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裁判年月日 令和 2年10月30日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ネ)307号
事件名
裁判結果 棄却 文献番号 2020WLJPCA10306001
裁判経過
第一審 平成31年 3月14日 福岡地裁小倉支部 判決 平25(ワ)1356号・平26(ワ)145号 九州朝高生就学支援金差別国家賠償請求事件
出典
裁判所ウェブサイト
裁判年月日 令和 2年10月30日 裁判所名 福岡高裁 裁判区分 判決
事件番号 平31(ネ)307号
事件名
裁判結果 棄却 文献番号 2020WLJPCA10306001
主文
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人番号1ないし67に対し,各自11万円及びこれに対する平成26年1月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,控訴人番号68に対し,11万円及びこれに対する平成26年2月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,学校法人X(以下「X」という。)が設置・運営するA(以下「A」という。)に生徒として在籍していた控訴人らが,Xが「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(平成25年法律第90号による改正前のもの。以下「支給法」という。)2条1項5号,「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則」(平成22年文部科学省令第13号(平成25年文部科学省令第3号による改正前のもの。以下「本件省令」という。)1条1項2号ハの規定(以下「本件省令ハ規定」という。)及び「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に係る法律施行規則第1条第1項第2号ハの規定に基づく指定に関する規程」(平成22年11月5日文部科学大臣決定。以下「本件規程」という。)14条1項に基づき,支給法に定める就学支援金の支給の対象となる支給対象外国人学校として指定することを求める旨の申請(以下「本件申請」という。)をしたのに対して,文部科学大臣が,平成25年2月20日付けで,① 本件省令ハ規定を削除したこと(以下「本件理由①」という。),及び② Aが本件規程13条に定める指定の基準に適合すると認めるに至らなかったこと(以下「本件理由②」という。)を理由として,Aについて支給対象外国人学校としての指定をしない旨の処分(以下「本件不指定処分」という。)をしたのは,国家賠償法上違法であり,それによって控訴人らの平等権及び中等教育・民族教育の授業料についての経済的援助を受ける権利等が侵害され,精神的苦痛を受けたなどと主張して,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,各自11万円(慰謝料10万円及び弁護士費用1万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日(控訴人番号1ないし67につき平成26年1月7日,控訴人番号68につき同年2月25日)から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ,控訴人らがこれを不服として控訴を提起した。
1 関係法令の定め等
本件の関係法令の定めは,【別紙3】「関係法令の定め」記載のとおりであり,支給法に基づく高等学校等就学支援金の支給制度の概要等は,次のとおりである。
(1) 支給法の目的及び制定理由
ア 目的
支給法は,公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに,公立高等学校以外の高等学校等の生徒等がその授業料に充てるために就学支援金の支給を受けることができることとすることにより,高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって,教育の機会均等等に寄与することを目的とするものである(支給法1条)。
イ 制定理由
高等学校等の後期中等教育段階の学校における教育に係る費用負担については,義務教育と異なり憲法上無償であることが要求されるものではなく,また,私立学校を含め一律に無償とすることは実際上困難であること等から,受益者である生徒等に授業料等の負担を求めることを原則としつつ,経済的理由により修学困難な者に対する奨学金事業の実施,公立高校における授業料減免,私立高校が行う授業料減免への補助等,主として低所得者層を対象として支援が行われてきた。
しかし,① 高等学校等における教育を受けるには授業料の他にも様々な費用がかかり,保護者には決して軽くない経済的負担を生じている現状があり,特に,近年の経済情勢の悪化に伴い,その負担が相対的に重くなっていることから,進学の意欲のある者が経済的理由で就学が困難となることがないよう,一層の教育費の負担軽減を図り,教育の機会均等を確保することが喫緊の課題となっていること,② 今日,高等学校等は,その進学率が約98%(平成20年度学校基本調査)に達し,国民的な教育機関となっており,その教育の効果は広く社会に還元されるものとなっていることに鑑みれば,高等学校等の教育に係る費用について社会全体で負担していくことが適当であると考えられること,③ 諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約中の中等教育における無償化の漸進的導入に関する条項(13条2(b))について留保しているのは締約国のうち日本とマダガスカルのみとなっている状況であり,これを撤回するための施策を展開していくことが求められていたこと等の状況の変化に伴い,全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込めるよう,高等学校等の教育に係る費用負担のあり方を見直し,受益者(個人)に応分の負担をさせるという考え方から,社会全体で負担するという考え方に重点を移して施策を進めることが国民的要請になっている。
支給法は,このような国民的要請に応え,高等学校等の授業料の実質無償化に向けた取組を進めるための施策の一環として,国が必要な経費を負担すること等により,公立高等学校について授業料を徴収しないこととするとともに,公立高等学校以外の高等学校等の生徒等が,その授業料に充てるために,高等学校等就学支援金の支給を受けることができることとするものである。
(乙2・3頁)
(2) 就学支援金の額
就学支援金は,受給資格を有する生徒に対して,① 原則として,公立高等学校の生徒等の授業料の負担軽減額と同額の月額9900円(年間11万8800円)を限度として支給し(支給法6条1項,公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令(平成25年政令第200号による改正前のもの)3条1項),② 支給対象高等学校等が同施行令4条1項に定める私立高校等である受給権者であって同条3項に定めるいわゆる低所得世帯のものについては,例外的に,その額を上記①において支給すべきものとされる額の1.5倍又は2倍とする(支給法6条2項,同施行令4条3項1号及び2号)。
(3) 支給法における就学支援金制度の仕組み等
ア 支給法における授業料実質無償化の枠組み
(ア) 支給法は,高等学校等(支給法2条1項)の授業料の実質無償化のための具体的な制度設計として,公立高等学校(同条2項)については,生徒が負担する授業料相当額に係る資金を国が地方公共団体に助成することにより授業料を徴収しないこととし(同法3条),一方で,公立高等学校以外の高等学校等(以下「私立高等学校等」という。同条3項)については,在学する生徒に対して就学支援金を支給し(同法4条1項),学校設置者がこれを代理受領して授業料に充てるものとした(同法8条)。
(イ) 支給法において前記(ア)のような2つの枠組みが採用されているのは,設置者や学校の種別に応じて,支給法制定の趣旨を実現する上で,最も合理的と思われる方法を採用したことによる。
すなわち,公立高等学校について,生徒が負担する授業料相当額の資金を国が地方公共団体に対して支給するとともに,地方公共団体が負担していた授業料減免相当額については引き続き地方公共団体が負担することによって,公立高等学校の授業料を不徴収とすることとされたのは,① 高等学校等の生徒の約7割を占め,我が国における高等学校教育の中核を担う公立高等学校については,支給法制定の趣旨を実現するため,授業料の無償化を確実に措置する必要性が高いこと,② 授業料の設定については,設置者である地方公共団体が権限を有するものの,広く地域住民に高等学校教育を提供する教育機関として,組織運営の実態やそれに関する経費に一定の共通性を有しており,実際にも,ほとんどの地方公共団体において,地方交付税単価に準拠して授業料を設定するなど,授業料の額にあまり差がないため,国が標準的な授業料額を設定して授業料の不徴収に必要な経費を措置することが比較的容易であること,③ 就学支援金を個人に支給する場合に比べ,受給資格の認定申請等の手続が不要になるなど,事務負担の軽減に資することによるものである。
他方,私立高等学校等については,① 建学の精神に基づいて特色ある教育を行っており,授業料設定も含め,その自主性を尊重する必要があること,② 平均授業料額が公立高等学校と比較して高く(平成21年度全日制授業料平均額35万4505円),国の支援により授業料の無償化を実現すれば多額の財政負担が生じることなどに鑑みると,公立高等学校と同様に授業料の不徴収を義務付けて,これに要する経費を国が措置することによる授業料の無償化を図ることは現実的に困難であったため,私立高等学校等の生徒等に公立高等学校の授業料の額に相当する就学支援金(低所得世帯の生徒については増額した額)を一律に支給することとし,学校設置者がこれを代理受領して授業料に係る債権の弁済に充てることにより,公立高等学校と同程度の負担軽減を図る方法が採られた。
(乙2・4頁)
イ 支給法における就学支援金制度の仕組み
(ア) 支給法は,① 私立高等学校等に在学する生徒又は学生で日本国内に住所を有する者に対し,当該私立高等学校等における就学について就学支援金を支給するものとし(支給法4条1項),② 上記の生徒等は,就学支援金の支給を受けようとするときは,本件省令で定めるところにより,その在学する私立高等学校等の設置者を通じて,当該私立高等学校等の所在地の都道府県知事に対し,当該私立高等学校等における就学について就学支援金の支給を受ける資格を有することについての認定を申請し,その認定を受けなければならないとする(同法5条)とともに,③ 国が就学支援金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付し(同法15条),都道府県知事が受給権者である生徒等に対して就学支援金を支給することとした上で(同法7条1項),④ 支給対象高等学校等の設置者は,受給権者である生徒等に代わって就学支援金を受領し,当該受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てるものとしている(同法8条)。(乙2・1~2頁)
(イ) 前記(ア)①のとおり,支給法における就学支援金制度を学校設置者に対する機関助成とせず,生徒等個人に対する助成としているのは,学校法人以外の者が設置する高等学校,専修学校,各種学校に通う生徒を含め,その在学する学校の設置者の種類や意向にかかわらず,より幅広く後期中等教育段階において学ぶ生徒に対して確実な支援をすることを可能とするためである。また,上記(ア)④のとおり,私立高等学校等の設置者が受給権者に代わって就学支援金を受け取り,これを授業料債権に充当する仕組みを採用した(支給法8条)のは,⒜ 支給法の目的(同法1条)を達するために,受給権者である生徒等個人に支給した「高等学校等就学支援金」が授業料以外に流用されることを防止する必要があること,⒝ 地方公共団体等を通じて受給権者である生徒等個人に直接支給する仕組みとする場合には事務的な負担が大きくなるため,極力これを抑制する合理的な仕組みとする必要があることによる。(乙2・4~5頁・11頁)
ウ 支給対象外国人学校について
(ア) 支給法2条1項5号,同条3項は,専修学校及び各種学校については,高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれるものと定め,これを受けて,本件省令1条1項2号は,「各種学校であって,我が国に居住する外国人を専ら対象とするもの」(以下「外国人学校」という。)のうち,① 高等学校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたものであって,文部科学大臣が指定したもの(同号イ),② 上記①に掲げるもののほか,その教育活動等について,文部科学大臣が指定する団体の認定を受けたものであって,文部科学大臣が指定したもの(同号ロ),③ 上記①②に掲げるもののほか,文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したもの(同号ハ(本件省令ハ規定))を,就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれる各種学校である外国人学校(以下「支給対象外国人学校」という。)としている。そして,本件省令ハ規定による支給対象外国人学校の指定の基準及び手続等を定めるものとして,本件規程が定められた。(甲A11,16)
(イ) ① 本件省令1条1項2号イは,大使館等を通じて日本の高等学校に対応する外国の学校と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられていうことが確認できるもの(いわゆる民族系外国人学校)を,② 同号ロは,国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(いわゆるインターナショナルスクール)を,それぞれ念頭に置いたものであり,大使館等の証明や国際的な評価機関による認証によって,高等学校の課程に類する課程を置くものであることが担保されるものを対象としたものである。
他方,上記①及び②のような制度的な担保のない外国人学校も存在し得るものと考えられたことから,③ 本件省令ハ規定は,そのような外国人学校については,その該当性の審査を文部科学大臣が個別に判断することとしたものである。
(甲A11,16,弁論の全趣旨)
2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお,書証は特に断らない限り枝番を含む。)
(1) 当事者等
