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裁判年月日 平成31年 3月 6日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(ワ)560号
事件名 賃金等請求事件
文献番号 2019WLJPCA03068001
出典
裁判年月日 平成31年 3月 6日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(ワ)560号
事件名 賃金等請求事件
文献番号 2019WLJPCA03068001
大阪市〈以下省略〉
原告 X1労働組合
同代表者 A
兵庫県豊岡市〈以下省略〉
原告 X2
上記両名訴訟代理人弁護士 北本修二
同 久堀文
兵庫県養父市〈以下省略〉
被告 株式会社Y1
同代表者代表取締役 Y3
兵庫県養父市〈以下省略〉
被告 株式会社Y2
同代表者代表取締役 Y3
兵庫県養父市〈以下省略〉
被告 Y3
上記3名訴訟代理人弁護士 西山宏昭
主文
1 被告株式会社Y1及び被告Y3は,原告X1労働組合に対し,連帯して165万円及びこれに対する平成27年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告株式会社Y2は,原告X2に対し,301万2796円及び別紙「未払賃金計算書1」及び「未払賃金計算書2」の各「差額(請求額)」欄記載の各金員に対する同「給与支給日」欄記載の各日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告株式会社Y2及び被告Y3は,原告X2に対し,連帯して33万円及びこれに対する被告株式会社Y2につき平成29年2月11日から,被告Y3につき同月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
5 訴訟費用は以下のとおりとする。
(1) 原告X1労働組合及び被告株式会社Y1に生じた費用の各20分の17並びに被告Y3に生じた費用の20分の12を原告X1労働組合の負担とする。
(2) 原告X2及び被告株式会社Y2に生じた費用の各16分の3及び被告Y3に生じた費用の20分の1を原告X2の負担とする。
(3) 原告X1労働組合に生じた費用の40分の3及び被告株式会社Y1に生じた費用の20分の3を被告株式会社Y1の負担とする。
(4) 原告X2に生じた費用の32分の13及び被告株式会社Y2に生じた費用の16分の13を被告株式会社Y2の負担とする。
(5) 原告X1労働組合に生じた費用の40分の3,原告X2に生じた費用の32分の13及び被告Y3に生じた費用の20分の7を被告Y3の負担とする。
6 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 被告株式会社Y1及び被告Y3は,原告X1労働組合に対し,連帯して1100万円及びこれに対する平成27年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 主文第2項同旨
3 被告株式会社Y2及び被告Y3は,原告X2に対し,連帯して110万円及びこれに対する被告株式会社Y2につき平成29年2月11日から,被告Y3につき同月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
1 本件事案の概要
本件は,労働組合である原告X1労働組合(以下「原告組合」という。)及びその組合員である原告X2(以下「原告X2」という。)が,被告らに対し,それぞれ次のとおり請求している事案である。
(1) 原告組合の請求
原告組合は,被告株式会社Y1(以下「被告Y1社」という。)が原告組合の組合員であった被告Y1社の従業員らに対して行った人事上の措置や,原告組合からの団体交渉申入れに応じなかったこと等が,労働組合法(以下「労組法」という。)7条各号の不当労働行為として原告組合に対する不法行為を構成し,被告Y1社の代表者である被告Y3(以下「被告Y3」といい,被告Y1社と併せて「被告Y1社ら」という。)もこれらの不法行為について責任を負うなどと主張して,被告Y1社らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,連帯して1100万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成27年9月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。
(2) 原告X2の請求
原告X2は,①雇用主である被告株式会社Y2(以下「被告Y2社」という。)が,原告X2に対して賃金を全額支払っていないなどと主張して,被告Y2社に対し,労働契約に基づく賃金請求として,合計301万2796円及びその内金に対する各支給日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告Y2社が,原告X2に対して行った上記の賃金未払その他の人事上の措置等が,原告X2に対する不法行為を構成し,その代表者である被告Y3もこれらの不法行為について責任を負うなどと主張して,被告Y2社及び被告Y3(以下,併せて「被告Y2社ら」という。)に対し,不法行為に基づく損害賠償請求として,連帯して110万円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日(被告Y2社につき平成29年2月11日,被告Y3につき同月18日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めている。
2 前提事実(争いがない事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)
(1) 当事者等
ア 被告ら
(ア) 被告Y1社は,生コンクリートの製造,販売等を業とする株式会社である(甲総1)。
(イ) 被告Y2社は,土木工事の施工,請負等を業とする株式会社である(甲総2)。
(ウ) 被告Y3は,被告Y1社及び被告Y2社の代表者である(甲総1,2,乙総1)。
イ 原告ら
(ア) 原告組合は,近畿2府4県を中心にセメント,生コンクリート産業,トラック産業その他の一般業種の労働者により組織された労働組合であり,その下部組織として,被告Y1社の従業員により組織されたa分会及び被告Y2社の従業員により組織されたb分会を設置している(以下,原告組合の上記各分会を,それぞれ「a分会」,「b分会」という。)。
(イ) 原告X2は,被告Y2社の従業員であり,原告組合の組合員である。
ウ その他の関係者等
B,C,D及びE(以下,それぞれ「B」,「C」,「D」及び「E」という。)は,いずれも被告Y1社の元従業員であり,原告組合の組合員又は組合員であった者である。
(2) 原告組合と被告Y1社との間の労使協定締結の経緯等
ア Bは,平成11年4月,ミキサー車運転手として被告Y1社に入社し,平成12年7月,被告Y1社の他の従業員2名と共に,原告組合に加入し,a分会を結成した。なお,Bを除く上記2名は,その後,原告組合を脱退した。
(甲総12)
イ 原告組合及び被告Y1社は,平成14年12月12日,組合員に影響を与える問題(労働条件等の変更)については,労使間で事前に協議し労使合意の上,円満に行うこと等を内容とする労使協定(以下「本件協定」という。)を締結した(甲総3)。
(3) B及びCに対する解雇等
ア 第一次解雇
(ア) 被告Y1社は,平成20年9月23日,同社のミキサー車運転手であったCに対し,懲戒解雇(以下「本件第一次解雇」という。)とする旨通告した。
(イ) Cは,本件第一次解雇を契機に原告組合に加入し,本件組合から被告Y1社に対して団体交渉の申入れがされるなどした上,被告Y1社に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び労働契約に基づき賃金等の支払を求める訴訟を神戸地方裁判所に提起した(神戸地方裁判所平成20年(ワ)第3374号事件)。同裁判所は,平成21年10月27日,本件第一次解雇を無効としてCの請求を一部認容する判決を言い渡し,大阪高等裁判所は,平成22年7月29日,被告Y1社による控訴を棄却し(大阪高等裁判所平成21年(ネ)第3073号事件),上記判決は,平成22年8月14日確定した。
(以上につき,甲総4,5)
(ウ) Cは,平成22年9月8日,被告Y1社に職場復帰した。
イ 第二次解雇
(ア) 被告Y1社は,平成22年11月30日付けで,B及びC(以下,併せて「Bら」という。)を含む同社のミキサー車運転手8名全員を解雇した(以下,このうちBらに対する解雇を「本件第二次解雇」という。)。
(イ) Bらは,平成23年1月21日,本件第二次解雇を不服として,被告Y1社に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び労働契約に基づき賃金等の支払を求める訴訟を神戸地方裁判所に提起した(神戸地方裁判所平成23年(ワ)第143号事件)。同裁判所は,平成24年12月27日,本件第二次解雇を無効としてBらの請求をいずれも認容する判決(以下「平成24年判決」という。)を言い渡し,大阪高等裁判所は,平成25年5月29日,被告Y1社の控訴を棄却し(大阪高等裁判所平成25年(ネ)第372号事件),平成24年判決は,平成25年6月13日確定した。
(以上につき,甲総6,7,甲A11)
(4) 大阪府労働委員会平成25年(不)第48号事件に至る経緯等
ア 原告組合は,平成25年6月初旬頃,被告Y1社に対し,Bらの職場復帰について,団体交渉を申し入れた。
原告組合及び被告Y1社は,同月12日,19日及び26日の3回にわたり,団体交渉をした(以下,それぞれ「6月12日団交」,「6月19日団交」及び「6月26日団交」といい,これらを総称して「平成25年6月団交」という。)。このうち6月12日団交及び6月19日団交には,被告Y1社の代表者である被告Y3のほか,その顧問と称するF(以下「F顧問」という。)が出席した。
(甲A1ないし3)
イ 被告Y1社は,6月12日団交において,Bらに対し,自宅待機を命じた(以下「本件自宅待機命令」という。)。同日以降,Cは,被告Y1社を退職した平成25年7月31日まで,Bは,平成27年3月中旬頃まで,一度も被告Y1社に出勤することはなかった。
(甲A1)
ウ 原告組合は,平成25年7月12日,被告Y1社に対し,Bらの自宅待機及び従前の職種(ミキサー車運転手)への復帰を議題として団体交渉を申し入れた。
これに対し,被告Y1社は,同月17日,原告組合に対し,「裁判に向けて手続き中の相手とは,団体交渉はできません。裁判所でお願いします。」などと記載した書面をFAX送信した。
(甲A4,5)
エ 原告組合は,平成25年7月25日,被告Y1社に対し,再度,団体交渉を申し入れた(以下,上記ウの団体交渉の申入れと併せて「平成25年7月団交申入れ」という。)。
これに対し,被告Y1社は,同月29日,原告組合に対し,「8月下旬~9月には裁判が始まります。その裁判の相手とは団体交渉できません。」などと記載した書面をFAX送信した。
(甲A6,7)
オ Cは,平成25年7月31日,原告組合を脱退し,被告Y1社を退職した(甲A8)。
カ 被告Y1社は,Bに対し,平成25年7月分(同年8月12日支給)の給与を支給する際,平成23年1月分から平成25年5月分まで29か月分の雇用保険料合計3万5073円を控除した(以下「本件控除」という。甲A9の①ないし③)。
キ 原告組合は,平成25年9月30日,大阪府労働委員会(以下「府労委」という。)に対し,不当労働行為救済命令申立てを行った(大阪府労働委員会平成25年(不)第48号事件)。府労委は,平成27年6月2日,被告Y1社が,①Bらに対し,ミキサー車運転業務に復帰させることなく本件自宅待機命令をしたこと,②自宅待機中のBに対し,外出を禁じ監視したこと,③平成25年8月12日支給のBの給与に対し,Bの同意なく本件控除をしたこと,④平成25年6月団交において,誠実に対応しなかったこと,⑤平成25年7月団交申入れに応じなかったことが,いずれも不当労働行為に当たるとして,救済命令を発した。
(甲A10,26)
(5) 大阪府労働委員会平成26年(不)第52号事件に至る経緯等
ア 被告Y1社は,平成24年判決が確定した後,Bらに対し,平成25年7月11日付けで,代理人弁護士西山宏昭(以下「西山弁護士」という。)が作成した「判決金計算書」と題する文書等を送付した上,同月12日に584万2424円,同年10月4日に900万1260円をそれぞれ支払った(甲B3の①②,甲B4,5)。
イ 上記アの支払額は,平成24年判決により被告Y1社が本来支払うべき額に対して不足していた。そこで,Bらの代理人弁護士は,平成25年10月8日頃以降,西山弁護士に対し,上記不足額の支払を催促したほか,上記(4)キの救済命令申立てに係る手続においても,被告Y1社に対し未払賃金がある旨主張したが,被告Y1社から追加の支払がされなかったため,Bらは,平成26年4月頃,神戸地方裁判所豊岡支部に対し,債権差押命令を申し立て(神戸地方裁判所豊岡支部平成26年(ル)第54号事件),同支部は,同月30日付けで,被告Y1社の預金債権を差し押さえる旨の債権差押命令を発した(以下「本件差押命令」という。)。
(甲B2,甲B4ないし6)
ウ 被告Y1社は,平成26年7月29日付けで,西山弁護士とは異なる法律事務所に所属するG弁護士ら(以下「G弁護士ら」という。)を通じ,Bに対し,懲戒解雇(以下「本件第三次解雇」という。)とする旨通知した。
上記通知に係る書面には,本件差押命令に記載された未払額は,被告Y1社がBらの代理人弁護士から提示された金額を支払ったことにより生じたものであり,Bは,自らの計算違いを差し置いて,連絡もしないまま突然債権差押命令を申し立て,その結果,被告Y1社に,取引金融機関からの経済的信用が失墜するという回復し難い重大な損害を与えたなどと記載されていた。
(甲B1)
エ Bは,平成26年8月4日付けで,代理人弁護士を通じ,G弁護士らに対し,本件第三次解雇について抗議したところ,G弁護士らは,同月7日頃までに被告Y1社の代理人を辞任した(甲B9,10の①②)。
オ 原告組合は,平成26年9月3日,府労委に対し,不当労働行為救済命令を申し立てた(大阪府労働委員会平成26年(不)第52号事件)。府労委は,平成27年10月23日,本件第三次解雇が不当労働行為に当たるとして,救済命令を発した。
(甲B12,13)
カ 被告Y1社は,平成27年2月27日付けで,西山弁護士を通じて,B及び原告組合に対し,本件第三次解雇を撤回した上,本件自宅待機命令も解除し,ミキサー車の運転業務に復帰するよう求める旨通知した(甲B11の①ないし④)。
(6) 大阪府労働委員会平成27年(不)第24号事件に至る経緯等
ア Eは,平成18年5月8日,ミキサー車運転手として被告Y1社に入社し,被告Y3から,同人が経営する焼肉店で就労することを依頼されたため,平成20年6月30日,いったん退職したが,同年9月,被告Y1社に,再びミキサー車運転手として入社した。
Eは,平成22年11月30日,Bらとともに解雇されたが,同年12月16日には,被告Y3の紹介により,被告Y3の親戚が経営するc株式会社(以下「c社」という。)に雇用され,平成23年10月28日以降,同社から被告Y1社に出向し,ミキサー車運転手として稼働していた。
Eは,平成24年12月10日,脳梗塞を発病し,同日から平成25年1月16日まで入院したが,同年2月1日から職場に復帰し,ミキサー車運転手として被告Y1社への出向を継続し,平成25年5月16日,c社を退職して被告Y1社に入社した。
(乙A5)
イ Eは,平成27年2月7日頃までに,原告組合に加入し,原告組合は,同日,被告Y1社に対し,Eの加入を通知した(甲C2)。
ウ E(昭和30年○月○日生)は,平成27年3月末日をもって定年を迎えることとなっていたところ,同年2月頃から,被告Y1社に,出勤直後に帰宅して休業するよう命じられるようになり,同月26日午後以降,ミキサー車の運転業務をしなくなった。
エ 原告組合は,平成27年3月9日,被告Y1社に対し,Eの労働条件等を議題として団体交渉を申し入れた。
オ 原告組合及び被告Y1社は,平成27年3月21日,団体交渉をした(以下「3月21日団交」という。)。
3月21日団交において,被告Y3は,原告組合及びEに対し,同年4月1日から平成28年3月31日まで,週2日各4時間勤務とし,基本給を時間給850円とすること等を記載した再雇用契約書を提示した。Eは,これに対して納得できない旨述べたが,被告Y3は,「納得しなくても31日までにサインしなければそれで退職」などと述べた。
(甲C3,4)
カ 原告組合は,平成27年3月30日付けで,被告Y1社に対し,Eの労働条件について再度の団体交渉を申し入れた(以下「平成27年3月団交申入れ」という。)
これに対し,被告Y1社は,同月31日付けで,原告組合に対し,Eは同日をもって退職とし,今後Eに関しての団体交渉は一切しない旨等を通知した。
(甲C6,7)
キ(ア) 原告組合は,平成27年4月21日,府労委に対し,不当労働行為救済命令を申し立てた(大阪府労働委員会平成27年(不)第24号事件)。府労委は,平成28年12月12日,被告Y1社が,①Eを定年後に再雇用しなかったこと及び②平成27年3月団交申入れに応じなかったことが,いずれも不当労働行為に当たるとして,救済命令を発した。
(甲C10,16)
(イ) 被告Y1社は,上記救済命令の取消しを求める訴えを大阪地方裁判所に提起した(当庁平成29年(行ウ)第5号事件)が,同裁判所は,平成29年10月11日,被告Y1社の請求を棄却した。被告Y1社は,同判決に対して控訴したが,大阪高等裁判所は,平成30年4月12日,被告Y1社の控訴を棄却した(大阪高等裁判所平成29年(行コ)第227号事件)。
(甲C15,18)
(7) 大阪府労働委員会平成27年(不)第67号事件に至る経緯
ア 被告Y2社の原告X2に対する行為等
(ア) 原告X2は,平成25年11月1日,被告Y2社に入社した。
