなかった(甲4,6~9(枝番を含む。),弁論の全趣旨)。
(6) 本件工事の目的物の引渡し
被告は,平成27年7月7日,本件工事について原告の完成検査を受け,その目的物である本件建物を原告に引き渡した(甲13の5~13の7)。
(7) 被告に対する指名停止措置等
ア X村長は,平成27年7月16日,「X村工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」(以下「本件指名停止等措置要領」という。)1条に基づき,被告に対し,「契約を履行しなかったため。(工期遅延1件)」を理由として,同月17日から同年9月16日までの2か月間,原告が発注する請負工事等について指名停止の措置をとる旨の決定(以下「本件指名停止措置」という。)をし,その旨の通知をした(甲26,乙13)。
X村長は,平成27年9月17日,被告に対し,本件指名停止措置を解除し,その旨の通知をした(乙14)。
イ X村長は,本件指名停止措置が解除された平成27年9月17日以降も,原告が発注する請負工事等の指名競争入札において,当該入札に参加させようとする者の指名(地方自治法施行令167条の12参照)をする際に,被告を指名しなかった(以下「本件指名回避措置」という。)。
ウ X村長は,平成28年4月21日,原告の発注する建設工事に係る競争入札の参加資格について,被告に対し,土木一式工事及び建築一式工事に係る等級区分を同年5月1日から平成30年度の格付け適用日の前日までB等級とする旨の決定(以下「本件格下げ措置」という。)をし,その旨の通知をした。
なお,原告は,発注する建設工事に係る競争入札の参加資格について,土木一式工事及び建築一式工事の施工能力の格付けとして,A及びBの2つの等級区分を設けており,いずれの工事についても,A等級の格付けを受けた業者は1500万円以上の工事の入札に,B等級の格付けを受けた業者は1500万円未満の工事の入札に参加できるものとしており,被告は従前A等級の格付けを受けていた。
(以上につき,甲27,28,乙18)
(8) 本訴の提起
原告は,平成28年2月1日,本件本訴を提起し,その訴状(副本)は同月11日に被告に到達した(顕著な事実)。
2 争点
(1) 本訴
ア 債務不履行に基づく損害賠償請求権の成否(争点①)
イ 免除の有無(争点②)
ウ 損害賠償額の予定の有無(争点③)
(2) 反訴
ア 本件指名停止措置の違法性(争点④)
イ 本件格下げ措置の違法性(争点⑤)
ウ 本件指名回避措置の違法性(争点⑥)
エ 損害(争点⑦)
3 当事者の主張の要旨
(1) 争点①(債務不履行に基づく損害賠償請求権の成否)について
(原告の主張)
ア 当初請負契約に工期の合意があったこと
原告と被告は,当初請負契約において,工期を平成26年9月30日から平成27年3月20日までとする旨の合意をした。
すなわち,原告の総務企画課庶務係長のC(以下「C」という。)は,被告が平成26年9月16日に本件工事を落札した後,被告の代表者のBに対し,工期は平成27年3月20日までである旨の説明をしたほか,X村議会が平成26年9月29日に当初請負契約の締結を可とする議決をした後,被告に対し,上記工期を改めて通知するとともに,上記工期を記入した本件契約書を送付した。そして,被告も,上記工期に同意をし,上記工期が記入された本件契約書の受取りを拒否せず,自らも上記工期を記載した当初工程表を作成した。一般論としても,単年度主義に基づく予算執行を要する地方公共団体が発注する公共工事について,確定的な工期が定められていないという事態は想定し難い。
イ 当初請負契約の工期の合意が公序良俗に反しないこと
c社による本件盛土工事が終了して本件工事の着工が可能となったのは,平成26年10月25日であった。もっとも,建築工事は,一般に,請負契約の成立の翌日から現場で工事に着工するものではなく,準備工,すなわち,部材の発注,下請業者の手配,型枠や鉄筋の加工等の準備が必要であるから,被告も同日までにこれらの準備をすることができた。
また,本件建物は,構造を鉄筋コンクリート造平家(RC1),延床面積を約160m2とするものであるため,鹿児島県作成の「平成26年度建築工事実施設計単価表」によれば,建築工事標準工期は約5.2カ月(156日)であり,離島追加工期として16日を追加すると,本件工事の適正な工期は172日である。
さらに,本件工事と同規模同程度の工事である「e防災会館整備事業」については,他の建設業者が165日間の工期で問題なく完成させており,被告が過去に施工をした「公営住宅建設工事(f団地)」については,本件工事よりも規模が大きいものの,工期が174日とされ,現場着手から154日で工期内に完成させている。
したがって,当初請負契約において合意された172日の工期は適切なものというべきである。
また,当初請負契約における工期は適切なものであるから,本件事業を平成25年度から平成26年度に繰り越さざるを得なかったことなど,同年9月29日以前の事由は,工期の合意とは関連性がない。
以上より,当初請負契約における工期の合意は公序良俗に反するものではない。
ウ 本件変更契約等は被告の義務を減縮させるものではないこと
当初請負契約の工期を平成27年3月31日までに変更し,同年4月1日から同月21日までを工期とする新規請負契約を締結したのは,同年3月31日までは補助事業として施工ができるが,同年4月1日以降は繰越しが認められず,村単独事業として施工せざるを得なかったからである。
したがって,当初請負契約は,形式的には二つの契約に分割されているが,平成27年3月31日までの出来高(57パーセント)をもって契約の本旨弁済とする趣旨ではなく,そのような義務の減縮まで行ったものではないから,被告に履行遅滞責任が生ずるのは明らかである。
エ 被告の債務不履行及び帰責事由
被告は,工期の期限である平成27年3月20日までに本件工事を完成させることができず,これを完成させたのは同年6月30日であった。したがって,被告は,上記債務不履行によって原告に生じた損害を賠償すべき責任を負う。
本件工事が遅延した原因は,被告が,c社による本件盛土工事中に下請けの予約,確保等の準備工を行うべきであったのに,これを怠り,型枠工事の着手が遅れたこと,その後も各工種について下請業者を確保できなかったこと,現場監督を務めていた被告の従業員が引継ぎ未了のまま辞職するなど,被告の社内的な管理体制が不十分であったことにある。そのため,上記債務不履行は,被告の帰責事由に基づくものである。
オ 損害等
(ア) 損害
原告は,被告の債務不履行がなければ本件交付金として5074万8000円の交付を受けることができたが,被告の債務不履行があったため,平成27年3月31日時点における出来形額4712万5640円の70%である3298万7000円の交付を受けたにとどまり,差額の1776万1000円の損害を被った。
また,被告の債務不履行により本件工事が工期内に完成しなかったため,原告は,本件財政融資資金として国から貸付けを受けた1100万円について平成28年3月1日に繰上償還せざるを得なくなり,880万円について交付税措置を受けることができず,同額の損害を被った。
以上のとおり,被告の債務不履行によって原告が被った損害の合計額は,2656万1000円である。
(イ) 予見可能性
原告は,被告に対し,本件工事の工程会議等において,本件事業は国庫補助事業を繰り越したものであり,これ以上の繰越しはできないため,工期を遵守するよう再三にわたり申入れをしていた。また,被告は,本件事業のような規模の大きい公共工事について,これまでも国庫補助事業として公共工事を受注して施工してきた経験を有しているため,本件事業が国庫補助事業として行われていることを当然に認識していた。
したがって,被告は,本件工事を平成26年度内(平成27年3月31日まで)に完成しなければ,原告が交付金を受領することができなくなるという不利益(損害)を被ることを予見することができた。
(ウ) 砂防指定地における新築の許可について
原告は,本件建物の敷地が砂防指定地内にあることを認識していなかったが,これを認識していれば,当然に発注までの間に解決をしていた。
(被告の主張)
ア 当初請負契約に工期の合意がなかったこと
当初請負契約において工期の合意があったことは否認する。工期の合意はなかったのであるから,被告が平成27年3月20日までに本件工事を完成していなくても,債務不履行となるものではない。
すなわち,被告は,本件工事の入札時に工期が示されておらず,入札後に原告の担当者から工期を平成26年9月30日から平成27年3月20日までとして欲しい旨の要望を受けたが,本件建物の敷地を造成する本件盛土工事の完成時期が明らかではなく,いつ本件工事に着工することができるか判断できなかったことから,当初請負契約の当時,同日までに本件建物を完成させることを約束できる状況にはなかった。そのため,被告は,原告から工期の説明を受ける度に,実際に本件工事に着工することができる日以降を工期とするよう原告に求め,本件契約書についても工期欄を空白にしたままこれを原告に差し入れた。本件契約書の工期欄の記載は,原告が被告の同意を得ないまま記載したものである。
また,被告は,平成26年10月25日,c社から本件盛土工事の完成予定日が同月31日である旨を聞き,6か月の工期を要する本件工事について平成27年3月20日までに完成させることができないことが明らかとなった。そのため,被告は,原告から再び本件工事の工期を同日までとして欲しい旨の要望を受けたが,これに応じず,工期の合意がないままに平成26年11月3日から本件工事に着工した。