控訴人らは,いずれも本件不指定処分がされた平成22年4月1日以降にAに在籍していた者である(なお,控訴人ら全員が平成25年2月20日の時点でAの在学生であったかどうかについては争いがある。)。(甲B1ないし42)
(2) Y等
Aを含むYは,昭和31年に福岡県知事から学校教育法134条2項,同法4条1項に規定する各種学校の認可を受けた,Xが設置運営する私立学校であり,学校教育法に基づき,同校の入学者に対し中学校及び高等学校に準じた民族教育を実施し,併せて日本及び朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」という。)両国の親善に寄与し得る人材の育成を目的としている。
なお,日本国内には,Y以外にも,「朝鮮学校」という名称を持ち,各都道府県知事から上記学校教育法に規定する各種学校の認可を受けた私立学校が複数存在しており,これらの学校を設置運営する法人は,高級部・高級学校に加え,初級部・初級学校又は中級部・中級学校も設置運営している(以下,A及び上記各法人が設置運営する各学校の高級部・高級学校を併せて「朝鮮高校」という。また,これらと,上記各法人が設置運営する初級部・初級学校又は中級部・中級学校とを併せて「朝鮮学校」という。)。
(甲A5,6,20の5の6,弁論の全趣旨)
(3) 本件申請
ア 文部科学大臣は,平成22年4月1日の支給法施行に伴い,本件省令ハ規定を含む本件省令を制定し,同省令は,同日,公布,施行された。(甲A3)
イ 文部科学大臣は,平成22年11月5日付けで,本件規程(【別紙3】「関係法令の定め」4項)を制定した。(甲A4)
ウ Xは,平成22年11月29日付けで,Aについて,本件規程14条1項に基づき,本件省令ハ規定に基づく支給対象外国人学校としての指定を受けるための申請(本件申請)をした。(甲A12,乙1)
エ 文部科学大臣は,平成25年2月20日付けで本件省令ハ規定の削除を内容とする「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成25年文部科学省令第3号)を制定し(以下「本件省令改正」という。),同省令は,同日,公布,施行された(同省令附則1条)。なお,改正前本件省令ハ規定による指定を受けている各種学校については,当分の間,なおその効力を有することとされた(同省令附則2条)。(乙35)
オ 文部科学大臣は,同日付けで,Aを含む朝鮮高校について,本件省令ハ規定に基づく指定をしない旨の処分(本件不指定処分)をした。Xに対して本件不指定処分を通知した同日付け書面には,本件不指定処分の理由として,① 本件省令ハ規定を削除したこと(本件理由①),及び② Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(本件理由②)を理由とする旨が記載されている。(甲A13)
(4) 控訴人らによる本件訴訟提起
控訴人番号1から67までは,平成25年12月19日,福岡地方裁判所小倉支部において,本件訴訟(平成25年(ワ)第1356号)を提起し,その訴状が,平成26年1月6日,被控訴人に送達された。
控訴人番号68は,平成26年2月15日,同裁判所において,本件訴訟(平成26年(ワ)第145号)を提起し,その訴状が,平成26年2月24日,被控訴人に送達された。なお,同事件の弁論は,上記平成25年(ワ)第1356号の弁論に併合された。
(裁判所に顕著)
3 主たる争点
(1) 本件不指定処分には国家賠償法1条1項の違法があるか(争点(1))。
ア 文部科学大臣がAについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとして本件不指定処分をしたことが支給法に違反するか(争点⑴ア)。
(ア) 本件規程13条の規定は,支給法2条1項5号,本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱するものとして違法,無効か(争点(1)ア(ア))。
(イ) Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は,重要な事実の基礎を欠き,又は判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとして,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法か(争点⑴ア(イ))。
イ 文部科学大臣が本件省令ハ規定を削除したとして本件不指定処分をしたことが支給法等に違反するか(争点⑴イ)。
(ア) 本件省令ハ規定の削除は,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものといえるか(争点⑴イ(ア))。
(イ) 本件省令ハ規定の削除は,支給法等に違反するか(争点⑴イ(イ))。
(2) 損害(争点⑵)
(3) 相互保証の有無(争点(3))
4 主たる争点に関する当事者の主張
(1) 争点⑴(本件不指定処分には国家賠償法1条1項の違法があるか。)について
ア 争点⑴ア(文部科学大臣がAについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとして本件不指定処分をしたことが支給法に違反するか。)について
(ア) 争点⑴ア(ア)(本件規程13条は,支給法2条1項5号,本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱するものとして違法,無効か。)について
【控訴人らの主張】
a 本件規程は,支給法2条1項5号の委任により定められた本件省令ハ規定における「文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるもの」との定めを受けて,その具体的な基準を定めるために設けられたものである。ここでいう「課程」は,学校教育法25条,33条,48条,52条及び66条所定の教育課程と同義と解すべきであり,法令に基づく適正な学校運営がされていること等の要件を定める本件規程13条は,これを逸脱している。
なお,本件規程13条の「高等学校等就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当」との定めは,就学支援金の学校等の設置者による代理受領を定めた支給法8条に関係する事柄であるところ,同条は下位規範への委任規定は設けていない。
b 本件規程13条は,本件省令ハ規定の指定を受けようとする外国人学校の申請者に対し,法令に基づく適正な学校運営がされていること等の要件を課すものであるところ,学校教育法の専修学校に関する条項や私立学校法には同様の要件を定めた規定はなく,本件省令1条1項2号イ又はロの他の外国人学校にもこのような要件を定めた規定もなく,本件省令ハ規定の外国人学校に対してのみ特別に加重された要件を課すものである。このような本件規程は,Aの生徒に不合理な差別を課すものであって,憲法14条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条2項及び人種差別撤廃条約1条2項に反する。
c 以上のとおり,本件規程13条は,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱し,憲法14条等にも反するものであって,違法,無効である。
【被控訴人の主張】
控訴人らの主張は,争う。
a 支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定が定める「高等学校の課程」とは,高等学校学習指導要領の「教育課程」と同義ではなく,教育内容,学校の組織及び運営体制を含む「教育そのもの」として,「教育課程」よりも広い概念とされていることは,学校教育関係法令上,「課程」と「教育課程」という語句を使い分けていることからも明らかである。
そうすると,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定が定める「高等学校の課程」とは,高等学校学習指導要領の「教育課程」に限らず,広く教育内容,学校の組織及び運営体制も含むものであることは明らかであり,本件規程13条は,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の委任の範囲において定められたものであって,適法である。
なお,支給法1条,8条等によれば,支給法は,法令に基づく学校の運営が適正に行われ,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われることを当然の前提として,当該支給対象高等学校等に就学支援金を交付するのであって,確実な弁済や法令に基づく学校の適正な運営が確実に行われることを確認できない教育施設に対して就学支援金を交付するような事態を想定していないことは明らかである。
b 本件規程13条は,就学支援金制度の対象となる外国人学校については,同じく同制度の対象となる学校であって財務関係を含む学校運営の適正を求める趣旨,内容を含む学校教育法及び私立学校法の各規定が適用される私立高等学校及び専修学校(高等課程)と同様に,就学支援金が授業料に係る債権の弁済として確実に充当されることが確認できる態勢等が整っていることが当然の要件となるものであり,この点を含めて高等学校の課程に類する課程を行うための学校運営が法令に基づく適正なものであり,国民の税負担によって授業料の負担を軽減するにふさわしいものであると確認できることが必要であるとの趣旨に基づくものである。そして,本件省令ハ規定は,本件省令1条1項2号イ又はロと異なり,「高等学校の課程に類する課程」を有するとの制度的担保がないことから,原則として支給対象外国人学校とはなれないものの,これを有することが認められる場合に例外的に支給対象校となることを認めるものであるから,法令に基づく適正な学校運営が行われることを含めて「高等学校の課程に類する課程」を有することが要件となる。したがって,本件規程は,本件省令ハ規定の外国人学校にのみ合理的な理由なく特別の加重な要件を課すものではない。
c 以上のとおり,本件規程13条は,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱するものではなく,憲法14条等に反するものでもなく,適法,有効である。
(イ) 争点⑴ア(イ)(Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は,重要な事実の基礎を欠き,又は判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとして,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法か。)について
【控訴人らの主張】
a 本件省令ハ規定は,本件省令1条1項2号イ又はロに当てはまらない外国人学校についても平等に適用できる余地を開く包括的規定であり,この規定によって教育の機会均等という支給法の目的を可及的に実現することが可能となる。このような趣旨等に鑑みれば,本件省令ハ規定の指定を受けようとする外国人学校ができる限り指定を受けやすいものとなるよう解釈すべきであり,文部科学大臣に裁量権を認めることはできないし,仮に認められるとしても,その範囲は限定的なものと解すべきである。
b 仮に,本件省令ハ規定の要件適合性について,文部科学大臣の判断に裁量権が認められるとしても,以下のとおり,Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は,重大な事実の基礎を欠き,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであり,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である。
⒜ 本件規程は,判断権者の主観的・恣意的な判断を排斥し,教育上の観点から客観的に判断を行うために制定されたものであり,判断権者の政治的,外交的意図や主観が入り込まないようにしなければならず,教育基本法16条1項の「不当な支配」という主観的な概念を本件規程13条の「法令」に読み込み,その判断に当たりこれを考慮することは許されない。そもそも,教育基本法16条1項は,国家権力や社会勢力等を名宛人として「不当な支配」を禁止するものであって,学校を名宛人とするものではないから,この点からも,本件規程13条の「法令」に教育基本法16条1項を読み込むことはできない。
また,教育基本法16条1項によって禁止される「不当な支配」は,「教育が…自主的に行われることを歪めるような『不当な支配』」(最高裁昭和43年(あ)第1614号同51年5月21日大法廷判決刑集30巻5号615頁)であるところ,Aは,自主的に運営されており,北朝鮮又は朝鮮総聯から教育の自主性を歪めるような「不当な支配」を受けてはいない。朝鮮学校は,日本による植民地支配により奪われた母国語・民族性を回復するために設立されたという歴史的沿革から,朝鮮総聯を含む支援者らから支援を受けて教育事業を行っているが,人事,財政及び教育内容のいずれの側面においても,教育機関としての独立性をもって,自身の判断で教育活動を行っている。報道や公安調査庁の調査結果等に基づき,朝鮮高校が「不当な支配」を受けていると判断するのは明らかに重大な事実の誤認であるし,朝鮮高校に対する各種の照会及びこれを踏まえた審査は,朝鮮高校の教育内容に過度に踏み込むものであって,合理性がない。
⒝ Aは,北九州市から継続的に補助金の交付がされていたところ,目的外流用に関する指摘をされたことがないし,財務諸表等の点でも問題は指摘されていない。このような点は,本件規程13条の適合性審査に当たり,重視されるべきである。
⒞ 支給法の趣旨からすれば,支給対象外国人学校の指定において,政治的,外交的配慮に基づき特定の教育施設を排除することは許されない。ところが,本件不指定処分をする際,B文部科学大臣(以下「B大臣」という。)は,朝鮮高校について,拉致問題の進展がないこと,朝鮮総聯と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から現時点での指定には国民の理解が得られないため,不指定の方向で進めたい旨の発言をしたのであって,明らかに考慮すべきでない政治的,外交的事項を考慮して本件不指定処分をしたものである。
【被控訴人の主張】
控訴人らの主張は,否認し,争う。
a 本件規程13条は,就学支援金が授業料に係る債権に確実に充当される学校であること,教育基本法等の関係法令に即した適正な学校運営をしている学校であることを指定の基準としており,その適合性判断は,その性質及び内容に照らし,専門的・技術的検討判断を伴うものであり,教育行政に通暁した文部科学大臣の裁量的判断に委ねられている。
