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裁判年月日 令和 3年12月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 令３（ワ）１７３７号
事件名 損害賠償等請求事件
文献番号 2021WLJPCA12248016
出典
裁判年月日 令和 3年12月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 令３（ワ）１７３７号
事件名 損害賠償等請求事件
文献番号 2021WLJPCA12248016
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 株式会社健ハウジング
同代表者代表取締役 Ａ
同訴訟代理人弁護士 井上侑
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Ｙ
主文
１ 原告の請求を棄却する。
２ 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第１ 請求
被告は，原告に対し，１９９万５１２５円及びこれに対する令和３年２月６日から支払済みまで年３％の割合による金員を支払え。
第２ 事案の概要
本件は，不動産仲介業者である原告が，被告に対し，原告と被告との間で，別紙物件目録記載の借地権付建物（以下「本件物件」という。）について，①媒介契約が成立したと主張して，同契約に基づく報酬請求権に基づき，又は，②媒介契約が成立していないとしても，その成立が確実な状況の下で，殊更に原告を排除して本件物件の所有者との間で直接売買契約を締結し，媒介報酬の期待を侵害したことが違法である，若しくは契約締結の準備が進捗しており，原告が媒介報酬を得ることが確実であるとの期待を侵害しないよう努める信義則上の義務を怠り，本件物件の所有者との間で直接売買契約を締結したことが違法であると主張して，不法行為による損害賠償請求権に基づき，媒介報酬相当の損害金１９９万５１２５円及びこれに対する訴状送達日の翌日である令和３年２月６日から支払済みまで民法所定の年３％の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
１ 前提事実
（注）以下，特記ない限り，日付はいずれも令和元年を指す。また，引用する書証は，特記ない限り各枝番を含む。
(1) 当事者等
ア 原告は，不動産の仲介等を目的とする株式会社である。（弁論の全趣旨）
イ 被告は，東京都世田谷区所在のａセンターに勤務する医師であり，５月頃から，妻のＢ（以下「Ｂ」という。）及び子４名の家族６名で同居するための物件を探していた。（乙２１，弁論の全趣旨）
(2) 本件物件について
本件物件は，借地法に基づく借地権付きの建物であり，借地権に係る賃貸人は宗教法人久成院，建物の所有者は不動産会社である株式会社オーチャン（以下「オーチャン」という。）であった。（甲１，２，乙４，弁論の全趣旨）
(3) 被告の本件物件の購入経緯
ア 被告及びＢは，９月２０日，原告の頒布した折込み広告で本件物件の売出し（売出し価格５９８０万円）を知り，原告の担当者の案内の下で複数回の内覧を経て，同月２３日頃までに本件物件を購入する意向を示し，同月２５日に原告に対して不動産購入申込書を提出した。同日頃までに，被告とオーチャンとの間の本件物件の売買契約の締結日が１０月４日の予定とされた。
その後，原告は，本件物件の売買契約の締結に向けて，金融機関に対する住宅ローンの事前審査申込みの代行，リフォーム業者とのやり取り，オーチャンに対する売買代金の減額交渉，媒介報酬の減額の検討，売買契約書案の作成等の業務を行った。（以上につき，甲４ないし１１，弁論の全趣旨）
イ 被告は，１０月１日，株式会社不動産流通システム「ＲＥＤＳ」（以下「ＲＥＤＳ」という。）に連絡をとり，本件物件の媒介を依頼した。
被告は，１０月２日，原告に対し，原告の媒介の下での本件物件の購入を撤回するとの連絡をした。（以上につき，甲４，１３，乙１６の１，弁論の全趣旨）
その後，被告は，ＲＥＤＳの媒介の下で本件物件の購入手続を進めたが，原告は，オーチャンからの連絡により，ＲＥＤＳの媒介の下で被告が本件物件の購入手続を進めていることを知り，被告に対して原告の媒介の下で売買契約を締結するよう求める等した。
