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裁判年月日 令和 3年 5月20日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(行ウ)148号・平29(行ウ)150号・令2(行ウ)61号
事件名 納骨堂経営許可処分取消請求事件、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件
裁判結果 却下 上訴等 控訴、後取消・差戻 文献番号 2021WLJPCA05206003
要旨
【判例タイムズ社(要旨)】
◆墓地,埋葬等に関する法律10条1項に基づく経営許可がされた納骨堂の周辺に居住する者等が当該許可の取消訴訟の原告適格を有しないとされた事例
裁判経過
控訴審 令和 4年 2月10日 大阪高裁 判決 令3(行コ)77号 納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求控訴事件
出典
裁判所ウェブサイト
判タ 1493号79頁
判時 2522号34頁
判例地方自治 481号32頁
参照条文
行政事件訴訟法9条
墓地、埋葬等に関する法律10条
大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則8条(昭31大阪市規則79)
大阪市墓地、埋葬等に関する法律施行細則10条(昭31大阪市規則79)
裁判年月日 令和 3年 5月20日 裁判所名 大阪地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(行ウ)148号・平29(行ウ)150号・令2(行ウ)61号
事件名 納骨堂経営許可処分取消請求事件、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件
裁判結果 却下 上訴等 控訴、後取消・差戻 文献番号 2021WLJPCA05206003
平成29年(行ウ)第148号 納骨堂経営許可処分取消請求事件(第1事件)
平成29年(行ウ)第150号 納骨堂経営許可処分取消請求事件(第2事件)
令和2年(行ウ)第61号 納骨堂経営変更許可処分取消請求事件(第3事件)
大阪市〈以下省略〉
第1事件及び第3事件原告 X1(以下「原告X1」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X2(以下「原告X2」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X3(以下「原告X3」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X4(以下「原告X4」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X5(以下「原告X5」という。)
大阪市〈以下省略〉
第1事件原告 X6(以下「原告X6」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X7(以下「原告X7」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X8(以下「原告X8」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X9
(以下「原告X9」といい,以上の原告9名を併せて「原告X1ら」という。)
大阪市〈以下省略〉
第2事件及び第3事件原告 株式会社技建管理
同代表者代表取締役 X2
(以下「原告会社」といい,原告X1らと併せて「原告ら」という。)
上記10名訴訟代理人弁護士 豊永泰雄
同 荒木晋之介
同 服部崇博
大阪市〈以下省略〉
被告 大阪市
同代表者兼処分行政庁 大阪市長 A
同訴訟代理人弁護士 夏住要一郎
同 高坂佳郁子
同 増田拓也
同指定代理人(第1事件及び第2事件) W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6
主文
1 本件訴えをいずれも却下する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1 請求の趣旨
1 平成29年(行ウ)第148号,同第150号事件(第1事件,第2事件)
大阪市長がa寺に対し平成29年2月27日付けでした納骨堂経営許可処分(大保第490号。以下「本件許可処分」という。)を取り消す。
2 令和2年(行ウ)第61号事件(第3事件)
(1) 大阪市長がa寺に対し令和元年11月26日付けでした納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2635号(縮減)。以下「本件変更許可処分①」という。)を取り消す。
(2) 大阪市長がa寺に対し令和元年11月26日付けでした納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2636号(拡張)。以下「本件変更許可処分②」といい,本件変更許可処分①と併せて「本件各変更許可処分」という。)を取り消す。
第2 事案の概要
本件は,(1)大阪市長が墓地,埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づきa寺に対してした納骨堂経営許可処分(本件許可処分)について,納骨堂施設所在地である大阪市〈以下省略〉(地番を大阪市〈以下省略〉とする土地〔以下「本件土地」という。〕の一部)付近に居住又は勤務し,若しくは土地建物を所有している原告X1ら及び本件土地付近に土地建物を所有する原告会社が,a寺は経営主体の適格性を欠くとともに,納骨堂の設置の必要性を満たしていないこと,本件土地から300m以内に学校及び密集した人家があり,本件土地付近の生活環境を著しく損なうおそれがあること等,墓埋法等に定める納骨堂経営許可に係る基準を満たしておらず違法であるなどと主張して,被告を相手に,本件許可処分の取消しを求めるとともに(第1事件,第2事件),(2)大阪市長が墓埋法10条2項に基づきa寺に対してした納骨堂経営変更許可処分(本件各変更許可処分)について,原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告会社が,違法な本件許可処分を前提とするものであって違法であるなどと主張して,被告を相手に,本件各変更許可処分の取消しを求める事案(第3事件)である(以下,本件許可処分と本件各変更許可処分を併せて「本件各処分」という。)。
1 法令等の定め
(1) 墓埋法
ア 目的
墓埋法1条は,この法律は,墓地,納骨堂又は火葬場(以下「墓地等」という。)の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることを目的とする旨規定する。
イ 墓地,納骨堂,火葬場
墓埋法2条5項は,「墓地」とは,墳墓を設けるために,墓地として都道府県知事(市又は特別区にあっては,市長又は区長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けた区域をいう旨規定し,同条6項は,「納骨堂」とは,他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために,納骨堂として都道府県知事等の許可を受けた施設をいう旨規定し,同条7項は,「火葬場」とは,火葬を行うために,火葬場として都道府県知事等の許可を受けた施設をいう旨規定する。
ウ 墓地等の経営許可等
墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定し,同条2項は,同条1項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し,又は墓地等を廃止しようとする者も,同様とする旨規定する。
(2) 大阪市墓地,埋葬等に関する法律施行細則(昭和31年規則第79号。以下「本件細則」という。乙1)
別紙1のとおりである。
(3) 墓地・納骨堂・火葬場関係事務取扱要領(乙12)
別紙2のとおりである。
(4) 納骨堂経営等許可に関する審査基準(以下「本件審査基準」という。乙2)
別紙3のとおりである。
(5) 墓地経営等許可に係る審査基準(甲20)
別紙4「墓地経営等許可に係る審査基準」のとおりである。
(6) 「墓地経営等許可に関する審査基準」運用指針(以下「墓地運用指針」という。乙14)
別紙5のとおりである。
(7) 「納骨堂経営等許可に関する審査基準」運用指針(以下「納骨堂運用指針」という。甲76〔24~28頁〕)
別紙6のとおりである。ただし,後述するとおり,被告において納骨堂運用指針が定められたか否かについては,当事者間に争いがある。
(8) 大阪市建築基準法施行条例(平成12年条例第62号。乙15)
別紙7「大阪市建築基準法施行条例の定め」のとおりである。
2 前提事実
当事者間に争いがない事実,各項掲記の証拠(証拠番号は特記しない限り枝番号を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実は,次のとおりである。
(1) 当事者等
ア 原告ら
(ア) 原告会社,原告X2
原告会社は,本件土地の東側に隣接して所在する土地建物を所有し,原告X2は,同所に居住し,原告会社の代表者である(甲5,6,15,88)。
(イ) 原告X8
原告X8は,本件土地の東側に隣接して所在する土地建物を所有し,同所に居住している(甲6,10,15,89)。
(ウ) 原告X6
原告X6は,本件土地の北側に隣接して所在する土地建物(bマンション)を所有している(甲6,11,15,90)。
(エ) 原告X7
原告X7は,本件土地の南側に隣接して所在する土地建物を所有し,同所に居住している(甲6,12,15,16,91)。
(オ) 原告X1,原告X4,原告X5
原告X1,原告X4及び原告X5は,本件土地から直線距離で約10mの位置に所在する区分所有建物(cマンション)の区分所有者であり,同所に居住している(甲6~9,15,74,87,174,原告X1)。
(カ) 原告X9
原告X9は,本件土地から直線距離で約43mの位置に所在する土地建物を長男と共有し,同所に居住している(甲6,13,15)。
(キ) 原告X3
原告X3は,本件土地から直線距離で約94mの位置に所在する土地建物を所有し,同所に居住している(甲6,14,15)。
(ク) 本件土地及び上記(ア)~(キ)の各土地建物は,いずれも第1種住居地域内に存在する(甲179)。
イ 被告
(ア) 大阪市長
被告は,普通地方公共団体であり,その長である大阪市長は,墓埋法10条の規定により墓地等の経営許可等の権限を有する者である。
(イ) 環境衛生監視課,生活衛生課
被告の健康局保健所環境衛生監視課(以下「環境衛生監視課」という。)は,その事務分掌として,墓埋法その他環境衛生関係法令に基づく営業許可,届出,監視指導等に関すること等を所管している。環境衛生監視課の環境衛生指導グループは,大阪市〈以下省略〉dビル10階に所在する。B(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)は,平成29年頃当時,環境衛生監視課の職員であった。
また,被告の健康局健康推進部生活衛生課(以下「生活衛生課」という。)は,その事務分掌として,墓埋法その他環境衛生関係法令に基づく営業許可,届出等に関する規程を策定すること等を所管している。(以上につき,甲4,76,92,93,149,150,乙21~24,証人B,証人D,弁論の全趣旨)
ウ a寺
a寺は,眞言宗国分寺派(以下「国分寺派」という。)を包括団体とし,「阿弥陀如来を本尊とし,天平13年聖武天皇國分寺創建の詔勅に基き宗祖弘法大教立教開宗の教旨に則り金光明最勝王経を所依の経典としてこの教義をひろめ儀式行事を行い,信者を教化育成しその他この寺院目的を達成するための業務及び事業を行うこと」,「霊園事業(大阪府四條畷市〈以下省略〉に所在するa寺e霊園の経営)」を目的とし,大阪府門真市〈以下省略〉に主たる事務所を置く宗教法人である。a寺の代表役員は,E(以下「E」という。)であり,Eは国分寺の代表役員でもある。
a寺は,平成28年4月20日に本件土地を売買により取得し,同年12月8日に本件土地の地目を宅地から境内地に変更するとともに,a寺規則(宗教法人法12条1項が定める規則)について,同日付けで大阪府知事から本件土地に従たる事務所を置く旨の規則変更の認証を受け,同月12日に地目変更登記を経由し,同月14日付けで本件土地を従たる事務所として登記した。(以上につき,甲1,2,17,173,乙4,証人E)
(2) 本件許可処分に至るまでの経緯
ア a寺の責任役員に対する環境衛生監視課の回答
環境衛生監視課の職員は,平成28年1月6日,a寺の責任役員が,a寺が国分寺派の末寺であること,国分寺派の意向として,国分寺派における他の末寺の檀家もa寺の納骨堂に焼骨を収蔵する予定であることを述べたのに対し,国分寺派の他の末寺の檀家の焼骨を収蔵する場合は,国分寺として経営許可を取得するのが望ましいこと,末寺のa寺として経営許可を取得する場合,a寺の檀家のための納骨堂であるため,他の末寺の檀家の焼骨を収蔵することはできないと考えられることを回答した(甲45,弁論の全趣旨)。
イ a寺の責任役員に対する本件審査基準及び墓地運用指針の交付
a寺の責任役員は,平成28年8月25日,環境衛生監視課の環境衛生指導グループを訪れて,環境衛生監視課のBに対して納骨堂経営許可に関する審査基準について確認したい旨相談した際,本件審査基準及び墓地運用指針の交付を受けた(乙26)。
ウ 標識設置の確認等
Bは,平成28年11月15日,本件土地のf別院事務所(a寺f別院との表札のあるプレハブ建築物。以下同じ。)を訪れて,標識(a寺が本件土地において納骨堂を設置すること等が記載されたもの)が設置されていることを確認した。
