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裁判年月日 令和 4年 7月20日 裁判所名 知財高裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(ネ)10077号
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
文献番号 2022WLJPCA07209006
裁判経過
第一審 平成30年 9月19日 東京地裁 判決 平28(ワ)38565号 特許権侵害差止等請求事件
出典
裁判所ウェブサイト
評釈
田中浩之・ジュリ 1580号8頁
鈴木將文・Law & Technology 98号11頁
裁判年月日 令和 4年 7月20日 裁判所名 知財高裁 裁判区分 判決
事件番号 平30(ネ)10077号
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
文献番号 2022WLJPCA07209006
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主文
1 原判決を次のとおり変更する。
(1) 被控訴人らは、別紙被控訴人らプログラム目録記載1のプログラムを生産し、譲渡し、貸し渡し、電気通信回線を通じた提供をし、又はこれらのプログラムの譲渡、貸渡し若しくは電気通信回線を通じた提供の申出をしてはならない。
(2) 被控訴人らは、別紙被控訴人らプログラム目録記載1ないし3のプログラムを抹消せよ。
(3) 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して1億円及びこれに対する被控訴人FC2につき平成29年3月3日から、被控訴人HPSにつき同年1月26日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 控訴人の被控訴人らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
2 控訴人と被控訴人FC2との間に生じた訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを2分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人FC2の負担とし、控訴人と被控訴人HPSとの間に生じた訴訟費用は、第1、2審を通じてこれを2分し、その1を控訴人の負担とし、その余を被控訴人HPSの負担とする。
3 この判決は、1項(1)ないし(3)に限り、仮に執行することができる。
4 被控訴人FC2のため、この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らは、別紙被控訴人ら装置目録記載1ないし3の装置を生産し、又は使用してはならない。
3 被控訴人らは、別紙被控訴人らプログラム目録記載1ないし3のプログラムを生産し、譲渡し、貸し渡し、電気通信回線を通じた提供をし、又はこれらのプログラムの譲渡、貸渡し若しくは電気通信回線を通じた提供の申出をしてはならない。
4 被控訴人らは、別紙被控訴人らプログラム目録記載の1ないし3のプログラムを抹消せよ。
5 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して1億円及びこれに対する被控訴人FC2につき平成29年3月3日から、被控訴人HPSにつき同年1月26日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人らの負担とする。
7 仮執行宣言
第2 事案の概要
1 本件は、いずれも名称を「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」とする特許第4734471号に係る特許権(以下「本件特許権1」といい、本件特許権1に係る特許を「本件特許1」といい、本件特許1に係る設定登録時の明細書及び図面を併せて「本件明細書1」という。)及び特許第4695583号に係る特許権(以下「本件特許権2」といい、本件特許権2に係る特許を「本件特許2」といい、本件特許2に係る設定登録時の明細書及び図面を併せて「本件明細書2」という。また、以下、本件特許権1及び2を併せて「本件各特許権」といい、本件特許1及び2を併せて「本件各特許」という。)を有する控訴人が、被控訴人FC2が提供する原判決別紙「被告らサービスの概要」記載の各サービス(以下、同別紙記載の個々のサービスを同別紙の番号に対応させて「被控訴人らサービス1」などといい、被控訴人らサービス1ないし3を併せて「被控訴人ら各サービス」という。)に用いられている別紙被控訴人らプログラム目録記載の各プログラム(なお、控訴人は、当審において、技術的な理由から、原判決別紙被告らプログラム目録の内容を別紙被控訴人らプログラム目録の内容に若干訂正したが、これについては、当該訂正の前後で同一のプログラムを指すものと認め、以下、当該訂正の前後を問わず、別紙被控訴人らプログラム目録記載の個々のプログラムを同目録の番号に対応させて「被控訴人らプログラム1」などといい、被控訴人らプログラム1ないし3を併せて「被控訴人ら各プログラム」という。)は本件特許1の請求項9及び10に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項9ないし11に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人ら各プログラムがインストールされた情報処理端末である別紙被控訴人ら装置目録記載の各装置(以下、同目録記載の個々の装置を「被控訴人ら装置1」などといい、被控訴人ら装置1ないし3を併せて「被控訴人ら各装置」という。)は本件特許1の請求項1、2、5及び6に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項1ないし3に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人らによる被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡、貸渡し及び電気通信回線を通じた提供(以下、譲渡、貸渡し及び電気通信回線を通じた提供を「譲渡等」という。)並びに譲渡等の申出は本件各特許権を侵害すると主張し、被控訴人らに対して、①特許法100条1項に基づき、被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止めを求め、②同条2項に基づき、被控訴人ら各プログラムの抹消を求め、③民法709条及び同法719条に基づき、損害賠償金の内金1億円及びこれに対する不法行為の後である訴状送達の日の翌日(被控訴人FC2につき平成29年3月3日、被控訴人HPSにつき同年1月26日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。
原審は、控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、これを不服として本件各控訴を提起した。
2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張
次のとおり改め、後記3のとおり当審で追加された争点及び争点に関する当事者の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第2の2及び3並びに第3の1ないし5に記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決3頁19行目末尾に「(甲1の1)」を加える。
(2) 原判決3頁22行目末尾に「(以下「本件原出願日」という。)」を加える。
(3) 原判決6頁22行目末尾及び26行目末尾にいずれも「。」を加える。
(4) 原判決11頁5行目から6行目にかけての「最高裁平成12年(受)第580号同14年9月26日第一小法廷判決・民集56巻7号1551頁」及び10行目の「前掲最高裁平成14年9月26日第一小法廷判決」の各次にいずれも「参照」を加える。
(5) 原判決12頁9行目の「本件各特許」を「本件各発明に係る本件各特許」と改める。
(6) 原判決12頁15行目を削る。
(7) 原判決13頁14行目及び15頁12行目の各「プレイヤ枠全体」をいずれも「プレイヤー枠全体」と改める。
(8) 原判決15頁19行目の「逆に」の次に「、本件発明1の技術的範囲に属する装置にあっては」を加える。
(9) 原判決15頁24行目の「構成要件1-1D,1-2H」を「構成要件1-2H」と改める。
(10) 原判決16頁10行目の「被告ら各プログラムなのであるから,」の次に「被控訴人ら各プログラムが」を加える。
(11) 原判決16頁10行目から11行目にかけての「「動画再生手段」(構成要件1-9B)」を「動画を再生する…表示装置」(構成要件1-1A)」と改める。
(12) 原判決16頁20行目の「被告ら各プログラムは」の次に「、構成要件1-9にいう「動画再生手段」に該当せず、」を加える。
(13) 原判決19頁23行目の「時期」を「時機」と改める。
(14) 原判決20頁5行目の「ステップ304」を「ステップS304」と改める。
(15) 原判決22頁24行目の「被告」を「被控訴人ら」と改める。
(16) 原判決24頁4行目の「本件各特許」を「本件各発明に係る本件各特許」と改める。
(17) 原判決24頁10行目から11行目にかけての「特開2003-111054号公報(乙2)には」を「特開2003-111054号公報(乙2。以下「乙2公報」という。)には、次のとおり」と改める。
(18) 原判決24頁12行目末尾に改行して以下のとおり加える。
「 (乙2発明A)
1A 動画を再生するとともに、動画上にテキストを、両者が同時に見えるように表示する情報端末装置200であって、
1B テキストと、動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、を一時的に記憶する表示メモリ272と、
1C 動画を表示する動画エリアに当該動画を再生して表示するとともに、再生される動画の動画再生時間に基づいて、表示メモリ272に記憶された情報のうち、動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するテキストを表示メモリ272から読み出し、当該読み出されたテキストを、データエリアにスクロール表示させる表示制御部270と、を有し、
1D データエリアのうち、一部の領域が動画エリアの全部と重なっており、他の領域が動画エリアの外側にあり、
1E 表示制御部270は、読み出したテキストを、その一部がデータエリアのうち動画エリアの外側であってデータエリアの内側に表示されるよう、動画エリアとデータエリアとにまたがるように表示する
1F ことを特徴とする情報端末装置200。
(乙2発明B)
9A 動画を再生するとともに、動画上にテキストを、両者が同時に見えるように表示する情報端末装置200のコンピュータを、
9B 動画を表示する動画エリアに当該動画を再生して表示する手段、
9C テキストと、動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、を一時的に記憶する表示メモリ272に記憶された情報を参照し、
9D 再生される動画の動画再生時間に基づいて、表示メモリ272に記憶された情報のうち、動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するテキストを表示メモリ272から読み出し、
9E 当該読み出されたテキストの一部を、テキストを表示するエリアであって一部の領域が動画エリアの全部と重なっており他の領域が動画エリアの外側にあるデータエリアのうち、動画エリアの外側であってデータエリアの内側にスクロール表示する手段、
9F として機能させるプログラム。」
(19) 原判決24頁21行目の「乙2には」の次に「、次のとおり」を加える。
(20) 原判決24頁21行目末尾に改行して以下のとおり加える。
「 (乙2発明A改)
1A 動画を再生するとともに、動画上にテキストを、両者が同時に見えるように表示する情報端末装置200であって、
1B 動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、アクセス情報と、を含む再生スケジュール情報を一時的に記憶する記憶手段と、
1C 動画を表示する動画エリアに当該動画を再生して表示するとともに、再生される動画の動画再生時間に基づいて、記憶手段に記憶された情報のうち、動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するアクセス情報を用いて取得したテキストを、データエリアに表示させる表示制御手段と、を有し、
1D データエリアのうち、一部の領域が動画エリアの全部と重なっており、他の領域が動画エリアの外側にあり、
1E 表示制御手段は、取得したテキストを、その一部がデータエリアのうち動画エリアの外側であってデータエリアの内側に表示されるよう、動画エリアとデータエリアとにまたがるように表示する
1F ことを特徴とする情報端末装置200。
(乙2発明B改)
9A 動画を再生するとともに、動画上にテキストを、両者が同時に見えるように表示する情報端末装置200のコンピュータを、
9B 動画を表示する動画エリアに当該動画を再生して表示する手段、
9C 動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、アクセス情報と、を含む再生スケジュール情報を一時的に記憶する記憶手段に記憶された情報を参照し、
9D 再生される動画の動画再生時間に基づいて、記憶手段に記憶された情報のうち、動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するアクセス情報を用いてテキストを取得し、
9E 当該取得されたテキストの一部を、テキストを表示するエリアであって一部の領域が動画エリアの全部と重なっており他の領域が動画エリアの外側にあるデータエリアのうち、動画エリアの外側であってデータエリアの内側に表示する手段、
9F として機能させるプログラム。」
(21) 原判決24頁25行目から26行目にかけての「相違するところ」の次に「(以下、この相違点を「相違点A」という。)」を加える。
(22) 原判決25頁4行目の「相違するところ」の次に「(以下、この相違点を「相違点B」という。)」を加える。
(23) 原判決25頁6行目の「乙2発明A改とは」の次に「、相違点Aにおいて相違するほか」を加える。
(24) 原判決25頁10行目の「乙2発明B改とは」の次に「、相違点Bにおいて相違するほか」を加える。
(25) 原判決25頁13行目の「乙28」を「乙27、28」と改める。
(26) 原判決26頁1行目の「乙2発明A改とは」の次に「、相違点Aにおいて相違するほか」を加える。
(27) 原判決26頁8行目の「本件特許1」を「本件発明1に係る本件特許1」と改める。
(28) 原判決27頁6行目から7行目にかけての「「移動表示させる」(構成要件1-2H)に対し」を「「移動表示させる」(構成要件1-2H)のに対し」と改める。
(29) 原判決28頁2行目の「具備するから」の次に「、本件発明1-6と乙2発明との間には」を加える。
(30) 原判決28頁5行目の「乙2発明とは」を「乙2発明との間には」と改める。
(31) 原判決28頁6行目の「また,」の次に「これらを」を加える。
(32) 原判決28頁15行目の「本件特許1」を「本件発明1に係る本件特許1」と改める。
(33) 原判決28頁20行目から21行目にかけての「特開2004-15750号公報(乙11)には」の次に「、次のとおり」を加える。
(34) 原判決28頁22行目末尾に改行して以下のとおり加える。
「 (乙11発明A)
1A 複数のライブ閲覧者端末21から送信されるチャットのメッセージを受信して各ライブ閲覧者端末21へ配信するライブ配信サーバ100と、ライブ配信サーバ100に接続され動画を再生するとともに、動画上にチャットのメッセージを表示するライブ閲覧者端末21とを有するライブ配信システムにおけるライブ閲覧者端末21であって、
1B 発言(チャットのメッセージ)と、前記発言がなされた時点におけるライブ開始からの差分時間を表す発言時間とを一時的に記憶するメモリと、
1C ライブ配信サーバ100がライブ閲覧者端末21からチャット入力情報を受信する毎にライブ配信サーバ100から送信されるチャット入力情報を受信し、メモリに記憶する通信手段22と、
1D 再生される動画の動画再生時間に基づいて、メモリに記憶されたメッセージのうち、前記動画の動画再生時間に対応する発言時間が対応づけられたメッセージをメモリから読み出し、読み出したメッセージを動画上にスクロール表示するメディア専用プレイヤー23と、
1E を有することを特徴とするライブ閲覧者端末21。
(乙11発明B)
9A 複数のライブ閲覧者端末21から送信されるチャットのメッセージを受信して各ライブ閲覧者端末21へ配信するライブ配信サーバ100と、ライブ配信サーバ100に接続され動画を再生するとともに、動画上にチャットのメッセージを表示するライブ閲覧者端末21とを有するライブ配信システムにおけるライブ閲覧者端末21であるコンピュータに、
9B ライブ配信サーバ100がライブ閲覧者端末21からチャット入力情報を受信する毎にライブ配信サーバ100から送信されるチャット入力情報を受信し、発言(チャットのメッセージ)と、前記発言がなされた時点におけるライブ開始からの差分時間を表す発言時間とを一時的に記憶するメモリに記憶させる手段と、
9C 再生される動画の動画再生時間に基づいて、メモリに記憶されたメッセージのうち、前記動画の動画再生時間に対応する発言時間が対応づけられたメッセージをメモリから読み出し、読み出したメッセージを動画上にスクロール表示する手段と、
9E として機能させるプログラム。」
(35) 原判決30頁12行目の「構成2-11I」を「構成要件2-11I」と改める。
(36) 原判決30頁17行目の「本件特許2」を「本件発明2に係る本件特許2」と改める。
(37) 原判決30頁26行目の「少なくとも」を「本件発明2-1が、少なくとも」と改める。
(38) 原判決31頁4行目及び32頁6行目の各「有せず,」の次にいずれも「これらを」を加える。
(39) 原判決33頁24行目の「被告らプログラム」を「被控訴人ら各プログラム」と改める。
(40) 原判決34頁1行目から20行目までを以下のとおり改める。
「【被控訴人らの主張】
被控訴人ら各プログラムは、ユーザが使用するコンピュータにインストールされるものではなく、ウェブブラウザ等のアプリケーションソフトを動作させる命令として一時的に読み込まれるものにすぎない(甲3に記載された「swf ファイル」は、ユーザが使用するコンピュータにウェブブラウザと共にインストールされている「Adobe Flash Player」に所定の動作をさせるため、原則として、「Adobe Flash Player」を動作させる都度読み込まれるものであり、そのため、ユーザが使用するコンピュータの一時保管フォルダに保存されるのであって、ユーザが使用するコンピュータにインストールされるものではない。)。したがって、被控訴人FC2が被控訴人ら各装置を生産し、又は使用している事実はない。
また、被控訴人ら各装置の生産が存在しないのであるから、被控訴人FC2について、本件各特許権の間接侵害は成立しない。
なお、被控訴人ら各サービスに係る情報は、米国内のサーバから自動的に配信されるものであり、当該情報の提供行為は、米国内で完結しているのであるから、属地主義の原則に従い、これに我が国の特許法の効力が及ぶことはない。」
(41) 原判決35頁10行目の「争点4」の次に「【控訴人の主張】」を加える。
(42) 原判決35頁13行目から25行目までを以下のとおり改める。
「【被控訴人らの主張】
(1) 被控訴人HPSと被控訴人FC2の関係について
被控訴人HPSは、被控訴人FC2の外注業者の一つであった者にすぎず、現在は、被控訴人ら各サービスに関する業務(被控訴人FC2が提供するサービスの企画、開発及び管理の業務を含む。)を行っていない。被控訴人HPSが被控訴人FC2の一部門として機能したこともない。
(2) 直接侵害行為について
被控訴人HPSは、被控訴人FC2の一部門として機能し、又は機能した会社ではなく、被控訴人HPSが被控訴人ら各プログラムのユーザに対する譲渡等又はその申出をした事実もない。
(3) 間接侵害行為について
争点4【被控訴人らの主張】のとおり、被控訴人ら各プログラムは、被控訴人ら各装置の生産又は使用について用いられる物ではないから、被控訴人HPSについて、本件各特許権の間接侵害は成立しない。」
3 当審で追加された争点及び争点に関する当事者の主張
(1) 争点6-1(本件発明1-1は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
【被控訴人らの主張】
ア 乙60の刊行物(特開2004-193979号公報(以下「乙60公報」という。))を主引用例とする新規性の欠如について
(ア) 乙60公報には、次の発明(以下「乙60発明」という。)が記載されている。
(乙60発明)
a 映像を再生するとともに、当該映像に付与された注釈を当該映像上に表示するビューワマシンであって、
b 前記注釈と、当該注釈の表示を開始するタイミングとを指定するSMILで記述された同期記述を記憶するメモリと、
c 映像を表示する第1の領域に前記映像を再生して表示する映像再生部と、
d 前記再生される映像の映像再生時間に基づいて、前記メモリに記憶された同期記述のうち、前記映像の映像再生時間に対応するタイミングで表示を開始させるべき注釈を前記メモリから読み出し、当該読み出された注釈を含むふきだしを、ビューワ画面内の第2の領域に表示する注釈再生部と、を有し、
e 前記第2の領域のうち、一部の領域が前記第1の領域の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の領域の外側にあり、
f 前記注釈再生部が、前記読み出した注釈をそれぞれ含む複数のふきだしの少なくとも一部を、前記第1の領域の外側と内側にまたがるように表示する
g ことを特徴とするビューワマシン。
(イ) 本件発明1-1と乙60発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-1は、新規性を欠く。
イ 乙49の刊行物(特開2004-297245号公報(以下「乙49公報」という。)を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
(ア) 乙49公報には、次の発明(以下「乙49発明」という。)が記載されている。
(乙49発明)
a 動画を再生するとともに動画上にテキストを表示する表示装置であって
b 動画に対応付けられているテキストデータを収集してログファイルに格納する格納部と
c 前記動画を表示する領域である第1の表示領域に当該動画を再生して表示する動画再生部と
d 前記テキストデータを読み込んでテキストデータを表示する領域である第2の表示欄に表示するテキストデータ表示部を有し
e 前記テキストデータを前記動画に重畳して表示する
f ことを特徴とする表示装置
(イ) 本件発明1-1と乙49発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-1は、新規性を欠く。
(ウ) 仮に、乙49公報の記載に接した当業者が、コメントを表示する領域の一部が動画を表示する領域の一部と重なり合っており、他のコメントを表示する領域が動画を表示する領域の一部の外側にあり、かつ、コメントを表示する領域中のコメントの少なくとも一部が動画の外側に表示されるとの構成を認識することができず、当該構成が本件発明1-1と乙49発明の相違点になるとしても、技術分野の同一性及び課題の共通性又は視認性の向上という動機付けに照らすと、当業者は、乙49発明に、乙2公報に記載された技術(以下「乙2技術」という。)、乙60公報に記載された技術(以下「乙60技術」という。)又は乙61の刊行物(国際公開第2006/059779号(以下「乙61公報」という。))に記載された技術(以下「乙61技術」という。)を適用して、上記相違点に係る本件発明1-1の構成に容易に想到することができたものであるから、本件発明1-1は、進歩性を欠く。
ウ 乙48の刊行物(国際公開第00/64150号(以下「乙48公報」という。))を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
(ア) 乙48公報には、次の発明(以下「乙48発明」という。)が記載されている。
(乙48発明)
a 動画を再生するとともに、前記動画上にチャットメッセージを表示する表示装置であって、
b 前記チャットメッセージを記録するチャットサーバと
c 前記動画を表示する領域である第1の表示欄に当該動画を再生して表示する動画再生部と
d 前記チャットメッセージを読み出し、当該チャットメッセージを、前記チャットメッセージを表示する領域である第2の表示欄に表示するチャットメッセージ表示部を有し、
e 前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第2の表示欄の外側にあり、
f 前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第3の表示欄の内側に表示する
g ことを特徴とする表示装置
(イ) 本件発明1-1と乙48発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-1は、新規性を欠く。
(ウ) 仮に、乙48公報の記載に接した当業者が、コメントを表示する領域の一部が動画を表示する領域の一部と重なり合っており、他のコメントを表示する領域が動画を表示する領域の一部の外側にあり、かつ、コメントを表示する領域中のコメントの少なくとも一部が動画の外側に表示されるとの構成を認識することができず、当該構成が本件発明1-1と乙48発明の相違点になるとしても、技術分野の共通性及び課題の共通性に照らすと、当業者は、乙48発明に、乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、上記相違点に係る本件発明1-1の構成に容易に想到することができたものであるから、本件発明1-1は、進歩性を欠く。
エ 乙64の刊行物(米国特許第2004/0098754号(以下「乙64公報」という。))を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
(ア) 乙64公報には、次の発明(以下「乙64発明」という。)が記載されている。
(乙64発明)
a 映像を再生するとともに、前記映像上にコメントを表示する表示装置であって、
b ウインドウ110の下部にあるメッセージ・サブジェクトは、視聴者が視聴しているAV製品のタイムライン・ポイントに実質的に対応する開始時刻を有しており、ストレージ・システム1230は、視聴者が入力したコメントとともに、AV製品のタイムラインのポイントとの関係に関する情報(以下「CT関係情報」という。)を蓄積する、
c AV製品を表示する領域であるウインドウ120(図1B)に当該AV製品を再生して表示する動画再生部と、
d 前記再生されるAV製品の再生時間に基づいて、ストレージ・システム1230に蓄積されたCT関係情報のうち、前記AV製品のタイムラインに対応するコメント入力時間に対応するコメントをストレージ・システム1230から読み出し、当該読み出されたコメントを、前記コメントを表示する領域であるウインドウ110及び150に表示するコメント表示部と、を有し、
e 前記のうち、ウインドウ110及び150のうち、ウインドウ150はウインドウ120の一部と重なっており、他の領域であるウインドウ110はウインドウ120の外側にあり、
f 前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの一部を、前記のうち、前記ウインドウ120の外側であって前記ウインドウ110の内側に表示する
g ことを特徴とする表示装置。
(イ) 本件発明1-1と乙64発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-1は、新規性を欠く。
(ウ) 仮に、乙64の記載に接した当業者が、コメントを表示する領域である「ウインドウ150」の一部が動画を表示する領域である「ウインドウ120」の一部と重なり合っており、他のコメントを表示する領域である「ウインドウ150」が動画を表示する領域である「ウインドウ120」の一部の外側にあり、かつ、コメントを表示する領域である「ウインドウ150」中のコメントの少なくとも一部が動画の外側に表示されるとの構成を認識することができず、当該構成が本件発明1-1と乙64発明の相違点になるとしても、技術分野の共通性及び課題の共通性又は視認性の向上という動機付けに照らすと、当業者は、乙64発明に、乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、上記相違点に係る本件発明1-1の構成に容易に想到することができたものであるから、本件発明1-1は、進歩性を欠く。
オ 乙65の刊行物(特開2004-15750号公報(以下「乙65公報」という。))を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
(ア) 乙65公報には、次の発明(以下「乙65発明」という。)が記載されている。
(乙65発明)
a 複数のライブ閲覧者端末21から送信されるチャットのメッセージを受信して各ライブ閲覧者端末21へ配信するライブ配信サーバ100と、ライブ配信サーバ100に接続され動画を再生するとともに、動画上にチャットのメッセージを表示するライブ閲覧者端末21とを有するライブ配信システムにおけるライブ閲覧者端末21であって、
b 発言(チャットのメッセージ)と、前記発言がなされた時点におけるライブ開始からの差分時間を表す発言時間とを一時的に記憶するメモリと、
c ライブ配信サーバ100がライブ閲覧者端末21からチャット入力情報を受信する毎にライブ配信サーバ100から送信されるチャット入力情報を受信し、メモリに記憶する通信装置22と、
d ライブ閲覧者端末21において、ライブ配信サーバ100に接続され動画を再生させる動画再生部と、
e 再生される動画の動画再生時間に基づいて、メモリに記憶されたメッセージのうち、前記動画の動画再生時間に対応する発言時間が対応づけられたメッセージをメモリから読み出し、読み出したメッセージを動画上にスクロール表示するメディア専用プレイヤー23と、
f を有することを特徴とするライブ閲覧者端末21。
(イ) 本件発明1-1と乙65発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-1は、新規性を欠く。
(ウ) 仮に、乙65公報の記載に接した当業者が、発言表示領域の一部が動画表示領域の一部と重なり合っており、他の発言表示領域が動画表示領域の一部の外側にあり、かつ、発言表示領域中の発言の少なくとも一部が動表示領域の外側に表示されるとの構成を認識することができず、当該構成が本件発明1-1と乙65発明の相違点になるとしても、技術分野の共通性及び課題の共通性に照らすと、当業者は、乙65発明に、乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、上記相違点に係る本件発明1-1の構成に容易に想到することができたものであるから、本件発明1-1は、進歩性を欠く。
【控訴人の主張】
ア 乙60公報を主引用例とする新規性欠如の主張について
乙60公報には、「コメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」との構成が開示されているとはいえないから、本件発明1-1と乙60発明が同一であるとはいえない。
イ 乙49公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張について