ＲＥＤＳは，１０月１３日，被告に対する本件物件の媒介業務を行うことを取り止めた。（以上につき，甲４，乙１５，１６の１，弁論の全趣旨）
ウ 被告は，１０月２５日，不動産仲介業者による媒介なくして，直接，オーチャンとの間で売買契約を締結し，本件物件を取得した。（乙１ないし６，１６の１）
２ 争点
(1) 原告と被告との間で，本件物件に係る媒介契約が成立したか（媒介契約の成否）。
(2) 被告が原告に対し，媒介報酬を得ることの期待を侵害したことが違法であるとして，媒介報酬相当額の損害賠償義務を負うか（期待侵害による不法行為の成否）。
(3) 被告が原告に対し，本件物件について，原告が媒介報酬を得ることが確実であるとの期待を侵害しないよう努める信義則上の義務を怠ったとして，媒介報酬相当額の損害賠償義務を負うか（契約準備段階での過失による不法行為の成否）。
３ 争点に関する当事者の主張
(1) 争点(1)（媒介契約の成否）について
（原告の主張）
ア 原告は，被告に対し，不動産の売買契約が成立した場合の原告に対する媒介報酬について，売買代金の３％相当額に６万円を加算し，更に消費税を加算した金額になることを説明しており，このことを前提に，被告は，９月２５日，原告に対して本件申込書を提出した。原告及び被告は，その際，リフォーム費用も含めた住宅ローンの借入れが可能であることを前提に，１０月４日にオーチャンとの間で売買契約を締結すること等が確認され，併せて，被告から売買代金について５９８０万円から２００万円減額してほしいとの希望が出された。原告は，オーチャンとの間で交渉し，同社から売買代金について１００万円の減額の了解を取り付け，これを受けて，被告も，９月２７日，原告に対して１００万円を減額した売買代金で購入する旨を回答した。その際，原告と被告は，１０月４日にオーチャンとの間で売買契約を締結することが再度確認した。
その後，原告は，リフォーム業者からの見積書を取得した上で，９月２８日に複数の金融機関に対してリフォーム費用も含めた住宅ローンの事前審査の申込みを代行し，９月３０日にみずほ銀行から承認の連絡を得て，１０月１日，被告に対してその旨の連絡をした。また，原告は，同日，被告に対して媒介報酬のうち６万円の減額の申出にも応じている。
イ このような事実経過からすると，原告及び被告は，媒介契約が成立したことを前提に，原告において本件物件の売買契約の締結に向けた業務を遂行しているのであって，被告が本件申込書を提出した９月２５日か，又は遅くとも本件物件につき減額後の売買代金での購入が決まった９月２７日の時点において，原告と被告との間において，黙示的に，本件物件の媒介契約が締結されたというべきである。
不動産の媒介契約は，不要式の諾成契約であって，口頭でも成立し得るし，宅地建物取引業法３４条の２第１項では，媒介契約の締結後遅滞なく所定の事項を記載した書面を交付することが定められているが，これは媒介契約を巡る紛争を防止する目的であり，媒介契約の成立要件ではないから，上記媒介契約が締結されたことを妨げるものではない。
（被告の主張）
原告の主張は，否認ないし争う。原告と被告との間では媒介契約書が作成されておらず，媒介契約は成立していない。原告の指摘する被告の遂行した業務は，不動産仲介業者として契約の成立に向けて無償で行われるべきものであり，媒介契約の成立の根拠にはならない。
(2) 争点(2)（期待侵害による不法行為の成否）について
（原告の主張）
ア 前記(1)（原告の主張）欄アの事実経過によれば，本件物件の売買契約及び原告と被告との間の媒介契約については，その条項等につきおおむね合意に至っており，１０月４日に予定された売買契約書及び媒介契約書への署名押印を待つのみであって，契約の成立が確実な状況にあった。
しかるに，被告は，その２日前である１０月２日に，突如，虚偽の理由を告げた上で，被告の媒介の下での本件物件の購入を撤回し，媒介報酬がよい安いＲＥＤＳの媒介の下で，原告の代行した銀行の事前審査の結果を利用しながら，本件物件の購入手続を進め，最終的にオーチャンから本件物件を直接購入するに至っている。
イ このような事実経過によれば，原告と被告との間の本件物件に係る媒介契約が成立することが確実な状況な下で，殊更に原告を排除して本件物件の売買契約を締結していて，このような被告の行為は，社会的相当性を欠き，原告が媒介報酬を得る期待を侵害したものであって，原告に対する違法行為に該当する。