b 文部科学大臣は,本件申請を受け,Aを含む朝鮮高校が本件規程13条に適合する学校であるか否かにつき審査を進めてきたところ,① 本件規程15条に基づき設置された「高等学校等就学支援金の支給に関する審査会」(以下「審査会」という。)において指定の可否が議論されたが,本件規程13条に適合するとの意見は出されなかったこと,② 文部科学大臣が上記審査会における審査と並行して行った調査によれば,朝鮮学校側から,その役職員が朝鮮総聯の協力を得たり,朝鮮総聯傘下の団体に加入して活動したりしていることがうかがわれる回答内容があったこと,③ 公安調査庁の調査や朝鮮総聯のホームページの内容等から,朝鮮学校に対する北朝鮮や朝鮮総聯の影響力は否定できず,その関係性が教育基本法16条1項で禁止する「不当な支配」に当たらないことや法令に基づく適正な学校運営がされていることについての十分な確証を得ることができなかったことから,本件規程13条の基準に適合するものと認めるには至らないと判断した。
このような文部科学大臣の判断に不合理な点はなく,重要な事実の基礎を欠き,又は考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとはいえない。したがって,Aが本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法なものとはいえはない。
イ 争点(1)イ(文部科学大臣が本件省令ハ規定を削除したとして本件不指定処分をしたことが支給法等に違反するか。)について
(ア) 争点(1)イ(ア)(本件省令ハ規定の削除は,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものといえるか。)について
【控訴人らの主張】
本件不指定処分の理由は,B大臣の会見の内容などからすれば,本件省令ハ規定を削除したこと(本件理由①)であり,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(本件理由②)ではない。
本件省令ハ規定の削除は,それによって本件不指定処分がされたことで,控訴人らが,就学支援金の支給を受けられなくなっただけでなく,① 控訴人らの人格権及び民族に対する尊厳を侵害し,② 控訴人らの民族教育を受ける権利を侵害するものである。また,③ 本件申請について審査会の審査が適正に行われていれば,支給対象外国人学校に指定される可能性が残されていたが,本件省令ハ規定の削除は,その判断を受ける機会を将来にわたって奪ったのであり,控訴人らの適正な審査,判断を受ける権利を侵害するものであり,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものである。
【被控訴人の主張】
控訴人らの主張は,否認し,争う。
国家賠償法1条1項の違法は,当該個別の国民の権利又は法的利益に対する侵害があることを前提としており,控訴人らに,同法の保護が得られる具体的な権利又は法的利益が存在しない場合には,公権力の行使に当たる公務員の職務行為が国家賠償法上違法となる余地はない。
そして,本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったとの文部科学大臣の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認められる余地がない以上,本件不指定処分は適法であり,Aは支給対象外国人学校とはなり得なかったのであるから,控訴人らは,就学支援金の受給権を有しないことはもちろん,その受給を期待し得る地位にもなかったというほかない。
(イ) 争点(1)イ(イ)(本件省令ハ規定の削除は,支給法等に違反するか。)について
【控訴人らの主張】
a 本件省令ハ規定の削除は,本件省令1条1項2号イ又はロに当てはまらない外国人学校や新たに設立された外国人学校が就学支援金制度を利用する途を完全に閉ざすものである。本件省令ハ規定の削除は,各種学校制度の下で運営されている外国人学校の中でも,本件省令1条1項2号イ又はロに基づき申請できる学校とそれ以外の学校との間に不合理な差を生じさせるものであり,そのような状況は,支給法2条の委任の趣旨及び本件省令ハ規定が想定していない事態であり,支給法2条1項5号の委任の趣旨に反する。
b 本件省令ハ規定は,支給法の制定の際の国会における議論を踏まえ,朝鮮高校を始めとした外国人学校に対して支給法の適用の途を開くべく定められたものである。そして,支給法制定にあたって,朝鮮高校の支給対象外国人学校の指定については,教育上の観点から制度的,客観的に判断することが繰り返し答弁されており,政治・外交上の事情は考慮しないとされていた。それにもかかわらず,被控訴人は,支給法の委任の趣旨を離れて,政治的,外交的理由により,朝鮮高校を排除する目的で本件省令ハ規定を削除したのであり,支給法の委任の趣旨に反する。
c 本件省令ハ規定に関しては,当時のB大臣が,平成24年12月28日,朝鮮学校については,拉致問題の進展がないこと,朝鮮総聯と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から,現時点での指定には国民の理解が得られず,不指定の方向で手続を進めたい旨を記者会見で述べたことからも明らかなとおり,当該規定の削除は,朝鮮高校の教育内容を問題視するものであり,かつ,北朝鮮に対する政治的,外交的な理由に基づくものであった。
このような本件省令ハ規定の削除は,控訴人らが民族教育を受ける権利を放棄しなければ,就学支援金制度から締め出すに等しく,憲法及び各種国際人権規約に基づく控訴人らの民族教育を侵害するものとして違法である。
【被控訴人の主張】
支給法は,いかなる学校について「高等学校の課程に類する課程」を有するものとして就学支援金の支給校とするかについて,行政機関の広範な専門技術的裁量に委ねている。
他方,朝鮮高校についての審査において,本件規程13条適合性に疑念を生じさせる多数の事情があり,その真偽を判断する調査手法がないため審査に限界があるなど,本件省令ハ規定の規定自体に問題があることが明らかになった。また,朝鮮高校以外に本件省令ハ規定を根拠として申請をする学校がないことは,教育行政を所管する文部科学大臣において十分把握していた。
このように,審査に限界があり,問題があることが明らかとなった本件省令ハ規定について,他に申請する学校がないと判断し得た文部科学大臣が,これを放置せずに削除することは,支給法の適切な運用を担う文部科学大臣に課された責務であり,その専門技術的な裁量の範囲内であるから,本件省令ハ規定の削除が支給法の委任の趣旨を逸脱しないことは明らかである。
(2) 争点(2)(損害)について
【控訴人らの主張】
ア 慰謝料 各自10万円
控訴人らは,被控訴人の違法な行為によって甚大な精神的苦痛・損害を被った。控訴人らが受けた精神的損害を慰謝するには,一人当たり10万円を下らない。
イ 弁護士費用 各自1万円
控訴人らは,被控訴人の違法な行為により弁護士に委任して訴訟を提起せざるを得なくなった。控訴人ら一人当たり1万円の弁護士費用は,相当因果関係の範囲内の損害である。
【被控訴人の主張】
否認ないし争う。
(3) 争点(3)(相互保証の有無)について
【被控訴人の主張】
外国人である控訴人らについては,日本国に対する損害賠償請求権が認められるには,当該外国の国家賠償制度において,「相互の保証」(国家賠償法6条)があることを要する。そして,かかる「相互の保証」があることの主張立証責任については,国家賠償法1条,2条によって,日本の国又は地方公共団体に対して損害賠償請求をする外国人にある。しかし,本件においては,控訴人らの国籍が明らかにされておらず,日本人が当該外国の公務員の違法行為によって被害を受けた場合に,当該外国に対して国家賠償を請求できるとの主張,立証もされていないから,相互保証があるとは認められない。
【控訴人らの主張】
控訴人らは,韓国籍,朝鮮籍又は日本国籍である。このうち,韓国籍の控訴人らについては,韓国には国家賠償法に相互保証の規定があることから日本の国家賠償法の適用がある。また,朝鮮籍の控訴人らについても,韓国籍と二重国籍となることから,韓国の国家賠償法の相互保証規定が適用されることになり,同様に日本の国家賠償法の適用がある。
第3 当裁判所の判断
当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1 認定事実
前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。
(1) 支給法の制定経緯等
ア 支給法の制定
支給法案は,内閣提出法案として提出され,平成22年3月5日,同月10日及び同月12日の3日間にわたり衆議院文部科学委員会で審議され,同月19日,同月25日及び同月30日の3日間にわたり参議院文教科学委員会で審議された後,同月31日に成立し,公布され,翌日の同年4月1日に施行された。(甲A1,乙4,弁論の全趣旨)
イ 衆議院文部科学委員会における質疑
当時のC文部科学大臣(以下「C大臣」という。)は,平成22年3月5日,同月10日,同月12日の衆議院文部科学委員会における質疑において,① 「各種学校」が支給法における就学支援金制度の対象となるか否かについて,「高等学校の課程に類する課程としてその位置づけが学校教育法その他により制度的に担保されているという概念から,基本的には入りません。そういう意味では,制度的に担保されていないから原則として支給対象とはしないという方向を今検討しておりますけれども,学校教育法上,専修学校にはなれないために例外的に各種学校の認可を受けているのが外国人学校でございます。そういう意味で,例外的に各種学校の認可を受けているもので一定の要件を満たすものについては,就学支援金の支給対象とすることとしたいと考えております。なお,その際の要件として,客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められるものということでそのような外国人学校を指定することと考えて」いる,② その際の判断について,「文部科学省としては,外交上の配慮とかいろいろなこと,そういう観点でこれを判断の材料にする考えはありません」等と答弁した。
また,同月12日の衆議院文部科学委員会において,D内閣官房副長官は,「就学支援金の支給対象について,いわゆる高校実質無償化法案は,日本国内に住む高等学校等の段階の生徒が安心して教育を受けることができるようにするものであります。このために,外国人学校の取り扱いに関しましても,外交上の配慮などにより判断するべきものではなく,教育上の観点から客観的に判断するべきものであり,政府としては以下のように考えるものでございます。本法案においては,外国人学校を含む専修学校等及び各種学校に係る就学支援金の支援の対象範囲については,高等学校の課程に類する課程として位置づけられるものを文部科学省令で定めることとしております。これまでの各大臣の発言につきましては,高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法についてはさまざまな論点があることを述べたものでございます。文部科学省令については,国会における審議も踏まえつつ,文部科学大臣の責任において判断するものでございます。」と答弁した。
(乙4の1ないし4)
ウ 参議院文教科学委員会における質疑
平成22年3月25日の参議院文教科学委員会において,C大臣は,「外国人学校については,教育内容等について法令上特段の定めがなく,本国における正規の課程と同等の教育活動や独自の教育課程に基づく自由な教育活動を行っており,我が国の学校制度をそのまま当てはめて判断することは適当ではないと考えられます。このため,外国人学校について高等学校の課程に類する課程であることを制度的に担保するための要件として,一つは,我が国の高等学校に対応する本国の学校と同等の課程であると公的に認められること,二番として,国際的に実績のある評価機関による客観的な認定を受けていることとし,これらの要件を満たすものを支給対象としたいと考えております。さらに,これらの二つの方法以外にも,客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められる基準や方法について,教育の専門家等による検討の場を設け,関係者の意見も聞きながら検討していきたいと考えています。」,「いわゆる教育専門家による検討の場で基準と評価方法と判定の仕組みを御議論いただいて,それに基づいて決めるという第三の道をつくろうと考えております。」等と答弁した。(乙4の4ないし6)
(2) 本件規程の制定までの検討会議の開催等
ア 検討会議の設置・開催等
平成22年4月1日,支給法の施行と共に本件省令が施行されたことに伴い,同年5月26日,文部科学大臣の諮問機関として「高等学校等就学支援金の支給に関する検討会議」(以下「検討会議」という。)が設置され,検討会議に対し,本件省令ハ規定に関して,制度的,客観的な「高等学校の課程に類する課程」としての位置付けを担保し,就学支援金の円滑な支給を行うために,文部科学大臣の指定に当たって必要な事項の検討が依頼された。
検討会議は,同日から同年8月19日までの間に5回にわたり会議が開催され,上記会議の結果等を受けて同年11月5日に本件規程が制定された。(甲A4,11)
イ 検討会議報告書取りまとめ
検討会議は,5回にわたる会議の検討結果として平成22年8月30日付け「高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について(報告)」と題する報告書(以下「検討会議報告書」という。)を取りまとめたところ,その概要は次のとおりである。(甲A11)
(ア) 基準の基本的考え方
「高等学校の課程に類する課程を置くもの」に該当するか否かを判断する基準は,専修学校高等課程との均衡を図る観点から,原則として専修学校高等課程に求められている水準を基本とすることが適当である。また,本件省令1条は,対象を定める際の客観性を担保するために,「高等学校の課程に類する課程」としての位置付けが制度的に担保されているものを規定することを基本的な考え方としているから,本件省令ハ規定の外国人学校を指定する際の基準についても,仕組みとして制度的,客観的に把握し得る内容によることを基本とすべきである。
(イ) 基準のポイント
基準のポイントは,大きく分けて,① 修業年限,教育課程及び教育水準,② 教員の資格,③ 法令に基づく適正な学校の運営,④ 適正な学校の情報の提供及び公表に分かれる。
このうち,①に関しては,高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目が開設されているか否かを審査する必要があるが,その審査は,各学年の年間指導計画表などに基づいて教育課程を確認することにより行うことが適当である。各教科等における個々の具体的な教育の内容については,本件省令1条1項2号イ又はロに該当する外国人学校や専修学校高等課程では教育内容が判断基準とされていないことから,高等学校の課程に類する課程であるかどうかの判断の基準とするものではないと考えられるとされている。