(ア) 乙49発明は、次のとおり認定するのが相当である。
(乙49発明)
a ストリーミングサーバが、ストリーミング配信中の動画について、当該動画に関するウェブ掲示板から、ログ収集周期が経過するごとに新規に書き込まれたテキストデータを収集し、
b ストリーミングサーバが、書き込まれたテキストデータ数が表示可能数よりも大きいか否かを調べ、表示可能数よりも大きい場合に、テキストデータを整理して表示リストを作成し、
c ストリーミングサーバが、表示リストに格納したテキストデータの数を表示数とし、当該表示数に基づいて表示時間を設定し(表示数に比例して短く設定される)、
d ストリーミングサーバが、当該表示時間に従って表示リストに格納されているメッセージを動画コンテンツに重畳して利用者端末に配信し、
e 利用者端末は、受信した、メッセージが重畳された動画コンテンツを表示する、
f ストリーミング配信システム。
(イ) 本件発明1-1と上記(ア)の乙49発明とを対比すると、両者は、次の点で相違する。
(相違点D)
再生される動画上の表示態様について、本件発明1-1は、「前記コメントと、当該コメントが付与された時点における、動画の最初を基準とした動画の経過時間を表す動画再生時間であるコメント付与時間とを含むコメント情報を記憶するコメント情報記憶部」(構成要件1-1B)と、「前記再生される動画の動画再生時間に基づいて、前記コメント情報記憶部に記憶されたコメント情報のうち、前記動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間に対応するコメントを前記コメント情報記憶部から読み出し、当該読み出されたコメントを、前記コメントを表示する領域である第2の表示欄に表示するコメント表示部」(構成要件1-1D)とを備え、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が」、動画を表示する領域である「前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり」(構成要件1-1E)、「コメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」(構成要件1-1F)のに対し、乙49発明は、ストリーミングサーバがログ収集周期毎にメッセージを収集して格納し、当該格納されたメッセージは、ログ収集周期毎に利用者端末に配信されて、動画の表示枠の外側に配置されるふきだしに表示されるものであって、本件発明1-1の上記構成を備えていない点。
(ウ) 乙2技術は、本件発明1-1の構成要件1-1B及び1-1Dを備えるものではなく、また、被控訴人らは、乙49発明の技術分野や課題につき主張しないから、当業者は、乙49発明に乙2技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙60公報は、相違点Dに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙49発明に乙60技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙49発明に乙60技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙61公報は、相違点Dに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙49発明に乙61技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙49発明に乙61技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
また、以上によると、当業者は、乙49発明に、乙2公報、乙60公報及び乙61公報に記載された慣用技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
ウ 乙48公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張について
(ア) 乙48公報には、被控訴人らが主張する構成e(「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第2の表示欄の外側にあり、」)及び構成f(「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第3の表示欄の内側に表示する」)は開示されていない。
(イ) 上記(ア)を前提に、本件発明1-1と乙48発明とを対比すると、両者は、次の点で相違する。
(相違点D)
再生される動画上の表示態様について、本件発明1-1は、「前記コメントと、当該コメントが付与された時点における、動画の最初を基準とした動画の経過時間を表す動画再生時間であるコメント付与時間とを含むコメント情報を記憶するコメント情報記憶部」(構成要件1-1B)と、「前記再生される動画の動画再生時間に基づいて、前記コメント情報記憶部に記憶されたコメント情報のうち、前記動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間に対応するコメントを前記コメント情報記憶部から読み出し、当該読み出されたコメントを、前記コメントを表示する領域である第2の表示欄に表示するコメント表示部」(構成要件1-1D)とを備え、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が」、動画を表示する領域である「前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり」(構成要件1-1E)、「コメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」(構成要件1-1F)のに対し、乙48発明は、チャットサーバから受信した全画面表示領域に表示されるチャットを、チャットと同じ大きさである全画面表示領域に表示されるテレビ番組の動画上に重畳させて表示するものであって、チャットと動画はリアルタイムに一緒に表示されるものであり、本件発明1-1の上記構成を備えていない点。
(ウ) 乙2技術は、本件発明1-1の構成要件1-1B及び1-1Dを備えるものではなく、また、被控訴人らは、乙48発明の技術分野や課題につき主張しないから、当業者は、乙48発明に乙2技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙60公報は、相違点Dに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙48発明に乙60技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙48発明に乙60技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙61公報は、相違点Dに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙48発明に乙61技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙48発明に乙61技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
また、以上によると、当業者は、乙48発明に、乙2公報、乙60公報及び乙61公報に記載された慣用技術を適用して、相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
エ 乙64公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張について
(ア) 乙64公報には、被控訴人らが主張する構成d(「…コメントを、前記コメントを表示する領域であるウインドウ110及び150に表示するコメント表示部と、を有し、」)及び構成f(「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの一部を、前記のうち、前記ウインドウ120の外側であって前記ウインドウ110の内側に表示する」)は開示されていない。
(イ) 上記(ア)を前提に、本件発明1-1と乙64発明とを対比すると、両者は、次の点で相違する。
(相違点E)
再生される動画上の表示態様について、本件発明1-1は、「…読み出されたコメントを、前記コメントを表示する領域である第2の表示欄に表示」(構成要件1-1D)し、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が」、動画を表示する領域である「前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあ」(構成要件1-1E)るのに対し、乙64発明は、メッセージを、ディスプレイ・ウインドウ120の外側であって、ディスプレイ・ウインドウ120とは重ならない領域に配置されるメッセージ・ウインドウ160に表示するものであって、本件発明1-1の上記構成を備えていない点。
(ウ) 乙2公報は、本件発明1-1の構成要件1-1Eを開示しておらず、また、被控訴人らは、乙64発明の技術分野や課題につき主張しないから、当業者は、乙64発明に乙2技術を適用して、相違点Eに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙60公報は、本件発明1-1の構成要件1-1Eを開示しておらず、また、乙64発明に乙60技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙64発明に乙60技術を適用して、相違点Eに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙61公報は、相違点Eに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙64発明に乙61技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙64発明に乙61技術を適用して、相違点Eに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
また、以上によると、当業者は、乙64発明に、乙2公報、乙60公報及び乙61公報に記載された慣用技術を適用して、相違点Eに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
オ 乙65公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張について
(ア) 本件発明1-1と乙65発明とを対比すると、両者は、次の点で相違する。
(相違点F)
再生される動画上の表示態様について、本件発明1-1は、コメントを表示する領域である「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が」動画を表示する領域である「前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり」(構成要件1-1E)、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」(構成要件1-1F)のに対し、乙65発明は、発言を、ライブ映像の画面内の所定の領域に表示するものであって、本件発明1-1の上記構成を備えていない点。
(イ) 乙2公報は、本件発明1-1の構成要件1-1Fを開示しておらず、また、被控訴人らは、乙65発明の技術分野や課題につき主張しないから、当業者は、乙65発明に乙2技術を適用して、相違点Fに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙60公報は、相違点Fに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙65発明に乙60技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙65発明に乙60技術を適用して、相違点Fに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
乙61公報は、相違点Fに係る本件発明1-1の構成を開示しておらず、また、乙65発明に乙61技術を組み合わせる動機付けはないから、当業者は、乙65発明に乙61技術を適用して、相違点Fに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
また、以上によると、当業者は、乙65発明に、乙2公報、乙60公報及び乙61公報に記載された慣用技術を適用して、相違点Fに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものではない。
(2) 争点6-2(本件発明1-2は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
【被控訴人らの主張】
ア 乙48公報を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
(ア) 本件発明1-2と乙48発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-2は、新規性を欠く。
(イ) 本件発明1-2は、本件発明1-1に対し、「前記コメント表示部は、前記コメントを移動表示させることを特徴とする請求項1記載の表示装置」という構成を付加したものであり、仮に、本件発明1-2と乙48発明との間に相違点が存するとすると、それは、上記構成となる。そして、当業者は、乙48発明に、慣用技術(乙29、32、33、35ないし37、51ないし53、55)を適用して、上記相違点に係る本件発明1-2の構成に容易に想到することができたものであるから、本件発明1-2は、進歩性を欠く。
イ 乙65公報を主引用例とする新規性の欠如について
本件発明1-2と乙65発明とを対比すると、両者は同一であるから、本件発明1-2は、新規性を欠く。
【控訴人の主張】
ア 乙48公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張について
(ア) 争点6-1【控訴人の主張】ウ(イ)のとおり、本件発明1-1と乙48発明は、相違点Dにおいて相違するから、本件発明1-1の構成要件を全て具備する本件発明1-2と乙48発明との間にも、少なくとも相違点Dが存在する。
(イ) 当業者が相違点Dに係る本件発明1-1の構成に容易に想到し得たものでないことは、争点6-1【控訴人の主張】ウ(ウ)のとおりである。また、控訴人が主張する刊行物(乙29、32、33、35ないし37、51ないし53、55)は、本件発明1-2にいう「コメント」の移動表示を開示するものではないから、当業者は、乙48発明に上記刊行物に記載された慣用技術を適用して、本件発明1-2の構成に容易に想到し得たものではない。
イ 乙65公報を主引用例とする新規性欠如の主張について
争点6-1【控訴人の主張】オ(ア)のとおり、本件発明1-1と乙65発明は、相違点Fにおいて相違するから、本件発明1-1の構成要件を全て具備する本件発明1-2と乙65発明との間にも、少なくとも相違点Fが存在する。
(3) 争点6-3(本件発明1-9及び1-10は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
【被控訴人らの主張】
ア 本件発明1-9及び1-10は、いずれも乙60発明、乙49発明、乙48発明又は乙65発明と同一であるから、本件発明1-9及び1-10は、いずれも新規性を欠くものである。
イ 本件発明1-9及び1-10は、それぞれ本件発明1-1及び1-2に対応するプログラムの発明であるから、本件発明1-1及び1-2がいずれも進歩性を欠く以上、本件発明1-9及び1-10も、いずれも乙49発明、乙48発明又は乙65発明を根拠に進歩性を欠くものである。
【控訴人の主張】
ア 本件発明1-9は、発明の対象が「プログラム」であって、発明の対象を「表示装置」とする本件発明1-1と一部において相違するものの、両者は対応するものであるから、争点6-1【控訴人の主張】における主張は、本件発明1-9についてもそのまま当てはまる。したがって、本件発明1-9が新規性又は進歩性を欠くことはない。
イ 本件発明1-10も、本件発明1-2に対応するものであるから、争点6-2【控訴人の主張】における主張は、本件発明1-10についてもそのまま当てはまる。したがって、本件発明1-10が新規性又は進歩性を欠くことはない。
(4) 争点6-4(本件発明1につき特許請求の範囲の記載はサポート要件に違反するか)について
【被控訴人らの主張】
控訴人は、本件発明1の解決課題はコメントがユーザによって書き込まれたものであるか判別し難いことであると主張するが、そのような解決課題が存在するのか自体疑問である。
仮に、本件発明1の解決課題が控訴人主張のとおりであったとしても、どのようなアスペクト比を用いた場合にどのような余白が生じるのか、どのようなコメントであればよいのかなどにつき、本件明細書1には全く示されておらず、当業者において、本件原出願日当時の技術常識に照らし、上記課題を解決できるものではない。
そもそも、第1の表示欄と第2の表示欄の大きさを異なるものとすることで、上記課題を解決できるのかについても疑問である。
以上によれば、本件発明1につき、特許請求の範囲の記載は、サポート要件(特許法36条6項1号)を満たしていないというべきである。
なお、仮に、当業者において、本件原出願日当時の技術常識に照らし、上記課題を解決できるというのであれば、それは、控訴人が特許庁審査官から受けた拒絶理由通知に対してした対応(本件発明1が「コメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」との構成を有することを新規性及び進歩性の根拠として主張したこと)と矛盾する。
【控訴人の主張】
本件発明1-1の課題解決手段は、「動画を表示する領域である第1の表示欄」(構成要件1-1C)と「コメントを表示する領域である第2の表示欄」(構成要件1-1D)について、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり」(構成要件1-1E)、「前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」(構成要件1-1F)というものである。被控訴人らが主張するアスペクト比により生じる余白は、課題解決手段を構成するものではない。
また、上記の課題解決手段は、本件明細書1(段落【0019】、【図5】、【図9】等)に記載されたものである。
以上のとおりであるから、本件発明1につき特許請求の範囲の記載がサポート要件に違反しているとの被控訴人らの主張は、理由がない。
なお、控訴人の上記主張は、控訴人が特許庁審査官の発した拒絶理由通知に対してした対応と矛盾するものではない。
(5) 争点7(差止請求及び抹消請求の可否)について
【控訴人の主張】
ア 被控訴人らは、本件各特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に該当するから、被控訴人らに対し、被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムの生産等の差止め並びに被控訴人ら各プログラムの抹消を求める必要性がある。
イ 被控訴人らは、被控訴人FC2が被控訴人らサービス2及び3をShwe Nandar Co.,Ltd.(以下「SN社」という。)に譲渡したと主張する。しかしながら、被控訴人らが主張する事業譲渡に係る契約書(乙99の1。なお、乙99の2は、その不正確性に照らし、乙99の1の訳文として参照されるべきではない。)の内容には、極めて多数の不備があり、被控訴人FC2とSN社が実際に被控訴人らサービス2及び3につき事業譲渡契約をしたものとは考えられない。また、仮に被控訴人FC2とSN社との間に事業譲渡契約が成立し、被控訴人らサービス2及び3が被控訴人FC2からSN社に譲渡されたとしても、被控訴人らがSN社からこれらのサービスの再譲渡を受ける可能性も十分にある。
したがって、被控訴人らは、本件各特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に当たる。
ウ 控訴人は、差止め及び抹消の対象となる被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムをFLASH版等の特定の形式に限定しているわけではない。いかなる形式のものであれ、被控訴人らが被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムに当たる装置及びプログラムの生産等を行っているのであれば、差止め及び抹消を求めることはできるというべきである。
【被控訴人らの主張】
ア 被控訴人FC2は、令和2年9月25日、被控訴人らサービス2及び3をSN社に譲渡した。そして、被控訴人らが今後同様のサービスを提供する予定はないから、被控訴人らは、本件各特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に当たらない。したがって、被控訴人ら装置2及び3並びに被控訴人らプログラム2及び3については、差止め及び抹消を求めることはできない。
イ 被控訴人FC2は、令和2年12月28日、被控訴人らサービス1についてFLASH版の公開を停止した。被控訴人らが今後被控訴人らサービス1につきFLASH版の公開をする予定はない。したがって、被控訴人ら装置1のうちFLASH版に係るもの及び被控訴人らプログラム1につきFLASH版に係るものについては、差止め及び抹消を求めることはできない。
(5) 争点8(損害の発生の有無及びその額)について
【控訴人の主張】
ア 被控訴人らによる本件各特許権の侵害が成立する時期
被控訴人らは、以下の侵害開始時期から現在に至るまで、本件各特許権を侵害している。
(ア) 本件特許権1について
a 被控訴人らサービス1に関し 平成23年4月28日
b 被控訴人らサービス2に関し 平成23年4月28日
c 被控訴人らサービス3に関し 平成23年6月
(イ) 本件特許権2について
a 被控訴人らサービス1に関し 平成23年3月4日
b 被控訴人らサービス2に関し 平成23年3月4日
c 被控訴人らサービス3に関し 平成23年6月
イ 特許法102条2項に基づく損害額
(ア) 被控訴人ら各サービスをユーザに提供したことによる被控訴人FC2の利益
被控訴人FC2が被控訴人ら各サービスをユーザに提供することにより得た利益は、本件各特許権の侵害により得た利益に当たる。
そして、令和3年3月19日までの期間のみをみても、被控訴人FC2が当該提供行為によって得た利益は、●●●●●●●●●●●●●円を下らない。
(イ) 被控訴人FC2に対して被控訴人ら各プログラムを譲渡したことによる被控訴人HPSの利益
被控訴人HPSは、被控訴人FC2に対し、本件各発明の実施品である被控訴人ら各プログラムを譲渡しているから、被控訴人HPSが当該譲渡によって得た利益は、本件各特許権の侵害により得た利益に当たる。
そして、被控訴人ら各サービスの全ての提供が開始された平成23年6月以降の10年の期間のみをみても、被控訴人HPSが被控訴人FC2に対する当該譲渡によって得た利益は、●●●円を下らない。
(ウ) 小括
以上のとおりであるから、本件各特許権の侵害により被控訴人らが得た利益は、●●●●●●●●●●●●●円を下らない。
ウ 特許法102条3項に基づく損害額
(ア) 上記イのとおり、被控訴人ら各サービスをユーザに提供したことによる被控訴人FC2の売上げ及び被控訴人FC2に対して被控訴人ら各プログラムを譲渡したことによる被控訴人HPSの売上げは、合計●●●●●●●●●●●●●●円を下らない。
(イ) 被控訴人らによる本件各発明の実施に対し、控訴人が受けるべき実施料の率は、10%を下らない。
(ウ) 小括
以上によると、控訴人の損害額は、少なくとも●●●●●●●●●●●●円となる。
エ 弁護士費用等
弁護士費用及び弁理士費用相当額は、1億円を下らない。
オ 請求額
控訴人は、被控訴人らに対し、上記損害金の内金1億円の連帯支払を求める。
【被控訴人らの主張】
ア 被控訴人ら各サービスをユーザに提供したことによる売上げは、次のとおりである。
(ア) 被控訴人らサービス1 ●●●●●●●●●●●●●円(平成23年4月から令和2年10月まで)
(イ) 被控訴人らサービス2 ●●●●●●●●●●●円(平成23年4月から令和2年9月まで)
(ウ) 被控訴人らサービス3 ●●●●●●●●●●●円(平成23年6月から令和2年9月まで)
イ 上記アの売上げから控除されるべき経費(サーバーインフラ費用及び動画の配信等に貢献した者に対して支払う報酬)は、次のとおりである。
(ア) 被控訴人らサービス1 ●●●●●●●●●●●●円
(イ) 被控訴人らサービス2 ●●●●●●●円
(ウ) 被控訴人らサービス3 ●●●●●●●円
ウ(ア) 被控訴人ら各サービスについては、第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側にコメントが表示される場合(アスペクト比の違いによる余白が存在する場合)にのみ、本件特許権1の侵害が成立するところ、このような余白が存在する動画の割合は、最大でも0.00035%(851万5948本中30本の割合)にすぎない。なお、被控訴人らサービス2及び3については、このような余白が存在する動画はない。
(イ) 被控訴人ら各サービスにおいて、動画上にユーザがコメントを付す動画の割合は、2.59%にすぎない。
(ウ) 本件発明1のコメント表示機能は、被控訴人ら各サービスにおいて顧客誘引力を有しないから、本件発明1のコメント表示機能によって誘引される利益の割合は、0.01%を超えない。
(エ) 以上によると、特許法102条2項に基づく損害額は、事実上0円であるといえる((●●●●●●●●●●●●●円-●●●●●●●●●●●●円)×0.00035%×2.59%×0.01%<1円)。
エ 被控訴人HPSは、被控訴人ら各プログラムを開発して他社に納品し、その対価を得ることを業としていないから、被控訴人HPSが被控訴人ら各プログラムを開発し、被控訴人FC2に納品したとしても、これは、控訴人の事業と競合するものではない。したがって、被控訴人HPSに関し、特許法102条2項の推定が及ぶ余地はない。
オ 被控訴人HPSは、被控訴人らプログラム2及び3の開発には関与していないから、被控訴人HPSが被控訴人らプログラム2及び3の生産等をしたことを前提として損害額を算定する控訴人の主張は理由がない。
第3 当裁判所の判断
当裁判所は、控訴人の請求は被控訴人らに対し被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め、被控訴人ら各プログラムの抹消並びに1億円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、その余はいずれも理由がないものと判断する。その理由は、次のとおりである。
1 本件発明1の意義について
(1) 本件明細書1の記載
本件明細書1の記載は、原判決別紙特許公報(甲1の2)のとおりであるが、その概要は、以下のとおりである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画とともにコメントを表示する場合における表示装置、コメント表示方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、放送されたテレビ番組などの動画に対してユーザが発言したコメントをその動画と併せて表示するシステムがある。
例えば、地域ごとに放送時間が異なるテレビ番組等に関する掲示板において、テレビ番組の1シーンに対する書き込みを、放送開始からの正味時間に対応させて記憶しておき、掲示板を閲覧する時間が異なっていても、以前に書き込まれた内容がテレビ番組のシーンに合わせて表示させるシステムがある…。このシステムによれば、ユーザは放送時間のタイムラグを感じることがなく、テレビ番組を見ながら、コメントを閲覧して楽しむことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術におけるシステムを利用すると、以下のことが考えられる。すなわち、動画上に多数のコメントが書き込まれたとすると、コメント同士が重なり合ってしまい、コメントを読みにくくなってしまう。また、ユーザ毎にコメントを表示する位置を割り当ててしまうと、重なることを解消することができるが、同じ画面上にコメントを書き込めるユーザの数が限られてしまうため、大人数でコメントを交換する面白みが低減してしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のコメントが書き込まれても、コメントの読みにくさを低減させることができる表示装置、コメント表示方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、動画を再生するとともに、前記動画上にコメントを表示する表示装置であって、前記コメントと、当該コメントが付与された時点における、動画の最初を基準とした動画の経過時間を表す動画再生時間であるコメント付与時間とを含むコメント情報を記憶するコメント情報記憶部と、前記動画を表示する領域である第1の表示欄に当該動画を再生して表示する動画再生部と、前記再生される動画の動画再生時間に基づいて、前記コメント情報記憶部に記憶されたコメント情報のうち、前記動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間に対応するコメントを前記コメント情報記憶部から読み出し、当該読み出されたコメントを、前記コメントを表示する領域である第2の表示欄に表示するコメント表示部と、を有し、前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり、前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述の表示装置において、前記コメント表示部は、前記コメントを移動表示させることを特徴とする。…
【0008】
また、本発明は、上述の表示装置において、前記コメント表示部は、前記コメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する際、前記第1の表示欄と前記第2の表示欄とにまたがるように表示させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述の表示装置において、前記コメント表示部によって表示されるコメントが他のコメントと表示位置が重なるか否かを判定する判定部と、前記判定部がコメントの表示位置が重なると判定した場合に、各コメントが重ならない位置に表示させる表示位置制御部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、動画を再生するとともに、前記動画上にコメントを表示する表示装置のコンピュータを、前記動画を表示する領域である第1の表示欄に当該動画を再生して表示する動画再生手段、コメントと、当該コメントが付与された時点における、動画の最初を基準とした動画の経過時間を表す動画再生時間であるコメント付与時間とを含むコメント情報を記憶するコメント情報記憶部に記憶された情報を参照し、前記再生される動画の動画再生時間に基づいて、前記コメント情報記憶部に記憶されたコメント情報のうち、前記動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間に対応するコメントをコメント情報記憶部から読み出し、当該読み出されたコメントの一部を、前記コメントを表示する領域であって一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており他の領域が前記第1の表示欄の外側にある第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示するコメント表示手段、として機能させるプログラムである。