原告は，被告の違法行為により，次の計算式による媒介報酬相当額１９９万５１２５円の損害を被っており，被告は，原告に対し，不法行為に基づき同額の損害賠償義務を負う。
（計算式）
① ５８，８００，０００円（１００万円減額後の売買代金）－３４１，６４０円（消費税）＝５８，４５８，３６０円
② ５８，４５８，３６０円×０．０３＋６０，０００円×１．１０（消費税）＝１，９９５，１２５円
（被告の主張）
原告の主張は，否認ないし争う。被告が原告の媒介の下での本件物件の購入を撤回し，ＲＥＤＳの媒介の下での購入を進めたのは，ＲＥＤＳの方が，媒介報酬が２００万円ほど安かったからである。本件物件は，他にも複数の不動産仲介業者が取り扱っており，原告の専任媒介ではなく，他の不動産仲介業者を選択するのは購入者の判断として許されるべきである。本件物件は高額であるが，購入申込みから短い期間で売買契約の締結が設定されており，撤回の時期が遅すぎることはないし，原告に対しても誠実に対応していて，被告が原告の期待権を侵害したとはいえない。
(3) 争点(3)（契約準備段階での過失による不法行為の成否）について
（原告の主張）
ア 前記(1)（原告の主張）欄アの事実経過によれば，原告は，被告との間で本件物件に係る媒介契約の成立が確実なものと期待するに至っており，被告には，原告の期待を侵害しないよう努める信義則上の義務があったにもかかわらず，この義務に反して，原告の媒介の下での本件物件の購入を撤回したのであって，これは原告に対する違法行為に該当する。
原告は，被告の違法行為により，媒介報酬相当額１９９万５１２５円の損害を被っており，被告は，原告に対し，不法行為に基づき同額の損害賠償義務を負う。また，原告は，本件物件の広告費用として３３万２２００円を支出しており，同額の損害も被っている。
（被告の主張）
原告の主張は，前記(2)（被告の主張）欄と同様，否認ないし争う。被告が本件物件の媒介手続において信義則上の義務に違反したとはいえない。
第３ 当裁判所の判断
１ 認定事実
前提事実のほか，当該箇所に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば，以下の事実が認められる。
(1) 原告は，令和元年９月頃から，本件物件について，売主であるオーチャンとの打合せや現地調査を実施した上で，折込み広告の頒布，インターネット広告及び現地販売会の開催等の販売活動を行っていた。
もっとも，本件物件は，原告とオーチャンとの間で売却に関する専任媒介契約が締結されておらず，他の不動産仲介業者も本件物件の媒介を取り扱うことが可能であった。（以上につき，甲１１，１８，乙１７，１８，証人Ｃ）
(2) Ｂは，９月２０日，原告の頒布した折込み広告を見て，本件物件の売出しを知って，原告の担当者であるＤ（以下「Ｄ」という。）に連絡をした。被告及びＢは，同日，本件物件を訪れて内覧をしたが，その際，被告は，Ｄに対し，リフォーム費用も含めて８０００万円の予算を考えていると伝えた。被告は，９月２２日に，原告の担当者であるＣ（以下「Ｃ」という。）の案内で，家族とともに２回にわたり本件物件を内覧した。その際，Ｃは，被告に対し，本件物件の売買代金のほかに，その約６％相当額の諸経費を要すると説明した。
被告は，９月２３日，Ｂを通じてＣに電話をかけて，本件物件を購入したいと伝えた。同日頃までに，Ｃは，被告に対し，本件物件の売買代金以外の諸費用の見積書を交付し，被告に対する媒介報酬について，売買代金額の３％相当額に６万円を加算し，更に消費税相当額を加算した額になると伝えた。（以上につき，甲４，１８，乙２１，証人Ｃ，被告本人）
(3) Ｂは，９月２５日，Ｃ，Ｄ及び原告の手配したリフォーム業者である伸明建設株式会社の担当者との間でリフォーム及びその費用に関する打合せを行い，本件物件の売買代金について，５９８０万円から２００万円を減額してほしいとの希望を出した。
Ｂは，同日，原告に対し，被告名義の本件物件の購入申込書（甲３。以下「本件申込書」という。）を提出した。本件申込書には，本件物件が表示され，契約締結予定日が１０月４日，購入価格が５７８０万円で，支払方法として同日までに手付金５００万円，１１月１６日までに残代金５２８０万円とする等の記載がされている。（以上につき，甲３，４，１８，乙２１，証人Ｃ，被告本人）