大阪府府民文化部府民文化総務課大学・宗教法人グループ(a寺の所轄庁〔宗教法人法5条1項参照〕は大阪府知事であり,同グループは担当部局である。)の職員は,平成28年11月15日,本件土地を訪れて,a寺によるa寺規則の規則変更(本件土地に従たる事務所を置く旨)に関する審査を行った。(以上につき,甲1,49,乙4,11,証人B)
エ a寺による周辺住民に対する説明会(平成28年12月)
a寺は,平成28年12月3日,周辺住民に対する説明会を実施した(甲53,58,174)。
オ 原告X1らの環境衛生監視課への来訪
(ア) 原告X1は,平成29年1月17日,環境衛生監視課の環境衛生指導グループを訪れて,Bに対し,本件土地にa寺の納骨堂が建設されることに反対する意向である旨伝えた(甲59,71,74,原告X1)。
(イ) 原告X1は,平成29年1月18日にも,環境衛生監視課の環境衛生指導グループを訪れて,Bに対し,上記エの住民説明会においてa寺が宗派を問わない旨説明していたことや,a寺の主たる事務所が門真市にあるにもかかわらず,四條畷市で霊園を経営していることからすると,明らかに事業型の納骨堂であるように見受けられる旨伝えた(甲59,71,74,原告X1)。
(ウ) 原告X1,原告X4ほか2名は,平成29年1月23日,環境衛生監視課の環境衛生指導グループを訪れて,B及びCに対し,本件土地にa寺の納骨堂経営許可がされた場合には周辺住民の宗教的感情が侵害されるなどの理由から反対である旨伝えた(甲71,74,乙27,原告X1)。
カ a寺による周辺住民に対する説明会(平成29年2月)
a寺は,平成29年2月1日,周辺住民に対する説明会を実施した(甲65)。
(3) 納骨堂経営許可申請及び同申請に対する本件許可処分等
ア 本件申請書
a寺は,平成29年1月17日,大阪市長に対し,概要次のような内容の納骨堂経営許可申請書(以下「本件申請書」という。)を提出し,納骨堂経営許可申請(以下「本件申請」という。)を行った(乙4,5)。
(ア) 墓地等の名称 a寺f別院納骨堂
(イ) 墓地等の所在地 大阪市〈以下省略〉(本件土地)
(ウ) 墓地等の敷地面積 605m2
(エ) 建築面積 281.32m2
(オ) 建物構造 鉄筋コンクリート造
イ 本件申請書類(本件申請書及び添付書類)
a寺は,本件申請に当たり,本件申請書とともに,次の添付書類を提出した(以下,本件申請書及び添付書類を併せて「本件申請書類」という。)(乙4,5)。
(ア) 本件土地及び本件土地に設置予定の納骨堂(以下「本件納骨堂」という。)の各図面(立面図,各階平面図等)
(イ) 納骨堂の周囲300m以内の地形の状況を表した図面(地図)
(ウ) 本件土地の全部事項証明書
(エ) a寺の履歴事項全部証明書,a寺規則(宗教法人法12条1項が定める規則)の写し,同規則の変更事項を示す書類
(オ) 住民対応に関する誓約書
(カ) 「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面,総代会議事録,責任役員会議事録等
(キ) 檀信徒名簿の写し(「檀信徒」欄に6269名の氏名が,「御住所」欄に6269名の住所が記載されたもの。ただし,「御連絡先」欄は空白のもの)
ウ 本件納骨堂の図面
上記イ(ア)の本件納骨堂の図面には,本件納骨堂が地上6階建てで高さが24.5mであること,1階に主に寺務室,ロビー及び参拝室,2階に主に法要室,ロビー及びオープンスペース,3~5階に主に参拝室及び納骨搬送機室,6階に主に参拝室,納骨搬送機室及び本堂が設けられること,納骨搬送機室内に設置される搬送式納骨堂格納基数は合計で6101基であること,納骨出入口扉は全て防火設備とし,施錠付きとすること等が記載されていた(乙4,5)。
エ 納骨堂経営許可調査書
Bが本件申請に関する審査に当たって作成した納骨堂経営許可調査書には,「調査年月日 平成29年1月26日」,「調査者 B」と記載された上で,調査事項欄に「面積 施設面積281.32m2(6101体) 境内地面積605m2」,「施設周辺の状況 学校:有(約145m)市立g小学校 病院:無 人家:有(約1m)」,「付近の生活環境を著しく損なう恐れの有無 無」と,備考欄に「当該施設周辺には,学校及び人家がある。標識の設置に対し,近隣住民から反対意見があったため,設置期間を2か月間(平成28年11月15日から平成29年1月16日)とした。」,「代表役員であるE氏は,真言宗国分寺派の大本山である国分寺の代表役員でもあり,納骨堂設置に関しての議事録を徴収済みである。」などと記載されている(甲1,乙7,23,証人B)。
オ 本件許可処分
大阪市長は,平成29年2月27日付けで,a寺に対し,墓埋法10条1項に基づき,本件申請を許可する旨の処分(本件許可処分)をした(甲1)。
(4) 納骨堂経営変更許可申請及び同申請に対する本件各変更許可処分等
ア 本件変更許可処分①
a寺は,令和元年10月18日,大阪市長に対し,納骨堂の縮減(1階納骨室の廃止)を内容とする納骨堂経営変更許可申請を行い,大阪市長は,同年11月26日,納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2635号。本件変更許可処分①)をした(乙17)。
イ 本件変更許可処分②
a寺は,令和元年11月18日,大阪市長に対し,納骨堂の拡張(納骨堂面積の拡張)を内容とする納骨堂経営変更許可申請を行い,大阪市長は,同月26日,納骨堂経営変更許可処分(大保環第19-2636号。本件変更許可処分②)をした(乙19)。
ウ 納骨堂経営許可事項変更届
a寺は,令和元年10月18日,大阪市長に対し,搬送式納骨堂格納基数が6101基から6099基に減少したため,納骨堂経営許可事項変更届を提出し,大阪市長は,同年11月26日,これを受理した(乙18)。
本件納骨堂は,令和元年12月に完成した(甲154)。
(5) 本件訴えの提起等
ア 第1事件,第2事件
原告X1らは,平成29年8月25日に本件許可処分の取消しの訴え(第1事件)を,原告会社は,同月28日に本件許可処分の取消しの訴え(第2事件)を,それぞれ提起し,当裁判所は,同年10月13日の第1回口頭弁論期日において,第2事件の弁論を第1事件の弁論に併合した。
イ 第3事件
原告X1,原告X2,原告X3,原告X4,原告X5及び原告会社は,令和2年5月22日に本件各変更許可処分の取消しの訴え(第3事件)を提起し,当裁判所は,同年8月4日の第15回口頭弁論期日において,第3事件の弁論を第1事件・第2事件の弁論に併合した。
3 争点
(1) 原告適格の有無(争点1・本案前の争点)
(2) 本件各処分の適法性(争点2・本案の争点)
4 争点に関する当事者の主張
(1) 争点1(原告適格の有無)について
(原告らの主張)
ア 原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であり,本件訴えについて原告適格を有すること
本件許可処分の根拠法令である墓埋法10条1項や,墓埋法と目的を共通にする本件細則や本件審査基準といった関係法令は,〈ア〉納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(従前の生活環境〔宗教的感情と適合した生活環境を含む。〕を享受する利益,公衆衛生上の被害を受けない利益,その他の健康被害や精神的苦痛を受けない利益を含む。)(以下「原告ら主張利益〈ア〉」という。),〈イ〉納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命,身体の安全に関する利益(以下「原告ら主張利益〈イ〉」),〈ウ〉納骨堂周辺に不動産を所有する者の財産的利益(火災による所有権の侵害を免れる利益,当該不動産価格の下落を受けない利益)(以下「原告ら主張利益〈ウ〉」という。)を,個別具体的に保護する趣旨であるから,原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であり,本件訴えについて原告適格を有する。その理由は,次の(ア)~(ウ)のとおりである。
(ア) 墓埋法の趣旨及び目的
墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定するが,その許可の要件については特に規定していない。これは,墓地等の経営が,高度の公益性を有するとともに,国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み,墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねる趣旨に出たものであって,墓埋法は,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする法の趣旨に従い,都道府県知事等が,第一次的には公益的見地から,墓地等の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される。また,墓埋法の上記趣旨からすれば,墓埋法は,都道府県知事等が当該地域の実情に応じて,条例や規則をもって,公益に加えて墓地等の周辺に居住する者の個別的利益をも保護することを目的とした規定を定めることを許容しているというべきである。
(イ) 本件細則,本件審査基準の趣旨及び目的
a 本件細則,本件審査基準の「関係法令」該当性
(a) 通常,法令とは,憲法,法律,政令,勅令,府令,省令,規則等を含むとされている。また,本件細則は,墓埋法の規定による墓地等の経営の基本原則並びに経営の許可等に係る基準及び手続その他必要な事項を定めるものであって,墓埋法の趣旨及び目的に適合するものである。
したがって,本件細則は,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当する。
(b) 本件審査基準は,行政手続法5条により定められ公にされているものであるところ,被告は,墓埋法の趣旨及び目的を実現するために,本件細則及び本件審査基準を作成し,墓埋法の規定による墓地等の経営の基本原則並びに経営の許可等に係る基準及び手続その他必要な事項を定めている。このように,本件審査基準は,本件細則を補完し一体として墓埋法10条1項の審査基準を定めているものである。
また,最高裁平成26年(行ヒ)第225号同27年3月3日第三小法廷判決・民集69巻2号143頁(以下「最高裁平成27年判決」という。)を前提にすれば,審査基準が定められ公にされている場合,審査基準は処分行政庁を拘束する実体的拘束力を持ち,処分行政庁が審査基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たり,当該行政処分は違法となることから,本件審査基準は,単なる内部基準ではなく,大阪市長自身を拘束する実体的拘束力を持った法規範というべきである。
したがって,本件審査基準についても,本件細則と一体として「関係法令」に該当するというべきである。
(c) 以上によれば,本件細則及び本件審査基準は,墓埋法10条1項の許可要件を定めたものであって,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当する。
b 経営主体の適格性等に関する規定(墓埋法1条,本件審査基準1,3-1(1)~(6))
墓埋法1条,本件審査基準1,3-1(1)~(6)の各規定が,経営主体を原則として地方公共団体とした上で,経営主体の適格性等を求めているのは,遺骨及び納骨堂の管理が永続的かつ適切に行われることを確保し,もって,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を保護することを目的としているからである。すなわち,経営主体の適格性に問題があり,永続的な納骨堂の経営が困難となった場合,納骨堂の利用者がそれを利用することができなくなるだけでなく,遺骨及び納骨堂の適切な管理が行われないことにより,その周辺住民の生活環境の悪化を招き,納骨堂の倒壊,火災発生等の事態により,周辺住民の生命,身体の安全が侵害され,あるいは,不動産が焼失する,不動産価格が更に下落するといった被害が発生することが考えられ,ひいては,公衆衛生,国民の宗教的感情まで害することになるから,経営主体の適格性に関する規定は,原告適格を認める手掛かりとなるものである(厚生省生活衛生局長が各都道府県知事等に宛てて発出した「墓地経営・管理の指針等について」と題する通知〔平成12年12月6日付け生衛発第1764号。甲18。以下「本件通知」という。〕参照)。
特に,墓埋法10条は,解釈上,宗教法人が公益事業として宗旨宗派を問わない墓地等の経営を行うことを許容しているにもかかわらず,被告の墓地等経営許可制度は,宗教活動の実績や利用者の檀信徒限定等,宗教法人の経営主体の適格性について更に厳しい態度で臨んでおり,これを許していない(墓地運用指針基準1関係3,基準3関係1,納骨堂運用指針基準1関係3,基準3関係1参照)。この理由は,被告が大都市であり,全国その他の地方の平均と比べて人口密集地域であることから,全国その他の地方と比べて墓地等の周辺住民の生活環境にとりわけ配慮する必要があること等にある。このように,被告の墓地等経営許可制度は,周辺住民の生活環境の保護を重視して,経営主体の適格性を厳しく制限していることからすれば,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護することを目的としているということができる。
c 距離制限規定等(本件細則5条2項2号,8条,本件審査基準2(1)カ,3-1(2))