また、本発明は、上述のコメント表示手段が、前記コメントを移動表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、この発明によれば、動画を第1の表示欄に再生させ、コメント情報のうち、動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間が対応づけられたコメントをコメント情報から読み出し、第1の表示欄と一部が重なり他の部分が重ならない表示領域である第2の表示欄における、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に、読み出したコメントの少なくとも一部を表示するようにした。これにより、例えば、オーバーレイ表示されたコメント等が、動画の画面の外側でトリミングするようにして、コメントそのものが動画に含まれているものではなく、動画に対してユーザによって書き込まれたものであることが把握可能となり、コメントの読みにくさを低減させることができる。
【0019】
…図5は、表示装置34に表示される情報の一例を示す図である。…表示欄104には、第1の表示部によって表示される動画が表示される。表示欄105には、第2の表示部によって表示されるコメントが表示される領域であり、ここでは、表示欄104によって表示される動画上にコメントが表示される。また、ここでは、表示欄105は、表示欄104よりも大きいサイズに設定されており、オーバーレイ表示されたコメント等が、動画の画面の外側でトリミングするようになっており、コメントそのものが動画に含まれているものではなく、動画に対してユーザによって書き込まれたものであることが把握可能となっている。
【0034】
次に、コメントが画面上に表示された場合について図面を用いて説明する。ここでは、図6の「最近のコメント一覧」において、「有名シェフのオムライス」の動画に対応付けされた「料理の感想を言おう!」というスレッドが選択された場合について説明する。このスレッドが選択されると、「有名シェフのオムライス」の動画が例えば、図5の表示欄104の領域内に再生される。そして、動画再生時間に応じてコメントが動画上に順次表示される。図5では、動画再生時間が9秒の場合の画面が示してあり、ここでは、コメント付与時間が9秒のユーザFのコメントである「おいしそう~!」が、画面の右側から左側に移動表示される(符号115)。そして、動画の再生が進み、動画再生時間が13秒になると、図9に示すような画面が表示される。ここでは、コメント付与時間が9秒のコメントである「おいしそう~!」が、画面左側に移動しており、表示欄104の外側であって表示欄105の内側にトリミングされた状態で「そう~!」の部分だけ表示されている(符号200)。また、コメント付与時間が10秒のユーザZのコメントである「有名シェフの作品はいいねぇ。」のコメントがユーザBのコメントの下の位置に表示されているとともに(符号201)、コメント付与時間が12秒のユーザEのコメントである「どこの卵を使ってるの?」が画面の下方の位置に表示される(符号202)。このようにして、コメントが順次表示される。
(2) 本件明細書1の上記記載によると、本件発明1の意義は、次のとおりであると認められる。すなわち、本件発明1は、動画と共にコメントを表示する表示装置及びプログラムに関するものである。従来から、放送されたテレビ番組等の動画に対してユーザが発信したコメントをその動画と併せて表示するシステムがあったところ、このシステムを利用した場合、動画上に多数のコメントが書き込まれると、コメント同士が重なってしまい、コメントが読みにくくなるという課題があった。かかる課題を解決し、複数のコメントが書き込まれた場合であってもコメントの読みにくさを低減させることができるような表示装置及びプログラムを提供することを目的として、本件発明1は、動画を第1の表示欄に再生させた上、動画再生時間に対応するコメント付与時間を対応付けたコメントの少なくとも一部を、第1の表示欄と一部のみが重なる第2の表示欄の内側であり、かつ、第1の表示欄の外側に表示するようにしたものである。これにより、本件発明1は、コメントそのものが動画に含まれるものではなく、動画に対しユーザが書き込んだものであることを把握可能にし、コメントの読みにくさを低減させる効果を奏する。
2 本件発明2の意義について
次のとおり改めるほかは、原判決40頁8行目から47頁23行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
ア 原判決42頁5行目末尾に改行して以下のとおり加える。
「【0006】
また、本発明は、上述の表示装置において、前記表示位置制御部は、前記動画の表示領域のうち、コメントを表示する基準となる位置を表す基準位置に従って第2のコメントが表示された後に前記第1のコメントを表示する際に、前記判定部が前記コメントが重なると判定した場合に、前記第1のコメントの基準位置を前記第2のコメントの基準位置とは異なる位置に変更して表示することを特徴とする。
また、本発明は、上述の表示装置において、前記第1のコメントと前記第2のコメントとの両方が所定の方向に移動表示するコメントであり、前記コメント表示部は、前記コメントが前記表示領域内に現れてから表示領域外に移動して消えるまでの時間であるコメント表示時間と前記コメントの表示が開始される文字から表示が終了する文字までの前記所定の方向における文字列の幅とに基づいて決定される移動速度で前記コメントを移動させつつ、前記画面上に表示を行い、前記判定部は、各コメントを前記移動速度で移動させて表示させた場合、前記第2のコメントが移動し終わるまでに前記第1のコメントが追いつく場合に、前記第1のコメントと前記第2のコメントとの表示位置が重なるものとして判定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上述した表示装置において、前記第1のコメントと第2のコメントは、いずれか一方が固定位置で表示されるコメントであり、他方が移動表示されるコメントであり、前記判定部は、前記固定位置で表示されるコメントと前記移動表示されるコメントとの表示位置が重なるか否かを判定するものであって、前記移動表示されるコメントが、前記固定位置で表示されるコメントが固定表示をする間継続して表示位置が重なる場合に、重なっていると判定し、一部の期間で表示位置が重なっていても、表示位置が重なっていない期間がある場合には、重ならないとして判定することを特徴とする。
また、本発明は、上述した表示装置において、前記コメント表示部は、前記コメントに含まれる文字の文字サイズを変更して表示させる文字サイズ変更部を有し、前記判定部は、前記文字サイズ変更部によって変更された後の文字サイズのコメントの表示位置が重なるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数の端末装置から送信されるコメント情報を受信して各端末装置へ配信するコメント配信サーバと、前記コメント配信サーバに接続され動画を再生するとともに、前記動画上にコメントを表示する表示装置とを有するコメント表示システムにおける表示装置であるコンピュータに、前記コメント配信サーバが前記端末装置からコメント情報を受信する毎に当該コメント配信サーバから送信されるコメント情報を受信し、コメントと、前記コメントが付与された時点における、前記動画の最初を基準として動画の経過時間を表す動画再生時間をコメント付与時間として前記コメントに対応づけてコメント情報として記憶するコメント情報記憶部に記憶する受信手段、前記再生される動画の動画再生時間に基づいて、前記コメント情報記憶部に記憶されたコメント情報のうち、前記動画の動画再生時間に対応するコメント付与時間が対応づけられたコメントをコメント情報から読み出し、読み出したコメントを動画上に表示するコメント表示手段、前記表示されるコメントのうち、第1のコメントと第2のコメントとのうちいずれか一方または両方が移動表示されるコメントであり、前記第1のコメントを動画上に表示させる際の表示位置が、当該第1のコメントよりも先に前記動画上に表示される第2のコメントの表示位置と重なるか否かを判定する判定手段、前記コメントの表示位置が重なると判定した場合に、前記第1のコメントと前記第2のコメント同士が重ならない位置に表示させる表示位置制御手段、として機能させるプログラムである。
【0010】
また、本発明は、上述のプログラムにおいて、前記表示位置制御手段は、前記動画の表示領域のうち、コメントを表示する基準となる位置を表す基準位置に従って第2のコメントが表示された後に前記第1のコメントを表示する際に、前記判定手段が前記コメントが重なると判定した場合に、前記第1のコメントの基準位置を前記第2のコメントの基準位置とは異なる位置に変更して表示することを特徴とする。
また、本発明は、上述のプログラムにおいて、前記第1のコメントと前記第2のコメントとの両方が所定の方向に移動表示するコメントであり、前記コメント表示手段は、前記コメントが前記表示領域内に現れてから表示領域外に移動して消えるまでの時間であるコメント表示時間と前記コメントの表示が開始される文字から表示が終了する文字までの前記所定の方向における文字列の幅とに基づいて決定される移動速度で前記コメントを移動させつつ、前記画面上に表示を行い、前記判定手段は、各コメントを前記移動速度で移動させて表示させた場合、前記第2のコメントが移動し終わるまでに前記第1のコメントが追いつく場合に、前記第1のコメントと前記第2のコメントとの表示位置が重なるものとして判定することを特徴とする。」
イ 原判決42頁14行目末尾に改行して以下のとおり加える。
「【0015】
また、本発明によれば、表示させるコメントの表示時間と、その文字列長とに基づいて、コメントの表示位置の重複判定を行うようにしたので、コメントの移動表示速度が異なるコメント同士であっても、前後のコメントの表示位置が重複しないように表示位置を変更することができる。」
ウ 原判決45頁13行目の「明細書」を「特許請求の範囲」と改める。
エ 原判決45頁26行目の「引用文献2,3」の次に「に開示される発明」を加える。
オ 原判決47頁16行目の「コメントの受信のタイミングによる」を「構成要件2-1C及び2-9Bによって初めて実現可能となる」と改める。
3 争点1-1(1)(被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムは、「第1の表示欄」(構成要件1-1C、1-1E、1-1F、1-5J、1-9B、1-9E)及び「第2の表示欄」(構成要件1-1D、1-1E、1-1F、1-5J、1-9E)を充足するか)について
(1) 「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」の意義について
本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」の意義について検討するに、前記1(2)のとおり、本件発明1は、動画と共にコメントを表示する表示装置等に関するものであって、動画上に多数のコメントが書き込まれた場合であっても、コメントの読みにくさを低減させるため、動画を第1の表示欄において再生した上、コメントの少なくとも一部を第2の表示欄の内側であり、かつ、第1の表示欄の外側に表示するようにし、これにより、ユーザにおいて、コメントが動画に含まれるものではなく、ユーザが動画に書き込んだものであることを把握できるようにするものである。そして、動画が実際に再生される際の動画が再生されている領域とコメントが表示されている領域について、コメントの少なくとも一部が後者の内側であって、かつ、前者の外側に表示されるのであれば、ユーザは、コメントが動画に含まれるものではなく、他のユーザが書き込んだものであると把握することができるのであるから、本件発明1の上記作用効果を奏するといえる。そうすると、本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」に該当するか否かは、動画が実際に表示される位置・領域及びコメントが実際に表示される位置・領域を基準にして判断するのが相当である。
この点に関し、被控訴人らは、本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」に該当するか否かは、動画の表示のために確保された位置・領域及びコメントの表示のために確保された位置・領域を基準にして判断すべきである旨主張する。しかしながら、本件発明1の上記作用効果を生ずるか否かについては、動画とコメントが論理上どのように表示され得るのかという点ではなく、動画とコメントが実際にどのように表示されており、これらを視聴するユーザがどのように認識するかという点が重視されるべきであるから、被控訴人らの上記主張を採用することはできない。
(2) 被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムが本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」を備えているかについて
ア 証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
(ア) 被控訴人らサービス1においては、動画の再生方法として「ノーマル」(デフォルトでの動画再生方法)、「ワイド」(ノーマルより大きい領域での動画再生方法)、「ブラウザ」(ウェブサイトの閲覧に用いているブラウザの大きさに合わせた領域での動画再生方法)又は「全画面」(ウェブサイトの閲覧に用いているディスプレイの大きさに合わせての動画再生方法)のうち適宜の方法を選択すると、動画が再生される領域の内側と外側にまたがってコメントが表示されることがあるものと認められる。
(イ) 被控訴人らサービス2においては、動画の再生方法として、デフォルトでの再生方法又は「全画面」(上記(ア)の「全画面」と同じ。)のうち適宜の方法を選択すると、動画が再生される領域の内側と外側にまたがってコメントが表示されることがあるものと認められる。
(ウ) 被控訴人らサービス3においては、動画の再生方法として、デフォルトでの再生方法又は「フルスクリーン」(上記(ア)の「全画面」と同じ。)のうち適宜の方法を選択すると、動画が再生される領域の内側と外側にまたがってコメントが表示されることがあるものと認められる。
イ 上記アによると、被控訴人ら各サービスにおいては、いずれも、適宜の動画再生方法を選択することにより、ユーザは、動画が動画の表示領域に再生された上、コメントの少なくとも一部が動画の表示領域の外側であって、かつ、コメントの表示領域の内側に表示される様子を認識することができるものと認められる。
そして、被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容(原判決別紙「被告らサービス説明書(被告ら)」に記載のとおり。以下同じ。)によると、被控訴人ら各サービスは、それぞれ被控訴人ら各プログラムを利用することにより実行されるものと認められる。
また、被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各サービスにおいては、JavaScript ファイル、swf ファイル等が配信され、これらのファイルがユーザの情報処理端末にダウンロードされること、これらのファイルは、いずれも動画及びコメントに関する情報の取得をリクエストするようにブラウザに要求する命令が格納されているなど、プログラムに関するファイル(被控訴人ら各プログラム)であること、これらのファイルは、情報処理端末へのダウンロードによりユーザによる改めての操作を要することなく実行可能なものとなることがそれぞれ認められるところ、このようにユーザによる改めての操作を要することなく実行可能なものとなるプログラムに関するファイルをダウンロードすることは、当該ファイルのインストールを行っていることに相当するといえるから、被控訴人ら各装置は、それぞれ被控訴人ら各プログラムをインストールした情報処理端末であると認められる(なお、被控訴人らは、被控訴人ら各プログラムはユーザの情報処理端末にダウンロードされるだけで、ユーザの情報処理端末にインストールされるわけではない旨主張する。しかしながら、被控訴人ら各装置について、被控訴人ら各プログラムをダウンロードする行為の後に、これとは別個に被控訴人ら各プログラムを実行可能なものとするための行為が存在しないとしても、ユーザの情報処理端末にダウンロードされた被控訴人ら各プログラムがユーザによる改めての操作を要することなく実行可能なものである以上、被控訴人ら各プログラムは、ユーザの情報処理端末にインストールされると評価すべきである。)。
以上によると、被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムは、いずれも本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」を備えているものと認めるのが相当である。
ウ この点に関し、被控訴人らは、被控訴人ら各サービスにおいては動画を表示する領域とコメントを表示する領域がソースコード上空間的に完全に重なり合っているところ、動画自体のアスペクト比と動画を表示する領域のアスペクト比の相違から、結果として動画が表示されない部分(コメントが動画からはみ出して表示される部分)が生じるにすぎず、したがって、被控訴人ら各サービスにおいて動画を表示する領域は本件発明1にいう「第1の表示欄」に該当せず、被控訴人ら各サービスにおいてコメントを表示する領域は本件発明1にいう「第2の表示欄」に該当しない旨主張する。しかしながら、被控訴人らの主張は、本件発明1にいう「第1の表示欄」及び「第2の表示欄」に該当するか否かにつき、これを動画の表示のために確保された位置・領域及びコメントの表示のために確保された位置・領域を基準にして判断すべきであるとする解釈を前提とするものであるところ、当該解釈を採用することができないことは、前記(1)において説示したとおりであるから、被控訴人らの主張は、前提を誤るものとして失当である。
4 争点1-1(2)(被控訴人ら各プログラムは、「動画再生手段」(構成要件1-9B)を充足するか)について
被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容によると、被控訴人ら各プログラムがいずれも構成要件1-9Bにいう「動画再生手段」に該当することは明らかである。
この点に関し、被控訴人らは、被控訴人ら各装置を「動画を再生する表示装置」として機能させるのはHTML5対応のウェブブラウザ又はインストールされた「Adobe Flash Player」であるから、これらのファイルを含まない被控訴人ら各プログラムは構成要件1-9Bにいう「動画再生手段」に該当しない旨主張する。しかしながら、そのようなファイルを利用して被控訴人ら各サービスを実行するのは被控訴人ら各プログラムなのであるから(前記3(2)イ)、被控訴人らが主張する「Adobe Flash Player」等のファイルの存在を前提としても、被控訴人ら各プログラムは、いずれも構成要件1-9Bにいう「動画再生手段」に該当するというべきである。被控訴人らの上記主張は、採用することができない。
5 被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムが本件発明1の技術的範囲に属するかについて
(1) 本件発明1-1について
ア 被控訴人ら各装置がいずれも構成要件1-1A及び1-1Bを充足することは、当事者間に争いがない。
イ 被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3、証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各装置は、いずれも構成要件1-1Cないし1-1Gを充足するものと認められる。
(2) 本件発明1-2について
被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3、証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各装置は、いずれも構成要件1-2H及び1-2Iを充足するものと認められる。
(3) 本件発明1-5について被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3、証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各装置は、いずれも構成要件1-5J及び1-5Kを充足するものと認められる。
(4) 本件発明1-6について
被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3、証拠(甲3ないし5、4、44、46、47、丙1ないし3)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各装置は、いずれも構成要件1-6Lないし1-6Nを充足するものと認められる。
(5) 本件発明1-9について
ア 被控訴人ら各プログラムがいずれも構成要件1-9A及び1-9Cを充足することは、当事者間に争いがない。
イ 被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3及び4、証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)並びに弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各プログラムは、いずれも構成要件1-9B及び1-9Dないし1-9Fを充足するものと認められる。
(6) 本件発明1-10について
被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容、前記3及び4、証拠(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)並びに弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各プログラムは、いずれも構成要件1-10G及び1-10Hを充足するものと認められる。
(7) 小括
以上のとおりであるから、被控訴人ら各装置は、いずれも本件発明1-1、1-2、1-5及び1-6の技術的範囲に属し、被控訴人ら各プログラムは、いずれも本件発明1-9及び1-10の技術的範囲に属する。
6 争点1-2(1)(被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムは、「前記コメント配信サーバが前記端末装置からコメント情報を受信する毎に当該コメント配信サーバから送信されるコメント情報を受信」(構成要件2-1C、2-9B)を充足するか)について
次のとおり改めるほかは、原判決51頁11行目から52頁19行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決51頁13行目の「情報記録部」を「情報記憶部」と改める。
(2) 原判決52頁12行目の「かえって」から19行目末尾までを「かえって、原判決別紙「被告らサービス説明書(原告)」及び「被告らサービス説明書(被告ら)」によると、被控訴人ら各サービスは、被控訴人ら各装置に動画データを送信する際に、その時点で存在するコメント情報を送信するものであることが前提とされ、コメント配信サーバが端末装置からコメント情報を受信するごとにコメント情報を送信し、被控訴人ら各装置がこれを受信することを想定していないものと認められるから、被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムについて、「前記コメント配信サーバが前記端末装置からコメント情報を受信する毎に当該コメント配信サーバから送信されるコメント情報を受信」するとの構成(構成要件2-1C、2-9B)を充足するとは認められない。」と改める。
7 被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムが本件発明2の技術的範囲に属するかについて
(1) 本件発明2-1について
前記6のとおりであるから、被控訴人ら各装置は、本件発明2-1の技術的範囲に属しない。
(2) 本件発明2-2について
本件発明2-2は、本件発明2-1を引用する発明であるから、上記(1)のとおり被控訴人ら各装置が本件発明2-1の技術的範囲に属しない以上、被控訴人ら各装置は、本件発明2-2の技術的範囲にも属しない。
(3) 本件発明2-3について
本件発明2-3は、本件発明2-1又は2-2を引用する発明であるから、上記(1)及び(2)のとおり被控訴人ら各装置が本件発明2-1及び2-2の技術的範囲に属しない以上、被控訴人ら各装置は、本件発明2-3の技術的範囲にも属しない。
(4) 本件発明2-9について
前記6のとおりであるから、被控訴人ら各プログラムは、本件発明2-9の技術的範囲に属しない。
(5) 本件発明2-10について
本件発明2-10は、本件発明2-9を引用する発明であるから、上記(4)のとおり被控訴人ら各プログラムが本件発明2-9の技術的範囲に属しない以上、被控訴人ら各プログラムは、本件発明2-10の技術的範囲にも属しない。
(6) 本件発明2-11について
本件発明2-11は、本件発明2-9又は2-10を引用する発明であるから、上記(4)及び(5)のとおり被控訴人ら各プログラムが本件発明2-9及び2-10の技術的範囲に属しない以上、被控訴人ら各プログラムは、本件発明2-11の技術的範囲にも属しない。
8 争点2(被控訴人ら各装置及び被控訴人ら各プログラムは、本件発明2と均等なものとして、その技術的範囲に属するか)について
次のとおり改めるほかは、原判決53頁10行目から56頁14行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。
(1) 原判決53頁22行目から24行目にかけての「,最高裁平成28年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号359頁」を削る。
(2) 原判決55頁5行目の「説明されている」の次に「(前記2(2))」を加える。
(3) 原判決55頁5行目の「構成要件2-1C」の次に「及び2-9B」を加える。
(4) 原判決55頁23行目の「明細書」を「特許請求の範囲」と改める。
9 争点3-1(本件発明1は新規性又は進歩性を欠くものであるか(乙2公報を主引用例とする主張))について
(1) 乙2公報の記載
乙2公報には、次の記載がある。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動画コンテンツを配信する動画配信システムに係り、特に、動動画コンテンツとその動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報とを放送情報として送信するとともに、前記動画の再生に伴ってアクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信データとして送信するサービスを行うサーバおよびそのサービスを受ける情報端末装置からなる動画配信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、デジタル放送技術および通信技術の発達により、従来の放送局からユーザへの一方的な情報伝達のみならず、ユーザからも情報を発信できる双方向の情報伝達が行える環境が整ってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような背景において、ユーザの情報端末装置に対して、動画コンテンツを放送により配信するとともに、それに関連したデータコンテンツをネットワーク経由で配信するサービスが検討されている。ここでいうデータコンテンツとは、テキストデータや静止画像データ等である。
【0004】このようなサービスでは、情報端末装置のモニタ画面(表示画面)内に動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に表示する必要がある。例えば、動画の再生に伴って、その場面に応じたテキスト情報を自動的に画面に表示するなどの用途が考えられる。
【0005】ところで、情報端末装置には、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、カーナビゲーション装置、ゲーム装置、パーソナルコンピュータ、家庭用テレビ等、種々の装置があり、それぞれにそのモニタ画面のサイズや縦横比はまちまちである。また、携帯電話端末ひとつをとっても、そのモニタ画面のサイズは様々であり、通常縦長のものが多いが、横長のものも存在する。
【0006】したがって、このような種々のモニタ画面に動画コンテンツとデータコンテンツとを同時に、かつ、ユーザによって見やすく表示させる場合には、何らかの工夫が必要となる。特に、携帯電話端末などの比較的モニタ画面が小さい情報端末装置では、動きのある動画像はなるべく大きく表示したいという要請がある一方、テキストなどのデータコンテンツも読みやすさが損なわれないことが望まれる。
【0007】本発明は、このような従来の課題に対して、個々のモニタ画面に応じて、または、ユーザの希望に応じて、動画コンテンツとデータコンテンツとをより適切な表示形態でモニタ画面上に表示させることができる動画配信システムおよび情報端末装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による動画配信システムは、動画コンテンツと、その動画の再生に伴って所定のデータコンテンツへアクセスするためのアクセス情報およびその再生時刻情報を放送データとして送信するとともに、前記動画の再生に伴って前記アクセス情報に基づき要求されたデータコンテンツを通信ネットワークを介して通信データとして送信するサーバと、前記サーバから受信した動画コンテンツおよびデータコンテンツをモニタ画面上に表示する情報端末装置とを備え、前記サーバは、前記アクセス情報およびその再生時刻情報に加えて、前記情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示態様コマンドを送信し、前記情報端末装置は、自己のモニタ画面上に、前記動画コンテンツを再生するとともに、この再生に伴って前記アクセス情報に基づいて前記データコンテンツを前記通信ネットワークを介して逐次要求・受信し、前記表示態様コマンドに従って前記動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示を行うことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】図1に、本発明の一実施の形態に係る動画配信システムの概略構成を示す。この動画配信システムは、サーバ100と情報端末装置200とにより構成される。情報端末装置200は図の例では携帯電話端末を例として説明する。
【0028】サーバ100は、大別して二つの記憶部110、120、およびこれらにそれぞれ対応する二つの通信部130、140を有する。記憶部110は、放送対象の動画コンテンツ112およびこれとともに配信する表示関連コマンド114を格納している。動画コンテンツ112および表示関連コマンド114は、通信部130を介して、放送設備150へ送信される。放送設備150は、地上波、衛星波のいずれの放送設備であってもよい。動画コンテンツ112は、多チャンネル化等を考慮すればデジタル放送であることが好ましいが、アナログ放送を排除するものではない。アナログ放送の場合には、デジタルデータが放送波に混在して送信される。
【0029】この放送された動画コンテンツおよび表示関連コマンドは、情報端末装置200の放送受信手段により受信される。表示関連コマンドには、後述するデータコンテンツ再生スケジュール情報および表示態様コマンドを含む。