(4) その後，Ｃは，オーチャンに対して売買代金の減額交渉をした。これを受けて，オーチャンは，９月２７日，Ｃに対して１００万であれば減額に応じると回答した。Ｃが被告に対してその旨を伝えると，被告は，１００万円の減額をもって本件物件を購入したいと回答した。その際，被告は，Ｃに対して媒介報酬の減額も求めた。
Ｃは，９月２８日，金融機関の中から被告の希望に沿うものとして，みずほ銀行及びりそな銀行を選択し，被告から徴求した事前審査の申込書や収入関係資料，伸明建設株式会社の作成したリフォームの見積書等を添付して，上記２行に住宅ローンの事前審査の申込みをした。この事前承認の結果は，みずほ銀行が承認，りそな銀行が不承認であり，Ｃは，９月３０日，被告に対して上記結果を伝えた。
Ｃは，１０月１日，Ｂに対し，媒介報酬のうち６万円の値引きに応じると回答した。（以上につき，甲４ないし８，１８，乙２１，証人Ｃ，被告本人）
(5) Ｂは，１０月１日，インターネット広告を通じて，他の不動産仲介業者と比べて媒介報酬の無償化又は大幅割引を宣伝していたＲＥＤＳを知り，その担当者と連絡を取った。被告は，原告との間の媒介契約と比較して，媒介報酬が２００万円ほど安くなることから，ＲＥＤＳの媒介の下で本件物件の購入を進めることを決めた。
Ｂは，ＲＥＤＳの担当者との間で，原告に対する辞退理由の文言を相談した上で，１０月２日，Ｃに対して電話をかけて，被告の実家から了承を得られなかったこと等を理由に，本件物件の購入を取り止めると伝えた。（以上につき，甲１３，１８，乙１６の１，２１，証人Ｃ，被告本人）
(6) ＲＥＤＳの担当者は，１０月２日頃以降，オーチャンの担当者と連絡を取り，被告が本件物件の購入を希望していることを伝えた。オーチャンの担当者は，原告に対し，被告がＲＥＤＳを介して本件物件の申込みをしたが，原告との関係が終了しているのか問い合わせる連絡をした。これを受けて，Ｃは，被告に対し，本件物件については原告の媒介の下で購入することを求めるメールを送信したが，被告はこれを断った。その後，被告は，ＲＥＤＳに対して，原告が取り扱ったみずほ銀行の事前審査の結果を送付する等して，本件物件の購入手続を進めた。
ところが，オーチャンは，１０月１３日頃，ＲＥＤＳの担当者に対し，被告の本件物件の購入に係る媒介報酬について，原告とＲＥＤＳで按分するよう求めた。ＲＥＤＳは，この方針に従うことができないとして，被告に対する媒介手続を取り止めた上で，被告に対し，オーチャンと直接売買契約を締結するよう助言した。（以上につき，甲４，乙１５，１６の１，被告本人）
(7) 被告は，１０月２５日，オーチャンとの間で，売買代金を５８８０万円として本件物件の売買契約を締結した。被告は，１１月２５日，みずほ銀行に対し，リフォーム費用も含めて７８６０万円の住宅ローンを申し込み，１２月１８日に残代金の決済がされた。リフォーム工事については，原告の手配した伸明建設株式会社ではなく，別の工事業者により施工された。（乙１ないし１４，被告本人）
２ 争点(1)（媒介契約の成否）について
(1) 原告は，９月２５日（被告による本件申込書の提出日）か，又は遅くとも９月２７日（被告が減額後の売買代金での購入が決まった日）の時点において，原告と被告との間において，黙示的に，本件物件に係る媒介契約が締結されたと主張し，これに沿う証人Ｃの供述もある。
(2) 確かに，不動産の媒介契約は，不要式の諾成契約であるが，他方で，一般の住宅購入者にとって，媒介報酬は相当高額に上るものであり，また，頻繁に行われる取引でもなく，契約を締結するには慎重な判断を伴うものといえ，通常，媒介契約の委託者において，媒介契約書の作成なくして契約が成立し得るとする意思を有しているとは考え難い。
また，宅地建物取引業法３４条の２第１項は，宅地建物取引業者に対し，媒介契約の締結後遅滞なく所定の事項を記載した書面を交付することを義務付けており，その違反は業務停止処分の事由にもなっている（同法６５条２項２号）。証人Ｃの供述中には，不動産の売買契約と同時に媒介契約書を交わすのが一般的な業界慣行であり，それ以前に委託者との間で黙示の媒介契約が成立していると述べる部分があるが，そうであれば，原告が宅地建物取引業者として受託する媒介契約は，すべて宅地建物取引業法に違反することになりかねず，原告においてそのような意思を有しているとも考え難い。