本件細則8条本文は,市長は,墓埋法10条の規定による許可の申請があった場合において,当該申請に係る墓地等の所在地が,学校,病院及び人家の敷地からおおむね300m以内の場所にあるときは,当該許可を行わないものとする旨規定し,本件審査基準3-1(2)は,申請書の審査項目として,「納骨堂の申請地から300メートル以内に学校,病院及び人家がないこと」を規定し,本件細則5条2項2号,本件審査基準2(1)カは,添付書類として,墓地等の周囲300m以内の地形及び建物の状況を明示した図面,住民対応に関する誓約書を要求している。これらの規定は,墓地等がいわゆる嫌忌施設であることから,納骨堂設置予定地から300m以内の学校,病院及び人家に関係する周辺住民の生活環境のほか,周辺住民の生命,身体の安全,同範囲に不動産を所有する者の財産的利益を保護することを目的とし,かつ,保護する利益の帰属する範囲を納骨堂設置予定地との距離で画するものである。
また,本件細則8条ただし書が,市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときは,この限りでない旨規定し,本件審査基準3-1(2)が,「付近の生活環境を著しく損なうおそれがない」と判断する基準について,「①周辺環境と調和が保てること」,「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」と規定し,墓地運用指針基準3関係4,納骨堂運用指針基準3関係4が,周辺住民の直接の意見を許可審査の対象としているのは,公衆衛生に限らず,周辺環境との調和,周辺住民の理解等を通じて,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を考慮しているからである。
d 防火設備に関する規定(本件細則10条2号,本件審査基準3-1(7))
本件細則10条2号,本件審査基準3-1(7)が,納骨堂の構造設備基準を規定し,納骨堂が防火設備を設けることを要求している趣旨は,納骨堂では利用者がろうそく又は線香を使用するため火を使用することが多く,火災を防止する必要があるからであって,原告ら主張利益〈イ〉及び〈ウ〉を火災から保護することにあるというべきである。
また,納骨堂が,建築基準法上の「寺院」に該当する場合,防火地域又は準防火地域内の建築物でなければ,耐火建築物として防火設備等を設けなければならない法的義務はなく,また,同法上の「倉庫」に該当する場合,「特殊建築物」に該当するものの,集会場を備えておらず,火気を使用しないときは,建築基準法(平成30年法律第67号による改正前のもの。以下同じ。)27条及び35条の2の規制は及ばないから,耐火建築物として防火設備等を設けなければならない法的義務はない。また,納骨堂の規模が小さく,大阪市建築基準法施行条例3条の2第1項及び2項に該当しなければ,同条例上も耐火建築物としなければならない法的義務はない。このように,納骨堂の建築の場合,その規模等によっては,建築基準法や大阪市建築基準法施行条例上,耐火建築物であることが要求されていないから,本件細則及び本件審査基準において,納骨堂の構造設備基準として耐火構造を要求しているものと解され,本件細則10条2号の趣旨は,建築基準法が一定規模の建築物につき耐火構造の設備を要求している趣旨と同様に,納骨堂に隣接する建築物等に延焼することを防止し,原告ら主張利益〈イ〉及び〈ウ〉を火災から保護することにあるというべきである。
これに対し,被告は,外部への延焼という観点からは火災のリスクがより高い火葬場について,本件細則10条3号が防火設備を設けることを審査項目としていないことを理由に,同条2号の規定は,火災がその収蔵する焼骨に及ぶことを防ぐことを目的としたものにとどまる旨主張する。しかし,火葬場の場合,その規模等からして,建築基準法や大阪市建築基準法施行条例上,当然に耐火建築物であることが要求されることから,本件細則及び本件審査基準において,構造設備基準として耐火構造を要求する必要がなかったにすぎない。すなわち,火葬場の場合,通常,式場葬儀施設も併設していることから,建築基準法上の「集会場」に該当し,耐火建築物等としなければならず(同法27条),また,火葬場が「集会場」の性質を備えていない場合でも,火葬場では必ず火気を使用するため,同法35条の2の規制が及ぶことになるから,同法上,火葬場が「集会場」の性質を備えているか否かにかかわらず,防火のための設備を設けることになっている。また,火葬場の場合,通常,集会場も兼ね備えており,その規模からして,大阪市建築基準法施行条例3条の2第1項及び2項の規制も及ぶことになり,耐火建築物であることが要求される。そうすると,火葬場の場合,本件細則及び本件審査基準において,構造設備基準として耐火構造を要求する必要がなかったにすぎない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
(ウ) 周辺住民が被る不利益の性質及び内容等
本件許可処分が,墓埋法,本件細則及び本件審査基準に反する違法なものである場合,嫌忌施設である本件納骨堂が稼働することにより,本件土地から300m以内の範囲で居住又は勤務している原告X1らは,生活環境・衛生状態の悪化,精神的苦痛等による健康被害といった著しい被害を受けるとともに,原告らが所有する不動産の価格に確実に悪影響が生ずる。
また,納骨堂経営主体の怠慢や倒産により,納骨堂経営主体による遺骨及び納骨堂の適切な管理が行われない場合,納骨堂の老朽化,倒壊,火災発生等の事態を招くことになり,本件納骨堂で火災が発生した場合,原告X1らの生命,身体の安全に具体的な危険が生ずるとともに,原告X2を除く原告らの不動産を焼失させることになりかねない。
これらの不利益は,嫌忌施設である納骨堂に近接すればするほど強くなるものである。
イ まとめ
以上のとおり,墓埋法等の趣旨及び目的,周辺住民が被る不利益の性質及び内容等を考慮すると,墓埋法は,本件細則及び本件審査基準が規定する距離制限規定の範囲内の周辺住民,すなわち,納骨堂設置予定地から300m以内の周辺住民については,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護していると解すべきである。そして,原告X1らは,本件土地の1~94m以内の範囲で居住又は勤務しており,原告X2を除く原告らは,本件土地の1~94m以内の範囲で土地及び建物を所有している。
したがって,原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるから,本件訴えについて原告適格が認められる。
(被告の主張)
ア 原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるとはいえず,本件訴えについて原告適格を有しないこと
本件許可処分の根拠法令である墓埋法10条1項,本件各変更許可処分の根拠法令である同条2項は,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨ではなく,仮に,本件細則及び本件審査基準が「関係法令」に当たるとしてその趣旨及び目的を参酌したとしても,墓埋法10条1項又は2項は,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨とは解されない上,原告らが主張する不利益が生ずるとは認められないから,原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるとはいえず,本件訴えについて原告適格を有しない。その理由は,次の(ア)~(ウ)のとおりである。
(ア) 墓埋法の趣旨及び目的
墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定するが,その許可の要件については特に規定していない。これは,墓地等の経営が,高度の公益性を有するとともに,国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み,墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねる趣旨に出たものであって,墓埋法は,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする法の趣旨に従い,都道府県知事等が,公益的見地から,墓地等の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される。したがって,墓埋法10条1項自体が,当該墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成10年(行ツ)第10号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁〔以下「最高裁平成12年判決」という。〕参照)。
また,墓埋法15条は,帳簿等の閲覧について「その他死者に関係ある者」にのみ特別の取扱いを定めているところ,「その他死者に関係ある者」とは,通常,死者の遺族,親族等の一定の身分関係にある者が想定されている。そうすると,墓埋法は,墓地等の帳簿等の情報開示との関係でも,死者と身分関係がない周辺住民を特別に保護する仕組みをとっていない。
さらに,墓埋法17条は,納骨堂について,墓地及び火葬場に比べて衛生上の問題が少ないことを前提として,墓地及び火葬場と同程度の制約を課していない。そのため,納骨堂の許可に関して,墓地及び火葬場の許可以上に周辺住民の利益を公益に吸収解消させずに個別的利益として保護する必要性が特別に高いとはいえない。
以上によれば,本件各処分の根拠法令である墓埋法10条1項又は2項は,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨ではないことは明らかである。
(イ) 本件細則,本件審査基準の趣旨及び目的
a 本件細則,本件審査基準の「関係法令」該当性等
(a) 関係法令の趣旨及び目的を参酌することについて
取消訴訟の原告適格の有無を画する行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」の有無は,同条2項の「関係法令」が保護する利益ではなく,飽くまで処分の「根拠となる法令」が保護する利益を踏まえて判断されるべきものである。「関係法令」は,法律上の利益の有無を判断する際,根拠法令の趣旨及び目的を考慮するに当たって,その趣旨及び目的を参酌するという限度で参考にされるにすぎない。原告らは,本件細則及び本件審査基準が,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するとして,本件細則及び本件審査基準の保護利益の解釈から原告適格の有無を論じているが,失当である。
(b) 本件細則,本件審査基準の「関係法令」該当性
一般に「法令」という用語は,国会が制定する法形式である法律と,行政機関によって制定される法形式である命令を併せて呼ぶ場合に用いられるところ,本件細則及び本件審査基準は,議会により制定された条例又は法律・条例の委任を受けた規定ではないから,そもそも「法令」に当たらないというべきである。実質的にみても,本件細則及び本件審査基準は,墓埋法の委任を受けて許可要件等を定めた規定ではなく,審査権者が許否を判断するに当たっての一応の目安として定められたものであり,許否審査の便宜に供する手続的規定にすぎない。
したがって,本件細則,本件審査基準は,墓埋法の「関係法令」に該当しない。
b 経営主体の適格性等に関する規定
本件細則及び本件審査基準が「関係法令」に該当するとしても,本件審査基準が経営主体の適格性を許可の要件としているのは,墓地等の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする墓埋法の趣旨の当然の帰結であって,本件細則及び本件審査基準ひいては墓埋法が周辺住民の個別的利益を保護することを目的とすることを裏付けるものではない。仮に,一般論として納骨堂の経営における永続性を確保するということが問題になるとしても,墓埋法2条6項が焼骨を収蔵することを納骨堂の本質的要素として規定していることや,墓埋法15条が帳簿等の閲覧について「その他死者に関係ある者」にのみ特別の取扱いを定めていることに照らすと,納骨堂の経営における永続性の確保は,もって支障なく焼骨を収蔵することを実現するためのものであって,周辺住民等個々人の個別的な利益を実現するためのものではない。
c 距離制限規定
そもそも,300mを境として周辺住民等の利益が保護されるか否かを分けるべき合理的理由はない。現在の大阪市内において,300m以内に学校,病院及び人家が全くない土地はほぼ存在しないことに照らしても,納骨堂設置予定地から300m以内か否かによって利益の要保護性を区分する合理的な理由はない。
また,本件細則8条,本件審査基準3-1(2)は,距離制限について公益的見地からのみ解除を許しており,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉への侵害の有無・程度を問題としていない。さらに,これらの規定は,文理上,300m以内の施設や周辺住民等に限定して具体的な異議申立権や手続に参加する資格を認めるような規定でもない。
そうすると,距離制限規定は,一般的公益に関するものであって,特定の周辺住民等の個別的利益を保護することを目的としていると解することはできず,本件細則及び本件審査基準ひいては墓埋法が原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨であると解釈すべき手掛かりとはならない。
d 防火設備に関する規定
本件細則10条2号,本件審査基準3-1(7)は,納骨堂に防火設備を設けることにより,公衆衛生,国民の宗教的感情等の公益を保護する見地から,火災がその収蔵する焼骨に及ぶことを防ぎ,収蔵した焼骨の適切な管理が確保されることを趣旨及び目的とするものであって,納骨堂から外部への延焼を防ぐこと,すなわち,周辺住民等の生命,身体の安全又は財産的利益のような個別的利益を火災から保護することを趣旨及び目的とするものではない。