また,③に関しては,就学支援金が,支給法において,生徒が在学する学校が生徒に代理して受領し,生徒の授業料に係る債権の弁済に充てることとされていることや,各種学校の運営については,学校教育法,私立学校法などにおいて諸規定が設けられていることからすれば,就学支援金に係る文部科学大臣の指定を受ける各種学校については,各校が就学支援金の管理を適正に行うとともに,これらの関係法令の諸規定を遵守していることは当然であり,「高等学校の課程に類する課程を置くもの」に求められる基準において,就学支援金の管理その他の法令に基づく学校の運営が適正に行われることを改めて求めることが適当であるとされている。
(ウ) 留意事項について
「高等学校の課程に類する課程を置くもの」として指定を受けた外国人学校が,それぞれの水準の維持向上や社会的責任を果たすため,本件省令1条1項2号イ若しくはロ又は本件省令ハ規定に基づき指定された全ての外国人学校について,① 学校の情報提供,② 教員の質の確保,③ 就学支援金の授業料への確実な充当,④ 社会の担い手として活躍できる人材育成に努めることの実施を求めることが適当である。
(エ) 審査体制・手続等について
本件省令ハ規定に関する審査に当たっては,審査対象校や関係都道府県に対して,必要な資料の提供を求めるのが相当である。また,支給対象外国人学校の指定については,外交上の配慮等により判断すべきものではなく,教育上の観点から客観的に判断すべきものであることが,法案審議の過程で明らかにされた政府の統一見解である。このため,審査は,教育制度の専門家を始めとする第三者が,専門的な見地から客観的に行い,対象とするか否かについて意見を取りまとめ,最終的には文部科学大臣の権限と責任において,支給対象外国人学校の指定がされることが適当である。
ウ 検討会議における委員の意見
報告書取りまとめまでの検討会議においては,要旨次のような意見が出された。
(ア) 平成22年5月26日に開催された第1回検討会議において,委員から「情報公開・学校運営に関して,財務諸表を毎年徴収するなど各種学校に課せられた義務に加え,上乗せして求めることが必要な事項もあるのではないか。」といった発言があった。(乙5の1・1~3頁)
(イ) 平成22年7月16日に開催された第3回検討会議においては,委員から,「就学支援金を代理受領する以上は,わが国の法令を遵守することはもちろんのこと,学校運営の体制がきちんとしているかどうかという観点が重要」といった発言や,「文部科学省としては,就学支援金の支給を適正に行うために必要な限りにおいて学校運営の適切さを確認する必要があるが,学校運営を全体として見る立場にあるのは所轄庁である都道府県知事である。」との発言があった。(乙5の1・6~7頁)
(ウ) 平成22年7月26日に開催された第4回検討会議及び同年8月19日に開催された第5回検討会議においては,朝鮮高校の様子を撮影した映像の視聴が行われた上で,検討会議のまとめとなる「高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について」の素案に関する討議が行われ,委員からは「教育活動を見ないというわけではない。全体として見た上で個別の指導内容までは踏み込まないということ,どういうことを教育されているかという項目・主題は見るのだが,具体的な内容については各校にまかされている,それは他の学校種についても同じだ」との発言や,「教育活動について何も見ないという誤解を与えないようにすべき」との発言があった。(乙5の1・8~10頁)
エ 文部科学大臣談話
上記報告書を受け,E文部科学大臣(以下「E大臣」という。)は,平成22年11月5日付けで,本件規程を制定し,これに伴い,文部科学大臣談話(以下「文部科学大臣談話」という。)を公表した。
文部科学大臣談話においては,今後,学校教育法に定める各種学校である,朝鮮高校の申請が見込まれるところ,朝鮮高校については,我が国や国際社会における一般的認識及び政府見解とは異なる教育が一部行われているとの指摘がある一方,私学の自主性を重んじる私立学校法64条等の趣旨を尊重すべきであるとの指摘等もあることから,本件規程では,文部科学大臣は,指定に際し留意すべき事項がある場合には,その内容を各学校に通知することができる旨規定したこと,主たる教材の記述など各教科の具体的な教育内容について懸念される実態がある場合には,本支援金制度の趣旨を踏まえ,我が国社会や国際社会の担い手として活躍できる人材の育成を目指すことを留意すべき事項として付し,例えば,我が国の高校の政治・経済の教科書を教材の一つとするなど,懸念される実態についての自主的改善を強く促すとともに,対応状況についての報告を求めていきたい旨の方針が明らかにされた。(甲A16,乙3)
(3) 本件申請と審査開始までの経過
ア 平成22年11月当時のF内閣総理大臣(以下「F総理大臣」という。)は,北朝鮮が同月23日に大韓民国領の延坪(ヨンピョン)島に対する砲撃を行ったことを契機に,同月24日,当時のE大臣に対し,Aを含むすべての朝鮮高校について,本件省令ハ規定に基づく指定の手続を停止するよう指示した。
上記手続停止の理由について,質問主意書に対する内閣答弁書では,「北朝鮮による砲撃は,我が国を含む北東アジア地域全体の平和と安全を損なうものであり,政府を挙げて情報収集に努めるとともに,不測の事態に備え,万全の態勢を整えていく必要があることに鑑み,現時点で,(本件省令ハ規定に基づく)指定の手続を一旦停止することとした」旨の説明がされている。E大臣も,記者会見の場において同趣旨の説明を行った。
(甲A46ないし53)
イ Xは,平成22年11月29日付けで,Aについて,本件規程14条1項に基づき,本件省令ハ規定に基づく指定を受けるための申請(本件申請)をし,同申請書は,同月30日に文部科学省に受理された。(甲A12,乙1)
ウ 文部科学大臣は,平成23年7月1日,本件規程15条に基づき,教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される「高等学校等就学支援金の支給に関する審査会」(審査会)を設置した。審査会は,本件規程に基づく指定等に関する意見を検討事項とし,本件規程に定める指定の基準に基づいて審査を行うものとされており,文部科学省初等中等教育局財務課高校修学支援室(以下「支援室」という。)が事務局を担うこととされた。
審査会は,同日から同年11月2日にかけて3回にわたる会議において,本件省令ハ規定に基づく指定の申請があった学校法人ホライゾン学園が設置するホライゾンジャパンインターナショナルスクール(高等部)及び学校法人コリア国際学園が設置するコリア国際学園(高等部)について,本件規程の基準適合性を審査し,上記各学校法人において,私立学校法に基づく,理事会の開催,財務諸表の作成等が行われていること,各学校を所管する都道府県への確認により,直近5年間において教育基本法,学校教育法等の法令に違反していることを理由とする指導・勧告等を受けたことがないことが判明したとして,上記各学校の本件規程13条適合性を認めた。そして,この審査結果を受けて,文部科学大臣は,ホライゾンインターナショナルスクール(高等部)について同年8月30日,コリア国際学園(高等部)について同年12月2日,それぞれ本件省令ハ規定に基づき支給対象外国人学校として指定した。
(甲20の1ないし3)
エ 政府は,「北朝鮮が,韓国延坪島砲撃後,当該砲撃に匹敵するような軍事力を用いた行動をとっていないことから,平成23年7月に南北間及び米朝間の対話が行われるなど北朝鮮と各国との対話の動きが生じていることも踏まえれば,事態は,上記砲撃以前の状況に戻ったと総合的に判断できる」として,平成23年8月29日,朝鮮高校について,本件省令ハ規定による支給対象外国人学校としての指定に関する審査手続を再開した。(乙38)
(4) 朝鮮高校に対する審査の経過等
審査会は,同年11月2日の第4回審査会以降の審査会において,朝鮮高校についての審査を行った。審査会における朝鮮高校に関する会議の経過及び審査会の事務局である支援室による調査の状況等の概要は,以下のとおりである。
(甲20の4ないし8)
ア 第4回審査会(平成23年11月2日開催)
(ア) 平成23年11月2日に開催された第4回審査会において,資料2として配布された事務局作成の「朝鮮高級学校の審査(ポイント)」と題する書面には,審査事項に関し,「2.学校経理,就学支援金の適正な使用について」の項目において,校地等が仮差押えを受けている愛知・九州(及び校地等に抵当権が設定されている理由が確認できない場合,京都・広島)については,学校運営の不適正を理由に指定しないこととするかが検討項目とされていた。また,「3.朝鮮総連との関係について」の項目において,朝鮮高校と朝鮮総聯との関係が,教育基本法16条1項の「不当な支配」に当たるかどうか引き続き検討する必要があるとされ,過去の報道等に基づき,教育内容への影響,人事への影響及び財政への影響を学校側に確認すべき旨が記載されていた。さらに,「4.法令に基づく適正な運営について」の項目において,各学校の法令違反の有無は,基本的に設置認可を行う所轄庁が判断すべきであること,上記「法令違反」の考え方として,教育基本法を始めとする学校に関係する法令に関する重大な違反が該当することが記載されていた。(甲A20の4の3)
(イ) 第4回審査会において,資料6として配布された事務局作成の「各朝鮮高級学校の法令に基づく適正な運営の確認」と題する書面には,Aについて,本件規程13条の法令に基づく学校の適正な運営の観点から,校地・校舎について,仮差押えを受けている点が法令違反となるか整理が必要との指摘がされている。(甲A20の4の7)
(ウ) 第4回審査会においては,上記資料等を踏まえて議論が行われたところ,委員からは,「朝鮮高級学校の審査に当たっては,これまで審査を行ってきたケースと異なり,時間がかかる可能性がある。懸念される点が多く指摘されていることもあり,いろいろな点を明らかにしていく必要があるのではないか。」との意見が出された。
また,学校の校地・校舎に仮差押えがされている学校について,学校運営ができなくなる可能性がある旨の意見が出され,事務局から「朝鮮高級学校の校地・校舎が仮差押を受けているケースの債権者は株式会社整理回収機構(以下「機構」という。)であり,朝鮮学校については,教育機関であることから,差押には慎重に対応するとの見解を示している」との説明がされたのに対し,「どのような目的により債務が発生したのかについて,学校の説明が不十分な場合は,学校運営の適正さが確認できないため,十分な説明がなされるまで指定は行うことができないのではないか」との意見が出された。(甲A20の4の9,乙6の1)
イ 第4回審査会後の支援室による調査
(ア) 支援室は,第4回審査会の結果や朝鮮高校に関する報道の状況等を踏まえ,平成23年11月9日,Aを含む各朝鮮高校に対し,文書により,概要,① 「教科書内容の変更には,北朝鮮本国の決裁が必要」との新聞報道の真偽,② 教育内容について朝鮮総聯の指導を受けることの有無,③ 朝鮮総聯の傘下と指摘される団体への生徒や教員の自動的加入の有無等,④ 朝鮮総聯幹部の役員兼務の有無,人事に関する北朝鮮(金正日総書記)又は朝鮮総聯の関与の有無,⑤ 朝鮮総聯のインターネット上のホームページに「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総連の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている」などの記載があることを前提に,教育会の構成,管理運営等の事項について照会した。
これらに対し,Aは,上記①の照会に対し,教科書内容の変更には北朝鮮本国の決裁が必要との報道は事実ではなく,教科書編纂委員会(全国の朝鮮学校で使う教科書を編纂することを目的に組織される機関)で,日本と世界各国の教科書内容を参考にし,独自的に編纂している旨を,上記②の照会に対し,教育内容について朝鮮総聯の指導を受けているとの指摘は事実ではないが,民族科目(国語,歴史,地理,社会等)に関しては,北朝鮮本国の学者と専門家のアドバイスが必要であることから,朝鮮総聯の協力を得ている旨を,上記③の照会に対し,教員と学生たちは,在日本朝鮮人教職員同盟や在日本朝鮮青年同盟に自動的に加入しているわけではなく,任意加入である旨を,上記④の照会に対し,学校法人朝鮮学園では,寄付行為にのっとり役員を教職員,保護者,卒業生,同胞学識経験者などから選出しており,朝鮮学校の生徒の保護者,卒業生,学識経験者は朝鮮総聯関係者や朝鮮総聯系同胞であるが,総聯関係者が役員に選出される場合は,寄付行為に掲げている学園の理念を尊守し,学園理事会の意思決定に従うことを条件にしている,さらには,朝鮮学校においては,校長が朝鮮総聯の幹部を兼任したりする人事が行われているといった事実はないが,校長は在日本朝鮮人教職員同盟の役員になっている旨を,上記⑤の照会に対し,朝鮮総聯ホームページの記述は正確でないため,現在記述の変更を要請している,朝鮮学校が学校法人として認可を得るまでは教育会職員が学校を管理運営していたが,認可取得後は,学校管理運営を学園理事会が行っている,現在の教育会には日本のPTAに当たる教育関係団体で教職員や保護者が任意で入会しており,上記のとおり生徒の保護者の大多数が朝鮮総聯系の同胞であるため,朝鮮総聯や朝鮮総聯関係団体の役職員を含む,朝鮮学校の唯一の意思決定機関は学園理事会であり,教育会は意思決定機関ではなく,予算・決算,人事,教育内容などへの関与はできず,各学校に配置された担当者が学校事務全般,経理補佐業務等を行っている旨をそれぞれ回答した。
また,上記回答に併せて朝鮮高校から提出されたXの「役員名簿」及び「評議員名簿」によれば,「朝鮮総聯の役職員」として,同学園の一名の理事兼評議員が朝鮮総聯福岡県教育部長を務めているほか,「朝鮮総聯関連団体の役職員」として,理事兼評議員であるY校長が県在日本朝鮮人教職員同盟委員長を,理事兼評議員である福岡朝鮮初級学校校長が同副委員長を,評議員である北九州朝鮮初級学校校長が同総務部長をそれぞれ兼任しているとされている。なお,上記評議員全20人のうち8人が,現職の朝鮮総聯福岡県副委員長(2人)又は県内の各支部委員長(6人)であった。
(乙7,8)
(イ) 支援室は,平成23年11月11日,Aに対し,文書により,貸借対照表には長期借入れが記載されていないにもかかわらず,校地・校舎に仮差押えがされている理由・経緯について照会した。
これに対し,Aは,貸借対照表に未記載の借入れは存在しないとした上で,校地・校舎が機構に仮差押えされている理由について,「真実は当校による借入れではないのに,機構が当校による借入れであると思いこみ,当校から借入金を回収するために仮差押えを行った」ものであるとし,機構が借入金を回収するために提起をした訴訟の第一審判決においてAによる借入れが否定されたこと,訴訟がなお福岡高等裁判所に係属しているため訴訟記録を開示できないことなどを回答した。
(乙9,10)
(ウ) 支援室は,平成23年12月2日,各朝鮮高校に対し,文書により,過去5年間において都道府県及び市町村から交付された補助金等について照会した。