イ 当初請負契約の工期の合意は確定期限を定めたものではないか公序良俗に反し無効であること
仮に本件工事について平成26年9月30日から平成27年3月20日までとする工期の合意があったとしても,①本件事業は平成25年度の事業であったのに,原告が建設予定地の選定を誤り,その見直しを重ねたため,入札が遅れて本件工事の工期が余裕のないものとなったものであること,②上記工期はc社の受注した本件盛土工事の工期と重なっており,被告は,平成26年10月25日までは着工目途が不明であったため,下請人の確保や鉄筋の準備を同年11月3日の着工直前まですることができなかったこと,③本件事業のように盛土工事と建物工事が分離発注されている事案では,これらを同一業者が行う場合の標準工期や同規模同程度の工事の工期を参考とすることができないこと,④本件工事は一般に最低6か月間の工期を要するところ,上記②のとおり本件工事に着工できる日から起算すると,工期は実質的に5か月に満たないもので,不合理かつ著しく短いものであることなどの事情に鑑みると,上記工期の合意は,努力目標を定めたものにとどまり,確定期限ではないというべきであり,確定期限を定めたものであるとすれば公序良俗に反し無効というべきである(民法90条)。
ウ 本件変更契約により被告の義務が減縮されたこと
原告と被告は,平成27年3月19日,当初請負契約について,被告の義務を本件建物の全体の完成から同日時点における出来高部分の施工までに減縮させ,請負金額も2400万3960万円減額して3181万8000円とし,完成期限を同月31日までとする旨の本件変更契約をした。
そして,被告は,上記出来高部分を平成27年3月30日までに完成させ,原告の完成検査を受け,出来高部分を原告に引き渡している。
したがって,当初請負契約について,被告に履行遅滞はない。
エ 損害等について
被告は,原告が本件交付金や本件財政融資資金を利用して本件事業を行うことについて原告から一切説明を受けていないから,原告が本件交付金の交付を一部しか受けられず,本件財政融資資金に関して交付税措置を受けられなかったことによって原告に損害が生じたとしても,そのような特別な事情に対する予見可能性はない。
また,本件事業は国庫補助事業を繰り越したものであり,これ以上の繰り越しはできない旨の説明があったとしても,そのような説明のみをもって,被告が履行を遅滞した場合に莫大な損害賠償を請求されるおそれがあると予見することは不可能である。
さらに,原告は敷地が砂防指定地となっている本件建物の新築について鹿児島県知事の許可を得ておらず,本件工事は違法であるから,原告はそもそも国から補助金を受け取ることはできなかった。
したがって,原告に生じた損害は,被告の債務不履行と相当因果関係のある損害ではないというべきである。
(2) 争点②(免除の有無)について
(被告の主張)
本件覚書におけるペナルティとは,指名停止措置に限定されるものではなく,損害賠償請求,指名回避,格下げ措置等のあらゆる不利益処分が含まれると解するのが相当である。
したがって,原告は,当初請負契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権を放棄し,被告に対してその損害賠償義務を免除した。
(原告の主張)
一般に,公共工事の分野において,ペナルティとは指名停止措置のことを指すものである。そして,原告は,村長,副村長及び関係職員の間において,本件覚書のペナルティとは指名停止措置をいうことを明示的に確認し,共通認識となっており,議会の議決を要する損害賠償請求権の放棄を含まないことは明らかであった。また,被告の代表者のBも,指名停止措置を最も恐れており,指名停止措置をしない約束をもらう目的で本件覚書の作成を原告に求めていた。
このように,本件覚書は,指名停止措置をとらないことを約束するものとしてペナルティという言葉が使われていたものであるから,原告は被告に対する損害賠償請求権を放棄しておらず,被告の損害賠償義務を免除していない。
(3) 争点③(損害賠償額の予定の有無)について
(被告の主張)
原告と被告は,当初請負契約において,契約約款38条に基づき,損害賠償額の予定を定めており,損害金を請負代金額から出来形部分を控除した残額について遅延日数に応じた年2.9パーセントの割合で計算した額としている。これは,工期遅延の予期せぬ損害を請負人に与えないという趣旨によるものであるから,工事の遅延,供用開始の遅延にとどまらず,一切の損害賠償の予定をしたものと解するのが相当である。
そして,この損害賠償額の予定は,被告の履行遅滞によってもこれ以上の損害賠償請求をすることができないことを定めたものであるから,裁判所もその増減額をすることは許されない(民法420条1項)。
したがって,仮に被告に履行遅滞があったとしても,原告が主張する損害について被告に対して損害賠償請求をすることはできない。
(原告の主張)
契約約款38条にいう損害金の前提となる損害は,遅延日数に応じて損害金額が計算されることからも明らかなように,工事の遅延,すなわち供用開始の遅延そのものである。そのため,工事の遅延・供用開始の遅延と相当因果関係を有する別の損害が発生した場合には同条は妥当せず,同条が損害賠償額の予定の約定であるとしても,民法420条1項後段の適用はない。
この点,本件で問題となる損害は,被告の工事遅延によって本件交付金の交付を受けることができなかったという損害及び交付税措置を受けることができなかったという損害であり,工事の遅延・供用開始の遅延そのものを損害とするものではないから,この点について契約約款38条は妥当せず,民法420条1項後段の適用もない。
(4) 争点④(本件指名停止措置の違法性)について
(被告の主張)
原告の総務企画課長のD(以下「D」という。)は,新規請負契約の工期について,「工期は仮である」,「指名停止は自分がさせない」と述べ,本件覚書を被告に差し入れた。そのため,新規請負契約で定められた工期は仮の期間であり,本件覚書においても努力義務とされているのであるから,平成27年4月21日は確定期限ではなかった。そして,被告は,同日が仮の工期でなければ,新規請負契約を締結していなかった。したがって,同日までの工期に工事を完成させなかったことを理由とする本件指名停止措置は違法というべきである。
また,指名停止等の措置は,村長の裁量権に委ねられているものの,その恣意が許されるものではなく,その権限の行使が極めて不合理で社会通念上著しく妥当性を欠くと認められる場合には,裁量権を逸脱又は濫用したものとして違法となる。
この点,平成27年4月21日が新規請負契約の確定期限であったとしても,原告は,履行遅滞という形式的理由のみで本件指名停止措置を行っており,被告の工事が遅れた原因や被告の責任を裏付ける実質的理由を踏まえた判断をしていない。すなわち,原告は,①新規請負契約の工期は,本件建物の未施工部分(出来形の43パーセント)に照らすと76日は確保されるべきであるところ,18日しか確保されておらず,実際の施工方法の検討を欠いた実行不可能な工期であること,②Dが新規請負契約の工期について上記のとおり述べていたこと,③被告の書類提出が遅れたのは,当初請負契約において工期の合意がなかったため,初期に書類を作成することができなかった上,新規請負契約については突貫工事に精一杯であったことによるものであり,被告のみの責任ではないことなどの特殊事情を考慮せずに本件指名停止措置をしている。
また,本件指名停止措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法というべきである。
したがって,本件指名停止措置は,裁量権を逸脱又は濫用してしたものとして違法というべきである。
(原告の主張)
原告は,本件指名停止等措置要領を定め,「村発注工事の施行に当たり,契約違反し,工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき」は,「当該認定をした日から2週間以上4月以内」の期間を定めて指名停止を行うものとしている。
この点,被告は,新規請負契約の工期が平成27年4月21日までであったにもかかわらず,原告に対して本件建物が完成した旨の通知をしたのは同年6月30日であり,完成検査が完了して原告に本件建物を引渡しをしたのは同年7月7日であった。
そのため,原告は,平成27年7月16日,本件指名停止措置をとったものであり,原告に裁量権の逸脱又は濫用はない。
(5) 争点⑤(本件格下げ措置の違法性)について
(被告の主張)
被告は,原告の発注する建設工事に係る等級区分がCランクからAランクとされるまでに20年もの歳月と工事実績を積み重ねてきたのであって,格下げ措置は被告の努力を無にする著しい不利益を課す措置であるから,相当な根拠が必要である。
本件格下げ措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法というべきである。
また,本件格下げ措置は,違法な本件指名停止措置を前提としている点でも違法というべきである。
(原告の主張)
原告は,その発注する建設工事が適切にされるよう,「X村建設工事入札参加資格審査要綱」を定め,入札への参加を希望する建設業者について,工事施行能力審査を行っている。同審査は,客観的要素(鹿児島県が毎年行う経営事項審査結果に基づく各業者の点数)と主観的要素(過去2年間の完成工事高,工事成績,技術職員数,指名停止等の要素に基づく点数)の総合点によって決定されるものである。