このことは,墓埋法2条6項が,「納骨堂」とは,他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために,納骨堂として都道府県知事等の許可を受けた施設をいうとして,焼骨を収蔵することを納骨堂の不可欠かつ本質的な要件として規定していること,また,納骨堂よりも火を使用することが多く外部への延焼という観点からリスクの高い火葬場について,本件細則が防火設備を設けることを審査項目としていないこと(本件細則10条3号参照)からも裏付けられる。また,建築基準法1条は,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資することを目的とする旨規定しているのであるから,当該建物の焼失のみならず,延焼の防止を重要な目的としているのに対し,墓埋法1条は,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることを目的とする旨規定しているにとどまるから,墓埋法が周辺住民の生命,身体の安全,財産上の利益を保護する趣旨を含むものではないことは明らかである。そうすると,防火設備に関する規定は,納骨堂自体の健全な運営を維持するために,納骨堂自体及びその中に納められた焼骨を保護することを目的とするものであることもまた明らかである。
したがって,防火設備に関する規定は,本件細則及び本件審査基準ひいては墓埋法が原告ら主張利益〈イ〉及び〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨と解釈すべき手掛かりとはならない。
(ウ) 周辺住民が被る不利益の性質及び内容等
原告らが主張する嫌忌施設という概念自体,曖昧なものであり,何を嫌忌するかは個人の宗教観等によるものであるから,そもそも納骨堂が一般に嫌忌施設であるとの前提は相当ではない。近隣で納骨堂の経営が許可されたからといって,周辺住民等に直ちに具体的なストレス等の健康被害や精神的苦痛等の著しい被害が生ずるものではない。
また,納骨堂は,墓地と異なり,汚水等による地下水汚染や土壌汚染,雨水や汚水の滞留等の問題も想定されず,周辺の生活環境(衛生環境を含む。)を悪化させるともいえない。
仮に,原告らの主張するような精神的苦痛や生活環境の悪化が生ずるとしても,それは受忍限度内のものであり,そのような被害を受けないという利益は一般的公益の中に吸収解消されるべきものである。
イ まとめ
以上のとおり,墓埋法等の趣旨及び目的,周辺住民が被る不利益の性質及び内容等を考慮すると,墓埋法は,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨ではなく,本件細則及び本件審査基準は,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当しない上,本件細則及び本件審査基準における経営主体の適格性等に関する規定,距離制限規定,防火設備に関する規定は,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を個々人の個別的利益として保護する趣旨であると解釈する手掛かりとはならない。
したがって,原告らは,本件各処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者であるとはいえず,本件訴えについて原告適格を有するとはいえない。
(2) 争点2(本件各処分の適法性)について
(被告の主張)
ア 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用について
(ア) 墓埋法10条1項が許可要件について特に規定していないこと,同条の趣旨に鑑みれば,都道府県知事等が行った納骨堂経営許可は,その許否の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用がある場合に限って違法とされるべきである。
本件審査基準は,行政手続法5条により定められ公にされたわけではなく,墓埋法10条1項に基づいて納骨堂経営許可をするに当たっての一応の目安として定められたものであるところ,大阪市長は,本件審査基準を参考として,本件許可処分に係る判断を行ったものであり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用は認められない。
したがって,本件各処分は適法である。
(イ) これに対し,原告らは,大阪市長には,納骨堂経営許可に当たり積極的に調査すべき義務がある旨主張する。しかし,納骨堂経営許可の根拠法令である墓埋法10条1項の趣旨は,納骨堂等の経営許可の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねるというものであり,この趣旨を否定して大阪市長に積極的な調査義務を課すべき必要性も相当性も存在しない。したがって,原告らの上記主張は理由がない。
イ 墓地運用指針,納骨堂運用指針及び本件通知は,本件審査基準の解釈の根拠とすべきではないこと
(ア) 墓地運用指針
墓地運用指針は,飽くまで墓地に関するものであり,大阪市では,納骨堂経営許可の審査において,墓地運用指針を使用していない(墓地運用指針の「墓地」を「納骨堂」と読み替えて運用することもない)し,参考にしたこともない。環境衛生監視課の職員がa寺に対して墓地運用指針を交付した(前記前提事実(2)イ)のは,「付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこと」(本件審査基準3-1(2))の審査に関して,周辺住民への周知の方法についてイメージを持ってもらうために,その参考として交付したにすぎない。
(イ) 納骨堂運用指針
納骨堂運用指針については,環境衛生監視課長が,納骨堂運用指針と題する文書(甲75)を作成し,生活衛生課長宛てに策定依頼をしたことはあったが,生活衛生課長は,策定が必要な具体的な理由があるのかといった観点から検討を行った結果,これを策定しなかった。納骨堂運用指針と題する文書は,その策定の要否を含めた検討を依頼するため,生活衛生課長にイメージを持ってもらうためのたたき台という趣旨で作成されたものにすぎず,納骨堂経営許可等に関する従前の運用を基に作成されたものではなかった。
(ウ) 本件通知
本件通知は,都道府県等の行政運営のための指針(自治事務における国の技術的助言)としての性質を有するものにすぎず,強制力はもとより規範としての意義も乏しい。また,本件通知は,墓地に関するものであって,納骨堂に関するものではない。
(エ) 小括
したがって,墓地運用指針,納骨堂運用指針及び本件通知は,本件審査基準の解釈の根拠とすべきではない。
ウ 納骨堂経営主体の適格性があり,納骨堂の設置の必要性があること,納骨壇数は,檀信徒等の数に応じたものであること
(ア) 経営主体の適格性があること
被告は,本件審査基準1,3-1(1)のうち「経営主体の適格性」を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうちa寺の履歴事項全部証明書)によりa寺が宗教法人であることが認められたことから,a寺に「経営主体の適格性」があると判断した。
これに対し,原告らは,単に経営主体が形式的に宗教法人等であれば良いというものではなく,納骨堂の設置との関係で実質的な適格性を有するか否かを判断すべきである旨主張する。この主張は,「経営主体の適格性」という要素と,「納骨堂の設置…の必要性」という要素を一体として判断すべきであるとの前提に立つものと解されるが,「納骨堂の設置…の必要性」に関する事情は,端的に「納骨堂の設置…の必要性」に関して考慮することで足りるのであり,「経営主体の適格性」について実質的な審査を行わなければならない必要性は存在しない。
また,原告らは,本件納骨堂のパンフレット等に信者・宗派等を問わないことが記載されていたことを指摘するが,本件許可処分の適法性は,本件許可処分当時に存在した事実に基づいて判断されるべきであるところ,上記事情は本件許可処分後の事情であるから,このことが本件許可処分の適法性に影響を及ぼすものではない。
(イ) 納骨堂の設置の必要性があること
被告は,本件審査基準3-1(1)のうち「納骨堂の設置…の必要性」を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうち「別院(納骨堂)建立への要望書」と題する書面,総代会議事録,責任役員会議事録,檀信徒名簿〔なお,B及びCは,平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に,a寺のf別院事務所において原本を確認した。原本には,「檀信徒」欄及び「御住所」欄のほか,「御連絡先」欄も記載されていた。〕等)により,檀信徒の焼骨を収蔵する納骨堂を設置する需要があることが認められたことから,「納骨堂の設置…の必要性」があると判断した。
これに対し,原告は,後記(原告らの主張)ウのとおり主張(経営主体の適格性を欠き,納骨堂の設置の必要性がないこと,納骨壇数は,檀信徒等の数に応じたものではないこと)するが,これが,本件申請書類のような申請者の提示する資料によらず,更に具体的に檀信徒の需要があることを確認する義務が都道府県知事にあることをいう趣旨であるとすれば,檀信徒の個別の意向はもとより,檀信徒の数すら確認する手段を有していない都道府県知事等に無理を強いるものであって失当である。納骨堂経営許可に関する審査は,相応の期間内に公平かつ客観的に行われるべきものであることからすれば,その判断が基本的に申請者の提示する資料によることとなるのは当然であり,申請者から檀信徒が納骨堂の設立を要望しており,納骨堂の規模が檀信徒数に応じたものであることが認められる資料が提出されれば,むしろ納骨堂を設置する需要があり,納骨堂の設置の必要性が認められると判断すべきである。
また,原告らは,a寺が,平成28年1月6日,自らの檀信徒以外を対象にして納骨堂を経営しようとしている意図を被告に示していた旨主張するが,被告はこれが認められないことを指導し,実際に焼骨の収蔵はa寺の檀信徒に限るものとして本件申請がされたのであるから,それを疑って特段の調査を行うべき必要性は認められない。
(ウ) 納骨壇数は,檀信徒等の数に応じたものであること
被告は,本件審査基準3-1(6)を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうち檀信徒名簿,本件納骨堂の図面)により,檀信徒名簿に記載された人数が6269名であること,納骨壇数が6269基であることが認められたことから,「納骨壇数については,檀信徒等の数に応じたものであること」に該当すると判断した。
これに対し,原告らが主張するように,納骨堂経営許可において檀信徒の定義を宗教法人法12条2項所定の「信者その他の利害関係人」と同一のものと解さなければならない理由はなく,被告が積極的に宗教法人の檀信徒の宗教活動の実態を調査して檀信徒の範囲等を独自に画定し檀信徒数を算出することが適当であるとも考えられない(檀信徒とは,「一定の宗教の教義に賛同する者」をいうが,これは信仰に関するものであるから,その範囲を被告が一律に画することは不可能であるし,申請者から「檀信徒」であるとして名簿が提出されれば,それを否定することは困難である。また,名簿に記載された特定の個人について,逐一,当該宗教を信仰しているか否かを調査しなければならないとすると,信仰の自由を害するおそれがある。)。そうすると,檀信徒数は,宗教法人が提出する資料をもとに判断することで足りるものであり,檀信徒名簿が提出された場合は,それが一見して不審であるといえるものでない限り,これにより判断すれば足りるのである。そして,本件申請書類をみても檀信徒数等について更に追加調査を義務付ける根拠となるような不審な点は認められず,被告において本件申請書類を超えて独自に調査しなければならないものではなかった。
エ 付近の生活環境を著しく損なうおそれがないこと
(ア) 被告は,本件審査基準3-1(2)を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうち本件納骨堂の図面)によれば,焼骨を納める納骨壇は建物内に設置されることになっていたため,外部から見通せないこと,関係者以外がみだりに立ち入らないように防犯対策が講じられていたことから,「①周辺環境と調和が保てること」に該当すると判断した。また,納骨堂は焼骨を納めることから,水源汚染等の感染症の原因となるおそれが認められないこと,a寺が,約2か月にわたり本件土地に納骨堂を建設することが理解できる標識を掲示し,更に町会への説明を行った上で本件申請を行った上,周辺住民から寄せられた意見の中には公衆衛生の見地からのものはなく,公衆衛生上付近の生活環境を著しく損なうという意見は見受けられなかったことから,「②公衆衛生上その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」に該当すると判断した。また,B及びCは,平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に,施設周辺の人家や学校等の配置状況等の確認のため現地調査等を行った(なお,納骨堂経営許可調査書には「調査年月日 平成29年1月26日」と記載されているが,これは同調査書を作成した日であり,調査自体は,同月23日に行われた。)。被告は,これらの事情を個別具体的に総合考慮して,「付近の生活環境を著しく損なうおそれがない」と判断した。