これに対し,Aは,補助金の交付を受けていることに加えて,過去5年間に福岡県と北九州市から受給している補助金について一部重複して受領したとの問題を指摘されたことがある旨回答した。
(乙11,12)
ウ 第5回審査会(平成23年12月16日開催)
(ア) 平成23年12月16日に開催された第5回審査会においては,上記イの書面照会の結果をまとめた資料(甲A20の5の10)が配布された。この中で,Xが補助金を重複して受領していた問題について福岡県に確認し,県として返還命令を発したが,翌年度以降の補助金の停止を行っていない旨の回答がされた旨の記載がされている。
また,同会議の資料3として「高校無償化に係る朝鮮学校の審査状況(概要)」と題する事務局作成の書面(甲A20の5の4)が配布された。同書面には「1.総連等との関係」の項目の冒頭に「審査の観点」として,教育基本法16条1項の「不当な支配」に該当するかという点が挙げられており,「『不当な支配』の考え方」として,「国民全体の意思を離れて一部の勢力が教育に不当に介入する場合を指すもの」,「一般論としては,ある団体が教育に対して影響を及ぼしていることのみをもって,直ちに『不当な支配』があるとはいえない…これまでのところ,御指摘の『朝鮮学校』の所轄庁である都道府県知事からは,それらの教育施設においてお尋ねの点を含む法令違反による行政処分等を行った実績はないとの報告を受けている」とされていた。
(甲A20の5の4,20の5の10)
(イ) 第5回審査会においては,各朝鮮高校に対する実地調査の内容,主たる教材の記述,各朝鮮高校に対する書面による確認結果等について検討がされ,その中で,「実地調査の結果では,授業における生徒の様子など特に懸念されるところは見当たらなかったようだが,朝鮮高級学校と朝鮮総連との関係など学校運営に不透明なことがあれば,疑念がないようクリアにしていく必要があるのではないか。」,「朝鮮高級学校を取り巻く状況は非常に複雑になっており,学校に対する確認は,相当大変だろうが,しっかりチェックして,その状況を審査会に報告してほしい。」との意見が出された。(甲A20の5の11,乙6の2)
エ 第5回審査会後の支援室による調査
支援室は,上記イの書面照会の結果等を踏まえて,平成24年1月19日,各朝鮮高校に対し,文書により,理事会・評議員会の開催が確認できる書類(出席者への旅費・謝金,飲料代等の支出に関する領収書や理事から提出された委任状等)の提出を求めるとともに,提出済みの財務諸表に記載がない長期借入れの有無を照会した。
これに対し,Aは,理事会・評議員会出席者への旅費,謝金,飲料代等は支出していないこと,欠席する理事,評議員からは口頭で理事会,評議員会に委任する旨を確認しているため委任状等に該当するものはないこと,提出済みの財務諸表に記載のない長期借入れはないことなどを回答した。
(乙13,14)
オ 第6回審査会(平成24年3月26日開催)
(ア) 平成24年3月26日に開催された第6回審査会において,資料1として支援室による調査等の状況をまとめた「高校無償化に係る朝鮮高級学校の審査状況(概要)」と題する事務局作成の書面(甲A20の6の2)が配布された。同書面には,審査基準のうち,裁量の余地のない外形的な基準(教員数,校地・校舎の面積等)については,全校が基準を満たしているとの記載や,報道内容のうち,審査基準(法令に基づく学校の運営)に抵触し得る事項及び申請内容の重大な虚偽となり得る事項については,重大な法令違反に該当する事実は確認できていないとの記載がある。ただし,教育基本法への適合性については別途検討がされており,朝鮮総聯による教育基本法16条1項に該当する「不当な支配」が認められれば重大な法令違反に該当することから必要な確認を行ったとして,その結果が次のとおり記載されている。(甲A20の6の2)
① 教育会
一部報道では,朝鮮学校が,実質的に,朝鮮総聯の直轄組織である教育会によって運営されていると報じられているが,教育会は,朝鮮学校への寄付金の募集等の支援を行う組織であり,教育会が学校運営を支配しているという事実は確認されなかった。
② 教育内容
朝鮮高校で使用されている教科書の内容は,東京朝鮮学園に属する学友書房に設けられた教科書編纂委員会(その委員は,各高級部の教員が多数を占めている。)で決定されており,学校によると,朝鮮総聯から教育内容について指導を受けることはないが,民族科目(朝鮮語,社会科目)について,北朝鮮本国の学者等の意見を取り入れるために朝鮮総聯の協力を得ている等の事実が認められた。
③ 人事
各学校の理事・監事に朝鮮総聯の役職員が任命されている事例(愛知2名,北海道・九州1名)があるものの,全校とも,人事については,学園理事会で決定しているとの回答であった。
④ 財政
過去5年間の朝鮮高校に関する収支を確認した結果,学校から朝鮮総聯への寄付等の事実は確認できず,朝鮮総聯からの寄付が学校収入に占める割合はわずかであることが確認できた。
なお,高級部への収入ではないが,東京朝鮮学園に属する「学友書房」(教材出版社)に対し,北朝鮮本国から「在日朝鮮人中央教育会」を経由して,祖国援助金が交付されており,これが,全国の学校への主たる教材の無償配布に充てられていることが確認できた。
自治体の補助金に関する問題事案を確認したところ,自治体が補助金執行上の事務ミス等を指摘した例はあったが,各自治体とも,不正受給等の悪質な事案はないとの認識であった。
⑤ 学校運営
全校とも唯一の意思決定機関は理事会であると回答しており,理事会の議事録が適切に作成されていない事例があったが,議事録の偽造等の事実は確認できなかった。
なお,Aについて,学校運営に関する過去の問題として「総連地方本部が旧朝銀から借入をする際に,学校名義の書類・議事録が旧朝銀によって偽造され,法人理事長印が使用された。⇒整理回収機構との訴訟では,学園の債務ではないと認定(現在,高裁で係争中)」との記載がある。
(イ) 同会議において資料4として配布された「朝鮮高級学校への留意事項(素案)」と題する事務局作成の書面(甲A20の6の5)には,「特定の団体による『指導』の下に,学校運営が行われているとの誤解を招くことのないよう,学校として自主的に運営を行うとともに,(中略)学校運営に関する積極的な情報提供に努めること」との記載がある。(甲A20の6の5)
(ウ) 第6回審査会においては,朝鮮高校に係る審査状況(上記(ア)),仮に支給対象外国人学校として指定する場合の留意事項(素案)(上記(イ))等につき検討がされた。委員からは,「総連関連団体からの寄付等の割合がわずかであるからといって,直ちに影響力がないとは言えない。一方,外部からの支援を全て断てというのも難しい。教育的な影響力が,どの程度生徒に対して及んでいるかを把握しておく必要があるのではないか。」との指摘があり,事務局から「法令に基づく学校運営が適正になされているかどうかという基準で,問題になるのが,教育基本法第2条第5号の教育の目標と,第16条の不当な支配の禁止に違反しないかどうか。学校と総連の間に一定の関係があるとしても,それが本当に教育基本法違反か否かが,審査における重要な判断基準になる。」との説明がされた。
また,「法令違反とまで判断しがたい場合でも,適正に学校運営が行われているかどうかは慎重に判断すべきではないか。」,「いくら確認しても,すっきり指定することができるようにならない。留意事項の内容について検討すること自体はよいが,学校運営などの面で適正かどうか判断しがたいとも思われる。」,「そもそも,この審査会において,指定の可否を議論し,結論を出すのは限界があるのではないか。」といった意見も出された。(甲A20の6の8)
カ 第6回審査会後の支援室による調査
(ア) 支援室は,平成24年3月30日,各朝鮮高校に対し,文書により,朝鮮学校における教育活動が朝鮮総聯により「不当な支配」(教育基本法16条)を受けているとの指摘もあることを踏まえ,審査に当たっての判断材料の1つとしたいとして,① 全国の朝鮮初中級学校から選抜された生徒約100人が1月又は2月に北朝鮮を訪問し,故金正日氏,金正恩氏への忠誠を誓う歌劇を披露していたとの報道の真偽等,② 金正恩氏の肖像画の掲示の有無,③ 故金正日氏の葬儀について,朝鮮学校の施設が使用され,生徒の動員が行われたとの報道の真偽等を照会した。
これに対し,Yは,上記①について,中級部生徒2名,教職員1名が参加したが,学校行事としての参加ではなく,高級部の生徒は含まれていない旨,上記②について,掲示しておらず,検討もしていない旨,上記③について,追悼行事のため組織された追悼委員会から学園の施設の使用申請があったので,通常の一般貸出しとして貸した,生徒に出席の指示等はしていない旨を回答した。
(乙15,16)
(イ) 支援室は,平成24年8月24日,各朝鮮高校に対し,上記(ア)と同様に「不当な支配」についての指摘があることを踏まえて審査に当たっての判断材料の1つとしたいとして,文書により,同年6月5日から7日までに全国の朝鮮学校校長を対象に開かれた講習には,校長69人が出席し,議長が「金正恩指導体系が確立されるよう確実に教育せよ」と指示したとの新聞報道に関して,そのような講習会に高級部の校長その他の教員が参加した事実の有無,教育内容に関して特定の示唆を受けた事実の有無等を照会した。
これに対し,Aは,校長が不在だったので,代理で教務部長が,全国朝鮮高級学校校長会の主催する全国朝鮮学校校長講習会に参加したが,教育内容に関し特定の示唆を受けることはなかった旨回答した。
(乙17,18)
キ 第7回審査会(平成24年9月10日開催)
平成24年9月10日に開催された第7回審査会においては,資料として,上記カの照会結果をまとめた事務局作成の書面(甲A20の7の3)及び「朝鮮高級学校への留意事項(素案)」(甲A20の7の5)等が資料として配布され,審査状況及び上記留意事項(素案)等につき検討がされた。
委員からは,「本審査会として,結論として1つの方向性を示すことが求められているのか。場合によっては,委員の間にいろいろな意見があってまとまらない,ということもありうるのか。」との質問に対し,事務局から「最終的に,どちらかの方向性は示していただくことになるが,その際に,少数意見を併記することも考えられる。」との回答がされ,さらに,「本審査会でとりまとめたものを参考に,最終的には大臣が決定することになるということか。」との質問に対し,事務局から「そのとおり。」との回答がされた。
また,「書面による学校への確認については,報道等で指摘される事実に関して,学校側が一様に否定する結果になっている。こちらも捜査権があるわけではないので,真偽の確証を得ることについては限界がある側面もあるが,審査基準に関わることについては,引き続きしっかり確認してほしい。」との意見も出された。
そして,事務局から,今後の予定等につき,「今回の議論を踏まえながら,今後も審査作業を進めていく。」,「次回の審査会については,決まり次第,連絡する。」との説明がされた。
(甲A20の7の1・3・5ないし7,乙6の4)
ク 第7回審査会後の支援室による調査
(ア) 支援室は,平成24年10月5日,各朝鮮高校に対し,上記カと同様に「不当な支配」についての指摘があることを踏まえて審査に当たっての判断材料の1つとしたいとして,文書により,各朝鮮高校から2,3人ずつ選ばれた生徒が在日本朝鮮青年同盟代表団として,教員や朝鮮大学校生らと8月23日から9月1日までに平壌を訪問し,金正恩第一書記に忠誠を示す行事に参加したとの報道に関して,そのような行事(青年節慶祝大会)への生徒,教職員の参加の有無などを照会した。
これに対し,Aは,青年節慶祝大会が祖国で例年行われている「青年の日」を祝う行事であり,生徒1名及び教員1名が参加したこと,同行事について,金正恩第一書記名による参加指示はなかったこと,夏休み中に希望者が個人的に参加したもので学校は関与していないこと,参加した生徒が決議文を読み上げるようなことはなかったことなどを回答した。
(乙19,20)
(イ) 支援室は,平成24年10月19日,各朝鮮高校に対し,文書により,朝鮮総聯が故金日成主席,金正日総書記の肖像画を新しい肖像画「太陽像」に10月中に交換するように指示したとの報道に関して,そのような案内又は指示の有無等について照会した。
これに対し,Yは,朝鮮総聯の指示はなく,購入の予定はない旨を回答した。
(乙21,22)
ケ 支援室内部においては,審査会における審議の経過や各朝鮮高校への照会に対する回答結果等を踏まえると,朝鮮高校に対する本件省令ハ規定に基づく審査には限界があり,審査会を継続しても朝鮮学校について本件規程13条に適合するとの意見の一致を見ることは困難であるという見方が強くなっていた。(乙77)
(5) 本件不指定処分及び本件省令ハ規定削除に至る経緯
ア 政権交代とB大臣の就任
平成24年12月16日に実施された衆議院議員総選挙により,それまで与党であった当時の民主党を中心とした政権から,自由民主党(以下「自民党」という。)を中心とする政権への政権交代が起こり,G内閣が発足し,文部科学大臣としてB大臣が就任することとなった。(甲A60,弁論の全趣旨)
イ 平成24年12月28日の記者会見におけるB大臣の発言
B大臣は,平成24年12月28日の記者会見において,「本日の閣僚懇談会で,私から,朝鮮学校については拉致問題の進展がないこと,朝鮮総連と密接な関係にあり,教育内容,人事,財政にその影響が及んでいること等から,現時点での指定には国民の理解が得られず,不指定の方向で手続を進めたい旨を提案したところ,総理からもその方向でしっかり進めていただきたい旨の御指示がございました。このため,野党時代に自民党の議員立法として国会に提出した朝鮮学校の指定の根拠を削除する改正法案と同趣旨の改正を,省令改正により行うこととし,本日からパブリック・コメントを実施することにいたします。なお,今後,朝鮮学校が都道府県知事の認可を受け,学校教育法第1条に定める日本の高校となるか,又は北朝鮮との国交が回復すれば現行制度で対象と成り得ると考えている」と述べるとともに,支給法に基づく審査につき,「外交上の配慮などにより判断しないと,民主党政権時の政府統一見解として述べていたことについては,当然廃止をいたします」と述べた(以下「B大臣発言」という。)。(甲A60)
ウ 本件省令改正の公布及び本件不指定処分の通知
文部科学大臣は,平成25年2月20日付けで本件省令改正と本件不指定処分を行い,本件不指定処分に係る通知文書は,同日付けでX宛てに発送された。また,本件省令改正は,同日,官報に公告され,公布された。(甲A13,乙35)
(6) 朝鮮総聯と朝鮮学校との関係等に関する報道等
ア 朝鮮学校や朝鮮総聯に関する報道等
朝鮮学校と朝鮮総聯及び北朝鮮との関係をめぐっては,従前から様々な報道がされてきたところ,例えば,次のようなものが挙げられる。
(ア) 平成22年2月21日の産経新聞において,朝鮮学校で学費納入時に朝鮮総聯傘下団体の活動費を同時に徴収していたこと,朝鮮総聯が学校行事で寄付名目などで保護者らから多額の資金を吸い上げていたことが報道された。(乙33の2)
(イ) 平成22年3月11日の産経新聞において,朝鮮労働党の対南工作部署に所属していた元幹部の話として,朝鮮学校で使用されている教科書には金正日総書記の決裁が必要である旨が報道された。(乙24の2)