【0030】一方、サーバ100内の他方の記憶部120は、HTML(Hyper Text Markup Language)を代表とするマークアップ言語で記述されたデータコンテンツを格納する部位である。このデータコンテンツは、インターネットのホームページのデータに対応するものであり、代表的にはテキストや静止画を含み、場合によっては音声などのデータを含みうる。ここでは、情報端末装置200のモニタ画面280の縦長/横長の別に応じて、実質的に同じ内容の縦長用と横長用の二つのデータコンテンツ122、124を用意している。両者は、単にテキストの1行当たりの文字数が異なるだけでなく、実質的な内容が変わらない範囲で文章の表現を変更したものであってもよい。単に1行当たりの文字数を変更しただけでは、読みやすさが改善されないからである。
【0032】図2に示したブロック図により、情報端末装置200の内部構成例を説明する。
【0033】図1に示した放送設備150からの放送電波は放送受信部240により選択受信される。放送受信部240で選択受信された動画情報は、動画ビューワ265へ送られる。後述するようにこの動画ビューワ265は映像伸縮機能(動画のサイズ変更機能)も有している。この放送電波からの受信信号には動画情報に加えて、前記データコンテンツ再生スケジュール情報および前記表示態様コマンドを含む。本実施の形態での放送受信部240は、この表示関連コマンドを抽出するコマンド抽出部242を有する。抽出されたコマンドはコマンド受信部250を介してコマンド解釈エンジン225に入力される。コマンド受信部250は、初期的には、ROM220内に予め格納されたデフォルトの表示態様コマンドであるデフォルトコマンド222を受けて、コマンド解釈エンジン255に渡す。
【0034】デフォルトコマンド222は、その情報端末装置200に固有のモニタ画面のサイズや縦長/横長の別に応じた相応しい重ね合わせ状態、動画エリア指定(例えばアスペクト比保存またはサイズ)の表示態様コマンド等が格納されている。また、当該モニタ画面の縦長/横長の別自体の情報をデフォルトコマンド222として保持しておいてもよい。ROM220をフラッシュROMのような書き換え可能な不揮発性メモリで構成すれば、製品出荷時のデフォルトコマンドをユーザが変更することも可能である。
【0035】コマンド解釈エンジン255は、初期的には、デフォルトコマンド222を受けて、動画コンテンツの表示エリアおよびデータコンテンツの表示エリアのサイズや表示態様(重ね合わせ状態、動画エリアの伸縮、コンテンツ間の表示の切替や一方のコンテンツの一時消去等)を定め、その結果をWWWブラウザ260および動画ビューワ265に指示する。例えば、コマンド解釈エンジン255は、動画エリア情報が「アスペクト比保存」を示しているとき、動画のアスペクト比を保存しつつ当該モニタ画面の画面幅に合わせて動画エリアのサイズを決定する。本実施の形態ではモニタ画面の原点位置は画面の左上端の位置であり、動画エリアの位置はモニタ画面の原点位置に動画エリアの左上端を合わせるように設定される。動画エリア情報が特定の動画エリアサイズを指定している場合には、そのサイズ情報(幅wおよび高さh)を動画ビューワ265に与える。すなわち、動画ビューワ265は、指定されたサイズに合うように動画エリア(およびその中に表示する動画)を伸縮する機能を有する。動画エリア情報がアスペクト比保存を指定している場合には、原則的に、その動画エリアサイズは当該モニタ画面に収納される最大サイズに設定される。
【0036】コマンド解釈エンジン255は、また、後に詳述するような、放送により受信されたコマンド内の時刻情報およびURL(Universal Resource Locator)情報(データのアクセス情報)からなるデータコンテンツ再生スケジュール情報に基づいて、動画再生に伴って逐次所定のタイミングでURL情報をWWWブラウザ260に与える。これに加えて、デフォルトの表示態様を、放送により受信されたコマンドに基づいて更新する。これにより、コンテンツ作製者側では、個々の動画に応じて、または、1つの動画内でも個々の場面に応じて相応しいデータコンテンツおよび表示態様を指定することができる。また、コマンド解釈エンジン255は操作パネル210のキー群212(テンキーや矢印キー、スイッチ等)からのユーザ指示または姿勢センサ232の出力を受けて、表示態様を更新することもできる。姿勢センサ232は本発明に必須のものではないが、これを設ければ携帯端末の90°回転の有無を自動的に検知し、モニタ画面の表示を切り替えることができる。これは特に、通常縦長のモニタ画面の場合に、動画エリアを拡大できる点で有意義である。姿勢センサ232としては任意の公知のものを利用できる。例えば、重力に従う光遮蔽部材と光インタラプタ(いずれも図示せず)の組み合わせを利用することができる。この姿勢センサ232は少なくとも動画の表示時に連続的にまたは周期的(例えば数100m秒毎)に作動させれば足りる。
【0037】WWWブラウザ260は、通信部245を介してネットワーク170に接続され、所定のプロトコル(例えばhttp: 以下省略)に従って、指定されたURLに存在するデータである例えばHTML(Hyper Text Markup Language)文書を要求し、そのデータを受信して表示内容を組み立てる機能を有する。また、本実施の形態では、前述したように、そのデータを表示する画面(データエリアまたはブラウザ画面という)の位置やサイズの情報をコマンド解釈エンジン255から受信して、そのデータエリアに対応する表示メモリ272内位置に表示データを展開する機能を有する。
【0038】表示メモリ272は、本実施の形態では、動画コンテンツとデータコンテンツとで展開するメモリプレーンを別としている。これにより、両コンテンツの重ね合わせや一方の一時表示停止などの制御が容易となる。(但し、本発明は両コンテンツを同一のメモリプレーンに書き込む場合を排除するものではない。)表示制御部270は、表示メモリ272の内容を読み出してモニタ(ディスプレイ)280へ表示データ信号および表示制御信号を出力し、目的の画面を表示させる。一方の表示プレーンの非表示などの制御はコマンド解釈エンジン255から表示制御部270を直接制御することで行うことができる。
【0040】ここで、図3により、動画エリアとデータエリアの重ね合わせの態様について説明する。本実施の形態では、図3(a)は縦長画面の場合の「タイル」表示状態を示している。タイル表示は、両エリアを重ね合わせるのではなく、互いに重複しないように隣接配置するものである。すなわち、図の例では動画エリアは動画のアスペクト比を保存した状態でモニタ画面に収まる最大サイズとし、データエリアはその残りの矩形エリアとしている。具体的には、データエリアの左上座標は動画エリアの左下座標に一致し、データエリアの右下座標はモニタ画面の右下座標に一致する。
【0041】データコンテンツがデータエリアに収納しきれない場合には、ユーザのキー操作に応じてデータ画像のスクロールが可能である。本実施の形態においてデータエリアが動画エリアに隣接する方向(動画エリアの右側か下側か)は、モニタ画面が縦長の場合には動画エリアの下側、モニタ画面が横長の場合には動画エリアの右側である。但し、サーバ側から隣接する方向をタイルコマンドとともに指示し、それに応じるかどうかは端末側で決定するようにしてもよい。
【0042】図3(c)に示すように、動画エリアが具体的なサイズで指定された場合にも、データエリアはその残りの空き領域内の最大矩形エリアとなる。動画エリアがサイズ指定される場合のサイズは通常、比較的小さいサイズで指定されることが想定される。但し、指定サイズがモニタ画面に収納されない場合にはモニタ画面に収納されるように自動的に動画エリアサイズを縮小するようにすることが好ましい。
【0043】図3(b)は両エリアを重ね合わせる「オーバレイ」表示状態を示している。この例では、モニタ画面全体をデータエリアとし、これを動画エリアに重ねている。この場合、データコンテンツと動画コンテンツが同時に見えるように、アルファブレンディングのような表示処理操作を施すことが好ましい。
【0044】図3(d)は動画エリアが具体的なサイズで指定された場合のオーバレイ状態を示している。この場合も、モニタ画面全体をデータエリアとすることに代わりはない。
【0045】ところで、通常、動画はテレビ画面に相当した4:3や16:9のような横長であり、これを横長画面に最大収容した場合には、図3(f)に示すように、モニタ画面内の動画エリアの残りの空き領域はごく狭いエリアとなる。(図では動画エリアの右側に空き領域は発生する場合を示したが、モニタ画面および動画エリアのそれぞれの縦横比によって、空き領域が動画エリアの下側に生じる場合もありうる。)したがって、このような場合は、指示された重ね合わせ態様に関わらず、強制的にオーバレイ表示状態とするようにしてもよい。これに対して、横長画面の場合でも、図3(e)に示すように、比較的小サイズの動画エリアが指定された場合であって、その残りのエリア内に所定の横幅以上の矩形エリアが利用できる場合には、当該矩形エリアをデータエリアとすることができる。
【0050】図5は、縦長状態で動画コンテンツとして映画を表示しているときに、登場人物のプロフィールをデータコンテンツとして表示している場面を示している。図5(a)はタイル表示状態を示している。このとき、データコンテンツは縦長用をサーバに要求している。この状態から、ユーザのキー(またはスイッチ)の操作による指示またはセンサ出力の変化に応じてモニタ画面が90°回転したとき、モニタ画面全体は横長になる。この例では、アスペクト比保存状態を示しており、動画エリアはモニタ画面に合わせて回転および拡大されている。当然ながら、動画エリアの回転および拡大に合わせてその中に表示される動画も同様に回転・拡大される。図5(b)の例では、動画エリアの残りの空き領域の横幅が小さいためにタイル表示ではデータエリアの横幅が十分ではなく、強制的にタイル表示状態からオーバレイ表示状態に切り替えた状況を示している。図5(c)のオーバレイ表示状態ではデータエリアの横幅はモニタ画面の長辺一杯を利用できるので、横長用のデータコンテンツを選択している。図5(a)での重ね合わせ状態がオーバレイ表示の場合にも、そのモニタ画面回転時は図5(b)のようになる。
【0051】図6により、サーバ100から動画コンテンツとともに送信される表示関連コマンドの例を説明する。本実施の形態における表示関連コマンドは、図6(a)に示すように、動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるデータコンテンツの再生時刻情報)、重ね合わせ状態(tile/overlay)、データコンテンツへのアクセス情報(ここでは縦コンテンツURLおよび横コンテンツURL)、動画エリア情報(アスペクト比保存またはサイズ)の1組を1単位としたコマンド群である。相対時刻情報およびアクセス情報は、動画の再生に連動したデータコンテンツ再生スケジュール情報を構成する。また、相対時刻情報およびURL情報以外の、情報端末装置の画面内の動画コンテンツおよびデータコンテンツの表示態様を決定する表示関連コマンドは表示態様コマンドという。表示態様コマンドには、動画の伸縮切替等、他の種類のコマンドを含んでもよい。図6(b)に示すように、表示態様コマンドを含めた表示関連コマンドの複数の組(複数単位)を相対時刻順に直列に並べたものも、便宜上、再生スケジュール情報という。表示態様を決定するある1単位内のあるコマンドは、好ましくは、直前の1単位の同種のコマンドと内容が同じ場合には、後続の単位内の同コマンドの記述を省略するようにしてもよい。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、情報端末装置の個々のモニタ画面に応じて、または、ユーザの希望に応じて、動画コンテンツとデータコンテンツとをより適切な表示形態でモニタ画面上に表示させることができる。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
(2) 乙2公報に記載された発明
ア 上記(1)によると、乙2公報には、次の発明(乙2発明A改)が記載されているものと認められる。
なお、被控訴人らは、主位的に、乙2公報には被控訴人らが主張する乙2発明Aが記載されていると主張する。しかしながら、乙2公報は、乙2発明Aの構成のうち「テキストと、動画再生開始時間からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、を一時的に記憶する表示メモリ272」(被控訴人らが主張する構成1B)を開示するものとは認められないから、乙2公報に乙2発明Aが記載されていると認めることはできない。
(乙2発明A改)
乙2A 動画を再生するとともに、動画上にテキストを、両者が同時に見えるように表示する情報端末装置200であって、
乙2B 動画再生開始時点からの相対時刻情報(当該動画の再生中におけるテキストの再生時刻情報)と、アクセス情報と、を含む再生スケジュール情報を一時的に記憶する記憶手段と、
乙2C 動画を表示する動画エリアに当該動画を再生して表示するとともに、再生される動画の動画再生時間に基づいて、記憶手段に記憶された情報のうち、動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するアクセス情報を用いて取得したテキストを、データエリアに表示させる表示制御手段と、を有し、
乙2D データエリアのうち、一部の領域が動画エリアの全部と重なっており、他の領域が動画エリアの外側にあり、
乙2E 表示制御手段は、取得したテキストを、その一部がデータエリアのうち動画エリアの外側であってデータエリアの内側に表示されるよう、動画エリアとデータエリアとにまたがるように表示する
乙2F ことを特徴とする情報端末装置200。
(3) 本件発明1-1と乙2発明A改との対比
本件発明1-1と乙2発明A改とを対比すると、両者の間には、少なくとも次の相違点1が存在するものと認められる。
(相違点1)
動画上に表示するデータに関し、本件発明1-1が「コメント情報記憶部」に記憶された「コメント」であるのに対し、乙2発明A改は「動画の動画再生時間に対応する相対時刻に対応するアクセス情報を用いて取得したテキスト」である点
(4) 相違点1についての判断
被控訴人らは、相違点1に係る本件発明1-1の構成は設計的事項にすぎず、当業者が容易に想到し得たものであると主張をする。
そこで検討するに、乙2発明A改によると、表示されるデータコンテンツは、インターネットのホームページに対応するものであり、その例として、動画が映画である場合の登場人物のプロフィールが挙げられている。このように、乙2発明A改におけるデータコンテンツは、動画の配信時に既に存在するものである。これに対し、本件明細書1の記載(段落【0006】、【0012】、【0034】等)によると、本件発明1-1のコメントは、動画に対し任意の時間にユーザが付与するものであると認められる。
また、乙2公報の記載(段落【0045】、図3等)によると、乙2発明A改においては、動画を横長の状態で、かつ、モニタ画面内に最大限に大きく表示する場合、モニタ画面の余白部分が非常に狭くなるところ、動画エリアとデータエリアをタイル表示の状態にすると、データエリアが非常に狭くなり、ここに表示されるデータコンテンツが読みづらいものとなるため、この問題を解消する目的で、動画エリアとデータエリアとのオーバレイ表示の状態を作出するものであると認められる。これに対し、本件発明1-1は、コメントを表示する領域である第2の表示欄の一部を、動画を表示する領域である第1の表示欄と重なり合わせた上、コメントの少なくとも一部を第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側である領域に表示することとし、これにより、動画とのオーバレイ表示がされたコメントが動画に含まれるものではないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにすることを目的とするものである(本件明細書1の段落【0012】等)。
以上のとおり、乙2発明A改の「データコンテンツ」である「テキスト」は、動画の配信時に既に存在するものであるから、これをユーザが動画に対して任意の時間に付与するものである「コメント」に変更することが当業者において適宜なし得たと認めることはできない。また、乙2発明A改は、データエリアが非常に狭くなり、ここに表示されるデータコンテンツが読みづらいものとなるため、この問題を解消する目的で、動画エリアとデータエリアとのオーバレイ表示の状態を作出するものであって、本件発明1-1のようにコメントが動画に含まれるものでないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにするとの技術思想を有するものではないから、この点からも、乙2発明A改の「テキスト」を本件発明1-1の「コメント」に変更することが当業者において適宜なし得たものということはできない。その他、乙2発明A改の「テキスト」を本件発明1-1の「コメント」に変更することが当業者において適宜なし得たものと認めるに足りる証拠はない。
(5) 小括
ア 上記(3)のとおり、本件発明1-1と乙2発明A改との間には、少なくとも相違点1が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
イ 上記(4)のとおりであるから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする進歩性欠如の主張は、理由がない。
(6) 本件発明1-2、1-5、1-6、1-9及び1-10について
ア 本件発明1-2について
本件発明1-2は、本件発明1-1を引用する発明であるから、本件発明1-2について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする係る新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
イ 本件発明1-5について
(ア) 本件特許1の請求項3に係る発明は、本件発明1-1又は1-2を引用する発明であるから(甲1の2)、本件特許1の請求項3に係る発明は、乙2発明A改と同一ではないし、当業者が乙2発明A改に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。
(イ) 本件特許1の請求項4に係る発明は、本件発明1-1、本件発明1-2又は本件特許1の請求項3に係る発明を引用する発明であるから(甲1の2)、本件特許1の請求項4に係る発明は、乙2発明A改と同一ではないし、当業者が乙2発明A改に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。
(ウ) 本件発明1-5は、本件発明1-1、本件発明1-2、本件特許1の請求項3に係る発明又は本件特許1の請求項4に係る発明を引用する発明であるから、本件発明1-5について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
ウ 本件発明1-6について
本件発明1-6は、本件発明1-1、本件発明1-2、本件特許1の請求項3に係る発明、本件特許1の請求項4に係る発明又は本件発明1-5を引用する発明であるから、本件発明1-6について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
エ 本件発明1-9について
本件発明1-9は、表示装置の発明である本件発明1-1に対応するプログラムの発明であるから、本件発明1-9について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
オ 本件発明1-10について
本件発明1-10は、本件発明1-9を引用する発明であるから、本件発明1-10について、被控訴人らの乙2公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
10 争点6-1(本件発明1-1は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
(1) 乙60公報を主引用例とする新規性の欠如について
ア 乙60公報の記載
乙60公報には、次の記載がある。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像配信システムに関し、特に映像に注釈を付与するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明に関係する既存の技術は、以下の通りである。
[映像通信システム]
インターネットなどの通信インフラストラクチャを使って、撮影した映像を配信するとともに、撮影のためのカメラ設定やカメラ操作などを指示する技術が確立され、製品が販売されている。
【0003】
例えば、キヤノン社の映像配信システム「WebView/LiveScope」、および同社のネットワークカメラサーバ「VB101」などである。
【0004】
[第三世代携帯電話技術]
第三世代(3G)の携帯電話では、電話通話しながらインターネットアクセスなどのデータ通信が可能となっている。
【0005】
例えば、インターネット上の映像データにアクセス(映像再生)しながら、通話することができる。例えば、NTTDoCoMo 社による FOMA サービスでは、マルチアクセスと呼ばれる接続形態を用意しており、これを利用することで、データ通信を行いながら、電話通話を可能にしている。
【0006】
さらに、第三世代の携帯電話端末では、端末自体の処理能力も強化されており、これまでPC(パーソナルコンピュータ)などで行っていた作業を携帯電話端末で処理することが可能になっている。例えば、メイルやウェブブラウジングなどの機能を実装している携帯電話端末が普及している。
【0007】
[同期記述]
W3C(the World Wide Web Consortium)の規定するSMIL(the Synchronized Multimedia Integration Language)を使って、一連の独立したマルチメディアオブジェクト(映像や音声、あるいは、テキストや静止画など)を1つの同期マルチメディア表現に統合することができる。
【0008】
SMIL などの同期記述に対応したプレーヤも実装されている。例えば、RealNetworks 社の RealPlayer である。
【0009】
[音声のテキスト化]。
音声解析モデル、コンピュータの計算能力の向上や、大規模コーパス(言語分析用の言語の資料)の充実などの相乗効果により、音声のテキスト化については、飛躍的な向上が見られている。例えば、PC用音声認識ソフトウェアとして、日本電気社の SmartVoice や、IBM社の ViaVoice などが商品化されている。
【0010】
[セキュア通信技術]
HTTPによるWebアクセスなどの通信において安全性を提供するプロトコルとして、SSL(Secure Socket Layer)が、ネットスケープ社から提案され、同社のブラウザソフトウェアを初めとして多くのソフトウェアに実装されている。
【0011】
SSLは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)の上位に位置し、なおかつHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)などアプリケーションプロトコルの下位に位置し、サーバ認証、通信データの暗号化、及びクライアント認証(オプショナル)の機能を提供する。
【0012】
また、ワイヤレス通信において、安全性を提供する方式としては、WAP( Wireless Application Protocol ) プロトコルの一部として、WTLS(Wireless Transport Layer Security)がWAPフォーラムによって定義されている。
【0013】
これは、SSLをベースに設計されており、データインテグリティ、暗号化、及び端末認証など、SSLとほぼ同様の機能を提供するものである。
なお、通信における認証機能を提供する方法としては、RFC1334として定義されているCHAP(Challenge-Handshake Authentication Protocol)方式が知られている。
【0014】
この方式は、主に、PPP(Point-to-Point Protocol:RFC1661で定義されている)で利用されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、上述した従来の技術を用いて、カメラで映像された映像に、多人数がアクセスすることが可能な構成の映像配信システムが考えられている。また、ユーザが映像にアクセスして、その映像に注釈を付与するようにすることも考えられている。
【0018】
しかしながら、映像に注釈を付与する際に上述した従来の技術を用いると、適切なタイミングで映像に注釈を付与することが困難であるなど、映像に適切な注釈を付与することが困難であるという問題点があった。
本発明は、このような問題に鑑みなされたものであり、映像に注釈を適切に付与することができるようにすることを目的とする。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は、撮影された映像データを配信するための映像配信装置と、上記映像データに付与する注釈データを配信するための注釈配信装置と、上記映像配信装置から配信された映像データに基づく映像と、上記注釈配信装置から配信された注釈データに基づく注釈とを再生する再生装置とをネットワークを介して通信可能に接続した映像配信システムであって、上記注釈配信装置は、上記注釈データを含む関連データを取得するデータ取得手段と、上記データ取得手段により取得された注釈データを記録媒体に保存する注釈保存手段と、上記データ取得手段により取得された関連データに基づいて、上記映像データと、上記注釈保存手段により保存された注釈データとを対応付けるための情報を記述した同期記述を作成する同期記述作成手段とを有し、上記再生装置は、上記同期記述作成手段により作成された同期記述に基づいて、上記映像配信装置から配信された映像データに基づく映像と、上記注釈保存手段により保存された注釈データに基づく注釈とを同期させて再生する再生手段を有することを特徴としている。
かかる構成では、映像データと注釈データとを対応付ける同期記述に基づいて、上記映像データに基づく映像に、上記注釈データに基づく注釈を同期させて付与する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の映像配信システムの第1の実施形態を、図面を参照して説明する。第1の実施形態では、カメラサーバ101、102から送られる映像に、携帯電話端末601、602から入力した音声注釈を連動させる例について説明する。
【0021】
この中で、注釈サーバ400が音声注釈を収集し、それを蓄積映像再生と合わせてユーザに提供するための同期記述を生成する例についても説明する。特に、本実施形態の注釈サーバ400では、カメラ制御権をもつユーザによる音声注釈を、他ユーザによる注釈と区別するための手段を提供する点に特徴がある。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態を示し、映像配信装置を適用した映像配信システムの構成の一例を示した図である。
101および102はカメラサーバ、200はクライアント端末(ビューワ)である。カメラサーバ101、102と、クライアント端末200とはそれぞれネットワークに接続される。クライアント端末200からネットワークを介してリクエストがカメラサーバ101、102へ送られる。
【0023】
カメラサーバ101、102でこのリクエストが受け入れられると、カメラサーバ101、102からクライアント端末200へ映像データが配送される。これにより、クライアント端末200でカメラ映像を見ることが可能となる。
【0024】
また、クライアント端末200からカメラ制御コマンドがカメラサーバ101、102へ送られる。これにより、カメラのズーム、パン、チルトなどの操作が可能となる。さらに、ネットワーク上には、中継サーバ300が置かれ、クライアント端末200とカメラサーバ101、102との通信を中継することがある。
【0025】
さらに、400は注釈サーバであり、カメラサーバ101、102が提供する映像データに関する注釈を収集および管理する。
また、500はネットワークと携帯電話回線網とを仲介するルータである。601および602は、ビューワプログラムを搭載した携帯電話端末である。このルータ500を介して、ネットワークに接続された機器と携帯電話端末601、602とが通信する。
【0045】
同様に、クライアント端末200及び携帯電話端末601、602内には、カメラ制御の指令や状態通知に対応するカメラ制御部503と、カメラ映像の表示を担当する映像表示部504と、コメントなどの音声注釈データを注釈サーバ400に送付する注釈入力部505と、蓄積映像の再生時に対応する注釈などを同期させる同期再生部506とが含まれている。
【0047】
図6は、クライアント端末200や携帯電話端末601、602の動作の一例を説明するフローチャートである。なお、以下では、クライアント端末200及び携帯電話端末601、602を総称してビューワマシンと称する。
【0048】
ステップS601において、ビューワマシン上のWebブラウザが、指示されたURLに対応するWWWサーバ700に接続し、HTML形式で記述されたWebページデータをリクエストする。
【0049】
続いて、ステップS602において、ビューワマシンは、WWWサーバ700からWebページデータを受け取り、これをWebブラウザに表示し始める。ここで受け取ったWebページデータの中には、本実施形態の映像配信システムのビューワを起動し、カメラサーバ101、102や注釈サーバ400などへ接続するための接続情報が含まれる。
【0052】
次に、ステップS604において、ビューワマシンは、上記取得した接続情報の識別子に対応するプログラム、すなわち本映像配信システムのビューワプログラムを起動する。
【0053】
次に、ステップS605において、上記起動したビューワプログラムにより、上記取得(ダウンロード)した接続情報を読み出す。そして、上記読み出した接続情報に記載されているカメラサーバ101、102を構成する映像サーバ502のアドレスおよび接続ポートの情報に従い、ビューワマシンを映像サーバ502へ接続する。
【0054】
ここで、接続以降の処理を行うための動作プログラム(実現方法としては、スレッドあるいはプロセスの起動となる)が起動され、この映像表示用スレッドは、終了までステップS631の処理を繰り返す。すなわち、ビューワマシンは、映像サーバ502からの映像データが届くたびにそれを受け取り、ディスプレイ装置404cなどに表示する。
【0055】
さらに、ステップS606において、上記起動したビューワプログラムは、上記接続情報に記載されている注釈サーバ400のアドレスおよび接続ポートの情報に従い、ビューワマシンを注釈サーバ400へ接続する。
【0056】
ここで、接続以降の処理を行うための動作プログラムが(スレッドあるいはプロセスとして)起動され、この注釈用スレッドは、終了までステップS621からステップS624までの処理を繰り返す。すなわち、ビューワマシンは、注釈サーバ400との間で注釈データの受け渡しをする。なお、この動作の詳細に関しては、後述する。
【0062】
ビューワマシンを注釈サーバ400へ接続する処理(ステップS606)で起動する上記注釈用スレッドでは、まず、ステップS621において、ビューワマシン上の音声入出力装置404dを初期化する。
【0063】
次に、ステップS622において、一定時間(例えば、1秒間)音声データを取得(キャプチャ)する。
そして、ステップS623において、上記取得した音声データのホワイトノイズを除去した上で、一定レベル(音量)以上の音声データが所定の処理結果から得られた場合には、それをエンコード/圧縮して、ステップS624に進む。一方、一定レベル(音量)以上の音声データが得られない場合には、ステップS622に戻る。
【0064】
そして、ステップS624において、上記得られた一定レベル以上の音声データと合わせて、映像サーバ502の識別子(典型的には、前記接続情報に記載されている映像サーバのアドレスおよび接続ポート情報である)、映像サーバ502との接続のセッション識別子、現在表示している映像のタイムスタンプ、カメラ制御権の有無、パンやズームや逆光補正などカメラ制御パラメータなどの情報を注釈サーバ400に送信する。そして、最後に、ステップS622に戻る。