さらに，原告所定の一般媒介契約書の様式（甲１７）では，契約約款を設けて双方の権利義務等に関する詳細な定めを置いているところ，本件においては，原告が被告に対し，売買対象となる本件物件の概要や，媒介報酬額ないしその算定方法（売買代金の３％相当額に６万円を加算し，さらに消費税を加算した額）について説明をしたとは認められるが（認定事実(2)），それ以外の上記様式に定める契約条項について，具体的なやり取りがされた形跡は窺われない。
以上の事情に照らせば，原告及び被告において，媒介契約書が作成されていない９月２５日又は９月２７日の時点で，黙示的であっても，本件物件に係る媒介契約を締結する意思があったとは認められない。
(3) これに対し，原告は，媒介契約の成立を前提として，原告において本件物件の売買契約の締結に向けた業務を遂行していることを指摘する。
しかしながら，原告所定の一般媒介契約書の契約約款でも，受託者である原告は，媒介契約の委託者に対し，目的物件の売買等の契約が成立したときに報酬を請求し得る約定とされており（甲１７の契約約款１０条），売買等の契約が成立しない場合には，それまで遂行した業務については媒介報酬を生じ得る役務とはみていないものといわざるを得ず，原告の主張する業務の遂行をもって媒介契約の成立が根拠づけられるとは認め難い。
(4) したがって，本件において，原告と被告との間で，本件物件に係る媒介契約が成立したとは認められない。
２ 争点(2)（期待侵害による不法行為の成否）について
(1) 原告は，本件物件に係る媒介契約が成立することが確実な状況な下で，被告において，殊更に原告を排除して本件物件の売買契約を締結したとし，このような被告の行為が社会的相当性を欠き，原告が媒介報酬を得る期待を侵害したとして，違法であると主張する。
(2) 確かに，前記認定事実によれば，被告が原告に対して本件申込書を提出した段階で，本件物件の契約締結日が１０月４日に予定されており，原告において，本件物件の売買契約の締結に向けて，金融機関に対する住宅ローンの事前審査申込みの代行，リフォーム業者とのやり取り，オーチャンに対する売買代金の減額交渉，媒介報酬の減額の検討，売買契約書案の作成等の相応の業務を遂行していたことが認められ（認定事実(3)及び(4)），このような状況の下で，被告は，上記契約締結予定日の僅か２日前である１０月２日に，被告の媒介の下での売買契約の締結を取り止めている（認定事実(5)）。このような事実経過に照らせば，同日の時点で，原告において媒介契約の成立に向けて一定の期待を有していたとはいい得るところである。
しかしながら，原告の主張する媒介契約の成立への期待とは，それ自体が抽象的なものである上，不動産に係る媒介契約は，財産上の契約であり，契約締結の機会を失したからといって，直ちに慰謝料等で填補すべき権利利益の侵害が生じたと認められるわけではなく，本件における事実経過を考慮したとしても，原告の主張するような媒介契約の成立への期待が損なわれたことをもって，法的保護に値する権利利益の侵害があったと認めることは困難である。また，前記２で認定判断したとおり，本件においては，本件物件に係る媒介契約が成立したとは認められない以上，原告の主張する媒介契約の締結への期待の侵害を理由として，媒介報酬相当額の損害が生じたということもできない。
(3) したがって，原告の主張する媒介契約の成立への期待の侵害を理由として，原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が生じるとは認められない。
４ 争点(3)（契約準備段階での過失による不法行為の成否）について
(1) 原告は，本件物件に係る媒介契約の成立が確実なものと期待するに至っており，被告には，原告の期待を侵害しないよう努める信義則上の義務に反する違法があったと主張する。
(2) 確かに，前記３(2)で説示したとおり，被告の原告に対する本件申込書の提出後，原告において売買契約の成立に向けて一定の業務を遂行しており，媒介契約の成立に向けて一定の期待をしていたとは認められる。加えて，被告は，原告に対して支払うべき媒介報酬額を認識しつつ，売買契約の締結予定日の僅か２日前に，より安い媒介報酬の不動産仲介業者に代えるべく原告に対する媒介を取り止めた上，その後，原告が代行して申請した銀行の事前審査の結果を利用して本件物件の取得に至ったという事情も指摘できる（認定事実(5)ないし(7)）。