(ウ) 平成22年8月5日の産経新聞において,朝鮮総聯関係者による話として,朝鮮高校に対する支給法適用を検討するために実施された文部科学省の視察の前に,東京の朝鮮総聯中央本部に教育関連幹部や全国の朝鮮学校の校長が集められて対策会議が開かれたこと,その後,朝鮮総聯が,朝鮮高校に対して,故金日成主席及び金正日総書記を礼賛する「現代朝鮮歴史」などの歴史授業を視察当日のカリキュラムから外すこと並びに職員室や校長室から故金日成主席及び金正日総書記の肖像画等を撤去して故金日成主席の業績を称える図書資料が収められた部屋にしまい,その部屋を施錠するように命じたことなどが報道された。(乙52)
(エ) 平成22年9月26日のMSN産経ニュースにおいて,朝鮮高校の生徒のうち,朝鮮総聯の幹部等の子供については,朝鮮総聯が学費と同程度の額を教育手当として出すこととされており,同手当は,生徒や保護者が受け取らず,学校側の会計上で学費と相殺する形で処理されており,実質上,学費が免除されていること,このため朝鮮高級学校が支給法の対象となった場合には免除者分も就学支援金が支給され,実質的に朝鮮総聯側の利益になる可能性があることなどが報道された。(乙24の3)
(オ) 平成23年11月1日の産経新聞において,元朝鮮総聯関係者が「東京都から理事会議事録の提出を求められた際,理事でもなかった同僚が『上からの指示で過去までさかのぼって議事録を書き,提出した』と述べた」などとして,朝鮮学校を運営する学校法人朝鮮学園の理事会が有名無実化しており,実質的に朝鮮総聯直轄組織に運営されている疑いがあること,学園理事会の存在は無償化にとどまらず,学校認可の前提となっていることから,申請基準に抵触する可能性もでてきたことなどが報道された。(乙24の5)
(カ) 平成23年11月18日の産経新聞において,朝鮮総聯直轄組織である教育会の元幹部の話として,朝鮮学校への自治体からの補助金を教育会が管理しており,朝鮮総聯が補助金を流用したり,補助金を担保に在日朝鮮人系金融機関である朝銀信用組合から借入れをすることもあった旨が報道された。(乙33の1)
(キ) 平成24年10月17日の東京新聞において,朝鮮総聯が傘下の団体や朝鮮学校に対して,各施設に掲げる故金日成主席及び金正日総書記の肖像画を,新しい肖像画に交換するよう指示し,同肖像画は朝鮮総聯中央宣伝広報局が一括して準備し,費用は対象機関が負担するよう指示が出た旨が報道された。(乙24の6)
(ク) 上記のほか,在日本大韓民国民団発行の平成22年3月17日の「民団新聞」には,朝鮮高校の「高校3年」では,全科目週30時間のうち7時間が民族教育に値しない思想教育若しくはそれに準じることに割り当てられており,そのような問題は朝鮮学校の上部団体が朝鮮総聯であり,人事や配置まで朝鮮総聯の指示を受けるという「垂直支配」に起因しているとの記載がされている。
また,平成23年1月1日の「民団新聞」には,NPO法人の代表が「総連の新たな内部文書」を公開し,「朝鮮学校は金日成-金正日親子へ『忠誠の電文』を送るという思想・政治運動を学校ぐるみで展開している」として自治体による朝鮮学校への補助金支出に反対の姿勢を示した旨の記事が掲載されている。
(乙25の1・2)
(ケ) 北朝鮮の平成24年4月4日の「労働新聞」には,総聯は,我が共和国の堂々たる海外同胞組織であり,在日朝鮮学校は総聯組織が運営する合法的な民族教育機関である旨の記載がある。(乙25の3)
イ 各種団体からの申入書
(ア) 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会及び北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会の作成に係る,C大臣宛ての平成22年8月25日付け「朝鮮学校への国庫補助に反対する要請文」には,「朝鮮学校の生徒らは,学内で組織運営されている『在日本朝鮮青年同盟(朝青)』という政治組織に全員加盟して,北朝鮮の金正日政権を支える政治活動に参加しています。(中略)総連は世論喚起のデモや集会に朝鮮学校生徒を『朝青』組織を通じて大々的に動員しています。朝鮮学校は純粋な教育機関ではなく,拉致被害者をいまだに返さない朝鮮労働党の日本での工作活動拠点なのです。」との記載がある。(乙26)
(イ) 在日本大韓民国民団中央本部の作成に係る,C大臣宛ての平成22年7月27日付け「朝鮮学校『高校無償化』に関する申し入れ書」には,「問題は教育を受ける子供たちの側にあるのではなく,教育機関たる朝鮮学校そのものにあるのです。(中略)朝鮮学校は運営面においても教科内容の面においても,また教育全般面においても朝鮮総連の指導を通じ北朝鮮政府の完全なコントロール下にあり,日本社会一般の常識をはるかに越えるような教育,指導が行われています。」,「就学支援金が(中略)本来の趣旨から外れて実際には朝鮮総連への迂回支援に繋がることを本団は憂慮する」との記載がある。
また,在日本大韓民国民団中央本部の作成に係る,F文部科学大臣宛ての平成24年2月13日付け「朝鮮高級学校『高校授業料無償化・就学支援金支給制度』についての申し入れ書」にも上記と同趣旨の記載がある。
(乙27の1・2)
(7) 朝鮮総聯及び朝鮮学校に関する公安調査庁による調査等
ア 公安調査庁は,平成16年12月2日の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会,平成17年2月16日の衆議院予算委員会,平成26年11月18日の参議院内閣委員会,平成28年5月12日の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会等において,繰り返し,朝鮮総聯やその傘下団体について破壊活動防止法等に基づく調査の対象としている旨を明らかにしてきた。(乙86ないし88)
イ 公安調査庁は,「破壊活動防止法」や「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」に基づき,オウム真理教に対する観察処分の実施など,団体の規制及び規制のための調査を行うとともに,国際テロや北朝鮮情勢など国内外の情報を収集・分析しており,毎年の国内外の公安動向を回顧し,今後を展望する「内外情勢の回顧と展望」を作成し,その内容を公安調査庁ウェブサイトで公開している。平成21年から平成25年(各前年11月末現在)にかけての「内外情勢の回顧と展望」には次の記載がある。(乙28ないし32)
(ア) 平成21年(2009年)1月版(平成20年における国内外の公安動向を回顧し(11月末現在),今後を展望したもの。)には,「朝鮮総聯は,(中略)北朝鮮建国60周年に際しては,幹部活動家,若手活動家,商工人など各階層別の代表団を総勢数百人規模で北朝鮮に派遣し,(中略)これら代表団の一部は,朝鮮労働党幹部から,思想教育の徹底などを図るよう指導を受けた。」との記載がある。(乙32)
(イ) 平成22年(2010年)1月版には,「朝鮮総聯は,朝鮮人学校での民族教育を『愛族愛国運動』の生命線と位置付けており,学年に応じた授業や課外活動を通して,北朝鮮・朝鮮総聯に貢献し得る人材の育成に取り組んでいる。」,「朝鮮人学校では,一律に朝鮮総聯傘下事業体『学友書房』が作成した教科書を用いた朝鮮語での授業を行っている。例えば,高級部生徒用教科書『現代朝鮮歴史』では,北朝鮮の発展ぶりや金正日総書記の『先軍政治』の実績を称賛しているほか,朝鮮総聯の活動成果などを詳しく紹介している。」,「朝鮮総聯は,このほか,教職員や初級部4年生以上の生徒をそれぞれ朝鮮総聯の傘下団体である在日本朝鮮人教職員同盟や在日本朝鮮青年同盟に所属させ,折に触れ金総書記の『偉大性』を紹介する課外活動を行うなどの思想教育を行っている。」との記載がある。(乙31)
(ウ) 平成23年(2011年)1月版には,「朝鮮総聯は,2010年(平成22年)初頭から,第22回全体大会(22全大会)に向け,活動を活発化させた。(中略)朝鮮人学校への生徒勧誘活動や会員に対する思想教養活動などの組織強化に向けた活動に集中的に取り組むなどして大会への気運醸成に努めた。」,「朝鮮総聯は,我が国政府の『高校無償化』措置に関し,朝鮮総聯中央に『対策委員会』を設置し(2月),朝鮮人学校生徒への『無償化』適用実現に向けた活動に組織を挙げて取り組んだ。これら活動では,主に,朝鮮人学校教職員・父兄・生徒,日本人支援者らを前面に出して,『無償化』適用を求める世論の幅広い喚起に努め,我が国政府や政界関係者への要請活動,記者会見,集会・デモ,街頭署名運動などを継続的に実施するとともに,国連人権理事会などの国際機関に対しても『適用除外は人権侵害・差別』などと訴えた。また,北朝鮮による延坪島砲撃事件を受けた我が国政府の『無償化』手続停止に対しても,緊急記者会見(11月)で抗議声明を出すなど,早期の適用を改めて求めた。」との記載がある。(乙30)
(エ) 平成24年(2012年)1月版には,「7月に開催された『総聯の新たな全盛期を開くための中央熟誠者大会』では,『朝鮮人学校への生徒勧誘活動に取り組み,来年度の学生数増加が確定した』」,「思想教育においては,特に,権力の『世襲』に対する組織内の否定的な反応に留意しつつ,段階的に学習・伝達の対象を拡大していくものとみられる。また,組織拡大に向けては,基層組織と並んで,卒業生や生徒父兄なども含め多数の在日韓国・朝鮮人と関わりを有する朝鮮人学校を『活動の拠点』と位置付け,『同胞再発掘運動』の活発化に努めていくものとみられる。」との記載がある。(乙29)
(オ) 平成25年(2013年)1月版には,「朝鮮総聯は,我が国政府の『高校無償化』措置に関し,かねて朝鮮人学校生徒への適用を実現すべく諸活動に取り組んできたところ,2月から3月までの間,日本人支援者らを前面に出して『無償化』適用を求める集会や街頭署名運動などを集中的に実施した。また,7月から9月までを『無償化』適用実現のための『3か月集中戦』期間に設定し,主として朝鮮人学校の教職員,父兄,生徒らを動員して,各地で街頭宣伝活動を繰り広げたほか,我が国政府や政界関係者に対する要請活動などを行い,早期の適用を改めて求めた。」との記載がある。(乙28)
ウ 公安調査庁長官は,平成22年11月17日の参議院予算委員会において,朝鮮学校と朝鮮総聯の関係について,「朝鮮総連の影響は,朝鮮人学校の教育内容,人事,財政に及んでいると,このように承知しております。また,思想教育という点,お尋ねでございます。教育内容には,朝鮮人学校におきます教科書を見てみますと,朝鮮総聯の参加事業体であります学友書房が作成した教科書を用いて,北朝鮮の発展ぶりあるいは金正日総書記の実績を称賛する内容が含まれていると,このように承知しております。」と答弁し,同見解は政府見解と同じかと問われたところ,当時のH法務大臣において,「今長官のおっしゃったとおり,法務大臣としても認識をさせてもらっておるところでございます。」と答弁した。(乙34)
(8) 朝鮮学校に関する朝鮮総聯のホームページの内容等
ア 朝鮮総聯のホームページ上では,平成24年3月1日時点において,「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の協力のもとに,教育会が責任をもって進めている。」と記載されていた。(乙159)
イ 在日本朝鮮人総聯合会中央常任委員会が平成3年2月1日に発行した冊子「朝鮮総聯」には,「朝鮮学校の管理運営は,朝鮮総聯の指導のもとに,教育会が責任をもって進めている。」,「朝鮮総聯は,学校運営の自立的土台をしっかりときずくため,教育会を強化する活動とともに,組織をあげての,全同胞的な学校支援運動を力づよくおし進めている。」との記載がある。(乙25の4)
2 主たる争点⑴(本件不指定処分には国家賠償法1条1項の違法があるか。)についての判断
(1) 主たる争点⑴ア(文部科学大臣がAについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとして本件不指定処分をしたことが支給法に違反するか。)について
ア 主たる争点⑴ア(ア)(本件規程13条は,支給法2条1項5号,本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱するものとして違法,無効か。)について
(ア) 委任の範囲を逸脱しているとの主張について
支給法2条1項5号は,専修学校及び各種学校については「高等学校課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの」に限り就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれるものと定め,これを受け,本件省令ハ規定は「文部科学大臣が定めるところにより,高等学校の課程に類する課程を置くものと認められるものとして,文部科学大臣が指定したもの」について,これを就学支援金制度の対象となる私立高等学校等に含まれる支給対象外国人学校としている。
控訴人らは,支給法2条1項5号の委任により定められた本件省令ハ規定が定める「高等学校の課程に類する課程を置くもの」の「課程」は,学校教育法25条,33条,48条,52条及び66条所定の「教育課程」と同義と解すべきであるところ,法令に従った適正な学校運営等の要件を満たすことを求める本件規程13条は,上記の「教育課程」の内容を逸脱した定めを置くものであって,委任の範囲を逸脱していると主張する。
しかし,学校教育法128条4号等によれば,「課程」と「教育課程」とは明らかに異なる文言として使い分けられているところ,同法66条は「中等教育学校の課程は,これを前期3年の前期課程及び後期3年の後期課程に区分する。」と定め,同法125条2項は「専修学校の高等課程においては,(中略)中学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて前条の教育を行うものとする。」と定めていることから,これらの規定にいう「課程」とは,学校が提供し,生徒等が履修すべき体系化された教育そのものを指すものと解される。そして,同法が,学校に対して法令に従った学校運営の適正を求めていることからすれば,上記の「体系化された教育」は,法令に従って適正に運営されている学校により提供されるものであることが前提とされているというべきである。支給法及び本件省令において,学校教育法におけるのと異なる意味内容のものとして「課程」の文言を用いる合理的理由は見当たらないことなどを勘案すれば,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の「課程」とは,高等学校学習指導要領等における「教育課程」に限らず,広く教育内容,学校の組織及び運営体制も含むものと解すべきである。