本件格下げ措置は,被告について,本件指名停止措置を受けたことなどを踏まえ,上記工事施行能力審査を厳正かつ適正に行った結果としてされたものであり,原告に裁量権の逸脱又は濫用はない。
(6) 争点⑥(本件指名回避措置の違法性)について
(被告の主張)
指名停止措置の期間は,本件指名停止等措置要領3条4項により,例外的に極めて悪質な事由があり又は極めて重大な結果を生じさせた場合においても2倍までしか延長できないものとされている。しかるに,原告は,平成27年9月17日以降も指名停止措置を事実上継続している。
被告は,原告と同様の入札参加者選定基準を有する鹿児島県の発注する工事について,指名や受注を受けており,被告の施行能力,経営状況等について特段の問題はない。原告のいう二次製品のトラフ(側溝)の使用は,本件建物の建設が先行された工程手順に従う限り,やむを得ない措置であった。また,原告は被告の代表者であるBの暴言が長年続いてきているとしながら,その間も被告の指名を続けていたのであるから,指名回避を殊更続ける理由となるものではない。そして,被告の原告に対する街宣活動は一回きりであるし,被告の不誠実な行動が仮にあったとしても,指名停止の最長期間を超える指名回避の理由となるものではない。
したがって,本件指名回避措置は,手続的に権限を逸脱又は濫用して行ったものとして違法というべきである。
また,本件指名回避措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法というべきである。
(原告の主張)
原告は,その発注する建設工事が適正かつ円滑に行われるよう,「X村建設工事指名競争入札参加者選定基準」を定め,経営及び信用の状況,過去の工事成績,過去の選定回数,技術者の状況,手持工事の状況,その他必要と認める事項に留意して入札参加者の選定を行うものとしており,入札者の指名については資格者推薦委員会を設置している。
そして,①本件工事が工期内に完成されなかった主たる原因は,被告が,下請業者から信用されておらず,原告やb社の指示にもかかわらず,準備工を怠り,下請業者の確保もできなかったことにあり,被告は建設工事の施行能力が不十分で資質に欠けること,②被告が,本件工事において,現場打ち側溝が設計されていたのに,二次製品のトラフ(側溝)を用いて工事を行い,不当に利潤を得ていたこと,③被告の代表者であるBは,被告の設立以来,威圧的行動を含む言動等が多く,原告の担当者のみならず,歴代の村長,副村長,課長等を何度も脅し,担当課や村長室に怒鳴り込むこともあり,原告の業務の停滞を招き,職員らも精神的苦痛を被っており,原告の職員らがBと円滑な意思疎通をすることが極めて困難な状況にあること,④被告が,当初請負契約における工期が不確定期限であるなどと事実無根のことを強弁し,本件工事が遅延した原因を真摯に見つめてこれを改善しようとする姿勢が見られないこと,⑤被告が,本件訴訟において,公共工事の分野において広く通用している通説的な見解と異なる独自の見解を主張しており,今後,被告と建設工事の請負契約を締結した場合にトラブルが発生することが予想されること,⑥Bが,g会という政治団体に対し,原告に対する抗議を依頼し,街宣活動をさせるなどしており,反社会的勢力とのつながりが見られることなどから,資格者推薦委員会は,被告が具体的かつ有効な改善策を取らない限り,被告は工事を適正,円滑,誠実に遂行することができるとはいえず,被告を契約の相手方として相応しいものとして選定することは相当ではないと判断をし,原告も本件指名回避措置をとっているものであり,原告に裁量権の逸脱又は濫用はない。
(7) 争点⑦(損害)について
(被告の主張)
原告の年間の工事発注平均額8億0113万4090円に被告の推定受注率14.9パーセントを乗じると,被告の推定受注額は1億1936万8979円である。これに被告の推定利益額11.5パーセントを乗じると,被告の逸失利益は年間1372万7432円となり,平成27年7月16日の本件指名停止措置から少なくとも2年以上工事を受注していないから,2年分の損害は2745万4864円を下らない。
被告はその一部である1630万7084円の損害賠償を求めるものである。
(原告の主張)
争う。被告が工事を受注して利益を得ることができるのは,競争入札の結果によるものであるから,極めて不確実性が高く,根拠が薄弱である。
第3 当裁判所の判断
1 争点①(債務不履行に基づく損害賠償請求権の成否)について
(1) 当初請負契約の工期の合意の有無について
ア 認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
(ア) 原告は,平成26年9月16日,本件工事について指名競争入札を実施し,被告がこれを落札した(甲35,乙1の3)。
原告は,上記入札に当たり,本件工事について工期を明らかにしていなかったが,原告の総務企画課庶務係長のCは,上記落札後,被告の代表者のBに対し,速やかに本件工事について仮契約書を提出するよう求めるとともに,工期は平成27年3月20日までである旨の説明をした(甲116,証人C)。
(イ) 被告は,平成29年9月19日,原告に対し,当初請負契約の仮契約書として,本件工事の工期を空欄とした本件契約書を提出した(甲2,110,116,乙77,証人C,被告代表者)。
(ウ) X村議会は,平成26年9月29日,当初請負契約の締結を可とする議決をした(甲10)。これを受けて,Cは,被告に対し,本件工事の工期は同月30日から平成27年3月20日までの172日間である旨の説明をし,本件契約書の工期欄にその旨を手書きで記入し,被告に対し,本件契約書の被告分を送付した(甲2,116,乙30,証人C,弁論の全趣旨)。
被告は,本件契約書の送付を受けたが,その際,記入された工期について異議を述べなかった(甲116,証人C,被告代表者)。
(エ) 原告の総務企画課長のDは,平成26年10月2日,本件工事の事前会議において,被告に対し,本件事業は平成25年度の事業を繰り越したものであるため,平成27年3月の工期を厳守するよう求めた(甲15,47)。
(オ) Bは,平成26年10月27日,第4回工程会議において,本件工事は本件盛土工事後に着工することになるため,着工後6か月間の工期が必要であるとして,工期を延ばすよう求めた。これに対し,Dは,工期は標準工期として定めたものであり,また,本件事業は繰越事業であるため,工期の延長は認められない旨回答した。(甲101,被告代表者)
(カ) Cは,平成26年11月11日,第5回工程会議において,被告に対し,書類が未提出の場合は完成とみなされないため,書類の提出を徹底するよう指示をした(甲102)。
(キ) 被告は,平成26年11月中旬ないし下旬頃,原告に対し,本件工事について,工期を同年9月30日から平成27年3月20日とする当初工程表を提出した(甲20,乙48の1・2)。
(ク) 被告の担当者(現場監督員であるE又は現場代理人であるF(以下「F」という。))は,平成27年3月6日,第11回工程会議において,1か月ほどの工期の延長は避けられない旨の報告をした(甲56)。
(ケ) 被告の担当者(E又はF)は,平成27年3月13日,第12回工程会議において,左官工事の手配の目途が立った,工期の1か月の延長申請は避けられない,管理体制不備のまま施工に入ったこと,そのような状態において当初の工事及び管理の担当者が共に引継ぎ未了のまま不在となったことが本件工事の錯綜状態を招いたものと考える旨説明した(乙23)。
(コ) 原告と被告は,平成27年4月2日,本件変更契約等に関して,「3月31日及び4月21日までの延長については,村としてはペナルティは課さない。」との記載がされた同月2日付けの本件覚書を取り交わした(前記前提事実(4)イ)。
イ 検討
上記アの認定事実によれば,原告は,被告に対し,本件工事の工期が平成27年3月20日までである旨の説明を行い,その旨記入した本件契約書を送付し,被告も,上記工期が記入された本件契約書について異議を述べず,同日までの工期を記載した当初工程表を作成して原告に提出しているほか,工期が同日までであることを前提として,工程会議等において,工期を延ばすよう求めたり,同月から1か月ほどの工期の延長は避けられない旨の報告をしている上,原告と被告は,本件変更契約等をするに際し,同月31日及び同年4月21日までの延長についてペナルティを科さないとする本件覚書を取り交わすなどしていたのであるから,これらの事情に照らすと,原告と被告は,当初請負契約について,契約当初ないし遅くとも被告が当初工程表を提出した平成26年11月(上記認定事実(キ))までには,工期を同年9月30日から平成27年3月20日までとする旨の合意をしていたと認めるのが相当である。
ウ 被告の主張について
被告は,本件盛土工事の完成時期が明らかではなく,いつ本件工事に着工することができるか判断できなかったことから,実際に本件工事に着工することができる日以降を工期とするよう原告に求め,原告から本件工事の工期を平成27年3月20日までとして欲しい旨の要望を受けたが,これに応じず,工期の合意がないままに本件工事に着手した旨主張する。そして,被告代表者もこれに沿った供述をしている。
しかしながら,前記アの認定事実に照らし,原告と被告が当初請負契約の工期を平成26年9月30日から平成27年3月20日までとする旨の合意をしていたと認めることは,上記イにおいて述べたとおりであり,同認定事実と整合しない被告代表者の供述を採用することはできない。なお,被告代表者は,c社の仕事が終わってから半年の工期をもらうと言い続けた旨供述するが,そのような要望は,合意された工期の変更ないし延長を求めるものとみるべきである。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