(イ) 原告X2は,平成27年2月7日頃までに,原告組合に加入して,b分会を結成し,原告組合は,同日,被告Y2社に対し,原告X2の加入を通知した(甲E2)。
(ウ) 原告X2は,被告Y2社から,平成26年12月分の給与(平成27年1月10日支給)までは,皆勤手当として月額1万円を支給されていたが,平成27年1月分の給与(同年2月10日支給)からは,上記皆勤手当を支給されなくなった。なお,被告Y2社における給与は,同年8月分までは,毎月1日から末日までの分を翌月10日に支給されていたが,同年9月分以降は,同計算期間に係る給与を翌月12日に支給されている。
(甲E3の①ないし〈23〉,甲E13の①ないし⑱)
(エ) 被告Y2社は,平成27年3月2日,原告X2に対し,ダンプカー運転業務からミキサー車運転業務への配置転換を命じた(以下「本件配置転換」という。)。
(オ) 被告Y2社は,平成27年3月23日以降,原告X2に対し,運転業務を命じず,被告Y2社の事務所の敷地や事務所から約200m離れた場所にある倉庫の除草作業,事務所から約200m離れた場所にあるガソリンスタンド跡地のコンクリートガラを山に捨てる作業等(以下「本件除草作業等」という。)を命じ,原告X2は,同日以降,同業務に従事した。
(カ) 原告X2は,平成27年8月5日,作業中に熱中症により倒れ,豊岡病院に搬送された(甲E6,乙D2)。
(キ) 被告Y3は,平成27年9月4日以降,原告X2に対し,翌週からの休業を命じ,原告X2は,同月7日以降,出勤後すぐに帰宅するようになった。
原告X2の賃金額は日額9752円とされているところ,被告Y2社は,原告X2に対し,被告Y2社の指示により原告X2が具体的業務に従事しなかった日について,「休業手当」と称して上記日額の約6割に相当する額を支給している。
(甲E3の⑨ないし〈23〉,甲E4,13の①ないし⑱,乙E2の①ないし〈23〉)
イ 被告Y1社の原告組合の組合員に対する行為等
(ア) Dは,平成25年5月1日に被告Y1社に入社し,平成27年1月10日頃までに原告組合に加入し,原告組合は,同日,被告Y1社に対し,その旨通知した(甲D1,乙A4)。
(イ) 被告Y1社は,平成27年9月1日,D及びB(以下「Dら」という。)を含むミキサー車運転手6名に対し,被告Y2社への転籍を命じた(以下「本件転籍」という。)。
(ウ) Dらは,平成27年11月30日,原告組合を脱退した(甲D2,3)。
ウ(ア) 原告組合は,平成27年12月22日,府労委に対し,不当労働行為救済命令を申し立てた(大阪府労働委員会平成27年(不)第67号事件)。府労委は,平成29年10月2日,被告Y2社が,原告X2に対し,①平成27年1月分以降の皆勤手当を支給しなかったこと,②本件配置転換をしたこと,③本件除草作業等を命じたこと,④本件帰宅命令及びこれに伴い賃金を減額したこと,並びに⑤被告Y1社がDらに対し本件転籍を命じたことが,いずれも不当労働行為に該当するとして,救済命令を発した。
(甲D4)
(イ) 被告Y1社は,上記救済命令の取消しを求める訴えを大阪地方裁判所に提起している(当庁平成29年(行ウ)第205号事件)。
第3 本件の争点
1 原告組合の被告Y1社らに対する損害賠償請求について
(1) 被告Y1社の次の各行為の違法性等
ア Bらに対し,平成25年6月12日以降,ミキサー車運転業務に復帰させることなく本件自宅待機命令をしたこと(争点1)
イ 自宅待機中のBに対し,外出を禁止し監視したこと(争点2)
ウ 平成25年8月12日支給のBの賃金に対し本件控除をしたこと(争点3)
エ 平成25年6月団交における対応(争点4)
オ 平成25年7月団交申入れに応じなかったこと(争点5)
カ Bに対し,平成26年7月29日付けで本件第三次解雇をしたこと(争点6)
キ Eを定年後に再雇用しなかったこと(争点7)
ク 平成27年3月団交申入れに応じなかったこと(争点8)
ケ Dらに対し,平成27年9月1日,本件転籍を命じたこと(争点9)
(2) 原告組合に係る損害の有無及びその額(争点10)
(3) 被告Y1社による原告組合に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無(争点11)
2 原告X2の被告Y2社に対する未払賃金請求権について
(1) 皆勤手当請求権の有無(争点12)
(2) 休業手当支給日に係る賃金請求権の有無(争点13)
3 原告X2の被告Y2社らに対する損害賠償請求について
(1) 被告Y2社の次の各行為の有無又はその違法性
ア 平成27年1月分以降,皆勤手当を支給しなくなったこと(争点14)
イ 平成27年3月2日,本件配置転換を命じたこと(争点15)
ウ 平成27年3月23日以降,本件除草作業等を命じたこと(争点16)
エ 平成27年9月7日以降,出勤後すぐに帰宅させ,これに伴い賃金支給額を減額したこと(争点17)
(2) 原告X2に係る損害の有無及びその額(争点18)
(3) 被告Y2社による原告X2に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無(争点19)
第4 争点に対する当事者の主張
1 争点1(被告Y1社が,Bらに対し,平成25年6月12日以降,ミキサー車運転業務に復帰させることなく本件自宅待機命令をしたことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) Bらは,本件自宅待機命令によって,出社を拒否され就労できないことによる精神的不利益を受けたほか,就労していれば取得できたはずの残業や休日出勤の対価を取得できないという経済的不利益を受けた。
被告Y1社は,府労委における手続において,原告組合を嫌悪していることを認めているところ,本件自宅待機命令に合理的理由は存在せず,被告Y1社が,ミキサー車運転手のうち原告組合の組合員であるBらのみを自宅待機としたこと等に照らすと,本件自宅待機命令は,Bらが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
(2) これに対し,被告Y1社らは,本件自宅待機命令の理由について,Bらが職場復帰する際に,既に同社が保有する全てのミキサー車に担当者が割り当てられていたため,運転手の定員が超過していた旨主張する。
しかしながら,①ローテーション制によりミキサー車に交替で乗務することも可能であり,現に被告Y1社において1台のミキサー車に複数の運転手が交替で乗務していたが,不都合はなかったこと,②Bらを除く7名の運転手と比較して,Bらのみに対して自宅待機を命じ続ける合理的理由はないこと,③被告Y1社は,平成24年判決が言い渡された後,ミキサー車の保有台数を増やすほどの安定受注があるわけでもなかったにもかかわらず,平成25年3月18日から同年5月16日にかけて4名のミキサー車運転手を新たに雇い入れ,Bらにミキサー車の運転業務をさせない意図があったことがうかがわれること,以上の点に照らすと,本件自宅待機命令に合理的理由があったとはいえない。
【被告Y1社らの主張】
(1) 本件自宅待機命令は,Bらに精神的不利益を及ぼすものではなく,経済的不利益も現実には発生していない。
(2)ア 被告Y1社は,Bらが復帰した当時,ミキサー車を7台保有していたが,それぞれに担当の運転手が存在していた。被告Y1社では,創業以来,ミキサー車1台につき1名の運転手を割り当てて,メンテナンスや洗浄も含めた管理責任の所在を明確にしており,原告組合が主張するようなローテーション制は採用していなかった。運転手が,その担当でないミキサー車に乗務することもないわけではないが,運転手が急病等で欠勤したときなどの例外的措置にすぎない。
イ 被告Y1社では,平成21年にコンクリートガラ混入に係る問題が発生して以降,公共工事の受注ができなくなったことにより受注量が大幅に減少し,平成22年には整理解雇として本件第二次解雇を行った。そして,本件第二次解雇が無効と判断されてBらが復帰した平成25年6月頃においても,受注量は従前の水準まで回復しておらず,ミキサー車の保有台数を増やすことができない状態であった。
なお,被告Y1社は,Bらが復帰する前に運転手を増員しているが,これは,その頃受注した業務により経験のある運転手が必要になったためであり,Bらの復帰を阻害する目的によるものではない。
ウ Bらが復帰した当時,ミキサー車の運転業務を担当していた7名に,問題があったわけではない一方で,Bらは本件第二次解雇以降ミキサー車に乗務しておらず,Bら及び上記7名を成績や能力によって比較することは困難であった。
エ 以上のとおり,本件自宅待機命令は,Bらが乗務すべきミキサー車が存在せず,配置転換等によりBらに従事させるべき適切な業務も見当たらないという合理的理由に基づきなされたものであって,原告組合に対する嫌悪の情を動機とするものではない。
2 争点2(被告Y1社が,自宅待機中のBに対し,外出を禁止し監視したことの有無及びその違法性)について
【原告組合の主張】
(1) 被告Y3は,6月19日団交や6月26日団交の際に,Bに対し,自宅での待機を命じ,自宅にいるか否かを確認する旨を述べた上,Bが家族を病院に送迎するため外出した際に,被告Y3やF顧問から電話で叱責されるなどの事実があったことに照らすと,被告Y1社は,Bに対し,外出を禁止し,監視していたというべきである。
(2) Bは,上記の外出禁止命令及び監視により精神的不利益を受けたところ,これらの措置に合理的理由は存在せず,被告Y1社が原告組合を嫌悪していたことに照らすと,これらの措置は,Bが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y1社は,Bに対し,本件自宅待機命令中,業務時間中に自宅から外出していないか確認し,業務時間中に外出する際は被告Y1社に届け出る必要があると指導したことはある。被告Y1社がBに業務上の連絡をした際に,Bが自己判断で外出していては不都合が生じる可能性があるため,上記指導等には業務上の必要性があった。
被告Y1社が,Bに対し,外出そのものを禁止したとか,監視を行っていたわけではない。
(2) 上記自宅待機等により,Bに精神的不利益が生じたことも否認する。
3 争点3(被告Y1社が,平成25年8月12日支給のBの賃金に対し本件控除をしたことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) 労働保険の保険料は,被保険者に賃金を支払う都度,賃金から控除することができる(労働保険の保険料の徴収等に関する法律32条1項,同法施行規則60条1項参照)が,過去の労働保険料を遡って賃金から一括控除することは,賃金全額払いの原則(労働基準法[以下「労基法」という。]24条1項)に反する。
ましてや,Bは,平成25年8月12日時点で,本件控除の対象とされた平成23年1月分から平成25年5月分までの賃金を全額支給されておらず,同年7月分の給与から約2割に相当する額を事前の告知なく控除されたことにより,経済的不利益及び精神的不利益を受けた。
(2) そして,被告Y1社が,過去の雇用保険料を徴収する必要があったのであれば,Bに対して任意の支払を求めるとか,控除について了解を得ることも可能であったことに照らすと,Bの同意なく本件控除をしたことに合理的理由は存在しない。また,被告Y1社が原告組合を嫌悪していたことに照らすと,被告Y1社がBの同意なく本件控除をしたことは,Bが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y1社は,本件第二次解雇を無効とした平成24年判決の確定を受けて未払賃金を遡及的に支払うことになったが,同判決に対して控訴した際に強制執行停止のために立てた担保を取り戻して上記未払賃金の弁済原資とすることとしたため,結果的に,平成25年7月12日と同年10月4日の2回に分けて,その弁済をすることとなった。
本件のように過去の未払賃金を一括して支払う場合には,雇用保険料を遡って一括控除することも可能であり,2回目の弁済より前に本件控除をした点は賃金全額払いの原則に反するとの指摘を免れないかもしれないが,その後,2回目の弁済がされたことにより,その瑕疵は治癒されている。
(2) したがって,被告Y1社は,原告組合に対する組合嫌悪のために本件控除を行ったのではない。
4 争点4(被告Y1社の平成25年6月団交における対応の違法性)について
【原告組合の主張】
(1) 使用者は,労働組合に対して誠実交渉義務を負い,具体的には,自己の主張を相手方が理解し,納得することを目指して,労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり,必要な資料を提示するなどし,結局において労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても,その論拠を示して反論するなどの努力をすべきであって,労使双方が当該議題についてそれぞれ自己の主張・提案・説明を出し尽くし,これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至った場合でなければ,団体交渉を正当に打ち切ることができないと解すべきである。
(2)ア 被告Y1社は,6月12日団交において,原告組合が,Bらのミキサー車運転業務への復帰を求めたのに対し,車がない,仕事がない,給料を支払っていれば問題ないなどと繰り返すのみで,具体的にミキサー車を何台保有し,運転手が何名在籍しているかの説明すら行わず,出荷量等に関する説明や資料の提示もしないなど,自己の主張を原告組合に理解させるための努力をせず,何ら実質的な議論がなされないまま,被告Y3が途中で110番通報をし,警察官が臨場して中断を余儀なくされた。
イ 被告Y1社は,6月19日団交では,原告組合がミキサー車に運転手が交替で乗務するローテーション制を提案したのに対し,具体的な根拠を示さずにこれを拒否した。
ウ 被告Y1社は,6月26日団交では,原告組合との合意を見出す努力を全くしないまま,原告組合に対する訴訟提起を予定していることを理由に開始から5分程度で交渉を打ち切った。なお,原告組合に対する訴訟提起を予定していることは,団体交渉を中止する正当な理由とはいえない。
エ 被告Y1社によるこれらの対応は,誠実交渉義務を果たしたものとはいえず,労組法7条2号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 使用者が労働組合に対して負う誠実交渉義務は,労働組合の要求を受け入れることでも譲歩することでもなく,意見が対立するときは使用者の主張や方針の理由を説明すれば足り,その際,どの程度具体的に説明し,資料を提示するかについては,交渉事項や使用者の規模・準備能力により軽減されることがあると解すべきである。
また,使用者が理由を説明しても労働組合が理解を示さず,議論が平行線になるときは,永久に交渉に応じるのではなく,交渉を打ち切ることも不誠実な団体交渉に当たらないと解すべきである。
(2)ア 被告Y1社は,6月12日団交において,原告組合がBらをミキサー車に乗務させるよう要求したのに対し,Bらに乗務させるミキサー車がないこと,Bらに従事させられる業務がないこと,自宅待機中も給与を支払うこと,被告Y1社において業務量を増加させるための努力をすること等を具体的に説明した。
その席上,被告Y3が110番通報し,警察官が臨場したが,これは原告組合が騒ぎ出したことに対処するためであり,団体交渉を妨害する目的によるものではない。
イ 被告Y1社は,6月19日団交では,ミキサー車のローテーション制について,責任の所在が不明確になるため採用できないこと等を説明しており,かかる説明は資料の提示がなくても理解可能なものである。
ウ 被告Y1社は,上記した6月12日団交及び6月19日団交において,原告組合と意見が対立し,十分な説明をしたにもかかわらず,原告組合が同じ要求を繰り返して理解を示そうとしなかったために,6月26日団交では,裁判で決着をつけると述べて交渉を打ち切ったものである。
エ 以上のとおり,被告Y1社は,平成25年6月団交において,原告組合の要求を拒絶したが,十分な説明を行ってその理解を求めていたものであり,不誠実な団体交渉を行ったということはできない。
5 争点5(被告Y1社が平成25年7月団交申入れに応じなかったことの違法性)について
【原告組合の主張】
被告Y1社は,平成25年7月12日及び同月25日付けの原告組合からの団体交渉の申入れをいずれも拒否したが,原告組合に対して訴訟提起を予定していることは,Bらのミキサー車運転業務への復帰を議題とする団体交渉を拒否する正当な理由には当たらないことからすると,被告Y1社による団体交渉拒否は,労組法7条2号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y1社らの主張】
上記4【被告Y1社らの主張】のとおり,被告Y1社は,平成25年6月団交において,十分な説明をして原告組合の理解を得ようとしたが,原告組合がその要求に固執して被告Y1社の説明に理解を示そうとしなかったことに照らすと,平成25年7月団交申入れに応じなかったことについて,正当な理由があったというべきである。
6 争点6(被告Y1社が,Bに対し,平成26年7月29日付けで本件第三次解雇をしたことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) Bが,本件差押命令に係る申立てをしたことは,確定判決に基づく正当な権利行使であったことに照らすと,本件第三次解雇は,何ら合理的理由がないことが明らかであったといえる。にもかかわらず,被告Y1社が本件第三次解雇を行ったのは,原告組合に対する嫌悪の情があったためであるというべきであって,本件第三次解雇は,Bが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