この点,就学支援金制度が,高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り,もって教育の機会均等に寄与することを目的とし(1条),支給対象高等学校等(6条)の設置者が,受給権者に代わって就学支援金を受給し,受給権者の授業料に係る債権の弁済に充てることとする(8条)という仕組みを採用していることからすると,支給法は,公的な資金から支出される就学支援金が受給権者である生徒等に対する授業料に係る債権に確実に充当されることを要請しているものであって,設置者によって他に流用されるおそれが否定できないにもかかわらず,就学支援金を支給することを許容するものとは解されない。
そして,就学支援金制度の対象とされる私立高等学校及び専修学校(高等課程)については,財務関係を含む学校運営の適正が求められており(学校教育法14条,42条,43条,62条,133条,学校教育法施行規則66条ないし68条,189条,私立学校法25条1項,47条参照),それによって就学支援金が授業料に係る債権の弁済として確実に充当が行われることを確認できる態勢等の整っていることが,就学支援金を支出するための当然の前提となっているものと考えられるところ,そうであるとすれば,外国人学校についても,就学支援金制度の対象となるためには,同様に,就学支援金が授業料に係る債権の弁済として確実に充当が行われることを確認できる態勢等の整っていることが,前提となるものというべきである。
そうすると,就学支援金の授業料に係る債権の弁済への確実な充当が行われることや,高等学校の教育課程の履修を含む学校運営が法令に従った適正なものであると認められることを要するものとした本件規程13条は,上記の就学支援金制度等の趣旨を踏まえたものであって,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の委任の範囲内において定められたものということができる。
(イ) 本件規程13条が違法,無効であるとの控訴人らのその他の主張について
これに対し,控訴人らは,本件規程13条が定める法令に従った適正な学校運営等の要件は,学校教育法の専修学校に関する規定や私立学校法には定めがなく,本件省令1条1項2号イ又はロの外国人学校にもなく,本件省令ハ規定に基づく外国人学校に対してのみ特別に加重された要件であり,Aの生徒に対する不合理な差別である旨の主張をする。
しかしながら,就学支援金制度の対象とされる私立高等学校及び専修学校(高等課程)についても,法令上,財務関係を含む適正な学校運営が求められていることは前記のとおりである。そして,「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定める」各種学校を就学支援金の支給対象となる学校とする旨を定める支給法2条1項5号の文言等からすると,支給法は,高等学校の課程に類する課程を含む適正な学校運営を求める学校教育法や私立学校法の規定ないしその趣旨に適合するものと認められない各種学校を就学支援金制度の対象となる学校とするものではないと解されるところ,本件省令ハ規定の外国人学校については,本件省令1条1項2号イ又はロの外国人学校とは異なり,「高等学校の課程に類する課程」を有することについて制度的担保がされていないものであるから,本件規程13条においてこれらの要件を定めたものと理解することができる。そうであるとすれば,本件規程13条が,本件省令ハ規定の外国人学校に対してのみ特別の要件を加重して課すものということはできず,控訴人らの主張は採用できない。
(ウ) 主たる争点(1)ア(ア)についてのまとめ
したがって,本件規程13条は,支給法2条1項5号及び本件省令ハ規定の委任の範囲を逸脱したものと認めることはできず,主たる争点(1)ア(ア)についての控訴人らの主張は採用することができない。
イ 主たる争点(1)ア(イ)(Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断は,重要な事実の基礎を欠き,又は判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとして,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法か。)について
(ア) 判断の枠組み
支給法2条1項5号は,各種学校につき「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り」就学支援金の支給対象とするものと規定し,いかなる各種学校が支給対象となるかの定めを文部科学大臣の定める文部科学省令に委任している。これは,学校教育法1条の規定する学校及び専修学校として認可を受けることができないものの(同法1条,124条,134条参照),後期中等教育を行っている外国人学校が存在し,そのような外国人学校についても就学支援金の支給対象とし,もって教育の機会均等を図ることが支給法の目的に照らして望ましいと考えられる一方,各種学校には様々な学校が存在し,その教育課程や形態について制度的,客観的な基準が存在しないことから,いかなる学校の生徒等に対して就学支援金を支給すべきかについては,その性質上,教育行政に通暁した文部科学大臣の専門的,技術的な判断に委ねるべきであるとの趣旨に基づくものであると解される。
そして,上記の各種学校のうち,とりわけ本件省令ハ規定が定める外国人学校については,「高等学校の課程に類する課程」を置いていることが制度的に担保されていないことを受け,本件規程13条において,支給対象外国人学校の指定基準の一つとして,就学支援金が授業料に係る債権に確実に充当される学校であることや,法令に基づく適正な学校運営が行われている学校であることを定めるものであり,このような同条の規定内容等に照らせば,本件規程13条の要件適合性の判断には,対象となる外国人学校の運営状況等についての専門的評価を必要とするものと解されるのであって,その判断は,文部科学行政に通暁した文部科学大臣の専門的,技術的判断に基づく合理的裁量に委ねられているものというべきである。
そして,その司法審査においては,本件規程13条の要件適合性に関する文部科学大臣の判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるものと解するのが相当である。
(イ) 朝鮮高校に関する「不当な支配」の考慮について
a 考慮要素としての許容性について
本件規程13条の要件適合性の判断に当たり,法令に基づく適正な学校の運営がされているか否かについては,検討会議報告書の内容にも照らし,判断の過程においても十分考慮されるべきものというべきである。
控訴人らは,本件規程13条が定める「法令」には,学校を名宛人とはしていない教育基本法16条1項はその性質上含まれないから,本件規程13条の要件適合性の判断に当たり,同法16条1項が定める「不当な支配」の有無について考慮することは許されない旨を主張する。
しかし,教育基本法は,全ての教育関係法規の基本法としての性質を有し(同法前文,18条参照),教育関係法令の解釈及び運用については,法律自体に別段の規定がない限り,できるだけ教育基本法の規定及び同法の趣旨,目的に沿うように考慮が払われなければならないのであるから(最高裁昭和43年(あ)第1614号同51年5月21日大法廷判決刑集30巻5号615頁),同条の「法令」から教育基本法が排除されているとは考え難く,そうであれば,本件規程13条の要件適合性を判断するに当たり,「不当な支配」の禁止を定める教育基本法16条1項に反する学校運営が行われていないか否かについて考慮することは,当然に許容されているものと解される。この点は,教育基本法16条1項がそれ自体としては学校を直接の名宛人とするものではないとしても,その結論が左右されるものではないというべきである。
b 審査会における審査の経過等について
前記認定事実のとおり,本件申請についての審査の経過を見ると,朝鮮高校に関しては,他の外国人学校とは異なり,朝鮮総聯の朝鮮学校に対する,教育内容を含む支配関係等を指摘する各種報道や各種団体からの申入れが繰り返しされていたところであり,その旨の疑念が生じていたことが認められ,このために,平成23年11月2日開催の第4回から平成24年9月10日開催の第7回まで,継続的に審査会が開催されて,慎重な審査がされてきたことがうかがわれる。この間,複数回にわたり,審査会事務局である支援室から各朝鮮学校に対して,朝鮮総聯等との関係に関する報道の真偽等に関する書面照会が行われたところ,その回答は,基本的に朝鮮総聯等の影響を否定するものであった。しかし,他方で,回答の中には,民族科目の教科書については北朝鮮本国の学者等の意見を取り入れるため朝鮮総聯の協力を得ているといった,朝鮮高校の教育内容について朝鮮総聯の影響が及んでいると疑われる回答が見られたほか,学園法人の役員は教職員,保護者等から選出されているところ,保護者,卒業生は朝鮮総聯関係者等であるという趣旨の回答や,校長は在日本朝鮮人教職員同盟等の役員となっている(前記認定の公安調査庁の調査によれば,在日本朝鮮人教職員同盟は朝鮮総聯傘下の団体とされている。)との回答が見られた上,さらに,Xの役員及び評議員の名簿によれば,理事兼評議員である朝鮮高校の校長が朝鮮総聯関連団体である県在日本朝鮮人教職員同盟の委員長を兼任しているほか,複数の理事及び評議員が朝鮮総聯又はその関連団体の役職員を務め,かつ,多くの評議員が朝鮮総聯の福岡県又は県内の支部の組織の役職員を現職で務めているものとされており,このように,Aの運営体制に関わる人事について朝鮮総聯の影響が強く及んでいると疑われる回答が見られたのであり,前記報道等から生じた疑念を払拭するにはおよそ十分なものとは言い難いものであった。
現に,審査会の委員からも,朝鮮総聯と朝鮮学校の関係など学校運営に不透明なことがあれば,疑念がないようクリアにしていく必要がある,教育的な影響力が,どの程度生徒に及んでいるかを把握しておく必要があるなどと,朝鮮学校と朝鮮総聯との関係についてなお疑問があることを内容とする意見が出されていたところである。
c 公安調査庁の調査結果等について
また,Aを含む朝鮮高校については,公安調査庁が,朝鮮総聯について繰り返し破壊活動防止法等に基づく調査対象としている旨を表明してきたところ,その調査結果として公表されている「内外情勢の回顧と展望」には,朝鮮総聯が,北朝鮮の朝鮮労働党幹部から思想教育の徹底などを図るよう指導を受け,朝鮮学校をその中心的役割と位置付けた上で,朝鮮総聯傘下の「学友書房」が作成した教科書を一律に使用させることとしていること,朝鮮学校の教職員や生徒を朝鮮総聯傘下の在日本朝鮮人教職員同盟や在日本朝鮮青年同盟に加入させて思想教育を行っていること,朝鮮学校の生徒勧誘活動や会員に対する思想教育活動などへの組織強化に向けた活動に集中的に取り組んだことなどが記載され,同庁長官及び法務大臣が,国会答弁において,朝鮮総聯の影響が,朝鮮学校の教育内容,人事,財政に及んでいるとの政府見解を示してきたところであった。
そして,朝鮮総聯のホームページや朝鮮総聯中央常任委員会作成の冊子においても,朝鮮学校は,学校運営法人ではなく,教育会が朝鮮総聯の協力のもとに朝鮮学校の運営をしている旨の記載がされるなど,朝鮮総聯自身が,朝鮮学校の管理運営など,密接な組織的関係を肯定していたものと見られる。
以上の公安調査庁の調査結果等は,朝鮮総聯が,朝鮮高校と密接な関係を有し,その学校運営に対して相当の影響力を行使しているとの合理的な疑いを生じさせるものであるところ,前記説示のとおり,朝鮮総聯が,朝鮮学校における教科書の一律使用をしていることや朝鮮総聯傘下の団体に加入させて思想教育を行っているとの指摘がされていることなどに照らせば,その影響力は,朝鮮高校の教育内容にまでわたっているものと見られるのであって,このことは,朝鮮高校を含む朝鮮学校が,その教育について朝鮮総聯から「不当な支配」を受けているとの合理的な疑念を抱かせるには十分なものであったと考えられる。
d 小括
以上のとおり,朝鮮高校については,その教育について朝鮮総聯からの「不当な支配」を受けているとの合理的疑念があり,このような「不当な支配」に関する事情は,教育基本法16条1項に反する学校運営に当たるものとして,本件規程13条の「法令に基づく学校の運営を適正に行」っているか否かについての判断に当たって重要な要素として考慮されるべきものであるから,判断過程において上記の点を重視することには,合理性があるものと認められる。
そして,朝鮮高校につき,その教育について朝鮮総聯から「不当な支配」を受けているとの合理的疑念が払拭されない以上,Aが,法令に従った適正な学校の運営が行われていることを要件とする本件規程13条に適合していると認めるに至らないとした判断内容についても,合理性が認められるものといえる。
(ウ) Aの補助金使用に対する指導状況等の考慮について
控訴人らは,Aについては,北九州市から継続的に交付されていた補助金の目的外流用に関する指摘を受けたことがなく,財務諸表なども適式に作成しているのであって,本件規程13条の要件適合性の判断において,これらの事情を十分考慮すべきであるのに考慮されていない旨を主張する。
しかし,前記認定の審査会の審査の過程においては,Aに関する借入れ状況や財務状況,補助金の交付や指導状況についても詳しく調査が行われてきたところであって,控訴人らが主張するように,目的外使用などの点についての行政からの指導の事実はうかがわれなかったものの,過去に補助金の重複交付を受けていた事実なども明らかになったところであり,何らの問題も指摘されなかったというものではない。そして,これらの事情についても考慮された一方,前記の「不当な支配」に関する合理的疑念が払拭されないことから,本件規程13条に適合すると認めるに至らないものと判断されたのであって,考慮すべき事情を考慮していないとの控訴人らの主張は採用できない。
(エ) 文部科学大臣の判断に対するその他の控訴人らの主張について
控訴人らは,前記文部科学大臣の判断について,① 本件申請に対する審査は,従来の国会答弁などにおいても「教育上の観点から制度的・客観的に判断する」とされてきたのであるから,報道や団体の申入書などの信用性の低い資料や,教育上の観点から調査されたものではない公安調査庁の調査結果などを考慮することは許されない,② 本件規程の制定過程における検討会議報告書においては,教育内容に立ち入った審査を行うことは判断の基準としないとされていたのに,実際の審査会における審査は,過度に教育内容に立ち入ったものであり,合理性がない,③ B大臣が拉致問題の進展がないことなどをその理由とする発言をしたことなどに照らし,政治的,外交的事項を考慮したものであって,考慮すべきでない事情を考慮したものである旨の主張をする。
a しかし,上記①の主張については,前記説示のとおり,朝鮮学校や朝鮮総聯に関する各種報道や団体申入書などの資料については,審査会などにおいて慎重な審査を行っていくための契機となったものとは考えられるが,上記資料を直接判断の資料に用いたものではなく,その内容の真偽については,各朝鮮学校に対し書面照会を行って回答を得るなどした上で,更に審査・判断をするという手順を踏んでおり,このような限度で上記報道等の資料を考慮したとしても,合理性を欠くものとはいえない。