(イ) これに対し,原告らは,本件細則が納骨堂経営許可の対象としているのは,いわゆる「寺院墓地」の経営であり,そして,宗教法人の経営する納骨堂が「寺院墓地」である場合は,現に宗教法人が儀式行事等の宗教活動を行っている場所において当該宗教活動に付随して既に存在する境内地に寺院墓地が設置又は拡張されている場合であるから,従前からその場所において宗教活動が行われていることについて付近の生活環境上の利益の帰属主体である周辺住民も一定の理解が存することを前提に,本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」,「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討されることになる旨主張する。しかし,本件審査基準において,経営主体として「公益法人」,「財産区の墓地管理委員会」等が挙げられているように,被告は「寺院墓地」のみを前提としていない。また,周辺住民の理解が得られているか否かは,公衆衛生その他公共の福祉の観点から判断されるべきものであって,周辺住民から苦情等がないことを意味するものではなく,納骨堂経営許可の判断において,従前の宗教活動の有無やその内容について考慮すべき合理的理由もない。本件審査基準は,経営主体として「公益法人」,「財産区の墓地管理委員会」等の宗教活動を目的としない主体も挙げているのであるから,周辺住民が従前の宗教活動を受容していることは納骨堂経営許可の判断に当たって考慮すべき事情とはならない。したがって,原告らの上記主張は理由がない。
オ 申請者が敷地の所有者であること
(ア) 被告は,本件審査基準3-1(3)を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうち本件土地の全部事項証明書)によりa寺が本件土地の所有者であることが認められたことから,「申請者が敷地…の所有者であること」に該当すると判断した。
(イ) これに対し,原告らは,本件審査基準3-1(3),(4)の各要件を満たすというためには,納骨堂設置予定地が,本件許可処分時のみならず,将来においても第三者に譲渡され,又は抵当権等が設定されるおそれがないということが必要であると解すべきである旨主張する。しかし,将来において敷地が第三者に譲渡され,又は抵当権が設定される可能性等は,およそ客観的に判断し得ないのであり,納骨堂経営許可の判断に当たってそのような不確定な事項は考慮要素とすべきではない。したがって,原告らの上記主張は理由がない。
カ 納骨堂を設置する土地が,申請者の所有とし登記後6か月以上経過した境内地等であること
(ア) 被告は,本件審査基準3-1(4)について,①納骨堂を設置する土地が,申請者の所有であり登記後6か月以上経過していること,②境内地等であることを考慮し判断しているところ,本件申請書類(このうち本件土地の全部事項証明書)によって,a寺が平成28年4月20日に本件土地を売買により取得したこと,登記記録の地目が境内地であることを確認し,上記①及び②を満たしていることが認められたため,「納骨堂を設置する土地については,申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」に該当すると判断した。なお,B及びCは,平成29年1月23日午後2時から午後4時半までの間に,実際に本件土地を訪れて,f別院事務所が存在しその中に礼拝施設があることを確認した。
(イ) これに対し,原告らは,a寺は,平成28年4月20日に本件土地を売買により取得し,同年12月8日に本件土地の地目を宅地から境内地に変更したが,同年4月20日以降,本件土地で宗教活動を行ったことはなく,登記記録上の地目が「境内地」とされているにすぎず,実質的には「境内地」としての実体が欠けていた旨主張する。しかし,実質的に境内地の実体を備えていたか否か等という事情は極めて曖昧であり,審査すべき項目として妥当とはいえない。また,登記官による手続を経て,地目を境内地に変更する登記がされているものについて,被告がそれを否定すべき理由も存在しない。
キ 納骨堂の設置場所は,法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地であること
(ア) 被告は,本件審査基準3-1(5)を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうちa寺の履歴事項全部証明書)により本件土地にa寺の従たる事務所があることが認められたことから,「法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する」と判断した。
本件審査基準3-1(5)が「法人の主たる事務所及び礼拝施設等」と規定しているように,法人の主たる事務所及び礼拝施設のみに限定されないことは「等」という文言から明らかであり,これに従たる事務所も含まれると解される。
(イ) これに対し,原告らは,従たる事務所と称する建築物は,a寺f別院との表札があるだけのプレハブ建築物にすぎず,しかも,同建築物は建築基準法違反を理由として平成30年3月22日に撤去されたのであり,従たる事務所としての実体が欠けていたというほかないから,「境内地」要件を満たすものではない旨主張する。しかし,a寺の所轄庁である大阪府知事から認証・証明を得て「従たる事務所」の登記がされていることから,大阪府知事が認証・証明したものについて,被告がそれを否定すべき理由は存在しない上,本件許可処分後に建物が撤去されたことは,何ら本件許可処分の適法性に影響を及ぼすものではない。
ク 納骨堂の構造は,独立した建物で周囲に塀を設け,堅固な建物とし防火設備を設けていること
(ア) 被告は,本件審査基準3-1(7)を考慮し判断するに当たり,本件申請書類(このうち本件申請書及び本件納骨堂の平面図)から,本件納骨堂の構造が鉄筋コンクリート造であること,納骨堂が建物の一部に設けられること,納骨壇の部分が壁等により同一建物内の他の施設と区画がされていること,出入口が施錠できることを認めたため,本件審査基準3-1(7)ただし書①に該当すると判断した。そこで,本件の審査において,本件審査基準3-1(7)本文所定の「納骨堂の構造は,独立した建物で周囲に塀を設け,堅固な建物とし防火設備を設けていること」のうち,「独立した建物で周囲に塀を設け」という部分を緩和し,「堅固な建物とし防火設備を設けていること」を考慮することとした上で,本件納骨堂の構造が鉄筋コンクリート造であること,納骨堂出入口扉は全て防火設備とし,施錠付きとされていることを認めたため,「堅固な建物とし防火設備を設けていること」に該当すると判断した。なお,本件細則10条2号所定の「防火設備」とは,建築基準法の定める防火設備と同義ではなく,焼骨の類焼を防止する防火の機能を有する設備一般をいう。
(イ) これに対し,原告らは,本件納骨堂は,建物全部の主たる使用目的が納骨にあることは明らかであるとして,本件審査基準3-1(7)ただし書①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」が適用される前提を欠いている旨主張する。しかし,本件審査基準3-1(7)ただし書①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」とは,その文理から,物理的にみて耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合を指すことは明らかであり,これに該当するか否かの判断において建物の主たる使用目的は何ら考慮すべきものではない。したがって,原告らの上記主張は理由がない。
ケ まとめ
以上によれば,本件各処分は適法である。
(原告らの主張)
ア 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用,積極的調査義務について
(ア) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用について
本件審査基準は,行政手続法5条により定められ公にされているところ,墓埋法10条1項に基づく納骨堂経営許可における大阪市長の裁量権は,本件審査基準に従って行使されるべきことが羈束されており,納骨堂経営許可が本件審査基準に従っていない場合,本件審査基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,その裁量権の行使は,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たり,納骨堂経営許可は違法となる(最高裁平成27年判決参照)。
また,大阪市長が,本件審査基準の要件に該当する事実の誤認又は当該事実の調査義務に違反したときは,判断要素の選択や判断過程の合理性が欠如しており,特段の事情のない限り,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして違法となるというべきである。
(イ) 積極的調査義務について
墓埋法10条1項に基づく宗教法人に対する墓地等の経営許可は,墓地等の経営が高度の公益性を有していること等を踏まえると,警察許可ではなく,公企業の特許かそれに準ずるものというべきであり,そのことを前提に大阪市長が行う墓地等の経営許可に係る判断につき広範な裁量権が認められていることからすると,大阪市長は,墓地等の経営許可の審査に当たって,墓地等の経営が公益事業として永続的,非営利的に行われることが確保されるように積極的に調査を行うことを法律上要請されているというべきである(本件通知参照)。このことは,墓埋法が,墓地等の経営許可に関して許可権者に調査権限を定めた規定を設けていないことによって左右されるものではない(非権力的手段による調査については,行政作用法上の根拠は不要である。)。
イ 墓地運用指針,納骨堂運用指針及び本件通知は,本件審査基準の解釈の根拠となるものであること
(ア) 墓地運用指針
環境衛生監視課の職員がa寺に対して墓地運用指針を交付していたこと(前記前提事実(2)イ)や,墓地運用指針と納骨堂運用指針は,構成が同じであり,「墓地」と「納骨堂」という単語と施設の性状等の相違に関わる部分を除けば,内容と表現が共通していること等に照らせば,墓地運用指針のうち納骨堂運用指針と共通する部分は,納骨堂経営許可における実務上の運用指針として使用されていた(「墓地」を「納骨堂」に読み替えて運用されていた)ということができる。そうすると,墓地運用指針と納骨堂運用指針の共通部分は,本件審査基準の解釈の直接的な根拠となるものといえる。
(イ) 納骨堂運用指針
仮に,納骨堂運用指針が策定されていないとしても,納骨堂運用指針を作成したのは環境衛生監視課であること,墓地と納骨堂の各経営許可の法律上の根拠条文が同じ墓埋法10条1項であり,かつ,大阪市の墓地等経営許可制度において,墓地と納骨堂は,焼骨の埋蔵と収蔵の相違,両施設の物理的形状の相違その他の性質上の相違を除いて,別異に取り扱うべき事情もないこと等に照らせば,納骨堂運用指針は,本件審査基準を解釈するに当たり,これを合理的に解釈したものとして斟酌されるべきである。
(ウ) 本件通知
本件通知は,規範そのものではないものの,本件審査基準を含む法令解釈の根拠となるものである。
(エ) 小括
したがって,墓地運用指針,納骨堂運用指針及び本件通知は,本件審査基準の解釈の根拠となるものである。
ウ 経営主体の適格性を欠き,納骨堂の設置の必要性がないこと,納骨壇数は,檀信徒等の数に応じたものではないこと
(ア) 本件審査基準1,3-1(1),(6)の意義
本件審査基準1,3-1(1)が規定する経営主体の適格性は,単に経営主体が形式的に宗教法人等であれば認められるというものではなく,納骨堂の設置との関係での実質的な適格性を有することを要求していると解すべきであり,この実質的な適格性については,納骨堂の経営管理計画自体の適格性も含んでいると解すべきである(本件通知参照)。そして,需要のない納骨堂の設置は,安定的な経営管理計画を阻害することになるため,本件審査基準3-1(1),(6)は,納骨堂の設置の必要性の有無,すなわち,当該宗教法人の檀信徒の具体的な需要の有無を,申請書の審査項目としたものと解される。
また,本件審査基準1に関して定められた墓地運用指針基準1関係3,納骨堂運用指針基準1関係3には,適格性のある宗教法人であるためには,①当該宗教法人が申請地に係る主たる事務所又は従たる事務所において6か月以上の宗教活動の実績が必要であるとともに,②当該墓地等が檀信徒のためのものである旨の説明が必要であるとされている。本件審査基準3-1(1),(6)に関して定められた墓地運用指針基準3関係1・2・9,納骨度運用指針基準3関係1・2・8には,宗教法人による墓地等の経営は,檀信徒のためのものに限り,墓地・納骨堂の区画数・収蔵数と檀信徒の利用予定者数とを比較しその必要性を証明することが要請されている。
(イ) 本件について
a a寺の檀信徒数が不自然に過大であったこと
a寺は,本件申請に当たり,6269名の檀信徒がいる旨申告した。しかし,①環境衛生監視課の職員が収集した宗教年鑑によれば,a寺が属する国分寺派の檀信徒数は1万5592名,国分寺派の被包括宗教団体は51団体であり,末寺にすぎないa寺の檀信徒数だけで国分寺派の檀信徒数の約4割を占めていたこと,②a寺が,平成28年1月6日,自らの檀信徒以外を対象にして納骨堂を経営しようとしている意図を被告に示していたこと(前記前提事実(2)ア),③大阪市長は,納骨堂経営許可申請に当たり,檀信徒数の虚偽申告がされた事例があったことを認識していたこと,④a寺の主たる事務所に住職等が常駐していないなど,宗教活動の実態がないか,極めて低調であること等からすれば,a寺が申告した檀信徒数は不自然に過大であり,架空のものではないかと疑うべき事情が存在した。Eは,平成29年6月29日の住民説明会において,a寺の檀家数が300よりも少ないこと,a寺が申告した檀信徒数には,単なる一般の参拝客(お札の購入者),宗派等を問わないa寺e霊園の利用者,Eが住職をしている国分寺の檀信徒が含まれていたことを認めたが,これらの者は,本件審査基準3-1(6)所定の「檀信徒」(宗教法人法12条2項の「信者その他の利害関係人」と同義であると解され,檀徒とは,寺院の教義を信仰して自己の主宰する葬祭を一時的でなく委託し,寺院の経費を負担するものであり,信徒とは,寺院の教義を信仰して自己の主宰する葬祭を一時的に委託し,その限りで寺院の経費を分担するものというものと解される。)に該当せず,a寺規則16条が定める檀信徒の定義(「眞言宗の教義を信奉し,この寺院の維持経営に協力する者」)にも該当しないものであった。