(2) これに対し,被告Y1社らは,本件第三次解雇は,未払賃金の元利金に関する被告Y1社の計算ミスに気づかず,逆に,Bが計算間違いをして予告なく本件差押命令を申し立てたと誤認し,これにより銀行に対する信用を毀損されたと判断されたためである旨主張するが,被告Y1社が,西山弁護士の算定に基づき未払賃金の元利金を支払ったのに対して,Bは,代理人弁護士を通じて上記計算の間違いを指摘し,再三にわたり不足額の支払を催促していたのであるから,被告Y1社が主張するような事実誤認をすることはあり得ないというべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y1社は,未払賃金の元利金の計算ミスにより未払賃金を全額支払ったものと認識していたため,未払賃金が存在しないにもかかわらずBが本件差押命令に係る申立てをしたものと誤認して,Bに対する本件第三次解雇を行ったが,後に自らの誤りに気がついてこれを撤回した。
(2) 以上のとおり,本件第三次解雇は組合嫌悪の情に基づくものではなく,被告Y1社に不当労働行為意思はなかった。
7 争点7(被告Y1社がEを定年後に再雇用しなかったことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) 被告Y1社は,平成18年に就業規則を改正し,満60歳の定年後,63歳までは希望者全員を定年前と同じ労働条件で継続雇用する制度を導入しており,実際に,他の従業員は,定年後も新たに再雇用契約書を作成することなく従前と同じ労働条件で継続雇用されていた。
しかるに,被告Y1社は,Eが原告組合に加入した旨通知したところ,Eに対し,週2日勤務,1日4時間勤務を前提とする従前よりも著しく低い労働条件での再雇用を提示し,Eがこれを拒否すると,Eの再雇用そのものを拒否するに至っており,被告Y1社がEを再雇用しなかったことは,Eが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
(2) これに対し,被告Y1社らは,Eに対して著しく低い労働条件を提示した理由として,Eの健康状態に問題があった旨主張する。しかしながら,①Eは,それまで他の従業員と同程度の業務量を何の問題もなくこなしており,仕事ぶりについて注意を受けることもなかったこと,②Eは,原告組合加入前の平成26年8月29日に実施された健康診断の結果について,被告Y1社から問題を指摘されなかったこと,③Eの健康診断結果について医師に相談したという被告Y1社らの主張・供述は,その内容が不合理に変遷していること,④実際に被告Y1社が医師に相談したのは,Eに対してミキサー車の運転業務を禁止した平成27年2月11日よりも後である上,その際に医師がどのような意見を述べたかは不明であること,以上の点に鑑みると,被告Y1社が,Eの健康状態を理由にEに対して低い労働条件を提示したということはできない。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y1社の就業規則には定年後に再雇用する旨の規定があるが,定年退職により一旦労働契約が終了するのであるから,再雇用の際に労働条件が変更されることも予定されているものというべきであって,使用者は,再雇用の際に定年前と同一の労働条件を提示する義務を負うものではないし,労働者は,定年前と同一の労働条件での再雇用をされる権利を有するものではない。
なお,被告Y1社において,被告Y3が定年の時期を失念していたために,定年後も労働条件が変更されず継続雇用されていた従業員がいる(その後,同従業員との間でも再雇用契約が締結された。)が,同従業員とEとでは健康状態が大きく異なり,この点をEの先例として取り扱うのは適切ではない。
(2) 被告Y1社が,Eに対し,週2日勤務,1日4時間勤務を前提とする再雇用条件を提示したのは,①Eは,平成26年8月29日に実施された健康診断において,脳梗塞,脳出血,高血圧,糖尿病,胃潰瘍を指摘されていたこと,②Eは,平成27年2月頃,ふらついたり,ろれつが回らなくなったりすることがあり,従前よりも勤務状態が悪化していたこと,③被告Y3が,上記②の点を踏まえて,Eの健康診断結果について2名の医師に相談したところ,Eが倒れる危険性があることを指摘されたこと,④被告Y3は,上記③の指摘を受けて,同月26日午後からEに運転業務をさせないようにしたこと(なお,Eは,被告Y1社を退職後,別の会社で就労中に追突事故を起こした。),⑤被告Y3は,Eの定年後の再雇用条件を検討するに当たり,労働基準監督署,職業安定所及び弁護士に対し,就業規則の解釈等について相談したところ,被告Y1社にEを再雇用する義務はないこと,再雇用の際の労働条件を定年前と同一のものにする必要はないこと,使用者の裁量により再雇用条件を提示できることなどを説明されたこと,⑥上記したEの健康状態等に加えて,その業務経験や資格等に照らすと,ミキサー車の運転業務をさせない場合には場内清掃等の業務に従事させるほかなく,それらの業務を毎日8時間実施する必要はないこと,以上の点を踏まえて合理的に判断した結果であって,原告組合やEを排除する目的でなされたものではない。
8 争点8(被告Y1社が,平成27年3月団交申入れに応じなかったことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) Eの定年後再雇用後の労働条件等に関する団体交渉は,平成27年3月21日に約15分程度行われたのみである。3月21日団交では,被告Y3が,Eに対し,再雇用契約書に署名しなければ運転業務はさせられない旨を述べ,その理由について「脳梗塞。脳貧血。糖尿。耳が遠い。その中で糖尿の数値が上がって,これ医者に二人に見てもらった。」,「いつ倒れてもおかしくない。」などと述べるものの,原告組合が再三にわたり医師名を教えるよう求めても何も答えず,Eのいかなる病状が勤務にどのような影響を与えるのか,なぜ被告Y1社提案の勤務形態になるか等について具体的な説明は全くなかった。そして,原告組合は,本件協定を根拠に実質的な協議を求めたが,被告Y3は,再雇用の条件は会社の裁量で決められるため,納得ができないのであれば退職しかない旨の言動を繰り返すのみで,自己の主張・提案について誠意をもって説明する姿勢が全くなく,誠実交渉義務を果たしたとは到底いえないものであった。よって,平成27年3月団交申入れがあった時点において,被告Y1社は,未だ自己の主張・提案の根拠を十分に説明し尽くしておらず,これ以上交渉を重ねても進展する見込みがないという段階には至っていなかった。
なお,被告Y1社らは,原告組合が定年前と同一条件での再雇用に固執したなどと主張するが,原告組合は,被告Y1社に対し,Eの労働条件を調整するための協議を求めていたのであるから,定年前と同一条件での再雇用に固執していたとはいえない。
(2) したがって,団体交渉が十分に尽くされていないことは明らかであるから,被告Y1社が平成27年3月団交申入れに応じない正当な理由があったとはいえず,被告Y1社による団体交渉拒否は,労組法7条2号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y1社は,3月21日団交において,Eの健康状態を取り上げ,脳梗塞,脳出血,糖尿病などで医師2名からいつ倒れてもおかしくないと指摘されたことから,運転業務に従事させることはできないこと,Eにおいて従事できる業務が場内清掃以外にほとんどないことを説明し,それらの業務に従事すべき時間として再雇用条件を提示した。
この点,原告組合らは,被告Y1社が上記医師の氏名を開示しなかった点を指摘するが,被告Y1社には医師の氏名を開示する義務はなく,これを開示しなかったからといって誠実交渉義務に反しているとはいえない。なお,被告Y1社が医師の氏名を開示しなかったのは,原告組合が被告Y1社を対象とする街宣活動を数年間にわたって行っており,2名の医師に迷惑を掛けたくなかったからである。
(2) 被告Y1社の上記説明及び再雇用条件の提示に対し,E及び原告組合は,歩み寄りの姿勢を見せず,定年前と同一条件で再雇用するようにとの要求を続け,Eの健康状態に関する具体的な反論をしなかった。また,Eは,自ら従事できる業務を拡大させるための努力を行なうなどの対応(例えば,脳梗塞の再発の防止や血糖値等をコントロールするために具体的な努力を行って成果を示すということ)も見せなかった。
(3) このように,原告組合と被告Y1社との間で議論は平行線となり,これ以上交渉しても進展する見込みがないと判断することができる状態であった。したがって,労使双方が当該議論についてそれぞれ自己の主張・提案・説明を出し尽くし,これ以上交渉を重ねても進展する見込みがない段階に至った場合と評価することができるから,団体交渉を打ち切る正当な理由があったというべきである。
9 争点9(被告Y1社が,Dらに対し,平成27年9月1日,本件転籍を命じたことの違法性)について
【原告組合の主張】
(1) 本件転籍について,Dらが事前に同意したことはない上,本件協定に基づく原告組合との事前協議は実施されていない(仮に,DやBが転籍に同意したとしても,事前協議を実施しないことの正当な理由にはならない。)。そして,本件転籍は,非組合員も対象とされ,これにより労働条件の大きな変更はなかったものの,Dらにとって,雇用主が被告Y1社から被告Y2社に変更されることにより,本件協定による保護を受けられなくなるという不利益を伴うものであった。
下記(2)のとおり本件転籍に合理的理由は見当たらず,被告Y1社は原告組合を嫌悪していたことに照らすと,本件転籍は,Dらが原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであるとともに,原告組合の弱体化を図った支配介入でもあり,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきである。
(2) これに対し,被告Y1社らは,本件転籍の理由について,被告Y1社及び被告Y2社の業務量が減少しており,従業員の雇用を維持するために,自動車運送事業の許可を得ていた被告Y2社に運転手を転籍させて運転業務を集約させる必要があったなどと主張する。
しかしながら,①被告Y2社は,もともと自動車運送事業の許可を得ておらず,平成27年になってから本件転籍のためにこれを取得したものであるところ,自動車運送事業の許可を受けるには,ミキサー車等を一定数保有する必要があり,被告Y1社から被告Y2社にミキサー車の所有名義が変更されたことに照らすと,被告Y1社が自動車運送事業の許可を得ることも可能であったといえること,②本件転籍後,被告Y1社が,被告Y2社に傭車を依頼する形で,転籍したミキサー車運転手が被告Y1社の事業に従事しており,業務内容に特段の変化はなかったこと,③被告Y3は,本件転籍以前から,被告Y1社と被告Y2社の業務を明確に区分していなかったこと,以上の点に照らすと,本件転籍を行う必要性はなかったというべきである。
【被告Y1社らの主張】
(1) 被告Y3は,平成27年7月1日及び同月30日の2回にわたり,被告Y1社の事務所内で,被告Y1社の運転手全員を対象とするミーティングを行い,本件転籍の理由及び時期,転籍後の業務内容等について説明し,運転手から意見を聴取したが,転籍について反対する意見はなかった。Bは,誰よりも早く被告Y1社に健康保険証を提出し,運転手全員について,社会保険の切替手続等が滞りなく行われた。
これらの状況に鑑みると,Dらは,本件転籍に同意していたといえる上,転籍対象となる運転手全員が転籍を承諾しているのであるから,原告組合と事前協議する必要性も消失していたというべきである。
(2) 被告Y1社及び被告Y2社では,当時,業務量が減少しており,被告Y1社のミキサー車運転手が運転業務に従事せずに場内清掃や自宅待機をする日が増加し,被告Y2社においても運転手がダンプカー等に乗務する機会が減少していた。そこで,被告らは,被告Y2社が取得した自動車運送事業の許可を活用して,被告Y2社が被告Y1社から運送業務を受注したり,他の生コン業者や土木事業者から傭車の注文を受けたりして,運送業務を拡大していくことを計画した。なお,自動車運送事業の許可を取るためには一定額以上の預金残高を保有していることを証明しなければならないところ,当時の被告Y1社にはそれが不可能であり,被告Y1社が自動車運送事業の許可を取ることはできなかった。
本件転籍は,上記のように被告Y1社及び被告Y2社にそれぞれ所属していた運送部門を,自動車運送事業許可を取得した被告Y2社に集約し,強化することを目的としたものであって,原告組合に対する嫌悪の情に基づくものではなく,その弱体化や支配介入を目的としたものでもない。
10 争点10(原告組合に係る損害の有無及びその額)について
【原告組合の主張】
(1) 上記1ないし9の各【原告組合の主張】のとおり,被告Y1社の上記各行為は,いずれも不当労働行為に該当し,不法行為法上違法というべきであるところ,原告組合は,これらの行為によって,労働組合としての団結権及び団体交渉権を侵害された上,組合員の労働条件の改善に貢献する機会を奪われたために組合員等からの社会的評価・信用が低下し,組合員が脱退して弱体化を余儀なくされるなどの無形損害を受けており,これらの原告組合の無形損害は,1000万円を下ることはない。
(2) 被告Y1社らの上記不法行為による弁護士費用としての損害は,100万円を下ることはない。
【被告Y1社らの主張】
(1) 上記1ないし9の各【被告Y1社らの主張】のとおり,被告Y1社は不当労働行為を行っておらず,原告組合の主張は,いずれも否認ないし争う。
(2) 被告Y1社の言動によって,原告組合の組合員や被告Y1社のその他の従業員からの原告組合に対する社会的評価・信用が低下したとはいえず,仮に,その範囲で社会的評価・信用が低下したとしても,不特定多数の者からの社会的評価・信用が低下したわけではないから,原告組合に,損害賠償請求の前提となるような社会的評価・信用の低下があったとはいえない。むしろ,原告組合は,被告Y1社に対し,団結権や団体交渉権が侵害されたとして敢然と立ち向かい,府労委での不当労働行為救済命令申立て事件等においても立て続けに勝利しているのであるから,組合員からの信頼が増大し,社会的評価・信用が高まったということができる。
11 争点11(被告Y1社による原告組合に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無)について
【原告組合の主張】
上記1ないし9の各【原告組合の主張】のとおり,被告Y1社の上記各行為は,いずれも原告組合に対する不当労働行為とし,不法行為を構成するところ,被告Y3は,被告Y1社の代表者として,被告Y1社がこれらの不当労働行為に及ばないよう注意する義務があったにもかかわらず,これに反し,むしろ自ら率先して,嫌悪する原告組合を排除するために,被告Y1社にこれらの不当労働行為を行わせたものであるから,民法709条又は会社法429条1項に基づき,被告Y1社と連帯して損害賠償責任を負うというべきである。
【被告Y3の主張】
上記1ないし10の各【被告Y1社らの主張】のとおり,被告Y1社は不当労働行為を行っておらず,原告組合に損害も発生していないのであって,原告組合のその余の主張は,いずれも否認ないし争う。
12 争点12(原告X2の被告Y2社に対する皆勤手当請求権の有無)について
【原告X2の主張】
(1)ア 原告X2は,平成25年11月に被告Y2社に入社し,同月から平成26年12月までは,無欠勤の月は全て皆勤手当1万円を支給されていたことに照らすと,原告X2と被告Y2社との間で,無欠勤の場合に皆勤手当1万円を支給する旨の合意が成立し,労働契約の内容となっていたといえる。
イ これに対し,被告Y2社は,給与規定上,日給制の従業員に対して皆勤手当は支給されないものとされており,原告X2に対して皆勤手当が支給されていたのは,原告X2が被告Y2社から被告Y1社に出向し,被告Y1社の労働条件が適用されたためであるなどと主張するが,上記給与規定は従業員に周知されておらず,労働契約の内容になるものではない上,原告X2が被告Y2社から被告Y1社に出向したとの事実も存在しない。これらの点に係る被告Y2社の主張は,不合理に変遷しており到底信用できない。
なお,被告Y2社は,平成27年8月,上記給与規定を改定し,日給制の従業員にも皆勤手当が支給される旨の新たな賃金規程を制定したが,その後も,原告X2に対し,皆勤手当を支給していない。
(2) 原告X2は,平成27年1月以降,自己都合による欠勤をしておらず,被告Y2社から帰宅を命じられたために帰宅した日については欠勤と扱うべきではないから,いずれの月についても皆勤したということができる(なお,被告Y2社も,府労委における手続において,原告X2が皆勤である旨の認識を示していた。)。
したがって,原告X2は,被告Y2社に対し,平成27年1月以降に係る皆勤手当の支払請求権を有する。
【被告Y2社の主張】
(1) 原告X2は,日給制従業員として被告Y2社に雇用されたが,被告Y2社において,日給制従業員に対して皆勤手当を支給する制度はなかった。
原告X2は,被告Y2社に雇用されてから平成27年3月20日まで,被告Y1社に出向してダンプカーに乗務しており,その間,被告Y1社の給与規定に基づき,皆勤手当を支給されていたにすぎない。
そして,原告X2は,被告Y1社がダンプカーを売却したことを受けて,被告Y2社の業務に復帰することとなり,被告Y2社の給与規定が適用されることとなったため,皆勤手当を支給されることもなくなった。
(2)ア 原告X2は,被告Y1社に出向していた頃から,その日に従事すべき業務がないため,出勤後,タイムカードを打刻してすぐに帰宅する日が生じるようになり,平成27年1月以降,皆勤の月はなくなった。
これは,原告X2については,夜間にラーメン店を営業していて健康面に不安があり,ダンプカーの運転技量が十分でなく,重機を運転する資格を有していなかったこと,被告Y2社の業務量が減少していたこと等の事情から,被告Y2社における運転業務について,原告X2を起用できるものがなくなり,同被告内において原告X2に担当させられる業務は本件除草作業等に限定され,そのような業務もない日には,被告Y2社がその旨を告げ,原告X2が出勤後すぐに帰宅するようになったというものである。なお,被告Y2社は,原告X2に対し,上記のようにその日従事する業務がないことを告げたにすぎず,帰宅命令をしたことはない。
イ 原告X2が業務に就かずに帰宅したことについては,上記アの事情によるものであり,被告Y2社が原告X2に従事させるべき業務を確保できなかったという点で,被告Y2社の責めに帰すべき事由による休業に該当する。