また,公安調査庁の調査結果については,前記説示のとおり,同庁は,破壊活動防止法の規定による破壊的団体の規制に関する調査等を任務及び所掌事務とし,専門的な調査,分析能力を備えた機関であって,朝鮮総聯については長年その調査対象としてきたことなどをも踏まえると,これらの調査の結果については十分信用するに足りるものであると考えられる。もとより,これらの調査結果が教育上の観点を踏まえたものではないということは控訴人らが主張するとおりであるが,教育上の観点からどのように評価するかについては,むしろ,本件申請に関する審査・判断における問題であって,公安調査庁の調査結果を考慮すること自体が許されないものとはいえない。
b また,上記②の主張については,そもそも,前記検討会議報告書においても,基準のポイントのうち,「① 修業年限,教育課程及び教育水準」として,各教科等における個々の具体的な教育内容が直接判断の基準とされることはない旨が述べられているにとどまり,「③ 法令に基づく適正な学校の運営」の判断に当たって,その一事情として教育内容についても考慮の対象とすることまで否定するものとは解されない。審査会においても,このような観点から,朝鮮高校でどのような教育が行われているかについて一定の調査が行われたものと考えられるのであり,また,その調査・判断は,個別の教育内容・指導内容について踏み込んで審査・検討がされたというものでもないことからすると,このような判断の過程が合理性を欠くものとは認められない。
c さらに,上記③の主張については,前記認定事実のとおり,B大臣発言においては,確かに本件不指定処分に関する会見の場面で,拉致問題の進展等にも言及がされている。
しかし,本件不指定処分に際しての通知に掲げられた処分理由には,拉致問題を始めとした政治的,外交的事項は一切言及がない上,審査会の審査の過程において,拉致問題等の問題が調査及び議論の対象とされた形跡は認められない。そして,上記B大臣発言においても,拉致問題の点のみならず,審査会で重要な問題として取り上げられた,朝鮮学校と朝鮮総聯との密接な関係の点についても明確に言及がされているところであって,これらによれば,上記B大臣発言から,本件不指定処分について,政治的,外交的問題が考慮されたものと認めることはできない。したがって,この点に関する主張も採用できない。
(オ) 主たる争点(1)ア(イ)についてのまとめ
以上によれば,Aが本件規程13条の規定に適合していると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断が,重要な事実の基礎を欠き,又は判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものとして,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認めることはできない。
したがって,主たる争点(1)ア(イ)についての控訴人らの主張は採用することができない。
ウ 主たる争点(1)アについてのまとめ
以上のとおり,本件規程13条の規定は,支給法2条1項5号,本件省令ハ規定の委任の範囲を超えるものとはいえず,Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるともいえないから,争点(1)アについての控訴人らの主張は採用することができない。
(2) 主たる争点(1)イ(文部科学大臣が本件省令ハ規定を削除したとして本件不指定処分をしたことが支給法等に違反するか。)について
ア 主たる争点(1)イ(ア)(本件省令ハ規定の削除は,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものといえるか。)について
控訴人らは,本件不指定処分の理由は,本件省令ハ規定の削除であるところ,それによって控訴人らの権利又は法的利益を侵害されたのであるから,これを理由とする本件不指定処分も,国家賠償法1条1項上違法なものとなると主張する。
前記前提事実(3)オのとおり,本件不指定処分の通知に際しては,その理由として,Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと(本件理由②)のみならず,本件省令ハ規定の削除(本件理由①)も掲げられていたものである。
しかしながら,控訴人らの上記主張は,本件省令ハ規定が削除されていなければ,本件申請に基づいてAについて支給対象外国人学校の指定がされていたはずであるとの前提に立って,上記削除がされて上記指定がされなくなったことにより,上記指定がされていれば控訴人らが得られたはずの権利又は法的利益を侵害されたとして,それによる損害の賠償を請求するという趣旨に解される。
しかしながら,前記説示のとおり,本件規程13条の規定が支給法2条1項5号,本件省令ハ規定の委任の範囲を超えるものとはいえず,Aについて本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるともいえないのであり,その場合,本件申請は,本件省令ハ規定が削除されていなかったとしても,支給対象外国人学校の指定を受けるための実体要件を欠くことになり,文部科学大臣は,そのことを理由として,Aについて本件省令ハ規定に基づく指定をしない処分をすることもできることになる。
そうすると,本件省令ハ規定の削除がされていなければAについて本件省令ハ規定に基づく文部科学大臣の支給対象外国人学校の指定がされた高度の蓋然性があった,とはいえないこととなり,本件省令ハ規定が削除されたこととAについて文部科学大臣の指定がされなかったことにより控訴人らが被ったと主張する損害との間に因果関係があるとは認められないというべきである。
したがって,控訴人らの前記主張は,その前提において失当というべきであり,本件省令ハ規定の削除の違法に関する控訴人らの主張については,判断する必要がない。
イ 本件省令ハ規定の削除自体が控訴人らの権利又は法的利益を侵害するとの控訴人らの主張について
なお,控訴人らは,本件省令ハ規定の削除それ自体が,控訴人らが就学支援金を受給する利益を将来にわたり閉ざすものであることなどにより,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものとして独自の損害がある旨を主張する。
しかしながら,控訴人らは,本件省令ハ規定に基づきAが支給対象外国人学校に指定されて初めて,就学支援金の受給を得る地位を有するに至るのであって,それに至らない段階においては,Aが本件省令ハ規定に基づく支給対象外国人学校として認められれば受給資格を得られるとの抽象的な期待を有するにとどまる。したがって,このような事実上の期待を有するにとどまる限り,本件省令ハ規定の削除が,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものとは認められず,国家賠償法1条1項の違法に当たるとは考え難い。
また,控訴人らは,本件省令ハ規定の削除によって,九州朝鮮学校が就学支援金制度の対象となるには,学校教育法1条の学校(いわゆる1条校)になるほかなく,そのためには民族教育を放棄せざるを得ないから,同削除は,控訴人らの民族教育を受ける権利の放棄を迫るものとして,就学支援金の受給とは別個の権利又は法的利益を侵害するものであって,国家賠償法1条1項の違法に当たる旨の主張をする。
しかし,上記主張は,結局のところ,本件省令ハ規定が削除されずに存続していた場合には,九州朝鮮学校が同規定に基づき支給対象外国人学校として指定される可能性が高かったことを前提とするものと考えられるところ,前記説示のとおり,九州朝鮮学校については,少なくとも,本件不指定処分時においては,本件省令ハ規定に基づく支給対象外国人学校に指定されるための実体要件を欠くものであったし,将来のいずれかの時点で,上記実体要件を備える可能性が残されているとしても,それは未だ抽象的な可能性にすぎないものというべきであるから,このような抽象的可能性を前提として,本件省令ハ規定の削除が,控訴人らの民族教育を受ける権利の放棄を迫るものとする上記主張は,その前提を誤ったものであって,採用の限りではない。
以上のとおり,本件省令ハ規定の削除自体が,控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものとはいえず,この点においても,争点(1)イ(ア)における控訴人らの上記損害主張は採用することができないから,上記損害主張との関係においても,本件省令ハ規定の削除の違法に関する控訴人らの主張について判断する必要がない。
ウ 主たる争点⑴イについてのまとめ
したがって,主たる争点⑴イについての控訴人らの主張は,争点(1)イ(イ)について判断するまでもなく,採用することができない。
(3) 小括
以上のとおり,主たる争点(1)についての控訴人らの主張は,採用できない。
3 控訴人らの主張する本件不指定処分のその他の違法事由についての判断
(1) 本件不指定処分の違法事由に関する主張の内容及びこれらの主張に対する判断
控訴人らは,以上のほか,本件不指定処分について,① 事前に審査会の意見を聴取することを義務付けている本件規程15条に違反する,② 本件不指定処分の手続が,行政手続法6条,7条及び8条に違反する,③ 控訴人らの憲法及び国際人権規約上の人権を侵害する旨の主張をするので,以下検討する。
ア 本件規程15条違反の主張(上記①)について
控訴人らは,平成24年9月10日以降審査会が開催されず,審査の最終結果も出されていない状況で行われた本件不指定処分は,文部科学大臣が本件省令ハ規定に基づく指定を行うに当たり,あらかじめ教育制度に関する専門家その他の学識経験者で構成される会議の意見を聴取する旨を定めた本件規程15条に反し違法であると主張する。
しかし,本件規程15条において,審査会の「意見を聴くものとする」とされている規定内容に加え,本件規程の制定過程における検討会議報告書においても,「審査は,教育制度の専門家をはじめとする第三者が,専門的な見地から客観的に行い,対象とするかどうかについて意見を取りまとめ,最終的には,文部科学大臣の権限と責任において,外国人学校の指定がなされることが適当である」とされていることからすれば,審査会における意見は,文部科学大臣の判断の参考資料として用いられることが予定されており,必ずしも,処分に当たって審査会の最終的な意見を聴取することが義務付けられているわけではないものと解される。
また,第7回審査会までにおいて,教育基本法16条1項の「不当な支配」の有無等につき議論がされたものの,結論を出すには至らず,この審査会において指定の可否を議論し結論を出すのは限界があるのではないかという意見まで出されていた状況にあった。
このような審査会の議論状況をも踏まえると,文部科学大臣において,審査会の最終意見を聴取することなく,それまでの審査会で出された委員の種々の意見やその審査の過程で収集した資料等を考慮して,本件不指定処分を行ったとしても,そのことが本件規程15条に違反するものと認めることはできない。
イ 行政手続法違反の主張(上記②)について
控訴人らは,(ア)本件省令ハ規定に基づく支給対象外国人学校の指定に関し,標準処理期間が定められていなかったことが行政手続法6条に違反する,(イ)本件不指定処分が,申請から処分までに長期間を要したもので,行政手続法7条に違反する,さらに,(ウ)本件不指定処分の処分理由として提示された理由が十分なものとはいえず,行政手続法8条に違反する旨の主張をする。
しかしながら,Aが本件規程13条に適合すると認めるに至らないとした文部科学大臣の判断に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法はなく,本件申請が,本件省令ハ規定に基づく支給対象外国人学校の指定をするための実体要件を欠くものであることは前記説示のとおりである。そうすると,仮に,本件不指定処分につき行政手続法6条,7条又は8条の違反があり,処分取消事由を構成するような手続瑕疵があって,改めて適法な手続を経た上で申請者の手続的利益を回復すべきものであるとしても,本件不指定処分が前記説示のとおり実体要件を欠く以上,上記の手続的瑕疵が,本件申請に係る申請者ではない控訴人らの権利又は法的利益を侵害するものとはいえない。そうすると,上記主張に係る行政手続法違反の点の主張は,控訴人らが主張する本件不指定処分による権利又は法的利益の侵害との間に因果関係があるとはいえないというべきである。
ウ 憲法及び国際人権規約上の人権侵害に関する主張(上記③)について
原判決「事実及び理由」欄第3の5(原判決83頁7行目から84頁7行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する(ただし,原判決83頁7行目の「被告によるハ規定の削除と」を削除し,8行目の「A規約」を「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」に改め,18行目及び20行目の「朝鮮高級高校」を「朝鮮高校」に改める。)。
(2) 小括
以上のとおり,本件不指定処分の国家賠償法上の違法に関する控訴人らの主張のうち,主たる争点⑴に係るもの以外のものも,採用することができない。
4 控訴人らの請求についての判断のまとめ
以上によれば,本件不指定処分が国家賠償法上違法であるとする控訴人らの主張は理由がないから,その余の争点(争点(損害)及び争点(相互保証の有無))を判断するまでもなく,控訴人らの請求は理由がない。
第4 結論
したがって,控訴人らの本件請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴はいずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
福岡高等裁判所第1民事部
(裁判長裁判官 矢尾渉 裁判官 佐藤拓海 裁判官 伊賀和幸)
別紙
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【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
政治ポスター貼りドットウィン!「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい!」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績!
(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏0120-860-554(貼ろう!ここよ!) ✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。
(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!













































































