b 檀信徒名簿の原本確認をしていないこと
原告X1,原告X4ほか2名は,平成29年1月23日午後3時過ぎから午後5時頃までの間,Bと面談していたことから,Bが同日午後2時から午後4時半までの間にa寺のf別院事務所にて檀信徒名簿の原本を確認した旨の被告の主張は,事実に反する。
c 従たる事務所に実体がなく,当該事務所における6か月以上の宗教活動の実績もないこと
①a寺は,平成28年11月11日,本件土地上に,a寺f別院との表札のあるプレハブ建築物を設置し,本件許可処分当時も存在したが,上記建築物(従たる事務所と称する建築物)は,建築基準法違反を理由として平成30年3月22日に撤去されたこと,②f別院事務所が,a寺の従たる事務所として登記されたのは本件申請の直前である平成28年12月14日であったこと等の事情に照らせば,f別院事務所は,従たる事務所としての実体が欠け,当該事務所における6か月の宗教活動の実績がなかったというほかない(少なくともこの点を疑うべき十分な事情が存在した。)。しかし,大阪市長は,f別院事務所における宗教活動の実態を調査するなど,f別院事務所が宗教法人の従たる事務所の実体を有するか否かの審査をしなかった。
d 本件納骨堂がa寺の檀信徒のためのものではないこと
大阪市長から納骨堂経営許可を受けた複数の宗教法人が本件審査基準に反して宗旨宗派を問わない(檀信徒のために限らない)納骨堂の経営を行っているという実態があり,大阪市長は,このことを容易に把握することができたにもかかわらず,この点に関する調査を行わなかった。そして,本件納骨堂の利用者の募集等を行っているのは,a寺ではなく株式会社霊園・墓石のヤシロであり,インターネット広告やパンフレット等を通じて,不特定多数の者に対し,信者・宗派等を問うことなく勧誘していること等からすれば,本件納骨堂はa寺檀信徒のためのものであるとはいえず,本件納骨堂において営利事業として宗旨宗派を問わない納骨堂経営が行われていることは明らかである。
e e霊園の状況からは本件納骨堂の設置の必要性がなかったこと
a寺は四條畷市においてe霊園を経営しているところ,①e霊園の墓地経営面積が約3600m2,聖地数約2500聖地であること,②e霊園にはかなりの空き区画があること,③檀信徒の要望に食い違いがあること,④e霊園の敷地に地上権が,敷地上の建物に賃借権がそれぞれ設定されていること等からすれば,大阪市長は,e霊園の経営が行き詰まっていることや,6101基もの納骨壇数を備える本件納骨堂を設置する必要性がないことに疑念を抱いてしかるべきであったが,e霊園の墓数・空き区画等e霊園の状況に関して全く調査を行わなかった。
f 本件における調査義務違反
これらの事情に照らせば,本件申請は,檀信徒の具体的な需要を欠くものであるから,経営主体の適格性を欠き,本件納骨堂の設置の必要性があったとはいえないし,大阪市長は,檀信徒名簿に記載された檀信徒数や本件納骨堂の設置の必要性等について疑うべき十分な事情を把握していた上,既に把握していた事情以外にも容易に把握することができる不審な事情があったにもかかわらず,檀信徒数や本件納骨堂の設置の必要性等に関して必要な調査を行わなかったといわざるを得ない。したがって,大阪市長の調査方法は著しく不合理であり,著しい調査義務違反があったというほかない。
(ウ) 小括
以上のとおり,本件審査基準1,3-1(1),(6)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
エ 付近の生活環境を著しく損なうおそれがあること
(ア) 本件審査基準3-1(2)の意義
そもそも,被告は,信者・宗派等を問わない霊園形式の墓地,納骨堂の経営については,墓地等の経営主体が市町村等の地方公共団体でなければならないという原則に従い,大阪市設置霊園条例や大阪市納骨堂条例を施行し,これを自ら行っている。本件細則が納骨堂経営許可の対象としているのは,信者・宗派等を問わない霊園形式で行われる公益事業としての納骨堂の経営ではなく,いわゆる「寺院墓地」(寺院の敷地内にあり,当該寺院が所有・管理しているもので,使用者が原則として当該寺院の檀信徒である墓地等)の経営である。このことは,本件審査基準3-1(1),(6)が,当該宗教法人の檀信徒の具体的な需要の有無を申請書の審査項目としていること等からも明らかであり,被告の墓地等経営許可制度は,周辺住民の生活環境の保護を重視して,経営主体の適格性を厳しく制限しているのである。
そして,宗教法人の経営する納骨堂が「寺院墓地」である場合は,現に宗教法人が儀式行事等の宗教活動を行っている場所において当該宗教活動に付随して既に存在する境内地に寺院墓地が設置又は拡張されている場合であるから,従前からその場所において宗教活動が行われていることについて付近の生活環境上の利益の帰属主体である周辺住民も一定の理解が存することを前提に,本件審査基準3-1(2)が規定する「①周辺環境と調和が保てること」,「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」が検討されることになる。
(イ) 本件について
a寺は,平成28年4月20日に本件土地を取得したにすぎず,それ以降も現在に至るまで儀式行事等の宗教活動を行っておらず,宗教活動の実績はない。そうすると,本件納骨堂の設置は,その宗教活動について周辺住民の一定の理解を前提とすることができるような典型的な寺院墓地の設置の場合とは異なるというべきである。また,上記ウ(イ)dのとおり,本件納骨堂において営利事業として宗旨宗派を問わない納骨堂経営が行われていることは明らかである。
そして,本件納骨堂が6000基超の焼骨の収容を予定している巨大納骨堂であり,その周辺は小学校も含む住宅密集地であること等からすれば,a寺による本件納骨堂の設置,経営について,「①周辺環境と調和を保つこと」や,「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」は不可能であり,「付近の生活環境を著しく損なうおそれ」はあったというほかない。現に,本件納骨堂が設置され経営が開始されたことにより,原告らに多大な精神的苦痛が生じる,焼香の臭いが自宅内に入ってくる,本件納骨堂利用者が不法駐車を行うなどといった生活環境の悪化が生じている。
さらに,上記ウ(イ)bのとおり,B及びCが,平成29年1月23日に現地調査等を行ったとも認められず,大阪市長には,本件土地におけるa寺の宗教活動の実績等といった要件に係る事実調査に関する調査義務違反がある。
(ウ) 小括
したがって,本件審査基準3-1(2)の要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
オ 本件土地の所有権が譲渡され,抵当権等が設定されるおそれがあること
本件審査基準3-1(3)は,「申請者が敷地及び建物の所有者であること」と定め,本件審査基準3-1(4)は,「納骨堂を設置する土地については,申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」と定めている。これらの各要件を満たすというためには,納骨堂設置予定地及び納骨堂が,本件許可処分時のみならず,将来においても第三者に譲渡され,又は抵当権等が設定されるおそれがないということが必要であると解すべきである(墓地運用指針基準3関係5,納骨堂運用指針基準3関係5参照)。これを本件についてみると,a寺は,既にe霊園の敷地に地上権を,敷地上の建物に賃借権をそれぞれ設定しており,本件土地についても,将来第三者に譲渡され,又は抵当権等が設定されるおそれがあったにもかかわらず,大阪市長は,e霊園の状況に関して全く調査を行わなかったのであって,要件に係る事実調査に関する調査義務に違反した。
したがって,本件審査基準3-1(3),(4)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
カ 本件土地は,申請者の所有とし登記後6か月以上経過した境内地等ではないこと
本件審査基準3-1(4)は,「納骨堂を設置する土地については,申請者の所有とし登記後6カ月以上経過した境内地等であること」と定め,本件審査基準3-1(5)は,「納骨堂の設置場所は,法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地であること」と定めている。これらの定めにおける「境内地」とは,宗教法人法3条所定の「境内地」と同義であると解される(墓地運用指針基準3関係8,納骨堂運用指針基準3関係6参照)。
a寺は,平成28年4月20日に本件土地を売買により取得し,同年12月8日に本件土地の地目を宅地から境内地に変更したが,同年4月20日以降,本件土地で宗教活動を行った実績はなく,登記記録上の地目が「境内地」とされているにすぎず,実質的には「境内地」としての実体が欠けていた。それにもかかわらず,大阪市長は,本件土地におけるa寺の宗教活動の実績等を調査しなかったのであって,要件に係る事実調査に関する調査義務に違反した。
また,登記記録上,本件土地が境内地に地目変更されたのは平成28年12月12日であり,本件許可処分がされたのは平成29年2月27日であるから,「境内地」との地目変更の登記がされてから6か月が経過しておらず,本件審査基準3-1(4)所定の「登記後6カ月以上経過した境内地等であること」という要件を満たさない。この点に関する被告の主張は,本件審査基準の解釈を誤るものであって,失当である。
したがって,本件審査基準3-1(4),(5)の各要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
キ 本件土地は,法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地ではないこと
a寺は,平成28年11月11日,本件土地上に,a寺f別院との表札のあるプレハブ建築物を設置し,本件許可処分当時も存在したが,上記建築物(従たる事務所と称する建築物)は,建築基準法違反を理由として平成30年3月22日に撤去されたのであり,従たる事務所としての実体が欠けていたというほかない。また,上記建築物は,宗教法人法2条1号所定の「礼拝の施設」(信仰の対象を安置し,あるいはこれを表徴し,その他礼拝を行うのに必要な施設で,宗教団体の宗教活動の拠点的,中心的施設・場所)や,同法3条所定の「境内建物」にも該当しない(墓地運用指針基準3関係7,納骨堂運用指針基準3関係7参照)。そうすると,本件土地は,本件審査基準3-1(5)所定の「法人の主たる事務所及び礼拝施設等が存する境内地である」とはいえない。このように,大阪市長は,本件土地におけるa寺の宗教活動の実績等について事実を誤認し,要件に係る事実調査においても,調査義務に違反した。
したがって,本件審査基準3-1(5)の要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
ク 納骨堂の構造は,周囲に塀を設けておらず,堅固な建物とし防火設備を設けていないこと等
(ア) 被告は,本件申請が本件審査基準3-1(7)ただし書①に該当すると判断し,本件審査基準3-1(7)本文の要件である「独立した建物で周囲に塀を設け」という部分を緩和した旨主張する。しかし,本件納骨堂は,3階から6階までを納骨棚が占めており,1階及び2階の施設はこの納骨棚に付随する施設であって,建物全部の主たる使用目的が納骨にあることは明らかである。また,本件審査基準3-1(7)ただし書①は,既存の宗教施設の一角に納骨堂を設置する場合を想定しての例外規定であるところ,本件納骨堂は,宗教施設も宗教活動の実績もない本件土地に新たに設置するものであり,しかも,数千基も収納する大規模な納骨堂に関する経営許可を想定した審査項目ではないから,安易にこの要件を満たすと判断すべきではない。そうすると,本件申請は,本件審査基準3-1(7)ただし書①所定の「耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合」に該当しない。したがって,被告の上記主張は理由がない。
(イ) 本件審査基準3-1(7)ただし書②は,専ら出入りのために必要な門扉の存在を許容しているにすぎないが,被告は,本件納骨堂の周囲の塀について何ら審査を行っておらず,この点に関する調査を怠った。
(ウ) 納骨堂運用指針基準3関係9(1)は,「納骨堂は耐火構造又は準耐火構造を有する建築基準法に適合した建物であり,建物登記が可能であること。」と規定しているところ,本件納骨堂は,建築基準法別表第2(ヘ)項5号所定の「倉庫業を営む倉庫」に該当し,本件土地が第一種住居地域に所在するため,同法48条5項の用途制限に違反する違法建築物であったにもかかわらず,大阪市長は,この点に関する調査を怠った。
(エ) 本件申請書類をみても,納骨堂運用指針基準3関係9(2)~(4)の各要件を満たしているのか否かが明らかではないこと,納骨堂運用指針基準2関係1(2)所定の「納骨堂の概要が確認できる配置図・立面図・各階平面図等」が提出されていないことからすれば,大阪市長は,本件申請が本件審査基準3-1(7)本文,納骨堂運用指針基準3関係9の各要件を満たすか否かに関する調査を怠ったということができる。
(オ) したがって,本件審査基準3-1(7)の要件を満たすとして本件許可処分をした大阪市長の判断は,判断要素の選択や判断過程に合理性が欠如しており,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念上著しく妥当性を欠くものとして,違法である。
ケ まとめ
本件各変更許可処分は,本件許可処分に付随する処分であり,本件各変更許可処分時に本件許可処分が適法であることを前提とした処分であると解されるところ,本件許可処分は,上記で主張したとおり,本件審査基準の要件を満たさない違法な処分であるから,本件各変更許可処分も違法である。