しかしながら,被告Y2社の賃金規程において,皆勤手当は「無欠勤の者」に対して支給されるものとされ,「年次有給休暇を使用した日は出勤扱いとする」旨規定されているが,本件のように,従事させるべき業務がない旨告げて労働者が帰宅した場合に出勤扱いとするとは規定されておらず,使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合に,皆勤手当の支給要件について出勤扱いとすべきとした裁判例や,年次有給休暇の取得に関する労基法136条のような規定もない。
したがって,原告X2は,平成27年1月以降,被告Y2社から従事させるべき業務がない旨告げられて帰宅し休業したことにより,「無欠勤の者」ではなくなり,同月以降,皆勤の月がないということができる。
13 争点13(原告X2の被告Y2社に対する休業手当支給日に係る賃金請求権の有無)について
【原告X2の主張】
(1) 原告X2が,被告Y2社から帰宅を命じられたことにより就業しなかった日については,民法536条2項により賃金債権を失わないというべきであり,賃金を減額することはできない。
(2) これに対し,被告Y2社は,給与規定・賃金規程において,会社の責めに帰すべき事由により従業員が休業した場合は,休業1日につき平均賃金の6割を支給する旨の規定があることにより,民法536条2項による賃金支払義務が免除される旨主張するが,被告Y2社の賃金規程は,従業員に周知されておらず,労働契約の内容となるものではない上,この点を措くとしても,上記規定は,労基法26条と同様に,休業期間中における労働者の生活保障のための規定と解すべきであり,休業が,民法536条2項にいう「債権者の責めに帰すべき事由」に基づく履行不能に当たる場合に,賃金請求権を平均賃金の6割に減縮する趣旨の規定と解するのは相当でない。
【被告Y2社の主張】
(1) 被告Y2社の給与規定・賃金規程には,「会社の責めに帰すべき事由により従業員が休業した場合は,当該従業員に対し休業1日につき,労働基準法第12条に規定する平均賃金の60%を支給する。」と規定されており,被告Y2社は,同規定に基づき,原告X2が出勤後に担当する業務がなく帰宅した日について,平均賃金の6割を支給している。
(2) これに対し,原告X2がその請求の根拠とする民法536条2項は,任意規定であって,当事者の合意によって変更できるものであるところ,原告X2と被告Y2社との間の労働契約に上記給与規定・賃金規程が適用されることにより,同項の適用は排除されるというべきである(なお,被告Y2社における上記取扱いは,強行法規である労基法26条に反するものではない。)。
したがって,原告X2は,被告Y2社から従事すべき業務を与えられなかった日について,平均賃金の6割の休業手当を受給する権利を有するにすぎない。
14 争点14(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年1月分以降,皆勤手当を支給しなくなったことの違法性)について
【原告X2の主張】
(1) 上記12【原告X2の主張】のとおり,被告Y2社が,平成27年1月分以降,原告X2に対して皆勤手当を支給していないことは不合理というべきである。
(2) そして,被告Y2社が,原告X2が原告組合に加入した旨通知された直後から,原告X2に対して皆勤手当を支給しなくなったことのほか,それまで承認していた原告X2の副業を禁止するに至ったこと等に照らすと,上記皆勤手当の不支給は,原告X2が原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであって,不法行為法上違法である。
【被告Y2社らの主張】
(1) 上記12【被告Y2社の主張】のとおり,被告Y2社が原告X2に対して皆勤手当を支給しなくなったのは,原告X2が,平成27年3月21日以降,被告Y1社への出向を解除されたことにより,皆勤手当の制度がない被告Y2社の給与規定が適用されるようになったこと,同年1月以降,皆勤の月がなくなったことを理由とするものであるから,原告組合に対する嫌悪の情に基づくものではないし,その組合員を排除したり組合の弱体化を図ったりしたものではない。
(2) なお,原告X2は,被告Y2社が,原告X2が原告組合に加入したために原告X2の副業を禁止したなどと主張するが,被告Y2社は,原告X2に対し,当初から,副業によって心身共に疲弊して業務に支障を来すことがあると説明し,6か月間程度の期間に限って副業を承認していたところ,原告X2から,副業による疲労過多で睡眠もままならない状態であるなどの申告を受けて,体調管理を行わせるために,副業をやめるよう忠告したにすぎず,被告Y2社には,原告組合に対する嫌悪の情はなかった。
15 争点15(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年3月2日,本件配置転換を命じたことの違法性)について
【原告X2の主張】
(1) 原告X2は,ダンプカー運転手として被告Y2社に採用され,入社したものであり,採用後,被告Y1社のミキサー車を運転することもあったが,主たる業務は大型ダンプの運転手であったところ,本件配置転換により,ダンプカー運転手として就労することができなくなり,精神的不利益を受けた。
下記(2)のとおり,本件配置転換に合理的理由はなく,原告X2が原告組合に加入した旨通知した直後に本件配置転換を命じられたこと等に照らすと,本件配置転換は,原告X2が原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであって,不法行為法上違法というべきである。
(2) 被告Y2社らは,原告X2に対して本件配置転換を命じたのは,それまで被告Y1社でミキサー車を運転していたEに対し,体調面の不安からミキサー車の運転業務を命じなくなったためであるなどと主張するが,原告X2が本件配置転換を命じられた一方で,原告X2が乗務していたダンプカーには被告Y1社のミキサー車運転手が乗務するようになったことに照らすと,Eに代えてミキサー車の運転を命じるのであれば,上記の被告Y1社のミキサー車運転手を充てるのが自然かつ合理的であったというべきであり,被告Y2社らが主張する本件配置転換の理由は不自然なものである。
【被告Y2社らの主張】
(1) 被告Y2社には,ダンプカー運転手として採用した従業員は存在しない。原告X2は,被告Y2社入社後,ダンプカー運転業務を担当していたが,ハローワークの求人票に土木作業にも従事してもらう旨の記載があることから明らかなとおり,ダンプカーの運転業務に職務の範囲を限定して採用されたものではない。
そして,本件配置転換によって,原告X2の業務がダンプカー運転業務からミキサー車運転業務に変更されたが,これにより原告X2に経済的な不利益が生じたものではなく,本件配置転換は,不利益処分には当たらない。
(2) 被告Y2社は,それまでミキサー車に乗務していたEの体調面の不安から同人にミキサー車運転業務をやめさせたため,原告X2に対し,本件配置転換を命じたのであって,本件配置転換には合理的理由があったといえる。
16 争点16(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年3月23日以降,本件除草作業等を命じたことの違法性)について
【原告X2の主張】
(1) 本件除草作業等は,必要性に乏しく,肉体的にも精神的にも苦痛を伴うものであり,原告X2は,本来の業務であるダンプカーの運転業務ができないばかりか,このような苦痛を伴う業務に従事させられることにより,精神的不利益を被った。
本件除草作業等を命じることに合理的理由がないこと等に照らすと,被告Y2社が原告X2に対して本件除草作業等を命じたことは,原告X2が原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであって,不法行為法上違法というべきである。
(2) これに対し,被告Y2社らは,原告X2に本件除草作業等を命じたことについて,①被告Y2社の業務量が減少していたこと,②原告X2が夜間に副業をしており健康状態に不安があったことや原告X2の運転技量が十分でなかったこと,③他の従業員にも同様の作業を命じていたこと等から,合理的理由がある旨主張する。
ア 上記①の点について
原告X2が本件除草作業等を命じられた当時,被告Y2社の業務量が減少していたことは否認する。
イ 上記②の点について
被告Y2社は,原告X2が入社した当初から,副業について承認しており,原告X2は,本件除草作業等を命じられるまで,事故等を起こしたことはなく,運転手としての技量が十分でないなどの被告Y2社らの主張には何らの根拠もない。
ウ 上記③の点について
本件除草作業等に他の従業員が従事することもあったが,専ら本件除草作業等を命じられたのは原告X2のみである。
エ 小括
以上によれば,被告Y2社が原告X2に対して本件除草作業等を命じたことには,合理的理由がないというべきである。
【被告Y2社らの主張】
(1) 本件除草作業等は,他の従業員も従事しており,被告Y2社の管理地の除草作業等であるから誰かがやらなければならない業務であるし,休憩,給水及びトイレの利用も可能であって,過酷な作業ではない。
(2) 被告Y2社が原告X2に対して本件除草作業等を命じたのは,①被告Y2社の業務量が減少し,運転業務や土木作業が乏しかったこと,②原告X2は,副業として夜間にラーメン店を営業していたところ,被告Y3は,大型バス運転手が長時間労働により交通事故を起こしたなどのテレビ報道等に接し,原告X2が過労により交通事故を起こすことを懸念していたこと,③原告X2が,乗務する車両の点検・整備を怠り,ダンプカーの故障に気付かず運転していたことがあったこと,④原告X2は,運転手としての技量が十分ではなかったこと,⑤原告X2は,大型車の運転免許以外特段有用な免許を保持しておらず,重機の運転等他の有用な免許を保持している従業員と比較して,原告X2に任せられる運転業務が減少したこと,以上の理由に基づくものである。
17 争点17(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年9月7日以降,出勤後すぐに帰宅させ,これに伴い賃金支給額を減額したことの違法性)について
【原告X2の主張】
(1) 被告Y2社は,平成27年9月7日以降,原告X2が出勤すると,すぐに帰宅するよう命じるようになったところ,毎日帰宅を命じられている従業員は原告X2のみであり,原告X2は,上記帰宅命令によりダンプカー運転手として就労できないという精神的不利益を受けているほか,上記13【原告X2の主張】のとおり,不合理に賃金を減額されたことによる経済的不利益も受けている。
(2) 被告Y2社らは,上記帰宅命令について,原告X2に従事させる業務がなくなったためであるなどと主張するが,上記16【原告X2の主張】(2)のとおり,被告Y2社らが主張するような事実は存在せず,帰宅命令に合理的理由がないこと等に照らすと,被告Y2社による上記対応は,原告X2が原告組合の組合員であるが故に行った不利益な取扱いであって,不法行為法上違法というべきである。
【被告Y2社らの主張】
上記12及び13の各【被告Y2社の主張】のとおり,被告Y2社が,原告X2を出勤後すぐに帰宅させたのは,原告X2に担当させられる業務がなかったからであるし,被告Y2社は,原告X2に対し,平均賃金の6割に相当する休業手当を支給しており,未払賃金は存在しない。
18 争点18(原告X2に係る損害の有無及びその額)について
【原告X2の主張】
(1) 上記14ないし17の各【原告X2の主張】のとおり,被告Y2社の原告X2に対する上記各行為は,いずれも組合員であるが故の不利益取扱いに当たり,不法行為法上違法というべきであるところ,これらによって,原告X2は,未払賃金が支給されたとしても補填することができない多大な精神的苦痛を受けており,これに対する慰謝料は100万円を下ることない。
(2) 被告Y2社らの不法行為による弁護士費用としての損害額は,10万円を下ることはない。
【被告Y2社らの主張】
(1) 上記14ないし17の各【被告Y2社らの主張】のとおり,被告Y2社は違法な行為をしておらず,原告X2の主張は,いずれも否認ないし争う。
(2) 仮に,原告X2に未払賃金請求権が認められたとしても,被告Y2社が同額を支払えば原告X2の経済的損害は回復されるのであって,それに加えて金銭により慰謝されるべき精神的苦痛があるとはいえない。
19 争点19(被告Y2社による原告X2に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無)について
【原告X2の主張】
上記14ないし17の各【原告X2の主張】のとおり,被告Y2社の上記各行為は,いずれも原告X2に対する不法行為を構成するところ,被告Y3は,被告Y2社の代表者として,被告Y2社がこれらの不当労働行為に及ばないよう注意する義務があったにもかかわらず,これに反し,むしろ自ら率先して,嫌悪する原告組合の組合員である原告X2を排除するために,被告Y2社にこれらの不当労働行為を行わせたものである。したがって,被告Y3は,原告X2に対し,民法709条又は会社法429条1項に基づき,被告Y2社と連帯して損害賠償責任を負うというべきである。
【被告Y3の主張】
上記14ないし18の各【被告Y2社らの主張】のとおり,被告Y2社は違法な行為をしておらず,原告X2に損害も発生していないのであって,原告X2のその余の主張は,いずれも否認ないし争う。
第5 当裁判所の判断
1 争点1(被告Y1社が,Bらに対し,平成25年6月12日以降,ミキサー車運転業務に復帰させることなく本件自宅待機命令をしたことの違法性)及び争点2(被告Y1社が,自宅待機中のBに対し,外出を禁止し監視したことの有無及びその違法性)について
(1) 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。
ア 本件ガラ混入問題等について
(ア) 被告Y1社は,平成21年8月24日,大阪兵庫生コンクリート品質管理監査会議(以下「監査会議」という。)の監査員らによる実地監査を受けた。上記実地監査には,原告組合の組合員1名が監査会議の補助監査員として同行していたところ,監査員らは,被告Y1社が生コンクリートに本来混入させてはならないコンクリートガラを混入させている疑いがある旨指摘した。被告Y1社は,上記指摘に対し,コンクリートガラ混入の事実を否定したが,被告Y1社は,平成22年4月から2年間,監査会議に対する受審申請の資格を停止され,さらに,被告Y1社がコンクリートガラを混入させた旨の判決が確定したために,平成27年度から3年間にわたり,受審申請資格を剥奪され,延べ5年間にわたり,公共工事への参入条件等とされている「マル適マーク」を使用することができなくなった(以下,上記一連の問題を「本件ガラ混入問題」という。)。
(乙総1,証人H,被告Y3)
(イ) 被告Y1社は,府労委での救済命令申立てに係る手続において,本件ガラ混入問題に関連し,被告Y1社が原告組合及びBらを嫌悪していることを認める旨主張していた(甲総8)。
イ 被告Y1社のミキサー車運転手の変遷等について
(ア) 被告Y1社は,平成22年11月30日付けで,Bらを含む同社のミキサー車運転手8名全員を解雇した(本件第二次解雇)が,平成23年頃,建材部門を廃止し,同部門の従業員であったI,J及びK(以下「K」という。)の3名をミキサー車運転業務に配置換えした(甲A14,24,乙A2)。
(イ) 本件第二次解雇と同時に被告Y1社に解雇されたミキサー車運転手であるEは,平成23年11月28日,ミキサー車運転手としてc社から被告Y1社に出向し,平成25年5月16日,被告Y1社に再び直接雇用された(前提事実(6)ア)。
(ウ) 本件第二次解雇と同時に被告Y1社に解雇されたミキサー車運転手であるL(以下「L」という。)は,平成23年11月3日,被告Y2社に雇用され,平成24年2月15日から同年5月10日まで及び同年7月13日から平成25年4月30日まで,ミキサー車運転手として被告Y2社から被告Y1社に出向し,同年5月1日,被告Y1社に再び直接雇用された(甲A14,24,乙A6)。
(エ) 被告Y1社は,平成25年3月18日にM(以下「M」という。),同年5月1日にEの息子であるDを,それぞれミキサー車運転手として雇用した。なお,その間の同年4月12日,ミキサー車運転手であったNが被告Y1社を退職した。
(甲A14,24,乙A1の①,乙A2,4)
(オ) 被告Y1社は,平成25年4月時点で,ミキサー車を8台保有していたところ,そのうち大型車ロングと呼ばれる車両2台について,それぞれ同年6月17日及び同年7月13日に売却し,同月5日に大型車1台を購入した。同年4月から9月までの間,上記7台ないし8台のミキサー車に対し,それぞれ被告Y3を含む運転手が割り当てられて乗務していたが,ミキサー車の増減や従業員の退職等により,担当運転手が交代することもあった。
(甲A14,24,乙A1の①ないし⑥)
(カ) 被告Y3は,府労委での審問において,平成25年3月18日にMを雇用したのは,その前年に多忙となりそうであったためである,同年5月1日にL及びDを,同月16日にEをそれぞれ雇用したのは,マル適マークの使用が再開し,受注の増加が見込まれたためであるなどと供述した(甲A14,24,乙A2)。
ウ 神戸地方裁判所は,平成24年11月27日,本件第二次解雇を無効とする平成24年判決を言い渡し,その控訴審である大阪高等裁判所は,平成25年4月10日,第1回口頭弁論期日において弁論を終結し,同年5月29日,控訴を棄却する旨の判決を言い渡した(前提事実(3)イ(イ),甲A11)。
エ 平成25年6月団交の内容等
(ア) 6月12日団交
原告組合及び被告Y1社は,平成25年6月12日,Bらの職場復帰等を議題として6月12日団交を開催した。
その席上において,原告組合の組合員が,Bらをミキサー車の運転業務に復帰させるよう求めたのに対し,被告Y3は,「どういう考えの中でうちのことをやなぁ,えー,自分の会社のことをあーじゃこーじゃ言うたり,あー,わしらがガラ入れたんじゃ言うたり,なんじゃその話は。」などと発言した上,Bらが乗務するミキサー車がない,マル適マークが使用できなくなって仕事もないなどとして,Bらを自宅待機とする旨述べた(本件自宅待機命令)。