(2) 当初請負契約の工期の合意が公序良俗に反し無効であるか否かについて
被告は,仮に本件工事について平成26年9月30日から平成27年3月20日までとする工期の合意があったとしても,その合意は,努力目標を定めたものにとどまり,確定期限ではないというべきであり,確定期限を定めたものであるとすれば公序良俗に反し無効(民法90条)である旨主張する。
しかしながら,原告と被告が当初請負契約の工期を平成26年9月30日から平成27年3月20日までとする旨の合意をしていたと認めることは,既に述べたとおりであり,当初請負契約やその工期の合意の内容に照らすと,被告の本件工事を完成させる義務について確定期限を定めたものであることは明らかである。
また,①本件事業が平成25年度の事業であったのに,原告が建設予定地の選定を誤り,その見直しを重ねたため,本件工事の発注の時期が遅れ,国庫補助事業との関係で平成27年3月までの工期の厳守を求められたものであったとしても,建設用地選定に係る事情は当初請負契約の締結前の事情であり,被告は本件工事の発注時期等を踏まえて当初請負契約の締結や同月20日までとする工期に合意するか否かを決めることができた上,そのような契約締結前の事情それ自体は,そもそも同日を完成期限とする工期の合意が公序良俗に反することを基礎付けるものともいえない。次に,②上記工期がc社の受注した本件盛土工事の工期と重なっており,被告が,平成26年10月25日までは着工目途が不明であったため,下請人の確保や鉄筋の準備を同年11月3日の着工直前まですることができなかったとしても,そのような事情は,被告の債務不履行(履行遅滞)が生じた場合の帰責事由の有無を判断する際にしんしゃくされるべきものであって,工期の合意が公序良俗に反することを基礎付けるものとはいえない。
さらに,本件建物は,構造を鉄筋コンクリート造平家(RC1),延床面積を約160m2とするものであるため(前記前提事実(2)エ(ア)),鹿児島県作成の「平成26年度建築工事実施設計単価表」(甲11)によれば,建築工事標準工期は約5.2カ月(156日)であり,離島追加工期が30日以内とされていることに照らすと,172日間とする本件工事の工期が殊更不当なものであったとはいえない。この点については,本件工事の標準工期に関するb社の調査結果においても,複数の設計事務所や建設会社が,最短で150日,最長で171日と回答をしているところである(甲77,79)。
なお,本件事業は,本件建物の敷地の造成を行う本件盛土工事と本件建物の建築等を行う本件工事とが分離発注されており(前記前提事実(2)イ,エ),被告による本件工事の下請業者の確保や現場着手は,本件盛土工事の進捗を見る必要があったといえることから,本件工事の工期を設定する際は,標準工期を検討する上でこのような事情も考慮するのが望ましいといえる。実際,本件盛土工事については,平成26年10月3日,地盤の平板載荷試験が実施され,地耐力のあることが確認されたが(甲60),その後も同月下旬までc社による本件盛土工事が続いており,被告は,盛土が未施工の部分があったほか,被告が本件工事に着工すると本件盛土工事を妨害することになり,c社からも現場に入ることを拒否されたため,同月中は本件工事に着工することができなかったと認められる(甲109の1・2,119の1・2,乙5~7,42,77,被告代表者)。
もっとも,建設工事における工期とは,一般に,契約図書に明示した工事を実施するために要する準備及び後片付け期間を含めた始期日から終期日までの期間をいい(甲40),着工は施工開始時期ではなく,準備期間が含まれているところ(甲21),当初請負契約における工期もこれと異なるものではないといえる。そして,被告は,本件工事の現場に着工するまでの期間を準備工(下請業者の予約や確保,関係官公署や関係会社への諸手続,施工計画書や施工体制台帳等の作成などをいう(弁論の全趣旨)。以下同じ。)に充てることが可能であった(被告が事後的に作成した当初工程表においても,平成26年10月は準備工の期間とされている(甲20))。また,被告は,平成26年11月3日に本件工事について現場で着工をしているところ(甲13の1),平成27年3月20日までの残りの期間で本件工事を完成させることが不可能ないし著しく困難であることを基礎付ける事情を認めるに足りる的確な証拠はない(なお,工期は準備工を含むものであるから,先に述べた分離発注を考慮しても,現場着工時から6か月間が標準的な工期であるとはいえない。また,下請業者の確保は被告の責任で行うべきものであるから,本件工事の現場着工時期との関係で,繁忙期等の事情により結果として下請業者の確保に困難が生じたとしても,そのような天災等の不可抗力ともいえない事情は本件工事の工期の合意が公序良俗に反することを基礎付けるものとはいえない。)。
したがって,③本件盛土工事と本件工事が分離発注されていたことや,④被告が平成26年11月3日に本件工事について現場で着工をした時から平成27年3月20日までの期間が5か月間に満たないものであったことを考慮しても,同日までとする工期の合意が,不合理かつ著しく短いものであるとまではいえず,公序良俗に反するものであったとまではいえない。
(3) 本件変更契約等について
ア 認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
(ア) 原告が本件事業の財源として予定していた本件交付金の内容は,本件事業を社会資本整備総合交付金制度における「効果促進事業」(「基幹事業」を道路事業(村道大棚名音線道路改良事業)とするもの)として実施することにより,国から事業費の総額7249万8000円の70%(1000円未満切捨て)に相当する5074万8000円の交付を受けるというものであった。
また,原告は,本件事業を辺地対策事業の一部とし,財務大臣から本件財政融資資金の貸付けを受け,これを本件事業の財源とすることを予定していた。そして,本件財政融資資金(本件事業に係る分は1100万円)を後に償還(返済)すると,地方交付税交付金として償還額の80%に相当する880万円の交付を受けること(交付税措置)ができた。なお,本件財政融資資金の貸付けは,貸付対象事業が所定の期限までに完成されていることを条件とするものであった(財政融資資金の管理及び運用の手続に関する規則26条参照)(甲18)。
(以上につき,甲4,5,16,17,弁論の全趣旨)
(イ) 本件事業において整備される防災拠点施設は,平時には公民館として,災害時には防災会館として,それぞれ活用することが想定されており,そのこともあって,事業計画の当初は,当該地区内の集落の中央付近に既存し,立地上利便性を有する公民館を解体して,その跡地に建設することが検討されていた。もっとも,当該土地は急傾斜地崩壊危険区域内に存していたことから,原告は,その対策措置を執った上で当該土地に施設を建設するよりは,新たな建設場所を探す方が有利であると判断して,新たな建設予定地の買収交渉等を進めた。ところが,この交渉等のほか,最終的に確保した土地が農地であったことで農地転用許可等の手続にも時間を要したことなどから,本件事業を平成25年度内に完成させることが困難となった。(甲22,24,25,119の1(21,23,24,42頁)・2,弁論の全趣旨)
(ウ) 原告は,①本件交付金については平成26年度に繰り越して使用すること(明許繰越し)の許可を受け,これにより,事業費の総額の70%又は平成27年3月31日時点での出来形部分相当額の70%が交付されることとなり(弁論の全趣旨),また,②本件財政融資資金の貸付けについては,平成26年6月4日,貸付日を平成27年3月25日とする延長承認を受けた(甲19)。これにより,同日まで(ただし,同月31日までは延長可。財政融資資金の管理及び運用の手続に関する規則28条2項参照)に工事を完成させれば,本件財政融資資金の貸付けを受けられるが,同年4月1日以降に貸付日を延長することは許されないため,同年3月31日までに事業を完成しなければ貸付けを受けることができないこととなった。
このように,本件事業は,原告が本件工事に係る競争入札を実施した平成26年9月16日時点において,平成27年3月31日(平成26年度末)までに完成させなければ,①本件交付金については同日時点での出来形部分相当額の70%しか交付が受けられず,②本件財政融資資金については貸付けが受けられない(したがって,貸付金の償還に伴う交付税措置も受けられない。)こととなった。
(エ) 原告の総務企画課長のDは,平成27年3月9日,原告の現場監督員であるEから,本件工事の完成は4月中旬頃になる旨の説明を受け(甲68の1),本件工事が同年3月31日までに完成しないことが見込まれたことから,同月24日,鹿児島県の担当者の下に相談に行ったところ,本件交付金については平成27年度に更に繰り越して使用すること(事故繰越し)はできず,打切り精算とせざるを得ない旨の説明を受けた(甲117,証人D)。
(オ) D及び原告の総務企画課庶務係長のCは,平成27年3月26日頃から,当初請負契約について,①同月31日を完成期限とする本件工事の一部の契約と,②同年4月1日から同月21日までの期間を工期とする原告の単独事業(国から交付金を受けない事業)としての本件工事の残部の契約に分けて,二つの契約とする方針を取り,被告の現場代理人のFに説明を行った(甲117,乙57,58,証人D)。