以上によれば,本件各処分は違法である。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(原告適格の有無)について
(1) 判断枠組み
行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。
(2) 本件各処分の根拠法令,関係法令
ア 墓埋法10条1項,2項の趣旨及び目的
墓埋法10条1項は,墓地等を経営しようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない旨規定するが,その許可の要件については特に規定していない。これは,墓地等の経営が,高度の公益性を有するとともに,国民の風俗習慣,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み,墓地等の経営に関する許否の判断を都道府県知事等の広範な裁量に委ねる趣旨に出たものであって,墓埋法は,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする法の趣旨に従い,都道府県知事等が,公益的見地から,墓地等の経営の許可に関する許否の判断を行うことを予定しているものと解される。そうすると,墓埋法10条1項自体が,当該墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成12年判決参照)。この理は,同条2項においても異ならないと解される。
イ 本件細則の「関係法令」該当性
本件細則は,地方自治法15条1項に基づき,普通地方公共団体の長である大阪市長が制定した規則であり,「法令」に該当する。そして,本件細則1条が,墓埋法の施行についてはこの細則の定めるところによる旨規定し,本件細則5条,8条及び10条が,墓地等の経営許可等の申請に対する許可基準等を規定していることに照らせば,本件細則は,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するものと解される。
ウ 本件審査基準の「関係法令」該当性
(ア) 生活衛生課長が定めた本件審査基準は,行政機関の定立した内部的基準である裁量基準であって,法規の性質を有するものではないし,墓埋法や本件細則の委任に基づいて定められたものでもないから,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するとはいえない。
(イ) 原告らの主張について
これに対し,原告らは,①本件審査基準が墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当すると解されることの理由として,本件審査基準は,本件細則を補完し一体として墓埋法10条1項の審査基準を定めているものである旨主張するとともに,②最高裁平成27年判決を前提にすれば,審査基準が定められ公にされている場合,審査基準は処分行政庁を拘束する実体的拘束力を持ち,処分行政庁が審査基準の定めと異なる取扱いをすることを相当と認めるべき特段の事情がない限り,そのような取扱いは裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たり,当該行政処分は違法となることから,本件審査基準は,単なる内部基準ではなく,大阪市長自身を拘束する実体的拘束力を持った法規範というべきである旨主張する。
しかし,上記①(本件審査基準と本件細則との関係)については,本件審査基準が,申請により求められた納骨堂経営許可等をするかどうかを墓埋法や本件細則の定めに従って判断するために必要とされる基準であることをもって,本件審査基準が墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するとはいえない(行政手続法2条1号,同条8号ロ参照)。
また,上記②(最高裁平成27年判決の趣旨)については,最高裁平成27年判決は,処分基準の自己拘束性に依拠して,先行の処分を受けたことと後行の処分における不利益取扱いとの間の法律上の関連性を肯定し,訴えの利益の存続を認めたものであって,処分基準について法規命令と同様の外部的効果を認めたものではない。そうすると,本件審査基準は,法規の性質を有するものではなく,外部的効果を有するものであると解することはできない。
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(3) 墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則の趣旨及び目的,本件各処分において考慮されるべき利益の内容及び性質等
墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則が,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解されるか否かについて,以下検討する。
ア 納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(従前の生活環境〔宗教的感情と適合した生活環境を含む。〕を享受する利益,公衆衛生上の被害を受けない利益,その他の健康被害や精神的苦痛を受けない利益を含む。)(原告ら主張利益〈ア〉)について
(ア) 本件細則8条
a 本件細則8条本文は,当該申請に係る墓地等の所在地が,学校,病院及び人家の敷地からおおむね300m以内の場所にあるときは,墓埋法10条1項に係る許可を行わない旨規定し,本件細則8条ただし書は,市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときは,この限りでない旨規定し,本件細則5条2項2号は,墓地等の周囲300m以内の地形及び建物の状況を明示した図面を申請書に添付しなければならない旨規定する。
これらの規定は,墓地等が学校,病院及び人家の敷地に距離的に近接した場所に設置,経営されることによって,その付近の良好な生活環境が悪化することを防止する趣旨であると解される。一般的に,納骨堂が設置,経営された場合に周辺住民が被る可能性のある被害は,交通等広い意味での生活環境の悪化であるところ,同様に墓埋法で経営許可の対象とされている墓地や火葬場については,その設置,経営により周辺地域の飲料水の汚染等といった衛生環境の具体的な悪化が懸念される場合があるのとは異なり(なお,墓埋法17条は,埋葬及び火葬の状況を市町村長に対する管理者の報告義務の対象としながら,焼骨の収蔵はその義務の対象としておらず,これは,焼骨の収蔵が,埋葬及び火葬に比較して衛生上の問題が少ないことによるものと解される。),焼骨を収蔵するための施設にすぎない納骨堂の設置,経営により,直ちに周辺住民の生命,身体の安全や健康が脅かされたり,その財産に著しい被害が生じたりすることまでは想定し難いところである。そして,このような広い意味での生活環境に関する利益は,基本的には公益に属する利益というべきであって,法令に手掛かりとなることが明らかな規定がないにもかかわらず,法が周辺住民において上記のような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むと解するのは困難である(最高裁平成20年(行ヒ)第247号同21年10月15日第一小法廷判決・民集63巻8号1711頁参照)。
そこで,本件細則についてみると,本件細則8条は上記のとおり規定するところ,本件細則8条が保護しようとしている「生活環境」の具体的な内容をうかがわせる規定は存在せず,本件細則10条2号が「納骨堂の周囲に塀を設け」ることと規定しているほかに(なお,同号も,同条4号の規定に照らすと公益的見地からの規制にとどまるものと解される。),納骨堂の付近の良好な生活環境を確保するための具体的な構造設備基準を定めた規定も存在しない。また,納骨堂の周辺住民に対して納骨堂経営許可に係る手続への関与を具体的に定めた規定も存在しない(本件規則5条1項が規定する第1号様式による申請書,本件規則6条1項が規定する第2号様式による申請書には,納骨堂経営許可申請時の添付書類として「住民対応に関する誓約書」,「周辺住民の要望書(宗教法人が経営するものにあっては檀信徒代表者の要望書)」が要求されているところ,前者〔誓約書〕は,申請者に対して,周辺住民から苦情等が生じた場合に苦情申出者の理解を得られるように誠意をもって話し合って周辺住民の理解が得られるまでの間は当該工事の休止等の被告の指示に従うこと等を誓約させるものにすぎず,また,後者〔要望書〕は,納骨堂の新設又は拡張に関する要望があるか否かを審査するためのものにすぎないことから,これらの添付書類を要求していることをもって,上記各規定が納骨堂の周辺住民に対して納骨堂経営許可に係る手続への関与を具体的に定めたものであると解することはできない。)。
そうすると,本件細則8条は,墓地等の付近の良好な生活環境を一般的に保護し,その悪化を防止するという公益的見地に立脚した規定と解されるのであって,墓地等の周辺住民の生活環境上の利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできず,他に,この点に関して手掛かりとなることが明らかな規定を見いだすこともできない。このように解されることは,本件審査基準3-1(2)が「付近の生活環境を著しく損なうおそれがない」と判断するための1つの基準である「①周辺環境と調和が保てること」について,「周辺環境と調和が保てること」という文言自体が極めて漠然とした定めであって,そこから墓地等の周辺住民の具体的利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を読み取ることが困難であることや,別の基準である「②公衆衛生その他公共の福祉の見地より周辺住民の理解が得られること」について,本件細則8条本文による制限の解除は専ら公益的見地から行われるものとされていることからも,うかがわれるところである。
b 原告らの主張について
これに対し,原告らは,①距離制限規定等(本件細則5条2項2号,8条,本件審査基準2(1)イ,3-1(2))は,墓地等がいわゆる嫌忌施設であることから,納骨堂設置予定地から300m以内の学校,病院及び人家に関係する周辺住民の生活環境を保護することを目的とし,かつ,保護する利益の帰属する範囲を納骨堂設置予定地との距離で画するものである旨主張するともに,②経営主体の適格性等に関する規定(墓埋法1条,本件審査基準1,3-1(1)~(6))が,経営主体を原則として地方公共団体とした上で,経営主体の適格性等を求めているのは,遺骨及び納骨堂の管理が永続的かつ適切に行われることを確保し,もって原告ら主張利益〈ア〉を保護することを目的としているからであって,このことは,被告の墓地等経営許可制度(墓地運用指針基準1関係3,基準3関係1,納骨堂運用指針基準1関係3,基準3関係1参照)が周辺住民の生活環境の保護を重視して経営主体の適格性を厳しく制限していることからも明らかである旨主張する。
しかし,上記①(距離制限規定等)については,上記(2)ウで説示したとおり,本件審査基準は,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するとはいえない。また,この点を措くとしても,上記で説示したとおり,本件細則8条は,墓地等の付近の良好な生活環境を一般的に保護し,その悪化を防止するという公益的見地に立脚した規定と解されるのであって,墓地等の周辺住民の生活環境上の利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨を含むものと解することはできない。
また,上記②(経営主体の適格性等)については,上記(2)ウで説示したとおり,本件審査基準,墓地運用指針及び納骨堂運用指針は,墓埋法と目的を共通にする「関係法令」に該当するとはいえない。また,この点を措くとしても,墓地等の経営許可等に関する都道府県知事等の審査において,墓埋法1条所定の「その他公共の福祉」として墓地等の経営主体の適格性が考慮される事項であることの趣旨は,墓埋法1条の目的や「その他公共の福祉」という文言等に鑑みれば,墓地等の永続的管理の必要性とともに,墓地等の健全な経営を確保するために墓地等経営は営利を追求しない公益的事業として運営されるべきであることにあるものと解されるのであって,飽くまで公益的見地から墓地等の経営主体を限定したものにとどまり,墓地等の周辺住民の個別的利益を保護する趣旨のものと解することはできない。
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) 宗教的感情と適合した生活環境等
a 原告らが本件各処分により侵害されると主張する,従前の宗教的感情と適合した生活環境を享受する利益については,我が国では,人は死亡すれば墓地等に埋葬等されるのが通常であり,墓地等は公益性の高い施設であるということができるところ,墓埋法は,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることを目的としており(墓埋法1条),これは,墓地等の設置や埋葬等の行為がそもそも国民の宗教的感情に根ざすものであり,それらが国民の宗教的平穏の中で行われることが必要であること,また,そのような国民の宗教的感情に基づき社会慣習として行われる埋葬等の行為や墓地等の設置が,公衆衛生その他公共の福祉の見地からの制約を加えることが必要な場合があることから定められたものと解される。このように,墓埋法は公益的見地からの規制を予定しているのであって,上記(ア)aで説示したとおり,本件細則8条も,その内容等からして,周辺住民等の宗教的感情を保護する趣旨の規定ではなく,墓地等の付近の良好な生活環境を一般的に保護し,その悪化を防止するという公益的見地に立脚した規定と解され,他に,墓埋法及び本件細則において,原告らが主張するところの従前の宗教的感情と適合した生活環境を享受する利益を個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨をうかがわせる規定は存在しない。