その後,原告組合の組合員が,抽象的な話ではなく具体的議論に入るか否かを尋ねたところ,被告Y3は,既に具体的議論に入っている旨返答したが,間もなく被告Y3が110番通報をし,警察官が臨場したため団体交渉が中断した。被告Y3は,その再開後,弁護士に確認するなどと述べて,団体交渉の終了を申し出た。
(甲A1)
(イ) 6月19日団交
原告組合は,6月19日団交において,被告Y3に対し,本件協定に基づく事前協議義務があることを述べた上で,Bらをミキサー車の運転業務に戻すよう要求し,ミキサー車の台数が足りないのであればローテーションで交替乗務することを提案したが,被告Y3は,ローテーション制は責任がなくなるなどとして,上記提案を拒否した。
被告Y3は,その席上において,本件ガラ混入問題に言及し,原告組合の組合員が,「それがあるからミキサー乗せられへんゆうことですか」と尋ねたのに対し,「そういうことをするんじゃで。Cと二人は,な,ガラ入れたって言うんじゃさかい」,「うちはそれでひどい目におうとんやもの」などと述べた。
原告組合は,被告Y3に対し,ローテーション制を採用しないのであれば,ミキサー車を購入して他社で傭車をさせるとか,他社からミキサー車を借りて乗せるなどの方法もある旨示したが,被告Y3はこれらの提案には取り合わず,原告組合が,そうであれば被告Y1社から代案を示すよう要求し,交渉を継続することを前提に6月19日団交は終了した。
(甲A2)
(ウ) 6月26日団交
被告Y3は,6月26日団交において,原告組合に対し,裁判をするため交渉を継続する意思がないとして,団体交渉を打ち切る旨宣言し,6月26日団交は開始から約5分で終了した。
その席上において,被告Y3は,Bに対し,「なっ,ほいで,待機ちゃんとしとけよ,ええな」,「ほいで,チェック,チェック行ってもらうさかいに,家におるかどうか,ほで,家族の者にも,何でうちの子は待機なんやろうと思うさかいに」などと発言した。
(甲A3)
オ 本件自宅待機命令後の出来事等
(ア) Bは,平成25年7月25日及び同年8月8日,それぞれ家族を病院に送迎するために外出したところ,いずれもこれを目撃した被告Y1社の従業員からF顧問に対して報告され,F顧問が,Bに対し,家にいてもらわないと困るなどと叱責した(甲A12ないし14,24,乙A2)。
(イ) 被告Y3は,平成25年7月25日から同年8月8日までの間に,Bに対し,今後外出した場合は何らかの処分をする旨述べた(当事者間に争いがない事実)。
(ウ) Cは,平成25年7月31日,原告組合を脱退し,被告Y1社を退職した。その際,Cが原告組合に提出した脱退届には,「長きに渡る会社からの嫌がらせや,解雇攻撃を受け心身ともに疲れ果てているうえ,元職復帰への闘いを再度,出勤闘争から始める事に闘争を継続していく自信を失いました。」などと記載されていた。
(前提事実(4)オ,甲A8)
(2)ア 上記認定事実によれば,被告Y1社は,平成25年6月12日以降,Bらを本件第二次解雇前の業務であるミキサー車運転業務に復帰させず,本件自宅待機命令を発したこと(上記(1)エ(ア)),Bに対し,外出の有無を確認する旨示唆し(同(ウ)),現にBが外出した際には,従業員からの報告に基づきBを叱責するなどしたこと(同オ(ア),(イ)),以上の事実が認められ,これらの点に鑑みると,被告Y1社は,Bに対し,外出を禁止した上,常時とまではいえないとしても同人を監視していたことが認められる。
イ この点,被告Y1社らは,Bらに対し上記取扱いをしたのは,①被告Y1社が当時保有していたミキサー車7台には,それぞれ担当の運転手が存在し,Bらに乗務させるミキサー車がなかったこと,②被告Y1社は,本件ガラ混入問題以降,受注量が大幅に減少し,ミキサー車を新たに購入する予定がなかったこと,③当時,ミキサー車の運転業務を担当していた7名とBらを成績や能力によって比較することは困難であったこと,以上の理由に基づくものである旨主張する。
しかしながら,上記認定事実によれば,被告Y1社は,平成25年3月以降,出向からの切替えを含めて新たに4名のミキサー車運転手を雇用していること(上記(1)イ(イ)ないし(エ)),被告Y3は,その理由として,業務量が増加傾向にあった旨供述していること(同(カ)),当時,本件第二次解雇の有効性を否定する平成24年判決が既に言い渡され,同年4月には控訴審の口頭弁論が終結していたこと(同ウ),以上の事実が認められ,これらの事実に照らすと,被告Y1社は,近日中にBらが職場に復帰する可能性があることを容易に想定できる状況で,敢えて他の従業員を雇用したと認められる。この点に加えて,被告Y1社では,運転手が担当するミキサー車が原則として固定されていたところ,時期によって担当者が交代することもあったこと(同(オ))をも併せ鑑みると,上記①や②の点が,Bらをミキサー車に乗務させない合理的な理由であるとは認められず,③の点についても,他の従業員ではなくBらに対してのみ運転業務をさせないことの合理的な理由にはならない。したがって,被告Y1社らの上記主張は採用できない。
かえって,上記(1)ア及びエで認定した事実のほか,被告Y3は,本件訴訟での本人尋問においても,本件ガラ混入問題以来,原告組合に対する嫌悪の情があることを認めていること,その他本件第二次解雇から本件自宅待機命令までの経緯等に照らすと,Bらが原告組合の組合員であるが故をもって上記の不利益な取扱いをしたと認めるのが相当であり,この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。
ウ そして,Bらが,従前の業務に復帰できず,就労の機会を与えられないことや,外出を禁止され,監視を受けることについては,被告Y3自身が「家族の者にも,何でうちの子は待機なんやろうと思うさかいに」などと述べていること(上記(1)エ(ウ))に鑑みると,Bらは,被告Y1社からの上記取扱によって,精神的苦痛を被ったと認められ,これらの点は,被告Y1社が,原告組合の組合員である従業員に対し,かかる取扱いをすることによって,原告組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
エ したがって,被告Y1社が,Bらに対し本件自宅待機命令をしたこと,及び,自宅待機中のBに対し外出を禁止して監視したことは,いずれも労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとともに,同行為の態様等に照らすと,不法行為法上も違法と評価することができる。
2 争点3(被告Y1社が,平成25年8月12日支給のBの賃金に対し本件控除をしたことの違法性)について
(1) 前記前提事実並びに証拠(甲B3の①②,甲B4,5)及び弁論の全趣旨によれば,①被告Y1社は,平成24年判決の確定後,Bらの平成23年1月分から平成25年5月分までの給与及び遅延損害金として,平成25年7月12日に584万2424円,同年10月4日に900万1260円をそれぞれ支払ったこと(ただし,上記期間の賃金及び遅延損害金について,西山弁護士の計算違いにより,平成25年10月4日時点で74万1285円の未払元金が存在した。),②被告Y1社は,平成25年8月12日,Bに対し,同年7月分の基本給及び各手当の合計23万9000円から,同月分の健康保険料及び厚生年金保険料,同月及び同年6月分の雇用保険料のほか,平成23年1月分から平成25年5月分まで29か月分の雇用保険料3万5073円を控除して支給したこと(本件控除),以上の事実が認められる。
(2)ア 本件控除は,賃金から控除することが法律上許容される範囲を超える過去の雇用保険料を一括して控除するものであること(労働保険の保険料の徴収等に関する法律32条1項,同法施行規則60条1項参照)に加え,被告Y1社の認識によっても,本件控除の時点で,平成23年1月分から平成25年5月分までの給与のうち6割以上が支給されていなかったこと(上記①)を併せ鑑みると,本件控除には合理的な理由があるとはいえないこと及びこれによりBに対し経済的な不利益が生じたと認められる。
そして,上記1で認定説示したとおり,被告Y1社の代表者である被告Y3は,本件ガラ混入問題以来,原告組合に対する嫌悪の情を示していたことや本件第二次解雇から本件控除までの経緯等に照らすと,Bが原告組合の組合員であるが故をもって上記の不利益な取扱いをしたと認めるのが相当であり,この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。
イ また,被告Y1社が,原告組合の組合員である従業員に対し,かかる取扱いをすることは,原告組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
ウ 以上によれば,被告Y1社が,Bの平成25年7月分給与から本件控除をしたことは,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,同行為の態様等に照らすと,不法行為法上違法と評価することができる。
3 争点4(被告Y1社の平成25年6月団交における対応の違法性)及び争点5(被告Y1社が平成25年7月団交申入れに応じなかったことの違法性)について
(1) ①上記1で認定説示したとおり,被告Y1社は,合理性を欠く理由により,Bらに対し自宅待機を命じたこと,②上記1(1)エで認定した事実及び証拠(甲A1ないし3)によれば,平成25年6月団交において,被告Y3は,Bらを乗務させるミキサー車がないと述べるばかりで,原告組合が,ローテーション制などを提案したのに対し,最後まで具体的な理由や客観的資料等を示さずにこれらの提案を拒絶し(なお,上記1(2)で認定説示した点に加え,被告Y1社において,時期によってミキサー車の担当者が交代することもあったこと〔上記1(1)イ(オ)〕等の事実に照らすと,責任の所在が曖昧になるというだけでは,ローテーション制を採用しないことの合理的な理由であるとまでは言い難い。),自らは的確な代案を示すこともなく,交渉の継続を前提に6月19日が終了したにもかかわらず,6月26日団交では,被告Y3が交渉に応じる意思がない旨示して終了したことが認められ,これらの点からすると,平成25年6月団交において,被告Y1社が誠実な交渉を行ったとか,合意達成の可能性を模索したとは認め難いこと,③その後,原告組合は,平成25年7月12日及び同月25日に,Bらの自宅待機及び従前の職種への復帰を議題とする平成25年7月団交申入れを行ったにもかかわらず,被告Y1社は,裁判をする予定の相手とは団体交渉できない旨回答して,これを拒否したこと(前記前提事実(4)ウ,エ),以上の点からすると,平成25年6月団交において団体交渉を打ち切ったこと及びその後の平成25年7月団交申入れを拒絶したことに正当な理由があると認めることはできない。
(2) これに対し,被告Y1社らは,原告組合が同じ要求に固執し続けた旨主張するが,上記のとおり,原告組合は,Bらをミキサー車運転業務に従事させるよう要求したが,その方法として,ローテーション制による交替乗務のほか複数の提案を行い,被告Y1社に対して代案を示すよう求めていた(上記1(1)エ(イ))のであるから,被告Y1社の上記主張は採用できない。
(3) 以上によれば,被告Y1社の平成25年6月団交での対応,及び,被告Y1社が,原告組合からの平成25年7月団交申入れに応じなかったことは,いずれも労組法7条2号に該当する不当労働行為であって,上記説示した団体交渉における対応状況や団体交渉を拒否するに至った経緯等に照らすと,不法行為法上も違法と評価することができる。
4 争点6(被告Y1社が,Bに対し,平成26年7月29日付けで本件第三次解雇をしたことの違法性)について
(1) 本件第三次解雇に係る解雇理由は,Bが,自己の計算違いにより生じた未払賃金に基づいて,本件差押命令に係る申立てをして,被告Y1社の信用等を失墜させたというものであるところ,そのような事情は存在せず,本件第三次解雇に合理的理由がないことについては当事者間に争いがない(前記前提事実(5)アないしエ,カ参照)。
(2) この点,被告Y1社らは,本件第三次解雇は,被告Y1社が自己の計算違いに気付かず,未払賃金が存在しないにもかかわらずBが本件差押命令に係る申立てをしたものと誤認したために行ったものであって,原告組合に対する嫌悪の情に基づくものではない旨主張する。しかしながら,上記未払賃金等の計算は,西山弁護士が行い(前提事実(5)ア),Bの代理人弁護士は,再三にわたり,被告Y1社に対し,未払賃金がある旨指摘してその支払を催促していた(同イ)のに対し,G弁護士らが作成した本件第三次解雇に係る通知書には,被告Y1社がBらから提示された金額を支払ったであるとか,Bが連絡もせずに突然債権差押命令の申立てをしたなどと,被告Y1社の認識に照らしても客観的事実に反する内容が記載されていること(同ウ),以上の点に照らすと,被告Y1社らの上記主張は採用できない。
かえって,上記1ないし3で認定説示した本件第三次解雇に至る経緯等に鑑みると,本件第三次解雇の直接的なきっかけが本件差押命令であるとしても,被告Y1社は,Bが原告組合の組合員であるが故をもって本件第三次解雇をしたと認めるのが相当であり,この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。
(3) また,被告Y1社が,原告組合の組合員である従業員に対し,かかる取扱いをすることは,原告組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
(4) 以上によれば,被告Y1社が,Bに対し,本件第三次解雇をしたことは,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,上記説示した事情に照らすと,不法行為法上も違法であると評価することができる。
5 争点7(被告Y1社がEを定年後に再雇用しなかったことの違法性)について
(1) 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。
ア 被告Y1社は,平成18年8月1日,被告Y1社の就業規則中,定年後再雇用に係る規定(38条)について,以下のとおり変更した。
(ア) 旧条文
第38条 従業員の定年は満60才とし,定年に達した日の属する給与計算締切日を以て退職日とする。但し,本人が希望した場合はそれまでの就業状況や健康などを勘案し,給与などの雇用条件を見直した上で,嘱託として65才まで再雇用することがある。
(イ) 新条文
第38条 従業員の定年は満60才とし,定年に達した日の属する給与計算締切日を以て退職日とする。但し,本人が勤務の延長を希望した場合は63才まで再雇用する。又,その後も本人が勤務の延長を希望した場合は,それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直した上で65才まで再雇用することがある。
2 再雇用後の退職日は当該年齢に達した日の属する給与計算締切日を以て退職日とする。
(以上につき,甲総11)
イ Eは,平成18年5月8日に被告Y1社に雇用されてから平成27年2月頃まで,一時的に退職して飲食店やc社等で就労していた期間(平成20年7月1日頃から同年9月頃まで,平成22年12月1日から平成23年10月27日)を除き,c社からの出向期間を含め,被告Y1社において,ミキサー車運転手として就労していた。
平成27年3月末日に定年となる前のEの労働条件は,おおむね以下のとおりであり,平成26年の給与の総支給額は約277万円であった。
(ア) 勤務日 月曜日から金曜日までの週5日
(イ) 就業時間 午前8時から午後5時まで(休憩1時間)
(ウ) 賃金 日給9600円(1時間当たり1200円)
(以上につき,甲C8,12,14,乙A5,乙C2)
ウ Eは,c社から被告Y1社に出向していた平成24年12月10日,脳梗塞に罹患して,同日から平成25年1月16日まで入院した。被告Y3は,Eの上記罹患を知っていたが,Eは,同年2月1日,被告Y1社の職場に復帰し,ミキサー車運転手として稼働を再開し,その後,同年5月16日,被告Y1社に再び雇用された。
(甲C12,14,乙A5,乙C3)
エ Eは,平成26年8月29日,健康診断(以下「本件健康診断」という。)を受診し,血圧及び糖代謝についてG判定(継続加療),腎機能及び脂質代謝についてE判定(要精検),心電図についてC判定(要観察),尿酸についてB判定(軽度異常)を受けた。なお,本件健康診断の結果の「問診からお伺いした事」「病気について」の欄に,「現在:脳梗塞・脳出血 高血圧 糖尿病 胃潰瘍」「放置:特になし」と記載されている。
(乙C1)
オ 被告Y1社は,平成27年2月26日の午前中まで,Eをミキサー車の運転業務に従事させていたが,同日午後以降,ミキサー車の運転業務から外した(甲C17)。
カ 被告Y3は,平成27年3月11日,但馬地域産業保健センターを訪問し,同センターの医師に対し,本件健康診断の結果等を見せて,Eの業務への影響等について相談をした(乙総1,乙C2ないし7)。
キ 被告Y3は,3月21日団交において,E及び原告組合に対し,以下の内容の再雇用契約書を提示した。同書面記載の労働条件によれば,Eの再雇用後の総支給給与月額は,Eの平成27年1月から3月までの間の総支給給与月額の平均値の約8分の1に相当する金額となる。Eは,被告Y3に対し,被告Y3が相談に行ったという医師の名前を教えてほしい旨再三尋ねたが,被告Y3は答えなかった。
(ア) 雇用期間 平成27年4月1日から平成28年3月31日まで
(イ) 契約の更新 更新することがあり得る
(ウ) 仕事の内容 道路清掃
(エ) 勤務日及び就業時間 毎週月曜日 午前8時から午後零時まで
毎週木曜日 午前8時から午後零時まで
(オ) 賃金 基本給 時給850円
交通費 日額100円
昇降給,賞与,退職金 いずれもなし
(以上につき,甲C4,5,9の①ないし③)