(カ) 原告は,本件工事の出来高の調査を行い,平成27年3月31日頃,本件工事の設計額5650万円に対する既済額は3246万1000円(歩合57.45%),未済額2403万9000円(歩合42.55%)とする工事既未済調書を作成した(甲45)。
(キ) Dは,平成27年4月2日,被告の代表者のBに対し,上記(オ)のとおり当初請負契約を二つに分けて契約をすることを説明したが,Bから説明したことを書面にして交付するよう求められたことから,本件事業について,「4月1日から4月21日の工事については,新たな契約とするが,村としは随意契約でY社及びd社に発注する予定である。」,「3月31日及び4月21日までの延長については,村としてはペナルティは課さない。」などと記載した同月2日付けのX村長の記名押印のある本件覚書を被告に交付した(甲117,乙11,証人D)
(ク) 原告と被告は,平成27年4月3日頃,①当初請負契約について,完成期限を同年3月31日,工事内容を本件工事の一部,代金を3181万8000円に減額する旨の同月19日付けの本件変更契約と,②工期を同年4月1日から同月21日まで,工事内容を本件工事の残部,代金を2400万3960円とする原告の単独事業(国から交付金を受けない事業)としての同年3月31日付けの新規請負契約を締結した(甲41,乙12,弁論の全趣旨)。
また,原告と被告は,本件変更契約による変更後の当初請負契約に係る工事が平成27年3月30日に完成し,同日に原告による完成検査が完了した旨の同日付の検査調書を作成したほか(甲13の4),同日付の工事目的物引渡書を作成した(甲103)。
イ 検討
上記アの認定事実のとおり,原告と被告は,平成27年3月19日付けで,当初請負契約について,完成期限を同月31日,工事内容を本件工事の一部,代金を3181万8000円に減額する旨の本件変更契約を締結している以上,当初請負契約の完成期限は同月20日から同月31日に変更され,被告が請け負った工事の内容も上記減額後の代金額に応じた同月30日時点の出来形部分に減縮されたものと認めるのが相当である。
このように被告の負う工事内容の減縮が合意されたことは,原告と被告が,本件変更契約による変更後の当初請負契約に係る工事が平成27年3月30日に完成し,同日に原告による完成検査が完了した旨の同日付の検査調書及び同日付の工事目的物引渡書が作成されている事実や,原告と被告が,本件工事について,同月31日及び同年4月21日までの工期の延長については,原告としてはペナルティを科さないとする趣旨の本件覚書を取り交わしている事実とも整合するものである。
したがって,被告が平成27年3月20日までに本件工事の全部を完成させなかったことをもって被告に債務不履行(履行遅滞)があったということはできない。
ウ 原告の主張について
原告は,当初請負契約の工期を平成27年3月31日までに変更し,同年4月1日から同月21日までを工期とする新規請負契約を締結したのは,同年3月31日までは補助事業として施工ができるが,同年4月1日以降は繰越しが認められず,村単独事業として施工せざるを得なかったからであり,当初請負契約は形式的には二つの契約に分割されているが,同年3月31日までの出来高(57パーセント)をもって契約の本旨弁済とする趣旨ではなく,そのような義務の減縮まで行ったものではない旨主張する。
確かに,上記アの認定事実によれば,原告は,平成27年3月31日までに本件工事が完成できる見込みがなくなり,①本件交付金については同日時点での出来形部分相当額の70%しか交付が受けられず,②本件財政融資資金については貸付けが受けられない(したがって,貸付金の償還に伴う交付税措置も受けられない)ことが明らかとなったことを理由として,当初請負契約を国の補助事業に係る部分と原告の単独事業に係る部分に分割し,本件変更契約等を締結したものと認められる(ただし,当初請負契約の分割を内容とする本件変更契約等の締結を要する法的な理由については的確な説明がない。)。
しかしながら,そのような経緯で本件変更契約等が締結されたものであっても,先に述べたとおり,本件変更契約の内容は,当初請負契約の完成期限を平成27年3月20日から同月31日に変更し,被告が請け負った工事の内容も減額後の代金額に応じた同月30日時点の出来形部分に減縮するものであるから,当然にその合意に基づく法的効果が生ずるのであって,同月20日までに本件工事を完成させる被告の義務やその履行遅滞責任について何ら留保が付されていない以上,本件変更契約によって被告は同日までに本件工事の全部を完成させる義務を負わなくなったといわざるを得ない。
したがって,この点に関する原告の主張を採用することはできない。
(4) 小括
以上によれば,被告は,平成27年3月20日までに本件工事の全部を完成させるべき義務を負っていたとはいえないから,その余の点について検討するまでもなく,かかる義務を前提とする原告の債務不履行に基づく損害賠償請求権の成立を認めることはできない。
2 争点②(免除の有無)について
上記1のとおり,原告の債務不履行に基づく損害賠償請求権の成立を認めることはできないから,争点②(免除の有無)については判断を要しない。
なお,事案に鑑みて念のため付言するに,先に述べたとおり,原告と被告は,本件工事について,平成27年3月31日及び同年4月21日までの工期の延長については,原告としてはペナルティを科さないとする趣旨の本件覚書を取り交わしているところ,ペナルティの意味内容について何ら限定を付していない上(Dの作成したメモには「村に対してもペナルティがある」と記載されており(甲68の1・2),その意味が指名停止措置をいうものでないことは明らかである。),同年3月19日付けで,当初請負契約について,完成期限を同月31日,工事内容を本件工事の一部,代金を3181万8000円に減額する旨の本件変更契約を締結している上,本件変更契約による変更後の当初請負契約に係る工事が同月30日に完成し,同日に原告による完成検査が完了した旨の同日付の検査調書及び同日付の工事目的物引渡書が作成されていること,一般にペナルティという用語が罰や違約金などを指すものとして使用されていることに鑑みると,本件覚書におけるペナルティを科さないという趣旨は,同月20日までに本件工事を完成させなかった点について,指名停止処分のみならず,履行遅滞責任を追及しないという趣旨も黙示に含まれていたと認めるのが相当である。
したがって,原告が議会の議決を得ることなく被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権を放棄することができないとしても(地方自治法96条1項10号),少なくとも,被告が平成27年3月20日までに本件工事を完成させなかった点については,X村長が本件覚書によって債務不履行に基づく損害賠償請求権を行使しないことを黙示に約束したものというべきである。そのため,仮に原告の被告に対する債務不履行に基づく損害賠償請求権が成立するとしても,原告が本訴において同損害賠償請求権を行使することは不当であり,権利の濫用という余地がある。
3 争点③(損害賠償額の予定の有無)について
上記1のとおり,原告の債務不履行に基づく損害賠償請求権の成立を認めることはできないから,争点③(損害賠償額の予定の有無)については判断を要しない。
なお,事案に鑑みて念のため付言するに,原告と被告は,当初請負契約の契約約款38条に基づき,次のa及びbのとおり,履行遅延の場合における損害金等の合意をした(前記前提事実(2)エ(イ))。
a 被告の責めに帰すべき理由により工期内に工事を完成することができない場合において,工期経過後相当の期間内に完成する見込みのあるときは,原告は,被告から損害金を徴収して工期を延長することができる。
b 上記aの損害金額は,請負代金額から出来形部分に相応する請負代金額を控除した額につき,遅延日数に応じ,年2.9パーセントの割合で計算した額とする。
上記の契約約款38条は,その文言に加え,公共工事標準請負契約約款を参考に定められたものであり,同約款の解説において,履行遅滞の場合における損害金等の条項が損害賠償額の予定を定めたものである旨解説されていること(乙62)に鑑みると,民法420条1項所定の損害賠償額の予定を定めたものであると認められる。
そうすると,仮に,被告が平成27年3月20日までに本件工事を完成させなかった点について債務不履行(履行遅滞)があったとしても,原告は,契約約款38条に基づく損害金の請求をすることができるにとどまるから,本訴において主張する損害,すなわち,原告が得られなかった本件交付金及び交付税措置に係る損害の賠償を求めることはできない(なお,契約約款38条に基づく損害金は本訴請求の対象ではない。)。
なお,原告は,契約約款38条にいう損害金の前提となる損害は,工事の遅延,すなわち供用開始の遅延そのものであり,これとは別の損害(原告の主張する損害)について同条は妥当せず,民法420条1項後段の適用もない旨主張する。しかしながら,民法420条1項所定の損害賠償額の予定を定めた契約約款38条所定の合意は,その文言に照らしても,原告が主張するような損害の限定を付したものとは認められないから,この点に関する原告の主張を採用することはできない。
4 争点④(本件指名停止措置の違法性)について
(1) 認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