しかし他方で，本件においては，本件申込書の提出をもって，直ちに本件物件の売買契約の締結が義務付けられるわけではない上，本件物件の売主は，原告との間で専任媒介契約を締結しておらず（認定事実(1)），原告以外の不動産仲介業者による媒介も十分あり得たということができる。また，本件申込書の提出日である９月２５日から売買契約の締結予定日である１０月４日までは１０日間程度にとどまり，原告において長期間にわたり契約準備に拘束されたわけではないし，原告の遂行した業務は，関係者との交渉等が中心であって（認定事実(4)），相応の労力は要するものの，業務遂行に伴って格別費用の出捐があったとも窺われず，このような事実に照らせば，本件物件に係る媒介契約の締結に至らなかったことについて，被告に信義則上の義務違反があったとまでは認め難い。
(3) また，本件において，原告は，被告の信義則上の義務違反により生じた損害として，専ら媒介契約に基づく報酬相当額を主張するが，これは，媒介契約の締結を信頼したことにより生じた損害とは認められない。原告の主張する広告費用の損害については，証拠（甲１１，１２）によれば，被告との契約交渉に入る以前から，本件物件の周辺地域に広く頒布した折込み広告に関するものと認められ，被告との間の媒介契約の締結を信頼して支出したものではないし，他に，同契約の締結を信頼して支出した費用に係る損害について，原告からの主張立証はない。
(4) したがって，本件においては，被告に信義則上の義務違反があったとまでは認められず，また，これにより原告に損害が生じたとも認められないから，信義則上の義務違反を理由として，原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権が生じるとは認められない。
第４ 結論
以上の次第で，原告の本訴請求は，理由がないからこれを棄却することとし，主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第１７部
（裁判官 片山健）
〈以下省略〉
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【臨機応変型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率88％ ★こちらをご確認下さい。
【連続二枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率6％ ★こちらをご確認下さい。
【限定一枚型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率4％ ★こちらをご確認下さい。
【個別指定型PR】ポスター掲示許可貼付交渉代行プラン ※ご発注選択率2％ ★こちらをご確認下さい。
※ポスターのサイズは、A1サイズ、A2サイズをはじめ、ご希望に応じてご提案させていただきます。
■掲示場所・貼付箇所
「首都圏などの大都市」「田舎などの地方都市」「駅前や商店街」「幹線道路沿いや住宅街」等により、訪問アプローチ手段が異なりますので、ご指定エリアの地域事情等をお聞かせ下さい。
※貼付箇所につきましては、弊社掲示交渉スタッフが当該ターゲットにアプローチをした際の先方とのコミュニケーションにて、現場での判断とさせていただきます。
■訪問アプローチ手段
【徒歩圏内】
駅周辺の徒歩圏内における、商店街や通行人の多い目立つ場所でのPR
【車両移動】
広範囲に車移動が必要な、幹線道路沿いや住宅街等の目立つ場所でのPR
※全国への出張対応も可能ですので、ご要望をお聞かせください。
選挙ドットウィン！の「どぶ板広報PR支援」は、選挙立候補(予定)者様の地獄の政治活動を「営業力」「交渉力」「行動力」でもって迅速にお応えいたします。
「全国統一地方選挙」・「衆議院議員選挙」・「参議院議員選挙」・「都道府県知事選挙」・「都道府県議会議員選挙」・「東京都議会議員選挙」・「市長選挙」・「市議会議員選挙」・「区長選挙」・「区議会議員選挙」・「町長選挙」・「町議会議員選挙」・「村長選挙」・「村議会議員選挙」など、いずれの選挙にもご対応させていただいておりますので、立候補をご検討されている選挙が以下の選挙区エリアに該当するかご確認の上、お問い合わせいただけますようお願いいたします。