【0065】
なお、本実施形態では、ユーザからの音声注釈の有無をレベル(音量)から自動判別しているが、ユーザが明示的に注釈の開始と終了を指定してもよい。この場合、例えば、予め設定したキーボード404b上のキーや、ディスプレイ装置404cの画面上に表示されているボタンを押し下げた(KeyDown)時点で、注釈音声の取得を開始し、キーを上げた(KeyUp)時点で注釈音声の取得を終了するようにすればよい。
【0066】
蓄積映像にアクセスする際のビューワマシンにおける動作の流れも、図6に示したものと同様である。異なる部分は、カメラ制御サーバ501への接続を行わない点と、映像サーバ502への接続に先立って注釈サーバ400に接続し同期記述を取得する点である。
【0067】
一方、ディスプレイ装置404cの表示画面の内容は大きく異なり、カメラ制御インターフェースに変わって、蓄積映像の再生制御インターフェースを表示する(図14を参照)。
【0068】
また、再生映像に関するタイムスケールを表示し、再生している映像が、どの映像であるのかをユーザに伝える。さらに、注釈音声の存在を明示するためのアイコン(図14のビューワ画面1400の左下に表示されているベルのマーク)を表示する。
【0126】
以上の構成で、携帯電話端末601、602上に実装されたビューワを使う複数のユーザは、映像サーバ502が提供する映像データを携帯電話端末601、602上の画面に見ながら、必要に応じて、リアルタイムで適切な注釈を音声で入力する。そして、ビューワに内蔵された注釈用スレッドが、入力した注釈を注釈サーバ400に転送し、注釈サーバ400が適切な同期記述を生成した上で、入力した注釈を保存する。
【0127】
これによって、蓄積映像を参照するユーザは、映像に同期する形で、それに付随する適切な注釈を得ることが可能となる。
特に、カメラ制御権を取得してカメラ制御を行うユーザの注釈に、予鈴音声を合成するようにしたので、他の傍観者の注釈と区別することができるとともに、カメラ制御を行った意図を示す注釈を、容易に認識することが可能となる。
【0128】
このように本実施形態では、映像に付与された注釈を分別して再生することが可能になり、映像アーカイブの作成や、映像を介したコミュニティ形成を効果的に進めることが可能となる。
【0129】
例えば、本実施形態の映像配信システムを利用して、結婚式会場の映像を中継および蓄積する際に、カメラを制御するユーザによって行われた映像のパンやズームなどの意図と、結婚式映像を見ている傍観者ユーザの祝辞や感想とを、適切に再現し、これらを明確に区別することが可能となる。
【0130】
以上で、映像蓄積機能を備えるカメラサーバ101がネットワークを介して映像を配信する映像に、複数のユーザが携帯電話端末601、602を介してリアルタイムで音声注釈を付与することができる。しかも、本実施形態の注釈サーバ400では、カメラ制御権をもつユーザを識別し、その音声注釈データには、予鈴音声を挿入(前置きに)するようにしたので、カメラ制御権をもつユーザによる注釈と、他の傍観者ユーザによる注釈とを再生時に区別できる。また、注釈が付与された映像を再生する場合にも、それらの注釈を区別できる。
【0136】
また、本実施形態では、ライブ映像に音声注釈を付与する例について説明しているが、同様の手法で、テキスト注釈を付与することも可能である。この場合には、ビューワを実装するプログラム上での注釈の扱いにおいて、音声注釈データの処理に加えて(あるいは、代えて)、テキスト注釈データの処理を実装すればよい。
【0137】
近年では、メイルやSMS(Short Message Service)の普及から、多くの携帯電話端末において、テキスト作成/表示機能が実装されており、これを利用してテキスト注釈の入力/再生を実現することができる。
【0138】
また、本実施形態では、予鈴音声を合成することで、カメラ制御中の注釈を他の注釈と区別するようにしたが、これらを区別する方法は、予鈴音声の合成に限定されない。例えば、携帯電話端末のバイブレーション機能を使う方法や、図17のように表示画面1700上へテロップを挿入する方法や、図18のように表示画面1800上でふきだし表示する際のふきだしの形状を変える方法や「、音声注釈データのエンコード時にフィルターを適用して他の音声との区別を図る方法などを用いてカメラ制御中の注釈を他の注釈と区別するようにしてもよい。
【図1】
【図14】
【図15】
【図18】
イ 乙60公報に記載された発明
(ア) 上記アによると、乙60公報には、次の発明(以下「乙60装置発明」という。)が記載されているものと認められる。
(乙60装置発明)
乙60A 映像を再生するとともに、当該映像に付与されたテキスト注釈データを当該映像上に表示するビューワマシンであって、
乙60B 前記テキスト注釈データの表示を、映像再生開始からの時間と前記テキスト注釈データのURLで指定するSMILを記憶する記憶部と、
乙60C 映像を表示する第1の領域に前記映像を再生して表示する映像再生部と、
乙60D 前記再生される映像の映像再生開始からの時間に基づいて、前記映像再生開始からの時間に対応するテキスト注釈データを読み出し、ふきだしの内側に表示する表示部であって、前記ふきだしの一部の領域は第1の領域の少なくとも一部と重なっており他の領域が前記第1の領域の外側にあるが、テキスト注釈データの一部を、ふきだしのうち第1の領域の外側であって前記ふきだしの内側に表示するか否かは不明である、
乙60E ことを特徴とするビューワマシン。
(イ) 上記(ア)の乙60装置発明の構成乙60Dに関し、被控訴人らは、乙60公報には本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されている旨主張する(被控訴人らが主張する乙60発明の構成e及びf)。
そこで検討するに、乙60公報には、映像配信システムにおいて付与される注釈として、主として音声データによる注釈の場合が記載され、テキスト注釈の場合に言及しているのは、段落【0136】ないし【0138】及び図18のみである。ここで、コメントが「第2の表示欄」に表示され得るもの、すなわち、文字により表示されるものであることを前提とする本件発明1-1(本件明細書1の段落【0002】、【0004】、【0005】、【0012】、【0019】及び【0034】並びに図5及び図9参照)との対比判断を行う目的で乙60装置発明を認定するため、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1F(「第1の表示欄」と「第2の表示欄」との位置関係及びコメントの表示位置に係る各構成)に対応する乙60装置発明の構成を認定するに当たっては、乙60公報においてテキスト注釈に言及している段落【0136】ないし【0138】及び図18の記載を参酌するほかないところ、乙60公報の段落【0136】ないし【0138】には、映像データが表示される映像表示部とテキスト注釈が表示される領域との位置関係及びテキスト注釈の表示位置に係る記載は全くないから、結局、乙60公報における上記構成の有無及びその内容の認定は、専ら乙60公報の図18に基づいてするのが相当である。
そこで、乙60公報の図18をみると、テキスト注釈が表示された3個のふきだしには、全て映像表示部の枠内に収まるもの(1個)及びふきだしの一部が映像表示部の枠の外側にはみ出しているもの(2個)があるが、これらのふきだし内に表示されたテキスト注釈(3個)自体は、いずれも映像表示部の枠内に収まっている。したがって、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに対応する乙60装置発明の構成については、「前記ふきだしの一部の領域は第1の領域の少なくとも一部と重なっており他の領域が前記第1の領域の外側にあるが、テキスト注釈データの一部を、ふきだしのうち第1の領域の外側であって前記ふきだしの内側に表示するか否かは不明である」と認めるのが相当である。
ウ 本件発明1-1と乙60装置発明との対比
上記イ(ア)の甲60装置発明を前提とすると、本件発明1-1と乙60装置発明との間には、少なくとも次の相違点2が存在するものと認められる。
(相違点2)
本件発明1-1は、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」のに対し、乙60装置発明は、テキスト注釈データの一部を、ふきだしのうち第1の領域の外側であって前記ふきだしの内側に表示するか否かは不明である点
エ 小括
上記ウのとおり、本件発明1-1と乙60装置発明との間には少なくとも相違点2が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙60公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
(2) 乙49公報を主引用例とする新規性の欠如及び進歩性の欠如について
ア 乙49公報の記載
乙49公報には、次の記載がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のストリーミング配信方法は、ストリーミングサーバが、ストリーミング配信中の動画コンテンツに関連するテキストデータであって利用者端末により書き込まれたテキストデータを収集し、収集されたテキストデータをストリーミング配信中の動画コンテンツに重畳し、テキストデータの重畳された動画コンテンツを前記利用者端末に配信する。
【0009】
本発明のストリーミング配信方法によれば、利用者から入力された掲示板上のテキストデータが、配信又は放送されているコンテンツと共に、これに重畳されてストリーミング配信される。従って、利用者は、少なくとも、配信又は放送されているコンテンツと共に、これについてウェブ掲示板やチャットに書き込まれたテキストデータ(文章)を同一の画面上で同時に見ることができ、非常に便利である。これにより、利用者は会場の客席の様な雰囲気を味わうことができ、この結果、ストリーミング配信の視聴者の増加を期待することができる。また、視聴者の声をリアルタイムで得ることができるので、オークションやアンケート等の視聴者参加型のストリーミング配信を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1はストリーミング配信システム構成図であり、本発明のストリーミング配信方法を実現するストリーミング配信システムの構成を示す。
【0011】
ストリーミング配信システムは、ウェブサーバ1、ストリーミングサーバ2、利用者端末(クライアントであるコンピュータ)4からなる。1個の利用者端末4の1個の画面40において、例えば2個のウィンドウ41及び42が開かれる。ウェブサーバ1とストリーミングサーバ2とは、ネットワーク3により接続され、相互に通信を行う。ストリーミングサーバ2と利用者端末4とは動画データのストリーミング配信が可能なネットワーク3により接続され、本発明に従って前者が後者へのテキストデータを重畳した動画のストリーミング配信を行う。当該動画はウィンドウ41に表示される。利用者端末4とウェブサーバ1とは、ネットワーク3により接続され、相互に通信を行う。即ち、利用者端末4の利用者は、ウェブサーバ1の提供する例えばウェブ掲示板(42)にテキストデータ(文字データ)からなるメッセージを書き込む。ウェブ掲示板はウィンドウ42に表示される(以下、ウェブ掲示板42とも言う)。利用者端末4は、1又は複数であってよい。
【0012】
ストリーミングサーバ2は、動画コンテンツを格納するコンテンツファイル21を備え、これから読み出した動画コンテンツをネットワーク3を介して1又は複数の利用者端末4にストリーミング配信する。コンテンツファイル21は周知の動画像を格納するファイルとされる。この例では、ストリーミング配信は、周知のSMIL(Synchronized Multimedia Integrated Language)を用いて行われる。これにより、ストリーミングサーバ2は、ストリーミング配信する動画コンテンツとテキストデータとを同期させて1個のコンテンツにまとめて配信し、当該映像と文章とを同時に同一のウィンドウ41で表示することができる。
【0013】
利用者端末4は、各々、ストリーミングサーバ2から動画コンテンツの配信を受け、その画面40のウィンドウ41にその動画を表示する。これを見た利用者は、利用者端末4から、同一画面40上において、ウェブサーバ1の提供する例えばウェブ掲示板42のようなテキスト書込部42(以下、テキスト書込部42とも言う)にテキストデータからなるメッセージを書き込む(登録する)。
【0014】
ウェブサーバ1は、ネットワーク3を介して、利用者端末4にテキスト書込部42を提供する。テキスト書込部42は、例えばストリーミング配信中の動画コンテンツに関連付けられたウェブ掲示板42又はチャット書込領域42であり、ウェブサーバ1により予めストリーミング配信中の動画コンテンツに関連付けられている。テキスト書込部42には、利用者端末4によりストリーミング配信中の動画コンテンツに関連する1又は複数のテキストデータが書き込まれる。テキストデータは、ウェブ掲示板42に利用者端末4から書き込まれた(登録された)メッセージ、チャットにおいて利用者端末4から書き込まれた(登録された)メッセージ等である。メッセージは、例えば、当該動画コンテンツがスポーツの試合であれば、選手に対する応援の言葉等である。テキストデータはウェブ掲示板42及びチャット書込領域42以外のテキスト書込部42から収集されてもよい。
【0015】
ウェブサーバ1は、書込ログファイル11を備え、テキスト書込部42に利用者端末4により書き込まれたテキストデータを逐次収集し、当該収集したテキストデータをその収集の順に書込ログファイル11に格納する。
【0016】
ストリーミングサーバ2は、ウェブサーバ1の書込ログファイル11に格納されたテキストデータを収集する。従って、ストリーミングサーバ2により収集されるテキストデータは、ストリーミング配信中の動画コンテンツに関連するテキストデータであって、当該動画コンテンツに関連付けられたテキスト書込部42に対して、1又は複数の利用者端末4により書き込まれたテキストデータである。収集されるテキストデータは1又は複数個である。ウェブサーバ1は複数であってもよい。
【0017】
ストリーミングサーバ2は、ウェブサーバ1からの利用者端末4により書き込まれたテキストデータの収集を周期的に繰り返す。この周期は、後述するログ収集周期設定部223に設定されたログ収集周期とされ、初期設定処理において予め設定される。例えば、この周期はおよそ1~2秒とされる。
【0018】
ストリーミングサーバ2は、収集されたテキストデータをストリーミング配信中の動画コンテンツに重畳し、テキストデータの重畳された動画コンテンツを利用者端末4に配信する。このために、ストリーミングサーバ2は、ウェブサーバ1からその書込ログファイル11に書き込まれたテキストデータを収集して、一時データ格納部22の書込リスト221に一時的に格納する。また、ストリーミングサーバ2は、テキストデータを収集した後、当該収集により書込リスト221に格納されたテキストデータの数をカウントし、当該カウント値を以下の書込数設定部225に格納する。
【0025】
…以上のような類似メッセージの処理により、図4に示すように、ストリーミング配信されているサッカーの試合の動画上に、「GOGO!」「決めろよ~!」のようなテキストデータが重畳された画面が、利用者端末4において得られる。
【0030】
ストリーミングサーバ2は、図5に示すように、収集されたテキストデータ(表示リスト222内のテキストデータ)の少なくとも1個について、その内容に応じて、ウィンドウ41における表示位置又は色(背景色又はフォントの色)を設定する。ウィンドウ41における表示位置又は色は、当該テキストデータ毎に予め定められる。このために、ストリーミングサーバ2は、メッセージ表示DB24を備える。メッセージ表示DB24の一例を図2(C)に示す。メッセージ表示DB24は、テキストデータの中で出現頻度の高いと思われる又は関心の高いと思われる固有名詞をキーワードとして、当該キーワード毎に、その(およその)表示位置、表示色を格納する。
【0031】
例えば、動画コンテンツがサッカーの試合である場合、選手名がキーワードとされる。選手Xの属するチームがウィンドウ41の左側であれば、その表示位置は「左」とされる。これにより、同一チームへの声援が相互に近い位置に表示されるので、重畳されたテキストデータが見易くなる。選手Xの属するチームのチームカラー(ユニフォームの色)が「青」であれば、その表示色(テキストデータを表示するボックスの背景色又はフォントの色)は「青」とされる。表示リスト222内に当該選手名(であるテキストデータ)が存在する場合、これを動画コンテンツに重畳する際、その表示位置又は色は、メッセージ表示DB24に従った表示位置又は色とされる。
【0032】
ウィンドウ41における表示位置又は色は、表示位置又は色の一方のみを設定しても、双方を設定してもよい。また、サッカーの試合のように、前半と後半とでサイド(又はコート)チェンジをする場合、これに伴って表示位置を変えるようにしてもよい。
【0033】
テキストデータの表示位置の指定がない場合、テキストデータは、ウィンドウ41上の予め定められた位置に重畳され表示される。テキストデータの表示位置は、表示可能数と同一の数だけ、予め定められる。テキストデータの表示色の指定がない場合、テキストデータは、当該ウィンドウ41の背景色と同一の背景色に通常のフォント(例えば、黒)で表示される。
【0034】
ストリーミングサーバ2は、図6に示すように、収集されたテキストデータ(表示リスト222内のテキストデータ)の少なくとも1個について、その内容に応じて、当該テキストデータとは異なる内容の新たなテキストデータ(メッセージ)を同時に重畳する。この新たなテキストデータは、当該テキストデータ毎に予め定められる。このために、ストリーミングサーバ2は、応答メッセージDB25を備える。応答メッセージDB25の一例を図2(D)に示す。応答メッセージDB25は、テキストデータの中で出現頻度の高いと思われる又は関心の高いと思われる固有名詞をキーワードとして、当該キーワード毎に、同時に重畳すべき新たなテキストデータを格納する。
【0038】
図7は、ストリーミング配信処理フローであり、本発明のストリーミング配信システムにおけるテキストデータを重畳された動画コンテンツのストリーミング配信処理について示す。
【0039】
動画コンテンツの配信処理を開始する前に、システム管理者により、初期設定が行われる。即ち、システム管理者が、ストリーミングサーバ2のキーボード(図示せず)等の入力装置から、ログ収集周期設定部223にログ収集周期を設定し、表示可能数設定部224に画面同時表示可能数を設定する。
【0040】
動画コンテンツの配信処理が開始されると、ストリーミングサーバ2は、当該動画コンテンツを利用者端末4に対してストリーミング配信する。この時、ストリーミングサーバ2は、SMIL等により動画コンテンツ(スポーツの試合の中継映像等)とウェブ掲示板42のテキストデータとを同期させ1個のコンテンツにまとめて配信する。これにより、利用者端末4は、動画コンテンツの映像とテキストデータとを同時に同一ウィンドウ41で表示する。また、これを見た利用者は、随時、利用者端末4からウェブサーバ1のウェブ掲示板42等に応援や感想のメッセージ(テキストデータ)を書き込む。
【0041】
ストリーミングサーバ2は、ログ収集周期設定部223のログの収集周期が経過したか否かを調べ(ステップS11)、経過しない場合、ステップS11を繰り返す。ログの収集周期が経過した場合、ストリーミングサーバ2は、ウェブ掲示板42に新規に書き込まれたテキストデータを、ウェブサーバ1の書込ログファイル11から収集し、収集したテキストデータを書込リスト221に格納する。これにより、ストリーミングサーバ2は、当該収集周期における書込リスト221を作成する(ステップS12)。この後、ストリーミングサーバ2は、書込リスト221に格納したテキストデータの数をカウントして、これを書込数として取得する、即ち、書込数設定部225に格納する(ステップS13)。
【0042】
ストリーミングサーバ2は、書込数が表示可能数設定部224の表示可能数よりも大きいか否かを調べ(ステップS14)、書込数が表示可能数よりも大きい場合、前述のように、テキストデータを整理した上で、表示リスト222を作成する(ステップS15)。これについては、図8を参照して後述する。ストリーミングサーバ2は、更に、表示リスト222に格納したテキストデータの数をカウントして、これを表示数として取得する、即ち、表示数設定部226に格納する(ステップS16)。ストリーミングサーバ2は、表示数に基づいて、表示時間を設定する、即ち、表示時間設定部227に格納する(ステップS17)。この時、前述のように、表示時間は表示数に比例して短くされる。
【0043】
この後、ストリーミングサーバ2は、表示リスト222内に格納されているメッセージを、その先頭から順に読み出して、当該表示時間に従ってSMILを用いて動画コンテンツに重畳して利用者端末4に配信することにより、そのウィンドウ41に表示し(ステップS18)、ステップS11以下を繰り返す。ステップS14において書込数が表示可能数よりも大きくない場合、ステップS12で作成した書込リスト221内に格納されているメッセージを、その先頭から順に読み出して、当該表示時間に従って動画コンテンツに重畳して利用者端末4に配信することにより、そのウィンドウ41に表示し(ステップS19)、ステップS11以下を繰り返す。
【0046】
以上、本発明をその実施の態様に従って説明したが、本発明は、その主旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、図9に示すように、ストリーミングサーバ2が、ストリーミング配信中の動画コンテンツを表示するウィンドウ41内に、これに関連付けられたテキスト書込部42を表示させるようにしてもよい。即ち、図10に示すように、ストリーミング配信された動画コンテンツを再生するウィンドウ41内に、テキスト書込部42が設けられる。このために、ストリーミングサーバにより、1個のHTML内にSMILコンテンツとテキスト書込部42のCGIとが各々埋め込まれる。SMILコンテンツとテキスト書込部42のCGIとには、各々、異なるURLが割り当てられる。これにより、利用者は、1個のウィンドウ41を見るだけで、ストリーミング配信された動画コンテンツを見ながら、ウェブ掲示板42の内容を見て、その場でウェブ掲示板42への書き込みも行うことができる。
【0048】
以上から判るように、本発明の実施の形態の特徴を列記すると、以下の通りである。
(付記1) ストリーミングサーバが、ストリーミング配信中の動画コンテンツに関連するテキストデータであって利用者端末により書き込まれたテキストデータを収集し、
ストリーミングサーバが、前記収集されたテキストデータを前記ストリーミング配信中の動画コンテンツに重畳し、
ストリーミングサーバが、前記テキストデータの重畳された動画コンテンツを前記利用者端末に配信する
ことを特徴とするストリーミング配信方法。
…
(付記10) 前記ストリーミングサーバが、前記収集されたテキストデータの少なくとも1個について、その内容に応じて、画面における表示位置又は色を設定する
ことを特徴とする付記1に記載のストリーミング配信方法。
(付記11) 前記画面における表示位置又は色は、当該テキストデータ毎に予め定められる
ことを特徴とする付記10に記載のストリーミング配信方法。
…
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ストリーミング配信方法において、利用者から入力されたウェブ掲示板上のテキストデータが、配信又は放送されているコンテンツと共に、これに重畳されてストリーミング配信される。従って、利用者は、少なくとも、配信又は放送されているコンテンツと共に、これについてウェブ掲示板やチャットに書き込まれたテキストデータを同一の画面上で同時に見ることができる。これにより、利用者は会場の客席の様な雰囲気を味わうことができる。一方、ストリーミング配信の事業者は、ストリーミング配信の視聴者の増加を期待することができ、また、視聴者の声をリアルタイムで得ることができるので、オークションやアンケート等の視聴者参加型のストリーミング配信を行うことができる。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
イ 乙49公報に記載された発明
(ア) 上記アによると、乙49公報には、次の発明(以下「乙49装置発明」という。)が記載されているものと認められる。
(乙49装置発明)
乙49A ストリーミング配信システムの利用者端末であって、
乙49B ストリーミングサーバにより利用者端末へストリーミング配信された、コメントであるテキストデータを、前記テキストデータを表示する領域に重畳した動画を表示する、
乙49C 利用者端末。
(イ) 上記(ア)の乙49装置発明の構成乙49Bに関し、被控訴人らは、乙49公報には本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されている旨主張する。
そこで検討するに、乙49公報(図面を除く。)には、動画とテキストデータが「重畳」されるとの記載は多数みられるものの(なお、段落【0025】及び図4の記載によると、「重畳」とは、必ずしも動画とテキストデータが重なり合うことを意味しないものと解される。)、動画が表示される領域(以下「動画表示領域」という。)とテキストデータが表示される領域(以下「テキストデータ表示領域」という。)との位置関係、テキストデータ表示領域中のテキストデータが表示される具体的な位置等については、「ストリーミングサーバ2は、…収集されたテキストデータ…の少なくとも1個について、その内容に応じて、ウィンドウ41における表示位置又は色…を設定する。ウィンドウ41における表示位置又は色は、当該テキストデータ毎に予め定められる。」(段落【0030】)、「選手Xの属するチームがウィンドウ41の左側であれば、その表示位置は「左」とされる。これにより、同一チームへの声援が相互に近い位置に表示されるので、重畳されたテキストデータが見易くなる。…表示リスト222内に当該選手名(であるテキストデータ)が存在する場合、これを動画コンテンツに重畳する際、その表示位置又は色は、メッセージ表示DB24に従った表示位置又は色とされる。」(段落【0031】)、「ウィンドウ41における表示位置又は色は、表示位置又は色の一方のみを設定しても、双方を設定してもよい。また、サッカーの試合のように、前半と後半とでサイド(又はコート)チェンジをする場合、これに従って表示位置を変えるようにしてもよい。」(段落【0032】)、「テキストデータの表示位置の指定がない場合、テキストデータは、ウィンドウ41上の予め定められた位置に重畳され表示される。テキストデータの表示位置は、表示可能数と同一の数だけ、予め定められる。」(段落【0033】)、「(付記10) 前記ストリーミングサーバが、前記収集されたテキストデータの少なくとも1個について、その内容に応じて、画面における表示位置又は色を設定することを特徴とする付記1に記載のストリーミング配信方法。(付記11) 前記画面における表示位置又は色は、当該テキストデータ毎に予め定められることを特徴とする付記10に記載のストリーミング配信方法。」(段落【0048】)等の記載がみられるのみであり、これらによっても、動画表示領域とテキストデータ表示領域との位置関係やテキストデータ表示領域中のテキストデータが表示される位置を具体的に明らかにすることはできない。また、図4ないし6及び10をみても、動画表示領域及びテキストデータ表示領域がいずれもウィンドウ41内にあり、動画表示領域とテキストデータ表示領域とが一切の重なり合いを持たないことがうかがわれるのみである。
そうすると、乙49公報には、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されているものとは認められない。
ウ 本件発明1-1と乙49装置発明との対比
上記イの乙49装置発明を前提とすると、本件発明1-1と乙49装置発明との間には、少なくとも次の相違点3及び4が存在するものと認められる。
(相違点3)
本件発明1-1は、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあ」るものであるのに対し、乙49装置発明には、そのような特定がない点
(相違点4)
本件発明1-1は、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」ものであるのに対し、乙49装置発明には、そのような特定がない点
エ 相違点3及び4についての判断
(ア) 被控訴人らは、当業者は乙49公報に記載された発明に乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、相違点3及び4に係る本件発明1-1の構成(構成要件1-1E及び1-1F)に容易に想到することができた旨主張する。
(イ) 乙2技術について
乙2公報によると、乙2技術は、動画コンテンツを放送により配信するとともに、それに関連したデータコンテンツ(テキストを含む。)をネットワーク経由で配信するものであり、動画及びデータコンテンツは、情報端末装置のモニタ(ディスプレイ)に表示される。そして、乙2技術においては、動画及びデータコンテンツのモニタにおける表示態様につき、動画を表示する動画エリア及びデータコンテンツを表示するデータエリアが設けられた上、動画エリアとデータエリアが重なり合うオーバレイ表示の状態となることもあり、その場合、データエリアの一部が動画エリアに重なり、その余の一部が動画エリアの外側になるとされている。また、乙2公報の図5には、動画が横長の状態で表示される場合には、データコンテンツの一部が動画エリアの内側に表示され、その余の一部が動画エリアの外側に表示される様子が図示されている。
そして、乙2技術の上記内容及び本件発明1-1の構成に照らすと、乙2技術にいう「動画エリア」が本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fにいう「第1の表示欄」(動画を表示する領域)に相当するものであることは明らかである。
しかしながら、前記9(4)のとおり、乙2技術におけるデータコンテンツは、動画の配信時に既に存在するものである。これに対し、本件発明1のコメントは、動画に対し任意の時間にユーザが付与するものである。
また、前記9(4)のとおり、乙2技術においては、動画を横長の状態で、かつ、モニタ画面内に最大限に大きく表示する場合、モニタ画面の余白部分が非常に狭くなるところ、動画エリアとデータエリアをタイル表示の状態にすると、データエリアが非常に狭くなり、ここに表示されるデータコンテンツが読みづらいものとなるため、この問題を解消する目的で、動画エリアとデータエリアとのオーバレイ表示の状態を作出するものであると認められる。これに対し、本件発明1-1は、コメントを表示する領域である第2の表示欄の一部を、動画を表示する領域である第1の表示欄と重なり合わせた上、コメントの少なくとも一部を第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側である領域に表示することとし、これにより、動画とのオーバレイ表示がされたコメントが動画に含まれるものではないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにすることを目的とするものである。
以上のとおり、乙2技術の「データエリア」は、本件発明1-1にいう「コメント」を表示する領域ではないから、これが本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fにいう「第2の表示欄」(コメントを表示する領域)に相当するということはできない。また、乙2技術において動画エリアとデータエリアとのオーバレイ表示の状態を発生させるのは、本件発明1-1のようにコメントが動画に含まれるものでないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにすることを目的とするものではなく、この点からも、乙2技術の上記内容が本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当するということはできない。したがって、乙2技術は、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成を有するものではない。