ア 原告の定めた本件指名停止等措置要領には,原告の実施する指名競争入札について,村長は,有資格業者が「村発注工事の施行に当たり,契約違反し,工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるとき」は「当該認定をした日から2週間以上4月以内」(同要領別表第1の3)の期間を定め,当該有資格業者について指名停止を行うものとする(同要領1条)旨が定められている(甲26)。
イ 原告と被告は,平成27年4月3日頃,①当初請負契約について,完成期限を同年3月31日,工事内容を本件工事の一部,代金を3181万8000円に減額する旨の同月19日付けの本件変更契約と,②工期を同年4月1日から同月21日まで,工事内容を本件工事の残部,代金を2400万3960円とする原告の単独事業(国から交付金を受けない事業)としての同年3月31日付けの新規請負契約を締結した(甲41,乙12,弁論の全趣旨)。
ウ 被告は,平成27年3月31日付けで,新規請負契約について,同年4月1日から同月21日までを工期とする当初工程表を作成し,原告に提出した(甲70)。
エ 被告は,平成27年6月30日,本件工事を完成させ,同年7月7日,本件工事について原告による完成検査を受け,その目的物を原告に引き渡した(甲13の5~13の7)。
オ 原告は,平成27年7月16日,本件指名停止等措置要領1条に基づき,被告に対し,「契約を履行しなかったため。(工期遅延1件)」を理由として,同月17日から同年9月16日までの2か月間,原告が発注する請負工事等について指名停止の措置をとる旨の決定(本件指名停止措置)をし,その旨の通知をした。
原告は,平成27年9月17日,被告に対し,本件指名停止措置を解除し,その旨の通知をした。
(以上につき,前記前提事実(7)ア)
(2) 被告の主張について
ア 上記(1)の認定事実によれば,原告は,被告が新規請負契約の工期である平成27年4月21日までに本件工事の残工事を完成させることができず,その完成が同年6月30日になったことから,本件指名停止等措置要領に基づき,被告に対して本件指名停止措置をしたものと認められる。
そして,被告は,Dが,新規請負契約の工期について,「工期は仮である」,「指名停止は自分がさせない」と述べ,本件覚書を被告に差し入れたものであり,新規請負契約で定められた工期は仮の期間であり,本件覚書においても努力義務とされているのであるから,平成27年4月21日は確定期限ではなく,同日までの工期に工事を完成させなかったことを理由とする本件指名停止措置は違法である旨主張する。そして,被告代表者も,これに沿った供述をしている。
しかしながら,被告代表者の供述を裏付ける的確な証拠はない。また,新規請負契約はその契約書において工期が平成27年4月21日までと明記されており(乙12),これを仮の工期として合意されたものと見ることは不自然である。また,本件覚書も,「3月31日及び4月21日までの延長については,村としてはペナルティを課さない。」との記載がされているにとどまり,同日の完成期限を超えた場合にまでペナルティを科さないとは記載されていない上,同日までの工事の完成義務を努力義務とする旨の記載はない(乙11)。さらに,証人Dは,新規請負契約の工期は確定された工期であり,本件覚書も同日までの工事の延期について指名停止は科さないとするものであると証言している。
したがって,被告代表者の供述をそのまま採用することはできず,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
イ 被告は,平成27年4月21日が新規請負契約の確定期限であったとしても,本件指名停止措置は,原告が,①新規請負契約の工期は,本件建物の未施工部分(出来形の43パーセント)に照らすと76日は確保されるべきであるところ,18日しか確保されておらず,実際の施工方法の検討を欠いた実行不可能な工期であること,②Dが新規請負契約の工期について上記アのとおり述べていたこと,③被告の書類提出が遅れたのは,当初請負契約において工期の合意がなかったため,初期に書類を作成することができなかった上,新規請負契約については突貫工事に精一杯であったことによるものであり,被告のみの責任ではないことなどの特殊事情を考慮せずにしたものであり,裁量権を逸脱又は濫用してしたものとして違法である旨主張する。
しかしながら,①新規請負契約において,本件建物の未施工部分の出来形が43パーセントであったとしても,これは工事金額を基準に算出されたものであり(甲45),これだけで適正な工期を算出することはできない上,被告が平成27年3月31日付けで作成した新規請負契約の当初工程表では,同年4月1日から同月21日までを工期とし,各種の残工事を同時並行で行うものとしている(甲70)。また,被告の担当者(現場監督員であるE又は現場代理人であるF)は,同年3月6日,第11回工程会議において,現状では1か月ほどの工期延長は避けられない旨の報告をし(甲56),Eは,同月9日にも,Dに対し,本件工事の完成は4月中旬頃になる旨の説明をし(甲68の1,117,証人D),被告の担当者(E又はF)は,同月13日,第12回工程会議において,工期の1か月の延長申請は避けられ旨の説明しているのであって(乙23),被告の工事担当者は4月中旬頃の完成見通しを持っていたのであるし,Fは,同月25日,原告との話合いの際に,同年4月21日までが正当な工期であると主張している(甲15)。これらの事情に鑑みると,新規請負契約が実際の施工方法の検討を欠いた実行不可能な工期を設定したものであると認めることはできない。
また,上記アのとおり,②Dが,新規請負契約の工期について,「工期は仮りである」,「指名停止は自分がさせない」と述べていた事実を認めることはできない。
さらに,③当初請負契約について工期の合意があったことは既に述べたとおりであるから,工期の合意がなかったことを書類の提出が遅れたことの理由とすることはできない。この点,被告は,既に平成26年11月11日の時点において,Cから書類が未提出の場合は工事の完成とはみなされないため,書類の提出を徹底するよう指示を受けており(甲102),このような工事の完成概念は公共建築工事の標準的な考え方にも沿うものであるところ(甲39,40),平成27年4月28日には監理者であるb社から完成図書の作成を急ぐよう指示されていたにもかかわらず,同年5月下旬になっても未提出書類が多く,同年6月に提出された書類には不備が多かったことが認められ(甲37,71),Bも,書類提出の遅れは現場監督員のEが急にいなくなった影響が大きかった旨陳述しているところであり(乙77),完成図書等の書類の提出が遅れた主たる原因は被告内部の問題にあったとみるのが相当である。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
ウ 被告は,本件指名停止措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法である旨主張する。
しかしながら,上記アにおいて述べたとおり,本件指名停止措置は,被告が新規請負契約の工期である平成27年4月21日までに本件工事の残工事を完成させることができず,その完成が同年6月30日になったため,本件指名停止等措置要領に基づいてされたものと認められるから,実質的にみて当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものとはいえず,他にそのような事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
また,本件覚書については,「3月31日及び4月21日までの延長については,村としてはペナルティを課さない。」との記載がされているにとどまり,平成27年4月21日の完成期限を超えた場合にまでペナルティを科さないと記載されていないことは先に述べたとおりである。そのため,本件指名停止措置が本件覚書の約束に違反するともいえない。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
(3) 小括
以上によれば,本件指名停止措置が違法であるとはいえない。
5 争点⑤(本件格下げ措置の違法性)について
(1) 認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
ア 原告は,「X村建設工事入札参加資格審査要綱」に基づき,原告が発注する建設工事の競争入札に参加することができる者は,入札参加者適格審査及び工事施行能力審査に合格した者とし(同要綱2条),工事施行能力審査は客観的要素及び主観的要素を採点して行い(同要綱5条),同採点を踏まえて土木一式工事及び建築一式工事についてそれぞれ2等級の格付けを行っている(同要綱6条)(甲27)。上記客観的要素は鹿児島県が毎年行う経営事項審査結果に基づく各業者の点数であり,主観的要素は,過去2年間の完成工事高,工事成績,技術職員数,指名停止等の要素を点数化して合計した点数である(甲118,証人G)。また,上記格付けは,「X村建設工事指名競争入札参加者選定基準」に沿って,A等級とB等級に区分され,A等級の格付けを受けた業者は1500万円以上の工事の入札に,B等級の格付けを受けた業者は1500万円未満の工事の入札に参加できるものとされている(甲28)。