ク 被告Y1社のミキサー車運転手として稼働していたM(昭和29年○月○日生)は,平成26年3月末に定年を迎えたが,同年4月1日以降も,被告Y1社との間で再雇用契約書を作成することなく定年前と同様の労働条件で雇用が継続された。被告Y1社とMは,平成27年3月10日,同年4月1日以降について,以下の内容の再雇用契約書を作成したが,Mは,同月中旬以降出勤していない。
(ア) 雇用期間 平成27年4月1日から平成28年3月31日まで
(イ) 契約の更新 更新することがあり得る
(ウ) 仕事の内容 当社業務全般,その他
(エ) 勤務日及び就業時間
毎週約3日勤務(ただし,仕事がない場合は休みとする)
午前8時から午後5時まで
(オ) 賃金 基本給 時給850円
交通費 日額130円
昇降給,賞与,退職金 いずれもなし
(以上につき,甲C1,12,14,乙C2,3)
(2)ア 上記認定事実のとおり,①被告Y1社の就業規則における定年後再雇用の定め(38条)によれば,(a)従業員が希望すれば63歳まで再雇用する,(b)その後も当該従業員が希望した場合は,それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直した上で65歳まで再雇用することがあるとされていること(上記(1)ア(イ)),②平成18年8月1日変更前の被告Y1社の就業規則における定年後再雇用の定めには,上記(a)に当たる記述がなく,従業員が希望した場合は,それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直した上で65歳まで再雇用することがあるとのみ規定されていたこと(同(ア)),③被告Y1社は,Mとの間で,再雇用契約書は作成していなかったものの,その定年退職日である平成26年3月31日以降もそれまでの労働条件を変更することなく雇用を継続していたこと(同ク。なお,被告Y1社らは,Mの件は被告Y3がMの定年時期を勘違いしていた旨主張するが,従業員の誕生日は労務管理の基本的事項であり,被告Y3も,Mの誕生日を管理していた事務方〔乙C3参照〕も,全員が勘違いしていたといった事態はおよそ想定し難く,被告Y1社らの上記主張は採用できない。),以上の事実が認められ,これらの就業規則の規定内容及びその変更,実際の運用状況に鑑みれば,平成18年8月1日変更後の被告Y1社の就業規則は,63歳までは,「それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直」すことなく再雇用する旨規定するものであると認めるのが相当である。
イ もっとも,上記就業規則の規定内容に照らし,従業員の健康状態等を勘案し,担当業務を見直すこと自体が否定されるものではない。
この点,被告Y1社は,Eが,平成27年2月頃,従前より動けなくなっているのではないかと変化を感じ,フラフラしたり,ろれつが回らなくなったりすることがあったため,2名の医師に本件健康診断の結果を見せて相談したところ,勤務中に倒れる可能性を指摘されたこと及び関係機関からの回答を受けて上記(1)キの労働条件を提示した旨主張する。
(ア) まず,2名の医師に本件健康診断の結果を見せて相談したところ,勤務中に倒れる可能性を指摘されたとの点についてみると,被告Y3が2名の医師に見せたという本件健康診断の結果の「問診からお伺いした事」「病気について」の欄に,「現在:脳梗塞・脳出血 高血圧 糖尿病 胃潰瘍」と記載されており(上記(1)エ),被告Y1社が原告組合に送付した平成27年3月31日付け書面にも,「それに加え,脳出血と糖尿病も患っており」と記載されている(甲C7)が,Eは,脳出血は患っていないと供述しており(甲C14),Eが脳出血を患っていることを医学的に裏付ける証拠も認められない。そうすると,仮に2名の医師が本件健康診断の結果を踏まえて被告Y1社主張のとおり判断したのだとしても,その判断の前提に誤りが存在することとなる。また,この点に加えて,Eの脳梗塞,高血圧あるいは糖尿病についても,主治医から診療経過を取り寄せるか,少なくともE本人から現在の病状について聞き取りを行わなければ,「勤務中に倒れる可能性がある」かどうかの正確な判断は困難であるというべきであること,本件健康診断は定年後再雇用の時期から半年以上前の平成26年8月29日に実施されたものであること(上記(1)エ),本件健康診断後,Eの体調は改善することも悪化することも想定されるにもかかわらず,被告Y1社はEに医師の診断を受けるよう指示していないこと(この点は,被告Y1社がEの健康状態等を勘案し,担当業務を見直すという点からしても,指示し,その結果も踏まえて検討すべきであったというべきである。),以上の点に鑑みると,本件健康診断の結果をもってなされた上記医師の判断は正確性を備えているとは認め難い。
(イ) 次に,関係機関に相談したとの点についてみると,被告Y1社の就業規則38条は,労働者本人が希望した場合は63歳まで再雇用されることを明確に規定している(上記(1)ア(イ))にもかかわらず,被告Y3は,当該関係機関が「再雇用が義務ではな」い旨回答したと述べているところ(乙C2),被告Y3は,同相談に当たって,就業規則を持参していなかったこと(乙C2,3)に鑑みると,被告Y3は,関係機関に対して,就業規則の条文を正確に伝えていないことがうかがわれる。そうすると,仮に,当該関係機関が被告Y3の供述するような回答をしていたとしても,そのことをもって,被告Y1社の提案内容が合理性を有しているとは認められない。なお,被告Y1社らは,弁護士に対しても相談していた旨主張するが,この点を認めるに足りる的確な証拠は認められない。
(ウ) 以上によれば,Eの定年後再雇用に係る被告Y1社の提案内容は,Eの健康状態等を勘案した担当業務の見直しとしても客観的合理的な根拠を欠いているといわざるを得ない。なお,被告Y1社は,Eが平成28年6月に交通事故を起こしたことを指摘するが,当該事故の具体的な状況は明らかでなく,Eが当該事故を起こしたことをもって被告Y1社の提案内容が合理性を有するということもできない。
ウ 以上認定説示した点を総合的に勘案すると,被告Y1社は,本来「それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直」すことなく,Eに対し再雇用契約を提案すべきであり,現に非組合員であるMとの間では従前と同じ労働条件で雇用を継続する取扱いをしたにもかかわらず(なお,被告Y1社は,Mとの間で,平成27年4月1日以降について,上記(1)クの内容の再雇用契約を締結したことが認められるが,同契約は,原告組合によるEの定年後再雇用等を議題とする団体交渉申入れの翌日に締結されたものであり,同申入れの影響を排除できないから,同契約の締結を考慮に入れることは相当でない。),Eに対しては,ミキサー車運転手から道路清掃に仕事の内容を変更した上,就業時間が週40時間から週8時間へと大幅に短縮し,1時間当たりの賃金も1200円から850円に減額した結果,予定総支給給与月額が平成27年1月から3月までの間の総支給給与月額の平均値の約8分の1に相当する金額となる再雇用契約を提案したが(上記(1)キ),これはEの健康状態等を勘案した担当業務の見直しとしても合理性を欠くものであると認められる。したがって,被告Y1社が,平成27年4月1日以降,Eを定年退職前と同一の労働条件で再雇用する提案をせず,Eに被告Y1社提案の条件での再雇用を拒否させて,定年退職前と同一の労働条件で再雇用しなかったことは,不利益な取扱いに当たると認めるのが相当である。
(3) また,被告Y1社が平成22年11月30日に原告組合の組合員であるBらを含むミキサー車運転手8名全員を解雇した16日後に,被告Y3は,組合員でなかったEに対し,親戚が経営するc社を紹介したこと(前記前提事実(6)ア),Eは,脳梗塞に罹患した後,出向先である被告Y1社の職場に復帰して従前と同様に稼働し,その後被告Y1社は,Eを直接雇用したこと(上記(1)ウ),以上の事実からすると,被告Y1社らは,Eが原告組合の組合員となる前は,Eの雇用継続に極めて協力的であったと推認される(なお,被告Y3は,Eが幼なじみで小さいときから知っている旨述べている[乙C3]。)。ところが,Eが原告組合に加入した旨が通知された後になると,被告Y1社は,Eに対し,再雇用契約に当たって,従前の労働条件よりも著しく低い労働条件を提案していること(上記(1)キ),被告Y3は,3月21日団体交渉において,2名の医師の名前を教えるよう求めたEに対し,「チンピラは黙っとけ。」と発言し,原告組合の組合員であるBらに対し,「おまえらのやったことはチンコロ言うんや。」「チンコロってのは人に喋るやつをチンコロって言うんじゃ。」などと発言しており(甲C4),Eの再雇用契約が議題となった席でE及び原告組合に対する敵意をあらわにしていること,以上の点に鑑みると,被告Y1社は,Eが原告組合の組合員であるが故をもって上記(2)の不利益な取扱いをしたと認めるのが相当である。
なお,被告Y1社らは,Eに週2日勤務の再雇用条件を提示したのは,Eの健康問題と再雇用に関する法的助言に基づくものであって,組合嫌悪の情に基づきEを排除する目的ではない旨主張するが,上記(2)イで認定説示したとおり,医師や関係機関からの助言等については,Eの健康状態や被告Y1社における就業規則に関する不正確な情報を前提としたものであると認められ,同助言等をもって,上記認定を左右するものとはいえない。
(4) そして,被告Y1社が,原告組合の組合員である従業員に対し,かかる取扱いをすることは,原告組合に係る労働者らの組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
(5) したがって,被告Y1社が,平成27年4月1日以降,Eを定年退職前と同一の労働条件で再雇用しなかったことは,労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当し,上記認定説示した経緯等に照らすと,不法行為法上違法と評価するのが相当である。
6 争点8(被告Y1社が,平成27年3月団交申入れに応じなかったことの違法性)について
(1) ①上記5で認定説示したとおり,被告Y1社は,3月21日団交において,本来「それまでの就業状況や健康などを勘案し,雇用条件を見直」すことなく,Eに対し再雇用契約を提案すべきであったにもかかわらず,合理性を欠く内容の労働条件に関する提案を行ったこと,②上記5(1)オで認定した事実に加え,証拠(甲C4)によれば,被告Y3は,「あのな?Eくん。君はもう今月で31日で終わりなんや。」,「だから,これにサインするんやったら使えるけど,しないのだったら使えれへん。」と述べたり,Eが,被告Y3に対して,再三にわたって意見を聞きに行ったという医師の氏名を教えてほしい旨尋ねても,被告Y3はこれに答えず,また,最後まで上記提案内容の根拠についても具体的に説明しないまま,3月21日団交が終了したことが認められ,これらの点からすると,3月21日団交において,被告Y1社が誠実な交渉を行ったり,合意達成の可能性を模索したとは認め難いこと,③その後,原告組合は,平成27年3月30日,Eの労働条件を議題とする平成27年3月団交申入れを行ったにもかかわらず,被告Y1社は,Eについては,同月31日付けで退職とする,今後Eに関する団体交渉は一切しない旨回答して,これを拒否したこと(前提事実(6)カ),以上の点からすると,被告Y1社が平成27年3月団交申入れを拒否したことについて,正当な理由があるとまで認めることはできない。
(2) これに対し,被告Y1社らは,①E及び原告組合は,従前と同一条件で再雇用するようにとの要求を続けた,②E及び原告組合から健康状態に対する反論はなく,Eが脳梗塞の再発防止や血糖値のコントロールのため具体的な努力を行って成果を示すといった対応を行わなかった,③2名の医師の氏名を開示しなかったのは原告組合が被告Y1社に対する街宣活動を行っているため医師らに迷惑を掛けたくなかったからである旨主張する。
ア まず,①の点についてみると,証拠(甲C4)によれば,3月21日団交において,原告組合の組合員が,「ここに要求書がある以上この中ですり合わせしていくっていうのが協議でしょ?」と述べていることが認められ,同発言内容や同団体交渉でのその他のやりとりの内容,平成27年3月団交申入れに係る申入書(甲C6)にも,従前と同一条件での再雇用を求める記載はないことをも併せ鑑みると,E及び原告組合が,従前と同一条件での再雇用を求め続けていたとまでは認められない。したがって,被告Y1社らの同主張は採用できない。
イ また,②の点についてみると,3月21日団体交渉以前に,被告Y1社が,Eに対し,その健康状態を問題視する指摘等を行ったことを認めるに足りる的確な証拠は認められず,かつ,Eの定年後再雇用に関する団体交渉は3月21日団交のみであり,Eが健康状態について何らかの努力や成果を示す機会は与えられていたとは認められない。以上の点に鑑みると,被告Y1社らの同主張をもって,団体交渉を拒否することに正当な理由があったとは評価できない。
ウ さらに,③の点についてみると,証拠(甲C4)によれば,被告Y3は,3月21日団交において,E及び原告組合に対し,2名の医師の氏名を開示しない理由について一切説明していないところ,仮に,被告Y3が内心において,被告Y1社らが主張するような考慮をしたとしても,これをもって団体交渉を拒否する正当な理由に当たる事情とはいえない。したがって,この点に関する被告Y1社らの主張も採用できない。
(3) 以上によれば,被告Y1社が,原告組合からの平成27年3月団交申入れに応じなかったことは,労組法7条2号に該当する不当労働行為であって,団体交渉拒否に至る経緯等に鑑みると,不法行為法上も違法であると評価するのが相当である。
7 争点9(被告Y1社が,Dらに対し,平成27年9月1日,本件転籍を命じたことの違法性)について
(1) 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。
ア 被告Y3は,平成27年7月1日及び同月30日,被告Y1社の従業員に対し,被告Y2社への転籍に関する説明をした。
同月30日のミーティングにおいて,被告Y3は,Dらを含む従業員らに対し,「8月入ってY2社に皆移らないかん」と述べた上で,傭車に出た場合の休憩の取り方や給与の支払方法(午後2時や午後3時で業務が終了した場合そのまま帰宅してよいし,その場合でも1日分の給与を支払うこと,そのため,昼休みなしで業務に従事しなければならなくなっても,当該業務が終わればその日の業務が終了だと言われた場合には,後で休憩を取れるので,業務に従事してほしいこと)等を説明した。Bは,ミーティングの最後に,「また細かいことがあったら,わからんことは聞きます。」と述べた。
(甲D9,弁論の全趣旨)
イ 被告Y1社及び原告組合は,平成27年8月22日,Dらも出席した上で,団体交渉を行った(以下「8月22日団交」という。)。
同団体交渉の席上,被告Y3は,原告組合に対し,Dらが被告Y2社へ転籍し,傭車に出た場合の終業のタイミングや給与の支払方法について説明し,原告組合からの質問に回答するなどした。
(乙D3の①②)
(2)ア 前記前提事実(7)イ(イ)及び上記(1)で認定した事実によれば,被告Y3が,平成27年7月1日及び同月30日,被告Y1社の従業員を対象に,被告Y2社への転籍に関する説明を行い,被告Y1社は,同年9月1日,Dらを含むミキサー車運転手6名(非組合員を含む。)に対し,本件転籍を命じたことが認められる。
イ 被告Y1社らは,Dらが本件転籍を承諾していたのであるから,本件協定に基づき原告組合と事前に協議する必要は消失していた旨主張する。
しかしながら,団体交渉は,労働者が使用者との交渉において対等の立場に立ち(労組法1条1項),その労働条件について交渉する場であるから,組合員に影響を与える問題(労働条件等の変更)については,労使間で事前に協議し労使合意の上,円満に行うこと等を内容とする労使協定(本件協定)を締結しながら,使用者が,労働条件等の変更に係る団体交渉等の事前協議を経ないまま,労働者から個別の同意を取って労働条件等の変更等を行うことは,上記労使協定を潜脱しているというべきである。したがって,たとえDらの個別の同意があったとしても,これにより,本件協定に基づく組合員の労働条件に関する事前協議義務が消失するということはできない。
ウ(ア) ところで,上記認定したとおり,平成27年8月22日,被告Y1社と原告組合との間で,団体交渉が行われたことが認められる。
この点,上記(1)イで認定した事実及び証拠(甲D9,乙C3の①②)によれば,8月22日団交に先立って,当時a分会の分会長であったBは,原告組合の組合員であったDやその他の従業員(非組合員も含む。)とともに,少なくとも平成27年7月30日のミーティングに参加したこと,同ミーティングにおいて,被告Y3は,被告Y2社に転籍した後の労働条件等について説明したのに対し,Dらは,質問を行うなど,転籍の内容等について一定のやり取りを行っていること,以上の点が認められる。そして,同ミーティングが開催された後,被告Y1社と原告組合との間で,8月22日団交が行われているところ,証拠(乙C3の①②)によれば,被告Y3は,その席上でも,原告組合の担当者に対し,被告Y2社へ転籍し,傭車に出た場合の終業のタイミングや給与の支払方法について具体的に説明し,同担当者との間で,本件転籍に関し,一定のやり取りを行っていることが認められる。
以上の一連の経過や団体交渉等におけるやりとりの具体的な内容等に照らすと,8月22日団交は,被告Y1社が原告組合に対し,本件協定に基づいて事前協議の申入れをした結果なされたものではなく,また,同団体交渉におけるお互いの言葉使い等に穏当さを欠き,必ずしも「労使合意の上,円満に行」われたとは言い難い面はあるものの,結果的には,被告Y3とa分会長であるB及び原告組合との間で,本件転籍の前に,本件転籍に関する協議が行われたと評価することができないわけではない。
(イ) また,上記(1)イ及び上記(ア)で認定した事実に加えて,Dらは,上記ミーティング及び8月22日団交において,被告Y3からの説明を聞いた上で,被告Y2社への転籍について否定的な発言を行っていないこと(甲D9,乙D3の①②),本件転籍は非組合員を含む被告Y1社のミキサー車運転手6名に対するものであること(上記ア),これらの点は,いずれも本件転籍に係る不当労働行為性を否定する方向に働く事情であるといえる。