(ウ) 乙60技術について
前記(1)イ(イ)において説示したところに照らすと、乙60技術は、本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成を有するものではない。
(エ) 乙61技術について
a 乙61公報の記載
乙61公報には、次の記載がある。
「技術分野
本発明は、符号化装置および方法、復号装置および方法、プログラム、記録媒体、ならびに、データ構造に関し、主映像のアスペクト比とは独立したアスペクト比で、副映像を表示することができるようにした符号化装置および方法、復号装置および方法、プログラム、記録媒体、ならびに、データ構造に関する。
背景技術
コンテンツの映像(以下、適宜、主映像と称する)に、字幕などの主映像を補足等する理由で表示される映像(以下、適宜、副映像と称する)を重ね合わせて表示されることがある。
通常、副映像のアスペクト比は、主映像のアスペクト比に関連づけられており、主映像のアスペクト比が、a:bであれば、副映像もa:bのアスペクト比で、また主映像のアスペクト比が、c:dであれば、副映像もc:dのアスペクト比で、主映像に重ね合わされるようになされている。
具体的な例としては、表示装置のアスペクト比が16:9である場合であって、主映像のアスペクト比が4:3であるとき、第1図に示すように、主映像の画枠サイズを変更して左右に黒色を表示させるデータが付されて表示されるが、そのとき字幕は、必ず4:3のアスペクト比で表示される(特許文献1「特開平10-308924号公報」参照)。
しかしながら、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯性を重視した小型の電子機器には、通常画面が小さい表示装置が設けられているので、その表示画面のアスペクト比が16:9である場合であって、主映像のアスペクト比が4:3であるとき、字幕が、サイドパネル部分があるにもかかわらず、第1図に示したように4:3のアスペクト比で表示されると、見えづらくなってしまう場合があった。
発明の開示
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、主映像のアスペクト比とは独立したアスペクト比で、副映像を表示することができるようにするものである。」(明細書1頁5行目~2頁11行目)
「第8図のフローチャートは、ビデオデコーダ66の一例の処理を概略的に示す。
先ず、第8図のフローチャートを用いてビデオデコーダ66における一例の表示処理を概略的に説明する。ステップS10で、多重化分離部71で分離された主映像の符号化データが主映像復号部72で復号化されると共に、符号化時に組み込まれた主映像のアスペクト比等のデータが抽出され、主映像画枠サイズ変換部74で主映像および表示装置のアスペクト比に基づき画枠サイズが変換される。ステップS11で、多重化分離部71で分離された副映像の符号化データが副映像復号部73で復号化されると共に、符号化時に組み込まれた副映像のアスペクト比等のデータが抽出され、副映像画枠サイズ変換部75で副映像および表示装置のアスペクト比に基づき画枠サイズが変換される。そして、次のステップS12で、加算器76により、表示装置のアスペクト比に合わせて決められた主映像に副映像が重ね合わされ、この主映像に副映像が重ね合わされた映像が表示される。」(明細書15頁3~17行目)
「主映像画枠サイズ変換部74は、ビデオ出力端子68に接続されている表示装置のアスペクト比と、主映像復号部72から供給された主映像のアスペクト比に基づいて、出力する主映像の画枠サイズを変換し、加算器76に供給する。
例えば、表示装置のアスペクト比が16:9である場合において、主映像のアスペクト比が4:3であるときには、主映像画枠サイズ変換部74は、主映像を、横方向 (水平方向) に縮小するとともに、左右に黒色を表示させるデータを付加して出力する。」(明細書16頁12~19行目)
「次に、第9図のフローチャートを参照して、ビデオデコーダ66の副映像画枠サイズ変換部75の動作を説明する。
ステップS21において、副映像画枠サイズ変換部75は、副映像復号部73から、いま副映像画枠サイズ変換部75に供給されている副映像のアスペクト比を示すフラグを取得する。
ステップS22において、副映像画枠サイズ変換部75は、表示装置のアスペクト比が4:3(例えば、360×270)であるか16:9(例えば、480×270)であるかを判定し、4:3であると判定した場合、ステップS23に進み、副映像を表示可能な720×480の画枠サイズを、4:3のアスペクト比に合うように変換し(ピクセルアスペクト比=10:11)、その結果得られた字幕データを、加算器76に出力する。」(明細書17頁10~21行目)
「ステップS22で、表示装置のアスペクト比が16:9であると判定された場合、ステップS24に進み、副映像画枠サイズ変換部75は、ステップS21で取得したフラグが、副映像のアスペクト比が16:9および4:3のいずれでもよいことを示すフラグであるか、また16:9または4:3のいずれか1つのアスペクト比を示すフラグであるかを判定し、いずれか1つのアスペクト比を示すフラグであると判定した場合、ステップS25に進む。
ステップS25において、副映像画枠サイズ変換部75は、ステップS21で取得したフラグが、副映像のアスペクト比が16:9であることを示すフラグかまたは4:3であることを示すフラグかを判定し、16:9であることを示すフラグであると判定した場合、ステップS26に進む。
ステップS26において、副映像画枠サイズ変換部75は、字幕の映像の720×480の画枠サイズを、16:9のアスペクト比に合うように変換し(ピクセルアスペクト比=40:33)、その結果得られた字幕データを、加算器76に出力する。
すなわち副映像は、主映像のアスペクト比に関係なく、16:9のアスペクト比で表示される。
主映像のアスペクト比が4:3である場合には、第19図に示すように、横方向に縮小されて左右に黒色を表示させるデータが付加された主映像に、16:9のアスペクト比の字幕の映像が重ね合わされて表示される。すなわち、このように表示装置の表示画面をフルに用いて、字幕を表示することができるので、表示装置が小型の装置であって表示画面が小さいときでも、字幕を大きく表示することができる。」(明細書18頁26行目~19頁23行目)
b 乙61技術が本件発明1-1の構成1-1E及び1-1Fに相当する構成を有するといえるか。
乙61技術は、コンテンツの映像(主映像)及び主映像を補足するなどの理由で表示される字幕等の映像(副映像)を表示することができるようにした復号装置に係る技術である。乙61技術においては、主映像及び副映像は、表示装置の画面(乙61公報の第19図参照)上に設けられた各画枠の内部に表示されるところ、主映像の画枠のサイズは、表示装置のアスペクト比及び主映像のアスペクト比に基づいて変換され、副映像の画枠のサイズも、表示装置のアスペクト比及び副映像のアスペクト比に基づいて変換される。このようにしてサイズが変換された主映像及び副映像の各画枠は、表示装置の画面上に配置されるが、その際、例えば表示装置のアスペクト比が16:9であり、主映像のアスペクト比が4:3であるなどの条件を満たす場合、副映像の画枠の一部は、主映像の画枠と重なり合い、副映像の一部は、主映像の画枠の内側に表示されるが、その余の部分は、主映像の画枠の外側に表示されるという事象が生じるものである。
そして、乙61技術によると、主映像の画枠は、主映像が表示される領域であると解されるから、これが本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fにいう「第1の表示欄」(動画を表示する領域)に相当するものであることは明らかである。
しかしながら、乙61技術によると、副映像の画枠に表示される副映像の例として挙げられているのは字幕であり、乙2技術の「データコンテンツ」と同様、主映像の配信時に既に存在するものである(なお、乙61公報によると、乙61技術の副映像に当たる字幕は、映像データであることがうかがわれる。乙61公報には、字幕がテキストデータであるとの開示又は示唆はない。)。これに対し、本件発明1-1のコメントは、前記のとおり、動画に対し任意の時間にユーザが付与するものである。
また、乙61公報の記載(明細書1頁5行目~2頁11行目)によると、従来、副映像のアスペクト比は、主映像のアスペクト比に関連付けられており、例えば、表示装置のアスペクト比が16:9であり、主映像のアスペクト比が4:3であるとき、副映像(字幕)のアスペクト比は必ず4:3となるため、小型の電子機器においては字幕が見えづらくなってしまうという問題があったところ、乙61技術は、主映像のアスペクト比から独立したアスペクト比で副映像を表示することにより、副映像を見やすくすることを目的とするものであると認められる。これに対し、本件発明1-1は、前記のとおり、動画と重なって表示されたコメントが動画に含まれるものではないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにすることを目的とするものである。
以上のとおり、乙61技術の「副映像の画枠」は、本件発明1-1の「コメント」を表示する領域ではないから、これが本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fにいう「第2の表示欄」に相当するということはできない。また、乙61技術において、副映像の画枠の一部が主映像の画枠と重なり、副映像の一部が主映像の画枠の内側に表示され、その余の部分が主映像の画枠の外側に表示されるという事象を生じさせるのは、副映像のアスペクト比が主映像のアスペクト比と関連付けられていたことから来る副映像の見づらさを解消するためであり、本件発明1-1のようにコメントが動画に含まれるものではないこと及びこれがユーザによって書き込まれたものであることをユーザが把握できるようにすることを目的とするものではなく、この点からも、乙61技術の上記内容が本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当するということはできない。したがって、乙61技術は、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成を有するものではない。
(オ) 上記(イ)ないし(エ)によると、乙49装置発明に乙2技術、乙60技術及び乙61技術の全部又は一部を適用しても、当業者は、少なくとも相違点4に係る本件発明1-1の構成を得ることはできない。
オ 小括
(ア) 上記ウのとおり、本件発明1-1と乙49装置発明との間には、少なくとも相違点3及び4が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙49公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
(イ) 上記エのとおりであるから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙49公報を主引用例とする進歩性欠如の主張は、理由がない。
(3) 乙48公報を主引用例とする新規性の欠如又は進歩性の欠如について
ア 乙48公報の記載
(ア) 乙48公報は、外国語文献であるが、乙48の抄訳には、次の記載がある。
a 「視聴者は、テキストメッセージを入力することができる(108)」(表紙の下から4行目)
b 「本発明は、ビデオの視聴者間における動画とテキストコミュニケーションの同時視聴に関するものである」(1頁5行目以下)
c 「これまでは、視聴者には、同一の表示装置を用いて、動画の視聴と当該動画に関連するチャットルームの参加を同時に可能とするシステムは提供されていない」(3頁15行目以下)
d 「視聴者は、図6に示されるように、視聴されているTVショーに関連したチャットルームに移動される」(14頁6行目以下)
e 「ユーザー・インターフェースの端にあるスクロールバーは、スクロールアップ及びダウンにより、視聴者がチャット領域の外にあるより古いメッセージを読むことを可能にする」(14頁15行目以下)
f 「図11は、フルスクリーン動画領域118を利用したユーザー・インターフェースの他の実施例である。示されているように、チャット領域108は、スクリーン全体を占めており、動画に重ね合わされている。これは動画及びチャット領域に最大のスペースを与える有利さがあるが、テキストメッセージの視認性は低下する」(16頁15行目以下)
g 「クレーム20のユーザー・インターフェースにおいては、チャット領域が動画領域にオーバーレイしている」(26頁8行目以下)
(イ) また、上記(ア)に加え、被控訴人FC2の準備書面(5)には、乙48公報の訳として次の記載がある。
a 「インターネットが人気を得た一つの特徴は、利用者間におけるリアルタイムのコミュニケーションを提供したことにある」(1頁17行目以下)
b 「このシステムは、複数のチャットルームを保有しており、それぞれがテレビ放送に対応する」(4頁7行以下)
c 「メッセージのエントリーの後、ユーザは、新しいチャットを加えるために、送信ボタン114を選択起動する」(14頁13行目以下)
(ウ) 図11には、チャットが全面に表示されており、動画を意味する「TV」と重なる状態で表示されている。
(エ) 図14には、ユーザの端末から送信されメッセージがチャットサーバに格納される様子が示されている。
イ 乙48公報に記載された発明
(ア) 上記アによると、乙48公報には、次の発明(以下「乙48装置発明」という。)が記載されているものと認められる。
(乙48装置発明)
乙48A 動画にユーザの端末から送信されたテキストメッセージを重ね合わせて表示するユーザの端末。
(イ) 上記(ア)の乙48装置発明に関し、被控訴人らは、乙48公報には本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されている旨主張する(被控訴人らが主張する乙48発明の構成e及びf)。
しかしながら、上記(ア)ないし(エ)のとおりの乙48公報の記載及び図示の内容をみても、動画の表示領域とチャットの表示領域との位置関係、コメントの表示位置とこれらの表示領域との位置関係等は、何ら明らかでない(図11によると、動画の表示領域とチャットの表示領域とが全面的に重なり、チャットは、全て動画の表示領域内に表示されるとも見て取れる。)。
したがって、乙48公報に本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されているものとは認められない。
ウ 本件発明1-1と乙48装置発明との対比
上記イ(ア)の乙48装置発明を前提にすると、本件発明1-1と乙48装置発明との間には、少なくとも次の相違点5及び6が存在するものと認められる。
(相違点5)
本件発明1-1は、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあ」るものであるのに対し、乙48装置発明には、そのような特定がない点
(相違点6)
本件発明1-1は、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」ものであるのに対し、乙48装置発明には、そのような特定がない点
エ 相違点5及び6についての判断
被控訴人らは、当業者は乙48公報に記載された発明に乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、相違点5及び6に係る本件発明1-1の構成(構成要件1-1E及び1-1F)に容易に想到することができた旨主張する。
しかしながら、前記(2)エ(イ)ないし(エ)のとおり、乙2技術及び乙61技術は、いずれも本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成を有するものではなく、乙60技術は、本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成を有するものではないから、当業者は、乙48装置発明に乙2技術、乙60技術及び乙61技術の全部又は一部を適用しても、少なくとも相違点6に係る本件発明1-1の構成を得ることはできない。
オ 小括
(ア) 上記ウのとおり、本件発明1-1と乙48装置発明との間には、少なくとも相違点5及び6が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙48公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
(イ) 上記エのとおりであるから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙48公報を主引用例とする進歩性欠如の主張は、理由がない。
(4) 乙64公報を主引用例とする新規性の欠如又は進歩性の欠如について
ア 乙64公報の記載
乙64公報には、次の記載がある。
[0032] 本発明によれば、メディアプレゼンテーションに対して同期された電子メッセージのための技術が提示される。
[0034] メッセージングアプリケーションのプライマリインターフェイスは、最初は目立たない。したがって、一般的に50で示されるように、主要なインターフェース(およびメッセージングアプリケーションを使用することを選択したときに視聴者が知覚する最初のインターフェース)は、映像が主要な部分を占めるスクリーンである。この初期表示モードでは、見出しや任意のメッセージング制御インターフェースは、現代のテレビ番組のすべての視聴者が馴染みのある方向に近似的に画面の下部に表示される。より具体的には、見出しと表示インターフェースはニューススタイルのビューとして表示され、フォーカスは常にビデオの主題にあり、60で一般的に示されるように、画面の下部に文字情報及び文脈情報が重ねて表示される。
[0035] 視聴者が見出しを見ることを望まない場合、視聴者が視聴覚プロダクションの現在視聴されている部分に関するメッセージを視聴することが望ましいと判断するまで、メッセージングディスプレイは非アクティブ化され得る。したがって、視聴者は、現在のタイムコードに関連するメッセージのフルスクリーンビデオ表示とフルスクリーン表示を切り替えることができる。
[0042] ここで図1Bを参照すると、AV製品に関連するメッセージの様々なサブジェクトがアウトラインウィンドウ110に表示されている。AV製品は、一例として、スポーツイベント、演劇、音楽コンサートのビデオなどである。オーディオビジュアルプロダクションが再生されると、スレッドメッセージングシステムの最初のメッセージのサブジェクトがティスプレイ画面に表示される。視聴者がメッセージスレッドの1つに興味を持つと、視聴者はサブジェクトの見出しをクリックするか、キーボードのスペースバーを押すか、他の視聴者のアクションによってメッセージスレッドを選択できる。選択すると、メッセージの表示ウィンドウが拡大して、選択したサブジェクトに関連付けられたメッセージの本文または画像が表示される。展開されたウィンドウに表示される本文テキストまたは画像は、視聴者のさらなる指示に従って変化する。拡張されたウィンドウは、メッセージングシステムを高度に制御するためのビューアインターフェイスも提供する。視聴者がメッセージ・サブジェクトを選択しない場合、サブジェクトの見出しは、表示画面の下部3分の1で定期的に表示および非表示になる。アウトラインウィンドウ110は、AV製品が表示されるディスプレイウィンドウ120の右側にある。アウトラインウィンドウ110は、特定のアプリケーションのニーズに応じて、画面上の他の場所に配置できる。アウトラインウィンドウ110は、最初のメッセージの件名と返信の数を表示する。アウトラインウィンドウ110の下部にあるメッセージ・サブジェクトは、視聴者が視聴しているAV製品のタイムラインポイントに実質的に対応する開始時間コードを有してもよい。加えて、アウトラインウィンドウ110は、視聴者がAV製品に関連する様々な主題を移動するための簡単なスクロールインターフェースも提供する。
[0045] 本発明のさらに別の実施形態によれば、図1Bに示すように、視聴者は、新しいサブジェクトの下に、または古いメッセージに応答して、自分のコメントを入力することを選択することができる。選択すると、英数字テキストまたは他のメッセージコンテンツを表示するための拡張メッセージウィンドウ160は、視聴者による入力としてメッセージを即座に表示する。さらに、アウトラインウィンドウ110は、その下部において、開始タイムコードが視聴者が現在見ているタイムラインのポイントに実質的に対応するメッセージ・サブジェクトを表示する。
[0059] ストレージ・システム1230は、メッセージとともに、AV製品のタイムラインのポイントとの関連を蓄積する。ストレージは、AV製品の表示デバイスから離れた場所にある記憶デバイス、表示デバイスのローカルディスクキャッシュ、他のデバイス、またはそれらの組み合わせで実行できる。
図1A
図1B
イ 乙64公報に記載された発明
(ア) 上記アによると、乙64公報には、次の発明(以下「乙64装置発明」という。)が記載されているものと認められる。
(乙64装置発明)
乙64A 視聴覚製品を再生するとともに、コメントである英数字テキストを表示する表示装置であって、
乙64B 視聴覚作品へ向けられたメッセージサブジェクトインデックス、及び各メッセージサブジェクトの開始時間と終了時間の表示を含むサブジェクトインデックスを記憶するストレージシステムと、
乙64C ディスプレイウィンドウに視聴覚製品を再生して表示する手段と、
乙64D 再生される視聴覚製品の再生時間に基づいて、メッセージサブジェクトをディスプレイウィンドウの一部に重なるヘッドラインウィンドウに表示する手段と、
乙64E を有する表示装置。
(イ) 上記(ア)の乙64装置発明の構成乙64Dに関し、被控訴人らは、乙64公報には本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成が開示されている旨主張する(被控訴人らが主張する乙64発明の構成f)。
しかしながら、上記アの乙64公報の記載をみても、メッセージサブジェクトとディスプレイウィンドウ及びヘッドラインウィンドウとの位置関係等は、何ら明らかではない(図1A及び1Bによっても、メッセージサブジェクトが全てディスプレイウィンドウの内側にあるのか、その一部がディスプレイウィンドウの外側にあるのかなどを見て取ることはできない。)。
したがって、乙64公報に本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成が開示されているものとは認められない。
ウ 本件発明1-1と乙64装置発明との対比
上記イ(ア)の乙64装置発明を前提にすると、本件発明1-1と乙64装置発明との間には、少なくとも次の相違点7が存在するものと認められる。
(相違点7)
本件発明1-1は、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」ものであるのに対し、乙64装置発明には、そのような特定がない点
エ 相違点7についての判断
被控訴人らは、当業者は乙64公報に記載された発明に乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、相違点7に係る本件発明1-1の構成(構成要件1-1F)に容易に想到することができた旨主張する。
しかしながら、前記(2)エ(イ)ないし(エ)のとおり、乙2技術、乙60技術及び乙61技術は、いずれも本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成を有するものではないから、当業者は、乙64装置発明に乙2技術、乙60技術及び乙61技術の全部又は一部を適用しても、相違点7に係る本件発明1-1の構成を得ることはできない。
オ 小括
(ア) 上記ウのとおり、本件発明1-1と乙64装置発明との間には、少なくとも相違点7が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙64公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
(イ) 上記エのとおりであるから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙64公報を主引用例とする進歩性欠如の主張は、理由がない。
(5) 乙65公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について
ア 乙65公報に記載
乙65公報には、次の記載がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
…本発明のライブ配信サーバは、マルチメディアコンテンツのライブ映像を配信するライブ配信サーバと、該ライブ配信サーバを介してライブ映像を配信するクライアントの端末と、ライブ映像を閲覧するクライアントの端末とが通信ネットワークで接続されたライブ配信システムにおける前記ライブ配信サーバであって、前記ライブ配信を行うクライアントの端末から、ライブ配信する画面内の1または2以上のレイアウトの指定情報と各レイアウトごとの属性情報を受信しデータベースに保存するためのレイアウト及び属性情報格納手段と、前記ライブ配信を行うクライアントの端末から送信されるライブ映像を、前記データベースを参照して指定されたレイアウトに割り当て、各レイアウトのライブ映像を同期させてライブ配信するためのライブ映像同期配信手段と、配信されたライブ映像を閲覧中のクライアントの端末から、該クライアントが入力するコミュニケーション情報とレイアウト指定情報を受信した場合には、前記データベースを参照して指定されたレイアウトに割り当て、該コミュニケーション情報を前記ライブ映像と同期させてライブ配信するためのコミュニケーション情報同期配信手段とを具備することを特徴とする。
これにより、配信されるライブ映像を閲覧しながら、チャットなどのコミュニケーション情報を同じ画面上でリアルタイムで表示できる。
【0007】
また、本発明のライブ配信サーバは、前記コミュニケーション情報がテキスト文字のチャット情報を含むマルチメディアコンテンツであることを特徴とする。これにより、クライアントは、配信されるライブ映像を閲覧しながら、同じ画面上でチャット、動画、静止画、音声によりコミュニケーションを行うことができる。
【0012】
また、本発明のコンピュータプログラムは、マルチメディアコンテンツのライブ映像を配信するライブ配信サーバと、該ライブ配信サーバを介してライブ映像を配信するクライアントの端末と、ライブ映像を閲覧するクライアントの端末とが通信ネットワークで接続されたライブ配信システムにおける前記ライブ配信サーバ内のコンピュータに、前記ライブ配信を行うクライアントの端末から、ライブ配信する画面内の1または2以上のレイアウトの指定情報と各レイアウトごとの属性情報を受信しデータベースに保存するためのレイアウト及び属性情報格納手順と、前記ライブ配信を行うクライアントの端末から送信されるライブ映像を、前記データベースを参照して指定されたレイアウトに割り当て、各レイアウトのライブ映像を同期させてライブ配信するためのライブ映像同期配信手順と、配信されたライブ映像を閲覧中のクライアントの端末から、該クライアントが入力するコミュニケーション情報とレイアウト指定情報を受信した場合には、前記データベースを参照して指定されたレイアウトに割り当て、該コミュニケーション情報を前記ライブ映像と同期させてライブ配信するためのコミュニケーション情報同期配信手順とを実行させるためのプログラムである。
【0017】
…本発明のライブ配信サーバは、ライブ放送の際に、該ライブ放送と同期して、ユーザが同じ画面上でチャットなどのコミュニケーション情報の交換をリアルタイムで行うことを可能にすると共に、配信データを保存しオンデマンドで閲覧することを可能にするために、以下の機能を備えている。
・複数のカメラからの映像を制御し、複数のレイアウトで同時に配信する機能
・ライブ放送の映像と、チャットなどのユーザが入力するコミュニケーション情報とを同一の画面で配信する機能
・ユーザからのコミュニケーション情報(チャット、動画、静止画、音声情報など)の入力があると、ライブ放送画像中にリアルタイムで反映する機能
・ユーザからのコミュニケーション情報(チャット、動画、静止画、音声情報など)を入力する際に、ライブ放送のどの場所に表示するか指定する機能
・ライブ放送画像と、ユーザが入力するコミュニケーション情報(チャット、動画、静止画、音声情報など)の内容とを1つのコンテンツとして保存する機能
・ユーザ(ライブ配信者)がライブ配信の予約時に、画面のレイアウトの指定、及び各レイアウトごとに閲覧する人数などを設定する機能
・チャットルーム中で、チャット参加中のユーザがライブ配信を行い、閲覧者間で共有する機能
【0019】
[ライブ配信システムの構成と動作概要]
図1は、本発明のライブ配信サーバを使用したライブ配信システムの構成と動作概要を説明するための図であり、本例のライブ配信システムは、ライブ配信サーバ2が中核となり、ライブ配信サーバ2と、ライブ配信者端末3と、クライアント端末4(ライブ閲覧者)と、チャット参加者端末5とが通信ネットワーク1により接続されて構成される。
【0020】
図1に示すライブ配信システムでは、以下のように動作する。
(1) ライブ配信者端末3では、カメラ映像3aまたは動画ファイル3bから動画を取り込み(矢付線a)、ライブ配信サーバ2にライブ映像データを送信する(矢付線b)。
(2) ライブ配信サーバ2は、ライブ配信者端末3から受信したライブ映像データを、クライアント端末4およびチャット参加者端末5に配信する(矢付線c)。
(3) チャット参加者端末5からライブ配信サーバ2に、チャット参加者が入力したチャットのメッセージが送信される(矢付線d)。
(4) ライブ配信サーバ2では、チャット参加者端末5から受信したチャットデータをライブ映像データに付加して、クライアント端末4およびチャット参加者端末5に配信する(矢付線c)。
(5) また、ライブ配信サーバ2は、配信した内容(ライブ映像データとチャットデータ)を1つのコンテンツとして保存する(矢付線e)。
【0022】
[ライブ配信システムの構成例]
また、図2は、本発明のライブ配信サーバを用いたライブ配信システムの構成例を示す図であり、本発明に直接関係する部分について示したものである。
【0023】
図2に例示するライブ配信システムは、ライブ配信サーバ100と、クライアントであるライブ配信者10のライブ配信者端末11と、クライアントであるライブ閲覧者20のライブ閲覧者端末21とが通信ネットワーク1を介して接続されて構成される。なお、ライブ配信者10及びライブ閲覧者20は予めライブ配信サーバ100に登録されたユーザであり、ユーザID(識別コード)やユーザ認証情報(パスワードなど)が発行されているユーザである。
【0024】
ライブ配信者10は、映像や音声などのマルチメディアコンテンツを作成し、ライブ配信サーバ100にライブ配信(ストリーミングによるリアルタイム配信)を予約し、ライブ予約で指定した時間にライブ配信を行うクライアントである。…
【0025】
ライブ閲覧者20は、ライブ配信サーバ100から配信されるライブを閲覧し、チャットに参加するクライアントであり、ライブ閲覧者20のライブ閲覧者端末21には、以下の機能(又は装置)が備えられている。
・通信装置22は、ライブ閲覧者端末21を通信ネットワーク1と接続するための装置である。
・メディア再生プレイヤー23は、ライブ配信される映像や音声などを再生する処理部であり、専用のソフトウェアにより再生が行われる。例えば、RealPlayer(登録商標)などがある。
・チャット入力機能24は、メディア再生プレイヤー23によりマルチメディアコンテンツを再生中に、そのコンテンツに対して、チャットの情報を入力するための機能である。