イ 原告は,その発注する建設工事に係る競争入札の参加資格について,上記アの客観的要素及び主観的要素を点数化して被告の工事施行能力審査を行い,平成28年4月21日,被告に対し,被告が本件指名停止措置を受けたことなどを踏まえ,土木一式工事及び建築一式工事に係る等級区分を同年5月1日から平成30年度の格付け適用日の前日までB等級とする旨の決定(本件格下げ措置)をし,その旨の通知をした(甲115,118,乙18,83,証人G,弁論の全趣旨)。
(2) 被告の主張について
ア 被告は,本件格下げ措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法である旨主張する。
しかしながら,上記(1)の認定事実によれば,本件格下げ措置は,鹿児島県が毎年行う経営事項審査結果に基づく各業者の点数である客観的要素,及び,過去2年間の完成工事高,工事成績,技術職員数,指名停止等の要素を点数化して合計した点数である主観的要素を審査し,被告が本件指名停止措置を受けたことなども考慮して行われたものであると認められるから,実質的にみて当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであるとはいえず,他にそのような事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
また,本件覚書に平成27年4月21日の完成期限を超えた場合にまでペナルティを科さないとの記載がされていないことは先に述べたとおりであるから,本件指名停止措置を考慮してされた本件格下げ措置が本件覚書の約束に違反するともいえない。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
イ 被告は,本件格下げ措置は,違法な本件指名停止措置を前提としている点でも違法である旨主張する。
しかしながら,本件指名停止措置が違法であるとはいえないことは,前記4において述べたとおりであるから,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
(3) 小括
以上によれば,本件格下げ措置が違法であるとはいえない。
6 争点⑥(本件指名回避措置の違法性)について
(1) 認定事実
前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
ア 原告の定めた本件指名停止等措置要領には,原告の実施する指名競争入札について,指名停止の事由となる措置要件とそれぞれの措置要件に対応する措置期間の基準が定められており,所定の措置要件に該当する者には指名停止の措置を行うものとされている(同要領1条)。その措置要件中には「その他市(町村)工事等の契約の相手方として不適当であると認められる場合」という措置要件があり,これに対応する指名停止の期間は「当該認定をした日から1月以上12月以内」とされている(同要領別表第3の9)。また,村長は,有資格業者について,極めて悪質な事由があるため,又は極めて重大な結果を生じさせたため,指名停止期間の長期を超える指名停止の期間を定める必要があるときは,指名停止の期間を当該長期の2倍まで延長することができるものとされている(同要領3条4項)(甲26)。
イ 原告の定めた「X村建設工事入札者指名のための資格者推薦委員会設置規程」には,建設工事の入札者の指名のため,副村長等の職にある者によって組織される資格者推薦委員会を設置し(同規程3条,4条),指名選定は,建設工事請負者の業態,過去の実績等を勘案して選定する(同規程8条1項)旨が定められている(甲29)。
そして,原告の定めた「X村建設工事指名競争入札参加者選定基準」には,入札参加者の選定は,経営及び信用の状況,過去の工事成績,過去の選定回数,技術者の状況,手持工事の状況,その他必要と認める事項に留意しなければならず(同基準3条),本件指名停止等措置要領の別表に掲げる措置要件に該当する疑いのある業者については,当該事実が判明するまでの間選定を保留することができる(同基準6条)旨が定められている(甲28)。
ウ 被告の代表者のBは,当初請負契約の以前から,手持ちの建設工事がなくなると,X村役場に怒鳴り込み,村長室や担当課において,村長,副村長,課長,担当職員等に対し,威圧的言動や脅し口調を用いて仕事を要求したり,他の建設業者が仕事を請け負っていることについて怒りをぶつけたりすることが度々あったほか,副村長に対し,村長の三角ネームプレートを投げつけようとしたこともあった。そして,原告は,このようなBの言動が業務の停滞を招き,職員らの精神的苦痛も大きかったことから,奄美警察署に相談をしたこともあった。また,このようなBの言動は,X村議会の議員も目撃しており,平成27年9月に開かれた議会の定例会においてこれを問題視する発言がされていた。(甲31,118,証人G)
エ 原告の総務企画課長のD,同課庶務係長のC,B及び被告の現場代理人のFは,平成27年3月31日までに本件工事が完成しないことが見込まれたことから,同月17日,X村役場において打合せを行うために集まった。その際,Bは,DやCに対し,当初請負契約において工期の合意はしておらず,本件契約書の工期欄に記入せずに原告に提出したのは,DやCが工期欄に記入すれば文書偽造になるため,罠にはめたものであり,自分は本件工事をこのまま放置しても構わず,原告が被告に対して指名停止をしたときは殺しに行く旨の発言をしていた。(甲109の1・2)
オ 被告は,本件工事に含まれる側溝工事について,設計図面上は現場打ち側溝の施工が義務付けられていたのに,原告の了承を得ずに,二次製品のトラフ(側溝)によって施工をした(甲85,86,118,証人G)。
カ X村長は,平成27年7月16日,被告に対し,期間を同月17日から同年9月16日までの2か月間と定めて本件指名停止措置をし,同月17日に同措置を解除したが,資格者推薦委員会が,被告を契約の相手方として相応しい者として選定することは相当でないと判断したことから,これを踏まえ,同月17日以降も原告が発注する請負工事等の指名競争入札において本件指名回避措置をした(甲118,乙13,14,証人G)。
キ Bからの依頼を受けたg会の会長ほか2名は,平成29年9月20日,X村役場において,X村長らに対し,本訴についてBと話をして解決するよう要求し,改善がなければ街宣車を3,4台持ってきて街宣活動をするなどと申し向け,被告に対する本件指名停止措置や損害賠償請求等が不当である旨のBとの連名の抗議文を手渡した後,同日から同月22日まで,X村役場周辺やX村等において,街宣車1台を用いて原告の不当性を訴える街宣活動をした(甲106,118,証人G,被告代表者,弁論の全趣旨)。
(2) 検討
ア 地方自治法234条1項は「売買,貸借,請負その他の契約は,一般競争入札,指名競争入札,随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。」とし,同条2項は「前項の指名競争入札,随意契約又はせり売りは,政令で定める場合に該当するときに限り,これによることができる。」としており,例えば,指名競争入札については,契約の性質又は目的が一般競争入札に適しない場合などに限り,これによることができるものとされている(地方自治法施行令167条)。このような地方自治法等の定めは,普通地方公共団体の締結する契約については,その経費が住民の税金で賄われること等にかんがみ,機会均等の理念に最も適合して公正であり,かつ,価格の有利性を確保し得るという観点から,一般競争入札の方法によるべきことを原則とし,それ以外の方法を例外的なものとして位置付けているものと解することができる。また,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律は,公共工事の入札等について,入札の過程の透明性が確保されること,入札に参加しようとする者の間の公正な競争が促進されること等によりその適正化が図られなければならないとし(3条),指名競争入札の参加者の資格についての公表や参加者を指名する場合の基準を定めたときの基準の公表を義務付けている(8条1号,同法施行令7条1項2号,3号)。以上のとおり,地方自治法等の法令は,普通地方公共団体が締結する公共工事等の契約に関する入札につき,機会均等,公正性,透明性,経済性(価格の有利性)を確保することを図ろうとしているものということができる。(最高裁平成17年(受)第2087号同18年10月26日第一小法廷判決・集民221号627頁参照。以下「最高裁平成18年判決」という。)
そうすると,指名競争入札の参加者の指名(地方自治法施行令167条の12第1項)については地方公共団体の長の裁量に委ねられているものの,その恣意を許すものではなく,その判断が極めて不合理であり,社会通念上著しく妥当性を欠くものであるときは,裁量権の逸脱又は濫用があるものとして国家賠償法上違法となるものと解するのが相当である。
イ これを本件についてみるに,前記(1)の認定事実のとおり,被告の代表者のBは,当初請負契約の以前から,手持ちの建設工事がなくなると,X村役場に怒鳴り込み,村長室や担当課において,X村長,副村長,課長,担当職員等に対し,威圧的言動や脅し口調を用いて仕事を要求したり,他の建設業者が仕事を請け負っていることについて怒りをぶつけたりすることが度々あったほか,副村長に対し,X村長の三角ネームプレートを投げつけようとしたこともあった。