エ(ア) しかしながら,①被告Y1社らは,本件転籍の必要性に関する個別具体的な立証をしているとはいえないこと(被告Y1社らは,被告Y2社が取得した自動車運送事業の許可を活用して,被告Y2社が被告Y1社から運送業務を受注したり,他の生コン業者や土木事業者から傭車の注文を受けたりして,運送業務を拡大していくことを計画した旨主張するが,これらの事情を個別具体的に認めるに足りる的確な証拠は認められない。また,これらの事情と本件転籍との関係も不明といわざるを得ず,かえって,被告Y1社の主張は,自動車運送事業の許可を受けるためには一定額の預貯金残高を保有していることを証明しなければならないところ,当時の被告Y1社にはそれが不可能であったというものであり,上記許可と従業員の転籍[本件転籍]との間に関係性があるとは認め難い。),②被告Y1社と被告Y2社は,被告Y3がいずれも代表取締役を務めていたこと,原告X2は,被告Y2社に入社したにもかかわらず,明確に出向する旨を告げられないまま被告Y1社の業務に従事していたこと等の事情に照らすと,両社の関係区別は不明確・不分明であるといわざるを得ないこと,③本件転籍前後で,転籍されたミキサー車運転手6名の業務内容に変化がないこと(甲D8),以上の点に鑑みると,当時被告Y1社の従業員を被告Y2社に転籍させる合理的な理由は見出し難い。
(イ) そして,原告組合の組合員(Dら)は,本件転籍によって,本件協定の保護を受けられなくなるという不利益を被ることになるほか,被告Y3の原告組合及びその組合員に対する対応や団体交渉時の発言内容等(上記1ないし6)をも併せ鑑みると,上記ウの点を踏まえたとしても,同不利益取扱いは,Dらが原告組合の組合員であることの故をもってなされたものであると認められ,ひいては,組合に加入することによって,このような不利益取扱いがされるとなれば,原告組合に係る組合員の組合活動意思が萎縮し,組合活動一般に対して制約的効果が及ぶものであると認められる。
(ウ) したがって,被告Y1社が,平成27年9月1日,Dらに対し本件転籍を命じたことは,労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為であると認められ,行為の態様等に照らすと,不法行為法上も違法と評価することができる。
8 争点10(原告組合に係る損害の有無及びその額)について
(1) 無形損害について
ア 上記1ないし7の被告Y1社の原告組合に対する不法当労働行為は,原告組合の労働組合としての団結権及び団体交渉権を侵害するものであって,不法行為法上も違法と評価されるべきものであるところ,原告組合には,上記のとおり団結権及び団体交渉権を侵害されたことに基づく,内外から社会的評価や信用の毀損等による無形の財産的損害が発生したというべきである。
イ そして,上記のとおり,被告Y1社による原告組合に対する不当労働行為は,平成23年6月から平成27年9月まで長期間にわたり,その間,平成27年6月には府労委が救済命令を発した(前記前提事実(4)キ)にもかかわらず,その後も不当労働行為が行われ,その内容を見ても,組合員に対する不利益取扱い,支配介入及び正当な理由のない団体交渉の拒否など多岐にわたること,結果的に,Cのほか,B及びDも原告組合を脱退し,a分会の組合員は,再雇用されず被告Y1社との労働契約が終了したEのみとなったこと,その他本件における諸般の事情を総合考慮すると,上記不法行為によって原告組合に生じた無形損害としては,150万円とするのが相当である。
(2) 弁護士費用について
本件事案の性質及びその内容,審理の経過,認容額等に鑑みれば,弁護士費用として,15万円を原告組合の損害と認めるのが相当である。
9 争点11(被告Y1社による原告組合に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無)について
(1) 上記1ないし8で認定説示したとおり,被告Y1社による上記各行為は,いずれも原告組合に対する不当労働行為に該当し,原告組合の団結権ないし団体交渉権を侵害するものであって,原告組合に対する不法行為を構成するところ,上記認定説示した不当労働行為に至る経緯等に鑑みると,被告Y3は,原告組合に対する嫌悪の情に基づき,被告Y1社を代表して率先してこれらの不当労働行為を行ったと認められる。
(2) したがって,被告Y3は,民法709条ないし会社法429条1項に基づき,被告Y1社と連帯して,原告組合に対し,損害賠償責任を負うと解するのが相当である。
10 争点12(原告X2の被告Y2社に対する皆勤手当請求権の有無)及び争点13(原告X2の被告Y2社に対する休業手当支給日に係る賃金請求権の有無)について
(1) 認定事実
前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。
ア 原告X2は,平成25年10月頃,ハローワークで,被告Y2社の求人票を見て,同社に応募した。
同求人票には,「事業所名」として,「株式会社Y2」,「仕事の内容等」として,「職種 大型運転手」,「仕事の内容 ※大型ダンプの運転手をしていただきます。※土木作業にも従事していただきます。経験者優遇いたします。」などと記載され,「必要な経験等」として「大型自動車運転の経験者」,「必要な免許・資格」として「大型自動車免許」,「賃金形態 日給」などと記載されていた。
もっとも,原告X2は,平成25年11月1日に被告Y2社に入社した当初から平成27年3月23日に本件除草作業等を命じられるまでの間,被告Y1社の業務(主として,大型ダンプカーの運転手)を行っていた。また,原告X2は,入社当時から,午後8時頃から午後10時ないし午後10時30分までの間,ラーメン店の屋台営業をしており,被告Y3は,このことを知っていた。
なお,原告X2と被告Y2社との間で,雇用契約書等は作成されていない。
(甲総14,甲D5,7,8,10,乙D1,原告X2,被告Y3)
イ 平成27年3月2日の本件配置転換がされるまでの間,被告Y1社のダンプカーには,被告Y2社の従業員である原告X2及びO(以下「O」という。)が乗務していた。本件配置転換後,Oは引き続きダンプカーに乗務し,それまで原告X2が乗務していたダンプカーには,被告Y1社のミキサー車運転手であるKが乗務した。
(甲総14,甲D8,10,原告X2,被告Y3)
ウ 平成27年3月21日,団体交渉が行われたが(3月21日団交),同団体交渉では,原告X2に係る本件配置転換についても議題となった。
その際,被告Y3は,原告X2に対し,「それやったらX2君はY2社におってくれ。Y1社行かんとY2社におってくれ。」「場内整備したり片付けしたり。」「X2君,明日から生コン行かなくていいから,ここにカード置いとくからな。」などと述べた。
(甲D9)
エ 被告Y2社は,平成27年3月23日以降,原告X2に対し,本件除草作業等を命じた。被告Y1社及び被告Y2社の他の従業員もこれらの作業を命じられることがあったものの,ダンプカーやミキサー車に乗務せず,専らこれらの作業に従事していたのは原告X2のみであった。
(甲総14,甲D7,8,乙総1,乙E5,原告X2,被告Y3)
オ 被告Y2社は,平成27年9月7日以降,原告X2が出勤してタイムカードを打刻すると,仕事がない旨告げ,帰宅を命じた。
この間,被告Y2社のミキサー車の人手が足りない場合等には,被告Y3が乗務したり,被告Y1社の従業員が乗務したりしており,毎日帰宅を命じられていたのは原告X2だけであった。
原告X2は,上記のように被告Y2社から帰宅を命じられた日のほか,自己都合での欠勤をしていない(なお,有給休暇を取得した日については,出勤したものとして扱われている。)。このように,原告X2が,出勤したものの,現実に就労しなかった日については,タイムカードに「休補」,「休業」などと記載され,平均賃金の6割に相当する休業手当が支給されている。
(前提事実(7)ア(キ),甲総14,甲D7,8,乙E2の①ないし〈23〉,原告X2,被告Y3)
なお,被告Y2社らは,原告X2に帰宅を命じていない旨主張するが,被告Y3が,府労委での審問手続において,原告X2に帰宅を命じたことを認める供述をしていたこと(甲D8)に鑑みると,被告Y2社らの上記主張は採用できない。
カ 原告X2は,被告Y2社又は被告Y1社において運転業務に従事している間,交通事故を起こしたことはない(甲D8)。
(2) 原告X2の被告Y2社に対する皆勤手当請求権の有無について
ア 前記前提事実(7)ア(イ),(ウ)によれば,原告X2は,被告Y2社から,平成26年12月分の給与までは,月額1万円の皆勤手当を支給されていたところ,原告組合に加入した旨の通知がなされた3日後の支給日である平成27年1月分の給与以降,原告X2は被告Y2社から皆勤手当を支給されなくなったことが認められる。
イ この点,被告Y2社は,平成27年1月分以降,原告X2に対し皆勤手当を支給しなくなったのは,①原告X2に被告Y2社の給与規定が適用されるようになったこと,②原告X2が同月以降皆勤することがなくなったことが理由である旨主張する。
(ア) 上記①の点について
被告Y2社は,原告X2については,平成27年3月20日まで被告Y1社に出向しており,同人に係る給与は被告Y1社の給与規定に従って計算していたが,原告X2は同月21日に被告Y2社の業務に復帰したため,皆勤手当の支給を受けられなくなった旨主張する。しかしながら,原告X2は,被告Y2社に入社した当初から同年3月23日に本件除草作業等を命じられるまでの間,被告Y1社の業務を行っていた(上記(1)ア)のであるから,少なくとも同年1月分の給与については,これまでと同様に被告Y1社の給与規定に従った計算がされることとなると考えられる。そうすると,上記①の点については,同年1月分の皆勤手当を支給しなかったことの根拠とならない。
(イ) 上記②の点について
証拠(甲C8)によれば,被告Y3は,府労委での救済命令申立て事件に係る審問手続において,原告X2に対して皆勤手当を支給しなくなった理由は上記①の点だけである旨供述していたことが認められ,上記②の点を皆勤手当不支給の理由とすることは,上記供述に反するといわざるを得ない。
また,この点を措くとしても,証拠(乙E2の①)によれば,平成27年1月中は,原告X2について,自己都合による欠勤はもとより,被告Y2社が主張するような,出勤をしてタイムカードを打刻した後すぐに帰宅した日もなかったことが認められる。
(ウ) 小括
以上のとおり,被告Y2社の上記主張は,少なくとも原告X2に対して平成27年1月分の皆勤手当を支給しないことの合理的理由であるとはいえない。
かえって,被告Y2社は,原告X2の勤務形態が何ら変更されていないにもかかわらず,原告X2が原告組合に加入した旨通知された3日後が支給日である同月分の給与から,突如皆勤手当を支給しなくなり,その後も原告X2には,皆勤の有無にかかわらず皆勤手当が支給されていないこと,被告Y2社の代表者である被告Y3は,本件訴訟の本人尋問においても,原告組合に対する嫌悪の情があることを認めていること,以上の点に鑑みると,被告Y2社が原告X2に対して皆勤手当を支給しなくなったのは,原告X2が原告組合の組合員であるが故をもってなされたものであると認めるのが相当であり,この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。
ウ 上記認定説示したとおり,原告X2が,被告Y2社から平成26年12月分の給与までは月額1万円の皆勤手当を支給されていたことについて,原告X2に被告Y1社の給与規定が適用されていたためである旨の被告Y2社の主張は採用できず,原告X2と被告Y2社との間で,皆勤した場合には月額1万円の皆勤手当を支給することが労働契約の内容となっていたと認めるのが相当であるところ,これが支給されなくなったのは,原告X2が原告組合の組合員であるが故であって,そのような組合員であるが故の不利益取扱いは許されない(労組法7条1号)。なお,就業規則は労働契約の最低基準を定めるものにすぎないから(労働契約法12条),被告Y2社の給与規定において日給制の従業員に対し皆勤手当を支給する旨の規定がないことは,上記認定の妨げにはならない。
エ ところで,上記のとおり,被告Y2社は,原告X2について,平成27年1月以降,皆勤の月がなくなった旨主張しているところ,証拠(甲E2の②ないし〈23〉)及び弁論の全趣旨によれば,原告X2は,同年2月以降,タイムカードに「休補」,「休業」などと記載された日が存在し,これらの日について,原告X2は,出勤してタイムカードの打刻をするものの,具体的に就労せずに帰宅していたと認められる。
しかしながら,原告X2は,自己都合による欠勤をしておらず,これらの日については,原告X2が労務提供の意思を示したのに対し,使用者である被告Y2社が,原告X2に従事させる業務がないなどとしてその受領を拒絶したと認めるのが相当であって(上記(1)オ参照),この点を覆すに足りる的確な証拠は認められない。そうすると,原告X2は,これらの日について,被告Y2社に対する賃金請求権を失わないというべきであり(民法536条2項),皆勤手当等の各種手当についても,原告X2が出勤したことを前提として計算するのが相当である。なお,被告Y2社は,給与規定(甲E7)・賃金規程(乙E6)の規定に従い,平均賃金の6割に相当する休業手当を支給しているが,休業手当(労基法26条の休業手当に相当するものであると解される。)の支給に関する給与規定・賃金規程の規定が民法536条2項の適用を排除する趣旨であるとまでは認められないから,休業手当を支給したからといって,上記民法536条2項に基づく賃金請求権が否定されることにはならないというべきである。
したがって,被告Y2社の上記主張は採用できず,原告X2は,平成27年1月分以降,被告Y2社に対し,皆勤手当を請求する権利を有すると認められる。
(3) 原告X2の被告Y2社に対する休業手当支給日に係る賃金請求権の有無について
上記(1)オ及び上記(2)エで認定説示したとおり,被告Y2社は,原告X2に対し,被告Y2社の都合により業務に従事させなかった日について平均賃金の6割に相当する休業手当を支給しているところ,これらの日については,被告Y2社が原告X2による労務提供の受領を拒絶したといえるのであるから,原告X2は被告Y2社に対する賃金請求権を失わないと解するのが相当である。
(4) 小括
以上のとおり,被告Y2社が,原告X2に対し,平成27年1月分の給与から皆勤手当を支給しなくなったこと及び休業手当支給日について賃金を全額支給しなかったことについては,いずれも理由がなく,原告X2は,被告Y2社に対し,これらの未払賃金請求権(その具体的計算結果が別紙「未払賃金計算書1」及び「未払賃金計算書2」の合計301万2796円となることは,当事者間に争いがない。)を有するということができる。
11 争点14(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年1月分以降,皆勤手当を支給しなくなったことの違法性)について
上記10(2)で認定説示したとおり,被告Y2社が,原告X2が原告組合に加入した旨通知された3日後が支給日である平成27年1月分の給与以降,それまで支給していた1万円の皆勤手当を支給しなくなったことは,原告組合の組合員であるが故をもってした不利益な取扱い(労組法7条1号)に当たり,不法行為法上も違法と評価すべきである。
12 争点15(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年3月2日,本件配置転換を命じたことの違法性)
(1) 前記前提事実(7)ア(エ)及び上記10(1)ア,イで認定した事実によれば,原告X2が被告Y2社に入社するきっかけとなったハローワークの求人票には,仕事の内容として,「※大型ダンプの運転手をしていただきます。」と記載され,原告X2は,入社後も,被告Y1社での業務ではあるものの主として大型ダンプカーの運転手として就労していたこと,被告Y2社は,平成27年3月2日,原告X2に対し,本件配置転換を命じ,原告X2が従前乗務していたダンプカーには,被告Y1社のミキサー車運転手であるKが乗務するようになったこと,以上の事実が認められる。
(2) この点,被告Y2社は,本件配置転換について,被告Y1社の従業員であるEにミキサー車運転業務をやめさせたためであることから,合理的な理由がある旨主張する。
確かに,上記10(1)アで認定した事実並びに証拠(甲D7,甲E7,乙E6,原告X2)及び弁論の全趣旨によれば,上記(1)のハローワークの求人票には,仕事の内容として,「※土木作業にも従事していただきます。」と記載されており,ダンプカーの運転業務以外に全く従事しない趣旨とは解されないこと,原告X2は,従前ミキサー車を運転した経験があり,被告Y2社に入社後も,運転手が不足しているときなどに,ミキサー車に乗務することもたびたびあったこと,もう一人のダンプカー運転手であるOもローテーションでミキサー車に乗務することがあったこと,被告Y2社の就業規則には,担当職務の配置換えがあり得る旨明記されていること,以上の事実が認められるほか,本件全証拠を精査しても,本件配置転換によって,原告X2に経済的不利益が生じたことはうかがわれない。これらの点は,本件配置転換が不利益な取扱いであるとする点を否定する方向に働く事情であるといえる。
しかしながら,上記のとおり,そもそも原告X2がハローワークを通じて被告Y2社に入社した際,ハローワークの求人票には「※大型ダンプの運転手をしていただきます。」と記載されており,原告X2は,被告Y2社入社後も主としてダンプカーの運転手業務に従事していたこと,もう一人のダンプカー運転手であるOは引き続きダンプカーに乗務していること,本件配置転換後,原告X2が従前乗務していたダンプカーには,被告Y1社のミキサー車運転手であるKが乗務するようになったこと,以上の事実が認められ,これらの事実に,原告X2が本件配置転換前にミキサー車の運転業務に従事していたのは,飽くまでも人手が足りない等の理由による臨時的なものであり,本件配置転換とは趣を異にするものであると認められることをも併せ勘案すると,従前ダンプカーに乗務していた原告X2をミキサー車運転手にして,代わりに被告Y1社のミキサー車運転手をダンプカー運転手にするという本件配置転換については,特段の合理的な理由を見出すことはできない。