b また,原告らは,本件各処分が,墓埋法,本件細則及び本件審査基準等に反する違法なものである場合,嫌忌施設である納骨堂が稼働することにより,その周辺住民は,精神的苦痛等による健康被害といった著しい被害を受ける旨主張する。しかし,そもそも嫌忌施設という概念自体が曖昧で,人によってその受け止め方は相当に異なるし,墓地や火葬場と比較すれば,納骨堂が嫌忌される程度は一般的には小さいものとも考えられるのであり,納骨堂が設置,経営されることによって周辺住民が被るものは(個人差はあるが)死や焼骨等を忌避するといった漠然とした嫌悪感,不快感というべきものであって,納骨堂が設置,経営されることに起因して周辺住民に社会通念上受忍すべき限度を超える精神的苦痛が生ずるということは困難である。
(ウ) 小括
したがって,墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則の趣旨及び目的並びに本件各処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮しても,墓埋法10条1項又は2項が,納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(原告ら主張利益〈ア〉)を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできず,納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生活環境に関する利益(原告ら主張利益〈ア〉)は,法律上保護された利益に当たるということはできない。
イ 納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命,身体の安全に関する利益(原告ら主張利益〈イ〉)について
(ア) 本件細則10条
a 本件細則10条柱書きは,墓地等の構造設備は,次に掲げる基準に適合しなければならない旨規定し,同条2号は,納骨堂の周囲に塀を設け,堅固な建物として防火設備を設けることを,同条3号は,火葬場の周囲に塀を設け,場内には火葬室及び火炉を備え,適切な防臭装置を設けることを,同条4号は,同条1号~3号に掲げるもののほか,公衆衛生その他公共の福祉の見地から大阪市長が必要と認める設備を設けることを,それぞれ掲げている。
その上で,本件細則10条2号が納骨堂の構造設備として防火設備を設けることとした趣旨について検討すると,①墓埋法1条の目的は,建築基準法1条の目的(建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資すること)と異なり,墓地等の管理及び埋葬等が,国民の宗教的感情に適合し,かつ,公衆衛生その他公共の福祉の見地から,支障なく行われることにある。②納骨堂とは,他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために,納骨堂として都道府県知事等の許可を受けた施設であって(墓埋法2条6号),墓埋法上は飽くまで焼骨を収蔵するための保管場所であることが予定されており,その内部において利用者がろうそく又は線香を使用することを必ずしも予定していない。③本件細則10条2号は,「防火設備を設けること」と規定する以上に,「防火設備」の具体的内容を規定していない。④同条3号が,納骨堂よりも外部への延焼発生の危険性が高い火葬場の構造設備について,防火設備を設けることを要求していない。⑤同条4号が,同条1号~3号が定める墓地等の構造設備について,専ら公益的見地から要求するものであると解される。
これらの事情に照らせば,本件細則10条2号が納骨堂の構造設備として防火設備を設けることとした趣旨は,外部で発生した火災によって納骨堂に収蔵された焼骨が損傷し,あるいは複数の焼骨が混合することを防止することによって,納骨堂の管理及び焼骨の収蔵が,宗教的平穏の中において,公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることにあると解するのが相当である(言い換えれば,納骨堂に隣接する建築物等に延焼することを防止し,もって周辺住民等の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を保護するとの趣旨が含まれていると解することはできない。)。なお,本件審査基準3-1(7)ただし書①は,鉄筋コンクリート造等の耐火構造建物の一部に納骨堂を設ける場合であって,同一建物内の他の施設と区画がされており,かつ出入口が施錠できる場合に,本件審査基準3-1(7)本文の規定を緩和することがある旨規定するが,本件審査基準3-1(7)ただし書①からは,鉄筋コンクリート造等の耐火構造建物の一部に設けられた納骨堂の外部からの延焼を防止することを超えて,納骨堂から外部への延焼を防止することをもその趣旨とするものであるかが明らかではないことに照らせば,本件審査基準3-1(7)ただし書①の規定は,上記判断を左右するものではない。
b 原告らの主張について
これに対し,原告らは,①納骨堂の建築の場合,その規模等によっては,建築基準法や大阪市建築基準法施行条例上,耐火建築物であることが要求されていないから,本件細則及び本件審査基準において,納骨堂の構造設備基準として耐火構造を要求しているものと解され,本件細則10条2号の趣旨は,建築基準法が一定規模の建築物につき耐火構造の設備を要求している趣旨と同様に,納骨堂に隣接する建築物等に延焼することを防止し,納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命,身体の安全に関する利益(原告ら主張利益〈イ〉)を火災から保護することにある(他方で,同条3号が構造設備基準として耐火構造を要求していないのは,火葬場の場合,その規模等からして,建築基準法や大阪市建築基準法施行条例上,当然に耐火建築物であることが要求されることから,本件細則及び本件審査基準において,構造設備基準として耐火構造を要求する必要がなかったにすぎない)旨主張し,②距離制限規定等(本件細則5条2項2号,8条,本件審査基準2(1)イ,3-1(2))は,墓地等がいわゆる嫌忌施設であることから,納骨堂設置予定地から300m以内の学校,病院及び人家に関係する周辺住民の生活環境のほか,周辺住民の生命,身体の安全を保護することを目的とし,かつ,保護する利益の帰属する範囲を納骨堂設置予定地との距離で画するものである旨主張するとともに,③経営主体の適格性等に関する規定(墓埋法1条,本件審査基準1,3-1(1)~(6))が,経営主体を原則として地方公共団体とした上で,経営主体の適格性等を求めているのは,遺骨及び納骨堂の管理が永続的かつ適切に行われることを確保し,もって原告ら主張利益〈イ〉を保護することを目的としている旨主張する。
しかし,上記①(納骨堂の耐火構造)については,本件細則10条2号は「防火設備」と規定するのみで,その文理からみて,耐火構造(建築基準法2条7号,本件細則が施行された昭和31年11月1日当時の建築基準法〔昭和34年法律第156号による改正前のもの〕2条7号)や耐火建築物(建築基準法2条9号の2。昭和34年法律第156号による改正により「耐火建築物」に係る規定とされた〔建築基準法27条参照〕。)であることを要求していると解することは困難である。この点を措くとしても,本件細則10条2号(本件細則が施行された昭和31年11月1日当時は本件細則8条2号〔乙20〕)は,納骨堂の構造設備について,防火設備を設けることを要求している一方で,本件細則10条3号(昭和31年11月1日当時は本件細則8条3号〔乙20〕)は,納骨堂よりも外部への延焼発生の危険性が高い火葬場の構造設備について,防火設備を設けることを要求していない。〈a〉耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物について規定している建築基準法27条は,当該建築物の用途が火葬場であるか否かに着目した規制ではない(火葬場は同法別表第1〔い〕欄に掲げる用途のいずれにも該当しない)こと,〈b〉火葬場に集会場が併設されるか否かは個別具体的な事例ごとに異なるものであるにもかかわらず,本件細則が,施設外部への延焼の危険性が納骨堂よりも高いと解される火葬場の構造設備について,防火設備を設けることを要求しなかったとは考え難いこと,〈c〉大阪市建築基準法施行条例は,平成12年4月1日に施行された条例にすぎない上,耐火建築物等としなければならない建築物について規定している同条例3条の2第1項及び2項は,当該建築物の用途が火葬場であるか否かに着目した規制ではなく,当該建築物の建ぺい率や延べ面積等に着目した規制であること,〈d〉建築基準法35条の2は,昭和34年法律第156号による改正により新設された規定である上,建築物内の人命の安全確保を主目的とした内装制限に関する規定にすぎないことに照らせば,納骨堂のみならず火葬場についても,耐火構造や耐火建築物でない場合があり,そのような事態を避ける必要があったのであるから,本件細則において,火葬場の構造設備基準として耐火構造を要求する必要がなかったとはいえない。
また,上記②(距離制限規定等)については,本件細則8条は,同条本文による規制を,市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときに解除するものであり,生活環境に着目した規定にすぎないことから,周辺住民の生命,身体の安全を保護することを目的とし,かつ,保護する利益の帰属する範囲を納骨堂設置予定地との距離で画するものであるとはいえない。
さらに,上記③(経営主体の適格性等)については,上記ア(ア)bで説示したとおり,経営主体の適格性等に関する規定は,飽くまで公益的見地から墓地等の経営主体を限定したものにとどまり,墓地等の周辺住民の個別的利益を保護する趣旨のものと解することはできない。
したがって,原告らの上記主張は採用することができない。
(イ) 建築基準法等
また,納骨堂の火災による延焼等の被害が及ぶことが想定される地域に存する他の建築物に居住する者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物については,建築基準法等の建築基準関係規定が,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護していると解されるところ(同法1条参照),納骨堂が他の建築物と比較して特別に火災が発生する危険性が高いということはできないから,納骨堂の火災による延焼等の被害が及ぶことが想定される地域に居住する者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物が,本件各処分において考慮されるべき利益の内容及び性質であるとは解されない。
(ウ) 小括
したがって,墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則の趣旨及び目的並びに本件各処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮しても,墓埋法10条1項又は2項が,納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命,身体の安全に関する利益(原告ら主張利益〈イ〉)を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできず,納骨堂周辺に居住又は勤務する者の生命,身体の安全に関する利益(原告ら主張利益〈イ〉)は,法律上保護された利益に当たるということはできない。
ウ 納骨堂周辺に不動産を所有する者の財産的利益(火災による所有権の侵害を免れる利益,当該不動産価格の下落を受けない利益)(原告ら主張利益〈ウ〉)について
上記イで説示したところからすれば,墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則の趣旨及び目的並びに本件各処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮しても,墓埋法10条1項又は2項が,納骨堂周辺に不動産を所有する者が火災による所有権の侵害を免れる利益,当該不動産価格の下落を受けない利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできない。
したがって,納骨堂周辺に不動産を所有する者の財産的利益(火災による所有権の侵害を免れる利益,当該不動産価格の下落を受けない利益)(原告ら主張利益〈ウ〉)は,法律上保護された利益に当たるということはできない。
2 まとめ
したがって,墓埋法及びこれと目的を共通にする本件細則が,原告ら主張利益〈ア〉~〈ウ〉を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解することはできないから,原告らには,本件各処分の取消しを求める原告適格は認められない(なお,以上の認定・判断は,本件土地及び周辺地域の状況等の事情を踏まえても,左右されるものではない。)。
第4 結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの本件訴えは不適法であるからこれらをいずれも却下することとして,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第7民事部
(裁判長裁判官 山地修 裁判官 新宮智之 裁判官渡邊直樹は,退官のため署名押印することができない。裁判長裁判官 山地修)
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