(1)政治活動/選挙運動ポスター貼り ☆祝！勝つ！広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター！
勝つ！選挙広報支援事前ポスター 政治選挙新規掲示ポスター貼付！ １枚から貼る事前選挙ポスター！
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい！」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN！」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(2)圧倒的に政界No.1を誇る実績！ 政治ポスター(演説会告知|政党|個人|二連三連)掲示交渉実績！
地獄のポスター貼りやります！ ドブ板選挙ポスタリストが貼る！ ポスター掲示交渉実績を大公開！
政治ポスター貼りドットウィン！「ドブ板選挙を戦い抜く覚悟のあなたをぜひ応援したい！」事前街頭PRおよび選挙広報支援コンサルティング実績！
(3)今すぐ無料でお見積りのご相談 ☆大至急スピード無料見積もり！選挙広報支援プランご提案
ポスター掲示難易度ランク調査 ご希望のエリア/貼付箇所/貼付枚数 ☏0120-860-554(貼ろう！ここよ！) ✉info@senkyo.win
「政治活動用のポスター貼り代行」や「選挙広報支援プラン」の概算お見積りがほしいというお客様に、選挙ドットウィンの公職選挙法に抵触しない広報支援プランのご提案が可能です。
(4)政界初！世界発！「ワッポン」 選挙管理委員会の認証確認済みPR型「ウィン！ワッポン」
完全無料使い放題でご提供可能！ 外壁街頭ポスター掲示貼付ツール １枚から対応/大至急/一斉貼付け！
「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい！」というお客様に、選挙ドットウィンの「ウィン！ワッポン」を完全無料使い放題でご提供する、究極の広報支援ポスター新規掲示プランです。
(5)選べるドブ板選挙広報支援一覧 選挙.WIN！豊富な選挙立候補(予定)者広報支援プラン一覧！
政治家/選挙立候補予定者広報支援 祝！当選！選挙広報支援プロ集団 世のため人のため「SENKYO.WIN」
アポイントメント獲得代行/後援会イベントセミナー集客代行/組織構築支援/党員募集獲得代行(所属党本部要請案件)/演説コンサルティング/候補者ブランディング/敵対陣営/ネガティブキャンペーン(対策/対応)
(6)握手代行/戸別訪問/ご挨拶回り 御用聞きによる戸別訪問型ご挨拶回り代行をいたします！
ポスター掲示交渉×戸別訪問ご挨拶 100％のリーチ率で攻める御用聞き １軒でも行くご挨拶訪問交渉支援
ご指定の地域(ターゲットエリア)の個人宅(有権者)を1軒1軒ご訪問し、ビラ・チラシの配布およびアンケート解答用紙の配布収集等の戸別訪問型ポスター新規掲示依頼プランです。
(7)地域密着型ポスターPR広告貼り 地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)
街頭外壁掲示許可交渉代行/全業種 期間限定！貴社(貴店)ポスター貼り サイズ/枚数/全国エリア対応可能！
【対応可能な業種リスト|名称一覧】地域密着型ポスターPR広告(街頭外壁掲示許可交渉代行)貼り「ガンガン注目される訴求型PRポスターを貼りたい！」街頭外壁掲示ポスター新規掲示プランです。
(8)貼る専門！ポスター新規掲示！ ☆貼！勝つ！広報活動・事前街頭(単独/二連)選挙ポスター！
政治活動/選挙運動ポスター貼り 勝つ！選挙広報支援事前ポスター １枚から貼る事前選挙ポスター！
「政治活動・選挙運動ポスターを貼りたい！」という選挙立候補(予定)者のための、選挙広報支援プロ集団「選挙.WIN！」の事前街頭ポスター新規掲示プランです。
(9)選挙立札看板設置/証票申請代行 絶対ここに設置したい！選挙立札看板(選挙事務所/後援会連絡所)
選挙事務所/後援会連絡所届出代行 公職選挙法の上限/立て札看板設置 １台から可能な選挙立札看板設置
最強の立札看板設置代行/広報(公報)支援/選挙立候補者後援会立札看板/選挙立候補者連絡所立札看板/政治活動用事務所に掲示する立て札・看板/証票申請代行/ガンガン独占設置！
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