このようなBの言動は,X村長,副村長,課長,担当職員等が原告の発注する公共工事等の入札に関して種々の権限や情報を有していることに着目し,威圧的言動を用いて不当に圧力を加え,被告に有利な取り計らいを得ようと企図するものであり,仮にそのような企図がなかったとしても,被告に仕事を与えなければ再び威圧的言動を受けるとの不安をX村長らに生じさせるものであり,入札の過程の透明性や入札に参加しようとする者の間の公正な競争を阻害するおそれがあるものというべきである。また,このような言動は,原告の業務の停滞を招くだけでなく,職員らに動揺,不安,委縮等を生じさせるものであり,被告との間の円滑な意思疎通が困難となるほか,原告と被告との間の信頼関係を著しく損なうものといえる。現に,原告は,Bの言動が業務の停滞を招き,職員らの精神的苦痛も大きかったことから,奄美警察署に相談をしたこともあるところである。
さらに,当初請負契約について工期の合意があったことは先に述べたとおりであるところ,Bは,平成27年3月17日,X村役場において,DやCに対し,当初請負契約において工期の合意はしておらず,本件契約書の工期欄に記入せずに原告に提出したのは,DやCが工期欄に記入すれば文書偽造になるため,罠にはめたものであり,自分は本件工事をこのまま放置しても構わず,原告が被告に対して指名停止をしたときは殺しに行く旨の発言をしている。
このようなBの発言は,公共工事に対する無責任な姿勢を示すものである上,原告の契約担当者を犯罪に陥れようとした旨の悪意を示し,指名停止措置をしないよう脅迫するものであり,契約当事者間の円滑な意思疎通や信頼関係を著しく損なうものといえる。
なお,Bはg会の会長らに対して街宣活動等を依頼し,同会長ほか2名によって平成29年9月20日から3日間にわたって原告の不当性を訴える街宣活動等がされている。このようなBらの行為は,被告が本件指名回避措置について損害賠償請求の対象としている期間を経過した後にされたものであるから,それ自体は同期間に係る本件指名回避措置の理由となるものではないが,訴訟係属中でも積極的に示威活動に及んでいる点において,Bが容易に威圧的言動に及ぶことを示すものといえる。
加えて,被告は,本件工事に含まれる側溝工事について,設計図面上は現場打ち側溝の施工が義務付けられていたのに,原告の了承を得ずに,二次製品のトラフ(側溝)によって施工をしている。
以上に見たBの威圧的言動や公共工事に対する無責任な姿勢,原告に無断で設計に反する側溝の施工をしていることは,被告が公共工事等の契約の相手方として不適当であると判断をするのに十分な事情であるといえる。
したがって,少なくとも被告が損害賠償請求の対象としている期間,資格者推薦委員会が,被告を契約の相手方として相応しい者として選定することは相当でないと判断をし,X村長が,これを踏まえ,原告が発注する請負工事等の指名競争入札において本件指名回避措置をしたことにつき,その判断が極めて不合理であり,社会通念上著しく妥当性を欠くものであるとはいえないから,原告の主張するその余の指名回避の理由について判断するまでもなく,X村長が本件指名回避措置をしたことについて,裁量権の逸脱又は濫用があるとはいえない。
(3) 被告の主張について
ア 被告は,原告と同様の入札参加者選定基準を有する鹿児島県の発注する工事について,指名や受注を受けており,被告の施行能力,経営状況等について特段の問題はない旨主張する。
しかしながら,X村長,副村長,課長,担当職員等に対するBの威圧的言動が,原告の発注する公共工事等につき,入札の過程の透明性や入札に参加しようとする者の間の公正な競争を阻害するおそれがあるものであることや,原告の業務の停滞を招くだけでなく,職員らに動揺,不安,委縮等を生じさせるものであり,被告との間の円滑な意思疎通が困難となるほか,原告と被告との間の信頼関係を著しく損なうものであることは,上記(2)において述べたとおりである。そして,このことは,被告が鹿児島県の発注する工事について指名や受注を受けていることとは直接の関係を有しないものである。
したがって,被告の上記主張を前提としても,本件指名回避措置が裁量権の逸脱又は濫用といえるものではない。
イ 被告は,原告が,Bの暴言が長年続いてきているとしながら,その間も被告の指名を続けていたのであるから,指名回避を殊更続ける理由となるものではなく,また,被告の原告に対する街宣活動は一回きりであるし,被告の不誠実な行動が仮にあったとしても,指名停止の最長期間を超える指名回避の理由となるものではない旨主張する。
しかしながら,上記(2)イにおいてみたとおり,本件指名回避措置は,当初請負契約の以前に見られたBの威圧的言動だけでなく,平成27年3月17日のBの発言,原告に無断で設計に反する側溝の施工をしていることなどを踏まえ,総合的な観点から被告を契約の相手方として相応しい者として選定することは相当でないとの判断をしたものであると認められるから,当初請負契約までに被告の指名を続けていたことをもって本件指名回避措置の不当性を基礎付けるものとはいえない。
また,本件指名停止等措置要領には,「その他市(町村)工事等の契約の相手方として不適当であると認められる場合」という措置要件があり,これに対応する指名停止の期間は「当該認定をした日から1月以上12月以内」とされており(同要領別表第3の9),村長は,有資格業者について,極めて悪質な事由があるため,又は極めて重大な結果を生じさせたため,指名停止期間の長期を超える指名停止の期間を定める必要があるときは,指名停止の期間を当該長期の2倍まで延長することができるものとされている(同要領3条4項)のであるから,指名停止措置の最長期間は2年間であるといえる。そのため,被告が本件指名回避措置について損害賠償請求の対象としている期間は,この最長期間を超えるものではない。
加えて,上記(2)において述べた公共工事等の指名回避に係る地方公共団体の長の裁量権の性質に鑑みると,指名停止措置について一定の基準が定められている場合に,その基準の定める指名停止の最長期間を超えて指名回避措置をされたとしても,それだけで直ちに裁量権の逸脱又は濫用となるものではないというべきである(なお,最高裁平成18年判決も,村の「建設業者等指名停止等措置要綱」に定められた指名回避措置の最長期間を超えて指名回避の措置が採られた点につき,そのようなときでも地方公共団体の長に一定の裁量権があることを前提として,個別の事情を踏まえて裁量権の逸脱又は濫用に当たるか否かを検討している。)。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
ウ 被告は,本件指名回避措置は,実質的には当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであり,被告に履行遅滞がないことや,ペナルティを科さない旨の本件覚書の約束に違反することからも,違法である旨主張する。
しかしながら,上記(2)イにおいてみたとおり,本件指名回避措置は,当初請負契約の以前に見られたBの威圧的言動だけでなく,平成27年3月17日のBの発言,原告に無断で設計に反する側溝の施工をしていることなどを踏まえ,総合的な観点から被告を契約の相手方として相応しい者として選定することは相当でないとの判断をしたものであると認められるから,実質的にみて当初請負契約の工事遅滞の責任を被告に負わせようとするものであるとはいえず,他にそのような事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
また,本件覚書に平成27年4月21日の完成期限を超えた場合にまでペナルティを科さないとの記載がされていないことは先に述べたとおりである上,本件指名回避措置は本件工事の完成が同日の完成期限を超えたことを理由にしてされたものではないから,本件指名回避措置が本件覚書の約束に違反するともいえない。
したがって,この点に関する被告の主張を採用することはできない。
(4) 小括
以上によれば,本件指名回避措置が違法であるとはいえない。
7 争点⑦(損害)について
前記4ないし6において述べたとおり,本件指名停止措置,本件格下げ措置及び本件指名回避措置は,いずれも違法であるとはいえないから,争点⑦(損害)については判断を要しない。
第4 結論
よって,原告の本訴請求及び被告の反訴請求にはいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
鹿児島地方裁判所名瀬支部
(裁判官 堀内元城)
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【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
政治ポスター貼りドットウィン!「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい!」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績!
(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏0120-860-554(貼ろう!ここよ!) ✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。
(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!













































































