・入力装置25は、キーボード、マウス等の入力装置である。
・表示装置26は、液晶やCRTなどのディスプレイ装置である。
【0036】
・チャット情報データベース(チャット情報DB)113は、ライブ閲覧者端末21のチャット入力機能24によって行われたチャット情報のログを記録しておくデータベースである。格納データは、「ライブID」、「発言者」、「発言時間(ライブ開始からの差分時間)」、「ライブ上での発言場所(レイアウトIDまたは、XY座標での表記)」、「発言及びその他の情報(色、スクロール方法等)」等である。
【0039】
[ライブ放送中でのチャットの実施手順]
次に、図2に例示するライブ配信システムにおける「ライブ放送上でのチャットの実施手順の流れ」について説明する。
【0044】
(2) ライブ閲覧者によるレイアウトの選択とチャット入力手順
また、図5は、図2に例示するライブ配信システムにおける「ライブ閲覧者によるレイアウトの選択とチャット入力手順の流れ」を示す図であり、以下、図5を基に、その手順の流れについて説明する。
ライブを閲覧したいユーザ(ライブ閲覧者20)は、ライブ閲覧者端末21かライブ配信サーバ100のライブ配信ページにログインし、閲覧したいコンテンツを選択しているものとする(ステップS21~ステップS24)。
▲1▼ コンテンツアクセス管理処理部104は、閲覧管理DB114を参照して、コンテンツを選択したユーザ(ライブ閲覧者20)のチェックを行い、アクセス権限があるレイアウト(領域)を確認する(ステップS25)。
【0045】
▲2▼ コンテンツアクセス管理処理部104は、▲1▼で確認したレイアウト(領域)をライブ閲覧者端末21に表示し、ライブ閲覧者20に閲覧するレイアウトを選択させる(ステップS26、S27)。
【0046】
▲3▼ライブ配信サーバ100では、ライブ閲覧者20が表示したいと選択したレイアウト(領域)のデータのみを、ライブ閲覧者端末21に配信する(ステップS28、S29)。この場合、同期マルチメディア言語ファイル生成処理部108は、ライブ閲覧者20が選択指定したレイアウトを持つ同期マルチメディア言語ファイルを生成し、ライブ閲覧者端末21のメディア再生プレイヤー23に向けて送信する。
【0047】
▲4▼コンテンツアクセス管理処理部104は、ライブ閲覧者20がチャット領域にアクセスし、ライブ閲覧者端末21からチャット情報格納処理部105にチャット入力情報が送られてきた場合に(ステップS30、S31)、ライブ閲覧者20がチャット情報を入力した領域(レイアウト)がチャット可能な領域であるかどうか判断し(ステップS32)、チャット情報格納処理部105に送信する。
【0048】
▲5▼チャット情報格納処理部105はコンテンツアクセス管理処理部104によりチャットの許可が得られた場合、ライブ閲覧者端末21のチャット入力機能24から入力されたチャット情報を受け取る(ステップS33)。許可が得られなかった場合は、チャット入力情報の受け取りを拒否する(ステップS34)。
【0049】
▲6▼チャット情報が受け取られると、受信したチャット入力データをライブ映像データに付加して、ライブ閲覧者20の端末21にリアルタイムで配信する(ステップS35、S36)。
【0050】
また、図9は、チャット入力画面の例を示す図であり、チャットに参加するクライアント(例えば、ライブ閲覧者20)が、ライブ閲覧者端末21内のチャット入力機能24によりチャットを行う場合の例を示す図である。
▲1▼あるチャット参加者が、Webブラウザなどのチャット入力用のアプリケーション(AP)画面a中で、レイアウト(領域2)を指定して、チャット文「この人って誰?」を入力する。
▲2▼配信映像b中に、チャット文「この人って誰?」が表示される。
▲3▼別のチャット参加者がチャット入力用のアプリケーション(AP)画面c中で、レイアウト(領域4)を指定して、チャット文「松井じゃない?」を入力する。
▲4▼配信映像b中に、チャット文「松井じゃない?」が表示される。
【0059】
以上説明したコミュニケーションを中心としたライブ放送の具体的な画面の例を図10に示す。図10示す例では、チャットルーム作成者(例えば、ライブ配信者10)により、レイアウト1がライブ映像領域、レイアウト2が静止画領域、レイアウト3がチャット(テキスト)入力領域に指定された場合の例である。この場合、ライブ配信を許可されたユーザが「ライブ配信開始ボタン200」をクリックすることで、該ユーザの端末のライブ配信装置(エンコード装置)が立ち上がり、ライブ放送が開始される。また、静止画像の配信を許可されたユーザが「静止画表示ボタン201」をクリックすることで、該ユーザの端末から静止画像ファイルがアップロードされて表示される。また、チャット入力を許可されたユーザが、該ユーザの端末にチャット文を入力し「チャット入力ボタン202」を押すことで、メッセージが表示される。
【0060】
[放送したライブチャットの保存と検索]
ライブ放送とコミュニケーション情報(チャットなど)の動画配信は、リアルタイムでライブ放送として配信するほかに、コミュニケーション情報(チャットなど)の入力も含むオンデマンドのビデオクリップとして保存することが可能である。
【0061】
図8は、ライブ放送時のチャットの保存と閲覧の手順を示す図であり、ライブ放送時のチャットの保存と閲覧は以下のようにして行われる。
(1) ライブ配信が開始され(ステップS61~S63)、ライブ閲覧者端末21のチャット入力機能24によりレイアウトの選択とチャット入力による発言があった場合(ステップS64)、選択されたレイアウトがチャット入力可能な領域であるかが確認される(ステップS65)。
【0062】
(2) チャット入力が可能な領域である場合は、ライブデータとチャット入力情報とを同期させて、リアルタイムで配信する(ステップS66、67)。
(3) また、チャット情報格納処理部105はチャット情報DB113に、「発言のあったライブ放送のライブID」、「発言時刻(ライブの開始時刻からの差分)」、「発言者のユーザID」、「発言場所(領域)」、「発言した内容」などを保存する(ステップS68)。
【0063】
(4) ライブ終了時に(ステップS69)、同期マルチメディア言語ファイル生成処理部108は、生成したファイル(ライブ配信データ)をライブデータDB111に保存する(ステップS70)。
【0064】
(5) また、ライブデータDB111に保存されたライブデータは、ユーザにより後で検索できるように格納される。ライブ閲覧者端末21からライブデータDB111の閲覧(検索)要求があった場合は(ステップS71)、ライブデータDB111を検索し、該当するライブデータをオンデマンドで配信する(ステップS72、S73、S74)。
例えば、動画とチャット情報が保存されたライブデータDB111から、「おはよう」などのテキスト文字を検索できるようにし、「おはよう」を含む部分のライブデータをオンデマンドで閲覧できるようにする。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のライブ配信サーバ、及びライブ配信方法においては、ライブ配信を行うクライアントの端末から、ライブ配信する画面内のレイアウトの指定情報と各レイアウトごとの属性情報を受信しデータベースに保存する。また、ライブ配信を行うクライアントの端末から送信されるライブ映像と、ライブを閲覧するクライアントの端末から送信されるコミュニケーション情報(例えば、チャット)とを同期させ、それぞれを同じ画面内の指定されたレイアウトにリアルタイムで表示させる。
これにより、配信されるライブ映像を閲覧しながら、チャットなどのコミュニケーション情報を同じ画面上でリアルタイムで表示できる。
【0069】
また、本発明のライブ配信サーバにおいては、ライブ映像とコミュニケーション情報を同期させて表示するために、各レイアウトの配信データを含む同期マルチメディア言語ファイルを生成する。
これにより、同期マルチメディア言語の機能を活用して、ライブ映像とコミュニケーション情報との同期制御が容易に行えるようになる。
【0070】
また、本発明のライブ配信サーバにおいては、ライブ映像と同期して表示するコミュニケーション情報がテキスト文字(チャット入力情報)を含むマルチメディアコンテンツである。
これにより、クライアントは、配信されるライブ映像を閲覧しながら、同じ画面上でチャット、動画、静止画、音声によりコミュニケーションを行うことができる。
【図2】
【図9】
【図10】
イ 乙65公報に記載された発明
(ア) 上記アによると、乙65公報には、次の発明(以下「乙65装置発明」という。)が記載されているものと認められる。
(乙65装置発明)
乙65A 動画に重畳して、チャット情報を表示するクライアント端末。
(イ) 上記(ア)の乙65装置発明に関し、被控訴人らは、乙65公報には本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されている旨主張する。
そこで検討するに、上記アによると、乙65公報に記載された発明の表示装置16及び26に配信映像及びチャット文が具体的にどのように表示されるのかについては、段落【0050】及び【0059】並びに図9及び10の記載を参酌して認定するのが相当である(その余の段落及び図面の記載によっても、配信映像及びチャット文が乙65公報にいう「レイアウト」(ライブ配信者が指定し、ライブ閲覧者が選択するもの)に従って表示されることはうかがわれるものの(段落【0005】、【0012】、【0017】、【0044】、【0046】、【0047】、【0059】、【0061】、【0068】等)、当該レイアウトにおいて、配信映像が表示される領域(以下「配信映像表示領域」という。)とチャット文が表示される領域(以下「チャット文表示領域」という。)とがどのような位置関係にあるか、チャット文がチャット文表示領域中のどの位置に表示されるかなどについては、上記その余の段落及び図面に何らの記載も示唆もない。)。
そして、段落【0050】及び図9の記載によると、チャット文表示領域は、配信映像表示領域に完全に包含され、また、チャット文は、配信映像表示領域の外側にはみ出さない態様で表示されていると認められる(なお、段落【0059】及び図10の記載によると、配信映像表示領域とチャット文表示領域は全く重なり合いを持たず、したがって、チャット文の全部又は一部が配信映像表示領域と重なることもないと認められるところ、これも、本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当するものではない。)。
したがって、乙65公報に本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成が開示されているものとは認められない。
ウ 本件発明1-1と乙65装置発明との対比
上記イ(ア)の乙65装置発明を前提にすると、本件発明1-1と乙65装置発明との間には、少なくとも次の相違点8及び9が存在するものと認められる。
(相違点8)
本件発明1-1は、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあ」るものであるのに対し、乙65装置発明には、そのような特定がない点
(相違点9)
本件発明1-1は、「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」ものであるのに対し、乙65装置発明には、そのような特定がない点
エ 相違点8及び9についての判断
被控訴人らは、当業者は乙65公報に記載された発明に乙2技術、乙60技術又は乙61技術を適用して、相違点8及び9に係る本件発明1-1の構成(構成要件1-1E及び1-1F)に容易に想到することができた旨主張する。
しかしながら、前記(2)エ(イ)ないし(エ)のとおり、乙2技術及び乙61技術は、いずれも本件発明1-1の構成要件1-1E及び1-1Fに相当する構成を有するものではなく、乙60技術は、本件発明1-1の構成要件1-1Fに相当する構成を有するものではないから、当業者は、乙65装置発明に乙2技術、乙60技術及び乙61技術の全部又は一部を適用しても、少なくとも相違点9に係る本件発明1-1の構成を得ることはできない。
オ 小括
(ア) 上記ウのとおり、本件発明1-1と乙65装置発明との間には、少なくとも相違点8及び9が存在するから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙65公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
(イ) 上記エのとおりであるから、本件発明1-1について、被控訴人らの乙65公報を主引用例とする進歩性欠如の主張は、理由がない。
11 争点6-2(本件発明1-2は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
(1) 乙48公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について
ア 本件発明1-2は、本件発明1-1を引用する発明である。
イ 前記10(3)ウのとおり、本件発明1-1と乙48公報に記載された発明(乙48装置発明)との間には、少なくとも相違点5及び6が存在するから、本件発明1-2と乙48公報に記載された発明(乙48装置発明)との間にも、少なくとも相違点5及び6が存在するものと認めるのが相当である。
ウ 当業者が少なくとも相違点6に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(3)エのとおりである。
エ 以上のとおりであるから、本件発明1-2について、被控訴人らの乙48公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
(2) 乙65公報を主引用例とする新規性欠如について
ア 前記10(5)ウのとおり、本件発明1-1と乙65公報に記載された発明(乙65装置発明)との間には、少なくとも相違点8及び9が存在するから、本件発明1-2と乙65公報に記載された発明(乙65装置発明)との間にも、少なくとも相違点8及び9が存在する。
イ 以上のとおりであるから、本件発明1-2について、被控訴人らの乙65公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
12 争点6-3(本件発明1-9及び1-10は新規性又は進歩性を欠くものであるか)について
(1) 本件発明1-9について
ア 乙60公報を主引用例とする新規性欠如について
本件発明1-9は、表示装置の発明である本件発明1-1に対応するプログラムの発明である。したがって、本件発明1-9と乙60装置発明に対応する乙60公報に記載されたプログラムの発明との間には、本件発明1-1と乙60装置発明の場合(前記10(1)ウ)と同様、少なくとも相違点2が存在するものと認めるのが相当である。
したがって、本件発明1-9について、被控訴人らの乙60公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
イ 乙49公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について前記アによると、本件発明1-9と乙49装置発明に対応する乙49公報に記載されたプログラムの発明との間には、本件発明1-1と乙49装置発明の場合(前記10(2)ウ)と同様、少なくとも相違点3及び4が存在するものと認めるのが相当である。
そして、当業者が少なくとも相違点4に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(2)エのとおりである。
したがって、本件発明1-9について、被控訴人らの乙49公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
ウ 乙48公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について前記アによると、本件発明1-9と乙48装置発明に対応する乙48公報に記載されたプログラムの発明との間には、本件発明1-1と乙48装置発明の場合(前記10(3)ウ)と同様、少なくとも相違点5及び6が存在するものと認めるのが相当である。
そして、当業者が少なくとも相違点6に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(3)エのとおりである。
したがって、本件発明1-9について、被控訴人らの乙48公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
エ 乙65公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について前記アによると、本件発明1-9と乙65装置発明に対応する乙65公報に記載されたプログラムの発明との間には、本件発明1-1と乙65装置発明の場合(前記10(5)ウ)と同様、少なくとも相違点8及び9が存在するものと認めるのが相当である。
そして、当業者が少なくとも相違点9に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(5)エのとおりである。
したがって、本件発明1-9について、被控訴人らの乙65公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
(2) 本件発明1-10について
ア 乙60公報を主引用例とする新規性欠如について
(ア) 本件発明1-10は、本件発明1-9を引用する発明である。
(イ) 前記(1)アのとおり、本件発明1-9と乙60公報に記載された発明(プログラムの発明)との間には、少なくとも相違点2が存在するから、本件発明1-10と乙60公報に記載された発明(プログラムの発明)との間にも、少なくとも相違点2が存在するものと認めるのが相当である。
(ウ) 以上のとおりであるから、本件発明1-10について、被控訴人らの乙60公報を主引用例とする新規性欠如の主張は、理由がない。
イ 乙49公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について
(ア) 前記(1)イのとおり、本件発明1-9と乙49公報に記載された発明(プログラムの発明)との間には、少なくとも相違点3及び4が存在するから、本件発明1-10と乙49公報に記載された発明(プログラムの発明)との間にも、少なくとも相違点3及び4が存在するものと認めるのが相当である。
(イ) 当業者が少なくとも相違点4に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(2)エのとおりである。
(ウ) 以上のとおりであるから、本件発明1-10について、被控訴人らの乙49公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
ウ 乙48公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について
(ア) 前記(1)ウのとおり、本件発明1-9と乙48公報に記載された発明(プログラムの発明)との間には、少なくとも相違点5及び6が存在するから、本件発明1-10と乙48公報に記載された発明(プログラムの発明)との間にも、少なくとも相違点5及び6が存在するものと認めるのが相当である。
(イ) 当業者が少なくとも相違点6に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(3)エのとおりである。
(ウ) 以上のとおりであるから、本件発明1-10について、被控訴人らの乙48公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
エ 乙65公報を主引用例とする新規性欠如又は進歩性欠如について
(ア) 前記(1)エのとおり、本件発明1-9と乙65公報に記載された発明(プログラムの発明)との間には、少なくとも相違点8及び9が存在するから、本件発明1-10と乙65公報に記載された発明(プログラムの発明)との間にも、少なくとも相違点8及び9が存在するものと認めるのが相当である。
(イ) 当業者が少なくとも相違点9に係る本件発明1-1の構成を得ることができなかったことは、前記10(5)エのとおりである。
(ウ) 以上のとおりであるから、本件発明1-10について、被控訴人らの乙65公報を主引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如の主張は、いずれも理由がない。
13 争点6-4(本件発明1につき特許請求の範囲の記載はサポート要件に違反するか)について
(1) 特許請求の範囲の記載がサポート要件を満たすか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくても当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断するのが相当である(知財高裁平成17年(行ケ)第10042号同年11月11日特別部判決・判時1911号48頁参照)。
これを本件についてみると、前記1(2)のとおり、本件発明1は、コメントそのものが動画に含まれるものではなく、動画に対しユーザが書き込んだものであることを把握可能にし、コメントの読みにくさを低減させる効果を奏するものであることからすると、本件発明1は、コメントそのものが動画に含まれるものではなく、動画に対しユーザが書き込んだものであることを把握可能にすることを課題の一つとするものと認められる。そして、本件発明1に係る特許請求の範囲の記載及び本件明細書1の発明の詳細な説明の記載によると、本件発明1は、「前記第2の表示欄のうち、一部の領域が前記第1の表示欄の少なくとも一部と重なっており、他の領域が前記第1の表示欄の外側にあり、」との構成(構成要件1-1E)及び「前記コメント表示部は、前記読み出したコメントの少なくとも一部を、前記第2の表示欄のうち、前記第1の表示欄の外側であって前記第2の表示欄の内側に表示する」との構成(構成要件1-1F)を備えることにより、ユーザにとって、コメントの少なくとも一部が動画の外側に存在するように見え、これにより、コメントそのものが動画に含まれるものではなく、動画に対しユーザが書き込んだものであることを把握可能にする発明であるといえるから、当業者は、本件明細書1の発明の詳細な説明の記載により、本件発明1の上記課題を解決できると認識できると認めるのが相当である。
したがって、本件発明1について、特許請求の範囲の記載は、サポート要件を満たすというべきである。
(2) 被控訴人らは、当業者が本件発明1の上記課題を解決できると認識できるのであれば、本件発明1は新規性又は進歩性を欠くことになる旨の主張をするが、当業者が本件発明1の課題を解決できると認識できるのは、本件明細書1の発明の詳細な説明の記載に接したからであって、そのことと本件発明1に新規性及び進歩性があることとは、何ら矛盾するものではない。被控訴人らの上記主張を採用することはできない。
(3) 以上のとおりであるから、本件発明1につき特許請求の範囲の記載がサポート要件を欠くとの被控訴人らの主張は、理由がない。
14 争点4(被控訴人FC2の行為は不法行為を構成するか)及び争点5(被控訴人HPSの行為は不法行為を構成するか)について
(1) 認定事実
掲記の証拠及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
ア 被控訴人FC2は、Aにより、平成11年7月20日、米国ネバダ州法に基づいて設立された。Aは、設立以来現在に至るまで、被控訴人FC2の実質的な代表者の地位にある。(甲15、57、64、65、74)
イ Aの実弟であるBは、Aの助言を受け、平成14年1月21日、被控訴人FC2の日本における業務代行拠点として、被控訴人HPSを設立し(設立当時の商号・有限会社ホームページシステム(平成20年1月25日商号変更))、その代表取締役に就任した。平成21年8月、C(被控訴人HPSの設立の当時、Bの実家でアルバイトをしていたが、Bの勧誘により被控訴人HPSの従業員となった者)がBに代わって被控訴人HPSの代表取締役に就任し、Bは、同月以降、被控訴人HPSの実質的な相談役の地位にあった。なお、現在の被控訴人HPSの代表取締役は、Bである。被控訴人HPSは、設立以来、インターネットサイトであるFC2に関連するウェブサービス(以下「FC2サービス」という。)を事業の核とし、FC2サービスに係るブログ、無料ホームページ、動画及びライブのシステム開発、サーバの保守管理、ユーザサポート、広告枠の販売等の業務を行っていた。被控訴人HPSの経営や業務に関しては、A、B及びCが意思決定権限を有していた。(甲11、15、57、58、64、65、75)
ウ 被控訴人HPSは、平成17年9月29日、指定役務を「ホームページ又はウェブサイト上における広告スペースの貸与」等として、「FC2」の文字を横書きにして成る商標(以下「本件商標」という。)につき商標登録出願をした。その出願手続において、特許庁審査官は、被控訴人HPSに対し、本件商標は被控訴人FC2がコンピュータサイトのホスティングについて使用している「FC2」の文字から成るので、本件商標を被控訴人FC2と関係のない被控訴人HPSが自己の商標として採択使用するのは穏当でなく、本件商標は商標法4条1項7号に該当する旨の拒絶理由通知を発した。これに対し、被控訴人HPSは、特許庁審査官に対し、被控訴人HPSは被控訴人FCとの間で業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結しており、両会社に経済的な関係があるのは明らかであるし、また、被控訴人FC2は本件業務委託契約において、被控訴人HPSが本件商標に係る商標権を取得することに同意しているから、被控訴人HPSが本件商標に係る商標登録を受けることにつき正当な地位にあることは明らかであるとの意見を述べた。結局、被控訴人HPSは、平成18年6月30日、本件商標に係る商標登録を受けた。なお、被控訴人HPSは、被控訴人FC2に対し、平成27年4月20日、本件商標に係る商標権を譲渡した。(甲18、乙97の1ないし5、乙98)
エ 本件業務委託契約には、次の定めがある(甲18)。
(ア) 被控訴人FC2は、被控訴人FC2のプログラム開発業務及びそれに付随する一切の業務の全部又は一部を被控訴人HPSに委託し、被控訴人HPSは、これを受託する。
(イ) 被控訴人HPSは、自社の責任において、委託業務の全部又は一部について、第三者に再委託できるものとする。
(ウ) 被控訴人FC2は、機械処理に関連して被控訴人HPSが開発し、使用する処理仕様及びプログラムに関する著作権等の権利について、被控訴人HPSが権利者であることを確認する。
(エ) 被控訴人FC2は、被控訴人HPSが商標「FC2」につき、商標登録出願を行い、商標権を取得することに異議なく同意する。
(オ) 本件業務委託契約の有効期間は、本件業務委託契約締結の日から1年とする。ただし、期間満了の日から3か月前までに被控訴人FC2又は被控訴人HPSのいずれから何ら申出のないときは、同一条件をもって更に1年延長されるものとし、以後も同様とする。
オ Cは、平成18年9月16日、「fc2.jp」のドメイン名につき、自己名義での登録をした(甲20)。
カ 被控訴人FC2は、平成19年11月、インターネットを介し、我が国に在住するユーザに対して、被控訴人らサービス1(被控訴人HPSが開発した被控訴人らプログラム1に係るもの)の提供を開始した(甲9)。
キ 被控訴人HPSの従業員は、少なくとも平成20年頃まで、取引先に対し、被控訴人FC2の従業員を名乗るよう指示され、被控訴人FC2の実質的な代表者であるAを「社長」と呼び、BやCのみならず、Aに対しても、業務内容を直接報告していた(甲15、57)。
ク A及びBは、平成21年、被控訴人HPSの従業員に対し、FC2サービスであるFC2ライブやチャット等の新機能の開発を指示した(甲15、57)。
ケ 被控訴人FC2は、平成22年12月28日、被控訴人らサービス2を第三者から譲り受け、平成23年1月、インターネットを介し、我が国に在住するユーザに対して、被控訴人らサービス2の提供を開始した(甲9、乙87)。
コ A及びBは、平成23年頃、被控訴人HPSの従業員に対し、FC2ライブの不具合を修正するよう指示したほか、視聴制限数の変更、サーバの変更等、FC2サービスの管理・運営に係る重要事項について、被控訴人HPSの従業員から逐一報告を受け、これに対して助言し、承認するなどしていた(甲15、57)。
サ 被控訴人FC2は、平成23年6月1日、被控訴人らサービス3をDから譲り受け、同月、インターネットを介し、我が国に在住するユーザに対して、被控訴人らサービス3の提供を開始した(甲9、乙88)。
シ A、B及びCは、平成24年2月、無修正のわいせつ動画の投稿者及び配信者の情報を今後も捜査機関に回答するか否かや、FC2サービスに係るサイトに法律を守るように要請する警告文を表示するか否かなどのFC2サービスの運営に係る事項につき協議した。平成25年に入っても、被控訴人HPSの従業員は、A、B及びCに対し、警察からの捜査関係事項照会依頼についての報告を続けていた。(甲15、57)
ス 被控訴人HPSは、平成24年4月から同年6月にかけてのFC2サービスに係る広告メディアガイドを作成した(甲14)。
セ 被控訴人HPSの従業員は、仕事で用いるメールアドレスとして、少なくとも平成25年4月30日頃まで、「fc2.us」又は「fc2.co.jp」のドメイン名のあるものを使用していた(甲15、57)。
ソ 少なくとも平成25年から平成26年にかけて、被控訴人HPSのサポートチームは、被控訴人らサービス1について、管理画面を用いて児童ポルノ等に係るコンテンツを削除するなどし、被控訴人HPSの従業員は、捜査機関から被控訴人FC2宛てにFC2サービスに投稿された無修正のわいせつ動画の投稿者等に関する照会があった際、これを受け付け、FC2事務局を名乗ってこれに回答し、また、弁護士や捜査機関からのFC2事務局宛てのメールや照会に対して対応し、さらに、FC2サービスの利用者が取得したポイントの換金業務を行うとともに、FC2サービスの運営による売上げ等を集計し、月次報告書にまとめるなどしていた(甲15、57)。
タ 被控訴人FC2は、被控訴人HPSとの間で、平成27年4月1日、被控訴人FC2がインターネットを通じて提供するサービスに関するソフトウェア又はシステムの開発業務、ソフトウェアの保守業務、システムの保守業務及びコンサルティング業務を被控訴人HPSに委託し、被控訴人HPSがこれを受託する旨の各業務委託契約を締結した(乙90ないし93)。
チ 平成28年9月23日当時、被控訴人HPSは、求人サイトのインタビューに対し、被控訴人HPSの事業の核は被控訴人FC2が運営するFC2サービスであり、FC2サービスのほとんどが被控訴人HPSの開発によるものである、被控訴人HPSは平成14年の設立時から、FC2サービスの開発に携わり続け、平成28年9月23日当時、企画から開発、デザイン、翻訳、カスタマサポートまで、ワンストップで提供する開発会社となっている、被控訴人HPSは「FC2」を広告媒体とするメディアレップ事業も行い、「FC2」の成長と共に急成長を果たしてきた、この状況はしばらく変わらないと考えているなどと述べていた(甲10の1及び2)。
ツ 平成28年9月23日当時、被控訴人HPSは、その事業内容を「FC2サービスのWEBデザイン・開発等及び、ホームページ管理」、「FC2サービスのWEBデザイン・開発及び、広告枠販売」などとして求人募集をしていた。また、同日当時、被控訴人HPSは、その求人広告に、「「FC2」サービスのWebデザイナー」、「FC2から委託を受けて開発しています」、「FC2サービスのWEBページ・モバイルページ作成、サイト設計・改善などをお任せ致します」、「「FC2,inc.」が展開している日本向け各サービスの企画~開発に携わっていただきます」、「「FC2」サービスのWeb開発エンジニア」などと記載していた。(甲12の1ないし6、甲13)