(3) 以上認定説示した点に,本件配置転換が,一方的かつ突然のものであったこと,上記のとおり,本件配置転換は,それまで行われていた人手不足の際の臨時的なものとは趣を異にしていると認められることからして,原告X2には,一定の精神的な不利益があったと認めるのが相当であること,本件配置転換は,皆勤手当の支給停止に続いて行われたものであることをも併せ鑑みれば,被告Y2社が,平成27年3月2日,原告X2を,ダンプカー乗務員からミキサー車乗務員へ配置転換したことは,原告X2に対して,組合員であるが故に不利益な取扱いをしたもの(労組法7条1号)であって,不法行為法上も違法と評価するのが相当である。
13 争点16(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年3月23日以降,本件除草作業等を命じたことの違法性)について
(1) 前記前提事実(7)ア(オ)及び上記10(1)エで認定した事実によれば,被告Y2社は,平成27年3月23日以降,原告X2をミキサー車の運転業務から外して本件除草作業等を命じたこと,他の従業員らもこれらの作業を命じられたことがあったが,車両に乗務せず,専ら本件除草作業等に従事していたのは原告X2のみであったこと,以上の事実が認められる。
(2) この点,被告Y2社は,原告X2を運転業務から外して本件除草作業等を命じたことについて,①被告Y2社の業務量が減少し,運転業務や土木作業が乏しかったこと,②原告X2は,副業として夜間にラーメン店を営業していたところ,被告Y3は,大型バス運転手が長時間労働により交通事故を起こしたなどのテレビ報道等に接し,原告X2が過労により交通事故を起こすことを懸念していたこと,③原告X2が,乗務する車両の点検・整備を怠り,ダンプカーの故障に気付かず運転していたことがあったこと,④原告X2は,運転手としての技量が十分ではなかったこと,⑤原告X2は,大型車の運転免許以外特段有用な免許を保持しておらず,重機の運転等他の有用な免許を保持している従業員と比較して,原告X2に任せられる運転業務が減少したこと,以上の理由に基づくものである旨主張する。
ア 上記①及び⑤の点について
この点,平成27年3月当時における被告Y2社及び被告Y1社の業務量が減少していたことを認めるに足りる具体的かつ客観的な証拠は認められず,仮に,その点を措くとしても,実際,原告X2が本件除草作業等に従事している間も運転業務に従事していた従業員が存在していたことに照らすと,上記①及び⑤の点をもって,原告X2のみ運転業務に従事させないという合理的な理由にはならないといわざるを得ない。
イ 上記②の点について
被告Y3は,原告X2が平成25年11月1日に被告Y2社に入社した当初から,夜間に副業(屋台のラーメン屋)を行っていることを知っていた(上記10(1)ア)ところ,被告Y2社らは,被告Y3が,原告X2に対し,入社後しばらくしてから,ラーメン屋を辞めるよう何度か言ったことがある旨主張するが,仮にそうであったとしても,被告Y2社は,結局原告X2を1年4か月以上運転業務に従事させていたのであり,かつ,原告X2については事故を起こしたことを認めるに足りる的確な証拠はないのであるから(同カ),この時点で,同理由をもって,原告X2を運転業務に従事させないことの合理的な理由にはならない。
ウ 上記③の点について
証拠(甲D7,8,乙総1,被告Y3)によれば,原告X2が運転していたダンプカーのバルブが割れるという故障が起きたことが認められる。もっとも,被告Y3は,府労委での審問手続において,1日前からしていた異音は小さく,バルブが割れているような音ではなかったなどと供述しており(甲D8),この点からすると,原告X2が,通常気付くべき故障に気付かずに運転していたとまでは認められない。したがって,上記③の点は,原告X2を運転業務から外して本件除草作業等を命じた合理的な理由であるとは言い難い。
エ 上記④について
被告Y3は,原告X2の運転技量が未熟である旨供述するが(甲D8,乙総1,被告Y3),同供述を裏付けるに足りる具体的かつ客観的な証拠は認められず,この点についても,原告X2を運転業務から外して本件除草作業等を命じた合理的な理由であるとは言い難い。
オ 小括
以上によれば,被告Y2社らの上記主張はいずれも理由がなく,原告X2を運転業務から外して専ら本件除草作業等を命じる合理的な理由があったとは認められない。
(3) そして,他の従業員の中には,車両に乗務せず,専ら本件除草作業等に従事していた者はいないこと(上記(1)),かかる取扱いは原告X2が原告組合に加入した旨の通知から約1か月半後になされたものであること,被告Y3は,3月21日団交において,「X2君はY2社におってくれ。Y1社行かんとY2社におってくれ。」「場内整備したり片付けしたり。」「X2君,明日から生コン行かなくていいから,ここにカード置いとくからな。」などと述べ(上記10(1)ウ),実際に,同月23日以降,原告X2を運転業務から外していること(同エ),被告Y3は,上記団体交渉の席上,原告組合の組合員に対し,「わが身も恥ずかしいやろうが。ええ格好ばっかり言ってるんちゃんか?他のものには。」「要求要求ってええ格好言ってるけどな,おねがいなんや。」などと述べ(甲D9),原告組合に対する敵意をあらわにしていることをも併せ鑑みれば,被告Y2社が原告X2に対し,平成27年3月23日以降,本件除草作業等を命じたことは,原告X2が原告組合の組合員であることの故をもっての不利益取扱い(労組法7条1号)であると認められる。
(4) したがって,被告Y2社が,平成27年3月23日以降,原告X2をミキサー車乗務から外し,本件除草作業等を命じたことは不当労働行為に該当し,不法行為法上も違法であると評価することができる。
14 争点17(被告Y2社が原告X2に対し,平成27年9月7日以降,出勤後すぐに帰宅させ,これに伴い賃金支給額を減額したことの違法性)について
(1) 前記前提事実(7)ア(キ)及び上記10(1)オで認定した事実によれば,被告Y2社は,平成27年9月7日以降,原告X2が出勤してタイムカードを押すと,仕事がない旨告げて帰宅を命じ,賃金を減額したこと,被告Y2社のミキサー車の人手が足りない場合には,被告Y3が乗務したり,被告Y1社の従業員が乗務したりしており,毎日帰宅を命じられているのは原告X2だけであること,以上の点が認められる。
(2) この点,被告Y2社らは,原告X2を起用できる運転業務がなく,本件除草作業等もないときはその旨告げるしかなかったと主張する。しかしながら,上記12(2)で認定説示したとおり,原告X2を運転業務から外す合理的理由があるとは認め難く,また,上記(1)のとおり,被告Y2社のミキサー車の人手が足りない場合には,被告Y3が乗務したり,被告Y1社の従業員が乗務したりしていることを併せ鑑みれば,原告X2のみに毎日帰宅を命じることに合理性があるとは認められない。
(3) そして,上記11ないし13で認定説示したとおり,被告Y2社は,原告X2に関し,原告X2が原告組合の組合員であることの故をもって不利益取扱いをしていることからすると,最終的に本件除草作業等への従事も命じず,毎日帰宅を命じて賃金を減額することも,原告X2が原告組合の組合員であることの故をもっての不利益取扱い(労組法7条1号)であると認めるのが相当である。
(4) したがって,被告Y2社が,平成27年9月7日以降,原告X2に対し,出勤時に帰宅を命じて賃金を減額したことは,不法行為法上違法であると評価することができる。
15 争点18(原告X2に係る損害の有無及びその額)について
(1) 慰謝料
ア 上記11ないし14で認定説示したとおり,被告Y2社が,原告X2に対し,平成27年1月分以降,皆勤手当を支給しなくなったこと,同年3月2日,本件配置転換を命じたこと,同月23日以降,本件除草作業等を命じたこと及び同年9月7日以降,出勤後すぐに帰宅させ,これに伴い賃金支給額を減額したことは,いずれも原告X2が原告組合の組合員であるが故をもってなされた不利益な取扱いであり,原告X2との関係で,不法行為法上も違法となるというべきである。
イ そして,原告X2の経済的損害については,本件における各賃金請求によって填補されると解するのが相当である。もっとも,上記のように不合理な不利益取扱いを受けたことによる原告X2の精神的苦痛が完全に填補されるとは認め難いこと,本件除草作業等は,肉体的苦痛も伴うものであり,原告X2は作業中に救急搬送されたこともあったこと(前記前提事実(7)ア(カ)),その他本件における諸般の事情を総合考慮すると,上記不法行為によって原告X2に生じた精神的苦痛に対する慰謝料は,30万円とするのが相当である。
(2) 弁護士費用
本件事案の性質及びその内容,審理の経過,認容額等に鑑みれば,弁護士費用として,3万円を原告X2の損害と認めるのが相当である。
16 争点19(被告Y2社による原告X2に対する不法行為に関する被告Y3の責任の有無)について
上記11ないし15で認定説示したとおり,被告Y2社による上記各行為は,いずれも原告X2に対する不法行為を構成するところ,被告Y3は,上記認定説示した経緯に鑑みると,原告組合に対する嫌悪の情に基づき,被告Y2社を代表し,率先してこれらの違法行為を行ったと認められる。したがって,被告Y3は,民法709条ないし会社法429条1項に基づき,被告Y2社と連帯して原告X2に対する損害賠償責任を負うというべきである。
17 結論
以上によれば,原告らの本件各請求については,主文第1項ないし第3項掲記の限度で理由があるから,これを認容し,その余はいずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第5民事部
(裁判長裁判官 内藤裕之 裁判官 大森直哉 裁判官 池上裕康)
〈以下省略〉
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【よくある質問 Q&A 一覧】
■街頭ポスター貼り(掲示交渉)代行について
Q&A【1】街頭ポスター貼付(掲示交渉代行)サービスとはどのようなものですか?
Q&A【2】どのくらいの期間で何枚くらいの街頭ポスター貼付ができるのですか?
Q&A【3】街頭ポスターを貼る際は先方(許可承諾者)に許可をいただいて貼るのですか?
Q&A【4】ポスターの①貼付依頼~②貼付開始~③貼付完了等の流れについて教えていただけますか?
Q&A【5】ポスターの料金は1枚いくらで貼ってくれるのですか?
Q&A【6】ポスターの貼付エリアや貼り付け枚数等は指定できますか?
Q&A【7】ポスター貼付後のメンテナンス(貼り替え・剥がし)も依頼できますか?
Q&A【8】最低何枚から街頭ポスター貼りを依頼できますか?
Q&A【9】ポスター貼り替え期間の指定はできますか?貼りっぱなしではないですか?
Q&A【10】街頭ポスターの貼付交渉(新規掲示)の実績や事例はありますか?
■政治活動における広報支援について
Q&A【11】「ドブ板選挙プランナー」とはどのようなお仕事ですか?
Q&A【12】「ポスタリング」とはどのようなサービスですか?
Q&A【13】政治活動等の特殊な業界についてのポスター掲示交渉は難しいですか?
Q&A【14】政治活動用の街頭ポスター(二連|三連)貼りをお願いしたいのですが、特定政党の支援は可能ですか?
Q&A【15】政治活動におけるポスターについて公職選挙法や政治資金規正法等の知識はありますか?
Q&A【16】街頭で無料の「ウィン!ワッポン」をよく見かけますが、これで選挙の勝率が上がりますか?
Q&A【17】二連ポスターや三連ポスター製作前に「弁士の相手」のご提案もしてくれますか?
Q&A【18】ポスター「掲示責任者代行」とはどのようなものでしょうか?
Q&A【19】選挙妨害やその他クレーム対応等の代行も可能でしょうか?
Q&A【20】政治活動(選挙運動)における広報支援プランはどのようなものがありますか?
■営業専門会社による広報PR支援について
Q&A【21】飛び込み訪問、戸別訪問、挨拶回り代行等、ポスター貼り以外でもお願いできますか?
Q&A【22】飲食店や実店舗等の店内やトイレ等にポスターを貼ったり、ビジネスカード設置、チラシ配布等は可能ですか?
Q&A【23】全国どこでもポスター貼りが可能なのですか?
■ご検討中の方々に
Q&A【24】お問い合わせについて
Q&A【25】資料をダウンロード
Q&A【26】ノウハウ・テクニックを大公開!
■ご依頼(お申し込み)の前に
Q&A【27】お申し込みの流れ
Q&A【28】ご用意いただきたいもの
■ご依頼(ご契約)の後に
Q&A【29】進捗報告について
Q&A【30】お友達ご紹介キャンペーンについて
■ポスターPRプラン一覧(枚数・サイズの選択)
選挙区エリアにおいて、ポスターの当該掲示許可承諾者に対して交渉し、同一箇所にどのように掲示するかをお選びいただきます。
【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88% ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6% ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4% ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2% ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン!の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
勝つ!選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付! 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績! 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績!
地獄のポスター貼りやります! ドブ板選挙ポスタリストが貼る! ポスター掲示交渉実績を大公開!
政治ポスター貼りドットウィン!「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい!」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績!
(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり!選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏0120-860-554(貼ろう!ここよ!) ✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初!世界発!「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン!ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能! 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール 1枚から対応/大至急/一斉貼付け!
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン!ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。
(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN!豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧!
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝!当選!選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします!
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100%のリーチ率で攻める御用聞き 1軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定!貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能!
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい!」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門!ポスター新規掲示! ☆貼!勝つ!広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター!
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ!選挙広報支援事前ポスター 1枚から貼る事前選挙ポスター!
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい!」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN!」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい!選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 1台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置!













































































