テ 平成29年10月当時、被控訴人HPSは、その求人広告に、「当社が米国FC2社より委託され企画開発しているWebサービスの開発におけるネットワーク及びサーバの設計・構築、改善業務について、これまでの経験に応じたポジションをお任せします」、「「FC2」が提供する、ブログや動画、ライブなどのWebサービスの企画~開発を行う当社。既存サービスの改善や、ユーザーの声を反映させた新サービスの開発に携わっていただきます」、「FC2サービスにて、スマートフォンアプリの開発に携わって頂きます」、「「FC2」サービスにて、ソーシャルゲームの開発に携わって頂きます」、「FC2サービスにて、様々なデザイン業務に携わって頂きます」、「FC2…を利用する約1800万人を超えるお客様と一緒にサービスを育てていくお仕事です。仕事内容は大きく分けて、サービス利用者様からのお問い合わせを対応するカスタマーサポート業務とサービスの企画・改善を行うプロジェクトマネージャー業務です」、「米国FC2社のWebサービスのサイト翻訳がメインのお仕事です」、「米国FC2社の取り扱う、FC2サービスの広告枠を販売するのがメインの仕事」などと記載した。(甲19の1ないし9)
ト 被控訴人FC2は、SN社に対し、令和2年9月25日、被控訴人らサービス2及び3に係る事業を譲渡した(乙99の1及び2、乙100)。
(2) 上記(1)のとおりの被控訴人らの設立の経緯、被控訴人らの代表者又は実質的な代表者の人的関係、被控訴人HPSの業務に占めるFC2サービスの位置付け、被控訴人HPSがFC2サービスに関して行った業務の内容、FC2サービスの管理・運営やこれに係る意思決定の在り方、本件商標に係る商標権の帰属、本件業務委託契約の内容、被控訴人FC2の会社名を記載したドメイン名の登録・使用状況、被控訴人HPSの従業員のAに対する対応、被控訴人HPSの従業員の対外的な対応、被控訴人HPSが求人サイトのインタビューに対して述べた内容、被控訴人HPSが求人広告に記載した内容等に照らすと、被控訴人HPSは、被控訴人FC2の日本における拠点ないし一部門として設立され、被控訴人FC2からFC2サービスに係る業務を全面的に委託され、対外的には被控訴人FC2を名乗りながらこれを遂行する一方、被控訴人FC2は、被控訴人HPSの従業員を介してFC2サービスに係る業務を管理・運営し、被控訴人HPSの経営及び業務、FC2サービスの運営等に係る意思決定権限を有していたといえ、そのような体制の中で、被控訴人HPSは、被控訴人らプログラム1の開発、被控訴人ら各サービスの運営等に従事してきたのであるから、被控訴人らは、互いに意思を通じ合い、相互の行為を利用し、共同して被控訴人らプログラム1を開発し、被控訴人ら各サービスを運営するなどしてきたものと認めるのが相当である。そうすると、被控訴人らは、民法719条1項により、控訴人に対し、被控訴人らの後記不法行為について、これらにより控訴人に生じた損害を連帯して賠償する責任を負うというべきである。
(3) 被控訴人らは、証拠(丙8の1ないし6、丙10ないし14)を根拠に、被控訴人HPSは平成27年4月以降FC2サービスに関連する業務を行っていないと主張する。
しかしながら、本件業務委託契約によると、被控訴人HPSには再委託の自由が認められていること(前記(1)エ(イ))、丙10及び11の各メールは、平成27年3月をもって本件業務委託契約が終了することを確定的に述べるものではないこと、被控訴人HPSは、被控訴人FC2との間で、平成27年4月1日に改めて各業務委託契約を締結していること及びその内容(前記(1)タ)、被控訴人HPSが平成28年9月23日当時に求人サイトのインタビューに対して述べていた内容(前記(1)チ)並びに被控訴人HPSが同日当時及び平成29年10月当時に求人広告に記載していた内容(前記(1)ツ及びテ)に照らすと、被控訴人HPSの従業員数の減少の事実(丙8の1ないし6)、被控訴人HPSの売上げの減少の事実(丙13の1ないし3、丙14の1ないし3)及び被控訴人FC2が被控訴人HPSに対し平成29年5月30日に同年8月31日をもって業務委託契約(ドメインに関する業務に係る部分を除く。)を終了させる旨の意思表示をしたこと(丙12の1及び2)を考慮してもなお、被控訴人FC2と被控訴人HPSとの間の業務委託契約が終了したと認めることはできず、その他、そのような事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって、被控訴人らの上記主張を採用することはできない。
(4) 被控訴人らの不法行為
ア 被控訴人ら各プログラムの電気通信回線を通じた提供
(ア) 前記(1)及び(2)のとおり、被控訴人らは、共同して日本国内に所在するユーザに対し、被控訴人ら各プログラム(令和2年9月25日以降は被控訴人らプログラム1。以下同じ。)を配信している。
(イ)a この点に関し、証拠(乙107、乙108の1ないし4、乙109の1ないし3、乙110、乙111の1ないし5、乙112の1ないし3、乙113)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人ら各プログラムは、米国内に存在するサーバから日本国内に所在するユーザに向けて配信されるものと認められるから(以下、被控訴人ら各プログラムを日本国内に所在するユーザに向けて配信することを「本件配信」という。)、被控訴人ら各プログラムに係る電気通信回線を通じた提供(以下、単に「提供」という。)は、その一部が日本国外において行われるものである。そこで、本件においては、本件配信が準拠法である日本国特許法にいう「提供」に該当するか否かが問題となる。
b 我が国は、特許権について、いわゆる属地主義の原則を採用しており、これによれば、日本国の特許権は、日本国の領域内においてのみ効力を有するものである(最高裁平成7年(オ)第1988号同9年7月1日第三小法廷判決・民集51巻6号2299頁、前掲最高裁平成14年9月26日第一小法廷判決参照)。そして、本件配信を形式的かつ分析的にみれば、被控訴人ら各プログラムが米国の領域内にある電気通信回線(被控訴人ら各プログラムが格納されているサーバを含む。)上を伝送される場合、日本国の領域内にある電気通信回線(ユーザが使用する端末装置を含む。)上を伝送される場合、日本国の領域内でも米国の領域内でもない地にある電気通信回線上を伝送される場合等を観念することができ、本件通信の全てが日本国の領域内で完結していない面があることは否めない。
しかしながら、本件発明1-9及び10のようにネットワークを通じて送信され得る発明につき特許権侵害が成立するために、問題となる提供行為が形式的にも全て日本国の領域内で完結することが必要であるとすると、そのような発明を実施しようとする者は、サーバ等の一部の設備を国外に移転するなどして容易に特許権侵害の責任を免れることとなってしまうところ、数多くの有用なネットワーク関連発明が存在する現代のデジタル社会において、かかる潜脱的な行為を許容することは著しく正義に反するというべきである。他方、特許発明の実施行為につき、形式的にはその全ての要素が日本国の領域内で完結するものでないとしても、実質的かつ全体的にみて、それが日本国の領域内で行われたと評価し得るものであれば、これに日本国の特許権の効力を及ぼしても、前記の属地主義には反しないと解される。
したがって、問題となる提供行為については、当該提供が日本国の領域外で行われる部分と領域内で行われる部分とに明確かつ容易に区別できるか、当該提供の制御が日本国の領域内で行われているか、当該提供が日本国の領域内に所在する顧客等に向けられたものか、当該提供によって得られる特許発明の効果が日本国の領域内において発現しているかなどの諸事情を考慮し、当該提供が実質的かつ全体的にみて、日本国の領域内で行われたものと評価し得るときは、日本国特許法にいう「提供」に該当すると解するのが相当である。
c これを本件についてみると、本件配信は、日本国の領域内に所在するユーザが被控訴人ら各サービスに係るウェブサイトにアクセスすることにより開始され、完結されるものであって(甲3ないし5、44、46、47、丙1ないし3)、本件配信につき日本国の領域外で行われる部分と日本国の領域内で行われる部分とを明確かつ容易に区別することは困難であるし、本件配信の制御は、日本国の領域内に所在するユーザによって行われるものであり、また、本件配信は、動画の視聴を欲する日本国の領域内に所在するユーザに向けられたものである。さらに、本件配信によって初めて、日本国の領域内に所在するユーザは、コメントを付すなどした本件発明1-9及び10に係る動画を視聴することができるのであって、本件配信により得られる本件発明1-9及び10の効果は、日本国の領域内において発現している。これらの事情に照らすと、本件配信は、その一部に日本国の領域外で行われる部分があるとしても、これを実質的かつ全体的に考察すれば、日本国の領域内で行われたものと評価するのが相当である。
d 以上によれば、本件配信は、日本国特許法2条3項1号にいう「提供」に該当する。
なお、これは、以下に検討する被控訴人らのその余の不法行為(形式的にはその一部が日本国の領域外で行われるもの)についても当てはまるものである。
e 被控訴人らは、被控訴人ら各プログラムは米国内のサーバから自動的に配信されるものであり、提供行為は米国の領域内で完結しているから、本件配信は日本国特許法にいう「提供」に当たらない旨主張するが、上記説示したところに照らすと、これを採用することはできない。
(ウ) 以上のとおりであるから、被控訴人らは、本件配信をすることにより、被控訴人ら各プログラムの提供をしているといえる(特許法2条3項1号)。
イ 被控訴人ら各プログラムの提供の申出
被控訴人らは、被控訴人ら各サービス(令和2年9月25日以降は被控訴人らサービス1。以下同じ。)の提供のため、ウェブサイトを設けて多数の動画コンテンツのサムネイル又はリンクを表示しているところ(甲3ないし5)、これは、「提供の申出」に該当する(特許法2条3項1号)。
ウ 被控訴人ら各装置の生産
被控訴人らは、被控訴人ら各サービスの提供に際し、インターネットを介して日本国内に所在するユーザの端末装置に被控訴人ら各プログラムを配信しており、また、被控訴人ら各プログラムは、ユーザが被控訴人ら各サービスのウェブサイトにアクセスすることにより、ユーザの端末装置にインストールされるものである(前記3(2)イ、被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容)。そうすると、被控訴人らによる本件配信及びユーザによる上記インストールにより、被控訴人ら各装置(令和2年9月25日以降は被控訴人ら装置1。以下同じ。)が生産されるものと認められる。
そして、被控訴人ら各サービス、被控訴人ら各プログラム及び被控訴人ら各装置の内容並びに弁論の全趣旨に照らすと、被控訴人ら各プログラムは、被控訴人ら各装置の生産にのみ用いられる物であると認めるのが相当であり、また、被控訴人らが業として本件配信を行っていることは明らかであるから、被控訴人らによる本件配信は、特許法101条1号により、本件特許権1を侵害するものとみなされる。
エ 被控訴人ら各装置の使用
上記ウのとおり、被控訴人ら各プログラムは、ユーザが被控訴人ら各サービスのウェブサイトにアクセスすることにより、ユーザの端末装置にインストールされるものであるし、被控訴人ら各装置を本件発明1の作用効果を奏する態様で用いるのは、動画やコメントを視聴するユーザであるから、被控訴人ら各装置の使用の主体は、ユーザであると認めるのが相当である。控訴人が主張するように被控訴人ら各装置の使用の主体が被控訴人らであると認めることはできない。
オ 被控訴人ら各プログラムの生産(端末装置における複製)
控訴人は、本件配信によりユーザの端末装置上に被控訴人ら各プログラムが複製され、これをもって、被控訴人らは被控訴人ら各プログラムを生産していると主張する。しかしながら、上記ウのとおり、被控訴人ら各プログラムは、ユーザが被控訴人ら各サービスのウェブサイトにアクセスすることにより、ユーザの端末装置にインストールされるものであるから、ユーザの端末装置上において被控訴人ら各プログラムを複製している主体は、ユーザであると認めるのが相当である。控訴人の上記主張は、採用することができない。
カ 被控訴人ら各プログラムの生産(開発)
前記(1)カ及び(2)のとおり、被控訴人HPSは、被控訴人FC2と共同して、被控訴人らプログラム1を開発したものと認められるところ、これが被控訴人らプログラム1の生産に当たることは明らかである(特許法2条3項1号)。
他方、前記(1)ケ及びサのとおり、被控訴人FC2は、被控訴人らサービス2及び3を第三者から譲り受け、ユーザに対する提供を開始したものと認められ、その他、被控訴人らが被控訴人らプログラム2又は3を開発したものと認めるに足りる証拠はないから、被控訴人らプログラム2及び3については、被控訴人らがこれを生産したということはできない。
この点に関し、控訴人は、証拠(甲29の1及び2、30、36、37)を根拠に、被控訴人らは被控訴人らサービス2及び3につき各種機能の追加をしているのであるから、被控訴人らが被控訴人らプログラム2及び3の開発をしていることは明らかである旨主張する。しかしながら、これらの証拠により認められる被控訴人らサービス2及び3のアップデートの内容が本件発明1-9又は1-10の技術的範囲に属すると認めるに足りる証拠はないから、これらのアップデートをもって、被控訴人らが本件特許権1を侵害する態様で被控訴人らプログラム2又は3を開発したと認めることはできない。
キ 被控訴人ら各プログラムの生産(アップデートの際の複製)
控訴人は、被控訴人らは上記カのとおりの各種機能の追加を行う際、被控訴人ら各プログラムを複製して生産したと主張するが、被控訴人らがこれらのアップデートの際に本件特許権1を侵害する態様で被控訴人ら各プログラムを複製したものと認めるに足りる証拠はない。
ク 被控訴人ら各プログラムの譲渡及び譲渡の申出(被控訴人HPSによる被控訴人ら各プログラムの納品)
前記(1)によると、被控訴人HPSは、被控訴人らプログラム1を開発し、これを被控訴人FC2に納品したものと認められるが、前記(2)のとおり、被控訴人らが互いに意思を通じ合い、相互の行為を利用し、共同して被控訴人らプログラム1を開発し、被控訴人ら各サービスを運営するなどしてきたものと認められることに照らすと、被控訴人HPSが被控訴人FC2に対して被控訴人らプログラム1を納品する行為は、共同侵害者間の内部行為であると評価することができるから、これを独立した実施行為とみるのは相当でない。
なお、前記(1)ケ及びサのとおりであるから、被控訴人HPSが被控訴人FC2に対し被控訴人らプログラム2又は3を納品した事実を認めることはできない。
(5) 小括
以上によると、被控訴人らには、被控訴人らプログラム1の生産並びに被控訴人ら各プログラムの提供及び提供の申出を行うことによる本件特許権1の直接侵害と被控訴人ら各プログラムの提供を行うことによる本件特許権1の間接侵害が成立し、被控訴人らは、これらの侵害行為によって控訴人に生じた損害を連帯して賠償する責任を負うというべきである。
15 争点7(差止請求及び抹消請求の可否)について
(1) 前記14(4)のとおり、被控訴人らは、被控訴人らサービス1に関し、本件特許権1を侵害する者に該当する。
もっとも、前記14(4)のとおり、被控訴人らは、被控訴人ら装置1の生産又は使用をしている者ではなく、そのような行為に及ぶおそれがある者でもないと認められるから、この点については、被控訴人らが本件特許権1を侵害する者又は侵害するおそれがある者に該当するということはできず、被控訴人ら装置1の生産又は使用の差止請求は理由がない。
そうすると、被控訴人らサービス1については、被控訴人らに対し、被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め並びに被控訴人らプログラム1の抹消を命じるのが相当である。
(2)ア 前記14(1)トのとおり、被控訴人FC2は、SN社に対し、令和2年9月25日、被控訴人らサービス2及び3に係る事業を譲渡したものである。そうすると、現時点においては、被控訴人らがユーザに対し被控訴人らサービス2及び3の提供をするおそれはなくなったというべきであるから、被控訴人らサービス2及び3について、被控訴人らが本件特許権1を侵害する者又は侵害するおそれがある者に該当するということはできず、被控訴人ら装置2及び3の生産又は使用並びに被控訴人らプログラム2及び3の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止請求は理由がない。
もっとも、前記14(1)の事実及び弁論の全趣旨によると、被控訴人らが現時点においても被控訴人らプログラム2及び3を所持している蓋然性は高いと認められるから、侵害の予防のため、被控訴人らに対し、被控訴人らプログラム2及び3の抹消を命じるのが相当である。
イ 控訴人は、被控訴人らサービス2及び3の事業譲渡に係る契約書に多数の不備があることを根拠に、当該事業譲渡はされていない旨主張する。確かに、乙99の1の契約書には英文表記等の観点から幾つかの不備が認められるが、そのことのみをもって、当該事業譲渡の事実を否定することはできない。また、控訴人は、SN社が被控訴人らに対し被控訴人らサービス2及び3の再譲渡をする可能性があるとも主張するが、そのような事実を認めるに足りる証拠はない。したがって、控訴人のこれらの主張を採用することはできない。
(3) 以上によると、控訴人の被控訴人らに対する差止請求及び抹消請求は、被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め並びに被控訴人ら各プログラムの抹消の限度で認容するのが相当である。
なお、被控訴人らは、本件において認容される損害賠償請求の額に照らすと、控訴人が差止め及び抹消を求めることは権利の濫用に該当する旨主張する。しかしながら、当裁判所が認容する損害賠償請求の額(1億円及びこれに対する遅延損害金)に加え、被控訴人らによる本件特許権1の侵害の態様、現在における侵害の危険等にも照らすと、控訴人において差止め及び抹消を求めることが権利の濫用に該当すると評価することはできない。
また、被控訴人らは、被控訴人らサービス1のうちFLASH版に係るものについては、公開が停止されたため、これに係る差止め及び抹消を求めることはできない旨主張する。しかしながら、仮に、被控訴人らが被控訴人らサービス1のうちFLASH版に係るものの公開を停止したとしても、被控訴人らサービス1に関し、当裁判所が差止めを命じるのは、被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出であり、また、当裁判所が抹消を命じるのは、被控訴人らプログラム1であり、被控訴人らプログラム1は、別紙被控訴人らプログラム目録記載1のとおりに特定されるものであるところ、当該特定に当たり、FLASH版であるか否かは問題とされていないのであるから、差止め及び抹消を命じる主文1項(1)及び(2)の対象たる被控訴人らプログラム1からFLASH版に係るものを除外する必要はない。
16 争点8(損害の発生の有無及びその額)について
(1) 侵害が成立する時期
ア 前提事実(2)アのとおり、本件特許権1については、平成23年4月28日に設定登録がされた。
イ 前記14(1)カ、ケ、サ及びトのとおり、被控訴人らは、次の期間において、被控訴人ら各サービスをユーザに提供した。
(ア) 被控訴人らサービス1 平成19年11月から現在まで
(イ) 被控訴人らサービス2 平成23年1月から令和2年9月24日まで
(ウ) 被控訴人らサービス3 平成23年6月から令和2年9月24日まで
ウ 以上によると、被控訴人らによる本件特許権1の侵害が成立する時期は、次のとおりである。
(ア) 被控訴人らサービス1 平成23年4月28日から現在まで
(イ) 被控訴人らサービス2 平成23年4月28日から令和2年9月24日まで
(ウ) 被控訴人らサービス3 平成23年6月1日から令和2年9月24日まで
(2) 特許法102条2項に基づく損害額
ア 被控訴人らが被控訴人ら各サービスをユーザに提供したことによる被控訴人FC2の利益
(ア) 被控訴人らサービス1
a 平成23年4月28日から同月30日まで(3日) ●●●●●●●●円
乙106によると、平成23年4月の被控訴人らサービス1に係る売上げは、●●●●●●●●円であると認められるから、これに対する3日分の日割額は、●●●●●●●●●円(円未満切り捨て。以下同じ。)となる。
b 平成23年5月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●●●●●●●円
乙106によると、平成23年5月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス1に係る売上げは、●●●●●●●●●●●●●円であると認められる。
c 平成29年1月1日から同月26日(被控訴人HPSに対する訴状送達の日の翌日)まで(26日) ●●●●●●●●●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス1に係る売上げは、●●●●●●●●●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●●●●●●●●●円となる。
d 小計 ●●●●●●●●●●●円
(イ) 被控訴人らサービス2
a 平成23年4月28日から同月30日まで(3日) ●●●●●●円
乙106によると、平成23年4月の被控訴人らサービス2に係る売上げは、●●●●●●●円であると認められるから、これに対する3日分の日割額は、●●●●●●円となる。
b 平成23年5月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●●●●●円
乙106によると、平成23年5月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス2に係る売上げは、●●●●●●●●●●●円であると認められる。
c 平成29年1月1日から同月26日まで(26日) ●●●●●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス2に係る売上げは、●●●●●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●●●●●円となる。
d 小計 ●●●●●●●●●●●円
(ウ) 被控訴人らサービス3
a 平成23年6月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●●●●●円
乙106によると、平成23年6月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス3に係る売上げは、●●●●●●●●●●●円であると認められる。
b 平成29年1月1日から同月26日まで(26日) ●●●●●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス3に係る売上げは、●●●●●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●●●●●円となる。
c 小計 ●●●●●●●●●●●円
(エ) 合計 ●●●●●●●●●●●●●円
イ 被控訴人HPSが被控訴人FC2に対し被控訴人ら各プログラムを譲渡したことによる被控訴人HPSの利益
前記14(1)及び(4)クのとおり、被控訴人HPSが被控訴人FC2に対し被控訴人らプログラム2及び3を譲渡した事実はないし、被控訴人HPSが被控訴人FC2に対し被控訴人らプログラム1を譲渡した行為を独立した実施行為とみるべきではないから、特許法101条2項による損害額を算定するに当たり、これらに係る売上げを計上するのは相当でない。
ウ 上記アの売上げから控除すべき利益
被控訴人らが主張するサーバーインフラ費用(サーバー代、サーバーの回線使用料)及び動画の配信等に貢献した者に対して支払う報酬は、その性質及び内容(乙106)に照らし、被控訴人ら各サービスの提供に直接関連して追加的に必要となった経費に該当すると認めるのが相当である。
(ア) 被控訴人らサービス1
a 平成23年4月28日から同月30日まで(3日) ●●●●●●●円
乙106によると、平成23年4月の被控訴人らサービス1に係る経費は、●●●●●●●●円であると認められるから、これに対する3日分の日割額は、●●●●●●●円となる。
b 平成23年5月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●●●●●●円
乙106によると、平成23年5月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス1に係る経費は、●●●●●●●●●●●●円であると認められる。
c 平成29年1月1日から同月26日まで(26日) ●●●●●●●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス1に係る経費は、●●●●●●●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●●●●●●●円となる。
d 小計 ●●●●●●●●●●●●円
(イ) 被控訴人らサービス2
a 平成23年4月28日から同月30日まで(3日) ●円
乙106によると、平成23年4月の被控訴人らサービス2に係る経費は、●円であると認められるから、これに対する3日分の日割額は、●円となる。
b 平成23年5月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●円
乙106によると、平成23年5月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス2に係る経費は、●●●●●●●円であると認められる。
c 平成29年1月1日から同月26日まで(26日) ●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス2に係る経費は、●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●円となる。
d 小計 ●●●●●●●円
(ウ) 被控訴人らサービス3
a 平成23年6月1日から平成28年12月31日まで ●●●●●●●円
乙106によると、平成23年6月1日から平成28年12月31日までの被控訴人らサービス3に係る経費は、●●●●●●●円であると認められる。
b 平成29年1月1日から同月26日まで(26日) ●●●円
乙106によると、平成29年1月の被控訴人らサービス3に係る経費は、●●●円であると認められるから、これに対する26日分の日割額は、●●●円となる。
c 小計 ●●●●●●●円
(エ) 合計 ●●●●●●●●●●●●円
エ 上記ア(エ)から上記ウ(エ)を控除した額 ●●●●●●●●●●●●●円
オ 推定の覆滅 99%
(ア) 被控訴人ら各サービスにおいて、コメントの少なくとも一部が第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側に表示される動画の割合
証拠(乙104)及び弁論の全趣旨によると、令和3年1月11日現在で被控訴人らサービス1において公開されていた動画の数は、851万5948本であると認められる。
これに対し、被控訴人らは、上記851万5948本の動画のうち第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側にコメントが表示され得る動画(動画が表示される領域の左右又は上下に黒い余白が生じる動画)の数は、控訴人が立証した30本(甲42)にすぎないと主張し、特に、被控訴人らサービス1において公開されているアダルト動画については、大半の動画で上記余白が生じない旨の証拠(乙102)を提出するが、控訴人は、サンプル調査その他の方法によりどの程度の割合の動画において上記余白が生じるのかについての特段の立証をしない。
以上によると、被控訴人ら各サービスにおいて、公開されている全動画のうち第1の表示欄の外側であって第2の表示欄の内側にコメントが表示され得る動画の割合は、非常に小さいと推認するのが相当である。
(イ) 被控訴人ら各サービスにおいて、コメントが付される動画の割合
上記(ア)のとおり、令和3年1月11日現在で被控訴人らサービス1において公開されていた動画の数は、851万5948本であるが、証拠(乙103、104)及び弁論の全趣旨によると、被控訴人らサービス1に投稿される動画は、アダルト動画が多く、かつ、アダルト動画にはコメントが付されないことが多いことなどから、上記公開されている動画851万5948本のうちコメントが付された動画の数は、同日現在で22万0617本にとどまるものと認められる。
これによると、コメントが付された動画の割合は、約2.59%となる。
(ウ) 検討
前記1(2)において説示したとおり、本件発明1は、動画を第1の表示欄に再生させた上、コメントの少なくとも一部を第1の表示欄と一部のみが重なる第2の表示欄の内側であり、かつ、第1の表示欄の外側に表示させることにより、コメントそのものが動画に含まれるものではなく、動画に対しユーザが書き込んだものであることを把握可能にするとの作用効果を奏するものである。そうすると、コメントが第1の表示欄の外側であって、かつ、第2の表示欄の内側に表示されると認識される可能性のない動画、すなわち、被控訴人ら各サービスに即していえば、動画が表示される領域の左右又は上下に黒い余白が生じない動画は、本件発明1の上記作用効果を奏しないことになるから、そのような動画を生じさせる被控訴人ら各サービスによって得られた被控訴人らの利益の額を控訴人が受けた損害の額であると推定するのは相当でない。
他方、公開されている全ての動画のうちコメントが付されているものの割合が約2.59%であったとの事情について検討するに、被控訴人ら各サービスにおいては、ユーザは、動画に対してコメントを付すことができるのであって(被控訴人らが主張する被控訴人ら各サービスの内容)、そのような状態を作出すること自体が本件特許権1の侵害行為であるから、実際にユーザがコメント付与機能を用いず、コメントが付されなかった動画の割合が高いとしても、そのことをもって、特許法102条2項の推定を覆滅させる事情であるということはできない。
なお、被控訴人らは、本件発明1のコメント表示機能は全く顧客誘引力を有していないと主張する。上記(イ)のとおり、被控訴人らサービス1に投稿される動画にはアダルト動画が多く、アダルト動画にはコメントが付されないことが多いことが認められるから、そのような被控訴人らサービス1においては、コメント表示機能による顧客誘引力が一定程度減殺されるというべきである。
以上に加え、本件に現れた一切の事情を併せ考慮すると、本件において特許法102条2項の推定を覆滅する割合は、99%と認めるのが相当である。
カ 特許法102条2項による損害額 ●●●●●●●●●●●円(ただし、平成29年1月26日までの分)
前記エの額から99%を減じると、●●●●●●●●●●●●円となる。
(3) 弁護士費用
事案の難易、請求額、認容額、その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、被控訴人らの不法行為(ただし、平成29年1月26日までの損害額)と相当因果関係のある弁護士費用は、1000万円と認められる。
(4) 合計 ●●●●●●●●●●●円(ただし、平成29年1月26日までの損害額)
(5) 小括
以上によると、その余の点について判断するまでもなく、1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被控訴人FC2につき平成29年3月3日、被控訴人HPSにつき同年1月26日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める控訴人の損害賠償請求は、全部理由があることになる。
17 結論
よって、当裁判所の上記判断と一部異なる原判決は一部不当であるから、原判決を主文1項のとおり変更することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
(裁判長裁判官 本多知成 裁判官 浅井憲)
裁判官中島朋宏は、差し支えのため、署名押印することができない。裁判長裁判官 本多知成
別紙
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